働き方について、ポリティカル&テクニカルに考えてみる。
働きかたっつったって、働いてるやつぁもういい年した大人なんだから手前の面倒は手前でみて好きなように働けばいいじゃないのと突き放した考えをもってしまうのだけれども、そういうわけにもいかない事もあろう、ってなわけでいろんなケースについて考えてみたい。今回で平成最後の夏期講習シリーズはおしまーい。
まとめテンプレ
- 今までの分野の課題
- 今後の分野の課題
- 問題解決の指針(何をどうしたら)
- ポリ(政策的に解決するには)
- テック(技術的に解決するには)
- その分野の未来ビジョン
F:働き方
2018/7/31 第一回平成最後の夏期講習(社会科編)
Fテーブル「AI時代の働き方について、考える」
★厚生労働省老健局総務課課長補佐(政策調整委員)古川弘剛
・株式会社Studio Gift Hands 代表取締役/産業医/眼科専門医 三宅琢
・一般社団法人WITH ALS 代表 武藤将胤
・つくば市 副市長 毛塚幹人
・島根県 教育魅力化特命官 地域・教育魅力化プラットフォーム共同代表 岩本悠
・富士通 本多達也
議論ピックアップ
障害のある方の働き方
つくば市役所は外部人材を採用するため勤務条項を外している
固定化された価値を変えていく
都会にいかないと仕事がない
人間は本質的になんで働かなければいけないのか
多様性をいかにうけいれられるか
働き方って小中高とかで習ったことがない
ジョブディスクリプションを明確に決めて
今までの働き方の課題
働きの成果を測る方法が時間拘束になってしまっていること。
働くのは価値を創造するためである。人は価値を創造することで所属しているコミュニティから報酬を得る。
株式会社が発明されたのは、遠く航海しても胡椒をもちかえれない、つまり無駄働きに終わり価値を生み出せない人が出るからで、その失敗や成功を調整するために掛け金が調整されたにすぎない。平準化することでハイリスクはハイリターンに、ローリスクはローリターンに調整された。
大量生産の時代になると、労働者が生み出す価値は労務提供の時間と比例し、勤怠管理にて想定容易なものとなった。働き手がどこでどのような仕事にどれくらい従事したかが雇用側に重要となった。
情報化社会以後、ソフトウエア開発やコンテンツ製作が本流になってきた現代において、労働時間や設備施設と労働生産性が比例しないケースが顕著になってきた。できるソフトウェアエンジニアの生産効率は1000倍では収まらない。文章が書けるだけの人を千人集めても、シェイクスピアの物語にならないようなものだ。かつてはクリエーションの現場だけに見られた「タレントの出現」を待つだけだった現象が反復することが信条のビジネスの場でも見られるようになってきた。
ある種の製作において、働きがどの程度のリターンをうるべきなのかについての社会的コンセンサスはまだない。価値を測る方法は今のところ経済評価が一般的であるが、経済的リターンは仕事が完了した後にのみ発生するだけで、事前の想定と実際に乖離が合った場合や、グループワークである場合、貢献度や分配で大抵は揉める。資本社会における株主資本のような、出資とキャピタルゲインのような関係にあるものがまだなく、あったとしてもそのものさしはまだ過渡期であり万全には機能していない。
例えば係争になった例として青色ダイオードの発明がある。LED特許のような発明は特定の企業に巨額の利益をもたらしたが、発明者は給与にわずかな職務上の報奨を得ただけだったため裁判に発展した。また、アニメや映画の原作になった漫画家も職務上の作成で買い取りであるため映画などの興行成績が数億円の大ヒットしようが百万円程度の報酬しか得られなかったりするし、数億稼ぐ人気者の芸能人が事務所から50万にもいかない給与制でしかも移籍が困難になるよう占有的に支配されたりする。
職務発明や職務製作、タレントの育成などは、企業がトータルでリスクを負っているという言い分もある。成果を生み出せない人にも給与は払い出さなければならないし、後進も育てなければならない。だが、企業戦略論的にいうならば独立を防いで新たなコンペティターを産ませないようにするための参入障壁構築でもある。
しかしこれもそれも、働きの成果を測る方法が未成熟であるためにおきていることだ。声が大きいだけや、長時間会社に詰めているだけの人を過大評価してしまったり、自分がどのような仕事をしたのかを伝えなかったり、自己評価が低いひとの謙遜などを真に受けて過小評価してしまったりする。
今みている洋物ドラマ(ちなみに今はクリミナル・マインドをみてる)で言い争いになるとappreciate(真価を認める)を連呼するが、appreciateって重要。慧眼。
今後の働き方の課題
働き手がどれだけの価値を生み出したのかを計測する方法が未整備。
例えば、フリーランスや個人事業主が仕事をしようとしたときには、どこかの下請け的に働くケースがあるが、優越的地位の濫用が平然とおこなわれる。下請法や準委任契約とか再販売価格の拘束とか、いろいろあってなかなか対等の商売関係を結ぶのは難しい。公正取引委員会とかあるけれども、これらが機能した例などというのは中小零細では聞いたこともない。普通は波風立てないように (片方が泣いて) 収めて終わりだ。
会社勤務の従業員の場合は、働いても働かなくても給料はあまり変わらないのであるから社会主義国の例に例えれば「飯配給の時は前に、仕事のときは後ろに」ということになる。特に公務員などは営業成績が悪いから解雇というようなこともなく、より問題を起こさずやりすごそうというマインドにシフトしてしまうのも当然だ。
問題解決の指針(何をどうしたら)
従業員の業務評価は会社の資産となっているが、個人の資産としてデータポータビリティの対象にするべきかもしれない。年に何度もない給与査定のみで自分がどのように評価されているのかを推測するのでは、人材のミスマッチも硬直化するし、仕事の生産性向上にも役立たない。
改善方法にはリモートワークの場合はupWorksやランサーズなどのクラウドソーシングなどで行われている2つのやり方が参考になる。
- PCのロギングや「Harvest」のようなTime Tracking Softwareをつかって時間をベースに進捗を管理する方法
- 仕事をタスク単位に細かく分け、それごとに報酬を設定して取引(予定価格の提示、デポジット、成果報酬)
少し大規模なプロジェクトになればレベニューシェアなどのやり方もあろう。いずれにしろジョブディスクリプション(お仕事の細かい内容)とコントラクト(契約)が重要になるのであるが、日本はここをどうもなーなーに済ませてしまってぐずぐずだ。仕事を発注する側や上司が納得するまで検収しないなんてことがある。これじゃ働く側のコストが青天井だ。
「そりゃ俺の仕事じゃねぇな、契約に入ってないぞ」って言える労使関係、受発注関係が必要だ。極まると責任回避のためだけの縦割り役所がやるたらい回しになってしまうけれども、たらい回しが価値を生み出すことは無いんだから成果で判断できればこれらは解決できる。減点方式から加点方式へ。
ポリ(政策的に解決するには)
職務発明や、職務製作の権限を強くしようとしている動きあるよね。権利管理が煩雑になるとビジネスの足も遅くなるので集約しようとしているのはわかるんだけれども、だとしたら懲罰的損害賠償を認めないとイノベーションなんて起きないよね。リターンも罰則もないのだから、リスクをとろうとするわけがない。
資本差がある企業間の取引においても、ものすげぇ違約金がついた納品とか、最初の契約に相当な歪みがある不平等条約なみの契約が横行してて、それで真面目なだけの零細は事故が発生した際にやられちゃったりするので公正取引委員会仕事してくださいって感じですな。八百屋の仲卸とか、魚の仲卸とかの一次産品の流通でつまずいているのから政策的な手当が必要なように思う。
情報産業とかのニューエコノミーのほうは比較的、順調だと思うけれども、これも製造者責任とかの転嫁とか、一度お金を払えばどこまでも製造者に作業を要求できると勘違いしているヤクザみたいな企業、担当者もおおいからこれを取り締まる実効性のある法律をプリーズ。
日本社会において給与が上がらないことが問題になっているが、勤続年数などが住宅ローンの際の重要な審査項目になっているのであるから致し方ないことだとおもう。勤続年数が重要視されるのは年功序列で生え抜きが優遇されたからだ。ここにも個々の働きの細かい評価を雇用側が諦めた現実がある。だが、工業社会が終わった今、そういう事はいってられなくなった。
解決する方法は、会社の業績が悪いから給料があがらないのか、自分のチームの業績が悪いからなのか、自分の評価が悪いからなのかを福利厚生上の法的義務として従業員へ公開することを会社に義務付けることが必要なのではないかと思う。
テック(技術的に解決するには)
せっかく法人番号制度(法人のマイナンバー制度)が始まって全国の法人が管理できるようになったのに、企業の全部事項履歴とか、処罰状況が表示されないのはどういうわけなんだろうね。
下請けへの支払い状況とか、障害者雇用促進法の処罰履歴とか、税の支払い状況とか、求人状況や退社率とかの状況は知りたいな。
帝国データバンクとか東京商工リサーチとかが企業の信用情報を値踏みしたりしているけれども、それらの民業圧迫することなく、労働基準関係法令違反に係る公表とか入札停止命令とかをPDFで出すんのではなく、公的な処罰状況は法人番号検索をしたら出てくるとか、もうちょっと一目でわかるようにオープンデータ連携進んでもいいと思う。
こういう法人そのものについてのバイラルサービスやれば今ならマーケットの開拓できると思うので誰か意欲ある人やればいいよ。テック的にはあまり難しいことではないのですぐできる。給料未払いとか、未払い問題とか社労士とか弁護士とかと連携すれば比較的マネタイズの道もありそうだし。うん、悪くないね。やってみようかな。すぐ忘れちゃうと思うので、やってみたい人いたら声かけて。
個人のほうは、あれかな、個人が自己申告の履歴書もって回るのはおかしいよね。学歴だの納税情報とか、執行猶予中だとかそういうのはわかるんだから、その人が見せたいところだけ見せる設定にして公的認証のバッチつけられるようにするのがいいんじゃないかな。
「あれ、この応募者学歴に公的認証のバッチつけてないな?」ってのから先は会社判断にできるし。雇用側が提出された情報がうそっこなのかどうかを個別に看破するのは膨大な社会コストになっているので、プライベートデータ連携、公的認証、データポータビリティがんばってひろがってほしいですね。linkedinみたいなソーシャル相互認証に頼らずに済むところはちゃちゃっと済むようにしておきたいですね。
働き方の未来ビジョン
カフェとかで仕事をするノマドが未来の働き方だとか煽るイメージあるけれども、カフェは仕事場じゃねぇから長居すんなって喫茶業もやっていた身からは思う。手に職を持っているひとは、コワーキングスペースとか、カフェを自分で創業する立場に立てばいいと思うよ。そうしたら好きにできるし。
正直、飲食店の創業は素人参入も多いため、恐ろしい勢いで出来ては消えていく悲しい業界なのだけれども、別業が収入をあげる算段があって始めるカフェとかならどんどんやればいいと思う。
副業や独立創業については、未だリスクの方が多いので、平常のやり方でひと上がりしてからでも遅くはないとご忠言いたすところでござるが、満員電車に揺られ鶏ゲージのように働くのも精神衛生上よろしくないこともあるので、堪えられなくなったら適度にリトリート(退却)するのも大切だよねー。
ワークライフバランスだとか言うけれども、そもそもが働くことと、生活をわけずに済む未来がくるといいですね!
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こういうのいいよね。苦労は堪えなさそうだけれども。
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