アメリカが2020年代半ばまでに中東を抜いた世界最大の産油国になる見通しで、アメリカの中東への関心は急速に減少しているそうだ。
ソマリア沖の海賊行為などを取り締まるべく莫大な金と人員を割いて米国が警備する横を日本や中国のタンカーなどがフリーライドしてきたがアメリカそのものが東アフリカや中東の産油国であるということに興味がなくなれば順次プレゼンスを減少させていくことだろう。アルジェリアでおきたような地域の紛争や内乱は活発になり日本が巻き込まれるようなことは今後も増えていくのかもしれない。
アルジェリアで被害にあった人達を弔うべく名前を公開すべきだというメディアの主張がある。企業側は公開することで不利益を被ることのほうが大きいと判断し公開しないようだ。
どうも匿名のAさんで死にたくはないという事らしいが、メディアに報じられなければまるで名前がないかのような記者の言説には疑問をおぼえる。そのような事をせずとも情報伝達網が発達した現代では必要充分な人達には連絡がまわるようになっている。死んで名を報じられることが少なくとも現代では功績(prize)/名誉とは世間はとらえなくなってきている風潮があるのだろう。その新しい風潮と旧態然とした価値観に溝ができている。
最近は葬儀のあり方にも変化がある。密葬や家族葬も増え大規模な参列者をともなった葬儀というのは減ってきている。経済的な背景が強いのかもしれないが、老齢化により亡くなる人の数が増えているということも関係しているのだろう。
麻生元総理、現財務相が終末期医療に関し「さっさと死ねるようにしてもらわないと」と発言したと問題に取り立てられた。
www3.nhk.or.jp/news/html/20130121/k10014949511000.html
「『生きられるから』といって生かされちゃかなわない。それを政府のお金でやってもらうと思ったら、ますます寝覚めが悪い」
「私は遺書に『さっさと死ぬからその必要はない』と書いてあるが、そういうことをしておかないと死ぬことができない。『いい加減、死にたいな』と思っても、とにかく『生きられるから』といって生かされちゃかなわない」と述べました。
そして、「それを政府のお金でやってもらうと思ったら、ますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうとか、いろいろ考えないと、この種の話は解決しない」
NHK スペシャル「終(つい)の住処(すみか)はどこに 老人漂流社会」
www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0120/index.html
前日、この番組を見ていた親父が同じことを言っていた。
「胃ろうだとかその類の治療は必要ない」と。かねてから常々言われているがあらためて念を押された。
番組では、歩行が難しくなった身よりもないお年寄りが、生活保護を受けながら地域自治体の担当者から、「危篤になったときの出来る限りの医療をウケますか?」と確認をされて老人がしぼりだすようなうめき声ののち「ハイ」と答えていた。
デリケートな問題で人それぞれではあるのだが、少なくとも我が家では食べ物が咀嚼できなくなって自律呼吸も困難になったらそのまま死なせてくれという本人の尊厳は大切にしたい。終末医療でどのようなことがされるのか事前の情報もないまま「最善をつくした治療うけますか? はい/いいえ」 で問われたら「はい」と答えてしまうし、なんの準備もないまま家族にそのような選択を迫られる時がきて、このような治療ができます。やりますか? はい/いいえで問われたら普通は「はい」と答えてしまうだろう。
栄養をとるために点滴や鼻からチューブで栄養摂取をすることがあるが、さらにそれも困難になると胃に直接栄養を送り込めるように「胃ろう」という措置がとられるようになる。呼吸補助器があてがわれ、食べ物は胃ろうで、排尿などはカーテルでというような麻生氏が言うようなチューブ人間になってしまうと、死にこそしないかもしれないが、老人の場合はもう再度文化的な生活が送れるまでに回復することは絶望的だ。
チューブを老人が自分で取ったりするとベットに縛り付けられ、手が拘束される。やがて完全に寝たきりになってしまう。
そのような状態でチューブを外すと、今度は家族や医師が殺人罪になってしまうので、誰も外すことも動かすこともできなくなってしまう。文字通りいい加減死にたいなと思っても、本人は物理的に発言することもできないし、それが実行されることも法的にできない。死にこそしないだけのliving in bed 状態で心臓の鼓動がとまるまでお金がかかっていく。病院は病気を直したり死なないようにはしてくれるけれども再び生活ができるようにしてくれる施設ではない。
件の番組の漂流老人の場合は、7万円の年金に対して、不足の7万円を生活保護で自治体が引き受けていた。これが終末医療になれば、その額を払う家族が潰れ、自治体が潰れ、やがて国が潰れるだろう。いまはまだ終末医療にかかる老人の数がすくないが、あと10年もすれば団塊世代が平均余命に達してくる。まさに政治的な方向づけが必要な問題だ。茶化されて終りにしていいものなのか。
死にたくても死ねない匿名のAさんでこそ死んでほしくはない。