改正水道法やらについておもうこと


いわゆる水道民営化法案なるものが成立したそうな。
国内の生活インフラを海外水メジャーに売り払うようなもんだとか、水道料金がばか高くなるんじゃないかとか批判あがっているようだ。絶対、失敗する!と。

まぁするよね。
失敗っていうか、過疎の地域にまで上下水整備したけど、これから先維持できそうにないや!っていう諦めだと思うので、多分みんなの心配した通りになるんだろう。けど、どうせ避け得ないのではないかなと思う。上下水守って地方自治体を潰すか、民営だから失敗したんだとか申し訳つけて責任おっかぶせごまかしながら潰すぐらいの事しかもうできないと思うので、まあ、しょうがないんじゃないかなぁ。

もう何年前になるのか、わしの記憶もあやふやなんじゃがのぅ、中東あたりの水道事業で日本の水道事業がらみのメーカーがフランスの水道メジャーに負けたみたいな話しを聞いたことがある。曰く、日本のメーカーは逆浸透膜とか、そういう個々別々の製品のアピールや性能はすごかったんだけど、パッケージがないと。コーディネートがないと。他方、フランスのメーカーはそれらの部品は外部から調達しようがなにしようが、川上から川下まで抑えてくれるので発注する側としては世話がなくていいよね、と。日本は水道は公共事業なので、こういうフルカバレッジなサービス輸出ができない。今思えば、それがフランスの多国籍水処理メジャーのヴェオリア社とかだったのかな?

日本のメーカーは技術はつくれても商品はつくれないみたいな話しに通ずるところがあると思うんだけど、新幹線の輸出とかでも失敗していることはこれだよね、鉄道や線路だけ単品で売ってもしょうがなくて、運営から保守員の人材育成とかまでパッケージにしないと。まあ、負けるよね。

で、水道事業。
東京都の場合はだいぶ前に市区町村の運営から都営(東京都水道局:地方公営企業)に切り替えたと記憶している。wikipediaみると2000年ごろからか、三鷹市は2002年。未統合自治体がいくつかあって、たしか武蔵野市とかはまだだったんじゃないかな。うん、まだだね。
この頃から貯水槽水道方式から直結給水方式に切り替えられたりと、東京のまずかった水道水が格段によくなってきた。

自治体がそれぞれが開発運営してきたというところから、関係雇用とか、利権がらみもあったんだろうかね、この東京都の水道統合事業もなかなか難航したと伝え聞く。だけれども、地方自治体がそれぞれがちょっとづつ違うことをそれぞれが運営するっていうのは、なかなかに非効率なことで、費用もかかる。都とかそういう比較的広範囲な行政組織が公営にするっていうのは間違いではないと思う。

では、東京都ほど、人口も密集しておらず広域での管理が難しい地域はどうなるだろうか。
そんなん、どうしょうもないでしょ・・・?

かつて、さだまさしがまだ若い時、無人島を買って、生存権を縦に電気ガス水道を離島まで敷設させたが電話会社は民営だから断わってきたみたいな逸話が本に書いてあって読んだ記憶があるのだが、これは極端な例としても、数件とか、数人しか住んでいない山間や離島の村落のために、道路電気ガス水道橋梁トンネルって、受益者負担の原則から考えたら一人あたりおいくら億円かけてるんだよって話しだよね。
どこも紋切り型の田舎地方都市みたいにする必要はなくって、田舎の情景はそれぞれが素晴らしいんだから暮らしにくいかもしれないけど、どうぞそのままで。

列島改造論に浮かされて公共事業をやりたいがために、いろいろ作っちゃったご先祖様方。
けれども、耐久消費財とか建造物っていうのは作ったらおわりじゃなくて、耐用年数の半分ぐらいで保守のために建造費の半分ぐらいのお金が必要だし、耐用年数が過ぎたら撤去や施設更新が必要になる。

鉄骨コンクリ製のトンネルだと耐用年数60年、橋りょう50年、ダムだと80年、上水道は30年。実使用年数で水道の鋳鉄管を見ると、40年だそうな。

参考資料 実使用年数に基づく更新基準の設定例 – 厚生労働省
www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/kousinkijyun_2.pdf



高度経済成長期のいけいけどんどんの時期につくった公共インフラなんかが限界を迎えつつあって、そろそろ、施設の更新や大規模補修が必要になってくる時期なんだが、地方自治体は、もともと財政基盤が軟弱なうえ、そもそもが単年度会計で、それらの大規模更新を見越して複数年度で予算計画を立ててる自治体なんぞないのである。ってことで、わかってたけど予定していなかった出費により財政的に破綻するか、事故が起きるかの二択だよね、どうするんだろうね? って思ってたところに公設民営の改正でしょ? あ、そうするのね、っていう感想にしかならないよね。

財政破綻か事故るかの二択が、委託業者の管理下で事故になるか、ちゃんと運営できない委託業者のせいだっていう新たな二択もとれるようになった。委託される側の業者は逃げてーって感じだけど、多分、経験値がある会社は、そういうババな自治体は引かずに、美味しいところだけいただくんだろうね。ババ引かされて詰め腹を切らされるやついっぱい出るんだろうね。

原子力発電所でさえも耐用年数過ぎても、利益が出ている間はなんやかんや理由をつけて使い続けて事故にまで至ってるんだから、管理主体と運営主体が同じだと、正常化バイアスで事故は防ぎようもないのかもしれない。動いてるんだから触るな!な前例事なかれ主義と更新は相性悪いもんね。

でも、諸先輩方の負側の遺産、やらかしはどこかで帳尻をあわせなきゃいけないわけで、本当はこーいうのを技術の発展とかで「まかせろ!」ってなって欲しいけど・・・、上下水のインフラのほうでこの100年進化したのって、鉛管がビニール管なったぐらいかな?

埋設土木技術とかは汎用技術だから進歩してるんだけども、水道については全国的な競争はなかったから、ここに競争が入れば技術革新はあるかもね。もちろん、競争による弊害も出るだろうけど…。

空気中の水蒸気を復水できる小型な装置とか、ドラえもんの自動井戸掘り機~みたいな、一足飛びの技術革新未来かもん!

参考てきな

水道民営化促進で内閣府に出向した人の正体
7日成立予定の改正水道法に不透明な背景
安積 明子 : ジャーナリスト
toyokeizai.net/articles/-/253769

東京都水道局
ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E6%B0%B4%E9%81%93%E5%B1%80

乾いた空気から水を取り出す装置、太陽光で動作 – MITとUCバークレーが開発
news.mynavi.jp/article/20170420-a052/


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