ハードウェアハッカーよむよむ


自分のTwitterのタイムライン界隈でやたらと前評判の高かったハードウェアハッカーが届いたので読んだ。積読を押しのけての即よみ、まあ、少し厚みはあるが技術書ではないので2日程度で読める程度のボリューム感。

ハードウェアハッカー ~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険 著:アンドリュー”バニー”ファン

感想としては、監訳の山形浩生さんがあとがきで冒頭に書いていた「これ、いったい何の本なの?」という、素朴にして簡潔な疑問に両手を上げて賛同だ。いくつかの全く知らない世界と郷愁を覚える懐かしいエピソードがあるが、平たくいえばハッカーの書いたブログがオムニバスになった感じだ。コンセプト料理のフルコースではないけれども、濃ゆくて珍妙な面白食材をどさどさと積み上げられた形。これを消化、咀嚼できるのは読み手の力量、胃腸の消化力にちょっと頼り過ぎているきもする。

Chumbyとかすごく懐かしいけど、そういう人は少ない気がするし。あぁ、Haching the Xboxの人だったのかっ、と巻末にくるまで気が付かなったが納得もした。

この本の紹介で「バイオハッキングまで!」みたいなものもあるのだけれども、バイオの部分は正直蛇足感が強い。バイオを齧った身としてはこの章まるっといらなくね?と思ったりもした。この章にはなにか奇妙さを覚えた。パールフレンドの彼女のためにねじこんだのかな?あまり「最新」とか「現代」のテクノロジーでという感はない。というか、ハックしてなくない? ちょっと古めかしさすら感じた。最近のバイオDIY的なことを期待してたんだがそういうことではないようだ。もしかしたらハードテックの方に先鋭な人たちは逆の感想を持つのかもしれない。

P379 神話:「リファレンスゲノム」は存在するか?
現在のリファレンスゲノムは、たった数名の、ほとんどがヨーロッパ人を祖先に持つ個人のゲノムをもとにして作られている。// 今のところ、遺伝子判定というのは、妥当性に問題のあるソースレポジトリを基準にした差分なのだということは、ぜひ覚えておくべきだ。

自分が学生の時分は、遺伝子編集をおこなうようなバイオセーフティーレベルが定められた研究室に所属するときには実験の過程などで自分自身がなにか酷いコンタミしていないことを確認するために、ビフォーアフターの遺伝子採取が法律で定められていた。このとき提出した自身のサンプル遺伝子は研究のために研究にもちいていいかみたいな確認項目がある。あったきがする。ま、数十年前の知識なのでうろおぼえだし、今はもう変わっているかもしれない。つうわけで、リファレンスがあるとするなば、ヨーロッパ人をルーツにもつ数名のというのは、どうなのだろう?かなり限定的なリファレンスだとおもう。

リファレンスゲノムの章立てをみたときはトバ・カタストロフで人類がボトルネック化してどうこうみたいな議論なのかなとか、ネアンデルタールと現生人類の交雑の痕跡がとか、アフリカ由来ではないホモ・フローレシエンシスとかのコードを一部アジア人は採用しているんじゃないかとか、そういうことが書かれているのかなとかを邪推した。そういうことじゃなくて、すごく平たい表層のことだった。もにょもにょ。なんていうか、perlでデフしたとかを出張らす分野なんかじゃない気がする。ヒトゲノム計画なみにフルスキャンするのはむりなので、特徴的に異なる部分だけを差分Diffをとるのはむしろまっとうなコスト意識だ。犯罪者や裁判情報となるのも人物の一致だけをみるならば、全配列をマッチさせる必要なぞない。・・・。ちょっと、この本の本質ではないところでぐだぐだ書いてしまった。

本筋にもどる。というより、気になった部分。

P233 「だれにとっても、所有するハードウェアのなかで最もクールなのは自分の体なんだ。」

せやな、と、首がもげるぐらい同意。

P150 「ダイヤラーで#0#0を入力し、あらかじめ組み込まれている自己診断プログラムを走らせた」

こういうハード系メンテナンス隠しコマンド知ってるとかっこいいよね。自己診断系は公開しておいてくれると嬉しいんだけどなぁ。おもわずiPhoneで試してみたけれども違った。

P68 「昔の大工の格言みたいなもんだ。長さは2度測れ、切るのは一度だけ。そしてどうしてもまちがって切るときには、長めにまちがえろ。」

日曜大工をするので、これまた首がもげるぐらい同意。長めに切って、現物にあわせながら少しづつ詰めたほうがきれいに収まる。ほんと切り過ぎちゃったものはどうしょうもない。人生といっしょ。

P56 「Foxconnの向上では1日に豚を3,000頭も喰うとか。深圳では豚がiPhoneに変わるんだ!」

なんていうかびっくりしすぎて、プギーってなった。一日で3千頭!!?まじで??
Foxconnでは25万人以上の従業員が働いているらしい。三鷹市と武蔵野市をあわせたぐらいの人数。東京23区のひとつの区。鳥取の半分ぐらいの人数がひとつの工場に勤めているとかにわかに信じられない。
日本の企業に例えると連結だと日立製作所が従業員30万人、東芝15万、富士通が15万、NECが10万。むぅ。

豚の成体はだいたい100キロらしい。
鳴き声以外喰えるっちゅう一匹の豚をまるっと、食ったとして、
一人一食100gの豚バラを25万人に食われたら・・・
あれ、25000Kg
250頭分・・・だな。
あれ?
200gのポークステーキでも、500頭。
一日で3000頭って言いすぎじゃね???
実際は、100キロの豚から骨とか血液とか内蔵除くと、いいところの肉は25キロぐらいしかとれないとしたら、1000頭分ぐらいだけど、一日で消費される分を一日稼働で処理するわけではないと思うので、屠畜する量で言えば、3000頭ぐらいを一日で潰すのかも。

いままで、こういう消費される命の量を考えたことがなかったので、この本の中で一番衝撃的だったのはこれでした。そういえば20年ぐらい前、上海に行ったとき、街中は近代的な日本の超高層ビル郡なのに裏道にはいると、鶏とかを生きたまま売ってる市が立ってて、びっくりしたのを少し思い出した。

一千万人が住まう東京では品川にある芝浦屠場が都内で唯一の「と場」と肉食中央卸売市場なんだけれども、いったい一千万人の口を糊するために、東京では一体何頭の豚や牛を・・・。考えたこともなかったや。ちょっと調べてみても数量的なものはでてこなかった。まあ、歴史的にもくそセンシティブな部分だもんな。・・・。

作中に、乱暴な解釈だけれども中国での工賃はお米の値段で勘案できるというような趣旨があったのだけれども、まあ共産主義において、工業製品の生産力(付加価値額)の限界費用というか、調達限界は農産畜産品の生産高からそろばんを弾くのもありなのかもしれない。

あと、新鮮な価値観だったのがIP(intellectual property)知的財産についての言及。まあ、理路を再構築して最短距離を狙いがちなハッカーにはありがちで、多分自分もそちらよりの考え方に毒されているのかもしれないけれども、作者や中国での知的財産についての考え方や振る舞いをみていると、人類の未来に貢献するのはオープンテクノロジーの方なんじゃないかと、むしろ権利保護が技術発展の阻害要因になっているんじゃないかとすら感じもした。

知的財産権とか著作権はジュネーブ万国著作権条約以降の、まあ、せいぜいここ70年ぐらいの比較的新しい権利発明で、近代での運用をみていると、発明者や著作者の発明権や財産権を守るための制度というよりは、そこに投資したひとの永続的経済的利潤を守るための運用がなされているし、大手でさえ特許回避みたいなバッドハックをしている様をみていると、それなりに害悪だなと。もちろんいい点もあるけどね。

ただ、先行特許調査だけで日が暮れてしまう日本の研究者技術者と、まだ比較的フリーダムな中国での同じ立場の人たちが競争した場合、競争にすらならないなと。レギュレーション細かくなりすぎるのも、考えものというか、レギュレーションすら競争のために変えてくる強かさが日本にはないので、ちょっと無理そうだなと。

党とかの方針変更で後からルールを変えてくる中国は、英米法に近いのかもしれないですな。ブラックリスト方式なのでイノベーションがおきやすい。大陸法系の日本はやっていいことを記載したホワイトリスト方式なので、新しいことをやるまえにお墨付きを得ないといけない。どちらにも長所短所はあるのだけれども、ことハードウエアハッキングについては、競争しようもないですね。製造者責任法とかを考えると事業リスクのほうが大きいもんね。日本じゃ。

戦後間もなくの高度成長期のころは多分日本もそうだったんだろうけども、少しだけ羨ましいなと思ったりもしました。寂しいもんです。

余談。
作中に中国語使うときはルビ降っておいてほしいぜ。しんせんなのかしんしんなのか頭のなかで悩むし、山寨とか冒頭からでてくるのに読み方もわからないのでもやもや。山塞か。

diamond.jp/articles/-/116420?page=5
中国のニセ製品でよく言われる「山寨」(Shanzhai:シャンザイ)

中国のニセ製品でよく言われる「山寨」(Shanzhai:シャンザイ)である。
山寨は山岳要塞という意味で、中央の目の届かないところで勝手なことをする梁山泊のような事柄を指す。もともとは罵倒語だったのだが、最近の発明家の間では肯定的に使う人もいて、英語圏のハックやハッカーと通じるものがある。

訳者が同じだからか、P151の説明と同じような説明だね。

そんなわけで、とくに要点も結論もないひらたい読書感想でした。


経済財政白書2018よむよむ(1/4)


経済財政白書をだらだら暇なときに読んでる。パラパラ読んで、気になったところを拾い読み&コメント。結構ながい。130ページでまだ1/4みたい。

平成30年度年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)
-「白書」:今、Society 5.0の経済へ-
【説明資料】 平成30年8月 内閣府経済財政分析担当


第1-1-1図 景気の現状

実質民間最終消費支出の推移、2014年に発生した消費税増税+3%のインパクトを3年経っても打ち消せてないね。個人消費は持ち直しって言ってるけれども、消費税分も持ち直せてないよね。

第1-1-5図 日米の金融資本市場の動向

新発10年の国債の利回りがその国のリスクフリーレートとか言うけれども、日本は0.126%とかそんなんしかないのね。ここ一年ぐらい0.05%あたりに張り付いてたみたいだから、それでも倍近い上昇なんだろうけれども、これじゃぁ0%成長の当たり前だよね。


第1-1-9図 地域経済の動向

あれ?DIのぼり調子だって! ほんと?
帝国データバンクさんをお呼びして開催したセミナーでいただいた資料の1~5月の景気DIをみてみると、年末で頭打ち下がってるので今年はトータルだと50切るかもね。(50で景気がわるいなーって感じるひとが半分を超す気分指数)

旅行外国人増えたのは知ってたけれどもこうやってデータで見るとすごい増えてるね。台湾、中国、韓国。
旅行消費額で見ると、中国だけでなく、オーストラリアもすごい。韓国や台湾は消える。まあこの二カ国は自国と日本とで買えるものに大差なさそうだもんね。為替の問題もあるかもしれないけれども、オーストラリアと日本は時差も1~2時間しかないんだから、もう少し訪日者数も増えてもいいかな。飛行時間が長すぎるかな?10時間もかかったっけ? 10時間、モスクワいけちゃうか。

第1-1-15図 潜在成長率の動向

消費税の導入が、1989年3%、1997年5%、2014年8%ここらへん。こうやってみると、もしかしたら日本の低迷の原因は中途半端に運用導入された消費税なんじゃないかって気がしている。織田信長以前は等しく課税する人頭税で、楽市楽座で利益が出たやつに課税する方式にして経済が活性化したんだけれども、また楽市楽座すれば経済活性化するかもね。もっとも、あまり民間に力蓄えさせたくないのか、政策みていると参勤交代みたいな民を無為に疲弊させる制度ばかりで経済成長とか実はさせたくないんだろうなって節もあるけども。経済活性化とか口では言っているけど愚衆が余計なことしないように疲弊させておきたいのもかもね。

第1-2-1図 生産年齢人口と就業者数の推移

産年齢人口は着実に減っているのに、就業者数は増えている。
理由は高齢者と女性。こんなに影響あったのか。すごいね。

こうやってみると「待機女性」が鍵。男性と比較してもあと150万人ぐらいはいけるはず。


第1-2-5図 サービス消費の動向

家賃の下落は供給過剰だからまだ下がりそうだね。
通信費伸びてるね。5年で2.5兆。一人あたりでも伸びているので、あれだけど、この間に起こったトラフィック増加の要因を考えると調整されているほうかもしれない。

● 単身世帯や共働き世帯の増加で外食が堅調に推移
外食の売上高についても緩やかに増加している(第1-2-5図(3))。形態別にみると、居
酒屋では売上が減少傾向であるものの、ファミリーレストランやファーストフード店では客数
の増加に加え、客単価の上昇もあり、高い伸びとなっている

外食堅調??
外食が通信費と同じようなカーブで伸びてるのは意外。ぶっちゃけわからんけど、労働集約型で低賃金労働者が減っているので顧客当たり単価をあげないと生き残れなかったことによるものだろうか?まあわからん。2014年あたりから上昇している。外食産業につま先突っ込んでる商売をしている身からすると、消費税増加の影響か円安の影響かわからんけれども、この頃から仕入れ価格がバカあがりしてしまったってのを記憶している。十年来付き合いがあったいくつかの食品卸会社が倒産してしまったのもこの頃。紅茶屋さんは辛かったのぅ。これは円安由来かもしれんが。

このグラフは売上高だからなぁ・・・。これって国際会計基準での売上高じゃないよね?売上に税を含んでるのかな?売上高はあがってるけれどももしかして利益はあがってないのかな?体感とあまりにあわないから別の統計からとかからも調べてみよう。

ん。

平成28年企業活動基本調査速報-平成27年度実績-
www.meti.go.jp/statistics/tyo/kikatu/result-2/h28sokuho.html

第1表 総括表(時系列) 産業別、企業数、事業所数、常時従業者数、総資本、売上高、付加価値額

飲食サービス業の売上高と付加価値額をグラフにしてみると、付加価値額はのびてなさそうなので、やっぱし、原価が増えてるのが原因かな?

業種別の経年データはないんだけれども、「第6表 産業別、営業費用及び利益」をグラフにしてみると、全産業でみても売上原価が増えている。やっぱこっちが原因っぽい。販管費は増えてないので人件費はあがらずと。利益が増えてるわけじゃないので人件費はあがんないよね。やっぱ御用学者を要したうそっぱちじゃんか。

飲食サービス業はいろんなものを仕入れて加工する食品加工業としても最末端で、最終的な接客サービス業なので、上流にある売上原価の上昇が積み重なったのだとおもう。売上は一見増えているように見えるが利益にはつながっていない売上増なので、外食すごーい、堅調~!とか言っていては駄目っぽ。つか、駄目だよ。



第1-2-12図 設備投資の動向

産業用ロボットが踏み上がってるのみると、「設備投資が緩やかに増加」とか喜ぶ指標というよりは、産業が無人化にシフトしてるんだな、人からロボットなんだね、って感想。

1-2 ボリューム減による実質値上げ
内容量を減らして価格を据え置く、いわゆる「実質値上げ」の動きが広まっています

うまい棒が小さくなるとかチョコパイがありえないほど小さくなるぐらいならまだ俺も我慢できてたんだけれども、これ、もう内容量だけじゃ済まなくなってきて、食品のなかには品質を下げてとかいうのが目につくようになってきて怖い。

お気に入りの揚げ煎餅が今までの油と変ってて「外はかりかり、中はふわふわ」だったのが、「ガリガリ」になっちゃって唖然とした。新商品ならまだしもレギュラー商品の風味が変わったらもう駄目だろうっていう感じ。スーパーとかの大量仕入れ店からの販売価格統制と、原価費の板挟みなんだろうけれども、悲しい。


第1-2-24図 家計の予想物価上昇率と消費者物価

生鮮食料品を除く総合の物価上昇率が、生鮮食料品およびエネルギーを除く総合より6ヶ月ぐらい先行する。ぱっと見のこのラグがどこで相関をとってるのかわからないけれども6ヶ月ぐらいとの相関が0.8ぐらいはありそうなので、結構な確度だ。経験から先物の物価変動のほうが家計の予想物価より6ヶ月ぐらい先行するので、家計の生鮮食料品の物価は1年先まで見えてるってことでいいんだろうか? 高度に工業化された現代農業漁業において天候不順は相関係数0.2ぐらいしかないのかな?ちょい意外。


(2)品目別のインターネット購入割合と消費者物価の動き

2015年を100にした図。こうやってみると、価格の押し下げが続いているようだ。経営学の教科書的に考えるなら大量供給者に対して販売者の新規参入を妨げる手段がなく、利益の平準化がおきているのだろう。でも、掃除機以外、底値かな?

第1-3-9図 新聞センチメント指数(紙面別)と消費者マインドの関係

これ面白いかも!

新聞のテキストデータをディープラーニングによる感情解析をして相関をとったデータ。
でも、ぶつけているのが内閣府「景気ウォッチャー調査」なので、民衆の景況感は0.6ぐらいの新聞等報道と連動しちゃうってのが、実かもしれないけれども、ツイッターの感情解析がマーケット指標に相関あるよねってぐらいの面白みはある。


第1-4-1図 日米欧のバランスシートと政策金利の推移

発行長期国債ふえてんなー・・・・。

これに関しちゃアメリカの無期限無制限の量的金融緩和(quantitative easing)、QE1(2008)、QE2(2010)、QE3(2012)が引き金になって、日本だと2014、ユーロ圏の2015あたりからの量的緩和という名のマネタリーベースの増大を招いていることはみてとれるんだけれどもさ、金の硬直化を起している日本ではヘリコプターマネーでお金投下して、政策金利ぶちさげても民間銀行の預貸率とかかわらねぇし、名目GDPも伸び悩んで結果中央銀行のバランスシート規模だけ増やして終わってる。国債を新発10年と考えるとここらへんの償還が始まりだすのが日本だと2024あたりから2038年あたり。米国だと2021年ぐらいか。ここらへんで一旦また経済クランチするかもね。以外と時間ないね。世間にはアベノミクスを批判とか褒めたりするけれども、そもそもアメリカさんがリーマンで追い詰められてQEに舵とってなければこんなお金のバカ発行することもなかったわけで、信用貨幣経済の終わりの音なのかもしれないね。

第1-4-5図 マイナス金利の日欧比較

マイナス金利になって、銀行からしてみたら預金者は「お客さん」ではなくなり、できれば口座とかお金を預けてほしくない存在になった。これって結構エポックなんだけれども、お金持ちの高齢者とかは銀行からはお客さん扱いされてほしいのでちょっと悲劇的なミスマッチがこれから顕在化しそう。商習慣上なかなかお金持ちを無下にはできないだろうし、また水が変わることもあるだろうし。

銀行側からすると手元にお金を持っていると損をするので、なんとかどこかに貸付をおこなわなければならない。グラフをみるとその逃げ先が中小企業や個人への貸出に向いたことがわかる。日本版サブプライムだね。シェアハウス融資とかはやくもハジけた気配もあるけれども。

にしても銀行の貸出金利、とうとう統計でも1%切ってるんだね。お金借りないので噂でしか聞いたことがなかったよ。これじゃ銀行の経営が送金とか引き出しの手数料収入にだけ頼るのもあたりまえだね。

all_01.pdf はこんなところでおしまい。またこつこつ読んで、そのうち2/4あげるよ~。

ではごきげんよう


平成最後の夏期講習PoliTech働き方について考える


働き方について、ポリティカル&テクニカルに考えてみる。
働きかたっつったって、働いてるやつぁもういい年した大人なんだから手前の面倒は手前でみて好きなように働けばいいじゃないのと突き放した考えをもってしまうのだけれども、そういうわけにもいかない事もあろう、ってなわけでいろんなケースについて考えてみたい。今回で平成最後の夏期講習シリーズはおしまーい。

まとめテンプレ

  • 今までの分野の課題
  • 今後の分野の課題
  • 問題解決の指針(何をどうしたら)
  • ポリ(政策的に解決するには)
  • テック(技術的に解決するには)
  • その分野の未来ビジョン

F:働き方

第一回 平成最後の夏期講習(社会科編)F:働き方

2018/7/31 第一回平成最後の夏期講習(社会科編)
Fテーブル「AI時代の働き方について、考える」
★厚生労働省老健局総務課課長補佐(政策調整委員)古川弘剛
・株式会社Studio Gift Hands 代表取締役/産業医/眼科専門医 三宅琢
・一般社団法人WITH ALS 代表 武藤将胤
・つくば市 副市長 毛塚幹人
・島根県 教育魅力化特命官 地域・教育魅力化プラットフォーム共同代表 岩本悠
・富士通 本多達也

議論ピックアップ

障害のある方の働き方
つくば市役所は外部人材を採用するため勤務条項を外している
固定化された価値を変えていく
都会にいかないと仕事がない
人間は本質的になんで働かなければいけないのか
多様性をいかにうけいれられるか
働き方って小中高とかで習ったことがない
ジョブディスクリプションを明確に決めて

今までの働き方の課題

働きの成果を測る方法が時間拘束になってしまっていること。

働くのは価値を創造するためである。人は価値を創造することで所属しているコミュニティから報酬を得る。
株式会社が発明されたのは、遠く航海しても胡椒をもちかえれない、つまり無駄働きに終わり価値を生み出せない人が出るからで、その失敗や成功を調整するために掛け金が調整されたにすぎない。平準化することでハイリスクはハイリターンに、ローリスクはローリターンに調整された。

大量生産の時代になると、労働者が生み出す価値は労務提供の時間と比例し、勤怠管理にて想定容易なものとなった。働き手がどこでどのような仕事にどれくらい従事したかが雇用側に重要となった。

情報化社会以後、ソフトウエア開発やコンテンツ製作が本流になってきた現代において、労働時間や設備施設と労働生産性が比例しないケースが顕著になってきた。できるソフトウェアエンジニアの生産効率は1000倍では収まらない。文章が書けるだけの人を千人集めても、シェイクスピアの物語にならないようなものだ。かつてはクリエーションの現場だけに見られた「タレントの出現」を待つだけだった現象が反復することが信条のビジネスの場でも見られるようになってきた。

ある種の製作において、働きがどの程度のリターンをうるべきなのかについての社会的コンセンサスはまだない。価値を測る方法は今のところ経済評価が一般的であるが、経済的リターンは仕事が完了した後にのみ発生するだけで、事前の想定と実際に乖離が合った場合や、グループワークである場合、貢献度や分配で大抵は揉める。資本社会における株主資本のような、出資とキャピタルゲインのような関係にあるものがまだなく、あったとしてもそのものさしはまだ過渡期であり万全には機能していない。

例えば係争になった例として青色ダイオードの発明がある。LED特許のような発明は特定の企業に巨額の利益をもたらしたが、発明者は給与にわずかな職務上の報奨を得ただけだったため裁判に発展した。また、アニメや映画の原作になった漫画家も職務上の作成で買い取りであるため映画などの興行成績が数億円の大ヒットしようが百万円程度の報酬しか得られなかったりするし、数億稼ぐ人気者の芸能人が事務所から50万にもいかない給与制でしかも移籍が困難になるよう占有的に支配されたりする。

職務発明や職務製作、タレントの育成などは、企業がトータルでリスクを負っているという言い分もある。成果を生み出せない人にも給与は払い出さなければならないし、後進も育てなければならない。だが、企業戦略論的にいうならば独立を防いで新たなコンペティターを産ませないようにするための参入障壁構築でもある。

しかしこれもそれも、働きの成果を測る方法が未成熟であるためにおきていることだ。声が大きいだけや、長時間会社に詰めているだけの人を過大評価してしまったり、自分がどのような仕事をしたのかを伝えなかったり、自己評価が低いひとの謙遜などを真に受けて過小評価してしまったりする。

今みている洋物ドラマ(ちなみに今はクリミナル・マインドをみてる)で言い争いになるとappreciate(真価を認める)を連呼するが、appreciateって重要。慧眼。

今後の働き方の課題

働き手がどれだけの価値を生み出したのかを計測する方法が未整備。

例えば、フリーランスや個人事業主が仕事をしようとしたときには、どこかの下請け的に働くケースがあるが、優越的地位の濫用が平然とおこなわれる。下請法や準委任契約とか再販売価格の拘束とか、いろいろあってなかなか対等の商売関係を結ぶのは難しい。公正取引委員会とかあるけれども、これらが機能した例などというのは中小零細では聞いたこともない。普通は波風立てないように (片方が泣いて) 収めて終わりだ。

会社勤務の従業員の場合は、働いても働かなくても給料はあまり変わらないのであるから社会主義国の例に例えれば「飯配給の時は前に、仕事のときは後ろに」ということになる。特に公務員などは営業成績が悪いから解雇というようなこともなく、より問題を起こさずやりすごそうというマインドにシフトしてしまうのも当然だ。

問題解決の指針(何をどうしたら)

従業員の業務評価は会社の資産となっているが、個人の資産としてデータポータビリティの対象にするべきかもしれない。年に何度もない給与査定のみで自分がどのように評価されているのかを推測するのでは、人材のミスマッチも硬直化するし、仕事の生産性向上にも役立たない。

改善方法にはリモートワークの場合はupWorksやランサーズなどのクラウドソーシングなどで行われている2つのやり方が参考になる。

  • PCのロギングや「Harvest」のようなTime Tracking Softwareをつかって時間をベースに進捗を管理する方法
  • 仕事をタスク単位に細かく分け、それごとに報酬を設定して取引(予定価格の提示、デポジット、成果報酬)

少し大規模なプロジェクトになればレベニューシェアなどのやり方もあろう。いずれにしろジョブディスクリプション(お仕事の細かい内容)とコントラクト(契約)が重要になるのであるが、日本はここをどうもなーなーに済ませてしまってぐずぐずだ。仕事を発注する側や上司が納得するまで検収しないなんてことがある。これじゃ働く側のコストが青天井だ。

「そりゃ俺の仕事じゃねぇな、契約に入ってないぞ」って言える労使関係、受発注関係が必要だ。極まると責任回避のためだけの縦割り役所がやるたらい回しになってしまうけれども、たらい回しが価値を生み出すことは無いんだから成果で判断できればこれらは解決できる。減点方式から加点方式へ。

ポリ(政策的に解決するには)

職務発明や、職務製作の権限を強くしようとしている動きあるよね。権利管理が煩雑になるとビジネスの足も遅くなるので集約しようとしているのはわかるんだけれども、だとしたら懲罰的損害賠償を認めないとイノベーションなんて起きないよね。リターンも罰則もないのだから、リスクをとろうとするわけがない。

資本差がある企業間の取引においても、ものすげぇ違約金がついた納品とか、最初の契約に相当な歪みがある不平等条約なみの契約が横行してて、それで真面目なだけの零細は事故が発生した際にやられちゃったりするので公正取引委員会仕事してくださいって感じですな。八百屋の仲卸とか、魚の仲卸とかの一次産品の流通でつまずいているのから政策的な手当が必要なように思う。

情報産業とかのニューエコノミーのほうは比較的、順調だと思うけれども、これも製造者責任とかの転嫁とか、一度お金を払えばどこまでも製造者に作業を要求できると勘違いしているヤクザみたいな企業、担当者もおおいからこれを取り締まる実効性のある法律をプリーズ。

日本社会において給与が上がらないことが問題になっているが、勤続年数などが住宅ローンの際の重要な審査項目になっているのであるから致し方ないことだとおもう。勤続年数が重要視されるのは年功序列で生え抜きが優遇されたからだ。ここにも個々の働きの細かい評価を雇用側が諦めた現実がある。だが、工業社会が終わった今、そういう事はいってられなくなった。

解決する方法は、会社の業績が悪いから給料があがらないのか、自分のチームの業績が悪いからなのか、自分の評価が悪いからなのかを福利厚生上の法的義務として従業員へ公開することを会社に義務付けることが必要なのではないかと思う。

テック(技術的に解決するには)

せっかく法人番号制度(法人のマイナンバー制度)が始まって全国の法人が管理できるようになったのに、企業の全部事項履歴とか、処罰状況が表示されないのはどういうわけなんだろうね。

下請けへの支払い状況とか、障害者雇用促進法の処罰履歴とか、税の支払い状況とか、求人状況や退社率とかの状況は知りたいな。
帝国データバンクとか東京商工リサーチとかが企業の信用情報を値踏みしたりしているけれども、それらの民業圧迫することなく、労働基準関係法令違反に係る公表とか入札停止命令とかをPDFで出すんのではなく、公的な処罰状況は法人番号検索をしたら出てくるとか、もうちょっと一目でわかるようにオープンデータ連携進んでもいいと思う。
こういう法人そのものについてのバイラルサービスやれば今ならマーケットの開拓できると思うので誰か意欲ある人やればいいよ。テック的にはあまり難しいことではないのですぐできる。給料未払いとか、未払い問題とか社労士とか弁護士とかと連携すれば比較的マネタイズの道もありそうだし。うん、悪くないね。やってみようかな。すぐ忘れちゃうと思うので、やってみたい人いたら声かけて。

個人のほうは、あれかな、個人が自己申告の履歴書もって回るのはおかしいよね。学歴だの納税情報とか、執行猶予中だとかそういうのはわかるんだから、その人が見せたいところだけ見せる設定にして公的認証のバッチつけられるようにするのがいいんじゃないかな。
「あれ、この応募者学歴に公的認証のバッチつけてないな?」ってのから先は会社判断にできるし。雇用側が提出された情報がうそっこなのかどうかを個別に看破するのは膨大な社会コストになっているので、プライベートデータ連携、公的認証、データポータビリティがんばってひろがってほしいですね。linkedinみたいなソーシャル相互認証に頼らずに済むところはちゃちゃっと済むようにしておきたいですね。

働き方の未来ビジョン

カフェとかで仕事をするノマドが未来の働き方だとか煽るイメージあるけれども、カフェは仕事場じゃねぇから長居すんなって喫茶業もやっていた身からは思う。手に職を持っているひとは、コワーキングスペースとか、カフェを自分で創業する立場に立てばいいと思うよ。そうしたら好きにできるし。

正直、飲食店の創業は素人参入も多いため、恐ろしい勢いで出来ては消えていく悲しい業界なのだけれども、別業が収入をあげる算段があって始めるカフェとかならどんどんやればいいと思う。

副業や独立創業については、未だリスクの方が多いので、平常のやり方でひと上がりしてからでも遅くはないとご忠言いたすところでござるが、満員電車に揺られ鶏ゲージのように働くのも精神衛生上よろしくないこともあるので、堪えられなくなったら適度にリトリート(退却)するのも大切だよねー。

ワークライフバランスだとか言うけれども、そもそもが働くことと、生活をわけずに済む未来がくるといいですね!

毎週パーティー三昧!? 前代未聞の介護付き住宅「はっぴーの家」に行ってきた
こういうのいいよね。苦労は堪えなさそうだけれども。

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