天明の大飢饉と平成の大地震


歴史番組をやっていて、サッカーついでにちらりと見てしまった。8-0はちょっとかわいそうになりました。さてさて。

さかのぼり日本史 江戸“天下泰平”の礎 第2回「飢饉(きん)が生んだ大改革」
www.nhk.or.jp/sakanobori/
天明3年の浅間山噴火と天明の大飢饉による被害は甚大で、東北地方だけで30万人の死者をもたらした。これを機に公共事業や子育てなど人の命を重んじる政治改革が起こる。

印象に残った言葉。
「三年の蓄えなきは国にあらず」
3年って多いなとは思ったけど、天明の大飢饉が数年も続いたことを考えると当時の危機感覚からは決して大げさな数字ではなかったのだろう。喉元すぎればなんとやら。天明の大飢饉(1782年)から230年も経てばそりゃ風化もするってもんだ。

日本は石油などに関しては約90日分の備蓄を有し、コメは100万トンを国家計画備蓄している。
日本のお米生産量が年間900万トン程度生産し、700万トンぐらいを消費しているそうなので、実質備蓄は60日分ぐらいになるのでしょうか。いくら凶作といっても0になるわけではないので、10%の凶作になったぐらいなら1年ぐらい持つなとも思いますが、…とも思いますが、天明の大飢饉の時の碑石によりますと文字通り食べるものがなくなったそうなので、”未曾有の災害”に遭遇した場合には前年度比20%減などではなく、収穫が20%だよという、現在の被災地のおみやげ屋さんのような事態になるということを教訓にしないわけにはいかないのです。破局的事故はありえないだとか、未曾有だとか、100年に一度とか、1000年に一度とか、無視できるほど確率小さくないよね。リスクが発生したときのそれをどのように許容するかのリスクアセスメントも常々重要だと考えるわけです。

 

さて、天明の大飢饉が気になったので調べて見ました。
史実の記録や番組中でも飢饉は浅間山の噴火が原因と言っていましたが、飢饉の後に噴火が起きているそうで、実際には、アイスランドのラキ火山の大規模噴火が原因だと現代では言われているそうです。

噴火には数種類あり、もっとも爆発的な噴火のことをプリニー式噴火といいます。プリニー式噴火では、その爆発により山そのものを吹き飛ばし、噴煙は成層圏にまで達します。日本の例としては富士山の宝永大噴火(富士山の中腹にある噴火口)や天明の大飢饉の時期にあげられたラキ火山の噴火などがあげられます。1991年 フィリピン ピナトゥボ山でおきた、20世紀最大の噴火は成層圏にまで達した煙灰により太陽光が遮られ地球の平均気温は0.5度低下したそうです。アイスランドでの噴火で日本をはじめ世界は壊滅的な凶作に陥りました。

ここまで書いて、ん?と思い当たる人がいるかもしれませんが、ちょっと堪えて、前知識として予備学習をしておきましょう。
歴史をさらにさかのぼってみると、プリニー式噴火のなかにも破局的と称されるウルトラプリニー式噴火なるものがあることを我々は知ることができます。例えば、九州全土を火の海に沈め東北にまで火山灰が降り積もった阿蘇山カルデラや、鹿児島薩摩半島の南にある海がじつは巨大なカルデラな鬼界カルデラなどは日本でもその活動の痕跡を見ることができる噴火跡です。でかいよ!

いまもっともホットなのは60万年周期なんじゃないかといわれながら前回の噴火から64万年経過しているアメリカ イエローストーン国立公園。こちらさんが噴火した日には”火山から半径1000km以内に住む90%の人が火山灰で窒息死し、地球の年平均気温は10度下がり、その寒冷気候は6年から10年間続くとされている。”と、wikipediaにも書かれているほどです。
さて、人類が体験した破局的噴火としては、7万年前のインドネシア トバ火山が有名で、地球の平均気温が5度下がった氷河期が6000年続いたと言われています。その時代に人類もほとんどが死に絶えて世界でわずか数万人程度にまで減ったとされています。恐竜を滅ぼすのに、わざわざ隕石なんかいらないです。

 

そんなわけで、現代において地球温暖化だとか、気候変動だとか言っていますが、自然要因の気候変動は人類由来のものより激烈で壊滅的であります。過去の歴史をさかのぼり、ルネサンスなど文化が円熟した時代をみると、気候が温暖だったことが現代科学から伺いしることができるそうです。逆に安定しなかった時期は世界的に紛争が盛んで荒廃しています。

さて、天明の大飢饉を調べてみようと思ったのは、それが天明の2年から3年にかけての出来事だったからです。改元は大災害などが起きたときにされることがあり、その2~3年後というだとするととても気になったのです。実際は光格天皇の代始改元だそうなので関係はないのですが・・・。もやもやしています。

 

たとえば1707年の富士山宝永の大噴火の49日前に発生したM8.9クラスの宝永地震。その4年前に、元禄大地震が発生しています。元禄はこの地震をきっかけに改元されました。他にも噴火と地震の年次関係を見ると大規模地震の数年後にというひとつのパターンがあります。
2004年に発生したスマトラ地震(M9.1)では、2005年(M8.6)、2007年(M8.5)、2009年(M7.5)、2010年(7.8、7.2、7.7)と、数年おいて、しかも震源を数百キロ移動して地震が発生しています。東北関東大震災の1000年前の貞観地震にもおぼろげながら、東北→関東→南海トラフの一連の変動がおきており、おきまりのコースなのではないかなとも思うわけです。

 

海溝型巨大地震→1~5年 数百キロ離れたところで海溝型大地震→内陸地震→噴火→気候変動→飢饉

 

どれくらいパターン化できるかわかりませんが。ちょっとデータ漁ってみたいですね。確か噴火の歴史情報も海外のデータベースで昔見た記憶があるので、地震と同じく突き合わせができるかもしれません。(だれかやらない?)

天明の大飢饉の1780年前後には地震データベース上からは発見することができなかったのですが、1770年(38.60 142.00)、1771年(24.00 124.30)、1772(39.30 142.70)年と、日本近海で大きな地震が頻発した形跡はありました。
neic.usgs.gov/cgi-bin/epic/epic.cgi?SEARCHMETHOD=1&FILEFORMAT=4&SEARCHRANGE=NO&SYEAR=1760&SMONTH=1&SDAY=1&EYEAR=1790&EMONTH=12&EDAY=31&LMAG=&UMAG=&NDEP1=&NDEP2=&IO1=&IO2=&CLAT=0.0&CLON=0.0&CRAD=0.0&SUBMIT=Submit+Search

 

2010年2月、チリ地震(M8.8)、2011年6月、チリ南部 プジェウエ火山が噴火。
いま、アフリカのツノとよばれる西アフリカではかつてないほどの深刻な飢饉が発生しています。大干ばつが原因とも言われていますが、他方、中国、オーストラリア、日本などでは歴史的な水害が相次いでいます。
2010年4月、2011年5月にアイスランドで大規模な噴火があり、火山灰が成層圏にまでその噴煙があがりヨーロッパの航空網が麻痺しました。アイスランドやチリ南部の極地に近いところでの噴火は地球の気候にどのような影響を与えるでしょうか?

 

日本の地震はこれら地球の現象のひとつに過ぎない。地球はいまも動いている。そしておそらく数百年程度の期間で俯瞰すればこの15年ぐらいは活動期にあたるだろう。人間は環境の影響を受ける。作物も環境の影響をうける。世界の穀物価格は変動している。経済などは環境を具体的に数値化した指標だ。

おそらく、我々は天明の大飢饉に学んだほうが良いのではないかと思う。天地杞憂だと一笑にふすのもよいのだが、100年だけの統計を持ってきて、統計上ありえないとうのはリーマンショックだけでいい加減懲りてもいいのではないか。歴史に学ばざるはなんとやら。

 

アフリカの西では、飢えた子供の全滅を避けるために、お母さんが弱い子供を見捨てざるを得ない状況なのだとか。残酷だと一概に避難はできない。日本もほんの200年前はそうだったのだ。口減らしのために子供を間引いていた。天明の大飢饉の惨状たるや戦乱の世よりも苛烈な餓鬼道人間道があったようだ。日本の国土は開発されかつての4倍以上に密集している。なんとかなるさではなんともならない。世界人口は10・31日とうとう70億人に達した。

 

放射性物質の影響で今年は値段がつかないようなものは国が買い上げて備蓄とかに回したらいいんじゃなかろうかと、おもったりもする。

ここで最初の言葉。
「三年の蓄えなきは国にあらず」

臆病なやつは全滅しないためには必要だ。


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