隠されもなくなったサイレントインベイジョン


目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画 (日本語) 単行本 – 2020/5/29

読了。
2018年2月、出版の本なので今更感はあるのだけど、邦訳が先日出たので読んでみた。
出版当時、舞台となったオーストラリアを始め世界に衝撃を与え、その後の各国の対中政策にまで影響を与えた。あれから2年が経ち、ファーウェイの副会長がカナダでの電撃逮捕、米中貿易戦争が本格化、香港デモ、そしてコロナ禍がおきた。そして今はBLM運動による各国内の騒乱がおきている。米国で黒人が警官に取り押さえられ亡くなる動画がセンセーショナルに繰り替えされ、そして今は白人女性が黒人に無抵抗に殴られる動画がSNSで拡散されている。情報の広がり方や、このテーマを次々に替えて検証を振り切るやりかたは、インフォデミックのお手本のような手法なので、何故このタイミングでBLM運動が起きたのかなどは、各国での広がり方などを含め数年かかけてでもきちんと情報分析されるであろうことを願っている。

中国が今代のキー国であることは間違いない。
オーストラリアより、より中国に物理も文化も近い日本としては既知な内容も多いのだが改めてオーストラリアの状況は知っておいたほうがいいかもしれない。二年遅れというのもあれだが、入ってこないよりはなんぼかという感じだ。日本においては、もはや隠されもしなくなったが報道されもしない浸透工作について、気になった項目をまとめつつ、あれこれ書き書きする。

属国化戦略

三国志好きで戦略ゲームやciviとかが好きな人は、中華思想というものを体感的には理解している可能性が高い。東夷、南蛮、西戎、北狄。その中心に中華があるというそれは帝国主義というよりは、もっと、実利、合理に近いものなのではないかと思う。落とせる時は落とすし、併合コストが高すぎるならば傀儡属国都市国家として他の国に宗主国を取られないようにしつつ放っておく。算盤と天秤だけでなく、一党独裁だからこそ10年、100年という時間を考慮できる強かさがそこにはある。

イデオロギー国家において影響力や拒否権は重要だ。
WHOのような国際的な組織であっても、アフリカ諸国経由で決定権を実質保持できるならそうするし、一帯一路でお金を貸してもそれ以上のメリットがあるならそうする。影響力はただ一つの太陽のようであるべきだ。それが中華思想。

共産党のイデオロギー教育

世界を見ると第一次世界大戦のときなどに徹底した赤狩り(反共産主義)がおこなわれた関係で、共産党が法律で禁じられている国は存外多く、民主主義を標榜する国家においては現役の共産党議員がそもそも居ない国は多い。
オーストラリアはどうなのかと調べてみたら1991年に共産党は解党しているようだ。((https://en.wikipedia.org/wiki/Communist_Party_of_Australia))
日本はGHQによる占領下であらためてレッドパージが行われたが、その後、ふがふがもごもご・・・。このあたりのことを書くとめんどくさいことになりそうなので日本のことは省略。

中国では国という組織より上に、ホールディングスとして共産党がある。
中国人民解放軍は中国共産党の軍隊であって、国のための軍ではない。

一応は中国にも複数政党が存在し選挙もおこなわれるし、国も軍隊を持っていいことになっているが、共産党の指導に従いという前提がつく。香港が民主選挙で親中派に勝利しても、体制や方針を変えることができないのは、行政長官は選挙委員会が選出し、中央人民政府が任命するからだ。立候補は中国当局の同意が必要なので、そもそもな話しである。ついでに言うと北朝鮮にも選挙や野党があるのだとか。

国や軍は共産党の指導に従う。
共産主義というイデオロギーがまずあって、その下に国家がぶら下がるという構造を意識しなければいけない。
さて、で、イデオロギーの教育がどのようにおこなわれてるかについてだけど日本では逆にそっちのほうが当たり前すぎて改めて書くまでもない気がするんだけどどうじゃろ?むしろ我々は資本主義、お金の回しかたとか民主主義、選挙についてのほうの教育うけてないよね。

華僑の動員

長野オリンピック聖火リレーのとき対チベットについて、国内4000人の中国人が動員され示威行動があったのを記憶している人はいるとおもうけど、この本曰く、留学生にとってもっとも怖いのは中国領事館だという。
世界に広がる500万人以上の華僑を動員するための豊富な資金と精密なプラン僑務工作がおこなわれているそうだ。 オーストラリアには中国系の人々が100万人以上いる。
ここらへんは9章の「一万人の華僑動員」「ヒューミント(ヒューマンインテリジェンス)」あたりでも詳しく書かれている。まあこれも日本ではよく知られてるのであまり書く必要はないかもしれないかな? 日本にいる中国人の留学生の子や職場の人に聞けば別に悪いことでも特別なこととも思ってないので教えてくれるんじゃないかな。面白い話し聞けたらおしえて。

ちなみに、日本を調べてみたら、

平成30年末現在における中長期在留者数は240万9,677人,特別永住者数は32万1,416人
www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00081.html
(1) 中   国      764,720人 (構成比28.0%) (+ 4.6%)
(2) 韓   国      449,634人 (構成比16.5%) (- 0.2%)
(3) ベトナム      330,835人 (構成比12.1%) (+26.1%)
(4) フィリピン      271,289人 (構成比 9.9%) (+ 4.1%)
(5) ブラジル      201,865人 (構成比 7.4%) (+ 5.5%)
(6) ネパール       88,951人 (構成比 3.3%) (+11.1%)
(9) インドネシア     56,346人 (構成比 2.1%) (+12.7%)

中華系は76万人だって。おや? オーストラリアより少ないんだ?

中国の法律の範囲の広さ

鄧小平の姪とつながりのある会社と対立関係にあったオーストラリア国籍のジェームズ・ペン・ジアンドンをマカオで拉致、本土に連れ去りでっち上げの犯罪で投獄、八億ドルが奪われた(P73)

・・・。この一文が本書のなかで一番インパクトありましたわ。

判事達は買収されて、指示された通りの判決を言い渡す。中国の法定では有罪率が99%である(ちなみにオーストラリアの刑事裁判ではおよそ87%)中国の最高裁は政治体制からの司法の独立を「誤った西洋の思想」だと拒否している(P76)

日本の刑事裁判の有罪率99.9%でごめんなさい・・・っ!
カルロス・ゴーンで国際的に日本の刑事司法が取りざたされたとき、日本の法相も同じような事言ってたしね。

われわれはどれほど依存しているのか?

2016-17 中国人の農地の所有数は上昇しており、その数は10倍に増え動物性タンパク質の欠乏を克服するために、オーストラリアの農業に注目(P155)

コロナ騒動の直前に中国でアフリカ豚コレラ(アフリカ豚熱)が流行っていて、結構養豚に深刻なダメージを受けてる。その後詳報でなくなったので逆にやばいかもしれない。
アフリカ豚熱の前は普通の豚熱(これは日本にも残念ながら流入してきてしまった)があって、豚が足りなくなってアフリカから豚を入れた結果起きた惨禍だった。

豚熱はイノシシにも感染するので、今日本がやっているように山にワクチン入りの餌をばら撒くなどして対処療法的な対策をしなくてはならないが、アフリカ豚熱はそもそも普通の豚熱とは根本から異なる病気で未知のウイルスに近く、どんなウイルスの仲間だかもわかってない。だから、そもそも予防法もワクチンもない。

それに加えて、蝗害(サバクトビバッタ)の被害が東アフリカから中東に海を超えて渡り、パキスタンとインド国境付近にまで被害が拡大した。ヒマラヤ山脈をサバクトビバッタが超えることはないが、歴史的に見ると、バッタの大量発生期と、中国の蝗害(イナゴ)の時期が重なるなどの被害懸念がある。

世界的な穀物不足と、動物性タンパク質の不足が予想される中、中国政府は、オーストラリアの食肉輸入や、米国からの農産物品の輸入停止を発表した。

中国内陸物の耕作適地と人口を考えると、「われわれはどれほど依存しているか」でなく相互依存状態にあるとおもうのだがと心配してしまう。

中国、豪産食肉輸入を一部停止 コロナ発生源調査に反発か
www.nikkei.com/article/DGXMZO59044550T10C20A5910M00/

中国が米国からの一部農産物輸入を停止、貿易協定に暗雲-関係者
www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-01/QB8N2YDWLU6S01

ノルウェーとダライ・ラマ効果

ある国の首相がダライ・ラマに会えば、対中輸出は8%下落する (P194)
www.amazon.co.jp/War-Other-Means-Geoeconomics-Statecraft/dp/0674737210
注釈を見る限りオリジナルはこの本かな? 未邦訳みたいね。

農産品や食肉を停めてまで何を守りたいかといえばメンツだ。党独裁国家において、体外上のメンツは民の腹よりも重要な問題だ。数千万人の餓死者を出した大躍進政策は中国国内ではどう伝わっているのだろうか? 中国SF小説の三体などを読むと、伝承はロストしたわけではなさそうだけど。

フィリピンは北京からの影響に弱い。中国系フィリピン人はフィリピン資本の半分を握っていると考えられており、全人口の1.5%しかない集団としては飛び抜けた政治力を持つ。2007年、フィリピン政府が中国の国家電網公司にすべてのエネルギー網の管理件を与えた。(P200)

フィリピンの状況、これだけ聞くと素で恐ろしい。

日本は親中派(パンダハガー)の議員が与野党メインストリームにいるので、近しい状態になっているように見うけられる。例えば北海道の土地が中華系に静岡県分ぐらい購入されているとか、都市部の高級ペントハウスの億ションなんかは中華系が抑えてるなんて話しも。ソーラーで電力網や通信網は日本も似たようなものか。

日本人は中国から財産を持ち出したり中国の土地を買うことができないのだから、こちらができないことは相手側にも許可しないという相互主義が妥当なのだが、すでに決定について影響力を排除できないので、対策や対応をとるのはかなり難しいとおもいます。

中国かアメリカかの踏み絵を踏まされ、どちらかの市場かを選択を迫られる未来は日本も遠くはなさそうです。

1000人のスパイと情報提供者たち

ファーウェイの浸透範囲

エネルギー網や金融ネットワークなどの超重要インフラにバックドアのついた機器を埋め込むことは、中国にとって計り知れない武器となる(P217)

「アカデミック・マルウエア」としての孔子学院

2004年から 世界中に500校、中国共産党の中央宣伝部から教育部を通じて提供される、2013年シドニー大学ダライ・ラマ招聘を中止、中国の暗黙の言語統制を邁進し、それによって北京に拒否権を与える、西側の防諜当局は「孔子学院を中国政府が使用している一種のスパイ機関と認識している」、(P296)

これについては、もうなんていうか日本については今更というか、むしろ日本でそのやり方が洗練されたというか、醸成されたというか、なんというか、かんというか。
ウミガメ政策とかも、個人的には心配してないっていうか。
技術とか知恵って人についていくものだし、留学先とかで違う情報に少しでも触れたら朱に交われば赤くなるというか、資本主義陣営からみて孔子学院をアカデミック・マルウエアと評したように、自由な風紀に触れ留学から戻ってきた海亀は共産主義にとっては逆に風穴をあけかねない。留学先で他の言語や価値観に触れてしまった子は、多分堪えられないよね。角を矯めて海亀を殺すか、海亀を自由に泳がせて技術を得るかの違いだと思う。まぁ他で水が合えば帰ってこないだろうし。なんていうか、金の切れ目は縁の切れ目っていうか、威力を持って従わせたところで、長続きはできないっていうか、紐で縛り付けたものは、糸が切れればかんたんにバラバラになっちゃうからね。完全統制下でうまくハンドリングし続けるのは、そう長くもできんでしょ。
中田敦彦youtube大学みてたら、プラトンだかが独裁政治、寡頭政治、民主政治、カオスを繰り返す。カオスんときは生き残って下さい!言ってたが、中国は今どこなんだろうね。全人代7人だから寡頭政治まで来てる?
トランプやボリスをみてるとカオスから独裁にフェイズが移りつつあるのかなとか思ったり。
日本は、安倍一強って言われるぐらいだから独裁フェイズなのかな? 麻生ラインもあるから寡頭政治まで来てる?あと5人ぐらい元老クラスのパワープレイヤー居ないと駄目なら民主政治はまだ遠そうだね。もっと長い時間スケールで見れば、江戸幕府開闢ぐらいが独裁政治で、老中御三家あたりで寡頭政治、明治維新あたりで民主政治で、戦中あたりがカオスで、三角大福中あたりの独裁を経て2代目、3代目の禅譲型寡頭政治とも見ることができるし、ま、切り口次第か。

読みがな

本書の内容からは遠いところで、どうしても言っておきたい。
例えば、周を「チャウ」にしたり「しゅう」にしたり、マンダリンピンインでZhouにしたり、ジェームスだったりな英米ビジネスネームまぜたり、ミドルネームが入ってきたり、性名なのか名性なのかもう頭こんがらがる。ルビもひらがなだったりカタカナだったりもう自由かっ!
下記にいくつか例を書き出す。

周文重 しゅう ぶんじゅう(Zhou Wenzhong)
周澤栄 チャウ・チャクウィン
劉暁波 りゅうぎょうは
梁光偉 リャン・グァンウェイ(Liang Guangwei)
邱維廉 ウイリアム・チウ
杜建華 ジェームス・トウ(James Jiann Hua To)
黄錚洪 ホーリー・ホワン(Holly Huang)
黄清 ホワン・チン(Huang Quentin Qing)

邱はキュウだからチウだとしても維廉でウイリアムなんか!?キラキラネームかっ!?みたいな。
本文と関係ないところが気になっちゃって読むのが大変だった。

まあ、個人ブログで国家安全保障に立ち向かうつもりもないので、DDOS攻撃とか喰らいたくないし、毀誉褒貶とは遠いところでだらだら書いたつもりだけど、長くなったわりに知らん人は知らんし、知ってるひとは知ってる程度の内容になってしまったね。 最近文章がまとまりつかん。ごめんちょ!


軽減税率は1300人が死亡する災害に匹敵する


軽減税率はなにもかもが壮大な無駄というだけでなく害悪しかない。人をも殺しうる災害だ。経済は月単位で凍りつき、花は枯れ鳥は空を捨てるだろう。

自分で掘った穴を自分埋めるただの無為な強制労働なら、土を耕したり、まだ筋肉トレーニングぐらいの効用があるかもしれない。だが、軽減税率は本当に本当に害悪でしかない。日本人を裸でシベリアに無為に抑留するようなものだ。しかも、消費税や軽減税率などの対応を迫られるのは経理や価格を決定できるマネージャークラスの人間だ。お金で外注できる労働力で済まない。才能と時間、ほどよく育った人間までをすりつぶす亡国の賊法である。海外ではやられてるじゃないかと言う人がいるかもしれない。違う。既にそれとは違う商習慣で運用がされている国に一律悉皆にデプロイしようってのが、糞い。サマータイムでも同じような話しがあった。血液型A型にB型を輸血するようなことをなぜ平然とやるのか。

趣味でやってるんでしょと言われても否定できない規模の零細な紅茶屋をやっている。うん、まあ趣味。 商売をやられている先輩方から、消費税が3-5%にあがったときはまじきつかったとそこここで聞いてはいた。1997年はバブル崩壊からの金融危機や貸しはがしがあいまって発生した不況があったから、その絡みだと思っていた。だが、前回の5から8%に消費税の税率があがったときに、体感した。あ、こりゃ納得と舌をまいた。

どんな小さな零細企業でも小売なら取扱商品は数百点はあるし仕入先は数十社に及ぶ。 飲食店とかで見た目、数十しかメニューがないようなお店でさえ、季節でメニューは変わるし、それを構成する食材などは多岐に及ぶ。コンビニなら表に並べているだけで数千点が常時おいてある。

消費税が5から8%に変わったとき、めんどくさいなぁと思いながらも棚卸しをして、値段変更をおこなった。売価を5から8%にすればいいんでしょと思ったものだ。
うちの場合はネットショップなどもあるので、楽天やamazon、ヤフー、当時は独自ドメインのショップなどもあって、カタログリスト、店舗のレジスターの変更などを考えれば、千点は優に超すぐらいの値段変更をおこなわなければならない。期末決算の棚卸し残高を求めるよりも3倍ぐらいしんどい作業ながらもおこなった。

だが、しばらくすると仕入先からも価格変更の案内が届くようになる。結構な変動幅だ。ひとつには、ヤマト運輸などの配送会社が消費税率変更に伴い大幅な値上げが敢行されたことなどがある。流通価格があがれば当然原価計算費用などにも影響してくる。そのほかには、その前の時期に発生していた急激な円安や、原材料高に由来する価格調整がとうとう耐えられなくなってきてどばっと降ってきたのだ。

長年の取引があると利益的にはほとんど出ていないけど、長いお付き合いだしということで昔ながらの価格で取り扱うことがある。でも、それも、売ったら赤字にならない範囲でだ。だけど、いろいろ価格がうごいたことで、利益率などを計算しなおしたところ、販売価格や卸が価格を変えだしたわけだ。そうすると、玉突きでポンポンと値段が変わる。中間財の仕入れ値が変わるのだから、最終財も変わるわけだ。それを仕入れて加工し販売するところはさらに値段がかわる。販売側も、そうしょっちゅうは価格変更がおこなえないので、しばらくは泣いていても、こらえきれずに価格変更をおこなう。そして、また異なった時期に玉突きで価格変更が発生するのだ。

食品などのマーケットは価格硬直性が高い業界と言われ、販売価格を変更するぐらいなら内容量を変えるという業界である。いつの間にか箱がスカスカのクッキーや空気しか入ってないんじゃないのというポテトチップスが登場するわけだ。内容量が変わっても配送料や、包装代などは発生するので、またここでも玉突きの価格変動が発生する。

結果、5%から8%に変わっただけの消費税の影響で、有に1年以上も販売価格が安定しなかったのだ。実はこの影響はいまだ続いているようにも感じる。

というのも、在庫の評価方法は先入先出法や後入先出し総平均法、移動平均法など少なくとも7種類もあり会社によって、届け出ている税務上の原価計算方法が異なるのだ。
だからどのタイミングでどのように仕入れ価格に反映されてくるかは、一律に決定されない。ひとつの商品がひとつの仕入先からだけできているわけでなはいので、同じ商品について何度も何度も価格改定の通知が来ることになる。それを涙をのんで自社で被るか、どのタイミングで売価に反映するかの判断を迫られることになった。毎月価格変更などはやっていられないし、契約の関係で1年はこの値段で納入を契約とかいろいろあるのだ。

それ以外の問題もある。

企業側からしてみれば在庫回転率、仕入れから販売までは時間がかかる。販売が成立しても売掛(クレジットカード払いなどのように実際に入金されるのは1月先とか)になる、それに対して仕入れはそれより前に発生しているので支払いと入金サイトには数ヶ月のラグがあるわけだ。世にいう黒字倒産、キャッシュフローの問題だ。

日本で上場している企業でさえ、純利益で考えれば売上に対しては5%もない。ちょいと調べてみると小売業ではわずか1.19%だそうだ。

これは100万円分を仕入れて、120万で売りましたとした場合、粗利の20万から人件費や家賃などを払ったら1万2千円が残せましたというのに等しい。

このような状況下で、仕入れから売上までの間に消費税増税分の3%だけ、利益とは関係ないところで資金需要が必要となる。いままで100万円分買えてた同じ量を仕入れようとした場合103万円の現金を用意しなければいけないことを意味する。

じゃあ余分の3万円を出せばいいじゃないと言う人も居ると思うが、それはパンがなければケーキを食べればいいじゃない論に等しい。3万まだ可能性ありだけど30万なら?300万なら?3000万なら??

そこまで資金余裕がない会社は、仕入量をへらすか、運転資金の借り入れを行う必要がある。だが、借り入れには金利が発生するので、借入先の銀行の金利ぶんまで余分に稼がないとならなくなるわけだ。行政というのはどうもお金の時間による効用を無視する傾向があり、現在価値、将来価値が無視された計画がなされることがあるが、まさにその典型だ。純利益が1%しか残らないほど過剰最適され乾いた雑巾状態の業界で、銀行金利分の数%を吐き出す資金余剰はないのである。チューニングがいきすぎたピーキーな経済はここでも悲鳴をあげ、また玉突き事故がおこるのだ。

軽減税率はさらにわろし

10月に導入するということだが、軽減税率についてわかっているひとがまわりの商店を見回しても一人もいない。国税などに聞いても会社の判断でお願いしますということになっている。

軽減税率の対象となる品目 – 国税庁の図解を貼っておく。

「Keep it simple, stupid.」(シンプルにしておけ!この間抜け)

いや、そもそも店舗にあるレジスターは項目ごとに税率を打ち出すことなんてできないのだ。どうするの?
うちの商店街のお店の人たちを見回しても、ごく最近にでもできたお店でなければ、もうレジスターを数十年使ってますけどなにか? みたいなお店も多い。レジを購入することについて助成金が出ているらしく怪しげな営業がうろうろ回っている。見せてもらったら現金を引き出すドロアーとタブレット型で3~50万ぐらい。多分助成金申請の関係で強気の値段設定なのだろう。お店に買わせて国に払わせるみたいな世界だ。だけどな、70歳過ぎた店主が新しいレジ買って新しい設定なんかできるわけがないんだよ。

そういえば昔、プログラムを書くお仕事が専業だったころレジスター周りのシステムを作ったことがある。日本だと大きいレジメーカーは数社しかないので、あれなんだけど、まあああいうのは、数店舗抱えるチェーン店はレジと独自システムを連携させて、日別の売上とかを集計したり分析したりするんだよね。何社かつくったけど、税率変わるぐらいは想定はしてたけど、そんな細目ごとに税率変更できる設計とか実装とかした覚えなんかないんだわ、ごめんなー。

対企業取引(BtoB)でも弊害が出てくる。
電話とかメールとかFAXとかで「いつものお願いしますー」と言われて、「はいよー」って言って、前回の請求書とか領収書とか伝票と同じものを日付変えて出力、商品に同梱みたいな業務なわけですよ。
でもね、茶葉は8%で茶器は10%、発送料は10%でなんて細目ごとに異なると全部の取引先に対して帳票のレイアウトから作り直しなわけですよ。

普通、小計があって、その下に消費税の項目があって、税率かけて終わりでしょ? これが作り直しになるわけですよ。ぶっちゃけ、もう一度会社をゼロから作り直せっていう規模の事務作業量なわけですよ。しかもどこまでが8%なんかもわけわからん。え、この茶缶入の茶葉は8%? でも茶缶だけで仕入れたときは10%? はい、送料無料で送料を含んじゃってる茶葉とかは税率どうしたらいいの? え、会社判断で? え、インボイス??? え、paypayとかは還元いれる??? ほえ? え!? え!!?? え?????

結論。軽減税率の導入は無理。わかるひとが一人もいねぇ。
うちの場合、商品点数半分ぐらいに絞っても、対応厳しいことになると思う。やるなら落ち着くまでしばらくお店とか閉めて寝てたほうがいいレベル。だから今は消費税が導入されない方に全掛けしている。

消費税の税収

しかもな、消費税をあげれば税収があがるならまだしも、下がるなら意味がなくない。 あがったの?

額面税収から見れば
10.8兆から17兆円代。たしかに額面は増えてるよね。

法人税率下げたとはいえ割合変わってないじゃんか・・・。
財務省絶対みとめようとしてないけど消費税率のアップで経済そのものが沈んでるし・・・。

なぜ災害に匹敵するか

平成28年度の飲食料品の事業所数は299,120件。
1事業所あたり1人が消費税対応のために半月対応したとすると、15万人月=12,500人年
日本人の平均寿命は83.98歳らしいので84歳でこれを割ると、148.8人の人生が無駄に消えていくことになる。これは少なく見積もってもだ。

生産労働年齢の定義に従って15歳から65歳の50年の月20日、一日8時間で1920年時間。計算すれば、人生で96,000時間しかないので、15万人月=150,000*160時間の労働を消化するためには250人分の社会人人生が必要となる。

小売業全体では990,246もある。卸業は364,814件。
78万人月が、なんの生産性もない付加価値もうまない税を徴収するためだけの代理をするためだけに1300人の社会人人生が無駄になる。
本当に導入されたら、どんなに温厚な俺でも呪詛を吐き続けるマンになるよ。

資料とか

14- 2 卸売業・小売業の産業別事業所数,従業者数と年間商品販売額(エクセル:29KB)
www.stat.go.jp/data/nihon/14.html

軽減税率の対象となる品目 – 国税庁
www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/01.pdf


ああぁ!選挙カーがうるさい!!


市議会と首長の選挙らしい。商店街のおっさんからすると両陣営知り合いだったりして対応にこまる。 選挙カーがうるさい・・・。公職選挙法見直そうよ、というか、現在の議会制民主主義みなおしてほしい。
選挙カー禁止、まちなかのポスター禁止。選挙活動が一週間だけのとかいう期間縛りもなくそう。お前らもうちょっと普段から活動しろよ。

供託金なくそう。

宣伝行為で立候補する人が居るから立候補者からは300万とか供託金をとる必要がある。市議会議員は30万か。
得票数が一定未満だったら供託金は没収。
いや方便だろ。競争相手を増やしたくないだけでしょ。
供託金廃止して、推薦人50人集めるとか本選の前に立候補予定者500人のなかから予備選挙やってとかにしたほうがなんぼも健全じゃないか。立候補者が増えると公正な選挙のための管理費用が嵩む? この情報化社会の時代にお前は何を言っているだ状態。

立候補と選挙権年齢と揃えなよ。

18歳から投票できるなら18歳から立候補できていいじゃないか。高校卒業してそのまま議員になりますって若者いたらよほど応援するわ。年齢が若いから分別がないとか、経験がない? え、そんなのあたり前じゃないか。でも文鎮と化した良識派の重鎮よりもそういうやつが混じってたほうがいい場合もあるよね?

町中の立候補者ポスター。いらんでしょ。

あんなのもナンセンスだし、景観上も害悪しかないわ。
どんだけ化粧してフォトショ加工してんねん。商店街に参加するようになって議員の知り合いがやたらと増えたけど、写真のお前ら誰やねん。猫とか犬の写真でも貼っておこうか。
万歩譲って必要だとしよう。だが、だったら選管が立て看板立てるときに、貼ってから立てればいいじゃないか。立ててから選管が承認した証紙わざわざノリで貼って認められた枚数を候補者や支援者が板まで貼りにいくってどんだけ非効率なことをさせてるんだよ。供託金よろしく、これも組織を持たない候補者が活動できないようにするためだけの新規参入障壁でしょ?

選挙カーやめてください。懇願。

禁止されてる国もあるぐらい、ナンセンスだし全面禁止にしてほしい。
公職選挙法が意味わからなくなりすぎて逆に名前の連呼しかできなくなってもーてるやん。議員に聞くとあれがないと年配の支持者からうちの地域で活動してないんじゃないかと言われるそうで、もう本末転倒だよね。最近は録音されたものを流してるだけとか、本人乗ってもないやつあるし、うぐいす嬢なんていう言葉ができてる時点でちょっともうどうかしてるんだよ。

選挙公報紙。紙??

おれはだいたいこれを見て決めるんだけど、これもナンセンスだよね。
紙面の都合上、四つ切とかになってるけど、限られた紙面枠のなかでフリーフォーマットで書きたいことが書かれてるだけ。なんなんだろうね。変わった人はわかるぐらいの情報量はある。むしろ変な人いた! おもしろい!! のためだけに選挙公報みてる。

いまは、エグゼクティブ・サマリーというかアブストラクトだけの選挙公報紙で終わってるけど、要論だけの選挙公報とは別に本論はあるべきじゃね?

続きはWEBでってか? いや、独自にサイトを建てさせたらイメージ戦略だけになるじゃないか。A4を30枚ぐらいの本論書かせた選挙管理委員会がまとめた公報サイトをつくれよと思う。アブストラクトと本論が読めるところ。本論がなかったら、法案作成能力とか実務系の能力がどこまであるのかわからないじゃないか。
本論があれば、変な人じゃなくて、凄い人もわかる。

辻演説や公開討論。

口の旨さと品行方正さが議員の条件と行ってもいい。でも、そんなのは本当はいらないよね・・・。ただの地元名士の名誉職か、特定の背景をもった組織から送り込まれた利益誘導者になってしまってるんだよ。今のままだと支援政党や辻演説や公開討論が唯一の候補者の人となりを見る手段となってしまっているけれども、そんなのバッドハックだよね・・・。よくない。

議会の形式。

そもそもが議会、議論とか討論で物事を決めるってのが無理スジなんだよな。
例えば会社が討論で多数決で意思決定して会社運営してたらすぐ潰れるよな。役員会的な意思決定機関と、機動部の従業員にあたるのが議会と行政なのかもしれないけどさ、役員会が毎回議論や投票で決める組織がどこにあんだよ。それは揉めた時用の解決手段で、役員に必要なは饒舌さではないよね。いや、饒舌さも必要だけどさ。

議会も議場に議題がかけられるときは各党派や部会で決められたことで投票行動しているだけだっていうじゃない。議員に必要なのは立法能力や、それを評価する力、またはそれぞれの支持者の利害を代弁することだが、そもそもそれも、同一人物の利害ですら時間粒度を変えれば意味合いが変わるので、本当に必要なのは、もっと別のことだけど、選挙の仕組みも、議会の仕組みもそうはなってないから議員の良識に頼るしかなくなってんだよね。

本当にやってほしいのはそれぞれの現場で最前線現役で働いているいろんな分野の人に出張ってきてもらって決めてほしいんじゃゎぃ。

立候補?

やる気も無いやつにやらせるのは不幸でしかないとか言うけどさ、小中学校を思い出して欲しいんだけど、クラス委員とか誰がやっても同じかもしれないけど、やりたいやつにやらせるより「~~さんがいいと思います!」のほうが、クラスは纏まるよな。数十人の人数のクラスでさえそんなだぞ。
地元に居るので同級生のあいつにとかに議員やらせたら街がよくなるだろうなって人は居るので、どうせならそういう人を推薦したい。
でも、現段階で議員なんかやらせたら人生狂っちゃうし、そういう人はもっと稼げる仕事をしてたりする。そういうのをやめさせてやらせることなんてできないし、そういう人には職業「政治家」になんてなってもらいたくない。
職業政治家を維持するためには、針小棒大な成果をあげつらって、自分を権威化するしかない。あれは俺がやったっていう「あれおれ詐欺」が跋扈してもーてる。よくないよ。

市議会議員200人一人20票6ヶ月毎選挙

以上のようなナンセンスな選挙制度で投票行動ができないのは当たり前だ。自分の一票で勝敗がかわるわけでもなしと選挙にいかなくなる。当たり前だ。組織票の効果が薄くなっちゃうので、投票させないように、立候補させないようにと頑張ってきた先人たちの間違った努力の努力の結晶である。

「政治家」は職業として単離されるべきものではないような気がする。特に町議会や市議会レベルでは。 日本にはここに特殊性があるそうで、諸外国の議会では兼業などが当たり前なのだそうだ。日本の議会も議会日数は事前の活動などを入れても100日程度しかないという。

選挙に必要なものは地盤、看板、鞄というが、職業が政治家でなくなっても行きていける人しか立候補できないのでこれも当たり前のことだろう。供託金がある程度まとまった額なのは、かつての株式会社や有限会社の最低資本金みたいなもので、300万とか1000万とか用意できないやつはどうせすぐ潰れちゃうから創業するんなよっていう優しさのようなものなのかもしれない。

でも、人々の声を代議するといっても20万人とかの意見を代議するのに20人とかは少なすぎるんだよね。20万人の会社の役員20名は多すぎるかもしれないけど、カンパニー性で執行役を入れた会社組織だとするのであれば少なすぎる。専業の議員は10人とかで、あとの200人ぐらいは兼業、兼任の政治家でいいと思うんだ。

これは例えば、PTAだとか防災委員とか住民協議会とか、商店街とか町内会とかマンションの組合とか、そういうのが実質的には下位の議会として職業をもったひとたちが兼業無償で実務を担っているから、地域の運営をなんとかしているんであって、これと議会が分離しているのがちょっと違うんじゃないかなと思う。でもこういうのはもう制度として持たなくなってるんだよね。

外国では、地方議会などは議会を夜に開催して職業を持った人たちが議論に参加しているというけども、日本でも立派な議場でやられているお飾り政治が別れすぎたんだと思う。
現在フリーフォーマットで運営されている防災、防犯とか、消防とか、地域、居住環境、商業、工業、各タスクフォースごとに下部リーグを制度化した議会化するというか、ITつこーて情報を整理するだけで、だいぶ世の中がよく変わるとおもう。任期を2年とかにして、参議院みたいに6ヶ月ぐらいに新しい人が入ってくるようにしておけば淀まないし、いいんじゃねぇかな。
なにかの利権の「顔」化しちゃうと、まあ最初は立派な人でさえ、スポイルされちゃうのはしょうがないんだよ。志を立派で議会に入っていっても、実質なにもできないことに愕然として腐っていくさまは見るに耐えない。ほんとなんとかしたほうがいい。

あぁ、もうほんと選挙カーなくしたい。まじでなんか考えようかな。