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  • 身も蓋もなく言うと空き家とはつまり

    空き家について書こうと思ったのだけど、そもそも税についての理解がないと話しもできないのでそっちを書いてたら、そのまま終わってしまった。なので、そこらへんについてはみなさんご存知の体ということで、こんどこそ空き家について書く!
    →前段
    http://kuippa.com/blog/2014/07/19/%E4%B8%8D%E5%90%88%E7%90%86%E3%81%AA%E7%A9%BA%E3%81%8D%E5%AE%B6%E3%81%A8%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E5%BB%83%E5%B1%8B/
    三鷹市の安心安全課の方が言うには、空き家の定義は難しいそうだ。

     

    他人が見て、これは誰がどう見ても空き家だろう!といっても、法的な所有者が「いや年に1回は使ってる」「使うかもしれない」と言えば、それを空き家とするのは途端に難しくなる。電気のメーターの契約状況などの証拠を積み重ね、ようやくそれを空き家だと判定するが、別荘のように家屋をいくつも持っている人は居るし、例えば海外転勤などで長期家を留守にする人もいる。
    制度上、権利者の居ない家というのは無い。しかし所有者が自分がその権利を持っていると気がついてないことはある。
    持ち主が死んで相続が確定しないまま法定相続人が増え続ける土地と家屋。朽ちる家屋はより朽ちた制度の上ではよりわかりやすく顕在化する。莫大な資産であれば相続人も眼の色を変えるかもしれないが、逆に負担が発生するような場合、朽ちた家の義務を問われても撤去などの費用をどのように負担をするのかで合意形成は難しい。親から子、さらに孫、ひ孫、玄孫と、延々と権利者がネズミ算的に増えていくことで当事者間に面識もなくなり連絡も難しくなる。

     

    空き家で伸び放題になった樹木。電線に絡まる蔦。崩れて飛んでくる屋根。
    しかし、行政などの公がその木を切ろうとしても、そこには権利の持ち物であるので、行政執行手続きを取らない限り撤去もできない。他人の樹木を傷つければ器物損壊だ。
    三鷹市のデータを引用する。

    一戸建て件数 28,651
    空き家数 617 (2.15%)
    老朽度高 80
    老朽度中 161
    老朽度低 376

    これら空き家の持ち主を苦労して特定して連絡しアンケートをとったそうだ。

    「維持管理で困っていること」

    管理の手間が大変 21
    管理を頼める人がいない 5
    維持管理の委託料が高い 2
    特にない 32
    その他 8
    未回答 6

    なんと、特にないが一番多いのである。

    「住宅の賃貸」

    賃貸する予定はない 55.4%
    現在、賃貸の検討おwしている 13.5%
    将来的には、賃貸したい 8.1%
    その他 20.3%
    未回答 2.7%

     

    賃貸する予定もない!
    つまるところ、放置しているから空き家なのであって、放置してて困ることありますか?ってたずねたところで、別にないよねというところなのだ。なにせ空き家にしておいたほうが経済的には合理性が高いのだ。
    ついでに、三鷹市の商店街の空き店舗状況についても引用しておく。
    1900店舗中、158件の空き店舗、テナント募集されているのはうち34店、されていないのは124店舗。貸そうともしていないわけっす。まあそのなかの一店舗はうちなんだけど。。。だから大変なんだって。貸したり弄ったりすると……。
    昨日こんなニュースがあった。

    池袋の空き家に住み62歳男逮捕、カセットコンロで自炊

    http://www.hochi.co.jp/topics/20140718-OHT1T50046.html

    東京・池袋の住宅街にある50代の女性が所有する空き家に、2週間住みついていたとして、警視庁池袋署が住居侵入などの疑いで住所不定、無職の袴田清臣容疑者(62)を現行犯逮捕
    (略)
    一戸建ての平屋で、6年前に女性が両親をひきとってから空き家となった。家の中は普段散らかっていたが、袴田容疑者が不要な衣類などをごみの日に捨てていて、きれいになっていた。

    袴田容疑者はこれまで池袋周辺の公園などで生活していて、取り調べに対し「これからは充実した生活が始まると思った」と話している。

     

    空き家から発生する、ゴミ屋敷化、スラム化、失火の確率、倒壊などによる被害可能性、ネズミなどのペスト。
    放置は社会的コストは増えるが権利者のコストは減る。

     

    日本の住宅地は細かく細断されあちらこちらに家が建った。集合住宅も多く建った。100年住宅だのなんだのと言われているが30年落ちの団地の解体すらもままならない現状で、いったい誰がそのコストと負担するのかは重要なポイント。

     

     

    放置することによる経済的メリットは、その物件価値をVとすると

    (V*0.8)-(3000+600*x)
    0.8:小規模宅地控除
    x:法定相続人数
    3000,600:基礎控除

    すくなくともこれ以上の価値がないとだめ。

    解体もしくはリノベートするイニシャルコストをIvとして、
    それらを運用することで得られる利益率をまあ30年償却ぐらいで考えると、
    Iv/30

    ここから建設コストを算出できるぐらいの浮く分がないとやる価値がない。
    不動産についてはおおよそ受託金利での借り入れになるので、本来であればその資金運用で得られたお金を耐久消費財へ固定しているわけで、その機会損失分も考慮にいれる。この金利分も運用コストにのせなければいけないだろう。

     

    最近の利益率の下がっている日本の産業構造下で、30年先の建物物件への投資コストと借り入れ分金利まで読み切った上でアクション。これって蛮勇じゃね?

     

    この将来にわたる得られうる利益は、もっとも利潤が得られる合理的な動きを人がするという前提であれば、将来価値Fvの現在価値Pvは少なくとも多くの不動産所有者については合理性ないよね。

     

    利益率をr%と考えればn年後にV円として計算されるような物件の現在価値なんて、ざくーっと考えても
    Pv=V*1/(1+r)^n
    でしょ?

     

    日本は新築で建てた瞬間に半額になる世界なんだから、税の問題刺し抜いても現在価値低すぎる。これで利益出せるってかなり条件に恵まれてるかタイミングがいいか、お花畑思想しないと踏み出せないよね。
    不動産がもっとも安定的に運用できるといっても、人口動態推計を考えれば数十年もしないうちに労働人口1/2になるのに、10年型落ちの物件の将来価値考えれば放置がベストウエイになることはポートフォリオ上、十二分にありうる。
    すくなくとも保守費用と利益をバランスさせるためには潤沢なフローと相当な工夫が必要。フローでどうしょうもないから、相続のために資産を借金でバランスするみたいな条件でもないかぎり……。んー。
    ちょっと暴走しすぎたかな。多分誰もついてこない気がする。まあいいや。ここらへんは問題点として共有できない気がするし。

     

     

    日本で最も安全に運用できる新発国債10年ものの金利はわずか0.54%、0.0054だよ!
    リスクフリーレートが0.54%のところで、リスク取りに行って勝負なんてしかけてもコツコツ稼いで大きく負けるよね。
    だって何もしないという行動選択肢は利益も0だけどリスクも0なんだもん。

     

     

    http://www.sankeibiz.jp/business/news/140705/bsd1407050500009-n1.htm

    空き家問題に詳しい富士通総研の米山秀隆上席主任研究員は「住宅ローン減税などで、新築よりも中古を買ったほうが手厚くなるようにするなど、金銭的な後押しがあると効果的だ」

     

    メリットがないならペナルティでコントロールしよう。みたいな世界じゃでぇ。
    「ふふふ!ご褒美にムチ打ちの回数を少なくしてやろう!!」ってなってくると、
    「何もしないのがもっとも合理的だ」みたいな、合理的な判断に寄っているだけだと思うんだよね。
    「働いたら負け」みたいなNEET思想もそりゃ流行るわ。

     

    働いたら罰金    →所得税
    買ったら罰金    →消費税
    持ったら罰金    →固定資産税
    住んだら罰金    →住民税
    飲んだら罰金    →酒税
    吸ったら罰金    →タバコ税
    乗ったら罰金    →自動車税・ガソリン税
    入ったら罰金    →入浴税
    起業したら罰金   →法人税
    死んだら罰金    →相続税
    継いでも罰金    →相続税
    上げたら罰金    →贈与税
    貰っても罰金    →贈与税
    生きてるだけで罰金 →住民税
    若いと罰金     →年金
    老けても罰金    →介護保険料
    老いたら罰金    →後期高齢者

    働かなかったら賞金 →生活保護

    まあ、これはこれでどうかとは思うけどさ。わからなくもないよ。
    負のフィードバック係数の方が大きすぎて現実そうなってると判断されてもやむない。
    特に税金なんて持っているもの、稼いだものの割合、%で累進でかかってくるから、稼ぎが大きかったり、持っているものがおおきかったりする人のほうが影響がでかい。稼げる人や資産家がリスクをとるより何もしないほうが合理的だとなれば、防衛のために働かない、何もしないなんてのも選択されうるよね。

     

    例えばせっかく空き家問題をなんとかしようと一棟買い上げのシェアハウスが増えてきたところに、一時期シェアハウスは寄宿舎扱いして建築基準をあげたり、寮母を置かないとみたいな競争阻害、新規参入阻害条項を設けたでしょ。

     

    確かに脱法シェアハウスのような蜂の巣みたいなところに人間ぶっこんで人権的にアウトなんじゃないかというような、ものは問題だけれども、将来価値がゼロどころかマイナスにしかならないような網かけたらそりゃ破壊的成長なんて、ありえないわ。セキュリティと利便性は相反するので、制度決めるひとはきちんと将来フローまで考えて施策をうってくれないと困ってしまいます。

     

    特に土地に自重自縛されてる地縛霊みたいな資産家は、防衛戦しかできないんよ。だってコツコツ稼いだぐらいじゃ焼け石に水ぐらいの石のうえで焼き石土下座強要されるようなもんだし、どうせぇっちゅう話なんじゃないかな。そりゃ動産を持ってる人はこれだけ流動性たかければ海外で回すよね。海外で製造して日本で売る。結果、国内に産業も育たないし、雇用も生まれない。アベノミクスで株価があがったいってたけど海外経由からの投資寄与率6割とかじゃなかった?細かい数字わすれたけど。うん。64%、6割でいいや。

     

    将来価値を無視して、単年度予算、ショートタームでしか考えないのはつくづくダメだと思う。壊しては建てを繰り返し蓄積しない。価値が育まれないし育たない。今後10年ますます顕在化する空き家問題。20年後の空きビルの維持費用、解体費用、50年後の空き超高層ビルの維持費用、解体費用。どーすんのよと。耐久消費財は作成時だけでなく、維持解体にも資金が掛かる。道路やトンネルでも同じこと。権利と義務の所在はふわふわーっとしたまま。

     

     

    空き家問題は象徴で、試金石。

    空家等対策法をつくるべく準備しているらしいけど、単なる補助と控除事業に終わらないことを期待したいです。

     

    ◇補助対象
    地方公共団体が行う次の事業
    ・不良住宅、空き家住宅又は空き建築物の除却
    ・除却を行う者に対する経費補助(地方公共団体の民間に対する補助)
    ・空き家住宅又は空き建築物の活用
    ・活用を行う者に対する経費補助(地方公共団体の民間に対する補助)
    ・所有者の特定

    ◇国費率
    ・不良住宅、空き家住宅又は空き建築物の除却  ・・・2/5
    ・除却を行う者に対する経費補助(地方公共団体の民間に対する補助) ・・・2/5 ※5
    ・空き家住宅又は空き建築物の活用  ・・・1/2
    ・活用を行う者に対する経費補助(地方公共団体の民間に対する補助) ・・・1/3※5
    ・所有者の特定・・・1/2

    http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000011.html

    うん。もろめっちゃ控除と補助だった!

     

    所有者の特定とかもうしなくていいんじゃないかな…
    放置認定して管理委託を自治体が引き受けてその費用を権利者が払わなければ、公知手続き後、その費用徴として競売ってな感じで。
    活用事業は結局なんだかわからないNPOが跋扈する補助金じゃなくて、ゴールを設定して達成型したら報奨金とかにしようぜ。しようぜ。しようぜ…。

     

    空き家をリノベートして売上、利益、雇用の評価の上位に報奨金合計1000万円!とか。これくらいなら民間団体でもアワード設定できそうだね。

     

    誰かやらない?やって。やって。

     

    シェアハウスとかカフェ縛りとかでもいいからさー

     

     

     

    **参考

    国土交通省 空き家再生等推進事業について
    http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000011.html

    「空き家」激増…全国で利活用が拡大 シェアハウス転用、バンク後押し (1/4ページ)
    http://www.sankeibiz.jp/business/news/140705/bsd1407050500009-n1.htm

    一般社団法人すまいづくりまちづくりセンター連合会 空家住宅情報
    http://www.sumikae-nichiikikyoju.net/akiya/

    【シェアハウスの『寄宿舎』扱い→規制緩和】

    【シェアハウス|規制緩和|寄宿舎扱い→施行令・条例改正・告示】

    【号外】<シェアハウス>寄宿舎並み規制を撤回へ 国交省
    http://www.sharehouse180.net/archives/520

    東京証券取引所 投資部門別売買状況(株券/CB)
    http://www.tse.or.jp/market/data/sector/

     

  • 不合理な空き家と制度の廃屋

    人口が減って空き家だらけになる日本はいったいどこへゆく。

    こんなニュースがあった。

    空き家放置が合理的 新築優遇、人口減で裏目に
    2014/7/18 2:00
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF1200Y_U4A710C1SHA000/

    築46年の大和荘。10年以上前から誰も住まず、はがれた屋根板が隣家の庭に落ちるなどの被害が出ていた。
    区は結局、持ち主の同意を得ずに解体する強権発動に踏み切った。
    東京都板橋区に住む持ち主の男性(94)
    「取り壊して更地にすると土地の固定資産税が跳ね上がるから」

     
    94歳の不動産管理監督者責任を問うたうえで行政執行をするなんて、なんて!なんて!!鬼なんだと思う。
    じつに恐ろしい。

     

    記事でも書かれているように空き家を更地にするだけで固定資産税は6倍になる。でも、問題はそれだけじゃぁない。

     

    今年増税されたのは消費税だけではなく、相続税も大幅に上がっている。
    いままで相続税の申告が必要な人は100人に一人ぐらいでさらに支払いが必要な人はそのなかからさらに1/10ぐらいだったのが、東京都だと一気にこれが 「2人に1人」 が申告対象者になるんじゃねぇかと言われてるぐらいの改正が今年あった。
    知ってた??知らなかったなら今すぐ知れ。死ぬぞ。繰り返すこれは訓練ではない。繰り返す!これは訓練ではない!!

     
    で、もともと相続税を考慮しなければいけなかった人たちの母数が少ないし、あっても絶対超プライベート情報なので世間で共有されないないだろうし、開業してる税理士でもいままでは相続を納付までやるのは開業人生のなかでも数件ぐらいなツチノコみたいな幻獣分野だったのが、今年から二人に一人は幻獣になっちゃうファンタジー世界に突入したわけですね。

     

    さあ、ここで問題になるのが不動産なわけです。
    例えば、使っていない、空き家があったとして、これを更地にして駐車場にでもして貸し出せば、儲かるじゃないなどというのは日本ではあまりに浅慮なんですわ。
    家がなくなることで、維持費に相当する固定資産税における宅地の1/6控除が外れるだけでなく、貸し駐車場のような収益性物件にしてしまうことで事業用用地になってしまうし、上物にも価値がでてしまう。

     

     

    さらに相続税。
    身内が亡くなって悲しんでいるところに、10ヶ月以内に金を用意して収めなさいという残酷制度なんだが、ここで問題になるのが不動産。簡単においそれと動かせないから「不動」産なのに、それじゃ10ヶ月以内に「現金で」支払ってね!と。

     
    たとえば不動産が1億円の価値だと、えっと1億以上は税率は40%ね!じゃ税金4,000万のお支払いよろぴく!という感じ。

     

    土地はたしかに相場価格で1億かもしれないけど、不動産を現金化なんてそう簡単にはできないし、そもそも売るつもりないし、分納とかもできないし、ぎゃーなんじゃこれーー!!って相続人まで死んでしまうことになる。
    延滞税は14.6%、消費者金融かっちゅう感じだし、税が原因じゃ自己破産も認められないし、金貸しはドアをドンドン叩くだけだけど国税はバールでドア壊して入ってくるって先輩が言ってた。おっかねぇ。おっかねぇ。がくぶる

     

    でも、まあ実際はそんな風に乱暴な計算をされるわけではなくって、お上!おねげぇしますだ、この土地を召しあげられると住むところがなくなってしまう(宅地控除)だで、農作物も(緑地)、旦那が(配偶者特別控除)だとか、そんな風に、お情けがあるわけです。ちょうど生かさず殺さずの範囲にしないと一揆が起きるからね。

     
    去年までは、地所の路線価が1億でも基本的な控除分だけで、基礎控除で5000万+相続人×1000万があったので、なんだかんだのそこそこ現実的な税額にはなってたんだよね。去年までは。
    まあ増税後は、4割の控除がなくなって、基礎控除で3,000万+相続人×600万になったので、都内みたいな土地の高いところに戸建てとか持ってると3,600万は確実に超えるだろうから、半分の人ぐらいは引っかかるよねって話しですね。

     

     
    すげぇ事象が複雑で説明がめんどくさいんだけど、このお情けのセットの宅地控除がこの空き家問題のネックなわけですよ。例えば小規模宅地という宅地控除はなんと80%。つまり路線価格1億円でも課税額2,000万円で計算できる。なのでいままでは実質、相続税を払う必要がある人なんてのは数億以上の資産がある人たちに限られていた。

     
    でも、この控除類にも変更が入ってるんですね。
    専門家に聞いたんだけど、なんとも言えないんだけど(課税はほとんど後出しルールだからねぇ)、この宅地控除も亡くなった人と同居の親族にしか控除を認めないとか、二世帯住宅は同居と認められないという人もいたり、例えば住民票を移す必要があるような養護特老とかにはいっちゃうと、その人が住んでいた住宅は宅地控除がうけられなくなちゃうんじゃないかとか、なんじゃのかんじゃの。まあいろいろと影響がでかいところに網をかけようとするのが改正なので、注意深く行動する必要がありますね。

     

    で、はい、ようやく本題。
    つまりこの老い先、どう考えても短い94歳の空き家を壊すことで損ずる経済的損失は固定資産税6倍どころではなく跳ね上がるわけですよ。もしかしたら10年前から住んでいないというのも、高齢になったので、親族のところに身を寄せているとか、ホームに入っているとかそういう理由なのかもしれないし、親族も少なくとも名義変更が完了するまで修繕も改修もできないところで、はい、空き家だから壊しますよーっと強制執行して更地にしてしまった。なんて酷なことをするのだろうかと思う。94歳じゃ行政訴訟を起こしたくても年齢的に無理だろう。なんかつくづく鬼だなと思う。

     
    そんなわけで、件のニュースの老人のお家は更地にされてしまったが、他にも日本全国には空き家や空き店舗はいっぱいある。更地にするより放置したほうが経済的合理性があるのだからしょうがない。

     

    しかしながら、震災も多いようなところで古い木造家屋が密集しているのは、防災上よろしくない。
    震災時に道路を塞ぎ、消火活動は困難が予想され、火の手は容易に拡がる。

     

    東京都防災マップ(建物倒壊/火災危険)

    http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/bosai/chousa_6/parts/kikendo_map.jpg

     

     

    個人も社会も不合理だと思ってるのに、不合理な選択をすることが経済的には合理的だというのは、制度疲労が放置され法律が廃屋になっているからなんだけど、ようやくこの不合理な状態を正そうと、2013秋ごろから「空き家対策推進特別措置法」の準備が進みようやく取り組みがされるようになったようだよ。

     
    うちも祖父の持ってた空き店舗があるし祖母が住んでいる古い木造もあるので、考えなきゃいけなくて、6/28に地元三鷹で開催された「空き家を活用した地域活性化の可能性」という国際基督教大学等の学生企画のトークサロンに行ってきたんだ。

     
    ・・・。ほんとはこれの事を話しながら、空き家の現在価値と将来価値とかの話を書きたかったんだけど、どうしても前段の知識がないと、そもそもお話しにならないので、書き殴ってたら長くなっちゃって、空き家ネタまで辿りつけなかった・・・・・・、また今度書こう。興味ある?知りたいことあればコメントでよろしくお願いしまっす。

     

     

     

     **参考

    空き家、市町村が立ち入り調査 自民が削減へ対策法案 2014/4/9 22:21
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0902F_Z00C14A4EE8000/
    空き家自主撤去で固定資産税減免 自民議連が対策法案
    http://www.asahi.com/politics/update/1023/TKY201310220429.html
    自民議連/空き家対策推進へ14年秋にも基本指針/市町村権限で除却・修繕命令 [2014年4月10日1面]
    http://www.decn.co.jp/?p=10203

    老朽化で倒壊する危険があったり、景観や衛生を損なったりしている空き家を「特定空き家」に指定。市町村が特定空き家の家主に除却や修繕、立ち木の伐採などを指導・助言したり、勧告・命令したりできるようにする。命令に従わない家主には50万円以下の過料を科すほか、行政代執行も可能にする。
    (略)
    特定空き家を含むすべての空き家を対象に、家主の把握などを目的にした情報収集方法も明記。市町村は家主の許可がなくても立ち入り検査ができるようにし、特に守秘義務が厳しい固定資産税情報の内部利用も認める。

     

    空家等対策の推進に関する特別措置法案が国会提出へ。
    http://www.newstyle-3405.com/category5/entry182.html

    固定資産税(土地・家屋)・都市計画税
    http://www.tax.metro.tokyo.jp/shisan/kotei_tosi.html#k_5

    相続税の計算方法
    http://www.tokyozeirishikai.or.jp/general/zei/souzoku/
    相続税改正、東京都では2人に1人が申告対象者に–東京国税局管内でも4割超に
    http://news.mynavi.jp/news/2014/05/16/261/

    地震に関する地域危険度測定調査(第7回)(平成25年9月公表)
    http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/bosai/chousa_6/home.htm
    やぼろじ 饗庭伸 / 首都大学東京饗庭伸研究室
    http://www.yabology.com/

  • やっぱり小規模事業者持続化補助金が好きデェ

    不採択となりました。ふん……。

     
    せっかくなので、助成金について書きます。

    会社として助成金に応募したのは、都合3~4回。

     

     

    パソコンを買うと貰える補助金

    はじめての助成金は創業まもなくのころ。
    三鷹市が独自にやっていた中小企業情報化・新規開拓推進事業。
    パソコンやらのOA機器、ソフトを買うための補助がでるというもの。
    掛かった費用の1/2、最大3万円/年がでた。
    すっごい少額だけれども、「弥生会計買いました。」「パソコン買いました。」で、買ったあとペラ1枚の報告書を提出するだけでよく、勤め人が管理部に経費申請みたいな感じで出すだけなので、はじめてでも使いやすかった。

     

    行政向けの事務書類は特殊仕様一辺倒なので、これらを提出したりする不慣れをトレーニングする意味でとても役だった。毎年の申請はできないんだけど、たしか数年おきに申請ができたら2回は申請したか。
    現在は情報化がすすんだということで制度そのものがなくなってしまったそうだ。残念。

     

     

     

    つなぎ資金のための補助金

    次の助成金は、リーマンショックのときに政府がやっていた、中小企業緊急経済対策資金なんちゃら。
    つなぎ資金の融資にかかる保証協会利用費と銀行金利分を負担してくれるための補助制度。

     

    時節柄、上場企業の33社とかが潰れたころで、景気がどん底。中小企業への貸し渋り、貸し剥がしがおきて資金繰りが悪化した中小企業はさらにドバドバと潰れたため、銀行とかに積極的融資を促すのが目的のもの。

     

    経済が大幅に縮退したのは金融セクター発なのに、そのしわ寄せを他が弁償していくのが社会縮図だった。
    金利分は負担するからお前ら金借りろという中小企業を救済するふりをした銀行救済のための制度でもある。
    しかし、まあ、会社としてみると金利0%でお金を借りることができる。

     

    なのでいい機会だから借りてみようと思った。
    というのも、うちの会社は企業としてはあるまじく、それまで銀行から借り入れをしたことが無い。

     

    なんで借り入れをしたことが無いかというと、会社というより、個人でやっている一人企業なのでもともと出費がすくないのと、お金がなくなったら個人から会社にお金を出せばいいやという放漫経営と、さらにお店で稼げなくてもプログラム書いて凌ぎすればいいやという放蕩経営のせいもあった。

     
    紅茶しかない喫茶とか茶葉の小売とかあらゆる面で革新性に乏しいオールドエコノミーな事業。どだい儲からない。
    だいたいが、事業を始めるまえに自分で事業計画をたてた段階ですら、損益分岐点をいくらシュミレーションしてもプラスにできないままはじめたものであるので、この事業に銀行への返済金利分を払えるほど利益がないとわかっていたので、最初からすべて自己資金でやろうと考えていた。レバレッジ(テコの原理)を効かせてまで損するほどリッチでもマゾでもない。

     
    計画の段階から苦戦することはわかっていたが、やはり実際やってみてもワーキングプアまっさおの万年赤字経営。儲からないのになんか忙しい。休みってなんですか?自転車操業。資金繰りは常に苦しい。しかも心療内科にかよいながら行き場をなくしてた後輩までなんか保護してバイト代を払っていたりしたので、資金繰りはいつも厳しかった。

     
    まあ、だから金利が0ならば、世間もすなるという借り入れをしてみよと思ったわけだ。
    記憶によると最大枠800万だったところを400万ぐらいで申請して、市役所からは申請が降りたと記憶している。
    だがしかし、それを持って銀行にいったら、「ちみのところの会社の業績と事業内容だと、貸して100万円ぐらいだねぇ~、お情けで」ぐらいのことを言われて、そのうえなんか銀行向けの事業計画書とか、資金計画書とかを書いて、結局たかだか100万を借り入るのに半年ぐらい掛かった。労力的には100万ぐらいは掛かってるうえ、緊急という概念もあれのようだ。もうほんとうあれだなと思う。

     

     

    なんだのかんだの、結局代表者が会社の連帯保証人にさせられて、おおー、これが悪名高い社長が首吊るあれかーと思いながらも融資を得て、そのまま返済期間を2年に設定してストレートに返済して終わりにした。

     

    やっぱり借り入れにするも、資本増強するにもキャピタルコストってめっちゃくちゃ高いんだなぁ、とものすごく社会勉強になった。銀行への利子分を払えるほど利益率が高いビジネスはなかなかない。しかもリスクレートが高い。まんねりな価値創造でビジネスするより、リスクフリーレートがうまわまる事業って日本ではなかなかない。新規参入でやろうとすると、なんかいろいろ際どい。そりゃ発展も止まるわ。

     

     

    小規模事業者持続化補助金

    今回アベノミクスで盛り込まれた経済対策。中小企業に波及していないのを解消する目的があるものと思われる。

     

    2/3補助で、最大50万円、雇用効果がある場合は100万円。結構使い勝手がいいから応募してねとあちらこちらから宣伝があった。

     
    消費税増税分を上回る、賃金上昇がないと97年のような景気の大幅後退に発展するそうで、結構本腰らしい。だけど、5月までの景況感をみるかぎり既になんかかなりヤバそうだ。

     

    まあそんなこんな、茶屋なんてものは資金繰りはだいたいいつも厳しいし、そろそろやろうと思っていたこともあったので、80万程度の事業計画をたてて50万分の申請をした。

     
    ようやく9年かけて、この2年ぐらいは外稼ぎしなくても、本業だけでなんとか回るようになってきた。もっとも年収はマイナス。本当にツラくって、情けなくって、本当に皆様に申し訳ないんですわ。

     
    ですから、……皆さんのご指導を真摯に受け止めて、社長という大きな、ク、カテゴリーに比べたらァ、販売管理費、ハンバァァアィ管理費の、報告ノォォー、オラァ!デベェエ、折り合いをつけるっていうー、ことで、もう一生懸命ほんとに、中小企業問題、貧弱ッ企業ェェエエッハアアアァアーー!!貧弱貧弱ゥウ! 中小企業問題はー!

     

    我が社のみウワッハッハーーン!! 我が社のッハアーーーー! 我が社ノミナラズ! みんなの、日本中の問題じゃないですか!!

     

    そういう問題ッヒョオッホーーー!! 解決ジダイガダメメタァ!! 俺ハネェ! ブフッフンハアァア!! 誰がね゛え! 誰が誰に申請ジデモ゛ムダ、ムダヤ無駄無駄無駄無駄無駄ァ思っでえ!

     

    ウーハッフッハーン!! ッウーン! ずっとやってきたんですわ! だけど! 変わらんからーそれやったらワダヂが! 改善して! ウキウキ通り! アハハーンッ♪ 命がけでイェーヒッフア゛ーーァ!!! ……ッウ、ック。 あなたには分からないでしょうけどね!

     

     

    ふぅ。……感情的になって、申し訳ございませんでした。

     

     

    ま、不採択。

    どうも一部ツイートなどをみるかぎり採択率が20%を切るほど盛況だったようですね。
    3,147件が採択されて、予定されていた二次募集もなくなったようです。
    採択一覧表はでているが、応募件数や応募額面数はわかりません。

     

    東京都の商工会経由は採択数/応募件数でみるとさらに激戦だったのではないでしょうか。

    (知らない人のためにいうと商工会と商工会議所は別団体です。それぞれ商工会法と商工会議所法で別々の所管。地方で強いのが商工会で都市部で強いのが商工会議所。自治体ごとに縄張りがあって地域ごとの組織率によって縄張りがある。うちの市は商工会。)

     

    どうせやろうとおもっていたことなので助成金つかなくても手をつけなきゃいけないんですが、丸1日セミナーに参加して、かなりがっつり書いたつもりだったんですが、ここまで厳しいとは思いませんでした。
    配点に企業の前年度業績評価が高めにあったので、PLでみてもISでみても、銀行的な評価手法で測ると、悪評価だったのでしょうね。

     

    ちと、こまっしゃくれます。

    日本の財務会計上の企業価値で公的助勢の可否を決めると、将来価値より現在価値のみの評価に終始してしまうので、中小企業相手に、事業計画の値踏みをして中小企業診断士とかが実効性とか実現性を採択していくのではなく、やったことにたいして、それがどれだけPublic Influenceが経済的、技術的にあったかでバリエーションしていったほうが健全だと思うんで、そういうのを増やしてほしいですね。
    事前申請の許諾型にすると、利益誘導や癒着の温床になるし。
    というかなってるし。
    日本は達成型やコンテスト型の助成金ってほとんど企画されていないらしいです。助成金の払込は実行されたあと一年後なのにですよ。

     
    ファウンデーション資金や操業資金は結局銀行などからの借り入れで賄わなければいけない構造です。実行後公開型の評価も併用しないことには、社会公器としての投資はまわらないですよね。

     

    どのように使われたか、そこに不正はなかったの監査はあっても、そこに他の社がやっているこちらのほうが社会的価値があるなど、実行後の機会価値面からの評価や、成果の競争はないわけです。

     

    1. 許諾型:計画を審査して、計画どおりにやったことを確認したら助成金。
    2. 達成型:実行結果が目標に達したら助成金。←日本ではお目にかかれない
    3. コンテスト型:成果を競い合わせて優秀なものに報奨金。←日本できいたことない

    2,3では構造上、特定団体に利益誘導するとバレバレなのでなかなか実施されることはないかもしれませんが、増えたらいいなと思います。

     

     

    政治家はもちろんのこと官公庁で実務を担う官僚もそうですが、企業経営はもちろんのこと、資金繰りや、民間企業において付加価値創造に携わったことがある人が制度設計側にひとりも居ないという話しをきいてさもありなんと思いました。

     

    こちらは社会人経験のある教員のグラフです。
    卒業後そのまま教員になってしまうひとばかりで、構成されていることがわかります。
    http://tmaita77.blogspot.jp/2014/07/blog-post.html

    http://3.bp.blogspot.com/-pchQ9tZM2DQ/U7JMOxc1mtI/AAAAAAAAGec/ebB6ny_8d3E/s1600/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E2%91%A0.png

     


    http://1.bp.blogspot.com/-2LVvyLN6OTE/U7JarxI_PVI/AAAAAAAAGe8/fa8-GKtPjTk/s1600/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E2%91%A1.png

     

    民間企業退勤後に官僚とかありえないのですし、政治家も官僚出身とか学者出身、2世3世がおおいので、ぜひグラフ化して欲しいですね。

    教員構成以上に偏っているのではないかと危惧します。
    環境変化が流動的になっているので、多様性が失われた状態で、高効率を出すのはさすがに限界かもしれません。

     

    ウワッハッッヒフフーーン

     

    参考:

    平成25年度補正予算 小規模事業者持続化補助金 の補助事業者を採択しました 中小企業庁

    http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shokibo/2014/140502shokibo.htm

     

    小規模事業者持続化補助金 商工会議所
    http://www.jizokukahojokin.info/

     

    教員の社会人経験の国際比較
    http://tmaita77.blogspot.jp/2014/07/blog-post.html

     

    レペゼン:ののむらけんぎ
    【書き起こし】野々村竜太郎県議、”号泣”記者会見 「キッチリ報告してんのに、何で自分を曲げないといかんのや」
    http://logmi.jp/16387