磯焼けと海苔の不作からすける除草剤の残効


有明海だの瀬戸内海だの、千葉だの各地で海苔が不作であるそうだ。わかめや昆布も大変で、海の砂漠化、”磯焼け”なんてワードもよく聞くようになってきた。

海中カメラで調査したらチヌ(クロダイ)が食い荒らしてたとか、アカモクを食い荒らしているのはイスズミだとかはたまたウニが全部食べちゃうとか。はたまた温暖化による海水温の変化が原因だなんだと騒がれている。

あのー・・・もしかして除草剤じゃね??

魚は何故減った?

先日、「魚はなぜ減った?見えない真犯人を追う (東大教授が世界に示した衝撃のエビデンス)」なる本を読んだ。

東京大学大学院新領域創成科学研究科 山室真澄教授
陸水学、沿岸海洋学、生物地球化学

この本を買ったのはこの講演動画が面白かったからだ。

「魚はなぜ減った?~見えない真犯人を追う」
www.youtube.com/watch?v=gDSlR1ZEJmE

毒舌なので講演のほうがおもしろい。本のほうはデータや引用論文が豊富。

ざーーくり要約

山室さんは閉鎖水系、汽水域の研究をしていて、30年にわたってシジミと寒さに負けずに頑張っている松岡修造で有名な島根県、宍道湖(しんじこ)を中心に調査されていた。

ネオニコチノイド系殺虫剤が日本国内で許可された1992年から、うなぎ、ワカサギ、シラウオの漁獲量の激減とともに、底生生物、オオユスリカのような節足動物、ゴカイのような環形動物、エビのような甲殻類が減っていることを見つけたという。

残留濃度は人間や魚には影響がないようにデザインされているので魚が死んで浮かぶようなことはないので気がつきにくいが、無脊椎動物にとってはそれらは十分に致命的な濃度だという。まあそのための殺虫剤ですから。餌がなくなりゃそりゃ魚も減るよねって話。

で、本の内容なのでここでは踏み込まないが、いろんなエビデンスが載ってる。海老のエビデンス!(ここでぐらいしか使えないから許して欲しい。おじさんなのだ。)

様々なデータをあげて、富栄養化も貧栄養化でも、溶存無機窒素量、化学的酸素要求量(COD)でも、湾岸改変でも農地基盤整備でも、はたまた水温変化でもねぇんじゃねぇかってさ。

で、ここからは素人の推論と仮説

長年みているyoutubeチャンネルに、ただひたすら海に潜ってただウニをわりつづけているチャンネルがある。ただ割れていくウニとそれをついばむ魚を見るのに理由が必要な人は見ることはないだろう。

大成功を収めたアカモク育成のラストにまさかの事態が起こる【アカモク育成最終回】

何年も前からただウニを叩いていたのだけど、最近とうとう砂場でのアカモクという海藻の繁茂に成功しいて、逆になんで?と思った。え、磯場のときは駄目だったのに砂場では成功できるん?っと。逆になんでなん??と。

ちゃんねる主は食欲旺盛なイスズミ(お魚の名前)の回遊路から外れたからではないからと考えているようだけれども・・・。自分の中ではあまり腑に落ちしなかった。

ヤギがいる畑で作物を育てるのは難しいが、ヤギが居ないところなら育つ。

じつに正論。

しかし、どちらかといえば海の中で育つ海藻は雑草が持つ恒常性と均衡に近い。
雑草は管理して繁殖させようとするのは難しいがヤギが食べればなくなる。ヤギがいなければ増える。

このときその地域のヤギの頭数は雑草の繁茂力と同じかそれ以下で均衡するはずである。
釣り合っている状態のことを平衡に達したという。

繁茂力が食欲が下回るとき、それはヤギにとっての飢饉なので、ヤギが移動不能(閉鎖系)である場合はヤギは減り、食料の供給率に達するまで頭数を減らすことになるだろう。
ヤギが移動可能(開放系)である場合、その地域の雑草を食い尽くしたとき移動することになるだろう。

捕食、被食関係で均衡が破れるケースは捕食側の変化、被食側の変化によるものである。
捕食者側に考えられるケースは異様繁殖などによる要求量の増大で、被食者側の場合はなんらかの理由による増殖や成長率の鈍化が考えられる。

開放系ともいえる海の中で、捕食側の食害で食い尽くされて絶えるなんてことがあろうだろうか?
バッタの蝗害みたいな群生発生と高度回遊がおきているわけでもないのに?

そして、最近それがごく短い期間でそれが全部なくなったというのを見て、やっぱり仮説を強くした。

あ、やっぱこの時期? 海藻にも除草剤の残留効果が原因じゃないのかなと。

環境水中の残留除草剤

前述の本によれば、河川、水道水中における残留除草剤の濃度は田植えが盛んな地域では5月1週目が最高濃度となっているデータがあった。

除草剤のクロルニトロフェン(CNP)は胆のうがんに繋がり、人体にも影響があるということで農薬取締法改正により改善したのかその後はよくわからんが、現代も環境水中の除草剤の濃度は5月の上旬が一番高いであろうことは容易に推測できる。

除草剤はその後も進化し、人間にとってはより安全に、そして雑草にとってはより過酷に。自然界で分解するのに効果日時も持続するようになった。

ここに日本固有の特殊事情が加わる。
日本では畑だけでなく水田が存在する。田植えは一年に一度で地域で同じ品種をつくるため、同じような時期に一気に作付けをおこなう。都会に出稼ぎにでたやつも戻って実家を手伝えというゴールデンウィークというやつだ。
結果、水田に撒かれた水溶性の除草剤や殺虫剤はそのまま河川にごく短期間高濃度で流出し海に出る。

水田に撒かれる除草剤は、初期、中期、後期と一発処理剤に分かれるそうだが、田植え後に撒かれる初期一発剤は除草剤のなかでも自然分解までの期間が長く処理後30~50日と残効期間が続く。

そりゃ30日もあれば海にも出るわな。
海に出ても除草剤の効果は損なわれない。
水田に撒く除草剤は、稲を枯らさぬように沈水植物にも効くように作られたものなのだから。

「宍道湖における沈水植物大量発生前後の水質 」

www.jstage.jst.go.jp/article/rikusui/75/2/75_99/_pdf

2006年5月から「食品中の残留する農薬等の基準に係るポジティブリスト制度」が施行されたことにより、それまで検出されたらアウトなブラックリスト方式であった残留農薬基準がこの物質がこれ以下ならいいよというホワイトリスト方式に変更された。

その結果、宍道湖のシジミからホワイトリストにない除草剤が検出されたことから、周辺農家に除草剤の使用量や使用方法の働きかけがなされ除草剤の残留濃度に大きな変化が出た。で、宍道湖の沈水植物の大量発生に繋がる。

流れ込む除草剤が減ったら藻が昔のように増えた。
流れ込む除草剤が増えれば海藻が減るというエビデンスは今のところない。

なにせ調査がないのだから。
だからこれはただの素人の仮説にすぎない。

環境水のモニタリング

残念ながら日本では環境水中の濃度に関する研究がほとんどなされていないそうだ。
先の本の中では1999までの論文で殺虫剤であるネオニコチノイドの環境水中濃度についての調査は一件もなかったと嘆かれていたが、2023現在ciniiを検索すると、近年増えてきているようなので、将来に期待である。
自分みたいなノラにも読めるオープン論文はないので、指を加えてリストを眺めるだけだ。

ネオニコチノイドやその他残留農薬は水溶性なので堆積物からの過去の調査を行うこともできないそうだ。
さらに残念なことに日本の環境モニタリングでは降雨による影響がないよう濁水を採取しないことになっているそうで、田面、水田土壌、化学物質の影響が検出されにくいのだという。されにくいというかできないんじゃ?

そりゃ駄目だよね。
東京オリンピックのときにトライアスロン会場の大腸菌が話題になったが、日本の下水道は多くがいまだ雨水合流だ。特に戦後復興を急いだ東京23区では8割が未だに合流式下水道である。
昨日の大雨で目黒川がクサイとTwitterで話題になっていたがあたりまえだ。それ本当に下水だもん。

クリックして09gouryu-kubu.pdfにアクセス

雨の量が一定レベルを超えると、下水処理施設の限界を超えるため、トイレットペーパーとかそのままに東京湾に放出される。神田川とか目黒川とか渋谷川とかのガンジス川モードだ。

そりゃ、そんな濁水をモニタリングしたら、いろんな環境基準に触れて一発アウト。知恵を絞って考えたのだろう。データがなければ大丈夫ンゴ!!って。

濁水のデータもモニタリングするべきだとは思うけど、そのお金や対策費はどうするんだってお話しになるので、みんなそっと蓋を閉じるのかもしれないね。箱のフタを開けて観測しなければ猫は死んでいるか生きているか確定しない。そのシステムは今、動いてるんだから触るんじゃねぇってね。

豊洲市場の排水ピットに長靴でばちゃばちゃ入って、ジャムの瓶に濁水くんで、アルカリ性ですだの、環境基準の何倍も出ました!!とかをやれというわけではないが、なんでこう極端から極端しかねぇんだろ。
データが貯まればいいとおもうし、濁水のデータもとったほうがいいよね。
研究者に予算つけてあげてとおもうのである。

頑張れ研究者、ネバー ギブアップ

参考・引用元

海の水質向上で神戸の「養殖ノリ」が激減? 収穫量は20年前の2割減 原因はチヌの増加か…
www.youtube.com/watch?v=S6ROO82UNgI

minorasu.basf.co.jp/80228

ci.nii.ac.jp/author/DA15881523

www.jstage.jst.go.jp/article/rikusui/75/2/75_99/_pdf


コロナウイルスについて


商店街でコロナウイルスがらみで回覧板をつくるついでで、ちょっと修正してこっちにもあげておきます。 ちなみに添付した紙(PDF)については、参考に一覧でのせておきます。
ご年配者を不安がらせちゃだめかなっとおもって載せなかったこととかはその下にかいたよ。

新型コロナウイルスについて

中小事業者への経済支援策などが出始めております。市役所などから情報がきておりますので回覧いたします。申請代理業者の営業も多いですがまずは商工会や市に確認してください。

新型コロナウイルスについては、判明している情報や情勢が刻々と変化しており、何々が効くなどといった明らかなデマも出回っております。厚生労働省や東京都特設のホームページをご確認ください。いくつかご参考に手洗いパンフレットなど印刷し添付いたします。対策の助けとしてください。原本は厚労省ホームページからダウンロードできます。

ヒトがヒトに伝染す病気です
換気の悪い密閉空間、人が密集、近距離での会話が行われるという3つの条件を重ねないようにしましょう。

・「ウイルス」と「ばい菌」は別ものです、ウイルスは感染者の細胞でのみ増えます
・咳、くしゃみ、会話などで感染者からウイルスが放出されます
・菌には殺菌除菌ですが、ウイルスはうがい手洗いで流すか消毒(不活化)します
・スギ花粉をバレーボールサイズとするとマスクはネット、ウイルスはお米粒1つの大きさ
(スギ花粉30μm、菌は数μm、コロナウイルス0.08μm)
・新型コロナウイルスも空気中で3時間、プラスティック、ステンレス表面で3日、ダンボール上で1日程度感染力をもちます。浮いて漂ってるうちに換気しましょう。
・風邪流行期の35%の原因は従来型コロナウイルスによるものです。うつらないように、うつさないようにする対策は同じです。新型はたちが悪く、まだだれも免疫をもっていないので感染連鎖に気をつける必要があります。
・感染から症状がでるまで潜伏期間が1~14日(最頻5~6日)で、感染しても8割は軽症のため気が付かず感染をひろげてしまうことがあります。冷静なご対応を。

ネットリテラシーあるヒトむけぐだぐだ追記

こっちには不確かな情報も書くよ。

マスクして、花粉の一個も防げないならウイルスをマスクで防備しようなんてお笑い草だよね。バレーボールネットでライスシャワーを防ぐようなもの。感染者がツバを飛ばさないことにこそ威力を発揮するのだからマスクは花粉症の人に融通してあげて。

感染症における人間は、スギ花粉症でいうところの杉の木。
スギ花粉症の人が杉がいっぱい生えた密室に閉じこもって、木を揺らしてる様を思い浮かべねぇ。いかに、3密を避けるべきか、換気が重要かがわかるっしょ?

ウイルスのRNAなら紫外線でも容易に壊れるので、お外に出しちゃえば感染のリスクなんてほとんどなくなる。 春だし陽気もよくなってきたし、換気しなー。花粉症にはつらいかもしれないけど。

ヒトヒト感染であるていど市中感染までいってしまえば、生物学的には封じ込めはまず無理。
ワクチン開発には短くても数年、下手したら数十年かかる。薬は効くなにかは出るかもしれないが、そもそも一本鎖RNAはとても変異がしやすい。あまり薬をつかうとすぐに薬剤耐性ついたのがでてくる。ウイルスの増殖や変異、進化は人間の細胞の比ではない。
インフルエンザワクチンを打っても別の型が出たり、毎年打たなきゃいけなかったりすることや、いまだに風邪を根絶できてないことからもわかるとおり、こういうのでパンデミックしちゃったウイルスは根絶は不可能に近い。国境封鎖して、物理学的にも生物学的にも封じ込めれば根絶できるかもしれないけれども、それでも数年はみる必要がある。しかし今回は軽症者や無自覚症状が8割にあたる。正直無理だろう。

ウイルスは宿主を殺してしまうような強毒性のものは共生に失敗している状態なので、長い目で見ると淘汰され、ウイルスとしては弱毒化するほうこうに進化する。人間にも免疫があるから普通は心配しなくていい。今回のようなぽっと出の新人が加減がわからずやらかしてしまわない限りは。

ステンレス上表面でも3日感染力を持つと書いた。だが、ウイルスなんだから保存状態がよければ数千年ぶりにミイラからとか5万年ぶりに永久凍土からでてくるなんてこともあるわけだ。

感染は連鎖する。ブタや鳥のような家畜だと、感染しているしていない、症状でてるでてないに関わらず一帯の家畜ごと殺処分して地中深くに埋めているのはこういうわけ。人間もかつての疫病のときは村ごと焼き払ったりしていた。

疫病とかを本能てきに忌避できる仕組みがあるからこそ人類は継続してきたわけだけど、本能に理性がおいつかないと世界ではアジア人差別や、感染者差別にもつながる未来は容易に見える。ウイルスより怖いことがおきる可能性はそこここにある。

NIHやNIAIDがstableと表現している、ウイルスについて生存とか翻訳して流している国内メディアは害悪でしかない。そりゃトイレットペーパーの買い占めから食料の買い占めまでおこるわ。インフォデミックスの脅威。ほんとだめ。

東京都の緊急会見で国立国際医療研究センターの大曲貴夫氏いわく、

「この病気の怖さというのは、WHO(世界保健機関)が出している数字にもありますが、8割の人は本当に軽いんです。歩けて、動けて、仕事にもおそらく行けてしまう。ただ残り2割の方は確実に入院が必要で、全体の5%の方は集中治療室に入らないと助けられない。」
www.j-cast.com/2020/03/26383042.html?p=all

間質性肺炎にまでなってしまうと人工呼吸器でもなかなか血液に酸素を送り込むのが難しいそうで、子供の頃から笑わせてもらった志村けんさんが心配である。

喫煙がリスクをあげているとの不確かな情報。
また、70歳以上、これは不確かなことを書き連ねるが、日本株のBCGのワクチンのせいじゃないかとかもオーストラリアではいきなり医療従事者に臨床試験はじめたとかでてて理解がおいつかない。
菌性のBCGでなぜかラッキーなことにロシアと日本のBCGのワクチンでなにがしかの免疫を得ている可能性があるのだとか。

あとは、マスクのせいじゃないかとかいう話しもある。
マスクとウイルスのサイズ比を考えても、マスクが防疫の助けになるエビデンスはなんにもないのだけど、感染者数の増加をみるとマスクをする国とマスクをしない国では明確な感染者数増加に影響があるようだ。
ツバが飛ばないとか、上気道が保湿されるので喉や鼻が乾燥しないためウイルスが細胞に取り込めないまま胃に落ちるとかなんかいろいろ言われてるが、いまのところよくわからない。

インフルエンザのように夏になれば収まるという季節性は諦めたほうがよさげ。なぜなら温帯な湿度の高いところでも流行ってるから。

逆に、加湿器が空気中にただようエアロゾルが乾燥をするのを防ぎ感染力を長く保持しつづけるみたいなReportも見た。部屋の湿度はひくいほうがツバは漂わず、口元は湿度が高いほうがいいのか。まあ茶でも飲んでろよと紅茶屋としては押したい。

まあ、あと、なんだろうな、物流や経済がとまるのはリアルにやばそうだ。
見たことない光景になりそう。

コロナウイルスがいくら流行ったところで、一年に一回しか収穫できない米の供給量に影響がでるわけではないのだけど、山手線のように過密に過剰最適した社会において、幾人かのパニックが引き起こした遅延は、山手線全体を止めてしまうことがあるからだ。実際そうなりつつある。

家内安全、ご健勝ご多幸に。

参考

手洗い
www.mhlw.go.jp/content/10900000/000593494.pdf

マスクについてのお願い
www.mhlw.go.jp/content/10900000/000594878.pdf

国民の皆さまへ(予防・相談)(密を避けて外出しましょう)
www.mhlw.go.jp/content/10900000/000610429.pdf

新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために – 厚生労働省
www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601720.pdf

身のまわりを清潔にしましょう
www.mhlw.go.jp/content/10900000/000614437.pdf

三鷹市:不況対策緊急資金融資あっせん制度
www.city.mitaka.lg.jp/c_service/004/004016.html

新型コロナウィルス感染症対策経営相談窓口の設置のお知らせ
www.mitaka-s.jp/shimin/20200326.html

New coronavirus stable for hours on surfaces
www.nih.gov/news-events/news-releases/new-coronavirus-stable-hours-surfaces

豪 BCGワクチン 新型コロナウイルスに有効か臨床試験へ
www3.nhk.or.jp/news/html/20200327/k10012354671000.html


COVID-19コロナウイルスと経済毒


ウイルスを殺すことはできない。
なぜなら、ウイルスは生きていないからだ。
ウイルスは生物ではない。

世間をみていると知識人とおぼしき人でも菌とウイルスの区別がついているのかいないのか、ウイルスを除菌などといってるのを聞く。ウイルス対策ソフトのことをウイルスソフトと呼称する人がITの専門家と名乗る程度に不安になる。菌とウイルスはまったくもって別物だ。

私は感染症専門医ではなくただの街の紅茶屋さんでしかないが、学部生だったときバイオハザードが設置されている研究室にいたこともあるので、なんとなくだが、この世間に賑わいというか、誤解というか狂騒の前提とされている知識に偏った部分を見咎めてしまう。

正しく畏れるなんていうが、ウイルスと菌の区別がついているひとのほうが少ないであろう現時点で政治家がとんちんかんな対応をするのもやむないことなんじゃないだろうか。

ウイルスって?

生きているという定義には当てはまらない。
生物と非生物定義の間におちたような、あえて言うなら半生物である。
ウイルスは生物の細胞増殖に相乗りする形で増える。
生きていないので殺すことはできない。
だが分子なので壊したり、不活化させることはできる。

中国語ではウイルスのことを生物毒と書くようだが、まさに毒のようなものだ。
お薬が生き物ではないように、生き物がそれを取り込むことで作用する。

バイキンと混同される。どちらも目に見えないほどものすごく小さいという点では同じだが、大きさのスケールはまったくもって違う。

アニサキスのような寄生虫を数ミリとするなら、カビ(真菌類青カビ)は0.1ミリ、菌(大腸菌)は0.002ミリとまさに目には見えない小ささだ。だが、ウイルス(ノロウイルス)の大きさはさらに小さく0.00003ミリしかない。コロナウイルスは0.0001ミリメートル。ちなみに、スギ花粉は直径28~45マイクロメートルだそうなので0.03ミリはある。

ウイルスがどれくらい小さいかというと、よく喩えられるのだがウイルスは素焼きの植木鉢をどこにもひっかからずに通り抜けるぐらい小さい。水がしみ出る程度の隙間があれば余裕のよっちゃんでおいっす!って顔パスするのだ。マスクは効果ないとか言うのは、ある側面からは当然でN95マスクのような業務医療用マスクのように息苦しさがあるものでも95%程度の補足効果しかない。息ができないと死んてしまうので、そのギリギリのところで確率的にあるていどはひっかかるってぐらいのことを期待するしかない。

菌類や真菌類が出す毒素は人間にとって害をもたらすものだけれども、取り込む時点で数百万単位で増えた状態で体にとりこまないと毒にはならないので、多少腐ったり、カビがすこし生えてる程度なら人体には問題がないことのほうが多い。人間は自身の細胞よりも、大腸内にいる大腸菌の数のほうが多いので、それらをちょっと取り込んだとしても腸内細菌や、人間の免疫システムが頑張ってくれる。

だが、例えばノロウイルスのようなものは最初にわずか数コもあれば発症に充分であったりする。なぜなら、宿主の細胞増殖に伴っていっしょに倍々ゲームで増えるからだ。

ちょっと脱線するが、菌類でも発病に少ない菌数しか必要としない強毒なものもある。病原性大腸菌などは取り込んだ時点がわずか数百程度で発病に充分であると言われてる。つまようじの先ほどに菌をつければ数時間後には数百万に増える。インドのガンジス川に足をつけただけでアウトというのは本当だ。自分は病原性大腸菌O-1で身を持って学習した。うん。脱線。

菌は生き物なのでその菌が体内で増えないようにすれば、大丈夫だ。
万が一体内で毒素を吐き出すような原因菌が増えてしまっても、下痢や嘔吐で吐き出すことで快復する。

だが、ウイルスは生き物ではない。
どうやって増えるかというと、その宿主の細胞といっしょに増えるのだ。
つまり、体内に取り込まれたウイルスが増えないようにするには、その感染してしまった細胞を免疫系が破壊してくれるのをまつか、あー、なんだ、その宿主の細胞そのものが増えないようにするしかない。つまり宿主の死だ。

鳥インフルエンザや豚コレラ(最近は豚熱と呼ぶようになったそうだ。)や口蹄疫などはウイルス性の疾患である。だから、一帯まるごと感染しうる動物ごと殺処分してしまうのだ。ウイルスに感染した動物が、今度はウイルス増殖まきちらし装置になり、ゾンビウイルスよろしく、感染を広げるからだ。

ワクチン

ワクチンは発明である。
それまでの対策は、死病が出たら村ごと焼くというものであった。

もしコロナウイルスで騒いでおきながら、麻しんや風疹の混合ワクチンや、子宮頸がんなどのワクチンを打っていないひとがいたらまず行け。

インフルエンザワクチンを打っても効かない、あんなのは意味がないという人がいる。またワクチンが後遺症をおこしうるものなので危ないという人もいる。

だが、前述でウイルスの特性を説明したとおり、ウイルスが体内で増えてしまうと、あとは免疫系ががんばってウイルス細胞を破壊しつくせというぐらいしか方法がないのである。しかも、感染してウイルス増幅装置と化した個体は、他の個体にウイルスを伝播させるための中継装置となる。人間の場合は感染個体をゾンビのように殺処分するわけにはいかないので、できることは快復を望み隔離するぐらいしかない。

そもそも、ワクチンの有用性は、ウイルスを拾っても免疫系が効率よく仕事をしてくれるようになるので、重篤化しないという点で有用なのだ。免疫が仕事をすれば、他人にも感染させずに済む。
逆の言い方をすると、ウイルスの感染脅威を知りながら無策であることは、合併症、後遺症どんとこい!人にも染してやるぜ宣言だ。受験生が居る家庭のインフルエンザ持ちのようなものだ。

だが、世の中にはそもそもワクチンがないものも多くある。
今回の新型コロナウイルスCOVID-19だけでなく、中国を中心に猛威を奮っているまだなんの類似属だかもわかってねぇアフリカ豚コレラなどだ。

こういう誰も免疫をもっていないウイルスに感染すると非常に致死率が高い。エボラ出血熱や、たとえばまだ出現はしていないがヒトヒト感染型の鳥インフルエンザなどが発生した場合は、もしかしたらいくつかの文明が終焉をむかえることになるだろう。

新型コロナウイルスはヒトヒト感染をして、感染力が非常に高いものであるが、死亡率は1~2%程度である。MERSやSARSと比べると致死率が格段に低く、無症状の人もおおいため感染者数は増えたが、まあやがて抗体を獲得する人間があらわれてワクチンとかもつくられるかもしれない。

ウイルス兵器説

あほらしい陰謀論だ。
学生時代、医学部の子が「現代医学を学んでても風邪の原因が何かもわからないんだ」と言っていたのを思い出す。
咳が出る風邪のうち何%かはコロナウイルスかもしれんが、そもそも我々はそれがなんだかはわかっていないのだ。死亡している人は多くいるが、現代の医学水準では肺炎と記される程度である。

武漢にBSL5の研究施設があり、そこから秘密裏に開発していたウイルスが漏れたんじゃないかなどの話しがあったが、そもそも、高いBSLの研究施設がなければその原因ウイルスを単離することも同定することもできやしない。なんだかわからないけど達の悪い咳や肺炎が今年は流行ってるねで終わっていた可能性は高い。

日本でも数年前から変な咳をする人が多く、また去年の暮れぐらいにもまだ20代なのに肺炎で入院したとかいう話しも聞いた。だが日本には高BSLの施設は数カ所しか無く、たとえそのような肺炎が流行っていたとしても、それらの未知の病理ウイルスを特定できる可能性はとても低い。お金も人もわりふってないんだからできるわけがねぇ。

そもそもヒトヒト感染が始まり感染母体が数万を超すならば自然界(人間界)で合成される変異率のほうが高いのではないか。ウイルスをデザインして合成してばら撒いても、市中に広がればデザイン通りに広がりはしない。

要人やその周辺を暗殺する致死率の高いウイルスであればまだわからなくもないが、今回のように市井までパンデミックするウイルスだと制御はできまい。

ウイルスは感染を繰り返し変異の過程で宿主と共生できるように弱毒化、無害化する。
そもそもウイルスをコントロールできるなら、ワクチンも抗ウイルス薬も作られてる毎年インフルエンザでこんなに感染者でてない。

まあ、可能性として、中国で急速に進む高齢化をなんとかするぜぐらいの選民テロであれば、抗体獲得できない老人から殺していく恐ろしいウイルス兵器という可能性は排除できなくもなくはないけど、まあ、なんだ杞憂。

マスク

言われてる通りじゃないの。手を顔に触れないようにするぐらいの効果はあるし、口腔域の湿度高くするとかぐらいの効果はあるよ。電車にのるならどうせなら手袋でもしたら?

不潔ルート、清潔ルート

最近コロナウイルス関連のニュースを聞くと、さもありなん。というか、むべかるかなを連呼する病になてしまった。なるべくしてなってるとしかいいようもない。

不潔ルート、清潔ルートが紐でわけられてるだけじゃねぇかって盛大なつっこみがあったが、私が気になったのはその床の絨毯だ。

病院や学校の床がリノリウムなのにはそれなりに意味がある。
ウイルス吐き出し装置と化した人間が吐き出すウイルスは床とかに貯まるわけだけど、そこが絨毯だと長く溜まったうえに、歩くたびに静電気とかで巻き上がるわけですよ。

通常のコロナウイルスはアルコールや熱とかで不活化できるみたいだけど、自然界の場合は8日程度は感染力を持っているらしいので、不潔ルートを通るたびにそこにウイルスが溜まり続けて巻き上がる。

絨毯に香料でも撒いて、匂いがその一帯からいつしなくなるか考えればいい。その匂いが広がる範囲が匂いの分子が巻き上がってる範囲だ。匂いが消えるまでがその分子が壊れていない時間だ。

せめてひっこし業者のように養生するだけで、結果はだいぶかわるのにと思う。

絨毯とかはアルコールとか酸やアルカリで清拭できないから不活化されないウイルスがいつまでも貯まる。 ウイルスは生き物じゃないから、紫外線とか酸やらなんやらで壊すか壊れるのを待つかしないとだめだけど、まあ絨毯ひいてるうちは無理だよね。むべかるかな。

経済

実は、新型コロナウイルスはそのうち風物詩になるでしょぐらいで心配してないんだけど、経済がやばい。関節被害のほうがよほど死人が出る。

台風被害、消費税増税でリーマンショック級の気配がでてるところ(何でも戦後3~4番目に悪い数字だそうだよ)ここに、新型コロナウイルスが来たので、多分数字としてはリーマン級になる。
これは日本で上場企業が30社潰れる程度。

2002年の3、4ヶ月で封じ込めに成功したSARSの経済被害が3兆4,000億円の経済被害だそうなので、中国は当時のGDPから7.8倍になってるので、26兆5200億ぐらいの被害にはなるのかなと。

それで、忘れられてるけど、普通の豚コレラじゃなくて、まだなんだかよくわかっていないアフリカ豚コレラが中国でアウトブレイクしてるんじゃないかという話しがあって、この検疫をミスると日本の養豚産業も終わる。

東京オリンピックでそもそも経済被害が予想されてたところに、これがおっかぶさったので、結構、深刻。

参考

www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html

『続・人類と感染症の歴史』の第9章「SARSとMERS」を公開します。
www.maruzen-publishing.co.jp/smp/info/?action=detail&news_no=19784