女性とアファマティブアクション


東ロボくんについで東大のお話。遠方から通う女子東大生にたいして3万円の家賃補助をつけ、女子の割合を増やそうとする大学の姿勢にネット上で批判が相次いでちょいと炎上した。

 

東大、女子学生に月3万円の家賃補助 来春に初めて導入
www.asahi.com/articles/ASJCG4WF3JCGUTIL030.html
anond.hatelabo.jp/20161115002441
anond.hatelabo.jp/20161115110829
anond.hatelabo.jp/20161119044205

これに対するカウンターもちゃんとあって、スプツニ子さんはアファマティブアクションがぁ~と論じている。

 

アファマティブアクションって何ぞいな?というと、格差是正のために直接の優遇措置。もっと平べったくいうと自律的な改善はできそうもねぇから逆差別を施してハンデつけねぇとだめじゃね?っつうことらしい。
現状どうなのよっておもったので調べてみることにした。

 

国立大学における男女比率

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クリックして0000037168_1_2_2_1.pdfにアクセス

学生で18.8%ぐらいで安定状態。

 

教職員のほうを見てみると、東京大学の教職員男女比は11.0%、10年前は6.3%って、それほぼ男子校だよね。

クリックしてNationalUniversities2013.pdfにアクセス

国公立大学における教職員の男女比率は女子大を入れても14.1%しかない。平成17年の9.3%からみると改善したが・・・。
ちなみに、電気通信大学は安定の5.5%!さすが。

 

 

日本における女性の状況

課長以上に昇進したいという意欲があるのは、男性51%に対して女性は10%しかない。
また実際に管理職になる割合も9%であるそうな。

www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-14.html
ヒラリー・クリントンが「ガラスの天井」と論じたアメリカであるが、日本などアメリカのそれに比べるまでもない。東京都知事こそ女性であるが、肝心の政策を立案、決定する国会議員における女性の割合は世界189カ国中147位で11.6%、83人しかおらず( top10.sakura.ne.jp/IPU-All-SeatsP-Female.html )、ガラスの天井どころか足元掘ってAPマイナス、盛土もされてない状態だ。
衆議院9.5%

 

参議院18.2%

 

給与格差

ちょうど今日、雇用統計が発表されて、大卒女子の初任給がはじめて20万を超えたとニュースになっていた。

 

大卒初任給 女性 初の20万円に 11月21日 4時06分
www3.nhk.or.jp/news/html/20161121/k10010776671000.html

 

平成28年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況
www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/16/index.html

男女差に注目して詳しくみてみる。

付表2 産業、性、学歴別初任給及び産業間格差 [49KB]

電気・ガス・熱供給・水道業 -0.25%
医療,福祉 -0.05%
サービス業(他に分類されないもの) -0.69%

2%を超えるもの

金融業,保険業 2.32%
不動産業,物品賃貸業 2.85%
建設業 3.66%
運輸業,郵便業 3.94%
鉱業,採石業,砂利採取業 4.79%

 

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高卒:大卒の学歴格差 全国平均18.96%

 

青線が割合比、赤が高卒で緑が大卒だっけかな。

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例えば格差が大きい山口県では大卒男194,700円、大卒女184,700円、高卒男162,700円、高卒女152,200円と、1万円を超えるの差がある。

・・・。あれ、グラフソートしたつもりだったんだけど、ソートの範囲間違えたかも・・・。

 

格差固定

日本において、性差により社会的に恒常化されている格差は結果からみると3~40%は余裕でありそうだ。
本人の努力ではどうにでもならない部分での制限に近いので、比率割合10%ぐらいのものを30%にする程度までは、アファマティブアクションをとることには理があるように思う。3万円どころか、もちょっとゲタはかせてもいいんじゃないかな。

もっともあまりに性急な変化はそれでやってきちゃった社会のほうが対応できないとおもうので、それなりの期間をつかって世代交代などのタイミングで徐々に推し進めないとだめかもしんないかもだけど。
余談だけど、地元に三鷹国際学生宿舎というのがあるのだが、こういう能力も意欲もあるところの若者には、地方知自体とかが積極的にお金を投じるのは、下手な経済政策や地方創生策をうつよりよほどの経済効果があるとおもうんだよね。3万円どころか地方自治体とかが勝手奨学金とかを創設するのはできないのかな?ふるさと納税より建設的だとおもうんだけど。

 

参考

昇進意欲の男女比較 川口  章(同志社大学教授)

クリックして042-057.pdfにアクセス

 

第1部 男女共同参画社会の形成の状況
www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/honpen/b1_s02_02.html

 


東ロボくんとお受験


東ロボくん、浪人生活辞めるってよ。
東ロボくんとは、国立情報学研究所(NII)が人工知能に受験させて東大合格点を叩き出そうというプロジェクトである。現在は全国の69%の大学で合格可能性80%以上と判定されているが、昨年から点数が伸び悩み現在のアプローチじゃとどかないと諦念したそうな。

 

求められる人材像

テストはなんのためにおこなわれるか?一般には機能や性能を評価するためにおこなわれる。
では大学入試テストは入学者にどのような資質を求めての試験なのか?

 

高度経済成長期において、日本の大学は人材のQA(クオリティアシュアランス)、品質保証の役割を担ってきた。
ベルトコンベアが発明された以降、規模の経済がよく効く時代には、決められた手順で決められたことをこなすことができる人材。期待される回答に素早く応じることができること。企業が求める人材像はそのようなものであった。試験が難しい大学にはより高い品質保証がされた学生が存在する可能性が高い。

オートメーション化がすすみ大型装置産業から主体が移ると、一部の価値創造ができる人とその他大勢のための対人領域がのこされた。重要価値はコミュニケーション能力である。AO入試が機能しはじめた。

 

大学の数と役割

第二次大戦終了時には50もなかった大学が現在は国内で775、世界では1万以上もあるという。

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www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kouritsu/
つまらない言い方をすると、大学は学生の人材QAとしての場であるとともに、不採算な学術分野の研究人材を囲っておく場でもある。先行する英米上位校では、奨学金をとれるほどのめちゃめちゃ頭のいい子と、オツムはスカタンだけど年間数百万もの授業料を払うことができる経済力をもつご子息のマッチングさせる場などにもなってきているようだ。
大学がもし勉学の場であるならば、25歳以上の社会人の学士入学などはもっと多くていいはずだ。
日本は2%しかないので、勉学の場ではない。Q.E.D. 証明終了。

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クリックして1311624_8.pdfにアクセス

大学で何かを学んだなんていうことはさして期待もされていないし、機能もしていない。社会人が使えるような知識は集積できていない。

 

なぜ東ロボくんは東大を諦めるのか

良いテストかどうかをみわける指標は次の3つであるという。

  • 信頼性:同じ人が同じような問題で何回でも同じような点数が取れるかどうか
  • 妥当性:用いる評価方法が測定対象となる能力や行動を測定できているか
  • 客観性:採点者間による結果の一致性。採点者が変わっても結果が同じかどうか

日本の入学試験が測定したい能力ってそんなんでいいのかねという妥当性に疑問を覚えはするけれども、ペーパー試験の信頼性、客観性は高いんじゃないかな。その客観性、信頼性が高いペーパーテストで東ロボくんは国語や英語の偏差値が低い。AIでは文章理解に難があるからだという。
文書解釈、認知には読み手側と書き手側の共通知、暗黙知に頼っている。「常識」が占める割合が多い。

ほとんどの文章が不完全情報なので読み手の感受性によってどのような解釈になってもおかしくないはずであるが、文章外にある文化的なコンテクストで、それを解釈する必要がある。問題によって、本文の含蓄する情報の重み付けが変わる。

受験の国語なんかは問題文と選択肢だけ読んで出現語彙のパターン解析したら本文とか読解できなくても正解だしたほうが正答率高くなるんじゃないかと思うんだけどどうだろう。そういうバットノウハウ、テクニック的なもので突破するのは是としなかったのかな?

出題者の意図を察して応えてねという、回答者の善意によるおやくそくにより成り立っているだけにすぎないのだと思う。文章が読めてないのではなく、空気が読めてないのだ。

 

人工知能にも解けるように、その文章問題を論理記述して整理したら逆に問題の客観性の部分で問題がみえてくるとおもう。文章問題の正誤答率なんて、If条件文の評価の書き方が誤読を誘発しやすいように、条件式が複雑化して難読化されているにすぎないのではないか。フールプルーフじゃなぁいんだよ。ネットショップでそんな商品説明したら、誤読されて意図しない注文続出だよね。「正しい答え」と「多くの人が答えそうな答え」が別れている時点で、ちょっと妥当性どうかなと思うんだよね。
「文章を読んで答えなさい」は「文章を読んで(出題者が期待するものを)答えなさい」で、読むのは文章じゃなくて空気。

 

もし「東」ロボくんじゃなくて「京」ロボくんだったら、「tan1°は有理数であるか?」とかの問題を解かなきゃいけないわけで、俺が開発者だっったらちょっと諦めようってなるのはわかるけど、AIでもフルスコアとれるまでいってほしかったなー。

だって、こういうブログの文章だって、人間よりさきに検索エンジンのクローラーによって拾われて解析されちゃう時代なんだから、人間が書く文章の評価は先にAIがおこなうようになる時代がくる。AIによって受験問題も客観性、妥当性、信頼性を担保される。

 

文章を読めるAIがつくれるかではなく、AIが読める文章を書けるかということに重きがおかれるようになる。

AIで読める文章とそうでない文章では、文章が持つ価値が変わる。だって自動翻訳にもかけられないんだぜ?

そんな時代になったら、美しい文章の意味も変わるんだろうね。

 

 

参考

AIで東大合格断念 「東ロボくん」偏差値伸びず
www.nikkei.com/article/DGXLASDG14HI5_U6A111C1CR8000/
AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?
bylines.news.yahoo.co.jp/yuasamakoto/20161114-00064079/

 

衆議院議員 河野太郎公式サイト 研究者の皆様へ

研究者の皆様へ

 

ロボットは東大に入れるか Todai Robot Project
21robot.org/

 


地方創生とresas ハッカソン


東京で考える地方創生!RESAS API ハッカソンに参加した。2016/11/06(日)と11/13(日)の二日間の09:30 ~ 21:30とちょっとなかなかにスケジューリングが難しい日程。
ハッカソンは年一ミュージックハッカソンしか参加してこなかったのでこの手のハッカソンは初めて。エンジニア、デザイナー、プランナーの3枠での応募だったので、しれっとプランナー枠で応募した。ハッカソンでいつもいて困るのが手を動かしてくれない言うだけ番長なプランナーなので・・・。

 

イベントの様子などはtogetterなどでもまとまっている。
togetter.com/li/1046920
togetter.com/li/1048212

 

出身地ごとにテーブルわけされて、東京出身(?)が3人しかいなかったので、福岡の3人と合同のテーブルでアイディアソン。
アイディアソンと言っても外に飯を食いにいったりする昼メシ時間(おまえら外で飯くってこいと放流w)いれて60分ぐらいしかなかったので、各自の問題意識を共有するアイスブレイクがてらの雑談で終了。最期の5分ぐらいで各人がアイディアを書き出したA4紙ペラ1枚をテーブルに並べ、参加者全員がそれぞれのテーブルを巡る形でそれを評価。

 

で、各テーブルごとに評価が高かった人のアイディアでチームビルド。
まさか、その紙をもとにチームビルディングまでするとは思ってもなかったのだけど、自分のアイディアも選ばれたので3人のチーム「外閣府」をビルド。

 

で、どんな課題に取り組んだかっちゅうと、

 

  • 東京にあるが、三鷹市や武蔵野市は地方自治体なので「地方」
  • 税収が歳出を上回る自治体なので地方交付税不交付団体
  • もし地方創生が成功したとすれば、その自治体は三鷹市や武蔵野市のようになる
  • でも、三鷹や武蔵野だって課題を多く抱えていて商店街とか町内会とかはピンチ
  • 地域団体のローカルインフラに無自覚にフリーライドしていて維持限界に近い
  • 私的な投資と公的な投資の間にある共的な投資を見える化する必要がある

ちゅうようなもの。

ちょい理論の飛躍があるけどご愛嬌。
で、実際データを調べてみたんだけど、そんなローカルインフラのオープンデータないんだよね。
例えば商店街の街路灯は築何年のが何本で簿価価値が幾らとか、そんな情報は纏まってはないんだよ・・・。

 
街路灯の電気代とかは8割ぐらいは自治体から補助がでるので、自治体が公表している財政情報の細目から拾えないかとか、助成金などから逆算して推計しようかなとも考えたのだけれども、自治体ごとに助成額違うし地方の町内会によっちゃ自分たちの会計で橋を掛けたり、農道引いたりするところもあるだろうし、そういう独自会計は表にはでてこない。

新豊洲市場みたいな大きなハコモノですら、結局は市場会計で東京都の簿価には乗らない大きな投資がされているわけなじゃない。ああいう規模ですら拾えないんだからちょっと、町内会レベルの積算は難しいねと・・・。

 
じゃぁ、どこからその「地域の価値」を推計したらいいのか?
ローカルインフラや文化資本などが醸成されれば、最終的には「住みやすさ」や「商売のしやすさ」に繋がって、その結果税収に現れるんじゃないかという初期仮説を建てたのね。で、税収という軸と、もうひとつの切り口に置いたのが大都市との距離。

 

 

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日本の自治体のうち総税収が上位5%に相当する都市を青の◆でプロットしています。
一応、こっちで動くやつ版も公開しているけど、中身はハッカソンでつくったやつだから色々許してね。

kuippa.com/sandbox/resas/

 
で、赤丸はその自治体の一人あたり税収の規模を表してます。

zu2
地図でみると大都市から遠いけれども赤丸が異常にでかいところがいくつかあって、なんだろうと見てみるとだいたい原発とか発電所がある町村なのね。玄海とか伊方とか。
でも、そうじゃないところもちゃんとあって、そういう地域こそが地方創生のヒントになるんだと思います。

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例えば、この奥飛騨の周りに何もなさそうなところにも関わらず、福井の原発がある自治体と同程度の一人あたり税収を誇っているところがあるけど、これは合掌造り集落で世界遺産にも登録されている白川郷がある自治体です。

まさにレガシーを残せている地方自治体で、有形無形とわずその自治体に価値形成に成功していることが税収からもみてとれるわけです。

 
そこからさらに東に進むと、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所の大きな赤丸自治体の南側、決してアクセスのよくない福島内陸や群馬にも赤丸があることがわかる。

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これが何かと調べてみると

 

  • 檜枝岐村 (尾瀬、日本一人口密度が低い自治体)
  • 湯沢(スキー場、温泉)
  • 草津(温泉)
  • 軽井沢(別荘地)
  • 上野村(上野ダム・群馬県内で人口密度が低い自治体)

というようになっている。なるほどという感じ。

 
その地域に魅力があってそれを全国に発信するだけでなく、保全に成功していたり、軽井沢などは明治以降人造の避暑地としてのブランディング(のれん)資産の継承に成功している地域。

 

過疎地にダムや発電所のような巨大インフラがあり税収が跳ね上がっているのは、すべての都市が目指すべき地方創生ではないけれども、そうじゃないのもちゃんとあるよと。ちなみに地図はクリックでその自治体名が表示され、testボタンを押すとconsoleウインドウにwikipediaのその自治体の情報が表示されます。・・・まにあわなかったんだ。

 

さらに東京近郊をみてる。

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日本の地方と東京でおきていることの縮図は、東京近郊でも如実に見て取ることができる。

 

23区は区税ではなく都税としてまとめられているので一人あたりでみたときは「東京市」というくくりになるのはご留意願いたい。これを見るとわかるが、大都市に近く、物理的には距離が近くても、ストロー効果により、より魅力的な地域に吸い上げられてしまっているのも見て取れる。

 
これはもしかしたら電車や道路などの交通の便や、区画整理がなされておらず低層密集住宅地となっているなどあるかもしれないが、人の流動性が首都圏はことさら高いためにその影響はより増大されたものになっているように感じる。

便利なところはより便利に、住みやすいところはより住みやすく。商売しやすいところはより商売しやすくというポジティブフィードバックが短い間隔で繰り返される。また、ブロークンウインドウ(割れ窓理論)のように、ささいな破綻から、ネガティブフィードバックが発生してしまい商売がやり辛くなり、不便になり、治安が悪化し、家賃が低下しの短いスパンでの繰り返し。落書きをその地域の誰かが消してくれているとか、捨てられたゴミを誰かが片付けているかとか、そういう入り口でだれかが地域に労力を投資してくれている蓄積が地域力。

 

 

深刻だなぁと感じたのは仙台以北の北陸である。

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大都市に類する都市がそもそも無く、大規模経済圏との物理的距離も遠い上、経済的距離も遠い。

秋田や盛岡、八戸あたりに大都市があれば、それにつられて改善があるかもしれないが、いずれにしろこのままじゃまずい。長期戦略的な投資が必要だ。もしかしたら雪によるものかもしれないが、継承可能な資産の蓄積と継承に失敗しているように見受けられる。

 

 

次の地図は実際の物理距離と経済距離を比較したものである。

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赤い自治体は、大都市圏と物理空間距離は近い状態にあるにもかかわらず同程度の距離にある他自治体と比較して、期待されるような税収があがっていない自治体である。つまり実距離よりも経済距離が遠いことを意味する。緑の自治体は同程度の物理距離にあるにもかかわらず期待税収を上回る自治体。つまり経済距離が近い自治体だ。

例えば三重県の山間部にあるような自治体は赤くなっている。これは大阪や京都、愛知などが直線距離としては近くにあるが、実際の移動時間や高低差移動により、経済距離が遠くなっているためだと考えられる。直線距離が40kmでも、実際の距離は大都市から80km離れているのに相当していることを表している。

しかし、これは物理距離ではなく経済距離であるのだから悲観する必要はないと思う。経済距離は縮めることができるものだ。江戸時代。都市は街道添いに徒歩で一泊目のところに宿場町が形成されることで形成されてきたが、やがて明治になり鉄道物流の時代になり要所が変わった。そして現在はトラック物流の時代だ。トラックはコンテナに雪を積もらせたまま築地に海産物を運び込んでいる。

 
将来、大型無人ドローンによる空送や、コンテナ型無人無気動車が技術革新で主流になれば、流通拠点の距離間隔や重要度は三度変わる。

川や山があったためにトンネルを掘削したり橋をかけたりする地域を流通に組み込むには、いままでは経済的合理性がなかった。それが経済距離として現れている。しかし流通の形態がかわれば、その経済距離は変わるかもしれないのだ。リニアモーターカーを誘致しなくても、いまからできることは多くある。高速道路やトンネル、橋梁という維持保守費用がかかる列島改造に大型投資してきたが、モジュール小型化する現代、そのような重厚長大からのシフトも念頭において、きちんと準備をして選択して投資をすれば浮揚の目もあるはずだ。

 

  • 無人ドローンによる航空貨物専用地方空港
  • 自動で集荷や分荷ができる倉庫
  • 自動走行車車両の専用の市道
  • 町会単位での宅配ポスト
  • 個配用のドローン
  • 急ぎじゃない重量物の無人の帆船物流

 

自治体は引っ越すことができないのだから、ある場所で栄えるか衰退するしかない。
近隣に大都市になってもらうという他力本願もあるだろうが、自助努力としては大都市との経済的距離を縮めるしかない。
技術革新を前提として正面から計画的に取り組めばそれも可能であると思う。
もし、地方過疎化が深刻な地域が次の技術革新をも取り逃すのなら、ごめん、ま、あと100年ぐらいは寝ててちょ。

 
さて、これらの図の元になったデータ解析のテクニカルな話。

これは税収と、経済距離の散布図。

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経済距離は、日本の税収上位5%の大都市のうち、物理距離がもっとも近い5つの都市との平均距離とした。
上位平均になっているのは、こうしないと沖縄とか北海道で遠くなってしまうので。

 

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近似曲線は手でなんとなくひいた。許して。
例えば、「A」岡山県倉敷市は近隣の大都市への平均距離は35.79Kmであるにもかかわらず、税収は9.71Kmの西宮市と同規模。つまり、-26Km分の物理距離を埋める正のレガシーがあるのではないかということ。

 

逆に「B」千葉県酒々井町(「しすいまち」成田市のとなり)は、大都市からの空間平均距離34.79Kmのところにあるが、税収は271Km離れた鹿児島県屋久島町と255Km離れた東京都八丈町と同水準しかない。+220Km分、経済圏を遠ざけているなんらかの負のレガシーがあることのではないかという示唆を含んでいる。

 

もっともこちらは、自治体の税収に応じてしまっているので、自治体の規模を粒度に据えていない。
最初の一人あたり税収の赤丸図と併せて勘案しなければいけないが、自分の自治体が周辺ロケーション的には恵まれているのにそれを活かしきれているかいないか、そういう考察に使えればと思う。

 

 

・・・ちゅうようなことを3分で成果発表した。

文章にしても伝えきれてない気がするけど通じたかな?

 

 

 

 
余談だけど、こことここになんか崖があるね?

なんだろう?本州と北海道と離島かな?

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ここにも何かムラ、溝があるように見える。

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こっちは、これ以上税収が伸びると交付税がもらえなくなるからとか、そういう作為が作用した偏りかなぁ?
なんだろう??こういうのを調べたらおもしろそうだけどね。

 
まあ、そんなわけで、地方創生できるといいよね。

 

 

最初の地図でarcGISのAPI for javascript 4.1を使わせてもらったので、Esriさん賞を非公式受賞したよ。
公式スポンサーじゃないので非公式w

 
おつかれさまでした!