与太郎さん100年未来を考える


有識者とかお偉い未来学者とかが考える100年先の未来とかは公演されてたり白書になったり本になってたりする。でも商店街のおっさんが現場で働く感覚で予想する未来予測ってあまりない気がするので書いてみることにした。きっかけは先日の三鷹でおこなわれた「100年先を見据えたまちづくりを考える」から。

想像力たくましく結論から言うと、多分人類は海洋に都市をつくってムー大陸とかアトランティスとかニライカナイとか名付けるんだと思う。・・・こう書き出すと、読むの辞められちゃいそうだけど結構真面目。でも与太話。どっちだろ。

人口推計は人類が予測しうる未来予測のなかで確度の高い予測。これをベースに100年前はどうだったのかを考えながら未来がどうなるのかを考えたい。あと、今ファクトフルネス読んでるのでちと影響うけてる。

子供

日本固有の問題ではなく東アジアでの少子化は苛烈。特に韓国、中国は日本よりその人口動態の変化速度が早い。 日本では1920年代は100人の労働人口に対して子供40人だったが現代は20人。待機児童問題などと言われるようになったが子育ての社会負担は減っている。世界でも子供の数は頭打ちになっているので、人口増加は近いうちに平衡に達するだろう。

離島性仮性知的障害のように、幼児が接触しうる人間が少ない離島や僻地だと知的発達に問題があるという研究がある。園庭がある幼稚園とない保育園ではその後の運動能力にどのような差が出るかを調べた論文とかは見つけられなかったが、園庭の状態で運動能力には差がでるという調査はあったので、それなりの影響があるだろう。ざっくりとした感想だが、ある程度子供が集まるところ、かつ、体を動かすことができる場所で育てたほうが良さそうだなという仮説が立ちそうだ。

おらが商店街は今年度は2件の保育育児施設加入があった。 保育園などが子供を遊ばせる公園はあちこちにあるし、1〜2キロも行けば井の頭公園やもっと自然に近い野川公園など巨大な公園もある。うちの街では子供の未来は明るそうだ。相乗効果でもっとよくなるだろう。フィードバック効果がありそうなので、悪いところは余計悪くなるかもしれない。

老人

うちのばーちゃんは100歳だ。100年先の未来というと途方もなく先な気がするけど齢100を前にすると大して未来でもない気がしてくるから不思議。

100人の労働人口に対して、1920年は老人10人だったのが現在は40人に増えている。2050年ごろには従属人口指数は120となる。

梅崎 昌裕「現代社会に生きる人間の生態」ー公開講座「人間は進歩しているか?」2014

10:2だったものが10:12になるということのは今までと同じやり方は維持しようもない事を意味する。解決手段は老人を老人でなくすか、掛ける人手や費用を1/3にするかである。
費用1/3については、努力とか工夫、人件費の安い国から人を入れたぐらいの伸長では達成しえない数字なので、無人化などイノベーションを起こすよりない。

単純平均ではなく、高齢者になるまで存命した人の平均を考えると現在でも女性は平均90まで生きているそうで、老齢期になってからの生活が40年もある状態だ。QOL、健康寿命を伸ばすために廉価で簡便な再生医療が開発されるだろう。強化外骨格のようなウエアラブルな補助装身具も汎用品になるかもしれない。・・・100年だとサイボーグ化とかバイオロイド化は無いと思うんだけどどうだろうね。あるか。あるかも。

労働と職業

労働は経済的価値を産まなくなる。
現在の多くの生産活動は人を介在させない無人化する方向にある。人間は居てもその人の能力に依存させないよう交換可能なモジュールとしての労働力にするよう務められている。

過去から参考する。産業革命で1ヘクタール耕すのに人類は下記のような進歩をたどった。

人間 400時間 194,000キロカロリー
畜力、牛(2頭) 65時間  31,525キロカロリー
トラクター(50馬力) 4時間   2,400キロカロリー

産業革命でこの99人は失業し、別の職業に従事できるようになった。大量生産品などの企画、製造、販売に従事だが、IT革命でこれらからも99人が失業することになるだろう。
商店街からも物売りのお店は消えていく。新規開業はそのほとんどがサービス業になっている。人間という労働力が必要な職業は、反復が少なく適時対応が必要なものだ。商売とは税務署的定義では反復継続するものなので、反復しない商売をしなければいけないという背反は経済的利潤を得にくくなることを意味する。

経済的利潤を得るためには労働資本を貨幣に変えるのではなく、金融資本に働いてもらうほうがますます高効率となるのは間違いない。個人的にはどうかと思うが、まぁ、歴史からすると然り。富める人はますます富む。まあ不健康な人はますます不健康にぐらい当たり前の事ですな。行動をあらためるか生活習慣をあらためるかぐらいの話。

通貨

ブロックチェーンとかがもてはやされてるけど今はまだ未熟で未完成なものに見える。と言っても、貨幣経済の歴史を振り返っても、金本位制から抜けて、現在のマネタリーベースとかの世界的な積み上がりを見ると、ここらへんもう制度疲労だよね。

企業価値を評価する手法がある。同じように社会資本や教育資本など、いままで貨幣経済のものさしの上にのってこなかったものをバリエーションする方法が開発されるだろう。ブロックチェーンみたいなピア方向の評価によるものなのではないか。お金では買えないものなんだよ!っていう思い、将来はもっとふわっとせずに他人に伝えることができるようになるかもね。

例えば価格があってないような美術芸術品などは、現在取引発生時に競りによる貨幣評価が行われているが、これが貨幣に兌換する必要がなくなる可能性がある。
トレーディングカードゲームなどで、一度中古販売店に売って金にしてから別のカードを書い直すより、カード同士で交換されたほうが、価値の毀損がないよね。貨幣という共通利便性と分散と信用の変化は大きくあるとおもう。

国家観

自由貿易を取り入れた共産主義や、監視統制をひきたがる資本主義など、お互いがいいところ取りで発展していくのであれば、国際間の通貨制度のアップデートと同じようなタイミングで、なにかしらの全球的なシステムが導入されるかもしれない。

イデオロギーの問題もあり、もし世界的な移行がおきても日本やその他先進国ではその移行は遅行するかもしれないが中堅国が牽引してくれることだろう。シンガポールポジション。EUやTPP、ASEAN経済共同体のように、貿易経済圏ができて、国家間の衝突も避けられるようになれば、国という枠組みは、市や県や州といった地方自治組織の一つのレイヤーとなりうる。日本も一律悉皆的に地形も人口密集度も産業も違う地域に同じシステムをデプロイするのは非効率だ。憲法のアップデートよりもハードごと替えた方が早いってなるかもね。

法律

日本の法律は目的が1条一項に書かれてたり書かれてなかったり、修正修正のバッチだらけだったり、改修も100年単位でできていなかったりする。動いているんだから触るな状態。法律もコードと言うが、同じコードでもプログラミングで言ったらコーディング規約すらない糞コード集だ。

運用でカバーされてたり、バッドハックや判例法などで動いてしまっている面も多くあり、こういう大規模システムはシステム開発に習えばぶっちゃけ更新できない。できるわけがない。憲法はこれらの最上位にある基底OSのようなもので、俺の感覚では更新できたとしても小手先の表現だけで、リファクタリングすら困難なのではないかと思う。小さい改変でも影響範囲がでかすぎるのだ。
明治維新みたいに既存のシステムをディストラプトして更新なんて荒療治をせずに、ソフトランディングさせようとするなら、システムの並行稼動をするよりないと思う。それは、特区制度のような部分的なものぐらいが精々かもしれないが、動かしたこともないシステムをローンチするよりは混乱がなくてすむ。

江戸時代の北町奉行所、南町奉行所みたいに最初から輪番制にしておいて、システムを冗長化しておいて並行稼動させておけば、アップデートも簡単なのにね。現在法律はその国の自然言語で書かれているけど、これはコンピューター、ことAIには判読させづらいから、100年内には論理記述に変わると思う。裁判官の仕事も変わるだろう。

移動・流通

おらが商店街はちいさい病院が多く遠方から年寄りがくるのが大変だからミニバスを通してくれと先生がたが息巻いている。健康な人だとバス停行くより歩いて駅とかまで行ったほうが早いぐらい路線バスのバス停離れてるんだ。ミニバスも通ってるんだけど、なぜか路線バスと同じ路線を通ってるらしく意味がない状態。行政はめんどくさいから変えたくないのもわかる。文句もでるだろうしね。

でも、100年先を考えたら自動運転さすがに来てるよね?
幹線道路と生活道路を明確にわけて、車両侵入禁止にする道路とかを法律で区分の準備はもうしないと数十年先にも間に合わないんじゃないかと思う。パーソナルモビリティももしかしたらドローンタクシーみたいに空を飛ぶようになるかもしれない。そうなってくると落下したときのために、電線の上にネットを貼ってこの上を飛びましょうとか、そういう既存インフラの再利用がなされると思う。これも日本は世界から15年ぐらいは遅行しそうだ。 できれば一部都市だけでも先行してがんばってもらいたい。がんばれよ!

化学

これから100年先、いや30年ぐらいかな?もっとも変化が激しいのは化学合成の世界だと思う。 今まで五里霧中の試行錯誤であったものが、莫大な演算力の獲得で力技によるシミュレーションができるようになる。試行錯誤速度の爆速化はこれは創薬や有機合成、素材化学のような分野に効いてくるだけでなく、いままで巨大化してきた化学プラントのような製造の現場にも効いてくる。この業界におきることはかつて鉄鋼や造船といった業界に起きた小型化、モジュール化が待っているのだ。

例えば今まで化学肥料などの製造に必要な窒素固定は膨大なエネルギーが必要であった。これに耐えうる構造のために湾岸部に巨大な工場を作らざるを得なかったが、小屋サイズでそれらが一気通貫に製造できるとなれば、消費地生産が可能となる。これはかつて街が炭鉱で賑わったというような、都市構造変化をもたらすだろう。

生物

再生医療のようなわかりやすいものだけでない。
生物の中には、深海の熱水鉱床という数百度の温度で活動する細菌などがいる。熱水で壊れない蛋白と、水素原子1個で動くような生体モーターをもっているわけだ。鋼鉄より硬い蛋白を合成する生き物もいるし人類が研究室レベルですら中間体も合成できない薬効成分を持った植物もある。これらが遺伝子解析により合成できるようになる、バイオプラントが実現する公算は高い。
メタンガスを発生させるメタンアーキアや、石油を作る藻類のオーランチオキトリウムなど、生物による炭素固定ももっと種類の研究や、高効率株の分離などがおこなわれるようになるだろう。 トンボの羽の風を捉える能力とか梟などの風切り羽の静音性とかバイオミメティクスは、工業、医療などの産業にも基礎的なアプローチになる。

物理

自然界にある4つの力のうち何故か重力だけが距離による減衰がない。そのため宇宙は力としては弱い重力によって支配されている。アインシュタインは一般相対性理論に宇宙定数をぶっこみまたそれを後悔したりと迷走しているが、現代になり超弦理論や重力波、ニュートリノ、ダークエネルギーあたりの研究がすすめばなにかここらへんで解決できる説明ができるようになるかもしれない。この分野よみきれない。
量子テレポーテーション、量子のもつれとかをつかって光速を超える通信が可能になったり、もしかしたらもしかしたら次元情報伝送とか、4次元ポケットとかつくれるようになるかもしんない。なれ!なったらいいな。

飛行機・船

飛行機が飛んだのが115年前。その頃の飛行機による死亡事故数はとてつもなく多かった。現在の飛行機の事故による死者は鉄道よりも少ない。

飛行機や大型輸送で問題になるのは騒音問題であるが、エネルギーが音に変わって漏れていることにほかならず、それだけエネルギーを無駄にしているということを意味する。
化学プラントが巨大になる原因と同じものがここにはある。流体は流速と流体の粘度、またそれとこすれる表面摩擦係数によって、乱流になるか層流になるかが決まる。レイノルズ数2100(だっけ?)を越えると乱流になってしまって渦巻いちゃってどう流れるかわからなくなるので、管幅を広く、ゆっくり流さなければいけない。これが巨大化や製造効率にも影響してきた。

電車もとんがった流線型のモデルになってきているが、これも高速になればなるほど空気と表面部分の摩擦係数で、進行体の周りに乱流(渦)が生じて騒音になったりエネルギーロスになってしまうからだ。
流体が乱流になってしまうと複雑系になってしまうので化学工学ではとてもじゃないけど計算ができない。できなかった。だけれども量子コンピューターほどまでに演算力があがれば、正確な計算はできなくとも、確率的にこう流れるはずというシミュレーションはガシガシできるようになる。

それが意味するところは、飛行機のジェットエンジンが回すタービンのプロペラの風切り音なども、どんどん無駄なく静音性を増すということだ。100年内に飛行機はひゅんひゅんとUFOのように飛ぶだろう。

船も航行のエネルギーが少なくて済むようになる。複雑に流れる風をコンピューター制御で捉えてその推力を正確に計算できれば、最新の船は実は帆船になるという未来すらあり得る。そうしたらそうだな・・・、海賊王に俺はなる!

自然脅威

地球温暖化は世界的な懸案事項だ。IPCCなんかが驚異を話しあったりしているが自分はちと疑問を覚える。エネルギー消費の無駄をなくしましょうという理念には共感を覚えるが、地球の気候を人間がコントロールできるとは思わないほうがよい。というのもなによりもでかい地球の気候変動の主ファクターは人類ではなく地球、そしてなにより太陽だからだ。

地球の歴史過去300年ぐらいは比較的気候が安定していたが、その300年間でさえ、浅間山や富士山の噴火による天候不順による飢饉はおきている。その前はマウンダー極小期でもっと寒い。寒すぎたおかげで大航海時代や産業革命がおきた。

それよりもっと昔。縄文期より前になると、50年ぐらいで年平均気温が10度ぐらい変わるダンスガード・オシュガー・サイクル(短周期気候変動)になる。50年で10度もの平均気温の変化があった。これじゃ果樹業や林業もままならないよね。人類の大移動は気候変動により発生している。

地球の気候が安定して温暖なのは地球の歴史上は珍しいことであり、その中でも特に安定したこの300年間ぐらい。人類はこのわずかな間隙を縫ってよくもここまで進歩できたものだと関心する。

アメリカさんなぞは進化論すら未だ否定されてしまうので紀元前の話しなぞ無視されてしまってもしょうがないのだが、日本の方は冷静に思い出してほしい。次の100年で地球の平均気温が3度上昇する?まじで?10度上がったら?10度下がったら?
5000年前の縄文大海進の頃、海水面は平均で7メートル上だった。それより前は100メートルも低かったが、どちらもほんのこの1万年の間の出来事である。

日本の都市計画、そんなに局所集中で大丈夫かと思う。約7,300年前に噴火した鬼界アカホヤ火山は九州の縄文文明を全滅に追いやった。約75,000年前のトバ・カタストロフで人類はほぼ数千人という絶滅の縁にまで追いやった。30万年単位の破局噴火まで100年先のタイムスパンで考慮しろとは言わないけど、あと100年もあれば3年ぐらいは人類を飢饉においやる天候不順をもたらす規模の噴火はおきるし、想定はしておいたほうがいい。

海洋進出

経営戦略では経営資源に近いロケーションが競争の源泉になるという。ここでいう経営資源は、販売業であればお客さんであったり、労働資源であったり、生産業であれば原材料やエネルギーへのアクセスである。

はたして次の100年、資源になりうるものはなんであろうか?
かつて空気からパンを作るといわれた窒素固定の技術は、ここに来て大きな変化のタイミングを迎えようとしている。窒素固定も炭素固定も小さいモジュールでおこなえるようになる未来を考えると、資源となりうるのは水や空気、そして太陽光である。その他は地球にほぼ無尽蔵にある元素だ。あとは半導体やバッテリー、太陽光発電などでいくらかの希少元素が必要となる。

これらを解決するロケーションは海洋上である。海底にはコバルトリッチクラストやマンガンノジュールがあるし、素材科学の進歩で鋼鉄以上の強度と経年耐性を持ったバイオプラスチックがつくれるようになれば浮かぶ高層ビルと呼ばれる豪華客船よりも安定なメガフロートを安価に建造できるようになるかもしれない。まさに浮く大陸が技術革新の如何によっては最もロケーション優位になりうる地点だと思う。

宇宙進出

海とくれば宇宙か。 宇宙への実験的移住はあるかもしれないけど、適地生存しようとしたら熱帯で進化したホモ・サピエンスの遺伝子情報は大幅に編集する必要がある。それはもう遺伝的には人類とは別種なので、考えるのをやめた案件。

あれこれ参考

梅崎 昌裕「現代社会に生きる人間の生態」ー公開講座「人間は進歩しているか?」2014
youtu.be/BfoW4Pi0Ekg

鎌田 実「超高齢社会に向けて変わらないといけないこと」ー公開講座「変わる/変える」2013
youtu.be/t4Q_nawaya8


原発論。取り除き難きは正論に紛れ巣食うもの。


原発について大きく声をあげる人たちは放射脳と揶揄されるか、経済的合理性のために一日も早く原発を動かせという人とに大別される。しかし、おおよその人たちは無関心か中庸で、与えられた情報を一様に判断して意見を言うほど単純でもない。

川内原発再稼働の報を聞いて、あー、動いたのかーぐらいの所感ではあるのだが、賛成派も反対派も言っていることに違和感があるので経済的観点を中心にいろいろ資料を漁ってみた。

原子力発電所は運用コストが安いという。しかし、本来、アウトプット(発電量)が一緒なのに仕入れのコスト(ウラン、天然ガス)が異なるのは普通は理由がある。競争障壁が構築されてるか、コストを支払うタイミングが違うかなどである。

自由競争下で供給量が同じであるという前提で考える。
薪の時代に炭が発明されて市場に出回るようになったとしよう。薪よりも炭のほうが燃焼効率も可搬性も優れているので炭の価格はあがり薪の価格が下がる。しかし、価格決定幅には限度というものがあり、おおよその値頃感が市場で形成される。はずだ。

主要燃料の調達先

カナダやカザフスタンはなぜウラン鉱石の取引価格を原油のように競争力をもたせることができないのだろうか?ウランのほうが希少資源であるに?

需要があるのであれば供給者は値段を釣り上げることができるはずである。しかし市場に登場して時間が経つにもかかわらず、価格は硬直している。
価格は硬直する理由はそこが世界的な需給水準であるということだ。原子力は発電コストが安いというが、調達物の単価差が生じている理由は無視していいものでもないし、その価格でいつまでも調達できると考えるのもまずいのではなかろうか。

価格の推移

燃料費調整制度というものがあり、過去3ヶ月分の平均燃料価格が2ヶ月後の料金に毎月反映される仕組となっているため、日本の電力産業は仕入れを工夫しないと言われている。

天然ガス価格の推移(年次)
ecodb.net/pcp/imf_group_ngas.html
天然ガス価格の推移

原油(WTI原油先物) 天然ガス(Henry Hub)先物(NYMEX)
www.rakuten-sec.co.jp/web/market/data/clc1.html
先物天然ガス2年
先物天然ガス二年

先物原油2年
先物原油2年

上記は世界の商品市場の価格の推移(2年)である。

こちらは東電の燃料費調整を含めたモデル価格の推移である。
東京電力 燃料費調整 モデル価格の推移 (2013/1-2015/8)
燃料費調整モデル価格

電気料金の価格変化はベースロード電源としていた原子力発電の稼働が停止したこととに由来するんだそうだ。産業系では電気料金の価格反映にかなりの割合の価格影響が現在もあるようで、経営者の方々からは厳しい話しをよく聞く。

しかし、エネルギー価格は世界的にみればかなりの下落傾向である。(円安で打ち消されているが…)
シェールガスなどでアメリカが輸出に回っているが日本の調達先にアメリカは含まれていない。
安全保障上の問題によるものもあるだろうが、10年単位で調達契約するために価格の変動が発生してもおいそれと変更することがないのだと聞いた。前段の仕入先について工夫しないと言われているのもこれのような羽振りのいい調達に由来する。売価で競争する必要がなければ仕入れを工夫する必要もない。

2015年4~6月期の連結決算は大手電力9社が経常黒字を記録している。

電力需給検証小委員会レポートのまとめ

電力の予備率。関西と九電の予備率は3.0%の試算。9電平均7.0%。東京は予備率11%
川内原発再稼働時の予備率の試算

2014年の実績値ではピーク需要日の太陽光発電は4%、2015年夏季の想定は3% 太陽光は2015年は130万Kwほど減る試算になっている。火力は増え風力は減る試算になっているが、なぜだかは記述がない。
全国需要想定

燃料種類ごとの海外調達比。天然ガスのオーストラリア20.8% とマレーシア16.9%ある。原油も天然ガスもシェールガスやオイルで湧くアメリカからは輸入していない

燃料毎の海外調達比

原発の燃料費は年0.3兆円との試算のようだ。燃料費増3.4兆円増、内LNGが+2.5兆分。先の国別比率で考えるとオーストラリアとマレーシアで0.9兆円換算
燃料費増加

予想外に太陽光発電ががんばっている。予測では3%となっているが、買い取り制限をおこなわなかった場合は今年度分は5-6%ぐらいまで見てもいいのではなだろうか。というか3%想定は何か意図を含んでいると勘ぐられてもしかたない数字なのではないか?

英国の原子力発電動向

川内原発再稼働について英国の在日大使館が歓迎する旨の発言をしているのはなかなかに趣深いので、英国の原子力発電所についての歴史をまとめておく。

英国の原子力産業の動向

1947年 原子爆弾で使用する兵器級プルトニウム生産のため原発建設(最初)
1995年 サイズウェルB原発建設(今のところ最後)
1997年 プルトニウムとウランから混合酸化物(MOX)燃料を輸出用に工場建設
1998年 英国核燃料公社(BNFL)ウェスティングハウス・エレクトリック社など買収
2001年 MOX燃料工場操業認可
2002年 ブリティッシュ・エナジー財政難
2003年 イラク戦争開戦 原油価格高騰
2003年 政府原子力発電所の新設を支持せず、廃炉に優先順位を移すことを決定、BNFL見直しに着手
2005年 MOX燃料輸出用に燃料集合体を製造
2005年 BNFL 原子力廃止措置機関(NDA)に移管開始
2005年 再処理工場THORP漏えい事故発生2018年閉鎖されることが決定
2006年 BNFL所有のウェスティングハウスを東芝に売却(54億ドル約6600億円)
2008年 英国内原発新設計画浮上(ティム・ストーン氏主導)
2008年 EDFがブリティッシュ・エナジー買収
2009年 セントリカ社ブリティッシュ・エナジーの株式20%を23億ポンドで取得
2009年 BNFL正式に解散
2010年 再処理工場の顧客として残っていたのは日本の電気事業者のみ
2011年 福島原発事故
2011年 福島原発事故を受けて、再処理工場を閉鎖

2015年 [現在] 日本の原発再稼働を歓迎の声明

2018-19年 現在稼働の6基廃炉予定
2023年 現在稼働の8基廃炉予定、新設しなければ全て廃炉 35-47年で廃炉

英国原発

※同年度は別の時系列から拾っているため前後関係はあやふや。

2003年から2008年のイラク戦争を契機に方針を180度転換し、原発路線に切り替え投資を加速させた先の福島事故であった。やはり中東の問題、イラク戦争の総括をなしに、あれこれ進んでいくのは危険だねとは思う。余談だが2015年はイラクが経済的にも強い注目を集めている。

他国の原子力動向

2030年における原子力発電の見通し(IAEA)

2030IAEA原発見通し

【米国】
2012年には34年ぶりに新規建設計画を認可。現在21基の新設が計画されているが、シェールガス革命と電力需要の伸びの鈍化の影響により、計画遅延。

【ドイツ】
2002年に脱原発法を制定、福島第一原発事故後に原子力法を改正、古い原発を即時
閉鎖。
【スイス】
2011年5月「エネルギー戦略2050」安全技術の寿命に至るまで運転を認める段階的な脱原発

【ロシア】
「エネルギー戦略2030」に基づき、2030年までに原子力比率(発電電力量)を現在の16%から25%~30%に高める
プーチン大統領も28基の新設を表明

【フランス】
2012年に原子力比率(発電電力量)を75%→50%へ低減し、最古の原発閉鎖を表明するも、原発1基の建設を続行。

【英国】
2013年に電力市場改革を決定し、原子力にも固定価格買取制度(CfD)と債務保証を導入。中国資本も受入れ、2基の新設が決定。

【中東】
UAE 2008年包括的な原子力政策に基づき、10数基を建設予定。
サウジアラビア 2010年の国王令、今後20年間で16基新設する予定。

【インド】
2012年に「第12次5ヶ年計画」を決定し、2030年までに約6,000万kWに達する見込み。

【韓国】
2035年までに約18基建設し、約4,400万kW、原発比率(設備容量)を29%とする。

【中国】
2020年には約50基増、8,800万kWとなる見込み

感想

中国、インドが原子力発電でも存在感を増す感じ。
燃料費が騰がったのも、CO2削減をしなければいけないのもインド、新興国のエネルギー需要を抜きには考えられない。インド、ロシア、中国で計画通りの原発の新設が続くと、ウラン調達でも日本が買い負けるっていう事態がでてくるんじゃなかろうか。

エネルギーの調達に関しては、本当にまずい調達をしているなと思う。安全保障上も経済上も合理性はあまりあるようには思えない。エネルギーの輸入元はポートフォリオとして分散するべきであるならば、調達国もある程度は分散するべきなのではないだろうか。

英国は稼働から35年もまたずに廃炉にしているのを知った。
他方日本は国内の原発で廃炉が完了したものは1基もないそうである。
54基もあるが、2000年以降に運転開始をした原発は下記の5つのみである。

2002年1月30日女川原子力3 号
2005年1月18日浜岡原子力5 号
2005年12月8日東通原子力1号
2006年3月15日志賀原子力2 号
2009年12月22日泊3号

他、いくらなんでも古すぎるだろう。
事故をおこした福島原発の稼働年数40年というのもそうだが、稼働から30年経った川内原発を運用のために再稼働というのは、30年前の船舶、30年前の飛行機、30年前の電車をまだ減価償却が終わらないからと運用をひっぱるようなものではないだろうか。科学技術の進歩を考えれば、もはや遺跡に近い。
正常系で終了したことがないというのは、国内の技術では正常系で終了させることができないのではないかという疑念も覚える。
この30年でおきたことは溶鉱炉のようなものですら小型化、モジュール化、省エネ化であり、原子力産業を輸出するにしても、、、、まぁ難儀なことだなとは思う。

参考、引用元データなど

夏の電力に余裕がある理由の一つはやっぱり太陽光発電にありそうな件
d.hatena.ne.jp/tei_wa1421/20150808/power

電力需給検証小委員会 報告書 平成 27 年 4 月 総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_jukyu/pdf/report04_02_00.pdf

クリックして20130702japanese.pdfにアクセス

www.gov.uk/government/world-location-news/japans-nuclear-restarts-message-from-british-ambassador.ja

関西電力と九州電力も黒字に、電力会社10社で第1四半期に4700億円の増益

www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1508/03/news032.html

NHKニュース 川内原発1号機 再稼働
www3.nhk.or.jp/news/gad/tokusetsu/sendai20150811.html

総合資源エネルギー調査会 原子力小委員会第3回会合 参考資料1 平成26年7月
www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/denkijigyou/genshiryoku/pdf/003_s01_00.pdf

エネルギー価格の動向について 平成26年11月 経済産業省
www.cas.go.jp/jp/seisaku/energycost/dai1/siryou1.pdf

東京電力 過去の燃料費調整のお知らせ一覧
www.tepco.co.jp/e-rates/individual/fuel/adjust/backnumber/menu-j.html

東京電力 平均モデルの影響額(手動でスクレイピング2015/8-2013/1)
7,724円 7,936円 8,240円 8,519円 8,501円 8,562円 8,481円 8,417円 8,388円 8,402円 8,423円 8,477円 8,509円 8,541円 8,567円 8,541円 8,111円 7,963円 7,873円 7,847円 7,894円 7,946円 8,004円 8,004円 7,978円 7,920円 7,804円 7,636円 7,415円 7,284円 7,273円 7,342円

全国54箇所の原発の発電力量と寿命
www.ecoichi.com/setsuden/nuclear/nuclear_power_station.html

電力9社が経常黒字 4~6月、燃料費10社で34%減
www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXLASDZ31HLY_31072015TJC000


木に隠されたフィナボッチ数列をもとに太陽光パネルを配置した少年の物語



こんな記事を読んだ。

13歳の少年が画期的な太陽光発電モデルを発表し注目を集める
米・ニューヨークに住む13歳の少年が、今までにない画期的な太陽光発電のモデルを発表して注目を集めている。従来の発電パネルは平面のものが一般的だったのだが、彼が発表したのは、木の枝葉をモチーフにした発電モデル。これにより従来型のものよりも20パーセントも効率的に発電できるという。

さらっと、フィボナッチ数列に基づいて太陽光パネルを配置したとか書いてあるけど、それが難しいんじゃまいか?どうやってやったのか気になったので原文をあたってみた。すげぇ詳しく書いてあった。
語調から、もしかしてと思うのだけど、これを13歳が書いたとか???ま、まさかね・・・。

The Secret of the Fibonacci Sequence in Trees
メモがてら、スクラップしておきます。

フィボナッチ数列

Fibonacci added the last two numbers in the series together, and the sum became the next number in the sequence. The number sequence started to look like this: 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34… . The number pattern had the formula Fn = Fn-1 + Fn-2 and became the Fibonacci sequence.

フィボナッチ数

1.618. The number “phi” is nicknamed the “divine number” (Posamentier).

黄金比
フィボナッチ数列の隣り合う 2 項の比は黄金比に収束する
1:1.618、約5:8

1754, a naturalist named Charles Bonnet

On the oak tree, the Fibonacci fraction is 2/5, which means that the spiral takes five branches to spiral two times around the trunk to complete one pattern. Other trees with the Fibonacci leaf arrangement are the elm tree (1/2); the beech (1/3); the willow (3/8) and the almond tree (5/13) (Livio, Adler).
(略)
I built a test tool to measure the spiral pattern of different species of trees. I took a clear plastic tube and attached two circle protractors that could be rotated up and down the tube.
(略)
I collected samples of branches that fell to the ground from different trees, and I made measurements. My results confirmed that the Fibonacci sequence was behind the pattern.


写真をみて、溶接したのかよ! ・・・とおもったら透明のプラチューブだそうだ。対象比較の太陽光パネルは45度設置(家の南向きの裏庭)、それぞれのモデルをデータロガーで電圧計測、それをPCについないでグラフで観測
す、すげぇ・・・

The tree design made 20% more electricity and collected 2 1/2 more hours of sunlight during the day. But the most interesting results were in December, when the Sun was at its lowest point in the sky. The tree design made 50% more electricity, and the collection time of sunlight was up to 50% longer!

す、す、すげぇ。

写真を見ると、白い壁の側。通常設置のパネルは壁の反射光は入らないが、木のほうは壁からの反射光も無視できないのでは?冬場は50%も効率があがったとのことだが、NY程度の緯度であれば冬場は太陽の位置が低くなるので、45度設置の通常モデルでは受光面積が少なくなったとも考えられる。

この子がやったように、その土地に生えている木の固有のフィナボッチを洗い出して、それを模して実証実験に移って欲しい。1年かかる。常緑樹じゃないとダメなのかな?
なんかそのうち針葉樹の葉っぱ(松とか杉みたいな)てきな太陽光パネルがつくられるんじゃないかと予想。

量子ドットの太陽光パネルも光を漏らさないようにする木のように、電子を漏らさないようにしているのだからマクロ、ミクロ横断的に無駄を科学するのが21世紀流なのかもしれませんね。
「日経ビジネスオンライン」 「量子ドット」究極の太陽電池目指す ナノ単位の技術で、変換効率80%うかがう
こういう、変換ロスみたいなのが複雑系で科学されまくると、ヘリコプターみたいのもすごい少ないトルクで空飛べたりするんじゃねぇかなとか思ったりする。

そんで、そういうのが進化して何千年も経つとエネルギーを外に漏らすまいと、カーボンナノチューブに覆われたような漆黒の惑星になるんだね!

謎の黒い惑星を発見…光を99%以上吸収
 光のエネルギーを99%以上吸収してしまう、石炭より黒い惑星を米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究者らが発見した。

 惑星の大気に光の吸収を促す物質が存在するとみられるが、それだけではこの黒さを説明できず、大きな謎として話題を呼んでいる。英国王立天文学会がホームページで発表した。

 「黒い惑星」は木星ほどの大きさ。地球から、りゅう座の方向に750光年離れた恒星のそばを回っている。科学者らが、米ケプラー衛星が観測した光の反射率データを調べたところ、ほとんど光を反射しない「黒い惑星」を見つけた。

 恒星の光を吸収しているため、惑星の大気の温度は1000度以上に達し、吸収熱で表面はわずかに赤みを帯びている可能性もある。大気には、光を吸収しやすいナトリウム、酸化チタンなどがあるとみられる。

(2011年8月16日13時59分 読売新聞)