新型コロナウイルスの空気感染と換気


最前線の現場で汗を流してくれている方、昼夜を惜しんで研究をしてくれている方々のおかげで、脅威に対して日々新しい知見がたまりつつある。
デルタ株以前では「3密を避ける」が新型コロナ対策の肝であったが、感染者からのウイルス放出量も感染に必要なウイルス量も少ないデルタ株の趨勢が流行の主流になると、対策もアップデートする必要があるようだ。

Airborne transmission of respiratory viruses
science.sciencemag.org/content/373/6558/eabd9149

コロナウイルス感染は飛沫感染が主で空気感染はしないものと考えられてきたが、水疱瘡並みの実行再生算数を示すようになり、ここにきて空気感染の定義にも手をつっこんで見直しが必要となったそうだ。

下痢や嘔吐、発熱を起こすノロウイルス感染症という病気がある。
ノロウイルスは感染に必要なウイルスの数(ウイルス力価)が非常に少ないことでも知られている。感染者が残した吐瀉物などを掃除しただけで感染する。汚物が残されているわけでもないのにトイレを共同利用などすることでも感染するのだが、この対策で有効なのがトイレを流すときはトイレのフタを締めてから流すことだ。というのも、トイレのフタを閉めずに水を流すと、非常に細かい粒子が舞い上がり30分程度トイレ内に滞留する。これが原因でトイレを利用した人が感染するというわけだ。

さて、新型コロナウイルスのときに、なぜノロウイルスの話しをしているかというと、この空気力学(流体力学)に則った細かい粒子の振る舞いをコロナウイルスでも意識することが必要になってきたからである。デルタ株においても、ウイルス力価が下がり、非常に小さな空気中に滞留するコロイドを吸い込むことで、感染を成立させることがわかってきた。

ノロウイルスの場合、腸管の細胞に感染し、そこで増えるため嘔吐や下痢という症状につながる。コロナウイルスの場合は、上気道(喉)や下気道(肺)に感染するために、咽頭痛や肺炎を引き起こす。

感染者の唾液による飛沫であれば、肺の奥深くの細胞に感染を成立させることは難しい。
飛沫のみを考えた場合、実際に必要なソーシャルディスタンスはわずか20cmで、咳をしたときでさえ50cmということだ。
だかそれが100μmのちいさな飛沫になると、2メートルのソーシャルディスタンスを必要だったわけだ。そしてさらに小さな5μm以下の微細飛沫になると、飛沫が小さすぎて自重で落下しない空気中を漂うほこりのようなものになる。そうなると、重要なのは距離ではなく、その空間における飛沫の存在確率。吸い込む確率となる。

ウイルスを含んだ飛沫を吸い込む確率を下げる方法は簡単で、その空間にウイルスを吐き出す人を招かないこと、ウイルスを吐き出す人の口にマスクをさせ飛び散る量をへらすこと、吸い込まないひようにマスクをすること。そして、換気をすることである。換気がされない空間ではひたすら空間中のウイルスは増え続けることになり、感染をしないというのが難しくなるのだ。

肺胞、気管支、喉頭、口腔から吐き出されたエアロゾルはその大きさが5μmだと地べたに落下するのに33分かかり、それが1μmになると12時間以上空気中にとどまることになる。

さてさて、誰にも会っていないのに感染したというニュースが多くなってくると思うが、5μmの微細飛沫からの感染を考慮しなければいけない場合は、数十分前にそこに居た人とのソーシャルディスタンスを考えなければいけなくなったわけだ。誰も居なくても使い古された空気を使いまわしてたら感染するということだ。

飲食店では机や椅子についているからと手指消毒やアルコールスプレーによる表面消毒が感染症対策としてなされているが、コロナウイルスが感染するのは上気道と下気道。指先や胃から感染するわけではない。

もちろん、指先についたウイルスを目や鼻、口にもっていくことで、そこから呼吸に乗って感染することがあるので、手洗いは非常に重要だ。だが、まだ空気中を漂ってるのに、机を拭けば消毒が完了するわけではない。

感染者うちメガネをしている人の割合には有意に差があるそうだ。これも目から涙腺を通って鼻腔に流れたウイルスが呼吸によってエアロゾル化して下気道にはいるためなんていう推測がなりたつ。

喋ることにより放出されるエアロゾルを考えられると黙食が有効となるだろう。
食事中はしゃべるなという昔ながらの日本のマナー、挨拶は握手ではなくお辞儀、家で靴を脱ぐ、人があつまる神社などには手水場がある、などなど、もともとアジア圏の土着病なのであるから、なんてことはない、昔しながらの知恵は現代でもやくにたつ。

換気と二酸化炭素センサー

さて、今そこにいない人とのソーシャルディスタンス。非常に難しいように思えるかもしれないが、なんのことはない二酸化炭素センサーを使えばすぐ解決する。

人間は酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す。吐き出した二酸化炭素はすぐに拡散するが、そこが換気の悪い密室の場合、その空間の濃度はあがっていく。密閉された車などで長時間ドライブなどをすると眠気を覚えるのはなにも退屈だからというだけでなく、二酸化炭素濃度があがっているのだ。会議で眠くなるのも部長の話しが退屈なのではなく、二酸化炭素濃度があがっているからだ。

二酸化炭素センサーはうちのお店でも仕入れ取り扱うようにしている

ポケットCO2センサープロ

item.rakuten.co.jp/hagurachaya/co2lite-627/
item.rakuten.co.jp/hagurachaya/co2pro-628/

当初はパソコンで使えなかったので、USBキャプチャとか質問とかしてブラウザで動くようにもしたら、先生がAPIを公開していただけるようになった。ありがとうございます!

あと、その他にも自分でも複数台買って試したのだが、5000円程度で販売されている二酸化炭素センサーの中には二酸化炭素センサーなんかそもそも積んでいないものも多くある。(電気通信大が粗悪なCO2センサーの見分け方を公開、5000円以下の12製品中8製品はCO2ではなく消毒用アルコールに反応 jp.techcrunch.com/2021/08/12/uec-co2-sensor/)、購入の際にはご注意されたし。ポケットCO2センサーは自分も取り扱っているので保証するが、それ以外を買うなら国産のをおすすめしておく。火が消えるほどの濃度の二酸化炭素下においてもまったく反応しない商品をみたときはびっくりしたけど、そんなのが2/3だ。計量法でなんとかならんのか・・・。

モバイルバッテリーに挿して、かばんとかのサイドポケットに入れておけば、その場その場の空気の淀み具合を数値で目視できるし、換気するにもどの程度で空気が入れ替わるのかを数値で体感することができる。その地域の緑化の度合いもわかるのだ。将来も重要なアイテムになると思う。

ついでなので、書いておくが、二酸化炭素センサーのUSB受信についてはオープンソースにもしておいたので好きにつかって活用してください。
kuippa.com/co2/
github.com/kuippa/CO2webUSB

エアクリーナ(hepa purifier)

エアクリーナーを部屋の真ん中に置くほうが効果が高いそうだ。
正直、ウイルスサイズの微粒子には空気清浄機はまったく効果がないものだとおもっていたので、私にとっては意外なレポートだった。

気温は低温のほうが安定するのはコロナも同様であるので、冬に流行が再拡大するものと考えられる。本日現在のワクチン2回摂取完了率は43.8%、ほんとワクチンが間に合いそうでよかった。

本当によかった。
ちなみに私もワクチン接種完了したが、発熱で2日ねこんだ。ブースターでまた打たなきゃいけないのだとしたら嫌ではあるが、世界の趨勢を見ると、それでも打つべきだと思う。

先日、駅に行ったら、上位当選してた市議会議員が反ワクチンの演説をぶっこいててこいつマジかと思ったが、皆様におかれましては正確に情報にあたられますようお願いいたします。

レジなどに張られている透明のフィルムやパネル

室内での咳やくしゃみによる飛沫の飛散を防ぐために設計された物理的なプレキシガラスの障壁は、空気の流れを妨げ、さらには高濃度のエアロゾルを呼吸ゾーンに閉じ込める可能性があり、SARS-CoV-2の感染を増加させることが示されている

そんな気はしてた・・・。でも、逆効果とまでは思ってなかったな。
まあ、日本では感染対策のポーズとしてやられてる節があるから、もはや撤去は困難だよね。火災になる例もあるそうで、消防的にもよくないらしいけど。

相対湿度・温度

滞留時間はストークスの法則(Stokes’ law)にしたがうそうだ。

空気の動的粘度に反比例する、粘度が高いと、滞留時間は下がる。
同じ温度下の場合、空気の絶対湿度が高いほうが粘度が下がり、同じ絶対湿度の場合、気温が高いほうが粘度があがる。湿度は低く、気温が高いほうが滞留時間は短くなる。

だが、コロナウイルスの特性として、高温で不活化しやすく、温度が低いほど生存性は高くなる傾向があるので(https://www.saaaj.jp/covid/pdf/covid02.pdf)、ここでは矛盾があるように見える。

感染流行当初、加湿器について意見が割れていた。
長い時間軸でみればウイルスの不活化スピードをあげるので使うべきだが、短い時間軸で見た場合、微細エアロゾルの乾燥を妨げ感染性を延命させてしまうというような論だ。

なるほどウイルスの空気中の滞留時間を取るか、放出後の不活化時間を取るかの問題で、どちらがより効くのかの話しになる。
その空間に人いるかどうか、どれくらいの時間滞在するのかで判断する必要があるのかもしれない。

個人的には、湿度についてはまだよくわからないので判断を保留にしたいが、今後も注目すべきパラメーターだとは思っている。たぶん皆さんが研究してくれることでしょう。

また肺より上気道のほうが温度が数度低いので、ウイルスはより上気道で増える。低温はウイルスに有利と示唆されている。

あと、冬場のような湿度が低い場合は粘膜繊毛のクリアランスが失われるのも影響する。温度湿度は今後も注目すべき変数だ。

紫外線について

微細飛沫に含まれるようなウイルスは、紫外線で容易に不活化し感染能を失う。だから、家の外に換気で出した空気による汚染に心を痛めることはない。

人工的に紫外線による滅菌装置(よく大腸菌などを滅菌するのにつかわれるので滅菌ランプと呼んだりする)は、それなりのトレーニングを受けていても、扱いにはそれなりに気を使う。というか、それを使う研究室にいた自分は自宅にはそれは置きたくはない。

最近はスーパーのレジのカゴに滅菌装置を取り入れたはいいが、使い方の理解が足りず、やけどを起こしたというような事故もあった。菌やウイルスのDNAやRNAを壊せるということは、細胞のDNAも損傷するわけで、やけどや皮膚がんにつながるなんてこともありうる。

ちょっと取り扱いが難しいので特殊な波高の紫外線ランプとか、エアコンや空気洗浄機とかに据え付け密封型で人が触れるところがないもの、そういう製品が安定化することを待つばかりである。

「99.99%の不活化に必要な時間は、数時間から数ヶ月と様々」、数ヶ月も感染性を有しているとなると、ウイルスの不活化を待っていてはだめな空間がある。

まあでも、水槽用とか植物用の紫外線ランプぐらいならほしいなとか思ってたりする。

参考

Airborne transmission of respiratory viruses
science.sciencemag.org/content/373/6558/eabd9149

(和訳)
気道に感染するウイルスの空気感染について
minerva-clinic.or.jp/covid-19/about-infectivity/airborn-transmission/

「コロナは空気感染が主たる経路」 研究者らが対策提言
www.asahi.com/articles/ASP8W6KSKP8WULBJ00H.html

FAQs on Protecting Yourself from COVID-19 Aerosol Transmission
docs.google.com/document/d/1fB5pysccOHvxphpTmCG_TGdytavMmc1cUumn8m0pwzo/edit

CO2濃度による換気の監視
covidco2jp.wordpress.com/2021/01/26/faq/

CO2モニター製品比較表
covidco2jp.wordpress.com/2021/01/17/co2/


二酸化炭素センサーとコロナと農業


二酸化炭素センサーを仕入れて取り扱うことにした。商売としては、紅茶屋がそれを扱ったところであまり売れる気はしていないのだけど、商店街に導入したりして実証実験なんかしたりしてたので応援的な意味合いがつよい。つおぃ。

恒常的に対策が必要になり続けるであろうコロナウイルス対策として、換気は重要な対策になる。はず。密な空間では二酸化炭素濃度があがる。二酸化炭素濃度が高い空間は脳みそが働かなくなったりするので、二酸化炭素濃度に注目があつまればいいなと思ってる。

comment

世間では4000~8000円ぐらいでモニター付きも売っている二酸化炭素センサー。アンドロイドに繋いで使うセンサーガジェットで13、270円は、結構お高い部類。・・・。・・・大丈夫だろうか。ロットの関係で50台も仕入れちゃったので頑張らないとね。お願いします買ってください。あ、でも、もう少ししたら、液晶wifiつきの3万ぐらいのPro版も出ます。あ、でもLiteも買ってほしくて、あわわわ。

ちゃんとしたセンサーを積んでデータ・エクスポートできるやつは10万以上コースなので、それからみればだいぶ安いはず。(感覚がだいぶ麻痺してる)

コロナ前、スマートアグリ界隈でオランダ農業の現状をレポートしてもらって、あちらの農家は二酸化炭素を火力発電所とかから買い取ってるとか聞いた。日本のハウス農家さんも二酸化炭素濃度が高いと収量目に見えて違うので周りの農家にも勧めてるんだけど、みんな聞いてくれないんだみたいなぐちを聞いた。そんなわけで、スマートアグリ界隈のIOTまじで楽しそうと、少し踏み出したわけさ。市販の二酸化炭素センサーをあれこれ買ったり、ハードを作ってもらったり。

Arduino型試作機1号

このCO2センサは2波長(測定用、リファレンス用)なのでセンサー部分だけで結構お高い。SDカードにデータを吐き出すタイプ。三鷹ハードウエアカフェの代表の方に作っていただいた。まずはデータの観測をして意味のありそうな、データを集める用。

密閉空間にぶっこんで野菜の発芽量とか水耕栽培とかいろいろ試したのだけど、収穫量うんぬんの前に衣装ケースぐらいの装置で光量も一定じゃないからそもそも意味ありげなデータが取れなかった。重曹とか使ったりして簡易的な二酸化炭素発生装置をつくったりしたんだけど、考えたら二酸化炭素って水にも溶けるのよね。まあ、いろんな植物育てたりして試行錯誤。

それと平行して、水耕栽培とか農業IOTとかの既刊本を買ったりして勉強してたら、先行している団体がRaspberry Piを使ったオープンフレームワークとかオープンソフトウエアとかを公開されている結構しっかりした先行取り組みがあって、敵わないなというか、そのレベルにまでキャッチアップするのにすら何年もかかりそうだなと思ったりなんだり。

そうこうしているうちにコロナ騒動が始まってしまった。
クラスター感染が話題になったので、そんなの二酸化炭素でトレースできんじゃんと、ちょっと視線を変えて、町中の商店や塾、飲食店、クリーニング屋など、あちこちにも置かせてもらいあちこち測った。昨年の1月頃、うち本業(?)は紅茶の茶葉屋さんだし、商店街の役員もやってたりするので困ってる飲食店とかから相談が。

結構、二酸化炭素濃度が高いところもあれば、薪ストーブみたいなおしゃれなものを使っているのに全然高くないところとか様々だってのがわかった。ちなみに我が家のキッチンは酷くてガスコンロは使うわ、ガスストーブは使うわでそりゃ食後眠くなるわな濃度だった。

市販でやすそうな二酸化炭素センサーもちょい買ったりもした。
8000円の時計付きのPM2.5を測れる二酸化炭素も図れる時計みたいな某装置をアマゾンでぽちったらシンガポールから発送されてきた。メーカ名がそもそも謎で(同じ外観なのに違うメーカ名で複数登録されてたりする)製造元も謎。発送元の住所からたどったり。ちょっとあれこれ辿ったら、中国の深センに製造元っぽいところをみつけた。仕入れられないかなって思って、慣れない中国語でコンタクトとってみたんだけどコンタクトに失敗。

まあ、それも結果よかったかな?
1年ぐらいでモニターが薄くなるし、時計も日本だと怒られそうな精度だし、計測しているのも二酸化炭素なのか正直わからない。20,000ppmぐらいはあるはずの呼気を吹きかけても2ppm/秒づつ謎にカウントアップしていくなぞ仕組み。ループで実測値と比較して++かーーしているのかな。なんとなく500ppmとかなんとなく1500ppmとかぐらいはなんとなく環境値でなんとなく何故か揃ってる気もする。なんとなく換気をするとなんとなく下がるし。なんかすごい。換気の目安を図る程度なら実用には足ると思う。

換気程度に毎秒のppmをリニアに観測できるほどピーキーなセンサーである必要はないような気もするし、センサーだけで万円する赤外線吸収式も結露や湿度で値がとれなかったり、なんか変な値を拾っちゃうこともあるので液晶ついて一万円以下だったらお値段相応だとおもう。

日本でこれらを開発したり販売しようとすると、製造者責任法とか計量法とかPSE(電気用品安全法)とかいろいろある。もし中華バッテリーが原因で火災とかになったら販売店も偉いこっちゃになる。うちは仕入れて売っただけなんでとかはなかなか言えない。なのでそれら管理団体に相談したりして二の足三の足ふみふみしてしまった。ただのうちみたいなお店がハード販売にちょっとでも手をだすのはとてもリスキーなことだ。やるとしてもキットで売って組み立ては本人がとか、あれこれ思索したりもした。

そうこうしているうちにコロナ第二波、第三波で実務もてんやわんや。
そして年末コロナ緊急事態宣言。
仲間の飲食店もばたばた閉店し、休業し、そして近隣の飲食店でもコロナの人が出たりして保健所指導で二週間強制休業イベントなど多発。リアルに新型コロナの足音がするようになる。

そんな中、アンテナを貼ってたら電気通信大学の先生が二酸化炭素センサーを開発したとの報道があり。ちょっと近所で馴染みのある大学だったので、さっそくお問い合わせ。先生がうちのご近所にお住まいだったので、お話しがすすみ、試作機をうちの近所のお店に導入したりして、現在に至る。

わたしが使っているのはiPhoneなので、アンドロイドでガジェット接続とかしたことがなく、OTG接続で躓いたりして、これは・・・難しいぞとか思ったり。試作機は試作機でキャリブレーションとかにSerial通信とかが必要で、素人には無理だなと。俺がリアルに行けるお店とかでしかおけないなとか思ってたのだけど、100円ショップでUSB micro-B to type-Aのコネクターが売っているのを見つけて、「・・・あれ、アンドロイドじゃなくてwebUSBとか使えばパソコンにぶっ刺してうごかせんじゃね?」と試行錯誤してみたら、結果、PCでもデータが取れるようになりましたとさ。導入の敷居が下がりそうなのでいっちょ仕入れて売ったろうに至ったわけです。どうも世界でも、まだあんまやってるひとがいないwebUSBやwebSerialの技術的なお話しはまた今度。

ご購入の際には、楽天かヤフーかアマゾンのはぐら茶屋ショップからお願いします。
item.rakuten.co.jp/hagurachaya/co2lite-627/
だいじなことなので2回め!!


(2)Covid-19をPlague Inc Cureモードで振り返る


前回のつづき

日本はファイザー&ビオンテックのBNT162B2、モデルナのmRNA1273かな。

欧米では600万人以上、イスラエルでは国民の半分以上のワクチン摂取がなされた。ワクチンの接種率の高い、イスラエルと英国の動向に注目して現状をみてみる。

イスラエル 感染者数
イスラエル死者数
UK感染者数
UK死者数

接種率が高いのに数週間なかなか感染者数も死者数も落ちなくて、心配していたのだがようやく明確に落ちついてきた。これがどこまでドローダウンするか注視する必要がある。

ワクチンは摂取者については重症化を抑えたり、発症したりするリスクは確実に減らしてくれているようだが、感染性を抑えるかについてはまだ十分なデータがないので、逆に接種者が無症状軽症化することでスーパースプレッダーになっちゃってるんじゃないかとか、あるとすればそんな心配をしている。

さて、Plague IncのCureモードにからめて現在の状況と照らしあわせてみよう。

事業

  • 疫病の発見
    • アウトブレイクを調査(地域での伝染病のアウトブレイクを見つける)
    • 政府パートナーシップ(地方自治体の職員と連携し伝染病の発生を見つける調査員チームの設立)
    • アウトブレイク諜報機関(地域での伝染病の発生を検知する監視局を承認)
    • 現地調査員配備(対象国への監視と対応を強化するために配備)
    • 緊急ケア(専門医を配備する)
    • 感染制御(伝染病封じ込めの専門医を配備)

結局WHOの調査員が現地に調査員チームを派遣できたのは、武漢が閉鎖されてから1年以上が経った今年1月14日になってからだ。四週間にわたり最初のクラスターが発生した海鮮卸市場とは”別の”市場と、コロナウイルスに勝った記念展示会を視察して「武漢病毒研究所からウイルスが流出した可能性は低い」との見解だけ発表して視察を終えた。

日本や世界が新型コロナウイルスのアウトブレイクを検知したのは香港と、香港経由で英国船籍のクイーンエリザベス号での発症を契機にしている。武漢の突然の都市封鎖、それに伴い武漢からの引き上げチャーター便に乗っていた在外邦人800人ほどだったのでサンプリング十分で、これは市中にだいぶ広まってるぞとわかったのだ。つまりアウトブレイクを感知したときには、複数国でのアウトブレイク、パンデミックになっていた。

そしてWHOがパンデミックを宣言したのは3/11を過ぎてからだった。武漢が都市封鎖された1/23から、じつに一ヶ月以上経過したのちである。

専門医の配備状況はどう評価できるだろうか。
うちの商店街にあるクリニックの先生はDMATとかでも災害時、頑張っておられて、最初は病院をしめてなんかやってたみたい。市内の専任対策チームみたいのをつくってそこのリーダーをやってるとまでは人づてで聞いている。ローカルま医師会は結構がんばっているみたいだ。中央の医師会は・・・みなさんご存知のとおり。

毀誉褒貶、功罪あるが日本で専門医としての最初の先駆者は岩田健太郎氏だろうか。 医師ではない医学博士とか、科研データベースに出てこない大学教授とか、おらもう帰るどの先生とかがテレビなどでは重宝されているようだ。
忽那賢志氏とか、最近だとアメリカから木下喬弘氏とか峰宗太郎氏ががんばっておられる。8割おじさんのときもそうだったが、それでも害するような予告とかが行ってしまうのは”いろんな人”への暴露率の問題なのだろう。

  • リスクコミュニケーション
    • 国民に警告(季節性インフルエンザよりもはるかに深刻な伝染病であることを強調)
    • 国民アラート(ウイルスの危険性を再強調し、人々に真剣に嘆願する)
    • 現地調査員の配備(対象国へ監視と対応を強化するために配備)
    • 実地調査(科学研究者を配備する)

東京アラートはよりにもよって一番いらんタイミングで発出され、終了した。 「安全より安心」の実績は伊達ではない。三密とかそういうポップ作りは、うまいなと思う。「三密」みたいに伝える内容があってさえいれば、イソジンも東京アラートも機能したことだろう。メディアハンドラーとしてはやはりとても優秀だ。

季節性インフルエンザより深刻な伝染病であることを強調していた政治家はいただろうか?
日本の第一波で比較的感染者が抑えられ国民が病気に対して警戒できたのは志村けんさんのショッキングともいえるアナウンスメント効果に他ならなかったと思う。志村さんの件がなければもっとひどいことになっていただろう。

逆にインフルエンザはもっと死んでるとかとんちんかんなことを言っている人すら居た。日本で感染拡大をさせるためにインフォデミック任されてるのかなとすら思ったものだ。というか、たぶんそうなのだろう。発言する本人に自覚はなくとも、そのような発言をするひとをキャストしてきた選好の結果だ。

対象国への監視は弱められ、調査員の配備はなされなかった。そういうことなのだろう。 安心させるのも、科学的事実を伝えるよりも、そちらのほうが金になるのかもしれない。だが、なんとも酷いもんだ。

  • ワクチンの開発
    • ワクチンの研究開始(ワクチンの開発を開始する)
    • 研究加速(緊急雇用プロトコルを実装し実験室を転用、24時間フル稼働体制に)
    • 国際研究条約(国際協定によって透明性のある知識交換とリソースの効率的な分配)
    • ワクチンの製造(大量のワクチンを作成するために必要なインフラ、人員、機器を確立)
    • 製造加速(緊急の人員配置対策と高度な生産設備の使用)
    • 国際製造条約(国際協定によって工場のネットワーク、超コールドチェーン、製造リソースの共有)

正直、mRNAワクチンとかベクターワクチンだの組み換え蛋白ワクチンなんて、今まで聞いたこともなかった。
せいぜい生ワクチンと不活化ワクチンぐらいなものだ。それがこの1年で一気に臨床を終え、承認にまで載った。いったい誰がmRNAワクチンの実用化などというものを数年前に予想しただろうか。

それを持って危険だと論ずる人もいるのもわからなくもない。自分も20年ぐらいまえに細胞工の研究室にいたことがあるので基礎教養はあるのかもしれないが、それでもそれがなんのこっちゃわからない。現実に? 正直、もいっかいゼロから勉強し直さないといけないぐらい隔世の感がある。さっぱりわからない。

研究加速に軍事技術が使われたことは想像に難しくない。軍事研究をおこなっておらず、軍属に対して人権を無視した臨床をおこなうこともできない日本では開発で数歩も遅れてしまうのはやむえないことだ。製造加速で貢献できればいい。

ワクチンの心配。アナフィラキシーショックだの、逆転写がおきて自分の遺伝子が書き換えられてしまうんじゃないかみたいな話しはおいておくとして、私が心配するのはワクチンを打てた層と、打てなかった層の分離である。

集団免疫に達し、世界中から根絶するまでおそらくワクチンを定期的に打つことが要求されるものになるだろう。だが、すべての国々や悉皆な人々には打つことができない。RNAウイルスなので変異も多く、しかも人獣共通感染症だ。つまり根絶する未来が存在する確率は低い。

貧困国では平均寿命を数歳押し下げる要因として残り続けるだろう。それはある意味でいままでどおりなのかもしれない。
先進国では、打てた層は感染しても発症もせず感染しても重症化もしない。だが打たない選択をした層や、経済的に打てない層にとっては無症状感染者は脅威の存在だ。

活発に経済活動に復帰するワクチン組みが非ワクチン組みには生体兵器になりうる。非ワクチン組みはいつまでも自粛を迫られることになるだろう。ワクチンがあるが故、昔の穢多差別と逆の構造だ。重症化率という性能が違うだけで本質的な性質は風邪だ。どこかでずっと名前(ネームド)の病として残り続ける病に穢れのないひとたちは箱入りにならざるを得ない。

  • 経済対策
    • 一時解雇計画(検疫措置で影響を受けたスタッフ給与を支払い失業手当を増やす)
    • 社会適応(教育、健康、人権を維持する資金、リソースを提供)
    • 住宅ローン及び家賃救済(すべての住宅ローン、家賃の支払いを停止、立ち退きを禁止)
    • 国の景気刺激(訓練プログラムや減税、事業への融資、救済、インフラ支出で経済支援)
    • 的を絞った経済支(大掛かりな総合金融支援)
    • 債務救済(債務の返済猶予を確保)

世界の経済対策は苛烈のひとことだ。マネタリーベース、ストック、ここらへんを調べながらいずれちゃんと見ないといけんですよ。
日本では年末に73兆、その前と合わせると100兆ぐらいのぶっこみを行った。株価が3万円になるのも然り。

日本の雇用制度下や住宅ローンなどの関係で、一時解雇はなかなか難しいため、雇用調整助成金で雇用を維持する方向でばらまきがされた。三次補正で10兆超え、1、2次補正で約2兆8千億。

社会適応支援、テレワーク支援策 ニューノーマルでは、ネットワークの導入は相当ゆるい200万ぐらいの助成金がばらまかれたと聞く。かねてからいろいろな助成がでてはいる分野であったが、国の支援ありなしにかかわらず一気にテレワーク化は進んだ感がある。

企業むけの家賃支援給付金は、逆にものすごく申請が困難な助成金であったようだ。不動産会社と結託して悪さがあるからなどとの建前であったようだが、正直機能不全のように見えた。特に個人のほうはノンリコースローンとかがサブプライムの如く火を吹きかけているようにも見える。外国のように失職とともに住む家を追われたというような話しは日本では目立たないが、目立たないだけかもしれない。注意が必要だ。

景気刺激策。
GoToなんちゃらにあたるのだろうか。これは経済効果はあったようだが結末はいろいろひどかったと言わざるをえない。需要の先食いや普段とは違うターゲット層への対応で売上増以上のダメージがあったとも聞く。反動がひどくなる麻薬のようなものだ。アクセルブレーキの急制動で在庫調整に失敗してピンチになってる会社もあるようだ。

Goto商店街は会の担当であったために一月近くかけて書類等を用意したが採択外となった。中小企業の社長さんたちをまとめるのは大変だし、お金を用意するのはもっと大変だし、あげく、取れませんでしたは地獄でしかない。ほんとこの助成を考えたやつ○○○○よ?

飲食店への給付金や持続化給付金などは的を絞った経済支援にあたるのだろうか。うちも一応は飲食店なので、東京都の時短養成の際には申請したのだが対象外とされた。理由はわからない。電話も通じない。めんどくさいしもういいや。一日6万のほうは、お酒を出すお店ではないのでそもそも対象外だとおもう。持続化給付金のほうはありがたく頂戴いたしました。

債務救済。
条件によっちゃ返済免除の貸付があるようですが、日常の生活維持が困難になった向けの貸付制度がありましたね。個人向けは雀の涙で、申請もきついようです。そもそも知らん人のほうがおおそう。
商工業融資。こっちは貸付先に困った銀行がじゃぶじゃぶで数千万、億円単位で無目的に優良な企業に貸し出してるみたい。目端の効く経営者は目一杯借りるだけ借りてるそうな。なんか貸してくれるっつうから借りちゃったけどマンション買えちゃうよとか言ってる社長さんがいました。こういうのもバブルの要因なんでしょうね。

権限、権威

  • 対策不遵守リスクの減少
    • 権限1(パンデミックを迅速に特定し、世界各国の指導者達に説明する)
    • 権限2(パンデミックを封じ込めるため、国際的な協力と協調を得る)
    • 権限3(パンデミックを封じ込めるため、すべての人々に要請)
    • 検閲(疾病管理戦略に対する国民からの批判を防ぐため、通信を制限)
    • フェイクニュース(誤った情報を広め戦略の失敗を偽装する)

日本では暴動が起きたみたいなニュースがないので、実に忍耐強い国民性ですよね。とにかく重たいものをひっくり返すデモとか割れるものは割るとか、火をつけるとか、そういうのがなくってよかったです。

そもそも政治的にもリーダーがカリスマをもって統治しているわけでない官僚機構なので、みな、行政からのアナウンスには諾々と従うようです。マスクしろっていっただけで乱射事件とかおきない国でよかった。

通信の検閲は、日本ではいまのところ起きていない。フェイクニュースは仕掛けられているけどこれはコロナがというよりは別の要因かな。いや、コロナすらも一環かなと思うと気が重たい。権威が大暴落中の国や、権限全集中の国がわしゃわしゃしてるけど、武力衝突だけはほんと勘弁な・・・。

では、みなさまご機嫌よろちゅー