株価の史上最高値は我々はよろこぶべきなのか?


株価がバブル期を超えて過去最高値を更新したらしい。
それについていろいろな声があるが、「株価がこの5年で倍になったんじゃなくて、日本円の価値がこの5年で半分になったんだからな?」っていう声があまりないSNS上にないので、ちょっとだけ。

日経平均はこの5年でほぼ倍になった。


でも、紅茶とかハーブティーの仕入れ値も倍になっている。
紅茶は先物市場に上場していないので、コーヒーを使うけどコーヒーの先物価格もこの5年で倍。

価格が倍というのは、今まで出してたおぜぜで半分の量しか買い付けることができないってことを意味する。物価の上昇と言ったりするが、貨幣価値の下落とも言いかえることができる。

コーヒー・ティーベルトの国々で政情不安やら天候不順、はたまた世界的感染症や経済破綻、戦争で空路が死んで、はたまたパナマやスエズの通行難化で海運まで19世紀みたいになっちゃったみたいな要因はあるが、調達は悪化する一方。

企業の株券はひらたく言えば企業の所有権やその活動の利潤(配当とか)を債権化したものなので、企業の財政状況やマーケットシェア率、売上や純利益などから企業価値が計算されて、その変動のリスクと得られうるプロフィット(利益)を勘案して、安いよ高いよで値指しがおこなわれる。

先物(コモディティ)があがるのは、需要と供給で決まり、今回は供給サイドが絞られたためと理解することもできる。では、企業株価があがるのは?

一般には企業の財務諸表上のストックが増えたか、はたまたこれから手にするフローが増える見込みがあるかによる。ストックもフローも恒常的で変わりばえしないのに評価があがるというときは、冷静さを失った加熱心理か、素人肥やしの大量参入、あるいは、前述したように貨幣価値の低下によるものだ。

この15年ぐらい、世界の貨幣デュープチートが酷い。金本位制から解き放たれた通貨はただひたすらに増えていっている。その裏ざさえとして政策金利や国債の利率の信用。

今日現在の米国債10年で4.34%の利回り。

するってぇとその国で活動する企業は国債の利回りよりも税引き後利益率が高くないと、営利活動をする意味がなくなる。だって、国よりも破綻リスクの高い私企業が人を雇って一所懸命に働いて、資金運用のリスクまで取た結果、国債のほうがよかったですって、じゃぁ、労働資本に投下する意味も、設備資本に投下する意味もないよね?

日本の場合は、政策金利も低ければ、国債の利回りも低い(10年もので0.715%)
上場企業の利益率平均も低ければ、住宅金利の利率も低い。

だから、世界の国々が利率とあげまくったときに日本だけ乗らなかったし乗れなかった。

これだけ利率が低い日本で住宅金利を変動金利で借りていたり、元本が減らない元利均等返済やらノンリコースローンやらで調達してたりするので、金利変動が発生すると、借金のうち利払いしかされてなくて元本は一ミリも減っておらず、住宅は借金のかたでとられるわ、なのに借金は残るわで大惨事になる。お得ですよ~とか言って誰が得なんだかって話しよね。

ま、そんなわけで団塊世代の大量離職で出回った退職金(ストック)の価値が半分になったっていうニュースでした。これからフローで稼ぐ若い人には悪くはないかな?どだろ。

先程の国債金利と私企業の利益率の話し、私企業のほうがリスクとるんだからより高い利益率が求められるよって話しなんだけど、歴史上は例外もあって、国が商売(戦争)をするときは、その限りではない。国のがリスクとるからね・・・

まあ、どちらのサインであっても・・・って感じ。

先物は現物取引まで半年あるし、株式市場も株主名簿確定までラグがあるので実態経済と比較して半年~1年程度先行する指標なんで、先行指標に変化があった、なにかこの先道がどっちかに曲がるらしいぐらいは覚えておいてね。

引用

www.nikkei.com/markets/worldidx/chart/nk225/?type=5year

www.bloomberg.co.jp/markets/rates-bonds/government-bonds/us

fund.smtb.jp/smtbhp/qsearch.exe?F=market3


COVID-19コロナウイルスと経済毒


ウイルスを殺すことはできない。
なぜなら、ウイルスは生きていないからだ。
ウイルスは生物ではない。

世間をみていると知識人とおぼしき人でも菌とウイルスの区別がついているのかいないのか、ウイルスを除菌などといってるのを聞く。ウイルス対策ソフトのことをウイルスソフトと呼称する人がITの専門家と名乗る程度に不安になる。菌とウイルスはまったくもって別物だ。

私は感染症専門医ではなくただの街の紅茶屋さんでしかないが、学部生だったときバイオハザードが設置されている研究室にいたこともあるので、なんとなくだが、この世間に賑わいというか、誤解というか狂騒の前提とされている知識に偏った部分を見咎めてしまう。

正しく畏れるなんていうが、ウイルスと菌の区別がついているひとのほうが少ないであろう現時点で政治家がとんちんかんな対応をするのもやむないことなんじゃないだろうか。

ウイルスって?

生きているという定義には当てはまらない。
生物と非生物定義の間におちたような、あえて言うなら半生物である。
ウイルスは生物の細胞増殖に相乗りする形で増える。
生きていないので殺すことはできない。
だが分子なので壊したり、不活化させることはできる。

中国語ではウイルスのことを生物毒と書くようだが、まさに毒のようなものだ。
お薬が生き物ではないように、生き物がそれを取り込むことで作用する。

バイキンと混同される。どちらも目に見えないほどものすごく小さいという点では同じだが、大きさのスケールはまったくもって違う。

アニサキスのような寄生虫を数ミリとするなら、カビ(真菌類青カビ)は0.1ミリ、菌(大腸菌)は0.002ミリとまさに目には見えない小ささだ。だが、ウイルス(ノロウイルス)の大きさはさらに小さく0.00003ミリしかない。コロナウイルスは0.0001ミリメートル。ちなみに、スギ花粉は直径28~45マイクロメートルだそうなので0.03ミリはある。

ウイルスがどれくらい小さいかというと、よく喩えられるのだがウイルスは素焼きの植木鉢をどこにもひっかからずに通り抜けるぐらい小さい。水がしみ出る程度の隙間があれば余裕のよっちゃんでおいっす!って顔パスするのだ。マスクは効果ないとか言うのは、ある側面からは当然でN95マスクのような業務医療用マスクのように息苦しさがあるものでも95%程度の補足効果しかない。息ができないと死んてしまうので、そのギリギリのところで確率的にあるていどはひっかかるってぐらいのことを期待するしかない。

菌類や真菌類が出す毒素は人間にとって害をもたらすものだけれども、取り込む時点で数百万単位で増えた状態で体にとりこまないと毒にはならないので、多少腐ったり、カビがすこし生えてる程度なら人体には問題がないことのほうが多い。人間は自身の細胞よりも、大腸内にいる大腸菌の数のほうが多いので、それらをちょっと取り込んだとしても腸内細菌や、人間の免疫システムが頑張ってくれる。

だが、例えばノロウイルスのようなものは最初にわずか数コもあれば発症に充分であったりする。なぜなら、宿主の細胞増殖に伴っていっしょに倍々ゲームで増えるからだ。

ちょっと脱線するが、菌類でも発病に少ない菌数しか必要としない強毒なものもある。病原性大腸菌などは取り込んだ時点がわずか数百程度で発病に充分であると言われてる。つまようじの先ほどに菌をつければ数時間後には数百万に増える。インドのガンジス川に足をつけただけでアウトというのは本当だ。自分は病原性大腸菌O-1で身を持って学習した。うん。脱線。

菌は生き物なのでその菌が体内で増えないようにすれば、大丈夫だ。
万が一体内で毒素を吐き出すような原因菌が増えてしまっても、下痢や嘔吐で吐き出すことで快復する。

だが、ウイルスは生き物ではない。
どうやって増えるかというと、その宿主の細胞といっしょに増えるのだ。
つまり、体内に取り込まれたウイルスが増えないようにするには、その感染してしまった細胞を免疫系が破壊してくれるのをまつか、あー、なんだ、その宿主の細胞そのものが増えないようにするしかない。つまり宿主の死だ。

鳥インフルエンザや豚コレラ(最近は豚熱と呼ぶようになったそうだ。)や口蹄疫などはウイルス性の疾患である。だから、一帯まるごと感染しうる動物ごと殺処分してしまうのだ。ウイルスに感染した動物が、今度はウイルス増殖まきちらし装置になり、ゾンビウイルスよろしく、感染を広げるからだ。

ワクチン

ワクチンは発明である。
それまでの対策は、死病が出たら村ごと焼くというものであった。

もしコロナウイルスで騒いでおきながら、麻しんや風疹の混合ワクチンや、子宮頸がんなどのワクチンを打っていないひとがいたらまず行け。

インフルエンザワクチンを打っても効かない、あんなのは意味がないという人がいる。またワクチンが後遺症をおこしうるものなので危ないという人もいる。

だが、前述でウイルスの特性を説明したとおり、ウイルスが体内で増えてしまうと、あとは免疫系ががんばってウイルス細胞を破壊しつくせというぐらいしか方法がないのである。しかも、感染してウイルス増幅装置と化した個体は、他の個体にウイルスを伝播させるための中継装置となる。人間の場合は感染個体をゾンビのように殺処分するわけにはいかないので、できることは快復を望み隔離するぐらいしかない。

そもそも、ワクチンの有用性は、ウイルスを拾っても免疫系が効率よく仕事をしてくれるようになるので、重篤化しないという点で有用なのだ。免疫が仕事をすれば、他人にも感染させずに済む。
逆の言い方をすると、ウイルスの感染脅威を知りながら無策であることは、合併症、後遺症どんとこい!人にも染してやるぜ宣言だ。受験生が居る家庭のインフルエンザ持ちのようなものだ。

だが、世の中にはそもそもワクチンがないものも多くある。
今回の新型コロナウイルスCOVID-19だけでなく、中国を中心に猛威を奮っているまだなんの類似属だかもわかってねぇアフリカ豚コレラなどだ。

こういう誰も免疫をもっていないウイルスに感染すると非常に致死率が高い。エボラ出血熱や、たとえばまだ出現はしていないがヒトヒト感染型の鳥インフルエンザなどが発生した場合は、もしかしたらいくつかの文明が終焉をむかえることになるだろう。

新型コロナウイルスはヒトヒト感染をして、感染力が非常に高いものであるが、死亡率は1~2%程度である。MERSやSARSと比べると致死率が格段に低く、無症状の人もおおいため感染者数は増えたが、まあやがて抗体を獲得する人間があらわれてワクチンとかもつくられるかもしれない。

ウイルス兵器説

あほらしい陰謀論だ。
学生時代、医学部の子が「現代医学を学んでても風邪の原因が何かもわからないんだ」と言っていたのを思い出す。
咳が出る風邪のうち何%かはコロナウイルスかもしれんが、そもそも我々はそれがなんだかはわかっていないのだ。死亡している人は多くいるが、現代の医学水準では肺炎と記される程度である。

武漢にBSL5の研究施設があり、そこから秘密裏に開発していたウイルスが漏れたんじゃないかなどの話しがあったが、そもそも、高いBSLの研究施設がなければその原因ウイルスを単離することも同定することもできやしない。なんだかわからないけど達の悪い咳や肺炎が今年は流行ってるねで終わっていた可能性は高い。

日本でも数年前から変な咳をする人が多く、また去年の暮れぐらいにもまだ20代なのに肺炎で入院したとかいう話しも聞いた。だが日本には高BSLの施設は数カ所しか無く、たとえそのような肺炎が流行っていたとしても、それらの未知の病理ウイルスを特定できる可能性はとても低い。お金も人もわりふってないんだからできるわけがねぇ。

そもそもヒトヒト感染が始まり感染母体が数万を超すならば自然界(人間界)で合成される変異率のほうが高いのではないか。ウイルスをデザインして合成してばら撒いても、市中に広がればデザイン通りに広がりはしない。

要人やその周辺を暗殺する致死率の高いウイルスであればまだわからなくもないが、今回のように市井までパンデミックするウイルスだと制御はできまい。

ウイルスは感染を繰り返し変異の過程で宿主と共生できるように弱毒化、無害化する。
そもそもウイルスをコントロールできるなら、ワクチンも抗ウイルス薬も作られてる毎年インフルエンザでこんなに感染者でてない。

まあ、可能性として、中国で急速に進む高齢化をなんとかするぜぐらいの選民テロであれば、抗体獲得できない老人から殺していく恐ろしいウイルス兵器という可能性は排除できなくもなくはないけど、まあ、なんだ杞憂。

マスク

言われてる通りじゃないの。手を顔に触れないようにするぐらいの効果はあるし、口腔域の湿度高くするとかぐらいの効果はあるよ。電車にのるならどうせなら手袋でもしたら?

不潔ルート、清潔ルート

最近コロナウイルス関連のニュースを聞くと、さもありなん。というか、むべかるかなを連呼する病になてしまった。なるべくしてなってるとしかいいようもない。

不潔ルート、清潔ルートが紐でわけられてるだけじゃねぇかって盛大なつっこみがあったが、私が気になったのはその床の絨毯だ。

病院や学校の床がリノリウムなのにはそれなりに意味がある。
ウイルス吐き出し装置と化した人間が吐き出すウイルスは床とかに貯まるわけだけど、そこが絨毯だと長く溜まったうえに、歩くたびに静電気とかで巻き上がるわけですよ。

通常のコロナウイルスはアルコールや熱とかで不活化できるみたいだけど、自然界の場合は8日程度は感染力を持っているらしいので、不潔ルートを通るたびにそこにウイルスが溜まり続けて巻き上がる。

絨毯に香料でも撒いて、匂いがその一帯からいつしなくなるか考えればいい。その匂いが広がる範囲が匂いの分子が巻き上がってる範囲だ。匂いが消えるまでがその分子が壊れていない時間だ。

せめてひっこし業者のように養生するだけで、結果はだいぶかわるのにと思う。

絨毯とかはアルコールとか酸やアルカリで清拭できないから不活化されないウイルスがいつまでも貯まる。 ウイルスは生き物じゃないから、紫外線とか酸やらなんやらで壊すか壊れるのを待つかしないとだめだけど、まあ絨毯ひいてるうちは無理だよね。むべかるかな。

経済

実は、新型コロナウイルスはそのうち風物詩になるでしょぐらいで心配してないんだけど、経済がやばい。関節被害のほうがよほど死人が出る。

台風被害、消費税増税でリーマンショック級の気配がでてるところ(何でも戦後3~4番目に悪い数字だそうだよ)ここに、新型コロナウイルスが来たので、多分数字としてはリーマン級になる。
これは日本で上場企業が30社潰れる程度。

2002年の3、4ヶ月で封じ込めに成功したSARSの経済被害が3兆4,000億円の経済被害だそうなので、中国は当時のGDPから7.8倍になってるので、26兆5200億ぐらいの被害にはなるのかなと。

それで、忘れられてるけど、普通の豚コレラじゃなくて、まだなんだかよくわかっていないアフリカ豚コレラが中国でアウトブレイクしてるんじゃないかという話しがあって、この検疫をミスると日本の養豚産業も終わる。

東京オリンピックでそもそも経済被害が予想されてたところに、これがおっかぶさったので、結構、深刻。

参考

www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html

『続・人類と感染症の歴史』の第9章「SARSとMERS」を公開します。
www.maruzen-publishing.co.jp/smp/info/?action=detail&news_no=19784


軽減税率は1300人が死亡する災害に匹敵する


軽減税率はなにもかもが壮大な無駄というだけでなく害悪しかない。人をも殺しうる災害だ。経済は月単位で凍りつき、花は枯れ鳥は空を捨てるだろう。

自分で掘った穴を自分埋めるただの無為な強制労働なら、土を耕したり、まだ筋肉トレーニングぐらいの効用があるかもしれない。だが、軽減税率は本当に本当に害悪でしかない。日本人を裸でシベリアに無為に抑留するようなものだ。しかも、消費税や軽減税率などの対応を迫られるのは経理や価格を決定できるマネージャークラスの人間だ。お金で外注できる労働力で済まない。才能と時間、ほどよく育った人間までをすりつぶす亡国の賊法である。海外ではやられてるじゃないかと言う人がいるかもしれない。違う。既にそれとは違う商習慣で運用がされている国に一律悉皆にデプロイしようってのが、糞い。サマータイムでも同じような話しがあった。血液型A型にB型を輸血するようなことをなぜ平然とやるのか。

趣味でやってるんでしょと言われても否定できない規模の零細な紅茶屋をやっている。うん、まあ趣味。 商売をやられている先輩方から、消費税が3-5%にあがったときはまじきつかったとそこここで聞いてはいた。1997年はバブル崩壊からの金融危機や貸しはがしがあいまって発生した不況があったから、その絡みだと思っていた。だが、前回の5から8%に消費税の税率があがったときに、体感した。あ、こりゃ納得と舌をまいた。

どんな小さな零細企業でも小売なら取扱商品は数百点はあるし仕入先は数十社に及ぶ。 飲食店とかで見た目、数十しかメニューがないようなお店でさえ、季節でメニューは変わるし、それを構成する食材などは多岐に及ぶ。コンビニなら表に並べているだけで数千点が常時おいてある。

消費税が5から8%に変わったとき、めんどくさいなぁと思いながらも棚卸しをして、値段変更をおこなった。売価を5から8%にすればいいんでしょと思ったものだ。
うちの場合はネットショップなどもあるので、楽天やamazon、ヤフー、当時は独自ドメインのショップなどもあって、カタログリスト、店舗のレジスターの変更などを考えれば、千点は優に超すぐらいの値段変更をおこなわなければならない。期末決算の棚卸し残高を求めるよりも3倍ぐらいしんどい作業ながらもおこなった。

だが、しばらくすると仕入先からも価格変更の案内が届くようになる。結構な変動幅だ。ひとつには、ヤマト運輸などの配送会社が消費税率変更に伴い大幅な値上げが敢行されたことなどがある。流通価格があがれば当然原価計算費用などにも影響してくる。そのほかには、その前の時期に発生していた急激な円安や、原材料高に由来する価格調整がとうとう耐えられなくなってきてどばっと降ってきたのだ。

長年の取引があると利益的にはほとんど出ていないけど、長いお付き合いだしということで昔ながらの価格で取り扱うことがある。でも、それも、売ったら赤字にならない範囲でだ。だけど、いろいろ価格がうごいたことで、利益率などを計算しなおしたところ、販売価格や卸が価格を変えだしたわけだ。そうすると、玉突きでポンポンと値段が変わる。中間財の仕入れ値が変わるのだから、最終財も変わるわけだ。それを仕入れて加工し販売するところはさらに値段がかわる。販売側も、そうしょっちゅうは価格変更がおこなえないので、しばらくは泣いていても、こらえきれずに価格変更をおこなう。そして、また異なった時期に玉突きで価格変更が発生するのだ。

食品などのマーケットは価格硬直性が高い業界と言われ、販売価格を変更するぐらいなら内容量を変えるという業界である。いつの間にか箱がスカスカのクッキーや空気しか入ってないんじゃないのというポテトチップスが登場するわけだ。内容量が変わっても配送料や、包装代などは発生するので、またここでも玉突きの価格変動が発生する。

結果、5%から8%に変わっただけの消費税の影響で、有に1年以上も販売価格が安定しなかったのだ。実はこの影響はいまだ続いているようにも感じる。

というのも、在庫の評価方法は先入先出法や後入先出し総平均法、移動平均法など少なくとも7種類もあり会社によって、届け出ている税務上の原価計算方法が異なるのだ。
だからどのタイミングでどのように仕入れ価格に反映されてくるかは、一律に決定されない。ひとつの商品がひとつの仕入先からだけできているわけでなはいので、同じ商品について何度も何度も価格改定の通知が来ることになる。それを涙をのんで自社で被るか、どのタイミングで売価に反映するかの判断を迫られることになった。毎月価格変更などはやっていられないし、契約の関係で1年はこの値段で納入を契約とかいろいろあるのだ。

それ以外の問題もある。

企業側からしてみれば在庫回転率、仕入れから販売までは時間がかかる。販売が成立しても売掛(クレジットカード払いなどのように実際に入金されるのは1月先とか)になる、それに対して仕入れはそれより前に発生しているので支払いと入金サイトには数ヶ月のラグがあるわけだ。世にいう黒字倒産、キャッシュフローの問題だ。

日本で上場している企業でさえ、純利益で考えれば売上に対しては5%もない。ちょいと調べてみると小売業ではわずか1.19%だそうだ。

これは100万円分を仕入れて、120万で売りましたとした場合、粗利の20万から人件費や家賃などを払ったら1万2千円が残せましたというのに等しい。

このような状況下で、仕入れから売上までの間に消費税増税分の3%だけ、利益とは関係ないところで資金需要が必要となる。いままで100万円分買えてた同じ量を仕入れようとした場合103万円の現金を用意しなければいけないことを意味する。

じゃあ余分の3万円を出せばいいじゃないと言う人も居ると思うが、それはパンがなければケーキを食べればいいじゃない論に等しい。3万まだ可能性ありだけど30万なら?300万なら?3000万なら??

そこまで資金余裕がない会社は、仕入量をへらすか、運転資金の借り入れを行う必要がある。だが、借り入れには金利が発生するので、借入先の銀行の金利ぶんまで余分に稼がないとならなくなるわけだ。行政というのはどうもお金の時間による効用を無視する傾向があり、現在価値、将来価値が無視された計画がなされることがあるが、まさにその典型だ。純利益が1%しか残らないほど過剰最適され乾いた雑巾状態の業界で、銀行金利分の数%を吐き出す資金余剰はないのである。チューニングがいきすぎたピーキーな経済はここでも悲鳴をあげ、また玉突き事故がおこるのだ。

軽減税率はさらにわろし

10月に導入するということだが、軽減税率についてわかっているひとがまわりの商店を見回しても一人もいない。国税などに聞いても会社の判断でお願いしますということになっている。

軽減税率の対象となる品目 – 国税庁の図解を貼っておく。

「Keep it simple, stupid.」(シンプルにしておけ!この間抜け)

いや、そもそも店舗にあるレジスターは項目ごとに税率を打ち出すことなんてできないのだ。どうするの?
うちの商店街のお店の人たちを見回しても、ごく最近にでもできたお店でなければ、もうレジスターを数十年使ってますけどなにか? みたいなお店も多い。レジを購入することについて助成金が出ているらしく怪しげな営業がうろうろ回っている。見せてもらったら現金を引き出すドロアーとタブレット型で3~50万ぐらい。多分助成金申請の関係で強気の値段設定なのだろう。お店に買わせて国に払わせるみたいな世界だ。だけどな、70歳過ぎた店主が新しいレジ買って新しい設定なんかできるわけがないんだよ。

そういえば昔、プログラムを書くお仕事が専業だったころレジスター周りのシステムを作ったことがある。日本だと大きいレジメーカーは数社しかないので、あれなんだけど、まあああいうのは、数店舗抱えるチェーン店はレジと独自システムを連携させて、日別の売上とかを集計したり分析したりするんだよね。何社かつくったけど、税率変わるぐらいは想定はしてたけど、そんな細目ごとに税率変更できる設計とか実装とかした覚えなんかないんだわ、ごめんなー。

対企業取引(BtoB)でも弊害が出てくる。
電話とかメールとかFAXとかで「いつものお願いしますー」と言われて、「はいよー」って言って、前回の請求書とか領収書とか伝票と同じものを日付変えて出力、商品に同梱みたいな業務なわけですよ。
でもね、茶葉は8%で茶器は10%、発送料は10%でなんて細目ごとに異なると全部の取引先に対して帳票のレイアウトから作り直しなわけですよ。

普通、小計があって、その下に消費税の項目があって、税率かけて終わりでしょ? これが作り直しになるわけですよ。ぶっちゃけ、もう一度会社をゼロから作り直せっていう規模の事務作業量なわけですよ。しかもどこまでが8%なんかもわけわからん。え、この茶缶入の茶葉は8%? でも茶缶だけで仕入れたときは10%? はい、送料無料で送料を含んじゃってる茶葉とかは税率どうしたらいいの? え、会社判断で? え、インボイス??? え、paypayとかは還元いれる??? ほえ? え!? え!!?? え?????

結論。軽減税率の導入は無理。わかるひとが一人もいねぇ。
うちの場合、商品点数半分ぐらいに絞っても、対応厳しいことになると思う。やるなら落ち着くまでしばらくお店とか閉めて寝てたほうがいいレベル。だから今は消費税が導入されない方に全掛けしている。

消費税の税収

しかもな、消費税をあげれば税収があがるならまだしも、下がるなら意味がなくない。 あがったの?

額面税収から見れば
10.8兆から17兆円代。たしかに額面は増えてるよね。

法人税率下げたとはいえ割合変わってないじゃんか・・・。
財務省絶対みとめようとしてないけど消費税率のアップで経済そのものが沈んでるし・・・。

なぜ災害に匹敵するか

平成28年度の飲食料品の事業所数は299,120件。
1事業所あたり1人が消費税対応のために半月対応したとすると、15万人月=12,500人年
日本人の平均寿命は83.98歳らしいので84歳でこれを割ると、148.8人の人生が無駄に消えていくことになる。これは少なく見積もってもだ。

生産労働年齢の定義に従って15歳から65歳の50年の月20日、一日8時間で1920年時間。計算すれば、人生で96,000時間しかないので、15万人月=150,000*160時間の労働を消化するためには250人分の社会人人生が必要となる。

小売業全体では990,246もある。卸業は364,814件。
78万人月が、なんの生産性もない付加価値もうまない税を徴収するためだけの代理をするためだけに1300人の社会人人生が無駄になる。
本当に導入されたら、どんなに温厚な俺でも呪詛を吐き続けるマンになるよ。

資料とか

14- 2 卸売業・小売業の産業別事業所数,従業者数と年間商品販売額(エクセル:29KB)
www.stat.go.jp/data/nihon/14.html

軽減税率の対象となる品目 – 国税庁
www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/01.pdf