ファクトフルネス読書感想文


ハンス・ロスリングさん、そんな落ちはなしだよと泣きたくなった。

ハンスの印象的なプレゼンは600近くみたTEDの動画の中でも印象に残る名プレゼンだ。

この人が書いた本というので読んだ。

おもしろなーと、さくさくと読んでいたのだけど、2/3程度ぐらいからなんか読む気が失せてしまって半年ぐらい放置していた。読み始めたら読み終えるまでが短い私にしてはかなり珍しい事象だけれども、その理由が後半まで読んだらわかった。
この本の執筆中に亡くなれていたのだ・・・。

いや余命宣告からすべての予定をキャンセルして命を削って書いたと言えばいいのだろうか、中後半には自身の浅慮でモザンビークナカラでおきた疫病ではないかとの懸念から道路封鎖をしてしまったためにバスに乗れなかった農民が船で移動して、船が沈み亡くなった人がいるとかそういう失敗話とかを吐露していて、それ墓場までもっていくような秘密なんじゃないかな・・・とかなにか違和感ばりばりだったのだけど、本当にこれが最後だと覚悟を決めた人の筆だったのなら納得だ。ただ、その覚悟に読者として心構えができていなかった。

統計にまつわる示唆深くも、非常に基本を抑えた内容なので、前半部は多くの人に読んでほしい内容でもある。後半は、あれ、どうしたんだろうと思うかもしれないけど、覚悟を決めた人とその家族が意思を継いだものと知っていれば、ショックはすくないかもしれない。

ワクチンについて

P150
ワクチン:予防接種を自分の子供に受けさせない親がいる(略)
麻しん(はしか)の予防接種を子供に受けさせたくないと思うなら、(略)
麻しんにかかった子供が亡くなるとき、どんなふうに亡くなるかを知っておこう。

江戸時代に度々大流行した「命定め」の話しは有名だが、現代ではほとんど知られていない。
13度ほど流行したそうで、綱吉などもこれで亡くなっている。
日本ではワクチン接種などで撲滅に成功したと思われていたが、数年前から流行の兆しが出てきたので、自分は麻しんのワクチンを打っていない世代なので健康診断ついで打った記憶がある。

麻しん(はしか)は怖い。
その感染しやすさは、インフルエンザ並みであり、症状も同じようなものなのである。死亡率も0.2%程度なのだけど、ハンスも言うとおりこの病気には治療法がなく大人は重症化しやすくなにより後遺症を残しやすいわけです。ころりと死ぬんだったらまだしも、10年20年寝込んで脳性麻痺とかになりながらとか絶対イヤなので、打ちに行ったわけです。

麻しんと混同されやすいところで、これまた東南アジアから再ブームになりつつある風疹がありますが、これもまた伝染りやすいですが、麻しんに比べればなんぼでも。でも、そういえば割引チケットが来てたので、今年の健康診断のときにでも打っておこうと思います。
ツイッターなどをみていると反ワクチンも流行っているようですが、公衆衛生については、自分以外の全員がワクチンとかを打ってくれていればなんの問題もないんですが、そういうのは人口密集社会における無自覚なフリーライドなんじゃないかなと思います。

江戸時代に13回も大流行した『命定め』 犬公方・徳川綱吉も”麻疹”で亡くなった
bushoojapan.com/scandal/doctor/2016/09/05/83551

キャッサバについて

P286
モザンビーク ナカラ
この地域の主食はキャッサバというイモで、食べる前には3日かけて毒を抜くことになっている。

毒があるのは知りませんでした。奄美でも戦後の食糧難の折、一月以上毒抜きしてソテツのデンプンを取り出すのに比べたら、イージーコースかもしれませんね。

今、タピオカ流行ってますね。あれの材料がキャッサバ粉です。
うちのお店でもタピオカミルクティーいれてみようかとおもって少し調べたんですが、キャッサバつかってないデンプンと増粘剤でつくられたタピオカも多いみたいで、悪化は良貨を駆逐するじゃないですが、偽物が出回るとブームが終わるので、今回のブームもフランチャイズとかでまた誰かがばば引かされるのかと思うと心苦しさがあります。

JICAとかのキャッサバの資料を見ると恐ろしいほどの種類があって、葉っぱなどをみても本当に同じ種なのかはなはだ疑問を覚えます。

www.jica.go.jp/project/all_asia/005/materials/ku57pq000025s2lv-att/cassava_about.pdf

キャッサバの生産者から優良仕入れ先を探そうと思って辿ろうと問い合わせたんですが、失敗しました。どこかほどよさげな取扱卸しさんいたらよろしくお願いします。

エボラ出血熱

P299
エボラ
現場ではリベリアの人たちの習慣を変えることに成功し、人々は必要のない接触を避けるようになっていた。握手もハグもしなくなっていたのだ。

これを見て、挨拶習慣でハグとかをしない東アジア圏はもしかして、エボラのような接触感染型のパンデミックが過去にあったのかもと思った。

エボラ出血熱の西アフリカで起きた当時のパンデミックは今でも覚えている。
たしかその数年前に一帯に深刻な飢饉があったとおもうのだが、その兼ね合いなのか、エボラ出血熱が発生した。国境なき医師団の公開する情報がほんとうに指数関数的に増えていて、キャリアの生物学的封じ込めに失敗して大都市圏への流入がおきたらアウトだと思ったものだ。
その後、エジプトで、中東で、はたまたヨーロッパやニューヨークでも感染者が隔離されたなどという情報に触れるたび、現代文明は新型インフルエンザとかでなく、意外とこういうものが原因で終わるかもしれないなと思ったものである。

隔離された患者を取り戻すために住民が武装して収容施設を襲ったなんていうニュースもあって、医師でもあるハンスがアフリカ ザイール(現在のコンゴ民主共和国)バンドゥンドゥ州マカンガでナタを持った現地民に
囲まれたエピソードが刺さる。(P310〜のエピソード)
ハンスはコンゾ神経麻痺症状を発見した一人だそうだ・・・。

地球温暖化について

地球温暖化のファクトフルネス
未完っぽいのが残念。だがアル・ゴアに汲みしなかったのが正解。
アル・ゴアがやろうとしていたのは、俺の尊敬するSF作家マイクル・クライトンが書いた地球温暖化ビジネスと政治利権について書いた「恐怖の存在」、これが今思えば実にファクトフルネスだったなぁと思う。あ、ちなみにジュラシック・パークとかの原作者ね。


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