中国と米国の衝突がまじでやばげ


2020年8月13日からアメリカで施行される法律がある。輸出管理改革法(ECRA)だ。
「ファーウェイ、ZTE、ハイクビジョン、ダーファ・テクノロジー、ハイテラの中国5社製の通信・監視関連の機器やサービスを利用している企業の製品やサービスを米国政府調達機関が調達することを禁止する」というものだ。これは軍需に関わらず、どのような製品、サービスにも波累する。そして来年同日には関連取引業者、サプライチェーンにも拡大することが法律できまっている。

つまるところ何がおこるかというと、これから1年の間にこれらの製品を自社製品作成のサプライチェーンの中で使用していないことを証明できる状態にしないと日本企業ですら米国の経済圏から締め出しをうけることになる。この動きはアメリカだけでなくイギリスやフランスなどでも発生している。ドイツだけスタンスが緩かったがこれも雲行きがあやしい。

対共産圏輸出統制委員会「COCOM(ココム)」や、ワッセナーアレンジメント(通常兵器の輸出管理)のような厳格な対応が求められう。第二次世界大戦前夜、日本がABCD包囲網でおこなわれたかのような規模の広範な対中経済制裁だ。

だが、日本ではこの20年で在中製造や対中貿易を事業ドメインに組み込んでしまった事業者も多く、パージが容易ではない企業も多いのが現状だ。そしてそれよりも悲劇的なことは、何がおきているのかも気がついていない会社が多いことかもしれない。

囁かれていた2020年騒乱

2020年には中国は台湾や南シナ海でなんらかの軍事的アクションを起こすのではないかという、きな臭い推測がかねてよりあった。現段階ではインドとの小競り合いで死者が双方数十名単位ででているが、現在中国は全方位多正面作戦を実行中だ。まさに中華的。

背景には最近発表されたcsisのレポートにもある通り2015年からの急激な中国の景気減速、2018年から発生した米中貿易戦争にある。

中国の公的統計情報や経済指標の発表は他の民主主義国の発表する経済指標と単純に並べて比較できないものであるが、こと貿易においては相手国の統計をもとに推測できるのである程度反面調査が効く。

最近ベイルートで硝酸アンモニウムが爆発したが、2015年にも中国天津で同じような事故があった。肥料系の副生成物なので、 保管が不適切なまま輸出がだぶつくとこのような事故が起こりやすくなる。日本でも鉄スクラップや廃プラスティックの輸出が落ち、保管ヤードなどで火災がおきている。急速に悪化した循環不全によるものだ。

中国には14億人もの人口がいて、内需だけでまわる。とても有望な市場だ。なんてうまい話しにほだされて中国進出した在邦企業もおおいかもしれない。
有望な市場がそこにある、なるほど、そうかもしれない。
だが、他方で世界の工場たる中国で作成しているのは結局のところ中間財が多く、最終財やサービスを輸出できているわけではない。最終消費地はアメリカやEUなどに依存している・・・というような事を聞いたことがあるが、真や否や。

今はどうだろうか。
李克強総理は、ここに来ていまさら「中国には月収3.3万円以下 困窮人口が9.6億人存在する」という驚きの発言をした。面子や体面を大事にする中国共産党指導部から困窮しています、経済格差がありますなんていう発言があるのだとしたら、なにか別の意図があるのではないかとすら勘ぐりたくもなる。

LIBRAが話題になったときに人民元の仮想通貨を発表するなど、中国政府は基軸通貨への意欲を見せた。 おそらくここらへんが、アメリカが中国を看過できなくなったティッピング・ポイントだったのであろう。
何がおきていたのか。オーストラリアへのサイレントインベーションにも詳しくかかれているが、この数年であらゆるチャンネルで他国への政治浸透工作が各国で露見した。いや、そんな事は前からわかりきったことだったのだけど、黙認されてきていたのが証拠固めをされることで、ファイブアイズ西側諸国はアリバイというストライクを積み上げてきたのだ。

そしてその狼煙を嗅いで相次ぐ中国企業のアメリカ市場への上場や、米国内での5000万人におよぶ中国共産党員の関係者の米国内資産差し押さえの匂わせなど、着実に駒が動かされてきた。8月の局面が終われば、米大統領中間選挙の10月がまっている。トランプがどう動くか、どこまでやるかは正直わからないが、このままの局面を放置すればトランプにとっては厳しい選挙戦となることだろう。アメリカ経済も厳しくなるのは目にみえているのだ。第二次世界大戦でアメリカはおよそ29万人の死者を出したが、 コロナ禍ではわずか半年で16.3万人が亡くなられているのだ。

企業が中国国内で会社をつくる場合は、共産党委員会を経営に入れなければならない。日本のような外資が現地に工場をつくったら最後、基本、資産の持ち出しや撤退はできない。
一方で、中国国内でなんらかのほうほうで蓄財され、アメリカに不正に持ち込まれた資産は一説には3.1兆ドルにも登るとか言われている。架橋がもつ表にでてる分だけでも20兆ドルあるだとかなんだとか。

アメリカの本気、英国の肚ギメ

香港国家安全法により一国二制度は50年という約束を反故にされた英国は肚を決めたように見える。 属地主義を無視した域外適応、法の施行前に遡及して取り締まる遡及適用。 事態を重くみた英国が香港人に英国海外市民パスポートを発行したが、そんなものの有効性を認めないとは中国政府の弁。
パスポートはその発行国がそれを持つ人の身分を保証するという書類だ。パスポートを無効にしたり、域外適用をすることは他国の主権を否定することに等しい。英国は空母クイーン・エリザベスをはじめとした空母打撃群をインド太平洋に展開し、日米の軍事演習に参加させることにした。

アメリカの本気度はもっと笑えない。
コロナウイルスによるビザ配給停止をおこなった。学生ビザを含んでいたので大きな混乱がおきたがそれすらもわざと事をおおきくするための策に見える。
輸出管理についてはCOCOMからワッセーナーアレンジメントを4/28に一律適用し、中国系の民間企業を政府機関、外国機関として扱うようにした。中国系の私企業は設立時に必ず公としての共産党を受け入れなければならないので、完全なプライベートカンパニーというものが存在しない。だからそれは政府機関でしょというのはアメリカなりの詭弁だ。だが、事実でもあり不可分でもある。
その対応が、180日以内におこなわなくてはならない。4月から6ヶ月というと、これも10月いっぱいでけりがつく。弾圧がどうこうのリストを作れない場合、米国内の銀行口座が凍結される。

BLM運動の裏で暴動を煽動した・・・のはまだ建前では言ってないんだっけ? 産業スパイ活動工作の拠点になっていたとしてヒューストンの中国領事館の閉鎖を指示した。中国はカウンターで成都のアメリカ領事館を閉鎖を指示した。

アメリカは戦争をするのに躊躇いのない国だ。大量破壊兵器があるかもしれない程度のいいがかりがつけられればいよい。「コロナが中国の研究所から漏れた」はそれらしく聞こえる。第二次世界大戦以降、軍需を経済エンジンにしてしまってらいミサイル在庫一掃処分が景気浮揚策なのはまちがいない。

米中双方ともに核兵器大量保有大国であるため、安易な武力衝突はないかもしれないが、ロシアにやっている規模での経済制裁は展開されることであろう。

香港ドルの米ドルペッグが終わらせ、米国に上場している中国系企業の在中国側の連結が監査できずに上場廃止においこむやもしれない。

中国側の不正蓄財は米国や日本に流れる。日本のアングラマネーは香港やマカオ、シンガポール、フィリピンに流れる。英米を抑え、豪も締めたら、香港も口実は十分だろう。シンガポールはもとより金融立国でアジア金融危機のときから狙われていた。最後まで逃げ道として残しておいてからでもできるだろう。

であれば、この包囲網で中国側の呼吸穴、資金の逃げ道、そして障害になりうるのは日本だ。 「China’s Influence in Japan」のレポートでもばんばん日本の親中派政治家の名前が並ぶ程度には、日本はすでに巨大な中国の影響下にすでにある。そこで効いてくるのが冒頭にあげた輸出管理改革法なのだ。


コロナで弱った旧態大企業は、どちらにつくのかの絵踏みを迫られる。
苛烈に、そして湧いたようにある日それは姿を現すだろう。TikTokにおきていることは明日の日本大企業にもおきうることだ。

参考

ファイブアイズ UKUSA協定
ja.wikipedia.org/wiki/UKUSA%E5%8D%94%E5%AE%9A
アメリカ合衆国 – アメリカ国家安全保障局(NSA)[1]
イギリス – 政府通信本部(GCHQ)[1]
カナダ – カナダ通信保安局(英語版)(CSEC)[1]
オーストラリア – 参謀本部国防信号局(英語版)(DSD)[1]
ニュージーランド – 政府通信保安局(GCSB)[1]

Proclamation Suspending Entry of Aliens Who Present a Risk to the U.S. Labor Market Following the Coronavirus Outbreak
www.whitehouse.gov/presidential-actions/proclamation-suspending-entry-aliens-present-risk-u-s-labor-market-following-coronavirus-outbreak/

中国、ロシア、ベネズエラ3国への規制 輸出管理改革法(ECRA)
米商務省、懸念国への輸出管理規制を強化、一部パブコメも募集
www.jetro.go.jp/biznews/2020/05/7015fbaea6701793.html

アメリカはどう中国を追い詰めるのか
www.youtube.com/watch?v=94_qIvuRukQ

アメリカの労働者ビザが停止され、新規の就業が不能に
seattle-life.hatenablog.com/entry/2020/06/23/143515

ワッセナー・アレンジメント第25回総会
www.mofa.go.jp/mofaj/dns/n_s_ne/page23_003194.html

留学ビザ規制、中止求め提訴 米ハーバード大とMIT 2020/7/8
this.kiji.is/653604289389806689

米トランプ政権、対中政策の実施状況を報告、長期的な敵対関係を想定
www.jetro.go.jp/biznews/2020/05/1f6e96dcb67797a0.html

United States Strategic Approach to the People’s Republic of China
May 26, 2020
www.whitehouse.gov/articles/united-states-strategic-approach-to-the-peoples-republic-of-china/
www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2020/05/U.S.-Strategic-Approach-to-The-Peoples-Republic-of-China-Report-5.24v1.pdf

米国の中国に対する戦略的アプローチ 石川幸一 2020.06.22
www.world-economic-review.jp/impact/article1789.html

China’s Influence in Japan Everywhere Yet Nowhere in Particular
csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/publication/200722_Stewart_GEC_FINAL_v2%20UPDATED.pdf

独の香港との犯罪人引渡し条約停止、国際法違反と中国大使館
jp.reuters.com/article/hongkong-security-germany-idJPKBN24Y01N

香港、米国民を指名手配 国安法、外国人初適用か
this.kiji.is/662258802850841697

香港国家安全維持法 “香港市民以外も取締り対象”
www3.nhk.or.jp/news/html/20200802/k10012546081000.html

TikTok、ウィーチャットと取引禁止 トランプ氏が大統領令
www.sankei.com/world/news/200807/wor2008070027-n1.html

Announcing the Expansion of the Clean Network to Safeguard America’s Assets
www.state.gov/announcing-the-expansion-of-the-clean-network-to-safeguard-americas-assets/

中国企業製通信・監視関連機器等の米国政府調達禁止に関する QA 風解説
―サプライチェーンに関わり全社的検証・検討が必要な問題―
2020 年 8 月 7 日 CISTEC 事務局
www.cistec.or.jp/service/uschina/25-20200807.pdf
中国 5 社製の通信・監視関連の機器やサービスを利用している企業の製品やサービスを
米国政府調達機関が調達することを禁止する
どのような製品やサービス
今年の 8 月 13 日から施行される
ファーウェイ、ZTE
ハイクビジョン、ダーファ・テクノロジー、ハイテラ
来年(2021 年) 8 月 13 日までに、自社では中国 5 社製の通信・監視関連の機
器・サービス利用されていない場合であっても、「“domestic concerns”である子会社又
は親会社で利用されている場合は、自社にも政府機関との契約禁止が及ぶとする規則改
正を行う可能性がある」

中国には、月収3.3万円以下「困窮」人口が9.6億人存在する…
国務院総理の李克強
gendai.ismedia.jp/articles/-/73569
【李克強総理】
「中国は人口が多い発展途上国であり、中国国民1人当たりの平均年収は3万元(約45万5000円)ですが、月収1000元(約1万5150円)の人たちが6億人います。」
月収2000元(約3万300円)以下の人口が9.64億人 13.93億 (2018年)

香港の英国海外市民旅券、中国「有効性認めない」 習政権 中国・台湾 2020/7/23
www.nikkei.com/article/DGXMZO61887550T20C20A7PE8000/

焦点:中国に不可欠な香港ドルペッグ制、米国と対立で存亡の危機https://jp.reuters.com/article/hongkong-dollar-peg-factbox-idJPKCN24E1CM


2020年の香港維護国家安全法


概況

2020年6月30日、北京で開催された全人代常務委員会で香港の国家安全法が可決され即時施行された。午後11時。翌7月1日は香港返還23周年であり、逃亡犯条例をめぐりかねてより続いていたデモでは、国家安全法違反の10人を含むおよそ370人が逮捕された。

香港維護国家安全法は、香港独立などの横断幕を掲げ抗議したものを国家転覆もしくは国家分裂をあおる反乱分子として、裁判所の礼状なしに家宅捜索などをおこなえるとした。最高刑は無期懲役となる。
香港特区政府が中国政府が作った「香港国家安全維持法」を有効に実行できない場合、中央政府より香港に国家安全維持公署が派遣されその任をおこなうとある。
同法の公布を受け、雨傘運動などで長らく活動してきた香港の民主派団体デモシストは解散をすることとなった。
西側の民主主義諸国はこれを非難し、制裁合戦がおきようとしている。

世界の反応

下記27ヶ国が共同声明を出し同法を非難した。

オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ベリーズ、カナダ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、アイスランド、アイルランド、ドイツ、日本、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マーシャル諸島、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、パラオ、スロバキア、スロベニア、スウェーデン、スイス、イギリス

米国は2018年に国連人権理事会から撤退しているため、共同声明には参加していないが個別に米国議会で非難決議をしている。上院では香港自治法案、下院では中国制裁法案を可決し中国共産党幹部のビザ発給停止などより実効性のある行動をとりだした。この制裁決議内容は苛烈なのでもっとしっかり調べなければならない。中国をとるかアメリカを取るかのオルタナティブな内容のように見受けられる。また今度調べてみる。

英国も肚をくくったようだ。香港市民に対して5年の英国海外市民旅券を290万人に対して付与すると公言し、ファイブ・アイズ(イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)と連携をはじめた。

同じような境遇にある台湾もかなり大掛かりな移民受け入れ策をとりはじめたようだ、移民の積極的受け入れを公言している。

日本は非難決議には参加せず各国が落胆という報道が6/7に共同通信から出ている。自民党も会派レベルの非難声明にとどまっているのも確かだ。非難共同声明には参加したが、政治的には与党内ですら拮抗状態にあるようだ。意外と野党は非難姿勢を明確だせているようだ。

香港国家安全法を支持した国もある。
第44回国連人権理事会ではキューバが53カ国を代表して支持声明を発表した。

中国、アンティグアバーブーダ、バーレーン、ベラルーシ、ブルンジ、カンボジア、カメルーン、中央アフリカ共和国、コモロ、コンゴブラザビル、キューバ、ジブチ、ドミニカ、エジプト、赤道ギニア、エリトリア、ガボン、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、イラン、イラク、クウェート、ラオス、レバノン、レソト、モーリタニア、モロッコ、モザンビーク、ミャンマー、ネパール、ニカラグア、ニジェール、北朝鮮、オマーン、パキスタン、パレスチナ、パプアニューギニア、サウジアラビア、シエラレオネ、ソマリア、南スーダン、スリランカランカ、スーダン、スリナム、シリア、タジキスタン、トーゴ、アラブ首長国連邦、ベネズエラ、イエメン、ザンビア、ジンバブエ。

フィリピンや韓国、インドネシアなどどちらにも名前を載せない国もあるようだ。どちらのプランをみてもかなりバチバチで、最悪米国市場から締め出される可能性すらある。どちらからも目をつけられるわけにはいかないのだろう。

域外適用

同法でとくにやばいと言われているのは38条で他国の主権を侵害するいわゆる域外適用がなされた条文である。

 第三十八条 香港特別行政区の永住権を有しない者が、香港特別行政区の外で香港特別行政区が実施する本法に規定する罪を犯した場合、本法が適用される。

どこが、どうやばいかというと、たとえば日本から日本人が、香港の独立や一つの中国の原則に反するような抗議や活動をした場合、反乱分子としてこの法に触れるということになる。中国で逮捕状が出され、なにかの機会に中国に寄ったときに逮捕されるというような解釈が可能だ。無期懲役刑などをくらいたくなければ本件については一切口をつぐむ必要がある。ボクハチュウゴクのミカタだよ。

中国は下記の55ヶ国と犯罪人引渡し条約を結んでいる。

アフガニスタン、アルジェリア、アンゴラ、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、バルバドス、ベラルーシ、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、ブラジル、カンボジア、チリ、コンゴ共和国、キプロス、エクアドル、エチオピア、フランス、グレナダ、イタリア、インドネシア、イラン、カザフスタン、ケニア、キルギスタン、ラオス、リトアニア、レソト、モーリシャス、メキシコ、モンゴル、モロッコ、ナミビア、パナマ、パキスタン、ペルー、ポルトガル、フィリピン、ロシア、南アフリカ、韓国、ルーマニア、セネガル、スペイン、スリランカ、タジキスタン、タイ、チュニジア、トルコ、アラブ首長国連邦、ウクライナ、ウズベキスタン、ベトナム、ジンバブエ

香港についてあれこれ言ったせいで中国で逮捕状が出て、フランスだのスペイン、韓国に行った時に犯罪者として中国に引き渡しがなされる可能性があるということだ。結構この条文は各国で動揺をうんでおり、引き渡しを停止にする措置などが検討されているようだ。カナダなどは停止中だそうだが、これはファーウェイの件かもしれない。最新状況の整理が待たれる。

犯罪人引渡し条約、たしか日本が結んでいるのはわずか2ヶ国だったかな? 死刑と離婚時の子供の権利ハーグ条約あたりがネックになってた記憶。

維持ってどっからくるんじゃ

BBCやNHKはたまた在邦中国大使館なんかは、香港国家安全法のことを、国家安全維持法と「維持」をつけて呼称している。なんでだろう。BBCも英語だと「Hong Kong security law」なので、維持ってどっから来たんだ?
日本の治安維持法にからめた悪どいイメージ重ねたいのかなとか思ってたんだけど、どうも正式名称は、維護国家安全法というらしく維護が維持になったのかな?

どうでもいい香港談

まだ香港が中国に返還される前。ひとつ前のエントリーでも書いたけど、サマースクールはほとんどが香港から来ている子達だった。かなり裕福層だったハズで、たぶんそのまま英国人になったのかもしれない。
かなりやんちゃばかりする連中の中にひとり日本人だったので、困った記憶しかない。私が知ってる広東語はレイ・ハイ・ソッザイとファだ。どういう漢字を書くのかわからない。マンダリンだと華かな? どんな意味だろう。すっとぼけ。

香港の子か他のアジア人かを見分けるのに、ヒゲの産毛を見ればいいんだという意味のわからない発見をしたのを思い出す。男女問わずラーメンマンのヒゲの位置に産毛が生えてるんだけど、それ以降会ってきた中国の方たちには生えてるわけではないので、あの見分け方はなんだったんだろうと今更ながら思う。

そして、つい数日前に知ったのだけど、いとこが2年ぐらい香港にいっているよと聞いて愕然とした。よりによって一番激しい時期に。
理系の博士を持って某メーカー研究職だったはずなんだけども・・・。

日本も中国、米国にもどちらつかずでくねくねするのも、どこまでできるか。中国は大きくなりすぎてしまった。日本がかつてうけたABC包囲網のようだ。
世界ががらがらと音を立てて変わりつつある。

参考・引用

香港国家安全法全文和訳
xiang-dian.hatenablog.com/entry/nsl

英、香港市民の英市民権取得を確約 中英共同声明違反を非難
jp.reuters.com/article/hongkong-protests-britain-idJPKBN2426HY
香港では約300万人がBNO申請の資格を持っており、2月時点のBNO保有者数は34万9881人だった。

台湾、香港からの移住希望者に窓口設置 国家安全法施行受け
www.afpbb.com/articles/-/3291384

英、移住権拡大の方針発表 香港国家安全法の成立受け
www.afpbb.com/articles/-/3291433

「香港国家安全維持法」が施行 最高刑は無期懲役
www.bbc.com/japanese/53244732

Hong Kong security law: Life sentences for breaking China-imposed law
www.bbc.com/news/world-asia-china-53238004

香港住民に市民権、改めて表明 ジョンソン首相、英旅券保有者に 国家安全法
mainichi.jp/articles/20200702/k00/00m/030/035000c

香港国家安全維持法(全66条)、全訳しました 中国当局がなんでもできる体制ができた
news.yahoo.co.jp/articles/e3ecf09f2a859fe481e9c1c81709882c787a6cf5

香港 令状なしで捜索可能に 法律の運用決める委員会で決定
www3.nhk.or.jp/news/html/20200707/k10012500441000.html

香港 警察本部包囲“扇動”、周庭氏「起訴内容認める」
news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4021641.html

香港で治安法制への反対デモ、警察が催涙弾-元総督ら200人も抗議声明
香港のRTHKが伝えたところでは、23カ国の政治家や議員ら約200人が、国家安全法の導入計画を批判し、香港で抗議活動がエスカレートしかねないと警告する共同声明を出した。
www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-24/QATPLPDWRGG001

「香港国家安全法」を中国メディアは大絶賛! 国際社会の批判もどこ吹く風…
news.yahoo.co.jp/articles/8c1a4d36e03b899237b1c07a086d96738892bce0

香港国家安全法 外交でもテクノロジー戦争でも勝利を収める中国の習近平 西側はインド巻き込み結束を
news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200702-00186208/

香港地区国家安全維持法を53か国が支持
j.people.com.cn/n3/2020/0702/c94474-9706302.html

香港版「国安法」、50カ国以上が支持、日英など27カ国は中国に再検討求める―米華字メディア
news.so-net.ne.jp/article/detail/2003195/

The Axis of Shame, July 2020: The Countries That Supported China on Hong Kong
bitterwinter.org/the-axis-of-shame-july-2020-the-countries-that-supported-china-on-hong-kong/

The 53 countries supporting China’s crackdown on Hong Kong
www.axios.com/countries-supporting-china-hong-kong-law-0ec9bc6c-3aeb-4af0-8031-aa0f01a46a7c.html

Countries with which China maintains extradition treaties
中国と犯罪人引渡し条約を結んでいる55ヶ国
en.wikipedia.org/wiki/Extradition_law_in_China#Countries_with_which_China_maintains_extradition_treaties

「香港国家安全維持法」昨夜公布・即時施行 最高刑は無期懲役
www3.nhk.or.jp/news/html/20200701/k10012490501000.html

香港 逮捕者は約370人 国家安全維持法違反などの疑い
www3.nhk.or.jp/news/html/20200702/k10012492191000.html

周庭氏、運動継続を表明 「香港という家、全力で守る」
www.asahi.com/articles/ASN766HQ1N76UHMC004.html?ref=tw_asahi

香港 警察本部包囲“扇動”、周庭氏「起訴内容認める」
news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4021641.html

香港 令状なしで捜索可能に 法律の運用決める委員会で決定
www3.nhk.or.jp/news/html/20200707/k10012500441000.html

英国がファーウェイを5Gから排除へ。駐英中国大使は6日、露骨な脅しをかけてきた。
twitter.com/ReutersJapan/status/1280464076624232449

【一からわかる「香港国家安全維持法」】その5
twitter.com/ChnEmbassy_jp/status/1279758591327526914

「香港国家安全維持法」成立 あすの返還記念日に合わせ施行か 2020年6月30日 22時09分
www3.nhk.or.jp/news/html/20200630/k10012488881000.html

アメリカ原子力空母が南シナ海で軍事演習 中国を強くけん制か
www3.nhk.or.jp/news/html/20200704/k10012496541000.html

第38条は「「香港特別区の住民でない人でも、香港以外の場所で本法律の定めた犯罪を犯した場合、本法律の適用となる」
twitter.com/liyonyon/status/1278082013556162561

香港国家安全法全文和訳
xiang-dian.hatenablog.com/entry/nsl

中国はすでに39カ国と犯罪人引渡条約を締結 2014年11月27日11:30
39カ国と犯罪人引渡条約を締結 、 52カ国と刑事司法協力条約
j.people.com.cn/n/2014/1127/c94474-8814917.html

香港の民主派団体「デモシスト」解散を宣言。周庭さんや黄之鋒さんが離脱表明「また街頭で会いましょう」
www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5efae77ac5b6acab28464a20

日本、中国批判声明に参加拒否 香港安全法巡り、欧米は失望も
news.yahoo.co.jp/articles/e1dfcf36d1bbd64a8d7ba8a47eb7cd7b35292aa1

米議会上院「香港自治法案」を可決
news.yahoo.co.jp/articles/4e017888e2c9aa012c378040efc80a2f83db3ce0

米下院、香港国家安全法巡る中国制裁法案を可決
news.yahoo.co.jp/articles/f4ce351a5508212bfecd4ed2897dab86e3867a3d

英首相、香港人のため移民規則変更を検討 国家安全法に反発
www.bbc.com/japanese/52902590

英、香港住民受け入れへ大幅緩和 290万人対象
www.jiji.com/jc/article?k=2020070101392&g=int

香港市民を救え!開き始めた台湾の保護傘計画
news.yahoo.co.jp/articles/78e9703f299bf79c06f193c66c612c4635930179

【香港危機】台湾の蔡英文がアジアの民主主義を救う
www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-93861.php


世界の距離と中国


まだ世界が遠かった頃、ほんの数十年前。海外渡航というのはそれなりに高価なもので、ロンドンへいくのは4~60万円が必要だった。定期的に国際電話をすると10万円コースの請求がきて、FAXだって、国を超えては送れず中継が必要だった。船便も数ヶ月かかり、ヤオハンでは緑色に変色したポカリスエットでさえもありがたく売られていた。

それから格安航空ができて、ネットができて、日本の一人負けが始まった20年ぐらい前から世界は急激に近くなった。

いまでは、うちみたいなごく小さなお店にもたまに海外から注文が入る。
国と重量によっては下手をしたら国内への配送料より安く、日数もそれほどかからない。

ところが、今年の旧正月を挟んだあたりから国際流通がおかしくなった。
茶葉を注文してもらったロシアのお客さんから「ヤカンをのせて待ってるんだけどおろしたほうがいいか」と、届かないという問い合わせにごめんなさーにゃしなきゃいけなくなり、アメリカからの注文は今3ヶ月ぐらいかかってるみたいだけどいい?と、先方からOKをもらった端から、EMS新規受付は停止ですてへぺろとなり、そして世界はまた遠くなりつつある。

ちょいと昔の中国

中国には1度だけ行ったことがある。
今からすると20年も前の事だが、夏休みに北京から上海までの道のりを20日程ウロウロした。海外旅行はすでに身近なものになってはいたが、中国はビザを大使館に取りに行く必要があるレベルには難易度高めの国ではあった。

インド旅からも帰ってこれていたので、中国なんて余裕だろと侮った若気の至り。入国3日目には北京の天壇公園でゲロをぶちまけながらぶっ倒れるという醜態を晒すことになった。命の恩人がいるとするならば、このとき通りすがりで助けていただいた日本人留学生の方だろう。あのときの亀です、その節はありがとうございました。恩返しはまだできていない。

観光地の食堂で、一口食べて、「いやいやいや、これ食用油じゃないだろ自転車の油だ。」と思ったのに食べてしまったからか、屋台街で生のパクチーののった刀削麺を食べたせいかわからないけど、まあ、日本で生ぬるく育った胃腸は耐えられず病院送りになった。

緊急避難的に上等なホテルに逃げ込んで食べたお粥の美味しかったこと。北京ダックみたいなものを出す高級飯店は美味しかったが、庶民飯との格差たるやだ。南下するに従って、市中の食堂の味も質もよくなっていった。同じ国とは思えなかった。当時において、北京が日本に追いつくには最短でもあと10年はかかるかもしれないが、上海はもう東京を追い抜いているかもしれないと思ったものだ。

道と水道

街のことは下水や道路が教えてくれる。
千年以上前の遺構の水道や道路は当時の繁栄を伺い知らせてくれる。

キレイなビルを建てたところで、上下水が整ってなければそこはスラムだ。
ビルを建てたあとから地面をかえして下水を整備することはできない。壁紙で見えないように繕っても基礎がおかしければ、遠からず結果として知ることになるだろう。買った瞬間に評価が半値になるのならば、そもそもの何かがおかしいのだ。

成長には根が必要で、都市には計画と段取りが必要だ。道路や、下水など流れるものの始末のつけかたを見ればその都市の未来が見える。政治とは本来は治水のことだ。

東京は前のオリンピックのときに、土地がないから川の上に高速道路を敷設し、下水は川にながしこみ、それにフタをして暗渠にして見えないようにするだけという取り繕っただけの最悪の場当たり対応が行われた。
現在もその負債、下水雨水合流を解消できず雨が降るとトイレットペーパーが浮く未処理の下水を東京湾に垂れ流しているのだが、そこでトライアスロン競技をやろうとしている。

その点、当時の北京は青山通りや桜田通りが片側におさまってしまうほどの道幅を確保していた。まだ車がそんなに走っていないのにである。鉄道もそんな本数はなかったが、駅舎は他の国では見たこともないほど広いものだった。

もしかしたら滑走路に転用するなど、軍事的な理由によるものなのかもしれないが、そのバカみたいに車線の多かった道路も、今ではその渋滞をおこしているそうだ。

疫病と公衆衛生

公衆衛生を見るとき、くその始末は重要な指標だ。
国や地域によっては、町中でうんこが落ちていたり、うんこをしている人を見かけたりすることがある。犬のじゃなくて人間のだ。都内でもたまに山の手線の中とかで落とし物は見かけるけど、あれは事故だとして、事故じゃなく、それが日常として鎮座ましますことがある。

ヤク中でっていうパターンもあるのだけど、普通に設備としてトイレがなかったり、教育がないためにそうして済ませることが当たり前になってしまっているのだ。日本でも立ち小便おじさんは昔しはそこらにいた。

人目を憚らずトイレを済ませるのが常識として大人になるまで育った人に、うんこはトイレでしなさいと、教え込むことはできるだろうか?もちろんできる。だが、多分、難しい。酔っ払いがそうしてしまうように、なにかの拍子にそれは選択肢たりうるのだ。そうしないために理性による制御が必要となる。なので、そうじゃないのが当たり前になるには、そうしてこなかった次の世代の台頭を待つよりない。なのでこのフラグが立ったときは最短でも30年はかかるなと思ってしまうのだ。

中国には腰高までしか壁がない、または壁そのものがないニーハオトイレ(うんこしながら挨拶できる)というものがあった。20年前にはあるところにはあったが既にそれほど使われてはいなかった。人民服の頃に行った人の話しを聞く限りでは、普通につかわれてたよと聞いた。まあ、そもそも横スリットのチャイナ服とか、子どもが着てる股間の部分をまるっとない服とか、おむつ? なにそれっていう合理さよね。

もっと扱いの厄介なもに遺骸がある。
道端に轢かれた動物の遺骸が落ちていることは日本でも田舎にいけばなくはない。だが、人間のとなるとどうだろう。インドとかだと埋葬方法としてガンジス川に流すので、プカプカと浮いて流れているわけだけど、中国も当時は交通事故があちこちでおきていて、人々は車のぶつかったのを珍しげに野次馬しているのに、そこからちょっと離れたところで人が横たわってるのは、放置されていて、なんだこの光景はと思ったものだ。
そういえばブラジルに赴任してたやつが、家の前の大きい通り沿いでは週に2回ぐらいは血だらけの人がいると言っていたのを思い出す。互いの健康に気を配れるようになるには、もっと違うレイヤーでやらなければいけないことがある場合がある。ところかわれば常識も変わるのだが、同じ文化圏しかしらないと気がつけないことがあるものだ。

・・・ほんとは、中国の経済状況とか、アメリカと中国の関係を書こうとしたのだけど寄り道したまま終わってしまった。なんの話しだったんだろう。うんこしか書いてないきがする。