世界の経済をめぐる情勢が何かもうよくわからない状態になっている。続発している自然災害を含め2011年は世界史実上にも残る激動の時代だ。
現在の危機と08年の金融危機の相違
現在の危機はトップダウンの形態を持つ。景気を刺激できず、財政均衡を保てなくなった世界各国の政府が、経済界の信頼を失ったのだ。(略)景気低迷により、企業や家計は現金を貯め込み、借金を避けた。このため消費は落ち込み、投資は伸び悩んでいる。
何人かの頭のいいバカ、つまり、バカに武器を与えてしまった金融工学における原子力爆弾をつくってしまったアインシュタインのような人が現代には何人かいるように思う。
市場は本来は単純なものだ。受給という単純な要素に基づくシミュレーションだからね。だけど、その未来を予知できる何人かの頭の切れる人が市場に参加することで未来が変化してしまっている。なぜって?予測された未来をもとに現代への干渉がおこなわれるからさ。SF小説風にいえばタイムパラドックスがうまれた結果、予測は外れる。シュタインズ;ゲート!
自分の干渉を制御しうるほど充分に小さいものであるか、もしくは市場を意図通りに動かせるほど大きなものである場合、短期的には予測は成功する。でも、予測で動くほうのマネーが大きくなってしまえば市場は正当性を失う。あぁ残念だねという感じ。
商品、企業、人材などの価値評価(バリュエーション)が研究されたが、結局これも利己行動を制御できない人達の武器になってしまった。ミリセックのトレードにどんな正義があるのかはわからないが、過干渉であることはまず間違いないだろう。些細な変動もバタフライ効果により増幅され、これが今、国家という枠組みをつかってもコントロール不能になってしまっている。市場の正当性が失われたままにしては通貨の正当性、説得力も揺らぐ。
中央銀行はテクニカルな手当で場を凌ごうとしているが、対処療法でしかない。延命にしかならないよ。いや、延命しかできないのか・・・・・・。場を改めるのは親(政府)の責任だ。喩えるならトランプやってるのに、自分のカードを勝手に混ぜてプレイするやつがいる。こいつをまずどうにかしないとゲームになりゃしない。ネットゲームでデュープされたアイテムやお金が世間で出回っているのに価格を崩れさせないで、オペレーションだけで凌ぐのは無理ってもんだ。
統計上100年に一度と呼ばれていたリーマン・ショックのような、危機がトリエンナーレ(イタリア語で3年に一度)とかビエレンナーレ(2年に一度)になってきている。オリンピックじゃないんだから勘弁してほしいよね。未来への予測が実業にダメージを与えて、セクター単位でイナゴのように食いつぶして言ったら、伸展性はない。義務を追わない貴族に付き従うのは暴徒だけだ。
1~2月のアラブ革命
FaceBookやTwitterなどソーシャルネットワークで媒介した、革命、アラブ・ドミノ。リビアのカダフィの件ではNATO軍がでて、空軍でたりミサイルまで飛び交っている。革命はいつのまにか戦争になっていた。大量の難民が発生し暴徒になったりして、移民に対して寛容だったEUのいくつかの国でもナショナリズムが高まっている。
3月には日本で大地震が起きた。
地震が及ぼした経済的被害も甚大だ。住宅とインフラの被害を合わせただけで10兆円を超すと計算されている。総額での被害は最大で25兆円程度とされているが、これには原子力災害があまり勘案されていないように思う。
電力の供給の安定度の低下や国内外の風評被害、そして実害を考えれば、その影響範囲は東日本全体に及ぶ。東北、関東圏の年間GDPを合計すると約200兆。これに暗く長い影を落とすことになる。
建設などの限定的な業界で復興特需はあるかもしれないが、その他の多くの分野ではマイナス要因にしかならない。仮に年間で5%の売上低下があったとすると、その額は年間で10兆円に登る。
ざっくり考えると今後10年とかで80~120兆程度のネガティブな影響があるんじゃないかと思う。
被害額最大25兆円…巨大地震で内閣府試算 www.yomiuri.co.jp/national/news/20110323-OYT1T00691.htm
続発する天候災害・自然災害
日本で日常茶飯事になってしまったマグニチュード5以上の地震。
オーストラリア、ブラジル、中国の豪雨災害
地震はチリやニュージーランドなど環太平洋沿いで。
チリではその後噴火もおきている。
アメリカでジョプリン(ミズーリ)竜巻では1947年以降最大のダメージ。
7月 ギリシャ破綻
ギリシャが事実上100%のデフォルトが決まり、ユーロ圏で民間負担まで強いられている。昨年5月にEUとIMFから1100億ユーロが投じられたが、改善がまったくすすまず、1350億ユーロ(約15兆円)規模の第二弾支援が必要となった。ギリシャで溢れかえる公務員を救うために、ドイツなどの民間が痛みを追う形になっている。
ムーディーズ、ギリシャ国債3段階格下げ「事実上デフォルト」 www.cnn.co.jp/business/30003486.html
8月 荒れ狂う為替相場
1ドルは76円台になり日本政府の4兆円にのぼる介入により80円台に迫ったとおもったら、数日でまた76円。円高ではあるものの完全にアメリカドルの一人負け状態。本当にぎりぎりのタイミングでアメリカのデフォルトは回避されたものの、米国国債の格付けは引き下げられた。格付けの根拠が150兆円近い計算ミスですら些細なことと片付けられている。有様だ。
格下げ判断の米S&P、2兆ドルの計算ミスも「影響なし」 www.cnn.co.jp/usa/30003611.html
米国の財政赤字を実際の規模より2兆ドル(約157兆円)多く計算していたことが分かった。同社はこれを認めたうえで、格下げの判断に実質的な影響はないと説明している。
ほんとヤレヤレだぜ