佐賀市の無職の少年(17)が有料デジタル放送をB-CASカードなしで見れるプログラムを公開したとして不正競争防止法違反容疑で逮捕された。不正アクセス禁止法案とか著作権上の複製権や公衆送信権の侵害あたりをやらかしたのかと思ってニュースを読んだら、不正競争防止法違反らしい。
テレビまわりほとんど興味がないのでB-CASカードとかがよくわからないのだけど、B-CASカードそのものが電波法が定める「公平で効率的な電波帯域の利用」という公益性に反してんじゃねぇかな。不正競争防止法違反というか、独占禁止法こそ仕事しろ案件。
イノベーションには2つの方向がある。
「なぜなぜ」を突き詰めて深掘りしていく下位概念。
「そもそも」をたどる上位概念。
<テレビを見るのに「B-CASカード」が必要なのは不便だ> という課題を、17歳の子は上位概念で辿って、そもそもなぜ「B-CASカード」が必要なのだろうか?から解決した。解決してしまった。破壊的イノベーションを実行したわけだ。破壊的イノベーションは破壊される側にいる人たち(だいたいが既に利権者側なので、地位と権力がある)はそれを嫌がる。
実にもったいない。
この才能をこちらにしかのばせなかった環境も、彼自身も、それを逮捕という形でしか終わらせられなかった公権力側も。そして、恐らく逮捕されて有罪になった後は、粗暴犯やらと同じ更生プログラムに入って再教育がされるのだろうが、これも実にもったいない未来である。
つくりあげたものは褒められたものではなかったかもしれないが、彼は技術的課題をハックして、しかもそれを公衆に提供した利他的な振る舞いができる子なわけだ。それが単純な承認欲求からくるものだとしても、彼は問題解決にまで至っている。ここにまで到れる人というのはやはり希少だ。その才をこんな無駄な課題(人間が人間のためにつくったただの障害)に費やされたことも、いろいろもったいない。
もっと情熱を向けられる別の課題はなかったものなのか。更生プログラムを選べるなら、彼には多くのなんらかの課題を抱えてる人たちに触れさせるボランティア罰がよいように思う。(日本にそのような制度はないが・・・。)そのほうが未来のためになる。
捜査関係者は「ネット上で入手できる不正プログラムは、売買される不正カードに比べて拡散の可能性が高く、無料視聴が横行する恐れがある」と警戒している。
電波利権は利権の中でも強烈に強い利権なので、禁忌に触れちゃった感じか。
このコメントから察するに、サーバー問い合わせのないただのデジットである可能性が高い。高校生程度の子が公開されている仕様から辿れるレベルの。無駄で、無意味な障壁でしかないように思う。ハリボテを暴いてしまった子供を掴まえて「不正競争防止法違反だ!」と喚くのは実に大人気ない。「よく捕まえた!」とその仕事ぶり評価する人は現代では確実に居るだろうが、その評価が30年後まで不変であるとは思ってはいけない。
スティーブ・ジョブズは電話をタダで掛けられるハックツールでビジネスをスタートした。ビル・ゲイツやその他多くの名だたる経営者だって相当やらかしている。それを見出して導く環境があればこその今だ。
もったいな、とただ嘆息するのみである。
<不正プログラム>TV無料視聴をネット公開、少年逮捕
毎日新聞 6月8日(水)11時40分配信
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160608-00000036-mai-soci佐賀市の無職の少年(17)を不正競争防止法違反容疑で逮捕
「B-CASカード」がなくても有料デジタル放送が無料で視聴できるプログラムを独自に開発し、自身のホームページ上に無料で公開して不特定多数の人が閲覧、入手できる状態にした
「ワークキー」と呼ばれる暗号をパソコンに入力することで放送を視聴できるようになる
逮捕前の任意の調べには「カードが邪魔だった。無料視聴したかった」と容疑を認めていたという。
B-CAS使わず有料テレビ計70chを無料視聴 ネットで「不正プログラム」公開 17歳無職少年逮捕 警視庁
www.sankei.com/affairs/news/160608/afr1606080009-n1.html
不正視聴プログラムを公開=全国初、容疑で少年逮捕-警視庁など
www.jiji.com/jc/article?k=2016060800233&g=socカード使わず、新たな手口 無料視聴プログラム公開容疑
www.asahi.com/articles/ASJ68319LJ68UTIL004.html