知性と遺伝


知性と遺伝をからめて扱うときは気をつけなされぇとコメントをもらって、たしかにぃとおもったので、ちょいと書き書き。結論などない。
最近、相模原障害者施設殺傷事件(やまゆり園)で発生した、知的障害者の大量殺人事件もあったばかり。

トランプ、ドゥテルテ、ムカベとか世界もいろいろきな臭くなってきた。第二次世界大戦下でナチス・ドイツがおこなった優生思想に基づく民族浄化政策や、KKK(クー・クラックス・クラン)による白人至上主義団体など、遺伝を絡めると、わりと簡単に人類のタブーにたどり着ける。人類の暗部はすぐそこに今もある。

 

人種差別的偏見が認知力の低さに相関があると調査論文がでたのは皮肉なことであるが、そのようなやり過ぎジェノサイドも含め、過ちを繰り返すのも人類の本質の一部であると心するよりほかない。知能指数、IQなんちゅうものはそもそも年齢と比較しての発達をみるためのものでしかなく、同じスケールで計測できている段階でIQ80も120も単なる個体差にすぎない。同じモノサシの上にのっているものだ。

 

クジラとウシは兄弟

遺伝については世間的な認知度が人によって大きく異なるので、ちょっと遺伝的多様性について、ひいた所から書いていく。極端な例から詰めていくよ。
クジラもウシも同じ鯨偶蹄目である。

カラスはスズメ目で、犬はネコ目だ。

体重3キロ以下のチワワも体重100キロを超すセント・バーナードも同じイエイヌ亜種である。
羽生善治も吉田沙保里も同じホモ・サピエンス・サピエンス亜種で、どちらも日本人だ。
クジラは賢いから食べちゃだめだというが、遺伝的にはウシも同じ目なんだよね・・・。

カラスは賢いというが、遺伝的にはスズメさんのお仲間だ。チュンチュン。燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんやっていうけど故人が鴉と類さなかったのは慧眼だよね。
生物は進化や分岐の分類で、界>門>亜門>綱>下綱>目>亜目>下目>上科>科>亜科>族>亜族>属>種>亜種のようにわけられる。ヒトを簡易的な分類で見ると次のようになる。

界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
綱 : 哺乳綱 Mammalia
目 : サル目 Primates
科 : ヒト科 Hominidae
族 : ヒト族 Hominini
属 : ヒト属 Homo
種 : ホモ・サピエンス
亜種 :ホモ・サピエンス・サピエンス

現生人類はホモ・サピエンス・サピエンスのみ現存している。

黒人(ネグロイド)や白人(コーカソイド )、黄色人種(モンゴロイド)などは歴史的人種分類概念もあるが、これら外見上の肌の色や瞳の色は、単なるメラニン色素の量によるもので遺伝的にみると、約31億ある塩基配列のうち、わずか1~2ヵ所が異なっているに過ぎない。(と、現在までの科学では知られている。)

 

人類だいたい兄弟

身長は親子間で比較的つよい遺伝影響があるのは体験的にも実感があると思う。

背の高い親から生まれた子供は、背が高くなる可能性が高い。しかし、その身長の高さは子は平均に近くなることも知られている。

 

ちょっとこの理由を誰にでもわかるようにひとことで説明をするのがむずかしいのだけれども、これは分散の問題。偏差値で表現すると、たとえば身長偏差値75の親から生まれた子は、身長偏差値65ぐらいになって、さらにその子は55ぐらいになるというように、たしかに平均よりは高いけれども、より平均値、最頻値に近づく。

簡単な理由をあげると、交配しているからなんだけど、もし、遺伝で身長偏差値が85、95とどんどん離れる方向に動くなら、それは種の分化だ。遺伝的多様性は交配によってその種のなかでは収斂していく。

あと、江戸時代の平均身長が男性155~158cmなかったことからもわかるように、遺伝以外の環境要因も強く作用する。

 

遺伝由来の頭の良さ悪さが資質としてあったとして、同じスケールで測れる範囲であれば、そんなものは進化の系譜のなかでは個体差にすぎない。逆に突然変異種になってしまうぐらいの遺伝的変化が発生した場合は、そもそも同種と交配ができないか、交配してもその子がF1種や、ライオンと虎の子のライガーやロバと馬の子のラバのようにその子供が繁殖能力がなく結果絶えてしまう。

 

数個前のエントリーで破局噴火について書いたが、トバ・カタストロフ理論によれば、今から7万年前から7万5千年前に人類は大量絶滅をしている。その時に生き残れたのはわずか1,000組~1万組ほどの夫婦である。1万組が72億人の現在人口のオリジナルの版下だ。江戸時代末期に3千万人しかいなかったのが平成の1億2千万人のルーツである。なので、本質的には兄弟種で、遺伝的にはほぼ同じものといっていい。

 

だが、ほとんど同じであるからこそ些細なところを比較することができるのだ。そして同質でありすぎるが故にその些細な違いが目立つのだ。

 
ここでY染色体ハプログループをみてみる。


一番最初のA~Bタイプの分岐が20~26万年前。

Bタイプの分岐が60,000~65,000年前。

Kタイプの分岐が47,000年前。

東南アジア、日本人にも多い、Oタイプへの分岐が23,000~32,000年前

 

ヒトの繁殖間隔を仮に15年で1世代とすると、20万年で1万3千世代。6万年で約4000世代となる。
※縄文人の平均寿命は14.6歳、15歳まで生きたヒトでも男性16.1年、女性16.3年だそうな。

 

暗黒品種改良

京都大学で60年もの間、まったくの暗闇で育てられているハエが居るそうな。

暗闇に適応できないと死ぬ、適応できれば有利に繁殖できるとという過酷な環境下で約1400世代を重ねた結果、通常のハエと比べると約5%の遺伝変異があるという。もともとヒトの肌の色が違うのはメラニン色素の量の問題だ。人間は紫外線を浴びることでビタミンDを合成するが極地と赤道付近で日照量が異なるために外部環境に適応が必要だった。まあわずか数千世代前の話。

 

農業をはじめたであろう最古のギョベクリ・テペで約1万年前。縄文後期で紀元前4500年ごろ。縄文人と現世人類はせいぜい300世代ぐらいしかなく、ぶっちゃけ変化がおきたとは考えにくい。どうにも日本人は海藻を消化できる遺伝子を手に入れているぐらいの変異ぐらいかねぇ。

 

知性と遺伝を並べたのは、同じイエイヌ亜種のなかで同じ犬種でもバカ犬と、賢い犬がいる。同じ親から同時期に生まれた子達でも性格が異なる。躾の効き方も違う。愛玩動物だけでなく、サラブレッドや家畜などでも血統証明書管理され、人為的な選択、選び出しによる、掛け合わせ、品種改良がおこなわれる。

 

遺伝的資質がほぼ同じだからこそ些細な違いを比較できるのだ。

 

交配によって最頻値に収斂していくのが自然の摂理なら、その摂理になんとか抗おうとするのが品種改良だ。より賢い犬、より乳がでる牛、早く走れる馬、肉付きのいい豚。そうやって些細な差を大きくすることが求められた。

 

どの文明にも見られる本人の意思に関係ない縁談や身分制度などは、人類の品種改良の歴史でもある。文官は頭の良さに、武官は体力に、農民は胆力に、職工は器用さに、商人は財力とかに特化しようとし縁談を組み、あれこれしてきたんじゃないかな。まぁここらへんもまだまだ配慮を要する分野か。ちょっと暴論すぎたね。

 

現代社会は自由競争の名の下、賢く利他するものよりも敏く強欲なほうが機会を得る。

 

評価基準も記憶力や定型条件下での問答の応答速度であったりする。まあ、そのようなことが得意なヒトもいよう。だが、それは局所最適にすぎない。全員をそのモノサシに乗せ過ぎれば人類の家畜化だ。遺伝的同質化が極端に進むと、過剰最適しているようなもんで環境変化とかの外部要因で簡単に大量絶滅に陥る。とても危険なことだ。

高いIQを求めるのは、成長が早熟であることを求めるのと同義であるが、そればかりを求めて、いったいぜんたいどのような次世代を作りたいのだろうか。十把一絡げにそれぞれの長短を潰してまで遺伝的収斂を急ぐ必要はまったくないとおもう。遊びのぶぶんたいせつ。

 

選択による品種改良のほか、もっと直接的に遺伝子組み換えもできるように我々は手段を手に入れた。社会的モノサシ、評価基準が最終的に経済に帰結してしまうような軸1つ2つしかもたないのは、いささか危険すぎる。

 

まあ、なんども歴史は繰り返しているので、そうやってちょっと遠回りするのも人類。もしかしたら行き過ぎたらアルジャーノンがなんとかしてくれるかもしれないし、黒い頭のネズミが全部喰らいつくしちゃうかもしれない。
ま、なんとかなるさ(楽観)

 

参考

「IQの低さと偏見・人種差別主義の傾向に関連」カナダの研究チーム
news.livedoor.com/article/detail/6237319/

 

Bright minds and dark attitudes: lower cognitive ability predicts greater prejudice through right-wing ideology and low intergroup contact.
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22222219

 

レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
肌の色について「個人差」と「人種による違い」の2点がどのようなメカニズムで起こってくるのか、についての資料を探しています。
crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000142944

 

トバ・カタストロフ理論
ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%95%E7%90%86%E8%AB%96

 

Y染色体ハプログループ
ja.wikipedia.org/wiki/Y%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93%E3%83%8F%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97
暗黒バエ
ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%97%E9%BB%92%E3%83%90%E3%82%A8

 

縄文人の平均寿命、男女ともわずか14.6歳だった
karapaia.com/archives/51581310.html
レファレンス事例詳細(Detail of reference example) 江戸時代の男女の平均身長はどれくらいか。
crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000013899


教育と訓練。遺伝と環境。


テストで点数をとるためのトレーニングが教育と勘違いされるようになって久しい。本末転倒で残念なことだ。勉強にも教育にもあれこれいいたいことはあるが、今回は、「同じ勉強をしているのに差がつくのはなぜか?」ということについて。

同じ勉強をしていて差がつく「本質的な理由」できる子とあと一歩の子の意外と大きい違い
石田 勝紀 :緑進学院 代表取締役
toyokeizai.net/articles/-/149489

理由を「やっぱり頭の構造が違う」「遺伝だ」など、努力しても手に入らないところに置き、自分を擁護したりすることもあるでしょう。
(中略)
一部の天才的な子はそうかもしれません。しかしそのような子が存在する確率は非常に小さいはずであり、身近にそんなにたくさんいるものではありません。

勉強ができる子は、寝てる時以外も学びに関心がいっているから勉強ができるんだってっさ。あはは。

「一を聞いて十を知る」という故事があるけれども、同じ感受情報からでも辺縁まで探索できる探索網の深さと広さは、そのものずばり、脳みその性能差なんじゃないかなと思うんだけど。「存在する確率は非常に小さいはず」というのは、遺伝的多様性を過小評価しすぎではないか。

脳みそも生体機能のひとつであるので運動能力と同程度にはその出現率は正規分布に従うはずだ。

 

同じ体育(トレーニング)をしているはずなのに足の速さに差がでるのは「寝ているとき以外、すべてトレーニング」しているからと言えるだろうか。野生の虎は強いが生活そのものが鍛錬だからだろうか?

筋細胞の割合や骨格、速筋の割合は遺伝にも強く支配される。アルコールの分解能に個人差があるのは、酒を呑む訓練していないから、「呑んでいるとき以外、すべて肝臓鍛錬」しているからだろううか?分解酵素を発現できない遺伝特性がある人を訓練でどうにかできるだろうか。

 

fellowshipoftheminds.com/2014/10/11/how-smart-or-stupid-is-your-country/
知能指数にはいくつか種類があるそうだが、50~69は軽度知的障害として分類される。35~49は中度。71~85はボーダー(境界域)。

知的障害
ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E9%9A%9C%E5%AE%B3

受験勉強で競うステージに立つのはおそらくはボーダー以上で、しかも入塾テストなどでも弾かれているため、極めて均質限定的な遺伝的同質性を前提にした議論であるように感じる。

東大生の平均IQは(ネットででまわっているレベルの言説によると)120だそうだ。120ぐらいを最頻値にする母集団のなかで、145以上のIQを持つひとを天才と認知するのであれば、それはごくごく稀な存在として認知されるかもしれない。

 

おそらく、さらに上のIQをもつ人もいるだろうが、重度知的障害者と同様、他の合併症などを併発している可能性が高いため大学生活のような凡庸な場には出てこないのではないだろうか。社会で接しうる観測範囲のなかでは稀と感じるかもしれないが、個体としての出現率はおそらくは正規分布に従うはずだ。

 

東アジア、中国、韓国、日本あたりではIQ105あたりが平均値だそうだ。中央値と最頻値にあまり差のなさそうな分布になっていて、知的障害者が社会的にも分離されてしまっているために、そう感じるのかもしれない。おそらく日本の大学受験勉強ぐらいだと、標準的な知能の子が点とりゲームにいかに熟達しているかが合否をわけることがあるので、おおかた訓練量の多寡が一番影響を与える変数なのかもしれない。

 


www.liveleak.com/view?i=cd7_1462213771&comments=1

世界のIQ分布。

この図によるとアフリカが酷く低い状態となっているので、差別を助長していると勘違いされかねないが、知能指数や運動能力は遺伝だけでなく、幼少期、発達期の栄養状態にも大きく影響をうけることを忘れてはならない。

 

人類の遺伝的多様性は過小評価すべきではない。

字が読め、文意が理解でき、思索がおこなえている時点で相当に恵まれているのだ。

  • 9歳の壁:分数が理解できない。
  • AIがぶち当たっている壁:文意が理解できない。

これらは、トレーニング量の多寡だけでは解決しない。ポアンカレ予想や、リーマン予想、シェイクスピアやモーツァルトが残した成果に学習量の多寡で到達しえないのと同じようなものだ。

 

しかし、運動能力が車やバイクなどの移動装置で補完できるように、知性も外部装置化でおおよそ補完できる。

スマフォや、コンピューター、ネットの有り無し、手順書の有り無しは、結果に対して知能指数由来の要因以上の影響を与えるだろう。

自動運転装置などは、老齢化し認知能力が低下した人類にも役にたつだろう。

 
テストの点に差が出るのは、訓練の成果でもある。

訓練を積めばウエイトリフティングで重たいものもあげられるようになるのと同程度に生体機能向上がみこめる。しかし、トレーニングに偏重し、重量挙げを筋肉だけで課題解決をしようするのならば人類に発展はない。

脳みそは生体機能である。トレーニングも有効ではあるが衰退や老化もする。同時に過負荷のトレーニングや稼働をおこなえば故障もする。点をとることに執着し訓練を積み、過剰最適をおこなえば偏狭になる。頭のいいバカを量産するのはいかがなものか。

 

 


木造建築にタバコの吸い殻を捨てちゃうような、火を扱うのには早すぎる人類も居る。

fool-proofこそが文化資本だ。

 

 

勉強を教える(テストで良い点をとれるようにトレーニングさせる)よりも、環境を整え文化資本にアクセス容易なように障壁をとりのぞく環境をつくことことこそが教育側の役割ではないか。例えば、プログラミングができるようになる、ならないは本人の資質以上に学ぶことができる環境構築ができるかできないかにかかっている。

努力ができる環境を。そして、局所最適、過剰最適しすぎない環境を。

 

 

同じ勉強をしていて、差がでるのは自然なことだ。

しかし、その差ばかりを重要視してはならない。外部装置による影響のほうがでかくなってきているのに、勉強の成果だけを基準にするのは、いささかモノサシが足りない。他人の感情を理解できるみたいな、そのほかの会的な評価モノサシを増やさないと、文明は低迷する。(んじゃねぇかな。ど?)

 

参考

日本、中国、韓国人は「世界で最も頭が良い」、英国の研究者の知能指数調査で明らかに―香港メディア
news.livedoor.com/article/detail/10151293/
WORLD RANKING OF COUNTRIES BY THEIR AVERAGE
iq-research.info/en/page/average-iq-by-country
IQ mode average countryでイメージでぐぐった。


鬼界カルデラ活性化


日本の人口はおよそ1億2千万人である。そのうち1億人が死んでしまうような破局噴火の可能性がある火山がこの狭い日本に少なくとも4つある。そのうち2つの阿蘇と鬼界カルデラが活性化している。

おおよそ十万年単位でウルトラプリニー式の破局噴火がおきる。それよりも小規模なプリニー式の噴火は日本の過去12万年で10回おきている。さらにそれより小規模の破局噴火は数百年から数千年単位でおこっている。カルデラ破局噴火で予期される死者数の期待値は毎年507人、100年で5万人であるそうだ。これは地震や津波とくらべて決して低くはない数であるが時間軸が人間の寿命よりはるかに長いため軽視されがちである。

  • 1707 宝永の大地震(南海トラフ)
  • 1707 富士山宝永大噴火 VEI5 ← プリニー式
  • 1783 浅間山大噴火 VEI4

千年万年という時間軸で活動している地球にとって10年や100年などは誤差の範囲。どちらも45億歳の地球からみればほぼ同時の出来事である。マグニチュード8以上が予想される南海トラフ巨大地震では日本の人口の6割が被災すると言われている。あと百年もまたずにくるだろう。便意のようなもので、いつくるかはわからないが地球の生理的にこない可能性はむしろ考えなくてもいいぐらいだ。

で、地震がくれば、噴火もくる。大規模な地震がくれば、他の地殻も動く。大規模な噴火もくる。プレートテクトニクスやマグマがあがってくるホットプルームは地震よりさらに長いタイムスケールであるため、数千年数万年の誤差があるかもしれないが地震がおきる箇所ではいずれ噴火もおきる抱き合わせセット販売品である。

 

噴火VEIについて

ここで、通常の噴火と破局噴火について規模の違いを説明しておく。

プリニー式噴火というものは噴火するときに、勢い余って山体をふっ飛ばす威勢のいいやつだ。

ウルトラプリニー式になると、噴出物が数年間ものあいだ地球を覆い地上に太陽光が地表に届かなくなるため、規模によってはほとんどの動植物が死ぬ。文明の崩壊どころか種の大量絶滅をもたらす。1万年しか文明を構成していないとされる人類には未知の領域であるが、地球の歴史を振り返ると何度となくあったことなので充分想定しうるものである。

 
地震のマグニチュードのように噴火にもVEIがある。
噴出物の量をスケールしたものでVEIが1あがるごとに噴出量は10倍になる。

火山爆発指数

ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AB%E5%B1%B1%E7%88%86%E7%99%BA%E6%8C%87%E6%95%B0

 
maps.ngdc.noaa.gov/viewers/hazards/

 

  • 2000年 三宅島 VEI2
  • 2014年 御嶽山 VEI3
  • 1933年 口永良部島 VEI4
  • 1663年 北海道有珠山 VEI5
  • -4350年 喜界島 VEI7

1990年 フィリピン バギオ大地震 マグニチュード7.8

1991年 フィリピン ピナトゥボ大噴火 VEI6

 

このときの噴火では北半球の平均気温が0.5度低下した。

ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%8A%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%9C%E5%B1%B1
ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AB%E5%B1%B1%E3%81%AE%E5%86%AC

 

トバ・カタストロフ理論
ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%95%E7%90%86%E8%AB%96

7万5000年前のトバ火山の折には平均気温が5度低下し、6000年間劇的な寒冷化が続き氷河期に突入した。
人類はこのとき1万組まで減少した。

 

阿蘇山の活性化

2016年10月8日阿蘇山、中岳第1火口で爆発的噴火をして、兵庫まで広く降灰した。
www.asahi.com/articles/ASJB80J85JB7ULZU00Y.html

阿蘇山、中岳第1火口で爆発的噴火 兵庫まで広く降灰か 2016年10月8日05時39分
www.asahi.com/articles/ASJB80J85JB7ULZU00Y.html

 

阿蘇火山中岳の噴火情報 [2016年10月8日]
www.gsj.jp/hazards/volcano/aso/index.html

比較的大規模な噴火ではあるが通常の噴火である。
阿蘇山が破局噴火をした際には九州が火の海に沈み火砕流が海を超えて山口県にまで達した。


gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/aso/fig/fig4-1p.html
gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/index.html

 

この火砕流がない中央の部分がカルデラ(火口)である。
通常の噴火と規模の違いがみてとれると思う。現在では火口に街がある。

  • Aso1 : 約26.6万年前[8]、噴出量 32 DRE km3[9]。
  • Aso2 : 約14.1万年前[8]、噴出量 32 DRE km3[9]。
  • Aso3 : 約13万年前[10]、噴出量 96 DRE km3[9]。
  • Aso4 : 約9万年前、噴出量 384 DRE km3[9]。

ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E8%98%87%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%A9

阿蘇山 有史以降の火山活動
www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/fukuoka/503_Asosan/503_history.html

 

鬼界カルデラの活性化

活性化しだしたのは阿蘇山だけではなかったようだ。

九州南方海底に活動的マグマ 神戸大が確認
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161119-00000001-kobenext-sctch
〔副振動〕鹿児島県の沿岸で顕著な海面昇降 船舶などへの被害に注意(11/27) 11月27日 20:00
news.goo.ne.jp/article/rescuenow/nation/rescuenow-00000005095698.html

実際に観測された潮位をみてみると、ちょっとした津波並の潮位変動が観測されている。

気象庁:ホーム > 防災情報 > 潮位観測情報
www.jma.go.jp/jp/choi/index.html?areaCode=215
九州地方南部および奄美地方

 

鬼界(きかい)カルデラが約7千年前、破局噴火をした際には火砕流が海の上を走り、九州の南部にまで到達した。

紀元前-4350年 VEI7規模


海の中に没しているので見えないが、硫黄島や竹島がカルデラの縁(ふち)である。
完新世(約 1 万年前以降)における地球上で最大の噴火をしてくれちゃった比較的最近の若者だ。

 

 

南九州からトカラ列島のカルデラ群

クリックしてKagaku_201401_Maeno.pdfにアクセス

鹿児島 トカラ列島近海で地震相次ぐ 12月8日 21時09分
www3.nhk.or.jp/news/html/20161208/k10010800201000.html
「広域的な火山防災対策に係る検討会」 (第1回)【大規模火山災害とは】
www.bousai.go.jp/kazan/kouikibousai/pdf/20120803siryo2.pdf


姶良カルデラ(あいら)


ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A7%B6%E8%89%AF%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%A9

 

カルデラの規模って凄いよね。鹿児島の桜島はいまも活発な活火山だけれども、あれもカルデラ火山の辺縁。

世界で50万都市が活火山の近傍にあるのは世界広しといえども日本だけらしいよ。

日本って地殻変動のフロンティア。非常に興味深いですね。

 

 

参考

現代都市を脅かすカルデラ破局噴火のリスク評価
早川由紀夫(群馬大学教育学部)
www.hayakawayukio.jp/bosai/hakyoku/hakyoku.htm
日本列島では数千年に1回,全地球では数百年に1回の頻度で,文明を滅ぼすようなカルデラ破局噴火が起こる
カルデラ破局噴火のリスク期待値が毎年507人であることがわかる.100年あたり5万人
カルデラの一覧 (日本)
ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%A9%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7_(%E6%97%A5%E6%9C%AC)

 

南海トラフ巨大地震の被害想定項目及び手法の概要
~ライフライン被害、交通施設被害、被害額など~ 資料4
中央防災会議 防災対策推進検討会議
南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ

クリックして20130318_shiryo4.pdfにアクセス

 
スミソニアン博物館の地震とか噴火の地図
www.gleanspot.com/how-earthquakes-and-volcanoes-reveal-the-beating-heart-of-the-planet/
CSVでデータダウンロードできる。
VIEデータなし。緯度経度、山の標高、写真、最終噴火年などの情報あり。
有名な噴火のリスト
dyna.geo.kyushu-u.ac.jp/~yoshida/japanese/science-notes/volcanoes/famous-eruptions.html
Mapping the largest Holocene Volcanic Eruptions
scottyhq.github.io/blog/2014/02/08/mapping-volcanic-eruptions/
Interactive Map of Active Volcanoes and recent Earthquakes world-wide
earthquakes.volcanodiscovery.com/