電気自動車と大局観


イギリスとフランスの政府は2040年までにガソリン車の新車の販売禁止を打ち出した。中国政府も同じような措置を検討しているそうだが、世耕経済産業大臣は「いきなり電気自動車にいけるわけでもない」として、大局については先送りする方針をとった。なんというか、兵の練度は高く戦術はあるが戦略がないと敵対国から評されたかつての日本の軍部のようである。

 

経産相「いきなり電気自動車にいけるわけでもない」
www3.nhk.or.jp/news/html/20170915/k10011140721000.html

 

「いきなりスマートフォンにいけるわけでもない」と同じような経営判断が国レベルでなされている危機感。燃料自動車の部品点数は全部で10万点ほどある。これらを部品を大手メーカーに納入している零細業者も多い。

対して電気自動車の部品点数はわずか100点ほどしかないという(*1)。部品メーカー従属産業はその仕事を失うだろう。もし、電気自動車に世界がシフトするのであれば、そのトレンドを無視するのはとても危険なことである。既存の自動車メーカーはシャーシ屋さんになりさがる可能性がある。

すべての工業製品、ソフトウエア製品の部品は汎用モジュール化する方向にトレンドがあるのは明らかだが、それを無視して先送りするのはあぶねぇ話しだ。戦術どころか戦略も、ひょっとするとどうしたいのかというビジョンも怪しいんじゃねぇか。

 

自動車の歴史

  • 1769年 自動車 誕生
  • 1777年 電気自動車 誕生
  • 1886年 ガソリン自動車誕生
  • 1900年 ガソリン自動車の量産化(この頃は蒸気自動車が主流)
  • 1908年 T型フォード(自動車大衆化)

燃料自動車よりも電気自動車のほうが歴史があるんだね。

日本でみてみると人力車は都市圏では1926年頃、地方でも1935年頃から減少に転じたそうだ。紀元前からあった馬車を輸送市場から駆逐するのにガソリン自動車の登場から50年も必要としなかった。馬の寿命や、車夫の労働寿命を考えれば、衰退産業への新規流入が三世代続くこともないだろう。産業の置き換えに数十年も必要としなかったはずだ。

 

なぜ電気自動車か

ガソリンエンジンのエグゾーストノートが好きだという人は残るだろうし、現に石油発動機の愛好会のようなものもまだあるので、愛用する人は残り続けるだろう。

でも、これからが電気自動車なのは、自動運転などの電子制御が重要となり、それに必要なのがサーボーモーター(モーターの状態を検出でき制御できるモーター)だからだ。

駆動装置の総電気化には、バッテリーの蓄電技術だけでなく、ソフトウエア技術のブレイクスルーが必要なのだが、どちらも既に製品化される程度には練れてきている。そして、その技術は踏みあがりはパネェ勢いだ。

自動車より安全基準の厳格な飛行機で、アクチュエータが油圧式から電気式に切り替わりつつあるのは、なにも軽量化だけのためではない。燃料エンジンを電子制御しようとすると燃料注入量をコントロールするのは、アクセルを上手に踏めるロボットをつくるようなもので、昨今のソフトウエア技術を活かしきれないのである。燃焼度がどうなっているのかセンシングして、それを制御するなどせねばならず、複雑すぎるのだ。キープイットシンプル!

 

電気自動車の普及と予想

いま、日本の自動車台数、ハイブリット車台数、電気自動車台数をグラフにするとこんな感じ(*2)。電気自動車なんて雑魚もいいところ。

このうちEVだけ抜き出して、表示してみる。点線は近似式。

で、現在のEV車の販売台数推移の近似式を2040年まで伸展させてみる。

まあ、いまのペースなら2040年には110万台程度。結構のびる感じはするけれども、それでも市場の15%程度にしかならない。だが、近似式、現在の「y = 1113.4×2 – 4972.3x + 4204.5」これはあくまで電気自動車のラインナップがあまり揃っていない状態。なんのブレイクスルーも今後ないとした場合の伸展上だ。

 

だが、メーカーはそのような経営計画はしていない。

 

ルノー・日産、22年に完全自動運転/販売の3割 電動車に
www.nikkei.com/article/DGKKASDZ15I31_V10C17A9MM8000/

 

ルノー・日産、22年世界販売1400万台に 16年比4割増
www.nikkei.com/article/DGXLASDZ15HMM_V10C17A9000000/

 

ここから逆算すると、420万台。

日本の日産、三菱の3割というと、市場シェア14%の3割だから市場の4%ぐらい。24万台。

2022年に24台なら2040年に140万台ぐらいで、420万台ぐらいが流し込まれるなら2040年には3,000万台。
この数字だけ追えば「いきなり電気自動車にいけるわけでもない」という、言説にはある程度説得力がある。

 

いずれにしろ、まだ自動運転も日本では試験走行しかなされておらず、電気自動車向けのインフラ整備もなされていないので、あと5年ぐらいでどの程度社会環境に変革があり、その時の販売台数がどうなっているのかで、将来どうなるのか予測できるだろう。

いずれにしろ、電気自動車化による部品点数の変化は日本のものづくり偏重政策に重大な外部環境変化であり、テスラモーターズの登場からだけみても、いきなり市場環境が激変するかもしれないから大局的にはどうすべぇぐらいの先見性は欲しい。燃料バイクと電動バイクのほうがシェアのリプレイスとしては先行していそうなので、時間があったら調べたいな。

 

トヨタはテスラに手を出そうとして袖にされて、東芝とかNECがある駅に求人投下しているみたいだけど、ちと日本の自動車産業は足が遅いかもしれないね。というか日本の電機メーカーはソフトウエアに対して感度がにぶすぎるので、もうどうしょうもないのかもしれないけど。

政治のほうも、いくら政治が技術に遅行するといっても、ちょっと、心配になるレベル。

自動運転とかソフトウエア制御による環境判断の未来がこないわけはないので、いからインフラはそれに沿わしてつくっておかないと、古臭い耐久消費財に金を払い続けることになるぞ。ネットや電気をつかえないビルをいまから設計するようなもんだよね。

 

ロジスティクスの変化

かつては、人の足の移動距離に応じて宿場が整備され、それから電車による流通が整備され、そして現代はトラック流通網になっている。道路網はそれに添って整備されてきた。トラックが自動追従型の自動運転になったら?生活道路に、アシスト付き車椅子とか、小型モビリティが混在しだしたら?
生活道路のうち、この道は、電動モビリティ優先とかそういう、街設計は必要だよね。

いきなりはこないけど、くる気配はもう数十年ゆっくり前進してんだから、ゆっくりでいいから準備しようぜ。鉄腕ダッシュでソーラーカーが日本一周したのいつだよ。ドローンが宅配してくれる宅配網とか整備計画ぐらいはしてほしいなぁ。

 

参考

(*1)
電気自動車により変化する産業構造
allabout.co.jp/gm/gc/423948/

 

自動車誕生から今日までの自動車史(前編)
gazoo.com/article/car_history/130530_1.html

 

(*2)
日本における電気自動車のシェア!
ischool.co.jp/2017-05-31/

 


AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン


AIに聞いてみたどうすんのよ!?ニッポンという番組がNHKで放映された。
www.nhk.or.jp/special/askai/

この番組は「40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす」というキャッチコピーで、放映前からSNS界隈で問題視されていたけれども、案の定なかなかの問題作で放映後はさらにTwitterなどを中心に多くの声があがった。

 

 

最近、政治界隈でくりひろげられるマスメディアの残り少ない信用を積極的に売り飛ばしていくポストトゥルースやら、オルトファクトだかの流れ、喧伝、扇動はちょっと目に余るが、だがまあ、政治界隈はイデオロギーや信念に基づいたり利害が直接結びつくのでわからなくもない。だが、誘導したところで利益を得る人もすくないであろう社会分析系の番組、しかもスポンサーへの利益誘導が必要でもないNHKで、魂を売り飛ばしていくのはさすがにここまで来たか感がある。

 

 

センセーショナルな見出しをつけても、視聴率がちょと上向いて物議をかもすぐらいの効果しかないと思うけれども、なんかもうそれぐらいの挟持なんだなと憐憫。

 

 

番組内でAIからの提言とされた5項目

01.健康になりたければ病院を減らせ
02.少子化を食い止めるには結婚よりもクルマを買え
03.ラブホテルが多いと女性が活躍する
04.男の人生のカギは女子中学生の“ぽっちゃり度”
05.40代ひとり暮らしが日本を滅ぼす

 

はぁ・・・。

番組の問題点を簡単に指摘すると、擬似相関でしかないものを因果関係にあるかのような文脈に載せてそれをAIがこう言っていますと発信してしまっていることだ。

 

過去30年分の社会データを700万件分食わせてディープラーニングさせたそうだ。
この簡単な触りからしか、手法が推測できないが、ほんとただディープラーニングで相関係数を出して、相関度が高いところをforce-directed graph(力学モデル)とかでネットワーク表示させただけなんじゃないかと思う。データを食わせるために整形するのは大変だけれども、別段新しいことをやっているようには見えない。

 

 

技術人が相関関係と因果関係の違いや、擬似相関を知らない程度の知性で相関を出せるわけはないので、本の執筆者が編集者に売れるためにタイトルを勝手につけられて泣くというような強烈な編集ハラスメントが番組でもおこなわれたのだろう。

 

 

おそらく、ディレクションの段階で安易な誘惑に負けた(負された)んだと思うが、だからといって「健康になりたければ病院を減らせ」とかをAIからご信託がありましたとかやってしまうのはモラルとしてアウトだ。完全に暗黒面に落ちている。

 

相関関係

 

例えば、小学生の学年(Y軸)があがるほど身長が高くなる(X軸)という分布はこのようになる。
このような関係を強い正の相関があるといい、小学生の学年は因果関係で言うところの原因で、身長が高くなるというのは結果だ。
因果を取り間違えると、学年をあげたければ身長を伸ばせという論になる。

グラフは適当。 bl.ocks.org/mbostock/3213173

 

相関関係の強さ

例えば、高校生ぐらいになると身長の伸びも緩やかになるので学年と身長などになると相関関係が弱くなる。なってばらつきが出て来る。こういうのを弱い相関があるという。

 

 

 

 

無相関

で、社会人の年数と身長ぐらいになると、ほとんどこの2つの指標は関係なくなるのでたぶん無相関となる。もしかしたら世代的な意味で逆相関はあるかもしれないが、ばらつく。

 

 

 

 

擬似相関

で、小学生の「身長」と「読み書きできる漢字の数」などを調べるとこういうようなグラフになるはず。
本当は学年の変化(潜伏変数)があって、この年令が身長と漢字の数に交絡しているので、この2つに相関が生まれているのだ。

 

 

 

 

 

 

擬似相関は慎重に取り扱えれば直接は観測できないものの兆しを観測することができる。

たとえば中国にはザーサイ指標なるものがあるそうだ。
1.ある都市に肉体労働者が出稼ぎで集まってくる。
2.肉体労働者は塩分補給のためザーサイを買う。
3.出稼ぎにくるほど経済が成長している。

 

  • 1→3(相関、因果)
  • 1→2(相関、因果)
  • 2→3(擬似相関)

 

3を誰よりも早く予見したいがために、2を先行指標として調査するのだ。
風が吹けば桶屋が儲かるというような、三段論法だ。直接統計などを取りにくい、因子を観測するために先行指標としてよくわからないものを採用することはままあることだ。

 

 

で、最初の問題に戻る。

「経済成長にはザーサイを売れ」とやってしまうのは、因果も取り間違えているし、しかもそれただの擬似相関だしみたいなトンチンカンな議論になる。

しかも番組がAIが提言したとするものは、過去データから抜き出した(バックテストからの)相関であって、おそらくそれは未来(フォワード)にはマッチしないような項目ばかりなのがさらに頭を抱えたくなる。

 

 

それを踏まえて、身も蓋もなくマーケティングAIを腐しておく。

 

 

×健康になりたければ病院を減らせ

○病人を追い出したければ病床数を減らせ

日本の入院という仕組みが健康寿命を著しく悪化させるエビデンスだとするのであれば、もしかしたら、あたりの相関かもしれない。
終末期医療で無為に点滴などしないで、十二分に枯れさせてから看取るみたいな話しが石飛幸三さんの 「「平穏死」のすすめ」にあるように、もしかしたら、
結構リニアな潜伏変数かもしれない。
バナナの売れ筋については高齢者の嗜好の問題じゃないかな。

 

×少子化を食い止めるには結婚よりもクルマを買え

○車が売れた時代には子供が生まれた

これは過去30年のデータを食わせたからでしょう。
子供が増えた時代は車が売れてた時代なので、相関が出ますよね。
それよりも一個手前にあった付加価値額のところはかなり本質的なところで、社会統計でみるとこの付加価値額が日本はずっと落ちてきているんだよね。酷いんだ。日本の停滞のほとんどがここに起因していると言ってもいいぐらい。
より労働生産性と付加価値創造に転嫁できる社会なら安泰だよね。

 

×ラブホテルが多いと女性が活躍する
○女性の社会進出でラブホテルの需要が増えた

これもどうなんだろうね。
昔から女性は活躍してたわけで、女性の活躍を年収とかで量るより狭義になっただけだと思う。

 

×男の人生のカギは女子中学生の“ぽっちゃり度”
○女子高生の栄養バランスが悪化すれば男の人生なんかままならない

炭鉱のカナリアとは言い得たり、そのまま擬似相関の先行指標であろうと思う。

 

貧困と肥満は確か世界的にもかなり強い相関があったと記憶している。
肉や魚、野菜、果物などは比較的高価で摂食する機会が減り、安価に腹が膨れるお米やパン、小麦、芋が中心の食生活になるからだ。炭水化物が主となる食生活は肥満につながりやすい。

 

 

これら食生活にビビットに影響を受けるのが育ちざかりの女子中学生なのだろう。
男子中学生は二次成長期だから皮下脂肪じゃなくて筋肉で消化されちゃうから女子中学生より反応がぬるいのだろう。

 

で、「経済の悪化」という隠れている潜伏変数があったとして、
これに起因して、子育て世帯の家計の悪化、炭水化物食生活になって、太る。
そんなところではないだろうか。
擬似相関だが先行指標としては悪くない。
男の人生のカギはとかいう文脈に載せてしまうのが、最悪なだけだ。

 

×40代一人暮らしが日本を滅ぼす。
○40代一人暮らしが増えるような社会は滅ぶ。

擬似相関な上に因果を取り間違えている典型的な例だ。
年齢というファクターを無視して「成績をあげたければ身長を伸ばせ」ぐらいのトンチンカンさだ。

なんかよくわからないけど日本が滅ぶようなファクターがあって、
それが機能するような状況では、40代一人暮らしが増える。ただそれだけだ。

で、全部それらはつながっていて、結局のところ日本の場合は付加価値額の減少でしょ。
中小企業の産業別付加価値額の偏差を算出すれば、今何がおこっているのかわかるよ。

 

 

価値あるものを作り出して、それを何に再投資して、次の価値を作り出していくかっていう社会の営みで、種籾を食い荒らしたり、稚魚を根こそぎ乱獲するような強欲な奴がいれば、滅びのフラグがどんどんたつだけだべさな。

 

AIのせいで終わらせてはいけない。


北朝鮮と経世済民


誰かが太ることで他の人たちが痩せていく社会がある。

鍋の中のカレーの量は限られていて、誰かが多く食べてしまえば他の人が食べれる量が減る社会だ。

原始的な狩猟採集の社会においては誰かが採集してしまえば、そこではもう収穫できない。よくいえば限られた資源をシェアし合う社会だし、わるくいえば奪い合いの社会だ。
農耕が始まると労働と生産が結びついて、働くことで収穫を増やせるように、太れるようになった。

生産量が増やせれば食い扶持がふえ人口が増える。人口が増えたぶん生産も増える。みんな太っていく社会だ。ときどき外部環境の悪化。飢饉などで、その食い扶持を支えられなくなって種籾にまで手をだしてしまい未来を食いつぶしたりしながら平衡に達する。

枯木が日を遮り若芽が育たないような超成熟社会を経て、やがて朽ちて世代交代する。

 
北朝鮮は一人の指導者だけが太って、人民は痩せていっている社会だと日本ではみられている。

だが飢餓状況下にあるときは、栄養を選択集中させて特別に栄養状態のよい個体をつくるのは生命の維持、種の存続として必要なことである。一人だけデブって国民はひもじい状態を愚かなことだとはいいきれない。

 
同じような環境下で待遇に少しだけ差をつけるのサルの実験があるが、きゅうりとぶどうのように報酬に違いがあればサルでさえ文句を言う。

だが、比較できないほど待遇が違えば、比較の対象から外れむしろ尊敬を集めることができるだろう。

王政や立憲君主制にみられる権威化は、細胞が中枢神経をつくりだしたように、集中による合理化の過程だ。最悪、手足がもげても生命維持に必要なところさえ守れれば生き残れる。貧栄養状態における生命維持状態だ。

 

 

 

さて、力をつけられても困るけど、なくなっても困るという位置づけでその存在だけが求められてきた北朝鮮。ほとんど乾眠状態のまま一点豪華主義で、ちゃくちゃくと軍備だけに力を注いできた。
国境からわずか2〜30キロしか離れていないところに首都をおいている韓国。その韓国民数十万人を砲兵で睨むことで、金王朝を守ってきた。

瀬戸際外交というが、実際に砲弾を韓国に打ち込んでも戦争にまではエスカレーションしないのであるから、ある意味、守るものなどない無敵の人状態だ。守るものがあるほうが不利になる。

 

この時点では北朝鮮の持ち駒は歩(砲兵)と玉(金総書記)しかもっていなかった。

北朝鮮先手で、韓国の歩をとれば、その歩は在韓米軍(金)により取り返され、在日米軍(飛車)で王手となる。

米軍先手でも、北朝鮮側は韓国の歩をとることはできるし、金の後ろに社会主義国(ロシア)という玉が、金が取られることを許さなかったというのもある。

だから、歩と歩を睨み合せたまま局面は停止した。

 
北朝鮮はこの状態を維持することで、ロケット開発に成功し日本を射程に収めた。時代はかわり、玉は社会主義国ロシアから共産主義国中国に変わる。

 

歩(砲兵)、香車(中距離弾道ミサイル)、金(金総書記体制)、王(中国)

歩(韓国)、金(在韓米軍)、飛車(在韓米軍)、銀(日本)、玉(アメリカ)

 

いよいよ、日本も射程に入ったが、まだ、この時点では、日本はイージスなどのミサイル防衛網を整備し、継戦能力からすればもし先手を打たれても歩の交換ぐらいで、容易に詰ませることができた。技術力に圧倒的差があったからだ。
そして金正恩になり、このわずか数年でおもちゃのようであった北朝鮮の軍備がいよいよ笑えないものになった。

 

  • 空気圧縮による打ち上げ(不意打ち能力向上)
  • 潜水艦からのミサイル発射(不意打ち能力向上)
  • 固体燃料(不意打ち能力向上)
  • 移動砲台(反撃による)
  • ロフテッド軌道での発射(必中。迎撃不能)
  • 4発同じ箇所への着弾性能(飽和攻撃)
  • 大気圏再突入に耐える(核弾頭の搭載可能)

これが意味するところは、砲兵に睨まれた韓国民数十万人と同じように日本国民数十万人が人質になったということだ。最後っ屁か不意打ちで日本に一撃は入れられるようになった。

北朝鮮先手で、通常弾頭を打ち込むのであれば、9割がた迎撃可能で、もし破片が落ちたとしても半径数十メートル程度で、人死にの数はかなり限定的なものになるだろう。せいぜい数十から数百のダメージだ。

戦争というスケールからみればこれは比較的軽微な被害で、国連安保理、有志軍までひっぱれるので、むしろ日本の立場なら初段の着弾は許したほうが、その後の犠牲はすくないかもしれない。

だから、いままではそんな通常弾頭よりも、日本に潜り込み放題の工作員が炭疽菌やらサリンやらのテロ活動を起こされるほうが人的被害の数は多い懸念材料であった。テロでやられると背後関係の証明は難しく反撃が困難だしね。
昨今、秋葉原でトイレに噴霧器の基盤を貼り付けたものが発見されたり、渋谷駅で人糞が撒き散らされた一見愉快犯にみえるような事件や、線路の架線が清掃作業員のミスでうっかり切れちゃった、路上で3億円盗まれたとか、数千万盗まれたとか、警察署の証拠金であったお金が八千万盗まれたみたいな冗談みたいな事件が相次いでるが、実利と脅しを含めたデモンストレーションの可能性を考えなければならない。警察の初動体制や鉄道会社などの応対速度を測られているのだと思う。

 

この手の破壊工作が国家ぐるみで実行された場合、ミサイルの直撃よりも大きな被害を覚悟せねばならない。地下鉄サリン事件は死亡者数13人だが、負傷者数は6300人。国家規模の背景がある組織がそれをおこなった場合、もっと悪夢のような成果を得ることができるだろう。組織犯罪処罰法やら共謀罪なんてものができたら困っちゃう人達がいる。

 
工作犯罪組織だけでも厄介なのに、そこに来て、核兵器だ。

北朝鮮先手でも米国先手でも、日本に数十万人の被害が出る。

広島型のような旧式の原子力爆弾でも半径60キロに被害が出る。

東京や大阪のような人口密集地に落とされた場合、該当地域の社会機能の停止だけでなく、蜜に繋がった全世界経済に多大なる影響を及ぼす。

 

もしも東京と大阪に広島型の原爆が落とされたら【地図】
www.huffingtonpost.jp/2014/08/12/if-atomic-bomb-in-tokyo_n_5671194.html

全面戦争へのエスカレーションで甚大なる被害が出る可能性がある以上、北朝鮮が米国、中国、ロシアと並ぶICBM核保有国であることを認めるというオプションか、ICBMまで獲得するまえに数十万程度の被害想定のうちに叩いてしまえという選択肢となる。

 

北朝鮮がICBMで王手(アメリカ)、飛車(在韓米軍)取りを打つまえに、金(在韓米軍)、銀(日本)、飛車(在韓米軍)とりの現段階で、このうちのどれかを犠牲に相手を落としてしまうというプランは玉(アメリカ)にとっては合理的であろう。

 
いまはトランプが大統領であるので、どうしても米国に注目が集まるが、北朝鮮とは利益を異とするようになってしまった中国や、ロシアが握ってアメリカより先になにかすることも考慮しなければならない。ノーマークだった不凍港ほしいロシアが何故か侵攻してたとかいうのは、ま、なくもないよね。

 
北朝鮮の勝利条件は、ICBMの開発に成功しアメリカ(そこに付随する日本)や中国が譲歩し、経済制裁をとりやめさせ、ゆくゆくは北朝鮮主導で韓国併合だろう。
その状況を米国、中国、ロシアがどこまで是とできるかだ。

北朝鮮がこの数年ミサイル科学技術を急激に進歩させたのは、カンニングによるものなのではないか。ロシアの人工衛星のミサイル技術をカンニングし、日本などを舞台にしたチートで資金を得ている。

 
北朝鮮はいまのところ人の皿の上から料理を盗んでいくようなことしかしていない。

労働力をロシアなどに派遣している程度で、人類に貢献できるような価値創造はおこなえていない。もしくは、おこなうつもりもない。

日本での特殊詐欺事件や、ネット銀行への不正アクセスからの送金。パチンコなどからの送金。最近だと、身代金型コンピューターウイルスソフト、ワームのWannaCry。

 

WannaCryなどで今回盗まれたセキュリティホールは米国家安全保障局(NSA)からリークされたものだ。
www.itmedia.co.jp/news/articles/1705/15/news078.html

 

ここらへんの悪さをするプログラムの出処は中東や東欧が多いが、今回のものは北朝鮮が震源だ。もう隠すつもりもなくなったようだ。

 

WannaCryランサムウェアから北朝鮮ハッカーのコード見つかる。断定は時期尚早も、背景には国家的な関与?
japanese.engadget.com/2017/05/16/wannacry/

 

たぶんその中継舞台になっているのは日本や韓国といった情報インフラが整った国。おそらくロケット技術のコアになる部分は、独力で開発したものというよりは、世界もが認める諜報技術を使って獲得したものであろう。これが独力開発なら、いくらなんでも科学技術がアンバランスすぎる。目標を定めた盗み出しだ。
そのような自分で価値を作れないままの国が世界秩序の暴力装置となってしまうのは人類のためにはならないのではないか。威力をもとに持ってるところからたかるばかりでは、厄介者扱いの度合いはますばかりだ。

 
コミー前FBI長官を罷免したトランプ大統領はもしかしたら近いうちに弾劾されるかもしれない。歴史的なこととして内政をごまかすために戦争はままおきる。

トランプもキムも何やるかが先が読めない。

プーチンは美味しいところは逃さないだろう。

韓国は財閥という武器を自ら手放し、親北になったので、これから北朝鮮のような国になるかもしれない。

このメンツだと中国が一番理性的かもしれないというのは、ちょっと前の情勢からすると、なかなかの喜劇だ。

もしかしたら米国よりも先に北朝鮮の行動を看過できなくなり自衛のためのなんらかの行動が必要になるのは同じ朝鮮族を国内に抱える中国かもしれない。

 
武力衝突により人死にが出る状況を過去にないほど懸念している。

もしかしたら多くの人はそんな大げさなというかもしれないし、実際個人にできることなどなにもないので粛々と普段通りの生活を営むよりない。とはいえ、情勢に不関心であるままではまずい。ただそれだけの状態だ。

 

 

明日も明後日も来年も再来年も、衝突などはおきないかもしれない。

もし、このような状況になってまで、なにもおきなかったら影に日向に多大な尽力をした人物が必ずいるはずで、名前は出ないかもしれないが感謝多謝。

そしてもし衝突がおこってしまったら、人をすりつぶして軍需で儲ける戦争屋を忌避しながら、黙ってただ薄い茶でも飲もう。