隠されもなくなったサイレントインベイジョン


目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画 (日本語) 単行本 – 2020/5/29

読了。
2018年2月、出版の本なので今更感はあるのだけど、邦訳が先日出たので読んでみた。
出版当時、舞台となったオーストラリアを始め世界に衝撃を与え、その後の各国の対中政策にまで影響を与えた。あれから2年が経ち、ファーウェイの副会長がカナダでの電撃逮捕、米中貿易戦争が本格化、香港デモ、そしてコロナ禍がおきた。そして今はBLM運動による各国内の騒乱がおきている。米国で黒人が警官に取り押さえられ亡くなる動画がセンセーショナルに繰り替えされ、そして今は白人女性が黒人に無抵抗に殴られる動画がSNSで拡散されている。情報の広がり方や、このテーマを次々に替えて検証を振り切るやりかたは、インフォデミックのお手本のような手法なので、何故このタイミングでBLM運動が起きたのかなどは、各国での広がり方などを含め数年かかけてでもきちんと情報分析されるであろうことを願っている。

中国が今代のキー国であることは間違いない。
オーストラリアより、より中国に物理も文化も近い日本としては既知な内容も多いのだが改めてオーストラリアの状況は知っておいたほうがいいかもしれない。二年遅れというのもあれだが、入ってこないよりはなんぼかという感じだ。日本においては、もはや隠されもしなくなったが報道されもしない浸透工作について、気になった項目をまとめつつ、あれこれ書き書きする。

属国化戦略

三国志好きで戦略ゲームやciviとかが好きな人は、中華思想というものを体感的には理解している可能性が高い。東夷、南蛮、西戎、北狄。その中心に中華があるというそれは帝国主義というよりは、もっと、実利、合理に近いものなのではないかと思う。落とせる時は落とすし、併合コストが高すぎるならば傀儡属国都市国家として他の国に宗主国を取られないようにしつつ放っておく。算盤と天秤だけでなく、一党独裁だからこそ10年、100年という時間を考慮できる強かさがそこにはある。

イデオロギー国家において影響力や拒否権は重要だ。
WHOのような国際的な組織であっても、アフリカ諸国経由で決定権を実質保持できるならそうするし、一帯一路でお金を貸してもそれ以上のメリットがあるならそうする。影響力はただ一つの太陽のようであるべきだ。それが中華思想。

共産党のイデオロギー教育

世界を見ると第一次世界大戦のときなどに徹底した赤狩り(反共産主義)がおこなわれた関係で、共産党が法律で禁じられている国は存外多く、民主主義を標榜する国家においては現役の共産党議員がそもそも居ない国は多い。
オーストラリアはどうなのかと調べてみたら1991年に共産党は解党しているようだ。((https://en.wikipedia.org/wiki/Communist_Party_of_Australia))
日本はGHQによる占領下であらためてレッドパージが行われたが、その後、ふがふがもごもご・・・。このあたりのことを書くとめんどくさいことになりそうなので日本のことは省略。

中国では国という組織より上に、ホールディングスとして共産党がある。
中国人民解放軍は中国共産党の軍隊であって、国のための軍ではない。

一応は中国にも複数政党が存在し選挙もおこなわれるし、国も軍隊を持っていいことになっているが、共産党の指導に従いという前提がつく。香港が民主選挙で親中派に勝利しても、体制や方針を変えることができないのは、行政長官は選挙委員会が選出し、中央人民政府が任命するからだ。立候補は中国当局の同意が必要なので、そもそもな話しである。ついでに言うと北朝鮮にも選挙や野党があるのだとか。

国や軍は共産党の指導に従う。
共産主義というイデオロギーがまずあって、その下に国家がぶら下がるという構造を意識しなければいけない。
さて、で、イデオロギーの教育がどのようにおこなわれてるかについてだけど日本では逆にそっちのほうが当たり前すぎて改めて書くまでもない気がするんだけどどうじゃろ?むしろ我々は資本主義、お金の回しかたとか民主主義、選挙についてのほうの教育うけてないよね。

華僑の動員

長野オリンピック聖火リレーのとき対チベットについて、国内4000人の中国人が動員され示威行動があったのを記憶している人はいるとおもうけど、この本曰く、留学生にとってもっとも怖いのは中国領事館だという。
世界に広がる500万人以上の華僑を動員するための豊富な資金と精密なプラン僑務工作がおこなわれているそうだ。 オーストラリアには中国系の人々が100万人以上いる。
ここらへんは9章の「一万人の華僑動員」「ヒューミント(ヒューマンインテリジェンス)」あたりでも詳しく書かれている。まあこれも日本ではよく知られてるのであまり書く必要はないかもしれないかな? 日本にいる中国人の留学生の子や職場の人に聞けば別に悪いことでも特別なこととも思ってないので教えてくれるんじゃないかな。面白い話し聞けたらおしえて。

ちなみに、日本を調べてみたら、

平成30年末現在における中長期在留者数は240万9,677人,特別永住者数は32万1,416人
www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00081.html
(1) 中   国      764,720人 (構成比28.0%) (+ 4.6%)
(2) 韓   国      449,634人 (構成比16.5%) (- 0.2%)
(3) ベトナム      330,835人 (構成比12.1%) (+26.1%)
(4) フィリピン      271,289人 (構成比 9.9%) (+ 4.1%)
(5) ブラジル      201,865人 (構成比 7.4%) (+ 5.5%)
(6) ネパール       88,951人 (構成比 3.3%) (+11.1%)
(9) インドネシア     56,346人 (構成比 2.1%) (+12.7%)

中華系は76万人だって。おや? オーストラリアより少ないんだ?

中国の法律の範囲の広さ

鄧小平の姪とつながりのある会社と対立関係にあったオーストラリア国籍のジェームズ・ペン・ジアンドンをマカオで拉致、本土に連れ去りでっち上げの犯罪で投獄、八億ドルが奪われた(P73)

・・・。この一文が本書のなかで一番インパクトありましたわ。

判事達は買収されて、指示された通りの判決を言い渡す。中国の法定では有罪率が99%である(ちなみにオーストラリアの刑事裁判ではおよそ87%)中国の最高裁は政治体制からの司法の独立を「誤った西洋の思想」だと拒否している(P76)

日本の刑事裁判の有罪率99.9%でごめんなさい・・・っ!
カルロス・ゴーンで国際的に日本の刑事司法が取りざたされたとき、日本の法相も同じような事言ってたしね。

われわれはどれほど依存しているのか?

2016-17 中国人の農地の所有数は上昇しており、その数は10倍に増え動物性タンパク質の欠乏を克服するために、オーストラリアの農業に注目(P155)

コロナ騒動の直前に中国でアフリカ豚コレラ(アフリカ豚熱)が流行っていて、結構養豚に深刻なダメージを受けてる。その後詳報でなくなったので逆にやばいかもしれない。
アフリカ豚熱の前は普通の豚熱(これは日本にも残念ながら流入してきてしまった)があって、豚が足りなくなってアフリカから豚を入れた結果起きた惨禍だった。

豚熱はイノシシにも感染するので、今日本がやっているように山にワクチン入りの餌をばら撒くなどして対処療法的な対策をしなくてはならないが、アフリカ豚熱はそもそも普通の豚熱とは根本から異なる病気で未知のウイルスに近く、どんなウイルスの仲間だかもわかってない。だから、そもそも予防法もワクチンもない。

それに加えて、蝗害(サバクトビバッタ)の被害が東アフリカから中東に海を超えて渡り、パキスタンとインド国境付近にまで被害が拡大した。ヒマラヤ山脈をサバクトビバッタが超えることはないが、歴史的に見ると、バッタの大量発生期と、中国の蝗害(イナゴ)の時期が重なるなどの被害懸念がある。

世界的な穀物不足と、動物性タンパク質の不足が予想される中、中国政府は、オーストラリアの食肉輸入や、米国からの農産物品の輸入停止を発表した。

中国内陸物の耕作適地と人口を考えると、「われわれはどれほど依存しているか」でなく相互依存状態にあるとおもうのだがと心配してしまう。

中国、豪産食肉輸入を一部停止 コロナ発生源調査に反発か
www.nikkei.com/article/DGXMZO59044550T10C20A5910M00/

中国が米国からの一部農産物輸入を停止、貿易協定に暗雲-関係者
www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-01/QB8N2YDWLU6S01

ノルウェーとダライ・ラマ効果

ある国の首相がダライ・ラマに会えば、対中輸出は8%下落する (P194)
www.amazon.co.jp/War-Other-Means-Geoeconomics-Statecraft/dp/0674737210
注釈を見る限りオリジナルはこの本かな? 未邦訳みたいね。

農産品や食肉を停めてまで何を守りたいかといえばメンツだ。党独裁国家において、体外上のメンツは民の腹よりも重要な問題だ。数千万人の餓死者を出した大躍進政策は中国国内ではどう伝わっているのだろうか? 中国SF小説の三体などを読むと、伝承はロストしたわけではなさそうだけど。

フィリピンは北京からの影響に弱い。中国系フィリピン人はフィリピン資本の半分を握っていると考えられており、全人口の1.5%しかない集団としては飛び抜けた政治力を持つ。2007年、フィリピン政府が中国の国家電網公司にすべてのエネルギー網の管理件を与えた。(P200)

フィリピンの状況、これだけ聞くと素で恐ろしい。

日本は親中派(パンダハガー)の議員が与野党メインストリームにいるので、近しい状態になっているように見うけられる。例えば北海道の土地が中華系に静岡県分ぐらい購入されているとか、都市部の高級ペントハウスの億ションなんかは中華系が抑えてるなんて話しも。ソーラーで電力網や通信網は日本も似たようなものか。

日本人は中国から財産を持ち出したり中国の土地を買うことができないのだから、こちらができないことは相手側にも許可しないという相互主義が妥当なのだが、すでに決定について影響力を排除できないので、対策や対応をとるのはかなり難しいとおもいます。

中国かアメリカかの踏み絵を踏まされ、どちらかの市場かを選択を迫られる未来は日本も遠くはなさそうです。

1000人のスパイと情報提供者たち

ファーウェイの浸透範囲

エネルギー網や金融ネットワークなどの超重要インフラにバックドアのついた機器を埋め込むことは、中国にとって計り知れない武器となる(P217)

「アカデミック・マルウエア」としての孔子学院

2004年から 世界中に500校、中国共産党の中央宣伝部から教育部を通じて提供される、2013年シドニー大学ダライ・ラマ招聘を中止、中国の暗黙の言語統制を邁進し、それによって北京に拒否権を与える、西側の防諜当局は「孔子学院を中国政府が使用している一種のスパイ機関と認識している」、(P296)

これについては、もうなんていうか日本については今更というか、むしろ日本でそのやり方が洗練されたというか、醸成されたというか、なんというか、かんというか。
ウミガメ政策とかも、個人的には心配してないっていうか。
技術とか知恵って人についていくものだし、留学先とかで違う情報に少しでも触れたら朱に交われば赤くなるというか、資本主義陣営からみて孔子学院をアカデミック・マルウエアと評したように、自由な風紀に触れ留学から戻ってきた海亀は共産主義にとっては逆に風穴をあけかねない。留学先で他の言語や価値観に触れてしまった子は、多分堪えられないよね。角を矯めて海亀を殺すか、海亀を自由に泳がせて技術を得るかの違いだと思う。まぁ他で水が合えば帰ってこないだろうし。なんていうか、金の切れ目は縁の切れ目っていうか、威力を持って従わせたところで、長続きはできないっていうか、紐で縛り付けたものは、糸が切れればかんたんにバラバラになっちゃうからね。完全統制下でうまくハンドリングし続けるのは、そう長くもできんでしょ。
中田敦彦youtube大学みてたら、プラトンだかが独裁政治、寡頭政治、民主政治、カオスを繰り返す。カオスんときは生き残って下さい!言ってたが、中国は今どこなんだろうね。全人代7人だから寡頭政治まで来てる?
トランプやボリスをみてるとカオスから独裁にフェイズが移りつつあるのかなとか思ったり。
日本は、安倍一強って言われるぐらいだから独裁フェイズなのかな? 麻生ラインもあるから寡頭政治まで来てる?あと5人ぐらい元老クラスのパワープレイヤー居ないと駄目なら民主政治はまだ遠そうだね。もっと長い時間スケールで見れば、江戸幕府開闢ぐらいが独裁政治で、老中御三家あたりで寡頭政治、明治維新あたりで民主政治で、戦中あたりがカオスで、三角大福中あたりの独裁を経て2代目、3代目の禅譲型寡頭政治とも見ることができるし、ま、切り口次第か。

読みがな

本書の内容からは遠いところで、どうしても言っておきたい。
例えば、周を「チャウ」にしたり「しゅう」にしたり、マンダリンピンインでZhouにしたり、ジェームスだったりな英米ビジネスネームまぜたり、ミドルネームが入ってきたり、性名なのか名性なのかもう頭こんがらがる。ルビもひらがなだったりカタカナだったりもう自由かっ!
下記にいくつか例を書き出す。

周文重 しゅう ぶんじゅう(Zhou Wenzhong)
周澤栄 チャウ・チャクウィン
劉暁波 りゅうぎょうは
梁光偉 リャン・グァンウェイ(Liang Guangwei)
邱維廉 ウイリアム・チウ
杜建華 ジェームス・トウ(James Jiann Hua To)
黄錚洪 ホーリー・ホワン(Holly Huang)
黄清 ホワン・チン(Huang Quentin Qing)

邱はキュウだからチウだとしても維廉でウイリアムなんか!?キラキラネームかっ!?みたいな。
本文と関係ないところが気になっちゃって読むのが大変だった。

まあ、個人ブログで国家安全保障に立ち向かうつもりもないので、DDOS攻撃とか喰らいたくないし、毀誉褒貶とは遠いところでだらだら書いたつもりだけど、長くなったわりに知らん人は知らんし、知ってるひとは知ってる程度の内容になってしまったね。 最近文章がまとまりつかん。ごめんちょ!


まわりに化学な人はいますかい?


PCR、PCR!ねこもしゃくじもおたまじゃくしもPCR。
世に出てるウイルス対策、菌とウイルスの区別もないままだから、なんか一周回ってちょっと面白い感じになっちゃってるじゃん。なんでこんなことになってるん?? 鬼退治にはめざしにヒイラギがいいんですよごとき滑稽さを訳知り顔で話してて、冗談なのか本気なのかわけわからなくて、ちょっと逆に現状が怖いわ。

高校で理系と文系でわかれてしまう上に、理系のなかでも受験だと点のとりやすい物理を選ぶ人が多いので化学履修はちょっと別。
というか、そもそも化学は理系のなかでも、ちと特殊ゆえ大抵校舎の一番奥においやられる存在だったのを思い出した。だから化学にたいするあれこれはそもそも知られてないし、前提知識のないひとには危ないので机上のことしか教えられない。

でも、あまりに世間がPCRPCR言うので、はるか昔の記憶が堀りおこされた。化学科についてのあれこれを書いてみようかなと思う。

20年前、学生数数万人いる大学でも化学科は学年100人程度、さらにPCRをつかうようなことをやってたのは自分のいた1つの研究室だけ、十数人しかいなかった。そこに他の超マンモス大からも修士博士の子がきてたので、日本における人口あたりの割合はもっとすくないはずだ。今の日本に、できる人がいなくて当たり前じゃないか。

なぜ化学科は隔離されるのか

サイエンティストの定冠詞はマッドだからだよ。・・・バジンガ!

長野サリン事件のとき第一被害者であったはずの方が化学科卒というだけで、容疑者となったのを知っている方はいるだろうか。ひどい捜査だと思ったが、わからなくもない。

高校で化学を選択履修すると、ニトログリセリンや黒色火薬の合成法が教科書に載っている。そして、大学の前期には教養レベルの段階でサリンの合成なんて「あんなものの合成なんて簡単なんだよ」ってのたまいながら合成スキームを書く有機化学とかの教授に出会うことになる。

あるいは、化学というとコントなどで博士はいつも爆発しているイメージがあるかもしれない。たしかに、扱い間違えればビルがまるごと吹っ飛ばせるような物は保管されてるし、そうじゃなくても不幸にして事故はおきることはあるだろう。うちらの代だと粉体研で、みんなが映画や小説で知っている粉塵爆発がおきて救急車騒動になってた。

ABC兵器という言葉がある。核兵器、生物兵器、化学兵器だ。だが、どれもまあ化学科の学部生レベルがやるようなことの延長でしかない。だから化学科というのはどこの大学でもたいていひと目につかないところにひっそりあるし、簡単には移転などができない。

医者や薬剤師のように街中で見かける白衣な人たちと違って、化学な人は卒業後、研究職や専門職につくと分野が先鋭化していくので分野外への転職が普通はなされず、また企業も研究部門の秘密が漏れると存続問題になるため、囲い込みをされ、ますます世間と隔絶していく。
だから居ない人のまわりには本当にいない。たまに俺みたいに野良落ちしたのがいるかもしれない。氷河期世代はコンピューター系とかを中心に結構ちらばっているかも。
そういえば、数年前、東京大学やそのあと企業でもウイルスをやってたって人にあったことがある。ウイルスをやってた人は更に少ないと思う。でも美術館のお仕事でお会いした・・・。

リベラルアーツなどに力をいれている大学では化学の実験や教育をされているが、そんな大学は今でも稀でまだ国内には数校しかないように思う。だからほんと知らない人の知識は「理科」で終わってしまっていて、それがアップデートされる機会は永遠にこない。なぜなら雑学じゃない生きてるウェットな化学は、そもそも独学実習が法律的にも許されないからだ。

もし遺伝子操作系実験をするためBSL(バイオセーフティレベル・バイオハザード)が設定されている研究室にはいれば、必然、放射線同位体も扱うことになるので、放射線管理区域のハザードマークまでついてくる。
劇物ももりだくだ。日常的につかう遺伝子染色をおこなうエチブロなんかは、DNAを染色するためのものなので、ちょいと皮膚に触れればもれなく癌化してくれることになるだろう。 法律的にも部外者の立ち入りは制限されるが、そうじゃなくても、あぶなくって入れられないよね。まじ危険。

高校生がキサントプロテインとかでお手々を黄色くしたり、ヨウ化銀で手を黒くしたり、液体窒素を頭からかぶってキャッキャしているのから大人にならねばならない。

遺伝子操作系は、自分が組み替え体になっていないことを確認するため、血液採取などもおこなう。PCRはそういう研究過程でおこなわれる。

今、各大学の研究室にどれだけPCRできるかみたいなお問い合わせを官庁がしているらしい。 それはレストランのキッチンにも流しがあるんなら、緊急時ならうんこも流せるよなという要請にほかならない。

化学科は大変

遊んでばかりのキャンパスライフ。
残念だな。それは幻想だ。

座学とは別に実験レポート実験レポート実験レポートだ。
だから化学科の子はバイトに多くはいったり外の学科の子とは遊ぶことがまずできない。

週に実験がいくつも重なると一週間でレポート用紙が一冊なくなる。
実験は数コマぶち抜きなので、一回休むと出席回数がいきなり足りなくなりアウト。翌年のその時間には別の実験がまってるのでどちらにしろアウト。
図書館で資料を探しながら実験計画をたてたりスキーム考えたり仮説をたてて実験してレポートをまとめる。
実験の種類も、有機や無機、物理、化学工学とかあっちゃこっちゃ。

考査試験も大変。
教科書やノート、はたまた教科によってはコピーまで持ち込み自由なものがあったりする。なんだ、かんたんじゃんと思うかもしれない。
残念。記憶力勝負とかじゃぁないのだよ。数学の試験に教科書を持ちこむようなものだ。 ただし公式は無尽蔵に近いほどありますみたいな世界。

触媒や反応経路など無数にある。将棋の試合に詰将棋の本を持ち込んで挑むようなもの。こっからこれを合成しなさいみたいな問題だと、図書館並みの資料が横にあってもわずかなテスト時間内に正解を導きだすのは困難だ。思いつかねぇぇで頭かきむしったところで、教科書に正解が載っているわけではない。 途中経路はどこでもいいけど時間内に目的の駅にはついてねみたいな感じ。 ただし予め使いそうな時刻表は自分で用意しておきなさいってことだ。

そんなだから、必修科目なのに合格率2割だったりものがあったりして、一年履修の課目でも4年でも2割の学生はとれずに卒業できない。俺も3年から4年にあがるとき留年した。就職活動説明会に行った帰り、研究室配属見に行ったら名前がなくて留年ですと言われて膝から崩れ落ちたもんだ。
4年で落としたやつはもっと深刻。就職が決まってたり、他大の院へ進学が決まってたりしたやつもいたりして・・・あ、これは化学科の問題じゃなくて、うちの大学、というかある教授固有の問題か。話しがそれてきた。友人に8年ひっぱっちゃったやつがいたが、こないだ会ったとき、いまだに夢でうなされると言っていた。怖い。罪深い。

ぐちぐちと関係ないこと書いてたら長くなったので、また続きはこんど。
Civilization VI やらなきゃいけないんだ。ぼかぁ。あ、そうだね、化学な人はCiviとか好きだとおもう。逆もしかりかな?


SARS-CoV-2 自己汚染についての考察


っちゅうか、よくわからんので、お勉強がてら。
学生のとき細胞研にはいたんだけど、バチルスだったのでウイルスのことや病理のことはさっぱわからんちん。わからないはわからないなりに、あれこれみたり今更資料を読んだりしてるんだけどやっぱりわからない。
結局なんで顕在化までの潜伏期間がこんなに長いのかとか、重篤化から劇症化または亡くなられるまでがこんなに長いのかとかをむむむ唸なってる。まあ、頭のいい専門家たちも目下悩んでるのかもしれないけど、紅茶屋さんはそれよりもっと手前のところで躓いているので思考と資料の整理がてらまとめてみることにした。

ウイルス価(ウイルス力価またはウイルス感染価)という言葉がある。
上からも下からも大変なことになるノロウイルス(ノーウォークウイルス)なんかは、わずか数個(10~100個程度)で感染に十分だと言われてる。
宿主の人間や鳥さんなどで増えたウイルスが、戻したり下したりして河川にながれこみ、河口までたどり着いて牡蠣とかに取り込まれ、非加熱で人に食されたりすることで人間の腸管で再生産されるわけだ。
感染から48時間後には感染者の糞便には10^9~10^10/g 程度のウイルス粒子が再生産される。最初100ヶだったのが数百億以上になって放出されつづけるわけでノーウォークなのに辺り一帯を汚染区域にできるわけだ。ウイルスの生存戦略。生きてないけど。

さて、不活化が大変なノロウイルスに比べてコロナは随分とイージーだ。だと思われていた。 アルコールでも次亜塩素酸でも不活化できるし、ウイルス価も10の6~7乗(百万)は必要だ。

症状がでるまで5日(潜伏1~14日)程度かかる。上気道に感染するのでおしゃべりや咳などでその間に人に遷してしまうことになる。たとえ致死率が低くても感染者数が増えれば死者数は増えるし、医療崩壊がおきれば平時であれば助かったひとも助からなくなる。それが故にソーシャルディスタンシングだの三密だのと言われ、社会活動をロックダウンしてまで感染拡大を抑止しようとしているというわけだが・・・

ここで疑問がおきる。
自分の細胞で増えたウイルスにどの程度再感染するのかという問題だ。
腸管の新陳代謝は激しく、人間の大便のほとんどは腸の老廃物だ。だからノロウイルスは感染からわずか48時間程度で発症する。

同じ飛沫感染で、鼻や喉の粘膜、上気道と肺で増えるインフルエンザウイルスは潜伏期間1~3日と、これもまた短い。ウイルス1個が24時間で100万に増える計算なので、当然といえば当然だ。だがこの新型コロナウイルスの症状がでない潜伏期間はとても長く、また長いが故に快癒までの期間もとても長くなる。再燃も懸念される。なぜだろう。

ウイルスの感染経路とともに考えてみよう。

1)ウイルスがやってきた
ウイルスは生き物ではない。運動機能を持たない。動かない。
宿主(人間や動物)や物理運動(空気の滞留)によってのみ運ばれる。
だから宿主がいる可能性がある人が多い場所を避ける必要があり、 ツバなどウイルスを含んだ飛沫が届く可能性がある2メートルの感覚をとる必要があり、
ウイルスがいつまでもそこに残り続ける換気のされない密閉空間を避けましょうというのだ。数時間空気中で感染可能な状態であるので換気をしよう。

2)ウイルスがついた
運悪くウイルスを含んだ飛沫がどこかに付着した段階を考えよう。どこかに付着したウイルスは数日観戦可能な状態を維持する。マスクを外すとき表面には触るんじゃないぞ? なに?同じマスクを何日も使ってる?? 余計あぶないんじゃないか?感染者の飛沫がついてしまった!?なに慌てるな、まだチャンスはある。
それが手についたものであれば、手を洗えばいいし、目を洗ったり、うがいをすれば洗い流すことができる。マスクは感染予防にはなんの効果もないが、ウイルスがついた手を口や鼻に物理的に触れさせないという点で効果があるだろう。同じマスクをつかいつづけるのは感染リスクをあげるが、朗報だ。コロナウイルスの不活化には中性洗剤で十分なようだね。

3)ウイルスを体内にいれてしまったぞ
相手の口臭が気になる距離でおしゃべりをしたのなら、あなたの体内にそれはすでに取り込まれている。
匂いは分子で、その分子が嗅覚細胞を惹起することで匂いを知覚している。だとすれば匂いが届く十分な距離であるならウイルスも取り込める。
だが、人間の目や鼻、口の粘膜がウイルスが細胞内に取り付くのを防いでくれるだろう。鼻水や唾液は物理学的バリアとして、ウイルスの侵入を防いでくれるはずだ。

気道上皮は唾液や鼻水などのムチンを主体とした粘膜が物理で覆っている。
蛋白分解酵素を含んだ唾液や抗ウイルス物質を分泌する粘膜で捉えられれば、ウイルスは不活化されるし、 痰や鼻水は粘膜線毛で外に出され、もし飲み込んでしまってもすべてを溶かす胃液がまっている。

4)ウイルスが細胞内にまではいってきたぞ
わたしってばドライなのって感じで、カッピカピに粘膜が乾いていたりして、物理的なバリア(ムチン層)がない場合ウイルスが細胞の中にまでやってくることになる。飛沫にのって100万ぐらいの軍勢で攻めてきていたコロナさんもこの細胞という城壁にまでをたどり着くころにはわずかな手勢のみになっている。

そして城にたどり着いたとしても、お城には衛兵がウイルスの侵入を検知して、免疫反応を呼び起こし免疫戦となるのだ。

免疫にみつかり排除されるかその細胞が寿命を終えるまでウイルスはその細胞の機構を利用して自己の複製をおこなって仲間を増やすのである。

ウイルス性上気道炎と鼻粘膜
www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo/56/4/56_162/_pdf

さて、新型コロナウイルスは人類がまだ免疫を獲得していない型のウイルスである。 爆発的に感染が広がるのを人々が人に接触しないように家に閉じこもるという非消極的な方法しかとれないのは、ウイルスに侵食されたあと後天的に免疫を得るまではなすすべがないからである。

城の中に入り込んだ不届き者が城の宝物庫から宝をくすめても城の警備兵はそれに気が付けないのである。その財宝を利用し、感染している細胞を増やし、排出するウイルスを増やし、感染者数を増やすのだ。

ここで無症状の潜伏期間が長いというのが、効いてくる。
自分の細胞がウイルス複製に利用されているのを自分の免疫が検知できないということは、そこから出されたウイルスに再度感染してしまうことを意味する。ソーシャルディスタンスゼロ状態である。
密です!と、避けようとしたって、自分の肺胞をばらけさせるのは無理だ。

コロナウイルスのような呼吸器系は頂端側(apical)から侵入する。
頂端側から入って、頂端側から出芽するなら、もういちど粘膜の出番だ。
たばこなどで肺疾患になっていなければ、ウイルスが排出されるたびに何度でもワンちゃんある。ないと免疫獲得まではただ増える正のフィードバックループに落ちる。

頂端側から入って、頂端側に出ていくループだとおもってたのだけどここからがわからない。

間質性肺炎をおこすのが典型らしいが、自分のウイルスたっぷりの呼気によって、肺の奥の奥まで感染してしまうのだろう。
だが、だとすると血中酸素濃度が低いからとバイパップや高濃度酸素マスクみたいんで無理くり呼吸をさせると、どこにも行き場のなくなった生産された活性ウイルスは生産された場所で再感染するしかないのではないだろうか。

免疫もまだなく、抗ウイルス薬もない。上気道から下気道まで入り込んでしまって粘膜線毛のクリアランスもされないとなると、咳込み続ける体力がなければ自己再汚染の増殖ループからは抜けられない。

血中ではみつかっていないとされていたが、血管では見つかったとのレポートがあった。 COVID Toesとよばれるつま先や末梢血管にしもやけのような症状がでているという話しもある。
基底膜方向(basolateral)に出芽すればウイルス血症となる。
細胞の破壊と共に細胞内で複製され増殖したウイルスが大量に放出される。無症状で終わるひともおおいってことは、細胞傷害性はいがいとひくいのかもしれない。

手洗いのような、肺洗いの物理的クリアランス方法があればいいのだけど。
今エヴァンゲリオン見てるからただ思いつきで言うわけだけど、高酸素のLCL溶液に沈めて不活化する方法とかね。なんかあるといいよね。

温度に対しては60度で1時間でも壊れないといういやな堅牢性をもつ。だが界面活性剤では簡単に壊すことができるようなのそこらへんが攻めどころなのかも。

いやぁ、しかしほんと意味わからないね。

佐伯耕三首相秘書官(44)
西浦博北海道大学教授(43)
吉村洋文 大阪府知事(44)
テレビ朝日のアナウンサー富川悠太(43)

ここらへんが同世代だってのと同じくらい難しい。体型と頭髪かなぁ?

参考

Endothelial cell infection and endotheliitis in COVID-19
www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30937-5/fulltext

高齢者の重症化原因? 新型コロナは全身の血管に感染することが判明
nazology.net/archives/57616

Evaluation of heating and chemical protocols for inactivating SARS-CoV-2
www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.04.11.036855v1

新型コロナウイルス、60°Cで 1時間加熱しても生存…夏にも高い感染力が予想(WoW!Korea) – Yahoo!ニュース
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200420-00256654-wow-kr

医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)不活化効果について 北里大学
research-er.jp/articles/view/88171

ウイルス性上気道炎での免疫応答と鼻粘膜上皮の役割
www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo/56/4/56_162/_pdf

ウイルスによる神経細胞内RNA輸送機構のハイジャック―ダニ媒介性脳炎ウイルスの新たな発症メカニズムを発見―
www.amed.go.jp/news/release_20170829-01.html

インフルエンザの症状について
influlab.jp/reception_desk/data.html

コロナ患者の知られざる兆候「凍傷のような皮膚変色」に要注意
headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200423-00010007-flash-peo