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  • サマータイムやるくらいなら和時計復活させてパニクろう

    アイディア社長が会社を潰すとは昔しから言われている格言。

    政治家なのか、官僚主導なのかはわからんけれども、サマータイムとか、軽減税率とかを思いつきなのか、思い込みなのか、勘なのかわからん論拠で導入しようとするのは何故なんだろうか。愚かしいにもほどがある。思いつきで度量衡、統治の根幹にかかわる部分を動かせば国が潰れるというのに。

    最近は制作決定の現場にもエビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングって言葉が出てきたそうだ。いいことだと思う。エビデンスベース(根拠に基づいた)はIT界隈だとバグフィクス(障害を取り除く)だったり、なぜそのような設計にしたのかと言明することができるための基本となるものである。

    ここ10年ぐらいは教育設計の現場でもエビデンス・ベースド・ラーニングとか言われるようになった。教育についてはほとんどの人間が実体験というエピソードを持っているため、あーじゃねぇこーじゃねぇ言いやすいし言われやすい。だから、かならず根拠に基づいた議論が必要になる。逆にエビデンスも持たねぇ主張はただの体験談披露でしかないので相手にしなくていいとまで言われている。

    日本の政策決定は悲劇的なエピソードや、体験をもとに都合のいいデータをチェリーピックをして一律悉皆に適用してしまっうことがままある。100人に一人の悲劇なのか10万人に一人の悲劇なのかを無視して、センセーショナルさを利用して全体設計にまで手を伸ばして変更するのは、うまくいっている部分までをぶち壊す可能性がある。エビデンスがないために穴を塞ぐことで対応すべき類の問題と全体問題の切り分けができないのだ。エビデンス?ねぇようんなもんみたいな流言飛語でことをすすめてはならんっちゅうのに。

    「政治がエビデンスベースドではなくエピソードベースドになってしまっている」という趣旨のことをネット動画番組の中で言っている議員さんがいたが(自民党の平将明議員だったかな)、まぁ、そのとおりだなと思う。

     

    エビデンスベースドから、さらに現代的な開発手法になると、テスト・ファーストという考え方になる。政治でいえば特区とかレギュラトリーサンドボックスにあたるのだろうか?テストをしなければエビデンス(証拠)を積めないのだから、肝要なところでは必ずテストを実行してその結果に基づいて設計をするのは当然のことである。ちなみにサンドボックス開発もIT界隈が発信の言葉だとおもう。

    テストもせず並行稼動もせずに全国一律悉皆に一括リプレイスを試みるのは蛮勇ですらない。

     

     

    サマータイム

    さて、サマータイムについてである。

    ヴァぁぁっっあああああかぁぁああじゃやねぇええええのおおぉおぉ!!!??ああぁあぁん!!?

     

    EUがここに着てサマータイムの廃止を検討しようかというタイミングで、日本でオリンピックを契機にサマータイムを導入しようとかいう話しがあがっているそうだ。

    重ねていうが、ホント馬っっ鹿じゃねぇの!?

    コンピューター・システム界隈の導入の困難さは改めて言うまでもないレベルで困難であることはもう言い尽くされていると思うが、普通にこれを進めようとする人の中で、サマータイムに切り替える現場経験を持つ人やサマータイムが便利だというエピソードでもいいから体験を持っている人はどれだけいるのだろうか?

    経験・勘に基づいているならまだいいが、経験すらない人が海外ではサマータイムがあるらしいぞ、省エネになるかもしれないぞ程度の聞きかじりと思いつきで言い出しているだけにしか見えない。軽減税率は経済が低迷、崩壊するぐらいだがサマータイムのような無邪気な改暦は統治のシステムが崩壊する程度に愚かなことだとおもう。

    親が比較的高緯度の国で赴任していたので、そちらの国に行った折、サマータイム変更のために家の時計を変えたりする役目を負ったりしたのだが、本当、めんどくさい。サマータイムが従来あるような地域ですら、めんどくいのぅと思う程度にめんどい。サマータイム切り替えボタンもない日本では家庭も企業も耐えられる気がしない。俺も耐えられない。

     

    時を進めるのはともかく、戻したりするのが困難な時計はおおい。日付をあわせるために一年分まわさなきゃいけないやつとか。また内部時計など表面に見えない時計や、おまえ、こんなところに時計もってたんか!!というものが山程あるのだ。

     

    家庭で考えてみる。

    部屋ごとにある置き時計や掛け時計、身につけるタイプの腕時計。最近だと冷蔵庫やキッチンタイマー、コーヒーメーカー、給湯ポット、給湯設備、電子レンジにも時刻表示はついているし、オーディオコンポなどにもついている。ウォシュレットはどうだろう?あれも冬場は便座を温める時間を調整したりしているので時計がついているものがある。留守番電話機能付きの固定電話とか、エアコンのリモコンとかが電池の数、コンセントの数だけあるのだ。PCやテレビは最近のはNTPに対応しているから対応しなくてもいいかもしれないが、そんなものはごく少数だ。ぜひ、サマータイムやってもいいかなと思う人は身の回りの時計だけでもいいので数えてみてほしい。

    これらの時計を実際に一時間すすめて、戻してみればいい。時間の合わせ方なんて買った時にマニュアルを見てやって以来やってなかったものが年二回×時計の数だけくるのである。とてもじゃないけれども、やってられん。

     

    事業所だとこれに、レジスターだの社用車だのIT界隈のみんなが心配しているコンピューターシステム界隈がかかわってくる。そもそも日本が大好きな帳票系のシステムでサマータイムに対応しているものは無いはずである。もし、時刻を表示しているレシートなどのデザインにSTとかを表示する余裕をもってデザインされているものがあれば教えてほしいぐらいだ。表示系だけ切り分けて実装がするのが一番手数すくないとおもうけれども、どこかの誰かさんがいうように、数行なんかで済むわけがない。まちがいなく、ソフトでもハードでも対応できず運用でカバーしてくださいとかいう意味のわからない現場負担になる。

    まだある、ローカルインフラだと街路灯とか防犯カメラとかの時刻物理でだれが合わせるんだよ??

    本当、現場勘のないやつがあげる狼煙は信じられないものがある。なんでテストもせずに全体デプロイしようとするのか。バカジャネーノのダルセーニョ。

     

    太陰暦と不定時法

    明治政府がグレゴリオ暦に改暦したのは明治5年のこと。財政に貧した明治政府が一ヶ月分の給料をケチるためにやっただとかなんだとか、諸説あるが導入まで1月で改暦をおこなったために社会的に大混乱したのは歴史上間違いない。

    それまで日本は幕府の天文方が太陰太陽暦を定めていた。

    月の満ち欠けは万人が時計をもたない中世、古代において、誰でも夜空を見上げればわかる暦である。

    また農業をするにも漁をするにも、潮汐は害虫の発生や産卵のタイミングが関係するので、生活に必要でかつ重要なものであった。

    ただ、月の満ち欠けでは地球の1年の公転周期とズレが発生するため、1年を正確なものとする閏月の挿入による調整が必要であったというわけだ。これは天文方などにより計算され調整されてきた。

    現在の歴も、ひと月が28日だったり31日だったりするが昔しの皇帝が誕生月だから日にちを増やせとかやられたいいかげんなもんである。28日×13ヶ月にしておけば364日なのだから正月の1日で一年の補正できるのに13ヶ月にしないのは単に宗教的な理由かな?

     

    さて、日本は暦だけでなく時刻の考え方も現代とは異なるものであった。

    時代劇や落語の時そばなどでも「いま何時だい?」のように、江戸時代以前の時刻の考え方と現代の時刻の有り様が違うものであったと薄々気がついていても、具体的にどのように違うのかを詳しく知っている人は少ないかもしれない。和時計について学校で習ったという人もいるが、自分は習った記憶はない。

    日本の時刻のほうはもっと独特で、正午の9からはじまって8、7、6、5、4と減って、午前の9つとなり、また8、7、6、5、4となる。まさかの for(i=9;i=>4;i–)  デクリメントだ。

     

    一日を昼と夜のふたつにわけ、それぞれを6刻にわける。暮六つは日が沈む時刻、明け六つは太陽が登る時刻に決まっている。つまり、夏と冬とでは一時間の長さは現在の定時法からみると異なるのである。

    太陽が出てる時刻を6等分して時刻とするものであるのだから、まさにこれが日本版サマータイムというべきものである。冬は時が経つのが早いというが、物理で早いのだ。

    日の出や夕暮れに寺が鐘を鳴らして知らせる時刻であるから、正午を強調して鐘で時刻を伝えるにはこれがフェイルセーフなのかもしれない。9始まりのデクリメントで時刻を数え、しかも、一刻の長さが違う。ちょっとSI単位系もまっつぁおな難解さがあるかもね。ここらへんなんでこうなったのか詳しく知らないのでいろいろ見てみたが、和時計についてしっかり書かれてるサイトでも、そこまでは書かれていなかった。

    http://www.jcwa.or.jp/etc/wadokei.html

     

    現代の科学技術からみても春分・夏至・秋分・冬至で一日の時刻がかわるような不定時法を時計として実装するのはとてつもなく大変なことだ。この和時計を機械で作ったことで有名なのは、からくり儀衛門と呼ばれた、後の東芝の創業者でもある田中久重である。

    http://toshiba-mirai-kagakukan.jp/learn/history/toshiba_history/clock/project/skill_j.htm

    その土地々に根付いた暦に基づいて活動するというのは、数千年の生命の生体リズムを考えると、もしかしたら必要なことなのかもしれないと思う。自律神経的な意味だったり、生殖活動だったり、万年発情期といえども人間も生き物なので潮汐にはかなり影響をされるはずだ。和暦を取り戻すと、地震や天候のような地球科学などにも大きな発見があるんじゃなかろうかとも思う。

     

    白夜に近く夜中まで明るい高緯度の国の文化を、沖縄と北海道で2時間も日の出の時刻が違う日本に適用するのは本当ナンセンスだと思う。そんなのをやるぐらいなら、東と西でタイムゾーン分けなよ。とか、官公庁だけ始業時間就業時間変えればいいじゃないとか。どこかの実証実験特区でサマータイム導入してどのような効果があるのか確認するのが先でしょうがと思う。

    時刻が周りとずれるから駄目とか、そういう言い訳があるのだとしたら、それは一斉転換でも同じ混乱がおきるのだから、よい実証になるよね。

     

    日本でサマータイムやるぐらいなら、いっそ和時計復活でもさせなよ!と火を吐いたら、「冬場と夏場の3分でカップラーメン伸びちゃうじゃんか」と言われた。あぁ、そうかも。でも、ま、暦をいじるっていうのはそういうことだから。

     

    ・・・。
    もしかしたら、冬場はお湯の温度が冷めやすいから、冬の抽出時間を長くするために昔しの人は考えてのこと・・・とか考えたけれども、そもそも昼と夜で秒数が変わるからそんなこともねぇか。

     

    余談

    自分が生まれる前のはなしだが祖父は時計屋をやっていた。太宰治とかがお客さんだったらしい。

    金細工職人だったのだが、公家とか皇族が相手だったので戦後は商売ができなくなり時計屋になったと聞いた。現SEIKOの服部時計店とかに一族はjoin inしたのだとかなんだとか。なんとなく和時計とかでてこないかなーと期待してお店を漁ったこともあるが、柱時計がいくつかあっただけだった。

     

  • 違法マイニングとされたcoinhiveの法と技術のはなし

    情けなさ過ぎてちょっまじかよっ!?と思う事件があったので、ちょっと真面目に書いとかないといけない気分になっている。日本は法治国家として中世だの、情治国家と揶揄されるが、ほんと程度がひどくなっている。

    自身が管理するWEBサイトに、Coinhiveなるマイニングツールを設置した複数のサイト運営者が、不正指令電磁的記録に関する罪(通称ウイルス作成罪)の容疑で16名ほどが相次いで摘発されているそうだ。もしかしたらまだ増えるかもしれない。

    マイニングツールをアフェリエイト広告気分でサイトに埋め込むのには、個人的には反対だけれども、だからといって公権力が設置者の身柄を拘束するなんて何考えているのかわからないぐらいとんでもない話しだ。

    警察や検察などの介入で国民の財産権や人権を制限する場合、厳密に法律に規定されていることで運用されるべきで、法に触れる可能性があるかもしれないというようなあやふやな態度でその行使をおこなうなんてことはあってはならない。罪刑法定主義の原則は厳に守られるべきだ。

    法律と技術の観点でつらつら書く。

     

    法そのものの制度疲労

    日本の法体系は大陸法とよばれるやっていいことが書かれている許認可制度、ホワイトリスト方式だ。ひるがえって英米法では、やっちゃだめなことが書かれているブラックリスト方式。

     

    どちらも一長一短があるのだが、日本の法体系の問題点をあげるなら、新しいことができないこと。

    再生医療のような新しい技術が登場しても、それが法で規定されるまで時間がかかるし、いちど成立してしまった許認可発行権はそののち既得権益になってしまうので侵すことができなくなるのが難点だ。

    まだ発明もされていない技術や発明を予見して法律で用意しておくことはできない。だから、どうしても技術がある程度普及し工業規格などができてから、今更なタイミングで法律が成立したりする。

    法にかかれていないことはやっちゃダメというスタンスのもとだと、新しいことはたいていはやっちゃだめなことで、もしやったとしてもなにかしらの法律で絡め取って違法状態に据えることができる。例えば最近話題の民泊新法の前は、民泊は旅館業法に触れるとか、建築基準法だとか、消防法だとか、まあ、とにかくなんらかの角度でいろんな監督省庁からケチはつけられるのが今の日本。

    民法の改正なんて120年ぶりなのだから、情報技術なんていう新しいポット出のジャンルに対応できるようになっているわけがない。あと240年ぐらいかかっても驚きやしないだろう。

     

    世に言う岩盤規制

    法に触れないでなにかをしようとした場合は前例踏襲的にならざるを得ない。法が通してくれた道の上を歩く時のみ我々は適法に存在することができる。ホワイトリストにつけられた但し書きは増える一方だ。リファクタリング(構造の再構築)もできなくなってお互いに矛盾したままデッドロックしたり循環参照しているような法律がいくつもあり、片方の法の規定どおりに運用すると別の法律に違反することになるような既存不適格に挟まれながら、生活や業務がまわされている。

    論理的にはやっていいことの悉皆列挙なんてできやしない。だから、監督官庁の通達や裁判所の判例などが実質法として隙間を埋める。

    ここで勘違いが生まれたのか「社会的コンセンサスがとれている状況ではないから」というような曖昧な不文律で家宅捜索や逮捕がおこなわれるようになってきた。こんなことは罪刑法定主義の原理原則に反する。逮捕が先にきて法律がついてくるのではなく、法律での規定が先だ。

    順番を間違えちゃならねぇよ。

    近代法治国家と言うのがもう恥ずかしいレベルのことが平気でおこなわれるのに恐怖を覚える。

     

    逮捕と代用監獄

    捜査官や担当検察官や判事も人間なので間違ってしまうことぐらいはあるだろう。だけれども刑事補償法が抑留・拘禁1日当たり1,000円以上12,500円以下っていうのは、大人に対する保証の額じゃないよね・・・。

    桁が2つぐらい違うんじゃないかな。個人事業主がイレギュラーに一日とか拘束されたら一日10万の営業保証でも難しいでしょう。代用監獄なんてもっての他。ほんとなんとかしたほうがいいと思うよ。

     

    不正指令電磁的記録に関する罪

    今回の不法マイニングなるものがなんの法に触れるかというと、ウイルス作成罪になるのだそうな。閲覧者の意図しないプログラムの実行があったという理路だと考えられる。

    1.人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
    2.前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録

    ウェブサイトを表示させたいというユーザーの意図があり、それに対しマイニングの処理でユーザーのCPUを使うのは使用者の意図に反する動作ということなのだろう。だが、その建て付けでいくと、サイトを提供するにあたり経済的な合理からマイニングが必要なことであると於けば、サイト表示の処理の一環であることを否定するのは難しいんじゃなかろうか?

    例えば同じようなものにWEB広告やそれらの広告を表示するためにcookieなどのセッション情報の取得や送信がおこなわれていたり、結果として動画や音声などが再生されたりする。youtubeの動画を見てて割り込まれる広告動画はユーザーの意図に反するもののはずだ。しかし、WEB広告は社会的にコンセンサスを得ているからオッケーで、マイニングはだめというのはただのダブルスタンダードでしかない。

     

    Librahack事件再び

    かつてLibrahack事件(岡崎市立中央図書館事件)では、しょぼすぎる公共図書館のシステムを便利に利用しようと比較的礼儀正しい自作クローラーを作成したところ、相手の市立図書館がシステムが想像を絶するしょぼさでぶっ壊れてしまったため逮捕にいたるというとても痛ましい事件が2010年ごろあった。

    今回の事件はそれに相当するレベルのお粗末なお話しのようにみえる。プログラムの処理速度は常識的なものから過負荷をあたえるものにまで調整することができる。クラッシュなどを目的とした悪意があるものと、悪意はないけれども過失として過負荷をあたえてしまうものがあるが、負荷の度合いについてはそんなものは作成者や設定者のさじ加減次第でしかない。

    略式起訴された人の報告ブログによれば、取り調べの過程で「反省しています」などと言わさせられたと書いているが、これは犯意を立証するのに必要な要件なのだろう。

     

    マイニングは動画広告などと比較してCPUの使用量はどうなのか?そういう定量的な比較調査を抜きに今回のケースを判断するのはナンセンスだ。

    サイト上に法定処理速度なるものがあって制限速度をオーバーしたのでスピード違反として取締りをしている感じ。でもそんな法律はないよね。だから、法律にのっとって取り締まってね。

    法律にもないことで身体の自由を奪ったりしちゃだめだよ・・・。何やってるの!???

     

     

    技術的な負荷の問題

    パフォーマンス測定はおそらくそう遠くないうちにセキュリティ界隈なギークな子達がやってくれるだろうからおまかせするとして、もしかしたらと思ったのが、捜査などに入った技官のJavaScriptなどへの理解がECMAScript6以前で止まっているのかもしれないななどと思った。

    2015年のECMAScript6、特に2017以降は非同期関数 (async/await)が実装されたわけだけれども、これのおかげでsleepとかDoEvents書き忘れた無限ループなプログラムのように、処理に制御をもっていかれっぱなしになることがなくなった。JavaScriptレベルが並列の非同期処理を書けるようになったことで、よっぽど下手な書き方をしないかぎり、負荷の度合いを下げ、かなり上品にかけるようになっているはずである。

    非同期処理ができることを知らなくて、サイトの閲覧にマイニング用のJsなんか埋め込まれたらハングってしまうじゃないか!という技術判断がIE6ぐらいを使っている人が判断しているのだとしたらそれもまたいたし方ないことなのかもしれない。

    ウイルスバスターを提供しているトレンドマイクロのセキュリティブログによれば、coinhiveをベースとしたお行儀の悪い亜種スクリプトも出回ってはいるようだ。だが、それでもその脅威カテゴリはグレイウェアでしかない。いったい、どんな捜査をしたんだろうか。うん。やっぱり本当によくわからない。

    競合サイト潰すためとかに被害通報して、それに警察が釣られたのかな?

    最近はマルチコアじゃないPCとかノートとかあまりないと思うので、サイトのJsで応答がなくなるほど制御がもっていかれるなんてことはまずないと思うけれども、先のしょぼすぎる問題のように担当者が10数年落ちのマシンとかを使わされていた場合、まあなんていうか重たくなったとか感じるかもしれないよね。

     

    まあなんていうかだめだよね。まったくだめ。

    まだ、資金決済法とか仮想通貨法に触れたとかのほうが、そうかもしれないなとか思うかもしれない。

     

     

    追記

    その後の報道のされ方などをみると、パソコンが遠隔操作され不正にマイニングされたとする報道があった。

    オンラインゲームを有利に進められるよう改ざんしたプログラムの中に、仮想通貨を得られるソフトを組み込み

    なるほど、説明に騙りがあった場合はマルウエアかもしれない。これが摘発されるのはわかる。

    他方webサイトというのはユーザーがサーバー側にリクエストを投げて取得して、それをユーザー側のブラウザに持ってきて実行するものだ。そもそもが、クライアントサイドスクリプトと呼ばれるものなので、クライアント側で動くもので技術的に遠隔操作と呼ばれるたぐいのものではない。

    ウイルスを潜伏して悪さをするという定義におけば、オプトインをとらないマイニングスクリプトは確かに視認できる状態になく暗黙的で許可を得ていない状態といえるのかもしれない。が、技術的にこれが潜伏して状態かというと、これはしていないと言える。

    技術的にはそれを実行してくださいというリクエストを投げているのはユーザー側でそれを実行するのもユーザーなのである。無理強いされ送りつけられたわけでも、遠隔操作され実行されたわけでもない。

    その応答をブラウザ任せにしているオートマだから気が付けないだけで、手動でやればマニュアルで蹴ったり、ルーターで予めそこへのアクセスを拒否しておくこともできる。実行前の段階で自分がリクエストをだすかはわかる状態にあり、実行にも自分の意思の介在余地があるわけだ。同意できなければそっとページを閉じればそれで関係も終わりになる。

    広告ネットワーク経由でこれらを改ざんしたお行儀の悪いスクリプトを埋め込まれたり、サイト改ざんや、コメント欄でjsを実行できる状態だったりするだけでマネタイズができてしまうので、将来悪用されたり、この技術を利用し悪意を持った振る舞いをする人たちは多くでるだろう。マナーの問題もある。だが、それと自身の管理するサイトに設置するのとではまるで問題が別で、はたまたそれが逮捕要件になってしまうのは本当情けない限りである。

     

    CPU使用状況をみてみる

    人任せにしないでちょっと低スペなwindows10マシン(数年前のNEC製量販品ノートLaVie)でCPU使用率をみてみることにした。

    @satoruさんのサイトでCPU50%でcoinhiveをぶんまわした図。javascriptでもCPUのアクセス率をスタックするまで食うことなく、設置者の任意の指定でそれを設置できることがわかる。問題はこの使用率がサイトを閲覧中はずっと続くことだが、お行儀よく実装するならオプトイン用の確認画面や、設置していることを明示するバナー。滞在時間でタイムアウトとかを設けたほうがいいかもしれない。

     

    こちらはcoinhiveの件を報道する毎日新聞社のニュースページのCPU可動遷移率。(参考の欄にURL)

     

    こちらは同じく朝日新聞(ログインしない状態で)の閲覧状況。(参考の欄にURL)

     

    こちらはNHK。広告がないのでCPUはあまり使用していないことがわかる。(参考の欄にURL)

     

    広告ベースで成り立っているサイトのCPUは新聞社のニュースサイトでさえこの程度のパワーを食っている。(アクセスごとにプレーンな環境で観測したわけではないので、スレッド数とかは積算。)通信帯域を考えれば動画や画像のほうが、故障率がどうこうと言うならばファイルI/O分ある分あがるだろう。一般的な動画広告が流れるようなページはもっとひどいが、まあ、サイト設置型マイニングスクリプトがお行儀がいいかといえば、滞在時間でCPUくいっぱなしになるのでお行儀がいいとは言えないが、なにがしかの不法要件を構成するとは私は考えられないことであるとおもう。

    追ってみたところ世の中には明らかに違法だと認識する人も散見されたので、ぜひ踏み込んで所感をうかがってみたいところである。

     

     

    参考

    仮想通貨マイニング(Coinhive)で家宅捜索を受けた話
    https://doocts.com/3403

     

    Coinhive設置で家宅捜索受けたデザイナー、経緯をブログ公開 「他の人に同じ経験して欲しくない」
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1806/12/news078.html

     

    コインハイブ採掘「そんなに悪い?」 サイト運営者憤る:朝日新聞デジタル
    https://www.asahi.com/articles/ASL6H10SFL6GULZU012.html

     

    仮想通貨獲得するための「マイニング」全国で摘発 議論呼ぶ
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180614/k10011478131000.html

     

    違法マイニングで16人摘発 10県警、仮想通貨獲得で不正アクセス – 産経ニュース
    https://www.sankei.com/affairs/news/180614/afr1806140035-n1.html

     

    「何が違法なのか」=摘発デザイナーが反論会見―不正マイニング
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180614-00000124-jij-soci

     

    仮想通貨を採掘するツール(マイニングツール)に関する注意喚起
    http://www.npa.go.jp/cyber/policy/180614.html

     

    岡崎市立中央図書館事件

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A1%E5%B4%8E%E5%B8%82%E7%AB%8B%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E4%BA%8B%E4%BB%B6

     

    不正広告により、仮想通貨発掘ツールが拡散される
    http://blog.trendmicro.co.jp/archives/16904

     

    仮想通貨をマイニングする機能なし、ただCPU使用量がもりもり上がるだけのJavaScript公開中
    https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1127708.html

     

    追記参考

    仮想通貨マイニングツール事案をまとめてみたhttp://d.hatena.ne.jp/Kango/20180615/1529094423

    懸念されていた濫用がついに始まった刑法19章の2「不正指令電磁的記録に関する罪」
    序章 高木浩光@自宅の日記
    http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20180610.html

    仮想通貨 マイニング初立件 「不正採掘」真っ向対立 警察「PC無断使用」/弁護側「合法」
    https://mainichi.jp/articles/20180615/dde/001/040/057000c

     

    他人のPCを遠隔操作し仮想通貨
    https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20180614/0001607.html

     

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    それな。この話、法律家と技術者の考え方の違いが明確で面白いと思う。

    https://anond.hatelabo.jp/20180615192108

  • 世の中の大半はプログラミングを理解できない人間ばかりだ

    商店街みたいなオールドエコノミーの飲み会でうっかり「プログラミング言語」と言ったら、「FAXみたいにピーヒョロロロロってやつ?」と言われたことがある。冗談半分にだけれどもたぶん半分は真剣だ。世の中にはプログラミングを理解できない人間が存在するというが、そもそも世の趨勢はプログラミングどころか、コンピューターに系統指示をするなんてことに触れたことがない人のほうが是である。ギーク界隈は忘れがちだが、プログラミングがもつ論理構造が理解できない以前にその機会に触れられないない人達のほうが依然多い。

    世の中にはプログラミングを理解できない人間が存在する
    https://cpplover.blogspot.com/2018/05/blog-post_29.html
    人間には、それらしくでっち上げられた偽物と、本質を理解した上で作られた本物を判別するのが難しい。一方コンピューターは違う。コンパイラーはソースコードがいかに本物のソースコードらしい見た目をしていようとも、文法違反のソースコードを判別できる。

    就職適正試験を抜けプログラマーとして職を得るような人でも、採用後に真に適正があるとおもうような人は20人に一人もいないんじゃないのかなとのが体感だが、これは小学生が分数を理解できるかどうかで躓く「9歳の壁」に似たものがあるように感じる。抽象化という概念を獲得していないと、何をやりたいのかという要求定義できないし、仮説の設定ができないの機能設計に必要な共役化ができない。冗長なプログラムでも書ければまだましなほうで、そもそも、先のブログで指摘されるようにsyntaxの壁を越えられない。

     

    「AI vs 教科書が読めない子どもたち」での調査でも話題になったが、文字は読めているけれども文意が拾えない子たちがかなりの割合で存在するそうだ。意思疎通のプロトコル変更に対応できる人類の割合は、さらに少ないだろう。「赤信号だったがいけると思った」という、重大な認知過誤をのぞけば、言語による意思疎通の齟齬をある程度は互いに許容しあって成立しているのが現代社会である。

     


    cf.平成29年版 情報通信白書:情報通信機器の普及状況
    http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc262110.html

    日本のパソコン普及率は75%程度あるが、ごらんの通り日本は情報通信関係の教育においては圧倒的後進国であり、また、22歳以上の大学への入学率もOECD加盟諸国で最低である。つまり、一度大学などを卒業してしまうと、再教育を得る機会がないままに老人になっていく。新しい技術や技能を習得する機会がないのである。

     

    今後、社会の制度設計などを担う現在40歳以上に、一体誰がプログラミングを教えるというのか。教師には強制的なファカルティ・ディベロップメントがあるかもしれないが、それ以外の人への教育は?

     

    スマホの使い方がわからず、ドコモのサービスセンターに並ぶ老人はまだ向上心がある。しかし、同じような道具の進歩においてけぼりなっては、深刻なデジタルデバイドで社会全体が機能不全におちいることは目にみえる。

    セキュリティや社会機能はそれを構成する要素の一番低いところが最低水面になる。厳重な鍵がいくつもついたドアの横に空けっぱなしの窓があれば、それがその家のセキュリティレベルだ。

    人間の足の速さや頭の良さなどは、道具や機械をつかうことで、個体差など誤差の範囲にするほどに平準化できる。
    弱視であってもメガネがあればいいし、デスクレシアであっても補助器具を使えばいい。
    計算が遅くても電卓を使えばいいし、字が汚くても口述筆記や印刷ができれば機能は満たせる。

    こうすると道具を使っても乗り越えられないものを障害し、介助を必要なものとも言い換えるこができるのではないか。

     

    移動速度という観点かれみれば自転車や自動車や電車の前に、個人の足の速さや自走持久力はあまり関係がないが、なにがしかの理由があって乗り物を利用できない場合にはそれはが障害になる。

    記憶力の多寡はネットにつながった端末が利用な人とそうでないの前では、足の速さのように生体機能を競う程度のものであろうが、これも、情報端末がそもそも利用できないのであればこれももはや障害だ。

     

    生体機能などは成長や加齢、傷病によって変化する程度のものだ。道具の利用によって向上した機能は、その性能差によってその分布は分散を取るが、その分散に、道具を利用できない人たちの群があると、それはとても離れた二項分布になるだろう。

     

    道具が機械になってそれが結果に寄与する影響が大きいほど、深刻な問題となる。どんなに片方がドリブンして先にすすんだところで、結局のところ社会の基準水面は低い方に合わさるのである。

     

    公共情報網無き都市は、地上に如何なる文化施設を持つも、それはスラムである

    三鷹市が公共下水道普及率100パーセントを達成したのは昭和48(1973)年。当時の市長、鈴木平三郎は公衆衛生を専門とする医学博士でもあり「公共下水道無き都市は、地上に如何なる文化施設を持つも、それはスラムである」として、受益者負担金制度や市政運営への企業性の導入など大胆な手法で、全国初の下水道完備都市を達成した。
    http://www.city.mitaka.tokyo.jp/c_service/011/011729.html

    これを現代風に言い換えるならば、「公共情報網無き都市は、地上に如何なる文化施設を持つも、それはスラムである」ともいうことができる。というか積極的に言っていきたい気分。

    ちなみに、三鷹市は世界情報先進都市とか表彰されたそうだが公共施設でwifi利用可能なところは一個もない。なんたるちあ。

    プログラミングは反復継続することを処理するのにはとても便利なものだ。

    税務署上の定義で商売というのは反復継続するもののことを言うそうであるが、であるならば、プログラミングは経済にも大きく効いてくるはずなのだ。だが、そもそもプログラマー界隈以外でプログラミングの重要性を訴える人をなかなか目にしない。

    そりゃそうだ。世の中はプログラムがなにものであるかを理解する機会もなく、ワードやエクセルを教えてくれだとか、ホームページをつくってくれだとかはまだ可愛いほうで、パソコン直してだとか、スマホの使い方がわからないだとかの、ちょっとパソコンに詳しい便利屋さんになってしまうのである。

     

    でも、まあまずは隗より始めよ。ってことで、みなさん草の根でがんばりましょう。草が生えすぎて、草葉の陰になるまえに、なんとかなるといいねww