地方創生とresas ハッカソン


東京で考える地方創生!RESAS API ハッカソンに参加した。2016/11/06(日)と11/13(日)の二日間の09:30 ~ 21:30とちょっとなかなかにスケジューリングが難しい日程。
ハッカソンは年一ミュージックハッカソンしか参加してこなかったのでこの手のハッカソンは初めて。エンジニア、デザイナー、プランナーの3枠での応募だったので、しれっとプランナー枠で応募した。ハッカソンでいつもいて困るのが手を動かしてくれない言うだけ番長なプランナーなので・・・。

 

イベントの様子などはtogetterなどでもまとまっている。
togetter.com/li/1046920
togetter.com/li/1048212

 

出身地ごとにテーブルわけされて、東京出身(?)が3人しかいなかったので、福岡の3人と合同のテーブルでアイディアソン。
アイディアソンと言っても外に飯を食いにいったりする昼メシ時間(おまえら外で飯くってこいと放流w)いれて60分ぐらいしかなかったので、各自の問題意識を共有するアイスブレイクがてらの雑談で終了。最期の5分ぐらいで各人がアイディアを書き出したA4紙ペラ1枚をテーブルに並べ、参加者全員がそれぞれのテーブルを巡る形でそれを評価。

 

で、各テーブルごとに評価が高かった人のアイディアでチームビルド。
まさか、その紙をもとにチームビルディングまでするとは思ってもなかったのだけど、自分のアイディアも選ばれたので3人のチーム「外閣府」をビルド。

 

で、どんな課題に取り組んだかっちゅうと、

 

  • 東京にあるが、三鷹市や武蔵野市は地方自治体なので「地方」
  • 税収が歳出を上回る自治体なので地方交付税不交付団体
  • もし地方創生が成功したとすれば、その自治体は三鷹市や武蔵野市のようになる
  • でも、三鷹や武蔵野だって課題を多く抱えていて商店街とか町内会とかはピンチ
  • 地域団体のローカルインフラに無自覚にフリーライドしていて維持限界に近い
  • 私的な投資と公的な投資の間にある共的な投資を見える化する必要がある

ちゅうようなもの。

ちょい理論の飛躍があるけどご愛嬌。
で、実際データを調べてみたんだけど、そんなローカルインフラのオープンデータないんだよね。
例えば商店街の街路灯は築何年のが何本で簿価価値が幾らとか、そんな情報は纏まってはないんだよ・・・。

 
街路灯の電気代とかは8割ぐらいは自治体から補助がでるので、自治体が公表している財政情報の細目から拾えないかとか、助成金などから逆算して推計しようかなとも考えたのだけれども、自治体ごとに助成額違うし地方の町内会によっちゃ自分たちの会計で橋を掛けたり、農道引いたりするところもあるだろうし、そういう独自会計は表にはでてこない。

新豊洲市場みたいな大きなハコモノですら、結局は市場会計で東京都の簿価には乗らない大きな投資がされているわけなじゃない。ああいう規模ですら拾えないんだからちょっと、町内会レベルの積算は難しいねと・・・。

 
じゃぁ、どこからその「地域の価値」を推計したらいいのか?
ローカルインフラや文化資本などが醸成されれば、最終的には「住みやすさ」や「商売のしやすさ」に繋がって、その結果税収に現れるんじゃないかという初期仮説を建てたのね。で、税収という軸と、もうひとつの切り口に置いたのが大都市との距離。

 

 

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日本の自治体のうち総税収が上位5%に相当する都市を青の◆でプロットしています。
一応、こっちで動くやつ版も公開しているけど、中身はハッカソンでつくったやつだから色々許してね。

kuippa.com/sandbox/resas/

 
で、赤丸はその自治体の一人あたり税収の規模を表してます。

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地図でみると大都市から遠いけれども赤丸が異常にでかいところがいくつかあって、なんだろうと見てみるとだいたい原発とか発電所がある町村なのね。玄海とか伊方とか。
でも、そうじゃないところもちゃんとあって、そういう地域こそが地方創生のヒントになるんだと思います。

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例えば、この奥飛騨の周りに何もなさそうなところにも関わらず、福井の原発がある自治体と同程度の一人あたり税収を誇っているところがあるけど、これは合掌造り集落で世界遺産にも登録されている白川郷がある自治体です。

まさにレガシーを残せている地方自治体で、有形無形とわずその自治体に価値形成に成功していることが税収からもみてとれるわけです。

 
そこからさらに東に進むと、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所の大きな赤丸自治体の南側、決してアクセスのよくない福島内陸や群馬にも赤丸があることがわかる。

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これが何かと調べてみると

 

  • 檜枝岐村 (尾瀬、日本一人口密度が低い自治体)
  • 湯沢(スキー場、温泉)
  • 草津(温泉)
  • 軽井沢(別荘地)
  • 上野村(上野ダム・群馬県内で人口密度が低い自治体)

というようになっている。なるほどという感じ。

 
その地域に魅力があってそれを全国に発信するだけでなく、保全に成功していたり、軽井沢などは明治以降人造の避暑地としてのブランディング(のれん)資産の継承に成功している地域。

 

過疎地にダムや発電所のような巨大インフラがあり税収が跳ね上がっているのは、すべての都市が目指すべき地方創生ではないけれども、そうじゃないのもちゃんとあるよと。ちなみに地図はクリックでその自治体名が表示され、testボタンを押すとconsoleウインドウにwikipediaのその自治体の情報が表示されます。・・・まにあわなかったんだ。

 

さらに東京近郊をみてる。

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日本の地方と東京でおきていることの縮図は、東京近郊でも如実に見て取ることができる。

 

23区は区税ではなく都税としてまとめられているので一人あたりでみたときは「東京市」というくくりになるのはご留意願いたい。これを見るとわかるが、大都市に近く、物理的には距離が近くても、ストロー効果により、より魅力的な地域に吸い上げられてしまっているのも見て取れる。

 
これはもしかしたら電車や道路などの交通の便や、区画整理がなされておらず低層密集住宅地となっているなどあるかもしれないが、人の流動性が首都圏はことさら高いためにその影響はより増大されたものになっているように感じる。

便利なところはより便利に、住みやすいところはより住みやすく。商売しやすいところはより商売しやすくというポジティブフィードバックが短い間隔で繰り返される。また、ブロークンウインドウ(割れ窓理論)のように、ささいな破綻から、ネガティブフィードバックが発生してしまい商売がやり辛くなり、不便になり、治安が悪化し、家賃が低下しの短いスパンでの繰り返し。落書きをその地域の誰かが消してくれているとか、捨てられたゴミを誰かが片付けているかとか、そういう入り口でだれかが地域に労力を投資してくれている蓄積が地域力。

 

 

深刻だなぁと感じたのは仙台以北の北陸である。

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大都市に類する都市がそもそも無く、大規模経済圏との物理的距離も遠い上、経済的距離も遠い。

秋田や盛岡、八戸あたりに大都市があれば、それにつられて改善があるかもしれないが、いずれにしろこのままじゃまずい。長期戦略的な投資が必要だ。もしかしたら雪によるものかもしれないが、継承可能な資産の蓄積と継承に失敗しているように見受けられる。

 

 

次の地図は実際の物理距離と経済距離を比較したものである。

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赤い自治体は、大都市圏と物理空間距離は近い状態にあるにもかかわらず同程度の距離にある他自治体と比較して、期待されるような税収があがっていない自治体である。つまり実距離よりも経済距離が遠いことを意味する。緑の自治体は同程度の物理距離にあるにもかかわらず期待税収を上回る自治体。つまり経済距離が近い自治体だ。

例えば三重県の山間部にあるような自治体は赤くなっている。これは大阪や京都、愛知などが直線距離としては近くにあるが、実際の移動時間や高低差移動により、経済距離が遠くなっているためだと考えられる。直線距離が40kmでも、実際の距離は大都市から80km離れているのに相当していることを表している。

しかし、これは物理距離ではなく経済距離であるのだから悲観する必要はないと思う。経済距離は縮めることができるものだ。江戸時代。都市は街道添いに徒歩で一泊目のところに宿場町が形成されることで形成されてきたが、やがて明治になり鉄道物流の時代になり要所が変わった。そして現在はトラック物流の時代だ。トラックはコンテナに雪を積もらせたまま築地に海産物を運び込んでいる。

 
将来、大型無人ドローンによる空送や、コンテナ型無人無気動車が技術革新で主流になれば、流通拠点の距離間隔や重要度は三度変わる。

川や山があったためにトンネルを掘削したり橋をかけたりする地域を流通に組み込むには、いままでは経済的合理性がなかった。それが経済距離として現れている。しかし流通の形態がかわれば、その経済距離は変わるかもしれないのだ。リニアモーターカーを誘致しなくても、いまからできることは多くある。高速道路やトンネル、橋梁という維持保守費用がかかる列島改造に大型投資してきたが、モジュール小型化する現代、そのような重厚長大からのシフトも念頭において、きちんと準備をして選択して投資をすれば浮揚の目もあるはずだ。

 

  • 無人ドローンによる航空貨物専用地方空港
  • 自動で集荷や分荷ができる倉庫
  • 自動走行車車両の専用の市道
  • 町会単位での宅配ポスト
  • 個配用のドローン
  • 急ぎじゃない重量物の無人の帆船物流

 

自治体は引っ越すことができないのだから、ある場所で栄えるか衰退するしかない。
近隣に大都市になってもらうという他力本願もあるだろうが、自助努力としては大都市との経済的距離を縮めるしかない。
技術革新を前提として正面から計画的に取り組めばそれも可能であると思う。
もし、地方過疎化が深刻な地域が次の技術革新をも取り逃すのなら、ごめん、ま、あと100年ぐらいは寝ててちょ。

 
さて、これらの図の元になったデータ解析のテクニカルな話。

これは税収と、経済距離の散布図。

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経済距離は、日本の税収上位5%の大都市のうち、物理距離がもっとも近い5つの都市との平均距離とした。
上位平均になっているのは、こうしないと沖縄とか北海道で遠くなってしまうので。

 

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近似曲線は手でなんとなくひいた。許して。
例えば、「A」岡山県倉敷市は近隣の大都市への平均距離は35.79Kmであるにもかかわらず、税収は9.71Kmの西宮市と同規模。つまり、-26Km分の物理距離を埋める正のレガシーがあるのではないかということ。

 

逆に「B」千葉県酒々井町(「しすいまち」成田市のとなり)は、大都市からの空間平均距離34.79Kmのところにあるが、税収は271Km離れた鹿児島県屋久島町と255Km離れた東京都八丈町と同水準しかない。+220Km分、経済圏を遠ざけているなんらかの負のレガシーがあることのではないかという示唆を含んでいる。

 

もっともこちらは、自治体の税収に応じてしまっているので、自治体の規模を粒度に据えていない。
最初の一人あたり税収の赤丸図と併せて勘案しなければいけないが、自分の自治体が周辺ロケーション的には恵まれているのにそれを活かしきれているかいないか、そういう考察に使えればと思う。

 

 

・・・ちゅうようなことを3分で成果発表した。

文章にしても伝えきれてない気がするけど通じたかな?

 

 

 

 
余談だけど、こことここになんか崖があるね?

なんだろう?本州と北海道と離島かな?

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ここにも何かムラ、溝があるように見える。

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こっちは、これ以上税収が伸びると交付税がもらえなくなるからとか、そういう作為が作用した偏りかなぁ?
なんだろう??こういうのを調べたらおもしろそうだけどね。

 
まあ、そんなわけで、地方創生できるといいよね。

 

 

最初の地図でarcGISのAPI for javascript 4.1を使わせてもらったので、Esriさん賞を非公式受賞したよ。
公式スポンサーじゃないので非公式w

 
おつかれさまでした!


図鑑でわかるお客さんがいないのに「潰れない店」


シャッター商店街において、何故かお客さんも入っていないのに潰れないお店があるそうで、それについて解説したブログがあった。

シャッター商店街。なぜ潰れない店があるのか?
bazzreed.hatenablog.com/entry/2014/05/19/143450

商店街の中にいる身として、もっといろいろなパターンがあるので図鑑でもつくってみようかなと思った。地方にはもっと違う生態系があるのかもしれないけれど、自分の把握できるパターンではこんな感じ。新種の報告をまっています。

 

経営戦略の大前提として、販売管理費(人件費とか家賃とか仕入値とか)を利益が上回っている限り会社は潰れない。それはお店も同様。

利益 = 売上(客単価×客数) – 販売管理費

これが基本。つまり利益が+か-かで別れる。

 

お客さんがいないのに…

利益
  ある
    ネットショップ型(BtoC)
    事業取引型(BtoB)
    行政食い込み型(BtoG)
    上得意高顧客単価型
    低価格仕入れ高利益型
    店舗連携型
    法による保護

  ない(あろうがなかろうが関係ない)
    資産
      ある
        不動産オーナー型
        相続・譲渡準備型
        道楽商売、その他の税金対策型
      ない
        従業員
          いる
            放蕩二代目
          いない
            生活保護型
            居座り型


利益があるということは、お客さんがいないのではなく、お客さんがいるように見えないだけ。
ネットショップ型(BtoC:ビジネス-コンシューマー/もしくはO2O)

一見お客さんがはいっていないだけのお店にみえることもある。最近多い。大抵は専門店型。見分け方はなれるとすぐわかる。店主が若い場合は大抵これ。夕方に配送物の集荷がかならずあるので、夕方ちょいまえに店内に小包がつみあがっていたりする。ここ10年ぐらいで開店したお店に多い。

 

 

事業取引型(BtoB:ビジネス-ビジネス)

店先をショールーム扱いにして、事業主などは外にでて事業者間取引をしているケースなどもある。例えばお花屋さんが華道教室や、結婚式、葬儀へ販売するような事業形態の場合、店先を広くつくっているケースが多いがほとんどお客さんはいない。自家用車を持つぐらいには営業性の従業員の出入りが多いのでわかりやすい。この手のお店は賑やかしのために一般のお客さん向けの商品を申し訳程度においていたりする。システムキッチンの販売業者がキッチン雑貨を販売、住宅のリフォーム会社が掃除用品をおいたりする。意外と知られていないがスーパで販売されるパンを作っているパン屋さんだったり、豆腐屋さんだったり、惣菜屋さんだったりと、製造請負型の事業間連携も多い。

 
行政食い込み型(BtoG:ビジネス-ガバメント)

BtoBに近いが、より、なにやらきな臭い匂いがすることもある。例えば学校への文房具や体操着、うわばき、はたまたカーテンの一枚に至るまで地元事業者の入札によりとり行われる。随意契約なので入札がないこともある。あ、逆か、入札があることもあるぐらい? 図書館の司書購入も本屋さん経由。なんか意味のわからないものを行政経由で買わされたら、そういうお店の肥やしになっている。地元の店舗などを優遇するのは、地元産業を支えるという名目と政治家などの票田になっているからだ。わかりやすい場合政治家のポスターとか貼ってあったりするが普通はわからない。役所とかにいって市指定業者とかを見るとわかることもある。給食用に卸す野菜であったり、パンであったりと、多種多様に及ぶ。が、ぶっちゃけよくわからない。なんかうまくやられちゃってるきがする。

 

上得意高顧客単価型

生鮮食料品のように廃棄率も高く利幅も低く、トラック一杯のキャベツを売っても数万にもならない事業もある一方で、宝飾品なぞ月に数個売れればよいというようなお店もある。当然[キャベツを買う人の数> 宝石を買う人の数]となる。なので店頭にお客さんが居ないように見える。お客さんの数と売上高は必ずしも一致しない。高客単価。百貨店のような事業規模でさえ、店舗は赤字で、上得意をまわる外商が全体を支えている。店構えが高級志向になっている場合が多く品揃えから判断できる。

 

低価格仕入れ高利益型

ファッションブティック、古本や買い取り専門店、質屋のように、売価に対して仕入れ価格が低いケース。在庫の廃棄もなく、ほとんどタダ同然に仕入れて売るので、高利益率であるので少ない売上でも販売管理費をまかなうことができる。買い取るための店で、売るための店作りになっていない事が多く、仕入れたものを事業者間、店舗間連携で融通するため、一見お客さんが少ないようにみえる。

 

店舗連携型

チェーン店なのにお客さんが入っていない。しかし撤退しないケースがある。これはその地域のマネージメント機能を持たせていたり、たとえばクリーニング店の洗濯工場機能だったり、家具や自転車などの組立工場機能があるなどの、店頭販売意外の不採算部門機能を持っているケースだ。売上は他のお店が支えている。

 
法による保護

競争が法律により阻害されているケースがある。取り扱いが認可制などになっている業種。昔の例でいうと、「たばこ屋さんのおばあちゃん」、これは戦争寡婦(戦争で未亡人になった奥さん)が優先的に認可されたことによる全国的に見られた光景だ。最近は解除されたが薬屋や酒屋の既存店の数百メートル内には出店できないというような出店開業規制や、現在も続いているような規制でいうと、本屋さんの再販制度のように市場が完全競争にならないように保護されている業界。1,000円ヘアーカットを地域の条例で禁止させるなど業界団体によるロビー活動で規制を掛けるといような動きにより、利益が確保される業態。最近残っている規制だと医業とかが町中では顕著だ。いまドラッグストア出店バブルってきくね。

 

 

さて、こっからさきは売上も利益もないのに潰れない店。

 

 

不動産オーナー型

比較的築浅のビルに、お客さんも入っていない古くさいオールドエコノミーな事業形態のお店がはいっていたら、大家さん系店舗だ。大家さんなのでとどのつまり家賃がかからない。そのうえ、毎月一定金額が家賃としてはいってくるので、店舗はもう老後ボケないためにやっているといっていい。
従業員も抱えず、家賃もかからなければほとんど販売管理費がかからないので、売上がなくても潰れない。
注意しなければいけないのが、そそのかされてビルを建てたけれども、不動産としてビルの返済ローンと賃料で採算が採れなくなっているパターン。不動産の失敗は店舗レベルの事業売上の多寡ではどうすることもできない。返済が滞り深刻な事になる。バブル期に建ててしまった建坪あたりの単価が高いビルは怖い。抵当権が流れ競売に掛けられるまで死ぬに死ねずゾンビ化していることもある。
バブル崩壊以降は等価交換をしてビルにするなど、堅実なケースも増えた。が、いまちょうど時期的に顕在化しつつある問題のひとつだ。

 

相続・譲渡準備型

店舗貸出中と書かれたままにしたままにされているのに何年も貸し出しがなかったり、更地にして駐車場にでもしたほうが利益はあがるんじゃないかというような古い物件がある。
これらの古い建物がそのままにされている理由は事業価値がないからではなく、こんどはそうしてしまうと小規模宅地などの控除がうけられなくなったり、他人に貸し出してしまうと事業性用地となってしまうためディフェンシブな理由でこのような形態になっているのだ。

日本は不動産として貸し出してしまうと、借り手の権利が理不尽なまでに強く、貸主都合で退去させるのが大変であるため、建て替えなどを予定した建物には厳しい条件をつけて入居させないことがある。またそのような物件にめがけて滑り込んでゴネる専門の人や店もあるので大家は要注意。家賃も払わないのに立退き料を数百万払えだのといわれただのという大家さんの泣き言はよく聞く。今は定期借地権というのができたのでだいぶ緩和しつつある。

一般に地主はビルなどを建てることで借金を作り資産と借金で価値を相殺して相続準備をするが、固定資産と流動資産のバランスの問題なので、一概に何が正解かは資産状況によりまったくもって異なる。
特に都内は不動産の評価価値がばかみたいに高いため角地だけでも先に売り払って、不動産価値をさげたり、古い建物を古いまま維持したりと、前向きとはいえない防戦一方の戦いをしなくてはいけないことがある。不動産は動かせないから不動産なのに税は現金で払えるようにしておかねばならないのだ。資産家であればあるほど防衛戦に追われる。

例えば取得から5年未満で売却すると短期譲渡所得税39%がかかる。だが5年以上保有してからの売却だと税率は20%になる。日本の税制は万事において、この調子だ。額ではなく%で課税されるので、資産額が大きければ大きいほど慎重に計算しなければならない。維持費が予定される税より安いか高いかでそろばんを弾く。

なので、古くてお客さんが入らない店でも、維持すること事体に意味がでてくる。自動販売機一台を1年おいているかおいていないかで、明暗な境界線がそこにある。防火指定や再開発などの建築規制がある地区における再建築不可など。日本が停滞した理由は資産家に防戦しかさせなかったことなんじゃないかとすら思う。しかも今年から相続税まわりで激しい増税があった。これは一般家庭の相続におよぶ。うちはお店じゃないし関係ないなどと放置しているとまじめに死ぬことになる。かなり深刻な問題なのだが、世間はあまりに無頓着であるように感じる。いまのところだが。

 

 

道楽商売、その他の税金対策型

他で利益があがっているので、つまりそのお店で利益をそもそもあげようとしていないパターン。

赤字の店舗をささえるだけの金融資産や、その他の事業所得や不労所得などによるキャッシュフローがあり、道楽商売を展開しているケース。

バブル期のようにどこぞのオーナーがお抱えの妾を囲うためにお店をもたせてやるなんていう、ありがちな話しは今でもあるんではなかろうか?

オーナーと店主が一致する場合、ただの趣味であることもある。その場合は販売管理費を抑えるような工夫がされていることが多い。道楽商売系の見分けかたは簡単。お客さんの入店を阻むような完全趣味の店があったら要注意だ。なぜならお客さんが入ると販売管理費も比例して道楽の範囲を超えてしまうからだ。

 

放蕩二代目

利益もなくて資産もないのに従業員がいる。これはもういまはまだ潰れていないだけ。時間の問題だ。
これでも潰れないのであれば、ひとつは従業員に適性な額の給料を払っていないパターン。雇用で補助金を得ていたり、または本当にブラックで従業員に給与未払い、丁稚という名目でタダ働きさせているケースもある。ボランティアという名目など。

あとは先代が積み上げた資産をバカ息子が事業継承をしたというケースもこれに当てはまる。お金を貸す商売の方々が最後のケツの毛までムシるためにお店を存続させられているケース。潰れないのではなく、抱えているものを全部吐き出すまで撤退させてもらえない。

しかし、いずれにしろ時間の問題・・・。

 

 

生活保護型

生活保護を受け取るためには大前提として資産があってはダメなので、店舗を借りているということが前提になる。なので店先に投資をするような余裕はなく、店先に工夫や変化はない。
高齢で職を得るのが難しかったり、他業種への鞍替えが容易ではない潰しの効かないお店をやっていることが多い。
不動産オーナーも次の店子を探す苦労と、商売変えも難しいであろうこの店主追い出したら本当に露頭に迷うだけだろうし、家賃はまあ入ってくるからいいか的な振る舞いにより、存続している店舗。

戦後の困窮のなかで年金支払ができず、年金受給資格もなく身寄りもないお年寄りが働きながら最低限生活に足りない分を補助してもらうといような、それなりに一生懸命なケースで、いわゆる世間の生活保護問題とはちょっと毛色が違う。かもね。

 

居座り型

あれです。モンスタータナコ。実効支配ってやつですな。どこぞの島みたいだね。

 

 

 

 

さて、うちのお店は、どこ分類だろう。。。。

他にもあるかな?

 


商店街の中からのうめき


社会には商店街を救う余裕はもはや無いそうだ。世間の商店街はシャッター化が進み、ゴーストと化している。うちの斜め前のお店は30年まえにしまったままだし隣は40年まえにしまったままだ。

わたしがいるのは東京都の三鷹市なのでイオンモールとかの大型店出店が理由でゴースト化したわけではなくて実はこれにはこれで理由がある。ここにはここの問題があるのだ。商店街の問題など普通に生活をしているぶんには知ることがないかもしれないが、知っておくべき問題。日本が抱える問題の多くが凝縮されたのが商店街なのである。

 

今期、商店街の総務部長をやってくれと言われている。拒否する選択肢はどうもなさそうだ。突然の物故者や体調不調などがあり副会長が2名がいなくなってしまった。前任者の副会長は総務部長も兼任していた。引退を決めていた70代の会長が留任され、残った役員であれこれいくつもさらに役を兼任することになった。

お店を始めたのはおおよそ10年前。数年やったところで商店街の役員になることになった。自分が商店街の役員になった経緯はこうだ。総会とかめんどくさいので委任状だして欠席していたら「役員になったからよろしくね」とにこにこしながら会長がやってきた。委任状の恐ろしさと商店街の人手不足の深刻さはこのエピソードでも十分だろう。

かつて商店も多く賑があった時期に制定された地区割りがあるのだが6地区などはとうとう1店舗だけになってしまった。体制もくそもありゃしない。

 

商店街ってなんだ?

ここには町内会に該当する組織がない。厳密には、町会と商店街が重複する地域もあるのだが、商店があるところには歴史的に商店街が組織され商店街が町内会や消防団などに相当する機能も担ってきた。うちの市には30をも超す商店街がある。商店街というのはそれほどの数がある。名前だけのところから、事業をおこなっているところ、その実体は様々だ。

 

うちは駅からすこし距離があるので二次商圏になるのだが、だが、過疎地と違って人が多くすむ人口過密地域である。マンションが多く、この狭い地域に数千人、ヘタしたら1万を超す人間が住んでいる。その地域をわずか数十店もないようなお店が支えるのが都市部の商店街の構造である。

支えるとはどういうことか。商店街というのはその地域ローカルインフラの運用維持をおこなっている。

具体例をあげる。一番わかりやすいのは街路灯だ。

夜、他より明るい安全な道を選んで帰ろうするならば、ふと街路灯を見上げてみて欲しい。商店街などの名前がはいっていたらそれは商店街が設置しているものだ。そんな街路灯への毎年の電気代は100万円を超す。助成金分を除いて商店街の負担分がだ。これをわずか数十店舗がわけあって負担する。街路灯が老朽化すれば、交換もしなければいけない。電気代が安くなるのでLED化したい。支柱が古くなっているので立て直したい。でも、数千万かかる・・・・・・。そのために積み立てる。街路灯が暗いだの、切れているなどの文句を住民は市役所に文句を言う。市役所から商店街に連絡がくる。

 

いま、うちの商店街では防犯カメラの設置が議題にあがっている。駅前7つの商店街では防犯カメラの設置が既に完了した。先だって、井の頭と吉祥寺で若い女性が凶刃に倒れるという残忍な事件が立て続けに2件あった。不幸な事件ではあったが両件とも犯人は早い段階で特定され検挙されている。というのも、犯人が逃走経路として選んだ道には商店街が設置した防犯カメラが設置されていたからである。高精度な防犯カメラは逃走する犯人をしっかり捉えていた。防犯カメラにも補助金は出る。しかし、商店街の負担が0になるわけでもなし、それらを維持負担運用をしなければいけないのは結局は商店街である。商店が減って、人の目が減った以上、カメラの抑止力に期待をせざるを得ない。

 

商店が会費で負担する形態でなく住民から町内会費を集めている地域のほうが潤沢な資金があったりする、住民会費をとってこなかったのはただのうちの会の不作為であるとおもうのだが、まあこれにはこれで書ききれない個別の経緯があるのでこんかいはもごもごもご・・・・・・

 

 

商店街の財政と自治体の財政

商店街というと、補助金かなにかで生きながらえているもの指摘する声もある。確かに会の運営のために助成金も必要ではあるが、自走がないところに助勢のしようもあるまい。自助があったうえでの公助だ。

 

さらに、ちとモノ申しておかなきゃいけないのは、三鷹市は地方交付税不交付団体だ。東京都も不交付団体だ。地方交付税をもらっていない自主財源で運営されている。不交付団体は昨年度で全国にわずか48市町村しかなく、都道府県単位では東京都しかない。48市町村のほとんどが原発関係だと知ると暗澹たる気持ちになるだろう。つか、暗澹たる気持ちにならなければいけない。

 

健全な財政比率を保持するよりも、支出を増やして不健全化したほうが使える予算が多くなる。そんな体制を知ってや知らずや是とするところに、商店街なんて助成金でなりたってんでしょと言う指摘はしちゃなるめぇよと思うのである。商店街以前の問題だ。

 

マンションなどの管理費においても住民税などで税金を自治体に払っているのだから、支払いの必要はないものとする判断をされる人もいるなかで町内会費、ましてや商店街費はさらに個別に物議をうむ。商店ですら加盟してくれず会費を払ってくれないお店も多い中でマンション組合などはさらに扱いが難しい。しかし、ほとんどの自治体が国などからの支援が必要なように、その税金じゃその地域インフラは支えきれていないのだ。
「商店街に入ってね」と未加盟店に行くと、「何かいいことあるの?」という。いいことどころか、何かあるたんびにお金取られるし、仕事ふられるし散々だよねなどと正直に言うとなかなか入ってもらえない・・・。未加盟で済むなら逃げ切りたいという気持ちもよくわかる。俺も気持ち逃げ切りたい。

 

その街が他とくらべて住みやすくなるのは、なにかだれかしらの働きによるものである。それはもしかしたら、周りの人が支えているものかもしれないし公債などという形で未来の自分や子どもたちに負担をもちまわしているだけなのかもしれない。
25年度の国の税収は43兆円だが、国債の利払費は9.9兆円にのぼる。金利を1.2%におさえてこれだ。金利があがれば利払だけで税収を超えるだろう。国という大きなグランドデザインがそうなっているなかで、挟持をもって、支えられる側から負担をする側にまわるのは大変な話しだ。フリーライドしたほうが、合理性が高いと判断されるのもやむない話しだろう。
しかしフリーライダーばかりになると支えているほうが馬鹿らしくなってコミュニティがスラム化する。
お祭りで子どもたちに配るお菓子の購入額が増えるいっぽうなのに、集まる協賛金は下がる一方だ。
このままでは子どもたちが反乱をおこしかねない。
というかおこしてもいいと思う。

 

ちょい真面目な分析

すこし経営学の話しなるが、通常6つのステークホルダーとして分類されるなかに地域コミュニティというものがある。

www.mizuho-fg.co.jp/csr/communication/mizuho/images/index_01.gif
図:みずほ銀から引用
www.mizuho-fg.co.jp/csr/communication/mizuho/index.html
かつて、商店と地域住民は互いに密接な利害関係者だった。商店が地域の安心や安全をつくりだして、住民はその付加価値が高くなった地域に住まうことで、よりよい住環境をつくりだす。互いにそれなりの利害連携があった。

 
規模の経済により、大規模資本のほうが競争優位となる。量販品、規格品のほうが製造コスト、調達で優位を獲得し、資本の優位性が確保できない小規模小売店は絶滅の危機に瀕する。郊外店型の大規模店舗などは典型だ。なにもこれは商店街などのオールドエコノミーだけの話ではなく、すべての産業に影響する。
そこで、この6つのステークホルダーに分類されてきたものの中で資本調達に関する、株主、投資家や銀行が重要視され、購入者、従業員がそれらを支える付随物としての扱いになった。さらに対極にある地域社会や、仕入先などは連携度が薄くなったどころか競争障害でしかなくなる。近代的な経営戦略上それらは障壁として分類される。
労働者は組合をつくり脅威になり、購入者も商品を選択することで脅威になる。地域コミュティのようなふんわりしたものが企業活動における脅威になることはほとんどなかった。

 
農耕的に耕すのではなく狩猟のごとく、育ったところを狙って収穫するプレデトリー(predatory:肉食獣的な)な振る舞いのほうが、短い商売サイクルで資本を多く回転させることを目標とするならば、回転効率が優れている。ロングタームは無視して、ダメになったら他に移ればよい。仕入先も叩くだけ叩いて旨みがなくなったら他と替えればよい。

 

クラレンス・ソーンダースが商品を棚に陳列したスーパーマーケットを発明し、ジェフ・ベゾスがそれをネットワーク上に移動したAmazonをつくった。この流れが変わることはないだろう。つまり、旧来型の商店はいずれときをまたず絶滅をする。そこから組織される商店街も絶滅するだろう。大きくは、この流れはかわることは無い。
しかし、肉食獣しかいなくなった生態系は滅びるしかないように。逆説的ではあるが社会が絶滅をしないのであれば旧来の商店街的な機能を担うなんらかのものはリバランスの中で生まれてくるはずである。無用の用なのか、なんと呼ぶべきものなのかはしらないけれど、それがないと社会が回らなくなるからだ。もちろん回らなくなって全停止することもありうる。

 

そのなんらかの仕組みは商店街と呼ぶものではまったくないかもしれないが、できれば全国デトロイト化するまえになんとかそこまでたどり着きたいものですな。
ま、でも全国的に恵まれてるであろううちの商店街ですらこのざまぞんなので、なんとかしたいなーとふわっと思っているわけです。ここらへんの問題は、教育やら就労やら科学などのような長期視点の欠落という意味では根幹は一緒であるので、なんかの拍子に一気に進むのかもしれませんね。か、もっとデトロイト化(クランチ)が進んでからの話しなのかもしれません。

 

あ、なんか都市部の商店がなんでシャッターしめたままなのかとかも書こうとおもったんだけど、長くなっちゃったからもごもごしておこう。もごもご。

 

 

ほんじゃーね!
他、参考
平成25年不交付団体

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25年度 税収43兆、国債の利払費9.9兆 金利を1.2%
www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/005.htm
商店街を救う余裕はもはや無い。イオンと共生する社会を目指すべきだ
www.open.sh/entry/20140429/1398713910