アートと表現の不自由


10月22日は「即位礼正殿の儀」が行われた。令和。
「昭和天皇の即位のときの飾りは兄弟で担当して袖のボタンはわしがつくった」と、戦前金細工だった爺様が言っておったけれども、なにぶん子供のときにきいた爺さまの話しなのでその真実も今では知る由もない。袖のボタンってことは洋装だろうし、御列の儀かな?

先日閉幕した愛知トリエンナーレでは、その昭和天皇の写真と背中に和彫入れ墨を入れた尻出してるヌード写真とコラージュし、異国語のような民謡にのせてバーナーで燃やし、それを足で踏みつけて灰をにじるという映像作品の一部がネットで拡散して大炎上した。

全編を見もせずに批判するなという意見があり、20分ほどの全編がyoutubeでも公開されているというので、どれどれと思って見てみたら、断片で見たときよりもことさらにひどく、こりゃ良い子や年寄りにはみせられねぇや・・・と思った。

表現の不自由がテーマで、図録が焼却処分されたことなどエクスキューズされていたが屁理屈にもならない。

自由という権利の行使には結果が伴うし、その自由の行使の責任からも自由になるわけではない。中には憲法21条を持ち出して「表現の自由」を叫ぶ意見もあるが、ならばイの1番、憲法1条1項をなぜ読み飛ばすのだろうか。

「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」とある。「俺はみとめねぇ!!」と反体制精神を見せるのもいいが、国と国民を全方位にまとめて腐さしたらそりゃ少なからず誰かが怒ったり悲しんだりするのは当たり前ではないか?

他人の譲れない部分の信義や信条を攻撃したのなら反撃をうける。私はあなたのことが嫌いですと言って、でも、それを伝えた相手の意見は聞くつもりもない。「私は傷ついた。」という感想を持つ人に、法では禁じられていないとか、これは表現の自由だといふことに意味あるか?

世の中には色々な考えを持つ人がいるし信義信条を異にする人もいる。極端なことを言えばソシオパス、反社会性パーソナリティ障害の人もいる。すべての人の価値観、意見や感想が一致することなどはありえない。神奈川のやまゆり園障害者施設殺傷事件の犯人は、もっと社会的賛同が得られるものだと持論を皆述したように猟奇殺人犯や大量殺人犯でさえも彼らなりの言い分はある。

例えば共産主義や社会主義のように貧富の差や身分差のすべてを無くしたいという政治的思想を持つひとにとって、天皇皇室は認めがたいものであろうし、他宗教を熱心に信望するものにとっても、無意識的忌避の対象となりうるだろう。

心情を言ったり伝えたりすることは自由だ。行動に移せば責任を問われる。それだけだ。
表現の自由はある。
正直、これらの表現の不自由展で展示された作品をいくらつくろうが、わたしは問題はないと思っている。他人に迷惑をかけない範囲で好きにやればよろしい。あぁ、そういう主張をもった人達の作品なのねと思うぐらいだ。今回の作品群のなかで言えばChim↑Pomの作品は被災地の若者たちの心の叫びを演出なしで捉えたのだとしたら、なかなかに捉えがたい一瞬を捉えたものだと思う。岡本太郎の明日への神話へのいたずらは、褒めることはできないが、あのタイミングであれをやれたことは評価している。

だが、一作家が物議を醸す作品を表現したところで、今回のように誰も彼もこんなにヘイトを稼いだりはしなかっただろう。

裏切られたパブリックトラスト

いかんだろうと思うのは、今回は意図を持って作品を選択し、集め、できるだけ多くの人に見せようと努力をし実行した主体に公が絡んでいたことに大きな原因がある。

トヨタのような日本有数の大企業や、地方自治体行政、県政、はたまた国が公金をぶっこんで、このようなアレンジをしたらそりゃ、ものすごいヘイトが集まる。

テレビなどの報道では平和の少女像(aka 慰安婦像)が騒動の原因として、名古屋市河村たかし市長の座り込みも「日本国民に問う!陛下への侮辱を許すのか!」と書かれたプラカードは映さない徹底ぶりだそうだが、そりゃそうだ。皇室がらみとなれば多く年寄りにはいまだ単なる敬慕の念以上のものを持つ人達も少なくない。国内放送法の放送コードに耐えれても、老人ばかりが見るテレビで年寄りの心臓が耐えられないだろう。

教義が異なれば、異教徒の首を切って衆目に晒す主張を正義とすることもあるし、略奪して持ってきた死体を博物館に並べたり、積んだ骨を模様に並び替えて入場料をとったりする。市中引き回しのうえ打首獄門とか、河原にさらし首とか、広場に集まってみんなでギロチンを見るために集まるとか、奴隷を競技場で死ぬまで戦わせるとか、相手の生首を互いのバスケット状のリングに入れる試合とか・・・あげればきりがないほど、国や時代が変わればいまでは信じられないようなことも実際におこなわれてきた。

大英博物館にいけば他国から略奪してきたミイラが並んでいる。これはいうなれば死体展示である。教会の屋内で何気なく足元をみると、そこは墓石の上だったりする。あちらでは寄付金を多く積むといいところに埋めてもらえる。壁にミイラ状態で置いてある人さえ居る。ヨーロッパのあちらこちらでは骸骨堂を見ることができるだろう。模様状に並べられた頭蓋骨、お花模様に並べた大腿骨や肩甲骨。綺麗でしょと言わんばかりの観光スポットだ。

現代から見れば信じられないが、当時の人たちはありえるものだと思っていることは多くある。
これが保っているのは文化というコードだ。
文化というコードを揃えるために、宗教がもたらした影響は大きい。
神道の場合は道徳形成というよりは、古神道が担ってきた役割を考えると農芸化学や建築などの技能伝播と評するのが近いような気がするが、それでも、広域の現代日本人の社会風習に通底するところに神社などの文化風習が根付いている。その神社の祭司のトップが天皇であることも間違いないなくて、検証委員会で自分はキリスト教徒で天皇にまつわる作品を作ったと言う作者(小泉明郎氏 空気#1)もいたけど、宗教を掲げて宗教をディスるって危うさしかないよね。

補助金

公金が手続きなしに止められたのは表現の自由に反するだの、補助金適正化法だの住民監査請求からの議会で追求していくべきだの賛否両方から揉めている。

だけど、商店街の活動費を得るために2/3助成5万円とか10万円の補助金で、申請書かいて、予算案つくって、計画書提出して、審査会でプレゼンして、結果報告書書いて、実績報告会で報告して、領収書とか様式整えて、交付の通知を得るまで一年かけたりしてるのを実務として長年担当していると、俺のこの時間別のことで働かせてくれぇぁしあああ!!と思う。企画の内容が実施されなかったら、補助金なんかもらえないし、なんか事務的にしくじれば、返えせ!とか言われることも実際聞く。

別の町会が年寄りばかりになってしまって、街路灯を維持できなくなったので辞めたいと自治体に相談したら、街路灯を作るときに出した補助金を返すことなるぞとか脅されてひーひー言いながら維持したりしているなんて話しも聞く。引くも地獄進むも地獄。
なのに予算総額12億のイベントのほうがこんないい加減なんだなと思うとやるせない。美術館をつくるっていう仕事に噛んでみたくて、いっちょがみして少し見聞きしてみたんだけど、学芸員さんとかの経済的にひーひー言ってる世界を垣間見るに、なんとも陰鬱とした気持ちになる。なんなんだねこれは。

他国の政府の影響力工作や、特定の政治的主義主張のため、他の宗教からの他の宗教への特定方向へのディスリスペクト。これをアートという文脈に乗っけて公金で運営するって、そりゃヘイト集めるわ。

俗習、文化という暗黙的な不文律の中で我々は生活をしている。
そんなことはやらないほうがいいよと、法令や条令で行動を予め明文化しなければいけない社会など歓迎したくない。

アートには奇抜さや過激さだけではなく、熟達した技芸を競うことも忘れないでほしい。今日の儀をみて細部まで凝らされた服飾や高御座などに使われている色の発色などの技の極みをみて、つくづくそう感じた。

参考

憲法1条1項は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」
憲法21条1項は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」

あいトリ「燃やされた天皇の肖像」「放射能最高!」を批判するなら知っておきたいこと | 文春オンライン
bunshun.jp/articles/-/14837

「表現の不自由展」中止問題 検証委や出展作家らがフォーラムを開催(2019年9月21日)
www.youtube.com/watch?time_continue=2141&v=-p14VEv11T0


私の父はかつては外国人労働者だった


私の父はかつては外国人労働者だった。
もう数十年も前の話し。日本人があまり国外で働くというあまりない頃の話しなのだが、文化も風習も違う国で外国人として働くというのはなかなかに大変なことである。

今では考えられないけど当時はまだインターネットもなく、ちょっと国際電話をしただけで月の電話代が十万円を超えたこともあった。FAXも国際送信するためには、いちど日本の会社に送ってから手配してもらわなければならなかったし、飛行機代も今じゃ考えられないぐらい高かった。世界はいまより広かったし遠かった。

まぁ、主には英国だったからなおさらに遠くに感じただけなのかもしれないが。いまはロンドンで白人の割合が50%を切ったとかいう報道みると、ちょっと信じられないよね。まだEUとかができる前、あちらでは電車に乗ってても有色人種は自分ぐらいしかいないなな割合だったんだけど。伝統に対しては頑固な価値観をもつ英国人がそりゃブリグジットとか強行するのもわかるわ。

当時は州都クラスの街でも日本人なんて数家族もいしかいなかったし、アジア系もまだ返還前の英国領だった香港チャイニーズぐらいは居たけど、外国人って、あとは中東系ぐらいしかいなかった。香港の悪ガキどもが公衆電話のガラスとかを割ってキャッキャしてた時代から、あれからまだ1世代も経ってない。先週、ドイツのハイデルベルク大学(ドイツ最古の大学)から日本に留学に来ている子と打ち上げの席で隣になって今は便利な時代になったのぅ、みたいな、そんな懐かし話しをしてて思い出したので書いてみた。

入管法改正

改正出入国管理法(入管法)が改正された。
つか、報道みてても何がどう変わるのかさっぱり書いてないのがちょっとメディア死んでるなと思う。e-Govの法令検索も改正部分はわかんねぇし・・・。どこがどう変わったとか、いったい何みりゃいいんだろ??詳細とか要約どこ???

偏向的な断片的情報からしか語れないけど、労働集約産業から抜けようっていうタイミングで比較的安い労働力を入れちゃったら、産業構造の転換の抑止につながる。これは、よくないよね。

単純労働で人を雇うより機械のほうが安いとなれば、設備投資とか無人化が進んで余剰労働人口が別産業に移って社会がちょっと進歩するのに、安い労働力を手当できちゃったら産業寿命を終えたゾンビ産業まで延命して、産業の健康寿命を終えた要介護企業だらけになる。外国人労働者は就労ビザで処理すればよく、穴をあけるやりかたは関心はしない。設計はシンプルにしておけってやつだ。

今回の改正に含んでいるのかわからんが、無戸籍在日四世みたいな見てみぬふりをしてきた制度上からこぼれ落ち続けてきたものの手当や、前回の一部改正で投資・経営査証を使って日本の医療保険制度が悪用されて、経営者の親族枠で来日し高額な医療費の持ち出しが出ている問題、船舶観光上陸許可が緩和されて行方不明者が多数出ている問題、そういうのが手当されるならわかる。でも、技能実習生との話ししかでてこんのぅ?それだけなのかい??

入国管理局を庁にあげて、あとは省令で定めるってなってて、把握している人が存在しないパターンなのかな?白紙委任なのかもしれないけど、うん、もともと官僚行政じゃん?政治家が現場を知ってるともハンドリングできてるともおもえんのでしょうがないのかも。でも、何がどう改正されるのかぐらいはわかりやすところに出しとけよ。メディアもなおさらちゃんと仕事しよ?

移民

移民について、そもそも日本人というのは、義務教育などを通してかなり暗黙的な価値観や背景を同一にしていて、村社会に軋轢が生まれることは目に見えている。よくもわるくも村社会だ。

自分の中では文明国とそうじゃない国の線引には明確にひとつの基準があって、道を歩いてて、うんこしている真最中の人と目が合うような国とそうでない国だ。あと、道沿いになんらかの死体が転がっているのに平然とした社会とか、ちと、なんていうか、それがあたりまえだった世代が急激に発展してキレイなおべべを着るようになっても、現代日本人と価値観があうのには、なんというか、それで育った世代を超えないと無理なんじゃなかろうかと思う。

あと、日本の社会は、公共的につかわれている地域の公共物にみえるおおよそほとんどのものが税金で賄われ提供されている物だと認識されがちだ。でも、自分もおっさんになって地域にかかわるようになってから気がついたのだけど、公共インフラとされている駅や橋、公園、道路、街路樹、街路灯などなど、歴史的には実は篤志家や町会などによって提供されたり管理されているものも実に多い。特に戦後まもなくの頃からはこういう提供物によって地域がつくられた背景がある。無自覚なフリーライドを容認するのも、ゲストだからか仲間だからかなのだと思うが、ゲストでも仲間でもなく、どこかのだれかの利己的利益が動機により誘致されてきたとなると、こういう暗黙的な篤志家の善意が壊れかねない。これ、結構、地域力の源泉で、この生態系が壊れると、たぶん税率をどこまであげても賄えなくなり、今度は国内での徴用が必要になったりするじゃなかろうか。社会を壊して人頭税時代からやりなおさなければいけないなんてばかげたことだと思う。

外国人の権利と契約

これはなんか変な方向に議論が行ってるよね。労働は労働者と雇用者の契約が前提なのだから、外国人だからとか、技能実習生だから奴隷的に扱われるとか、そういうのは許されちゃならないよ。前提条件が破綻してたり、著しく不公平な雇用契約を敷いているのであれば、それを仲裁や監視管理するのが監督行政でしょ。しないなら辞めちまえよ。機能するところをつくろう?それが庁化?ほんと、なにが変わったんだか、変えようとしているんだかわかんねぇけど、機能してないのはわかる。

間違ってたらご指摘いただきたいのですが、20万人以上いる技能実習生のうち亡くなられる方が年間20人強ということは、死亡率(人口千人あたりの死亡者数)は、0.1人となるはず
twitter.com/adachiyasushi/status/1070712416508567552

なんか、Twitterで炎上してるのを見かけた。リプライもよくわからん事になってる。
技能実習生の20万中69人が死亡していて、そのうち12人が労働中の死亡だそうな?
いろんな数字が踊ってて、何が正しいのかわからんので調べて計算してみた。

平成29年の就業人口6725万中、過去三年の労働死亡災害は2,878人。技能実習生257,788人中12人と比較すると8.6%技能実習生のほうが死亡災害が多いようだ。
0.00428%:0.00465%

日本の就業人口6,725万のうち、過去三年の累積労働死亡災害は972+928+978=2,878人
0.00428%

技能実習生257,788人中12人の労働死亡災害
0.00465%

全体より技能実習生のほうが8.6%ぐらい高いね。
技能実習生の死亡者が仮に11人だったと0.426になって逆転するので、まぁ、ようやく統計上有意そうな数字が出た。よかった。

足立さんは日本人の労働者の死亡率を15〜64歳あたりの0.5とざくっと計算しているけど、多分農業とか介護分野の技能実習生には女性も多くいて女性の低年齢の死亡率は0.2ぐらいと男性と大きく異なるので、この死亡率前提の数字が読み間違ってたんじゃないかな。

※ はてなブックマークのコメントで最初、全産業でみないで製造業限定の死亡災害の人数で計算しちゃって8.1倍違うって書いちゃったけど、そこまでの差はなかった。なんかおかしいと思って、計算しなおした。

2018年 10月で、
15歳以上人口 11,104万人 15〜64歳 7,544万人
労働力人口 6,888万人 15〜64歳 5,991万人
平成28年の労働災害による死傷者数は11.7万人
うち過去三年の累積労働死亡数は972+928+978=2,878人

労働災害のレポには外国人労働者の死傷災害発生状況ってまんまな項目がある。

平成29年
死傷者数 2,494
外国人労働者数 1,278,670
0.195%

技能実習生死傷者数 639
技能実習生人数 257,788
0.248%

同じ外国人労働者でも技能実習生枠のほうが死傷災害にあいやすい職場、産業なんだろうね。
というか、死亡災害と死傷災害にわかれてるんだけど、どう違うんだろう?
死亡災害は即死で、死傷はその後死んだかもしれないけど怪我をおこしたことは確実な数??

にしても、、、
日本では技能実習生26万人を含めると現在150万人も外国の人が働いてるんだね。労働力人口の10%。いま、こんなに多いんだね。おどろきだよ。

参考みたいの

労働災害発生状況(確定) 厚生労働省
www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/

2019年4月入管法改正情報
www.satomasami.com/%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%91%EF%BC%99%E5%B9%B4%EF%BC%94%E6%9C%88%E5%85%A5%E7%AE%A1%E6%B3%95%E6%94%B9%E6%AD%A3%E6%83%85%E5%A0%B1/


改正水道法やらについておもうこと


いわゆる水道民営化法案なるものが成立したそうな。
国内の生活インフラを海外水メジャーに売り払うようなもんだとか、水道料金がばか高くなるんじゃないかとか批判あがっているようだ。絶対、失敗する!と。

まぁするよね。
失敗っていうか、過疎の地域にまで上下水整備したけど、これから先維持できそうにないや!っていう諦めだと思うので、多分みんなの心配した通りになるんだろう。けど、どうせ避け得ないのではないかなと思う。上下水守って地方自治体を潰すか、民営だから失敗したんだとか申し訳つけて責任おっかぶせごまかしながら潰すぐらいの事しかもうできないと思うので、まあ、しょうがないんじゃないかなぁ。

もう何年前になるのか、わしの記憶もあやふやなんじゃがのぅ、中東あたりの水道事業で日本の水道事業がらみのメーカーがフランスの水道メジャーに負けたみたいな話しを聞いたことがある。曰く、日本のメーカーは逆浸透膜とか、そういう個々別々の製品のアピールや性能はすごかったんだけど、パッケージがないと。コーディネートがないと。他方、フランスのメーカーはそれらの部品は外部から調達しようがなにしようが、川上から川下まで抑えてくれるので発注する側としては世話がなくていいよね、と。日本は水道は公共事業なので、こういうフルカバレッジなサービス輸出ができない。今思えば、それがフランスの多国籍水処理メジャーのヴェオリア社とかだったのかな?

日本のメーカーは技術はつくれても商品はつくれないみたいな話しに通ずるところがあると思うんだけど、新幹線の輸出とかでも失敗していることはこれだよね、鉄道や線路だけ単品で売ってもしょうがなくて、運営から保守員の人材育成とかまでパッケージにしないと。まあ、負けるよね。

で、水道事業。
東京都の場合はだいぶ前に市区町村の運営から都営(東京都水道局:地方公営企業)に切り替えたと記憶している。wikipediaみると2000年ごろからか、三鷹市は2002年。未統合自治体がいくつかあって、たしか武蔵野市とかはまだだったんじゃないかな。うん、まだだね。
この頃から貯水槽水道方式から直結給水方式に切り替えられたりと、東京のまずかった水道水が格段によくなってきた。

自治体がそれぞれが開発運営してきたというところから、関係雇用とか、利権がらみもあったんだろうかね、この東京都の水道統合事業もなかなか難航したと伝え聞く。だけれども、地方自治体がそれぞれがちょっとづつ違うことをそれぞれが運営するっていうのは、なかなかに非効率なことで、費用もかかる。都とかそういう比較的広範囲な行政組織が公営にするっていうのは間違いではないと思う。

では、東京都ほど、人口も密集しておらず広域での管理が難しい地域はどうなるだろうか。
そんなん、どうしょうもないでしょ・・・?

かつて、さだまさしがまだ若い時、無人島を買って、生存権を縦に電気ガス水道を離島まで敷設させたが電話会社は民営だから断わってきたみたいな逸話が本に書いてあって読んだ記憶があるのだが、これは極端な例としても、数件とか、数人しか住んでいない山間や離島の村落のために、道路電気ガス水道橋梁トンネルって、受益者負担の原則から考えたら一人あたりおいくら億円かけてるんだよって話しだよね。
どこも紋切り型の田舎地方都市みたいにする必要はなくって、田舎の情景はそれぞれが素晴らしいんだから暮らしにくいかもしれないけど、どうぞそのままで。

列島改造論に浮かされて公共事業をやりたいがために、いろいろ作っちゃったご先祖様方。
けれども、耐久消費財とか建造物っていうのは作ったらおわりじゃなくて、耐用年数の半分ぐらいで保守のために建造費の半分ぐらいのお金が必要だし、耐用年数が過ぎたら撤去や施設更新が必要になる。

鉄骨コンクリ製のトンネルだと耐用年数60年、橋りょう50年、ダムだと80年、上水道は30年。実使用年数で水道の鋳鉄管を見ると、40年だそうな。

参考資料 実使用年数に基づく更新基準の設定例 – 厚生労働省
www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/kousinkijyun_2.pdf



高度経済成長期のいけいけどんどんの時期につくった公共インフラなんかが限界を迎えつつあって、そろそろ、施設の更新や大規模補修が必要になってくる時期なんだが、地方自治体は、もともと財政基盤が軟弱なうえ、そもそもが単年度会計で、それらの大規模更新を見越して複数年度で予算計画を立ててる自治体なんぞないのである。ってことで、わかってたけど予定していなかった出費により財政的に破綻するか、事故が起きるかの二択だよね、どうするんだろうね? って思ってたところに公設民営の改正でしょ? あ、そうするのね、っていう感想にしかならないよね。

財政破綻か事故るかの二択が、委託業者の管理下で事故になるか、ちゃんと運営できない委託業者のせいだっていう新たな二択もとれるようになった。委託される側の業者は逃げてーって感じだけど、多分、経験値がある会社は、そういうババな自治体は引かずに、美味しいところだけいただくんだろうね。ババ引かされて詰め腹を切らされるやついっぱい出るんだろうね。

原子力発電所でさえも耐用年数過ぎても、利益が出ている間はなんやかんや理由をつけて使い続けて事故にまで至ってるんだから、管理主体と運営主体が同じだと、正常化バイアスで事故は防ぎようもないのかもしれない。動いてるんだから触るな!な前例事なかれ主義と更新は相性悪いもんね。

でも、諸先輩方の負側の遺産、やらかしはどこかで帳尻をあわせなきゃいけないわけで、本当はこーいうのを技術の発展とかで「まかせろ!」ってなって欲しいけど・・・、上下水のインフラのほうでこの100年進化したのって、鉛管がビニール管なったぐらいかな?

埋設土木技術とかは汎用技術だから進歩してるんだけども、水道については全国的な競争はなかったから、ここに競争が入れば技術革新はあるかもね。もちろん、競争による弊害も出るだろうけど…。

空気中の水蒸気を復水できる小型な装置とか、ドラえもんの自動井戸掘り機~みたいな、一足飛びの技術革新未来かもん!

参考てきな

水道民営化促進で内閣府に出向した人の正体
7日成立予定の改正水道法に不透明な背景
安積 明子 : ジャーナリスト
toyokeizai.net/articles/-/253769

東京都水道局
ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E6%B0%B4%E9%81%93%E5%B1%80

乾いた空気から水を取り出す装置、太陽光で動作 – MITとUCバークレーが開発
news.mynavi.jp/article/20170420-a052/