株価の史上最高値は我々はよろこぶべきなのか?


株価がバブル期を超えて過去最高値を更新したらしい。
それについていろいろな声があるが、「株価がこの5年で倍になったんじゃなくて、日本円の価値がこの5年で半分になったんだからな?」っていう声があまりないSNS上にないので、ちょっとだけ。

日経平均はこの5年でほぼ倍になった。


でも、紅茶とかハーブティーの仕入れ値も倍になっている。
紅茶は先物市場に上場していないので、コーヒーを使うけどコーヒーの先物価格もこの5年で倍。

価格が倍というのは、今まで出してたおぜぜで半分の量しか買い付けることができないってことを意味する。物価の上昇と言ったりするが、貨幣価値の下落とも言いかえることができる。

コーヒー・ティーベルトの国々で政情不安やら天候不順、はたまた世界的感染症や経済破綻、戦争で空路が死んで、はたまたパナマやスエズの通行難化で海運まで19世紀みたいになっちゃったみたいな要因はあるが、調達は悪化する一方。

企業の株券はひらたく言えば企業の所有権やその活動の利潤(配当とか)を債権化したものなので、企業の財政状況やマーケットシェア率、売上や純利益などから企業価値が計算されて、その変動のリスクと得られうるプロフィット(利益)を勘案して、安いよ高いよで値指しがおこなわれる。

先物(コモディティ)があがるのは、需要と供給で決まり、今回は供給サイドが絞られたためと理解することもできる。では、企業株価があがるのは?

一般には企業の財務諸表上のストックが増えたか、はたまたこれから手にするフローが増える見込みがあるかによる。ストックもフローも恒常的で変わりばえしないのに評価があがるというときは、冷静さを失った加熱心理か、素人肥やしの大量参入、あるいは、前述したように貨幣価値の低下によるものだ。

この15年ぐらい、世界の貨幣デュープチートが酷い。金本位制から解き放たれた通貨はただひたすらに増えていっている。その裏ざさえとして政策金利や国債の利率の信用。

今日現在の米国債10年で4.34%の利回り。

するってぇとその国で活動する企業は国債の利回りよりも税引き後利益率が高くないと、営利活動をする意味がなくなる。だって、国よりも破綻リスクの高い私企業が人を雇って一所懸命に働いて、資金運用のリスクまで取た結果、国債のほうがよかったですって、じゃぁ、労働資本に投下する意味も、設備資本に投下する意味もないよね?

日本の場合は、政策金利も低ければ、国債の利回りも低い(10年もので0.715%)
上場企業の利益率平均も低ければ、住宅金利の利率も低い。

だから、世界の国々が利率とあげまくったときに日本だけ乗らなかったし乗れなかった。

これだけ利率が低い日本で住宅金利を変動金利で借りていたり、元本が減らない元利均等返済やらノンリコースローンやらで調達してたりするので、金利変動が発生すると、借金のうち利払いしかされてなくて元本は一ミリも減っておらず、住宅は借金のかたでとられるわ、なのに借金は残るわで大惨事になる。お得ですよ~とか言って誰が得なんだかって話しよね。

ま、そんなわけで団塊世代の大量離職で出回った退職金(ストック)の価値が半分になったっていうニュースでした。これからフローで稼ぐ若い人には悪くはないかな?どだろ。

先程の国債金利と私企業の利益率の話し、私企業のほうがリスクとるんだからより高い利益率が求められるよって話しなんだけど、歴史上は例外もあって、国が商売(戦争)をするときは、その限りではない。国のがリスクとるからね・・・

まあ、どちらのサインであっても・・・って感じ。

先物は現物取引まで半年あるし、株式市場も株主名簿確定までラグがあるので実態経済と比較して半年~1年程度先行する指標なんで、先行指標に変化があった、なにかこの先道がどっちかに曲がるらしいぐらいは覚えておいてね。

引用

www.nikkei.com/markets/worldidx/chart/nk225/?type=5year

www.bloomberg.co.jp/markets/rates-bonds/government-bonds/us

fund.smtb.jp/smtbhp/qsearch.exe?F=market3


増えすぎるお金への解決策ICO敵



CASHが創業から約8ヶ月、運営開始2ヶ月でDMM.comへ70億円の大型イグジットをしたとのニュースがあった。ちょいと見た感じサービスとしてはBOPな人たちへレンディングであるようにみえる。FinTech界隈いまバブってんね。「VALU」のようにお騒がせしたり、bitcoinに代表されるように、ちょいと大型トロールでも徘徊している腐臭はなかなかに強烈になってきた。

 

それもこれも「お金」が変容したせいだ。たぶんQE4の頃が祇園精舎の鐘の声だったのだと思うが、世界のお金はものすげぇ勢いで増えている。

マネタリーベース
en.wikipedia.org/wiki/File:U.S._Monetary_base.png

エターナルフォースブリザード的な響きの何かで世界をヘリコプターマネーが覆って数年経ったが、まだマネーサプライがコントロールできているからとか、いろいろ意見はあるみたい。経済評論家は各論陣にわかれ論証不能なことをあーだこーだ言いあってるのだけは変わらない。でも、なんだかんだ、それを解決するのはエンジニアリングでしょ。

 

お金の形が紙幣に移れたのも輪転機や模造不能にした技術だし、そこから電子通貨が台頭してきたのも技術による環境変化でしかない。格差がと叫び変化を拒絶したり、贈与経済がと構えるのもちがう。技術がお金の変容にどう影響するか、どう機能するかが鍵なのではないだろうか。

 

技術はお金の何を解決するべきなのか

現在のお金の機能的価値はその流通性と保管性にある。

この機能を維持するために、お金の単位が提示する価値が時期や場所で変動しないように気を配る必要があった。デジタル技術の発展普及はそのお金の流動性を極限まであげることに有効で、お金から紙幣というような実態すら奪った。

 

とすれば、次に解決されべき問題は通貨が時期場所で価値を変じてしまう問題に技術がどう解決策を提示するかである。「信用」との兌換品になっているお金、どう不可逆なものにするか。もしくは、この兌換の流動性をあげるか。

 

bitcoinは積算されるしかデフォルトするしか脳のない既存のお金に、上限を設けることで、足し算だけの通貨の世界に割り算を持ち込んだ。CASHは、通貨から固定された物品を通貨に戻す流動性をあげることで、兌換の流動性をあげた。これらはそれぞれに解決策だ。

これらを実現可能にしたのは、かつての手形の裏書きのような仕組みや、質屋のような仕組みが演算力の向上によって、いままでその兌換の手間、相転移のはざまで失われ合理性がなかったものに合理がうまれるようになった。これからも同じように、同じような解決策はうまれてくるだろう。

 

だが、それらがなすことは、信用の変動に通貨が引きずられる影響や兌換時の価値決定の時間的前後を無視できるぐらいの、リスクの平準化だと思う。

・・・。HAHAHA、何言ってんだか、まるで伝わる気がしないね。

通貨も兌換や交換後に後から価値が決定する仕組みができれば、破綻や価値変動ももっと容認される世界になるよねってこと。

 

ポテトチップスを誰かが100円で買いますっていうプロセスを分解すると、誰かが予め採算がとれるように価格決定をして、そこで消費者と販売者が合意して100円という通貨で支払うという流れになる。だから100円の価値が時系列や場所で変わってしまったら困る。ブツブツ交換社会ではポテトチップスをAさんがツケで譲ってもらってそのツケ払いのためにじゃがいもを提供したりする。いちいち細かいやりとりごとに合意したりするのが面倒だから貨幣がうまれた。でも、記録力と演算能力あがれば、最後になにかしらの交換が発生した段で遡って荷重分配することも不可能ではない。

 

 

お金にたいする要望の変化

私の理解を少し話しておくと、現在のお金は信用に担保されたものという認識だ。

お金の信用は支払うべき税の単位によって担保されていると考えている。

中央銀行が発行しているから安心だねとかいう国家の信用という建前はおいておいて、テクニカルにその通貨単位が有効になり流通するのは、その地域の通貨発行権を持った「支配者」が、その通貨単位で税を治めることを国民に要求していることがミソになっているのだと思う。

 

もしも日本での税金は米ドルとか中国元で治めることなどと法を定めれば、日本で流通するお金はあっという間に日本円ではなくなるだろう。日本の場合は土地などの不動産に税を課すことで、派生的に家賃が決まり、家賃分を稼いだりするために、労働が必要になる。

もし、現代でも庸(物納)や役夫による納税が可能であれば、貨幣にも金や銀といった相応価値をもたせねばならなくなるだろう。現代のように信用を再生産して金本位制のくびきから抜けるためには、国家は通貨で税を納めろとすべての物品や生産物を兌換した貨幣価値下におくひつようがあったのだとおもう。

で、企業の活動領域が国の範囲を越えて、EUでみてとれるように国家の枠組みと通貨の枠組みがかならずしも一致しなくてもよくなると、稼ぐ場所と使う場所がかならずしも一致しなくなる。お金の保管性や可搬性からタックスヘイブンを利用しキャピタルフライトさせることができてしまう。

 

現在のお金の問題

信用とお金が可逆的であることだ。

お金を稼ぐ能力があれば信用を得ることができる。

同時に信用が集まればお金を稼げる。

だから、お金を集めることができれば、その信用を再生産することができる。金が金を産む状態。銀行のやっていることがまさにそうなのであるが、規模の経済下においては、大きいほうが相手の信用をまるのみすることができるので、たいていのものは信用連鎖のマッチポンプ下におくことができる。

このようになると、お金は勝手に増えていく。金利があるものは増えることしか能がなく時間経過yにたいして、xのn乗。発散する。デノミで単位を切り下げるか、デフォルトするまで増えるよりない。

 

低資本家にはハイリスクであるものが、資本が十二分にあれば分散できるのでローリスクの取り組みにかわる。ボラティリティの高い低位株や新興国の国債だって、分散したのでローリスク。その不確実性という名のリスクは誰か信用の少ない人におっかぶせて転嫁できる。

そうなってくると、どんなにお金を積んでも手に入れられないものが出てくる。

資源とか水源とか、兵器とか、お金では仕事をしない希少人材とか、まあ、とかとか、値段があるようでない世界。お金では交換できないマーケットと、お金で交換できるコモディなマーケットの複層化、乖離がすすむ。クリエイティビティなんていうのはその典型だろう。

やる気がないサボタージュなのか、ケイパビリティがない無能なのか。資源がない枯渇なのか、合意されないだけの契約なのか。その区別が難しい状態だが、われわれは通貨という単位のうえにのっているので全部が経済換算される。ときには人の生命や将来性でさせ通貨で換算されるようになる。

 

何を解決したいか

PTAとかで50人の父兄をあつめて豚汁をつくってその売上5万円で教材を買いました。みたいなつぶやきを聞いて、それを非経済、非合理だみたいな議論がTwitterであったようだ。

例えば、これが会社の親睦を深めるための交流事業だとすると、人件費を内部の人間として2万でとるのか3万でとるのか、外注だから5万だなとかの予算どりをしてじゃあ160万の予算で、福利厚生でつけるから楽しんでこいよとかやりたいのかい?

 

「楽しみ」とかが現在は兌換不能なものであるから、相変異のときにロストしたエンタルピーとしてみられてしまいがちだ。でも、それはそれで価値である。これは地域力みたいに漠としたものにもあらわれる。非定型物の価値評価は通貨換算しようとしてできないわけでもないけれども、それが価格差として現れるのは、取引が約定してからだ。

町内会のお祭りみたいに、誰かしらの積み立てた社会資本にフリーライドしても、通貨のものさししかもたない人間はそこにはなかなか気が付けない。

兌換期限(満期日)が記載された空手形が個人で振り出されるような社会になる。物々交換が自由にできる時代になる。好きなだけ空手形を切れる。誰かの発行した手形と交換したくなったときに初めて価値評価がなされて、遡って価格が決定される。一回笑わせてもらったら1単位ふるんでも、怒らせたら1単位引いておくんでもなんでも好きな基準で足し引きをしてもらう。facebookのいいでねも、Twitterのファボでもなんでも単位になる。あいつは空手形きりまくってるので、約束の価値がひくいなとか、あいつにはカシがあるとか、義理があるとか、ご恩を送るとか、そういう雑多な情報が、情報化社会の演算能力があがれば、信用単位として通貨として価値をなにがしかの単位で流通させることができるようになる。

当然、不履行率や兌換期限を越える「行き止まり」の単位が多くでてくるので、時間yに対して、xの1/n乗というような、発散しないものになる。寿命で腐る通貨。だれかの頭越しに信用をホップしないので、ただの業突く張りが信用の浸透圧をいじって、全部おれの成果だからおれがもらっていくなんて奪うことも困難になし、投資にたいする効果効用がわかりやすくなったりもするんじゃないかな。

 

・・・。

頭のなかでは、結構形がみえてはいるのだけど、ちょっと全体的に、何言ってるかわからない感じになったのはまだそれをうまく表現できる言葉や単語をもたないのでご容赦を。

 


ふるさと納税のことを考えるとパナマ文書について認めざるを得ない俺がいる



世界をパナマ文書の衝撃が襲っているのだが、日本ではどこ吹く風だよね。

夜のテレビニュースでは触れられもせず、新聞みても3面にベタ記事があるのみ。なぜ株価や為替が乱高下しているのかもパナマ文書に触れないままという、それってある意味凄いなと感心する報道がなされている。本日になってよぉぅやく、一面に載って夜のニュースでも取り上げられるようになったが、今日は4/7である。スキャンダルが明らかになりアイスランド・グンロイグソン首相が辞任を表明したのは4/5のことなのだが、ちょっとよくわからない時差があるようだ。日付変更線かなこれ。
ま、報道のほうは別にどーでもいいんだけど、中国のように報道管制で報道されてないんじゃなくて、もしかしたら、その重大さがわかってないだけなのかな?と、むしろ不安になったので一筆かくことにした。

まあ、タックスヘイブン[tax(税) haven(避難地)]をタックスヘブン[税金天国(heaven)]だと思ってて恥をかいたおっちゃんの案内なので、まあお察し。

 

パナマ文書のヤバさお品書き

 

  • パナマにある業界3位の法律事務所からリーク←過去40年分ですと!?
  • プーチンや習近平など60人の国家指導者がリストに載ってる←政変あるんじゃね?
  • タックスヘイブン租税回避地利用←適法だが道義的にどうなの論
  • なんでこいつらの個人資産数千億円もあんの←まっくろだよね
  • 欧州を中心に500ほどの銀行のペーパーカンパニー15,000社がばれる←金融やばい
  • 今回リークがあったのは英国系の租税回避地←おい、アメリカがいねぇぞ

 

過去40年分ですと?

今回リークがあったのは2.6テラバイト分。
4GB焼けるDVD-Rにして666枚分(不吉な数字だねぇ)、700MB焼けるCD-Rにして3,803枚分。
まあ、データとしては現代ではそれほど大きいという印象はない。サーバー一台にぶっこめる量だ。
PDFらしいので実質もっと小さくできると思う。(恐らく今、有志連中がデータ化している頃だろう)

 

世界の状況はこちらから俯瞰することができる。

panamamap2016-04-07 18_31_47-Panama Papers_ where the money is hiding

briankilmartin.cartodb.com/viz/54ddb5c0-f80e-11e5-9a9c-0e5db1731f59/embed_map?ref=producthunt

 

 

リストはここで検索できるようになっている
offshoreleaks.icij.org/search

→ (※追記 offshoreleaksは2013/6に公開された 英領バージン諸島やケイマン諸島などのタックス・ヘイブン(租税回避地)におかれた企業やファンド等のデータを検索可能とするデータベース で約10万件分。今回のリークの100分の1以下で、またケイマン諸島を含むのでパナマ文書とはすこし性質が違うかも。パナマ文書については5月を待たないと我々は詳細をみれないのかな?)

offshoreleaksでざくーっと日本の住所で検索して見た限り、外国人名が多い。

Japanだと
Officers & Master Clients (533)
Offshore Entities (4)
Listed Addresses (467)
tokyoだと
Listed Addresses (236)

地元三鷹市だれかいるかなって住所で検索したらgoogleストリートビューに建物ごと「ぼかし」が入ってた。なにこれやばい案件??武蔵野市も調べたら・・・。あ、なんか興味半分に個々個別に調べたりして書かないほうがよさそうだねこれ。うん、命大事。

 

まあ、それはさておき。

過去40年分の業界大手の法律事務所が保有していた文書なんだけど、そもそも40年前って磁気テープすらなかった頃だよね。レコード。マイクロフィルムとか。こんなクリティカルなデータをなんで電子化したのかって話。誰かがそそのかして電子化させて、厳重に保管されていたものをハックして、身元を明かさずに流出させる。こりゃ言うまでもなく組織的な動きだよね。icijはFBIもCIAも知り得ない情報を手に入れたとかいってたけど、CIA以外むしろどこにそんな組織があるんだって話しだとおもうよ。

 

政変あるんじゃね?

やはりインパクトが大きいのは習近平やプーチンだろう。

 

中国は汚職摘発に動いていた最中であるし、ロシアは現在軍事衝突をしている最中であるといいっていい。英国や、フランス、北欧でも影響はあるだろうけどトップが退陣すればいいだけの議会制民主主義国と違って、軍部や体制と強く結びつきすぎている国では政治的体制の崩壊が国家秩序の崩壊と同義になってしまう国がいくつもある。
これは、立場のないおっさんの無責任な放言とおもって欲しいのだけど、今後の進展次第では世界地図が書き換わる可能性がある。アラブの春は民主化という名の無政府状態を生み出し多くの難民を生み出している最中であるが、同程度の衝撃が世界に広がる可能性は十二分にある。得に中国、いや主に中国。

 

そう書いてたらニュースが飛び込んできた。

プーチン大統領直属の「国家親衛隊」創設へ
www.yomiuri.co.jp/world/20160407-OYT1T50106.html

 

プーチンは35万~40万人規模の私兵を持つと5日に発表したそうだ。国軍の半分に相当する。本気だ。5日に発表されたのが7日に日本で報道。やっぱりちょっと時差が・・・ありますね。なんの時差だかは知らない。わからない。わからない。

 

タックスヘイブン適法だが道義的にどうなの論

みんなで収めて作った社会インフラにフリーライドしているではないかと。

これは受益者負担の原則に反しているよな!というのが正論。

でも、おまえら町内会費とかマンション組合費とかちゃんと払ってる?あれも裁判の判例上は納付義務があるものとして取り扱われてるらしいから、そういうところまでやってる人だけ石を投げなさい。ぁ!ごめん、やめて痛い。
商店街とかで街路灯やら防犯カメラ設置して年間百万以上かかってんだけど、大手チェーン店とか儲かってそうな店ほど加盟もしてくんないんだよね・・・。フリーライダーにより地域が滅びるということはあるけれども、短期的な競争では宿主を滅ぼしてでもうまい汁は吸ったほうに軍配があがるからいたしかたないとも思うんだ。

 

ふるさと納税というものがある。
商品というリベートで釣って納税地を選びなよという仕組みだ。DMMのある石川県加賀市が納税額の半分をDMMマネーによる優待にしようとしたら換金性が高すぎると怒られた、あのふるさと納税である。これが普及したおかげで港区などでは税収が下がってしまったそうな。
これの発展上に租税回避地というものがあると思ってもらえばいいと思う。換金性高いなんてのはなんのその。

「うちは、税金安くするからうちで納税していってね!」
「うちなんて税金とらないから登記だけでもしてね!!」

っていう露骨な誘致合戦が極まった結果なのだ。

税金を取らなくても本社登記地がそこにあれば、手続き、レンタルオフィスなどの不動産や対応人員、銀行、郵便など関連産業で雇用が生まれる。南太平洋に浮かぶトケラウ島は「.tk」ドメインをタダで配ったことにより世界のスパム業者の温床にはなってしまった。その是非はさておき、それによって島民はインターネットを敷設できたのだ。
北海道の山中も東京銀座も税率は同じという日本からは想像がつかないかもしれないが、元来税率というのは地域によって柔軟性があるものだ。日本でもかつては悪代官が領民に重税を課していたように、物価やそれにともなう税というのも地域によって裁量があった。

日本では登記につかえる住所さえあれば住民表は居住の実態関係なく日本各地どこにでも移すことができる。

日本有数のお金持ちとして有名なユニクロ ファーストリテイリングの柳井 正さんやソフトバンクの孫正義さんの住民表をどこか辺鄙な寒村に移せば、それだけでその自治体の税収が大きく変動してしまうインパクトがある。トヨタがある豊田市はトヨタが赤字になったときに法人税収がふっとんだようなものだ。

もしも、日本国内の自治体が自由に税額を変更することができたら、お金持ちや優良企業の奪い合いが始まるであろう。ふるさと納税で「納税地は選べるんだ!」とよく訓練された納税者はよりお得な納税地を選ぶだろう。

それの発展形が租税回避地。租税回避地はお金持ちの誘致に成功したのだ。

 

国際租税条約を結んでいる国同士では税の二重取りをしないために、片方で納税されていればそれを控除とか損金算入できる仕組みがある。税金をかけることや、税を自国の通貨で収めさせることができる通貨発行権、徴税の強制執行がおこなえるのは国家の最大の権益であるが、その権益を互いに侵さないために儲けられている条約だ。

会社。本社機能と登記地の本社が異なることはある。どこで発生した利益なのかを厳密にわけたりすることはできない。一年の何日はここに住んだからここに何日分納税してなんてわけかたはしないで排他的に処理されるのだ。
ハリー・ポッターの翻訳者が日本とスイスどちらに生活の本拠地があるかで見解が割れ、日本の税務当局が日本に拠点があるとして35億の脱税だとして告発されたり、逆に武富士の創業者から海外で生前贈与をされた相続人が海外資産1,330億円に日本が課税したら生活の本拠は香港だったので納税義務はないとして、国がペナルティとして400億円払ってごめんなさいしたりしている。(( www.nikkei.com/article/DGXNASDG17022_Y1A210C1000000/ )) もちろん税額や仕組みは国ごとに異なる。だから、金持ちは豪華客船にのりお金(キャピタル)をもってフライトするのだ。住所のない上級流民ドリフターズになる。

 

アマゾンが本社を置くワシントン州シアトルはかつては、所得税はあるものの売上税(消費税みたいなもの)がなかっために事業所得を赤字にしておけばその税額分を売値として安くできていたため成功した。(※現在は他州なみの9.6%)

スターバックスは税金を払わずに済んでいる。

アップルの実行税率が昨年は2%未満だったと報じられるのもそうだし、東証上場上位50社のうち45社がタックスヘイブンを活用しているのをみてもそうだ。いまや国際企業にとって競争手段、生存手段として必要不可欠なものになっている。

競争のルールが違うところで、国際競争をしなければいけないのだから結果のパフォーマンスが異なるのは当然だ。税引き後の利益が2%とか4%とかいっているなかで、同じ商品を扱っているのにあそこの会社だけ14%もあるとなれば、競争の結果は有意にかわってくる。だってしょうがない。競争力のない個人商店にお客さんはこないし、納税地が理由で商品やサービスは選んではくれないのだから。

 

租税回避地は世界各地にある

日本の大企業・富裕層はタックスヘイブンで世界第2位の巨額な税逃れ、庶民には消費税増税と社会保障削減

 

そして、税の種類も様々あって税率も異なる。

  • 消費税:売上税のようなお金のやり取りに掛かる税金
  • 住民税や法人均等割:そこに存在するというだけでかけられる税金
  • 所得税:所得に掛かる税金
  • 固定資産税:日本では主に土地にかけられる
  • 相続税:日本ではもっか上昇中(知らないと死ぬよ!

 

これは各国の実効税率を財務省発表を大手監査法人PwCがまとめたものだ。

各国実効税率

www.pwc.com/jp/ja/tax/news/library/keywords/effective-tax-rate.html

このように税率は国によって異なる。だがそれ以上に制度そのものも異なるのだ。

 

アメリカ、ラスベガスがあるネバダ州には、法人所得税なるものがそもそも存在しない。

同じくペーパーカンパニーのメッカであるデラウエア州は営業活動を他州(米国外含む)でのみ行う場合は州の所得税は一切課されないし、申告書の提出すら免除される。ちなみに日本は法人登記をしているだけで赤字だろうがなんだろうが毎年均等割額で地方税7万が課税される(´・ω・`)

ハワイの地方税率は4.4%なので日系登記会社も多い。ハワイを本社にして日本を支店にするなどいろいろなやり方がある。

 

アメリカと日本ですらこのように税制税率が違うのだ。重要なところは、これが適法であるということ。さらにはどこかの国が他国に対して「おたくの税率低いんじゃないのー」とか内政干渉することはできないってことだ。
だから、ケイマン諸島、マルタ、キプロス、モーリシャス、モナコ、パナマ、イギリス領ヴァージン諸島、バミューダ諸島など小国や資源のない国は税金を抑えてでも企業や裕福層を誘致しようとする。金持ちがたまに来てくれるだけで島がもりあがるからだ。

 

道義的にこれらの貧しい国々がとった生存戦略を責めることはできない。

お金持ちにノブレス・オブリージュ(貴族義務)よろしく、持つものは負担してねということはできるが、受益者負担の原則を考えれば、年収300万の人と同程度にしかインフラなんて利用してないしと言われると、スーパーリッチだという理由で数千億を毟る理由にはいささか弱い気もする。稼いでも取られるだけだってわかったら、じゃあ人並み以上には稼がんで遊んどこってなるのを責めることはできないと思う。
才能があるからと才能を行使させることまで敷いたら、それは奴隷と変わらない。

 

そういう意味では中世の貴族は社会に隷属する奴隷のような存在であったと考えることもできるかもしれないね。立場や名声、富を得るかわりに才能の行使を要求され領民に奉仕すると。でもまぁ、現代はそうではない。権利を補償しないのだから義務も強要できない。
まあそんなわけで、道義的にどうなのっていわれると、ここ個別の事情を鑑みざるを得ないから、一方向からそれは倫理的ではない、道徳的ではないと断ずるべきではないと思うんだ。感情的には賛同されないだろうけどね。規範というものは時代や国によって変わってくるものだ。だから、これについてはこれから議論が深まればいいんじゃないかな。

ま・・・、

報道しなかったりして議論の素地をつくらないのはダメだと思いますが。

 

でも、あいつらまっくろだよね

適法の範囲内でおこなわれた租税回避地を利用することは適法で、道義的には異論が出るだろうが手続きとしては問題ない。

 

では、何が問題かというと、例えば一国の主導者が数千億の個人資産があることがおおやけになって、親族を含めると数兆もの資産があるとする。仮定ね。真偽はいまのところ保留で。
で、その保有している資産の桁があまりにもおかしいと、じゃ、どうやってその資産を稼ぎだしたんだってことになるわけ。

 

政治家としての報酬は過去に得た報酬全部あわせても数億だよね。それを、どうやったら数千億、数兆とかになるのって話。何か立場を利用した利益誘導がおこなわれていて、そこでお金が増えちゃったんだよね。うんうんわかるわかるーーぅ!って話。で、これは租税回避行為とかどころじゃなくて、おおよそどこの国でも脱法犯罪行為であることが多い。反社会的勢力、マフィアだの暴力団だの例の国とかがパナマ文書に乗ったっていうのならわかるんだけどね、犯罪利得が資金洗浄されて結局どこに落ちてきてたかが、その公然の秘密がバレてしまう。つか、まっくろすぎんだろと。

 

社会文化的に未成熟な国では役人などに賄賂を送らないと、逆にいろいろでっちあげられて投獄されたりする国もあるけれども、額もやばい、指導者レベルの人が60人もでてくるのはヤバイ。ヤバイよ。ヤバイんだよ。国会議員が毎年所有資産は0円です〜って公開する衆議院議員が75人いるのがかわいく見える程度にはやばい。

衆院議員の資産一覧(小選挙区)
www.asahi.com/topics/word/%E8%B3%87%E7%94%A3%E5%85%AC%E9%96%8B.html

そういえば、最近は日本国内の種類や税額があがっててさ、それにともなって新しい法律もがんがん施行されてるんだけど、海外に資産を5000万円以上もってたら、申告せぇよっていう多分相続税対策を封じる手がうたれてんのね。

No.7456 国外財産調書の提出義務
www.nta.go.jp/taxanswer/hotei/7456.htm
[平成27年4月1日現在法令等] 価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する場合

 

不提出等に対する罰則
>1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

 

ま、まだその実効性はあれなんですけれども・・・。

 

 

金融やばい

欧州を中心に500ほどの銀行のペーパーカンパニー15,000社がばれる。

 

これな。

こないだ日本の産業中分類95種ぐらいの従業員あたりの付加価値額を計算したのな。金融の偏差値が130ぐらいあってな。偏差値130ってなんだそれって散布図から見なおしたんだけど、ああなるほどねと。あの業界でお金増えすぎ。今の、資金奔流の原因ってほぼ金融に原因があるといっていいんじゃないかな。

 

現在のマネーストックやマネーサプライの状況をみるに、各国結構やばいことになっていて、綱渡り状態であると。なんかやばい、やばいしか言えてないんだけど、ここをほじくるとどっからか入ってきた金がファンドやら投資組合を通して各国の銀行に流れてたことがバレちゃうんだよね。もはや公然の秘密であったとも言えるのだけど、それがエビデンス付きの文章としてリークされるとちょっと状況がかわってくる。これにヨーロッパの主要銀行がのきなみ乗っているらしいのだけど、これでEUが信用不安に陥るとリーマン・ショックなんかの規模じゃないんだよね。きっつー。

 

おい、アメリカがいねぇぞ

日本もいねぇぞ!
世界には主だった租税回避地がいくつかあってその中で今回リークがあったのは英国系。

香港とかは英国領だったので、中国人とかが多くのっているのだけど、反面アメリカや日本がいない。

今回リークがあったのがパナマではなく、ケイマン諸島であればアメリカや日本の主要法人、銀行などが軒並みリストされてたはず。シンガポールになると投資家界隈。フィリピンとかになればあそこらへん界隈。

 

これによってダメージを受けたのはEUおよび、ロシア、中国で・・・

日本は短期的には利得する側なんだけど、偏りすぎているのが、きな臭さすぎるんだよ。
世界を憂う一市民じゃねぇよ。
長期的には必要なことなのだろうけど、こりゃまた偏るよねぇ・・・。偏った結果なにがおきるのだろうか。わしゃ心配ですりごま団子が食べてみたくなったのだ。

 

ああ、まんじゅうこわい。

shoeidoh.shop-pro.jp/?pid=45114634

(ツイッターですごいウマそうにつぶやいている人が居てさ・・・)

 

他、参考

国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が
panamapapers.icij.org/the_power_players/

 

パナマ文書のヤバさを俺に伝えるスレ:哲学ニュースnwk
blog.livedoor.jp/nwknews/archives/5032133.html