ウイルスを殺すことはできない。
なぜなら、ウイルスは生きていないからだ。
ウイルスは生物ではない。
世間をみていると知識人とおぼしき人でも菌とウイルスの区別がついているのかいないのか、ウイルスを除菌などといってるのを聞く。ウイルス対策ソフトのことをウイルスソフトと呼称する人がITの専門家と名乗る程度に不安になる。菌とウイルスはまったくもって別物だ。
私は感染症専門医ではなくただの街の紅茶屋さんでしかないが、学部生だったときバイオハザードが設置されている研究室にいたこともあるので、なんとなくだが、この世間に賑わいというか、誤解というか狂騒の前提とされている知識に偏った部分を見咎めてしまう。
正しく畏れるなんていうが、ウイルスと菌の区別がついているひとのほうが少ないであろう現時点で政治家がとんちんかんな対応をするのもやむないことなんじゃないだろうか。
ウイルスって?
生きているという定義には当てはまらない。
生物と非生物定義の間におちたような、あえて言うなら半生物である。
ウイルスは生物の細胞増殖に相乗りする形で増える。
生きていないので殺すことはできない。
だが分子なので壊したり、不活化させることはできる。
中国語ではウイルスのことを生物毒と書くようだが、まさに毒のようなものだ。
お薬が生き物ではないように、生き物がそれを取り込むことで作用する。
バイキンと混同される。どちらも目に見えないほどものすごく小さいという点では同じだが、大きさのスケールはまったくもって違う。
アニサキスのような寄生虫を数ミリとするなら、カビ(真菌類青カビ)は0.1ミリ、菌(大腸菌)は0.002ミリとまさに目には見えない小ささだ。だが、ウイルス(ノロウイルス)の大きさはさらに小さく0.00003ミリしかない。コロナウイルスは0.0001ミリメートル。ちなみに、スギ花粉は直径28~45マイクロメートルだそうなので0.03ミリはある。
ウイルスがどれくらい小さいかというと、よく喩えられるのだがウイルスは素焼きの植木鉢をどこにもひっかからずに通り抜けるぐらい小さい。水がしみ出る程度の隙間があれば余裕のよっちゃんでおいっす!って顔パスするのだ。マスクは効果ないとか言うのは、ある側面からは当然でN95マスクのような業務医療用マスクのように息苦しさがあるものでも95%程度の補足効果しかない。息ができないと死んてしまうので、そのギリギリのところで確率的にあるていどはひっかかるってぐらいのことを期待するしかない。
菌類や真菌類が出す毒素は人間にとって害をもたらすものだけれども、取り込む時点で数百万単位で増えた状態で体にとりこまないと毒にはならないので、多少腐ったり、カビがすこし生えてる程度なら人体には問題がないことのほうが多い。人間は自身の細胞よりも、大腸内にいる大腸菌の数のほうが多いので、それらをちょっと取り込んだとしても腸内細菌や、人間の免疫システムが頑張ってくれる。
だが、例えばノロウイルスのようなものは最初にわずか数コもあれば発症に充分であったりする。なぜなら、宿主の細胞増殖に伴っていっしょに倍々ゲームで増えるからだ。
ちょっと脱線するが、菌類でも発病に少ない菌数しか必要としない強毒なものもある。病原性大腸菌などは取り込んだ時点がわずか数百程度で発病に充分であると言われてる。つまようじの先ほどに菌をつければ数時間後には数百万に増える。インドのガンジス川に足をつけただけでアウトというのは本当だ。自分は病原性大腸菌O-1で身を持って学習した。うん。脱線。
菌は生き物なのでその菌が体内で増えないようにすれば、大丈夫だ。
万が一体内で毒素を吐き出すような原因菌が増えてしまっても、下痢や嘔吐で吐き出すことで快復する。
だが、ウイルスは生き物ではない。
どうやって増えるかというと、その宿主の細胞といっしょに増えるのだ。
つまり、体内に取り込まれたウイルスが増えないようにするには、その感染してしまった細胞を免疫系が破壊してくれるのをまつか、あー、なんだ、その宿主の細胞そのものが増えないようにするしかない。つまり宿主の死だ。
鳥インフルエンザや豚コレラ(最近は豚熱と呼ぶようになったそうだ。)や口蹄疫などはウイルス性の疾患である。だから、一帯まるごと感染しうる動物ごと殺処分してしまうのだ。ウイルスに感染した動物が、今度はウイルス増殖まきちらし装置になり、ゾンビウイルスよろしく、感染を広げるからだ。
ワクチン
ワクチンは発明である。
それまでの対策は、死病が出たら村ごと焼くというものであった。
もしコロナウイルスで騒いでおきながら、麻しんや風疹の混合ワクチンや、子宮頸がんなどのワクチンを打っていないひとがいたらまず行け。
インフルエンザワクチンを打っても効かない、あんなのは意味がないという人がいる。またワクチンが後遺症をおこしうるものなので危ないという人もいる。
だが、前述でウイルスの特性を説明したとおり、ウイルスが体内で増えてしまうと、あとは免疫系ががんばってウイルス細胞を破壊しつくせというぐらいしか方法がないのである。しかも、感染してウイルス増幅装置と化した個体は、他の個体にウイルスを伝播させるための中継装置となる。人間の場合は感染個体をゾンビのように殺処分するわけにはいかないので、できることは快復を望み隔離するぐらいしかない。
そもそも、ワクチンの有用性は、ウイルスを拾っても免疫系が効率よく仕事をしてくれるようになるので、重篤化しないという点で有用なのだ。免疫が仕事をすれば、他人にも感染させずに済む。
逆の言い方をすると、ウイルスの感染脅威を知りながら無策であることは、合併症、後遺症どんとこい!人にも染してやるぜ宣言だ。受験生が居る家庭のインフルエンザ持ちのようなものだ。
だが、世の中にはそもそもワクチンがないものも多くある。
今回の新型コロナウイルスCOVID-19だけでなく、中国を中心に猛威を奮っているまだなんの類似属だかもわかってねぇアフリカ豚コレラなどだ。
こういう誰も免疫をもっていないウイルスに感染すると非常に致死率が高い。エボラ出血熱や、たとえばまだ出現はしていないがヒトヒト感染型の鳥インフルエンザなどが発生した場合は、もしかしたらいくつかの文明が終焉をむかえることになるだろう。
新型コロナウイルスはヒトヒト感染をして、感染力が非常に高いものであるが、死亡率は1~2%程度である。MERSやSARSと比べると致死率が格段に低く、無症状の人もおおいため感染者数は増えたが、まあやがて抗体を獲得する人間があらわれてワクチンとかもつくられるかもしれない。
ウイルス兵器説
あほらしい陰謀論だ。
学生時代、医学部の子が「現代医学を学んでても風邪の原因が何かもわからないんだ」と言っていたのを思い出す。
咳が出る風邪のうち何%かはコロナウイルスかもしれんが、そもそも我々はそれがなんだかはわかっていないのだ。死亡している人は多くいるが、現代の医学水準では肺炎と記される程度である。
武漢にBSL5の研究施設があり、そこから秘密裏に開発していたウイルスが漏れたんじゃないかなどの話しがあったが、そもそも、高いBSLの研究施設がなければその原因ウイルスを単離することも同定することもできやしない。なんだかわからないけど達の悪い咳や肺炎が今年は流行ってるねで終わっていた可能性は高い。
日本でも数年前から変な咳をする人が多く、また去年の暮れぐらいにもまだ20代なのに肺炎で入院したとかいう話しも聞いた。だが日本には高BSLの施設は数カ所しか無く、たとえそのような肺炎が流行っていたとしても、それらの未知の病理ウイルスを特定できる可能性はとても低い。お金も人もわりふってないんだからできるわけがねぇ。
そもそもヒトヒト感染が始まり感染母体が数万を超すならば自然界(人間界)で合成される変異率のほうが高いのではないか。ウイルスをデザインして合成してばら撒いても、市中に広がればデザイン通りに広がりはしない。
要人やその周辺を暗殺する致死率の高いウイルスであればまだわからなくもないが、今回のように市井までパンデミックするウイルスだと制御はできまい。
ウイルスは感染を繰り返し変異の過程で宿主と共生できるように弱毒化、無害化する。
そもそもウイルスをコントロールできるなら、ワクチンも抗ウイルス薬も作られてる毎年インフルエンザでこんなに感染者でてない。
まあ、可能性として、中国で急速に進む高齢化をなんとかするぜぐらいの選民テロであれば、抗体獲得できない老人から殺していく恐ろしいウイルス兵器という可能性は排除できなくもなくはないけど、まあ、なんだ杞憂。
マスク
言われてる通りじゃないの。手を顔に触れないようにするぐらいの効果はあるし、口腔域の湿度高くするとかぐらいの効果はあるよ。電車にのるならどうせなら手袋でもしたら?
不潔ルート、清潔ルート
最近コロナウイルス関連のニュースを聞くと、さもありなん。というか、むべかるかなを連呼する病になてしまった。なるべくしてなってるとしかいいようもない。
不潔ルート、清潔ルートが紐でわけられてるだけじゃねぇかって盛大なつっこみがあったが、私が気になったのはその床の絨毯だ。
病院や学校の床がリノリウムなのにはそれなりに意味がある。
ウイルス吐き出し装置と化した人間が吐き出すウイルスは床とかに貯まるわけだけど、そこが絨毯だと長く溜まったうえに、歩くたびに静電気とかで巻き上がるわけですよ。
通常のコロナウイルスはアルコールや熱とかで不活化できるみたいだけど、自然界の場合は8日程度は感染力を持っているらしいので、不潔ルートを通るたびにそこにウイルスが溜まり続けて巻き上がる。
絨毯に香料でも撒いて、匂いがその一帯からいつしなくなるか考えればいい。その匂いが広がる範囲が匂いの分子が巻き上がってる範囲だ。匂いが消えるまでがその分子が壊れていない時間だ。
せめてひっこし業者のように養生するだけで、結果はだいぶかわるのにと思う。
絨毯とかはアルコールとか酸やアルカリで清拭できないから不活化されないウイルスがいつまでも貯まる。 ウイルスは生き物じゃないから、紫外線とか酸やらなんやらで壊すか壊れるのを待つかしないとだめだけど、まあ絨毯ひいてるうちは無理だよね。むべかるかな。
経済
実は、新型コロナウイルスはそのうち風物詩になるでしょぐらいで心配してないんだけど、経済がやばい。関節被害のほうがよほど死人が出る。
台風被害、消費税増税でリーマンショック級の気配がでてるところ(何でも戦後3~4番目に悪い数字だそうだよ)ここに、新型コロナウイルスが来たので、多分数字としてはリーマン級になる。
これは日本で上場企業が30社潰れる程度。
2002年の3、4ヶ月で封じ込めに成功したSARSの経済被害が3兆4,000億円の経済被害だそうなので、中国は当時のGDPから7.8倍になってるので、26兆5200億ぐらいの被害にはなるのかなと。
それで、忘れられてるけど、普通の豚コレラじゃなくて、まだなんだかよくわかっていないアフリカ豚コレラが中国でアウトブレイクしてるんじゃないかという話しがあって、この検疫をミスると日本の養豚産業も終わる。
東京オリンピックでそもそも経済被害が予想されてたところに、これがおっかぶさったので、結構、深刻。
参考
www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html
『続・人類と感染症の歴史』の第9章「SARSとMERS」を公開します。
www.maruzen-publishing.co.jp/smp/info/?action=detail&news_no=19784