湿度が高いと感染者が増えるのかも


東京都における気温、湿度、日照時間とコロナウイルス感染者数を調べたよ。
陽の光でなら殺せるって炭治郎も言ってたし、その実、太陽光によるウイルス不活化はとても優秀なので「あれ、もしかして日照時間と感染者数」って関係あるのかな? と、最近日の入り時間が日に日に長くなってるのを体感しながら不思議に思ったので調べました。データセット揃えてくれてるって便利!ありがとう偉い人。

で、結果、

「なんの発見もありませんでしたぁぁあああ!!!」

まあ、そんなもんだよね。
で、日照時間調べるついでに引っ張ったデータの中に、湿度や気温とかもあったので、ついで気温とか湿度も調べたよ。

で、結果

はっ?

このグラフは東京都感染者数と5日前の湿度をあらわしたグラフの12月から1月部分である。

あれ・・・?
湿度が高くなると感染者数も増えるんじゃね???

という、湿度高いほうが感染者増えるとか、いままでの常識とは逆のなんとも微妙な仮説を得たのでご報告します。もうちょっと精査なデータ持ってるチームあったら研究よろぴこ。

日照時間とウイルス感染

デッドバイデイライト。あいつらは日の光に晒すと非常に短時間で死ぬ。死ぬというか、ぶっ壊れる。

ウイルスの不活化、消毒方法は大別すると3種類しかなくて、熱、紫外線、化学。
生物系の研究室でも熱(オートクレーブ)か紫外線(紫外線ランプ)、まああと、俺がいた研究室なんかは扱ってるのが菌だったので電子レンジ(チンで細胞膜がぶっ壊れるのでお手軽)をつかったりしてたけど、まあそんなもの。

コロナは92℃でも15分壊れないので熱消毒は生活空間では現実的ではない。(※1)
化学的消毒は、正直今出回っている消毒方法、ちょっと物申したいものばかりで、それコロナにも効くかもしれんけど、お前の遺伝子も壊れんぞ的な感じなので、「かんたんマイペット、キュキュット、ジョイ コンパクト、ママレモン、チャーミーマイルド」とかのそこらで売ってる界面活性剤系が俺てきにはおすすめ。つまるところ、こまめな手洗以上の効果は期待すんな。手洗え、手。

うちの商店街の会合で利用する地区公会堂は、使用後アルコールスプレーでテーブルの上を拭き掃除とかさせられるんだけど、あんなんは逆に怖い。

赤い霧吹きと、青い霧吹きを2つ作って、シューと霧吹いたあと、清拭したとしてさ・・・。
うまく色が混ざって紫になっていたら、うまく消毒できたところ。赤が手についてたりテーブルに残ってたら汚染。トレーニングもしてない人の清拭じゃ、汚染域が引き伸ばされるだけで、手も真っ赤になるわ。無理。

日光の話しに戻る。
それに比べてなんと日光の優秀なことか。
ステンレス表面に付着したコロナウイルスは、不活化まで湿度80%で6時間かかるところ、太陽光が当たると2分で半分になる。湿度20%なら1分半!!(※2)

1分半、つまり90秒で半分ってことは、900秒(15分)なら1024分の1に。
つまり日がさすところは、科学的消毒とかしなくてもお天道さまが全部やっつけてくださる。あ、窓ガラスは紫外線カットするのでお掃除するときは窓をあけてね。

ってなわけで、接待を伴う飲食店とか夜の街で増えるのも然りで、感染者が闊歩したあとは、夜が明けるまでそこには汚染域になる。
手にもった小さなアルコールスプレーと、形ばかりのマウスガードでマップ兵器に立ち向かう勇者に幸あれ。

・・・。
気象庁から東京都の日照時間と、感染者報告数のデータを拾い集め。
感染者数(左軸)、日照時間(右軸)、日時(横軸)

なんかでこぼこしてるだけでさっぱりわかりませんね。
感染者数は、病院や職場が休みとかの曜日の影響を強くうけるし、日照時間は晴れ、曇天でギザギザ。

しかたないので、ちょっと均すために5日で移動平均をつくりました。

うん。ごめん、なんの知見も得られませんでしたーーー

湿度

日照時間のデータの横に、湿度と気温のデータがあったので、せっかくなので、湿度と気温についても調べておこうと思った。

感染者数(左軸)、湿度(右軸)、日時(横軸)

最小湿度と平均湿度のグラフ。
最小湿度のほうタイトル間違ってるね。ごめんして

うん。
・・・あれ。なんか平均湿度のスパイクと、感染者数のスパイクになんか変な一致があるな。

5日ほどシフト。

11月あたりのスパイクには相関連動がみられないんだけど、12月からなんか妙にきれいに揃ってね?

PCR陽性確定まで前は2週間ぐらいかかってる感じだったけど、もしかして今は5日ぐらいに短縮できるようになった?なんか12月からなんか違うな。

感染から発症まで5日が最頻値だったよね。東京都のデータセットからcountifで集計したんだけど、これって発症日だっけ?

んー、このグラフから得られる仮説なんだけど、

湿度は高いほうが感染者が増える。

考察

湿度と感染症の通説は逆。湿度が低いとだめというもの。
空気が乾燥すると、分泌された粘膜も乾燥してしまう。口腔や気道、鼻の粘膜はウイルス蛋白を溶かすのでウイルス感染を防いでくれる。また、インフルエンザやコロナのようなエンベロープ(蛋白外殻)を持つやつは、湿度40%以下だと感染拡大するっちゅうようなことが言われてて、だから乾燥を避けるために加湿器を使いましょうねと。

でも、新型のコロナウイルスが出たころ、加湿器はウイルス生存時間を伸ばすからだめとレポートしてくれるのがいくつもあったよね。東南アジアのような高温多湿のところでも感染広げてるから湿度関係ねぇぞみたいな。逆にウイルスの感染能力を長くするぞ。みたいな。

コロナもエンベロープ系なので物体表面付着時には室温21度で20%湿度と80%湿度で18時間と6時間なので、圧倒的に多湿のほうが不活化までの時間は短くなる。

しかし、問題は空中。エアロゾルのウイルス。
コロナはインフルエンザより細かい飛沫で感染性を有する。
同じ飛沫でも、インフルエンザ>コロナ>麻しんって感じだそうな。

感染者の呼気により吐き出された細かな飛沫は、 100μm以上の 大きいものは2mも飛ばずに落ちるが(マスクやソーシャルディスタンスが大事な理由)、非常に細かくなった飛沫は自重により落下せずに空中に30分程度浮遊する(密閉がだめで換気が大切な理由)。

だが湿度が高いことで空気中に浮遊するウイルスが乾燥を免れ感染性を有したままとなる。 それはつまり、30分前そこで呼吸をしていた感染者の影響もうけるわけだ。換気されない空間では30分間そこで呼吸をした人たちの密を考えなきゃならん。

なお、マスクは5μmとかのエアロゾルを防ぐものでははない。(換気が大切な理由×2回め)

「湿気のある密室では空中に浮遊するエアロゾル中のウイルスは乾燥を免れるため,驚くことに,秒単位から1分ではなく,数分から30分程度,感染性を保持する」
www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14278

気温

11月中頃がピークだ。家に帰るど、3週間後に会いましょう!の動画をつい先日みておもわず笑っちゃったんだけど、気温が下がって、湿度が下がると感染者が増えるのはまあいままででは自明に近い道理だよね。

今回の新型コロナウイルスは、各国で夏にも猛威を奮ってたので、あんま気温関係ないきがするんだけど、一応調べてみたよ。

やる気のないグラフw
わかんないね。

最高気温、最低気温、平均気温が右軸、感染者数が左軸。

これは、前日との気温差でみてみたよ。
なんで前日との気温差を見るかというと、喫茶店をまあ、いっぱしに十年もやってると、変な知見が溜まっててさ、人の出とか客の入りとか、その日が寒いかどうかよりも、前の日より温かいかどうかのほうが影響あるんよ。で、人間が感知できる気温差は3度からとか言われてるよね。

で、3度以上違う日とかをみてみるけど・・・
あー、うん、なんにもわかりません!!

で、ちょっと均すために平均気温の移動平均をとってグラフをつくったよ。

あーー、うん。ここから得られる仮設は、

寒くなると感染者が増える。

かな、
寒くなれば、換気もされないし、体温も下がって免疫も落ちるので風邪が流行る。 ま、そんなところかも。

日照時間なんかあるとおもったんだけどなー。なんもひっかかりがなかったのは残念。
湿度、高いほうで露骨に変な相関が出てたのは、すごく意外だった。
でもま、ただの変な偶然なだけかもしれないから、他の都市のデータとか、一年後とかにまた追ってみたいですね。

では、みなさまご健勝に。

参考およびデータもと

気象庁::ホーム > 各種データ・資料 > 過去の気象データ検索 > 日ごとの値
www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/daily_s1.php?prec_no=44&block_no=47662&year=2020&month=11&day=&view=p1
東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細
catalog.data.metro.tokyo.lg.jp/dataset/t000010d0000000068

(※1)
熱 コロナウイルスは結構熱に強く、人間が生存できる温度帯では不活化できなさそう。92℃で15分
www.wowkorea.jp/news/korea/2020/0420/10256654.html
紫外線 日光だと1分20秒~2分で半減期。瞬殺。
www.wowkorea.jp/news/korea/2020/0424/10257002.html
化学的消毒消毒用エタノール(濃度70%以上95%以下のエタノール)次亜塩素酸ナトリウム (0.05%)、界面活性剤、次亜塩素酸水

(※2)
太陽光は新型コロナウイルスを急速に不活性化させるのか? 論文の公開求める声も
www.afpbb.com/articles/-/3280303

(※3)
www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14278
wired.jp/membership/2020/11/27/covid-winter-is-coming-could-humidifiers-help/
news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20210108-00216585/
taisho-kenko.com/column/detail/28
室温(約20℃)では低湿度(相対湿度30〜50%)より高湿度(80%)の
環境でより迅速に不活化される一方,6℃では80%でも長い生存性を示している。
www.saaaj.jp/covid/pdf/covid02.pdf
QT:
湿気のある密室では空中に浮遊するエアロゾル中のウイルスは乾燥を免れるため,驚くことに,秒単位から1分ではなく,数分から30分程度,感染性を保持する

グラフ作成につかったエクセル、DropBoxにあげておくよ。ほしければどぞ。https://www.dropbox.com/s/styr5zbq82j4evi/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E6%97%A5%E7%85%A7%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%A8%E6%84%9F%E6%9F%93%E8%80%85%E6%95%B0.xlsx?dl=0


2類から5類にすれば医療崩壊しなくてすむってさ


大手門に敵が殺到しているから、門をあけて敵を引き込めば前線崩壊ではない。
ウォールオブマリアが破られても、なに、まだ壁はある。

言っているのはまさにそういう事でしかない。
指定感染症の2類からインフルエンザ並みの5類にすることで、なるほど医療崩壊はしないかもしれない。 だが、それは医療崩壊という言葉の定義を変えているだけ。敗走ではなく、転進といえば負けじゃないといっているのに等しい。

世の言説は明快を好むためか、白黒、明暗をつけたがる。
フェイクだファクトだ、言った言ってない、正だ否だとで揉めがちだけど、下手な嘘にだって真実は散りばめ混ぜられるもの。自然科学でもだいたいの事象はグラデーションだ。花が咲いたという観測をしても、観測者や観測対象木によっては咲いている、散っている、まだ咲いていないなどが入り交じる。

さて、現場で観測している人たちが、「もう限界だ」「これ以上は持たない」と声をあげている。
まず現場の声は尊重しなければならない。
そんなはずはない、病床はまだある。弾は十分にあるはずだ。まだ戦えるはずだとかいうのは、現場の声を見なかったこと、聞かなかったことにしているだけだ。

崩壊にも段階があって、最先端の医療体制のキャパシティオーバーとか、救急の医療体制のキャパシティーオーバーとか、町医者まで死に絶えるとかいろんなステージがある。いま、その最前線の戦線が崩壊しているところだ。

為政者が被害をへらすためにやるべきは法律の定義の変更によるごまかしでなく、ニューヨークのように1,000床からなる野営病院や臨時病院をいくつも建てることだ。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
elaws.e-gov.go.jp/document?law_unique_id=410AC0000000114_20190914_501AC0000000037

「一類感染症」
エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱
「二類感染症」
急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARSコロナウイルス)、中東呼吸器症候群(MERSコロナウイルス)、鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ)
「三類感染症」
コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、
「四類感染症」
E型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、炭疽、鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く)、ボツリヌス症、マラリア、野兎と病、既に知られている感染性の疾病
「五類感染症」
インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く)、ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く)、クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、梅毒、麻しん、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症

感染症の分類というのは上記のようになっている。
疫病を無為に広げないために、感染症の取り扱い方法が定められている。
なんていうか、法の素人から見ても下手くそな立法文書。「新型インフルエンザ等対策特別措置法」とかもそうなんだけど、法律のなかに直値で病名が書き込まれている、メンテナンス性の低いコードだ。
なので「新型コロナウイルス感染症」が、政令で二類感染症に追加指定された。オーバーライド(上書き)だね。

(新型コロナウイルス感染症の指定)
www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78ab7336&dataType=0&pageNo=1

なんていうか、プログラマブルじゃないバッチの当て方。つくづく筋が悪い。
まずもって病名に「新型」とかつけちゃうところがセンスないよね。ファイル名に「最新版」「最終版」「納品版」とかいっぱいつけちゃって、どれが一番新しいんだかわけわかんなくなっちゃうやつみたいだよ。
変異でSARS-CoV-3とかになったら、新々型コロナウイルスとかにするつもりなんだろうか?

五類には後天性免疫不全症候群(AIDS)とか、最近日本で感染者が増えている梅毒、麻しん(はしか)とか、危険な病気も混じっている。しかし、ワクチンの開発や国内では一旦は終息を迎えたものが対象で、正直まだワクチン接種率が国内0.001%もないcovid-19を五類にするのは、一個前のエントリ、季節性インフルエンザとコロナの致死率、重症率比較のところでもみてもらった通り、危険すぎる。侮りすぎだ。

四類は、最近国内で14年ぶりに感染が確認された致死率100%の狂犬病、映画とかでもバイオテロに使われがちな炭疽菌が属する。発生例が少ないか、ウイルス性肝炎のように発生件数は1000件近傍あるものの減少傾向にある病気だ。

三類は、下水道などが完備されていない途上国に行く際には、予防接種か旅行保険をがっつりかける必要があるタイプの病気だ。O-157などはたまに国内でも流行が見られる。

二類は、今回の新型コロナウイルス(covid-19/SARS-CoV-2)と、致死率40%とか20%のSARSコロナやMERSコロナがいる。致死率2~4%程度の新型コロナウイルスがここにいるべきかという議論はあろうが、感染爆発をしているとそれだけ変異は頻繁に起きるので、長い目でみれば宿主を殺さない方向に弱毒無害化した株が席捲をするだろが、うっかりSARSのように苛烈なやつになって強毒化タイプに変化しないとも言い切れない。というか、変化するだろう。

現在4000種類ほど変異株が見つかっているというが、イギリス南西部、南アフリカで7割ほど感染力がある変異株がみつかっていて、実行再生算数を0.4ほど押し上げる可能性があるという。金利で言えば40%が80%になる世界線だ。Rt1.8とかになると人口密集地では簡単に感染限界上限に張り付く。そして、感染者が増えれば、突然変異数の可能性も増える。

現在コロナウイルスは7種類みつかっていて、そのうち3種類、SARS、MERS、SARS2(今回の新型コロナ)が指定感染症となっている。

それ以外の4種類は、まあ、普通の風邪だ。
風邪の流行期には35%がコロナウイルスを原因としたものだと言われている。 コロナはただの風邪というのはその側面では正しい。無症状の人もいるし、熱が出ても37.5℃とかなので動けもする。ただ、重篤な肺炎やサイトカインストーム、血栓症をおこすので致死率が段違いというだけだ。風邪なみの気軽さで伝染るけど、インフルエンザの数百~数千倍死ぬ。

まあ、でも、SARS、MERSよりは致死率はそれでも一桁低い。この絶妙なバランスが、なかなか封じ込めることができない理由でもある。季節性のインフルエンザと比較して、けっして野放しにしていいレベルの脅威ではない。無防備で社会免疫を獲得するというノーガード戦法をするとどうなるかは、スウェーデンや英国が率先して挑み、叡智を授けてくれた。同じ失敗を、しかも1年も遅れて後追いで検証する必要などない。

重症化したあとの数字をみると、平均入院日数は40日にも及ぶ。残念なことだが、現在の国内の新規感染者数の推移をみるに最前線の奮闘虚しく医療崩壊は免れない。五類に転進したところで被害状況を改善してはくれない。いまのところ、交差抗体をもっていないために医療従事者も感染するウイルスなのだ。

大型の病院でもクラスターを起こしている。
ノウハウも設備もない街のクリニックにまで戦線を拡大したところで、状況は改善はしてはくれない。
五類から二類にすれば、街のクリニックが感染拠点になって、学習ノウハウが積み上がるのが先か、力尽きるのが先かの勝負となる。

必要なのは言葉の定義変更ではなく、人員と設備そして実行。

医療従事者が足りないから、医師免許を持った教官や学徒、はたまた軍医まで徴用しようとする動きもある。
人的な手当は一時的に改善するかもしれないが、そのあと、人員の教育が止まるので継戦能力が失われ回復しないだろう。種籾まで食いつぶす状態をとらまえて、それでも我が国は医療崩壊していないとはこれいかに。

「アメリカも医療崩壊はしてないじゃないか」というような言説にはめまいがする。
工兵つかってマンハッタンに1000床もの臨時病院つくったりセントラルパークとかに野営病院をあちこちたて、死者の埋葬すらおいつかず冷凍コンテナをつかって保管。これを見て・・・。
・・・医療崩壊していない?

ああ、そうだね、崩壊したのは葬儀屋かなー?
って、ブラックすぎるわーー。
いったいこの一年何をみてきたんだいと。
いったい、なにを学んできたのー。わたーしだって、わたーしだって。つかれるーわ。

米国感染者数1位のニューヨーク州
coronavirus.jhu.edu/data/state-timeline/new-deaths/new-york/0

3月から4月の1つ目の山は感染者数と死者数がリニアにリンクしていて、完全に治療、医療がおっついていないことが見てとれる。概して2波目は、11月頃の感染拡大から2ヶ月以上死者数を抑え込めていて、医療が機能していることが見て取れる。

米国感染者数2位のテキサス州
coronavirus.jhu.edu/data/state-timeline/new-confirmed-cases/texas/0

こちらは2波目も若干は抑え込めてはいるものの、ニューヨークほど勝ててはいない。
ノウハウが溜まってきたこともあるんだろうけど、このコントロールできているかどうかが、医療が機能しているかどうかなんだとおもうよ。

病床数について

ICU等の病床に関する国際比較について
www.mhlw.go.jp/content/000664798.pdf
特定集中治療室管理料(5211床)、救命救急入院料(6411床)、ハイケアユニット入院医療管理料(5412床)

ICU等の病床に関する国際比較についての見解
www.jsicm.org/news/news200510.html

医師数について

医者やナースの数をOECDのデータから調べておいた。2018年のデータで抽出したが、日本がなかったので別途追加した。アメリカは、2018年のデータがなかったので他の年度をもってきた。


stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=HEALTH_WFMI#

2018年の各国の医師数
2018年各国の看護師数

日本の医療の現状と国際比較
www.khk-dr.jp/shutyou/031115.pdf

ICU+HCUや医師、看護婦の数を勘案すると、アメリカやドイツとさして遜色はないようにみえるのだが、100床あたりの国際比較にするとそうではないようだ。もしかしたらやたら病床数が多いのかもしれない。コロナ対策病床が2%にも満たないという報道があるが、その実、使えないだけなのかもしれない。

www.mhlw.go.jp/shingi/2008/01/dl/s0129-4c.pdf

人口あたりの長期医療病床はどうも日本はやたら多いようだ。

平成 30(2018)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 医師 327210
www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/18/dl/gaikyo.pdf

看護職員の現状と推移
www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000072895.pdf

看護統計資料 (2016)1,660,071
www.nurse.or.jp/home/statistics/pdf/toukei01.pdf


コロナはインフルエンザより怖くないミリしら勢


1ミリも知らないというよりは、1ミリも調べもしない雰囲気で踊る勢。
セキュリティや公衆衛生は一番レベルの低い人達に揃う。全開の窓の横に、いかに最新鋭の防犯設備を揃えた分厚いドアを設置したところで無駄というものだ。ドアの鍵を見直す前に、まず窓を閉めよう。社会の窓あいてねぇか?

コロナなんてただの風邪という人や、インフルエンザと比べてどうなんだという人がいる。
いても、いい。幽霊やお化けを怖がったり、前世を信じたりするのと同じように自由だとわたしは思う。

国会議員にそういうことをいい出す人がいてもいい。
国会議員は国民の代表なので、国民に一定数そういう人がいれば、そういうことを言い出す国会議員もいてもいい。民主主義は最大効率は出ないけど、結構あちこち間違うから本当に間違ったときも大きくは間違えないですむ。

火傷や包丁で小さな怪我をしておけば、取り返しのできない大怪我をしないで済むというようなものだ。賢者は歴史に学ぶというが、歴史に学べないのが凡夫であるのだから、大抵は失敗して体験して学ぶよりない。小さな失敗は糧になる。だから間違ってもいい。

・・・。
と、そんなふうに鷹揚にかまえてたんだけど一年も経って、国会議員とか自称ジャーナリストとかがまだそんな事を言ってるを見て、おいおい、誤りてそれを改めざる是れを過ちだとかなんだとか、流石に諭したくなる。

ちなみに、今、こたつに入って、このブログを書いているんだけど、別に足で裏をとらなくたって一年も経てばググるだけでソースが転がり落ちる。きっと大変な事情があって、ググることもできない人のために、今年はミリ調べたことだけでもまとめておくことにした。まあ、こんな場末のブログ記事をここまで読めるひとは、既にご存知のことかもしれない。

まず、インフルエンザ死者数は

人口動態調査 / 人口動態統計/ 確定数/ 保管統計表(報告書非掲載表)/ 死因
人口動態調査 / 人口動態統計/ 確定数/ 分類表
www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450011&tstat=000001028897&cycle=7&tclass1=000001053058&tclass2=000001053061&tclass3=000001053074&tclass4=000001053089&tclass5val=0

から辿ることができる。
このうち分類表からインフルエンザが関係しそうなものは、いくつかあるが、流産の死因とかは抜いて、

「インフルエンザ及び肺炎(J09-J18)」をみることにする。

J09 特定のインフルエンザウイルスが分離されたインフルエンザ
J10 その他のインフルエンザウイルスが分離されたインフルエンザ
J11 インフルエンザ,インフルエンザウイルスが分離されないもの

2019年の死因では、

死因コード 男 女
(J09-J18) 54979 44114
J09    – –
J10    795 714
J11    1108 958

となっている。
J09は新型インフルエンザ用かな?データがないのでJ10とJ11を計算

(J10)男795 女714
(J11)男1108 女958

の計3,575人である。

あー、ちょっと話し逸れるんだけど、(インフルエンザ菌による敗血症)という死因があったんだけど、「インフルエンザ菌」って何????インフルエンザウイルス起因の菌による敗血症ってことなのかな?一瞬、ウイルスと菌を混同してた時代の名残がまだ残ってるのかとおもっちゃった。

Q10.通常の季節性インフルエンザでは、感染者数と死亡者数はどのくらいですか。

例年のインフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人いると言われています。
国内の2000年以降の死因別死亡者数では、年間でインフルエンザによる死亡数は214(2001年)~1818(2005年)人です。
また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されています。

www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02.html

その他、厚労省関係のホームページをググると、超過死亡概念をいれた推計だと年間1万の死者となる。1万/1000万なので、インフルエンザの致死率は0.1%

別のデータを探してみる。
こちらは死亡統計ではなく、全国の医療機関からの報告をもとにした厚生労働省の診療機関の数字だ。


「今冬のインフルエンザの発生動向」
2011厚生労働省 新型インフルエンザ対策推進本部 国立感染症研究所
www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/110210-04.pdf

死亡が150人(前年198人)
重傷者417人(前年1641人)
患者1030万人(前年2061万人)

「インフルエンザ様」ってインフルエンザに敬称つけてるのかと一瞬おもったけど、インフルエンザ様相ってことかな。ここから計算すると、

死亡率 150/1030万=0.0014% (前年0.00096%)
重症化率 417/1030万=0.0040% (前年0.0080%)

同じようなデータはこっちにもある、
インフルエンザ感染者の致死率は、0.001%未満であり、70歳以上の高齢者では0.03%


季節性インフルエンザ
www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/home/hp-infect/file/ictmon/ictmon162.pdf

まあ、ご高齢だけども、たぶん直接の死因はインフルエンザだったんじゃないかなっていう超過死亡概念を含めたインフルエンザの致死率は0.1%で、病院で治療を受けてまで亡くなる人はわずか0.001%、つまり10万人に1人程度しかいない。

対して現在のcovid-19の致死率は最先端医療リソースを受けて2%程度。 直近の日本のデータでも1.8%~2.0%といったところだ。

news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210108-00216594/

国内の50歳未満については、まだほとんど亡くなられているひとがいない現状において致死率は0.06%と現状のデータだけでみても60倍以上となっている。

インフルエンザ流行期のように2000万人規模で流行すれば、40万人ほどが1年の間に亡くなる計算になる。

これは医療崩壊をしなかったケースでだ。
他の先進国を見ると、最先端医療が受けられないケースでは4%、医療が完全に崩壊していた都市別のデータをみると20%を超えていた。そうなると亡くなる人が400万人代に達する。

ジョン・ホプキンス大のデータから 2021/1/7 新型コロナウイルス感染者上位国の致死率を拾っておく。
coronavirus.jhu.edu/map.html


国名 | deaths/Cases | %

  • US 361,297 21,306,424 1.70%
  • India 150,336 10,395,278 1.45%
  • Brazil 198,974 7,873,830 2.53%
  • Russia 59,628 3,297,833 1.81%
  • United Kingdom 77,470 2,845,269 2.72%
  • France 66,700 2,763,251 2.41%
  • Turkey 22,070 2,283,931 0.97%
  • Italy 76,877 2,201,945 3.49%
  • Spain 51,430 1,982,544 2.59%
  • Germany 37,837 1,851,848 2.04%
  • Japan 3,649 266,973 1.37%

インフルエンザはワクチンもあり、治療薬もある。 それに潜伏期間も短く、病症がでれば高熱が出るので動き回らなくなる。対してコロナは、潜伏期間が長く、熱も37.5度とかで、劇症化しなければ普通の風邪とふるまいは同じだ。

インフルエンザ並に流行らせてはいけないのは、こたつに座ってでもミリ調べればわかることだ。 被害は2~3桁も異なる。若者で比べるなら季節性インフルエンザの数千倍死ぬ。こんなことは最初期から科学的異論のあがっていないことだ。

死亡率だけでなく、既に国内の年間のインフルエンザ死者数を超える段にもなってもまだ、インフルエンザを引き合いに「コロナなんてインフルエンザより死んでないじゃないか」とかいうやつが居たら、こたつに座りながらでもいいからミカンの皮でも投げつければいいんじゃないかと思う。(中身はもったいないから食べてね)