消費税込みの価格で商談したら納入業者がなぜ喰われるか。消費税があがると納入業者がどのような不利益を被るか、官僚や政治家は商売をやったことがない連中ばかりで肌感覚としてわからないというので、「マジでか!?」と思いながら、自分も小売や卸しをやるまで知らなかったこともいっぱいあるので、商習慣をふまえて書き起こしておこうと思った。
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この、なぜだか増えた分が消費税転嫁分だ。商売の取引上発生した端数が力関係で転嫁される。本当にチョコレートが増えたと思ってるひとは減らないチョコレートを生計でもたてればいいんじゃないかな!
最近、自民党のカフェスタを見ている。築地のおじさんが面白くて、あれこれ見漁ったのだ。ずぬけて、おもろい。現段階でどのアーカイブも3桁なのは寂しすぎるが、月曜日カフェスタは面白いのでおすすなんだぜ。
で、掲題の消費税の話しになる。
マスメディア側の報道でしか知らなかったので、なんで消費税還元セールはダメだとかわざわざ国会でやってんだ、ナンセンスだなーと思ってたのだけど、こういう狙いがあったのね。
「消費税は還元するものではなく収めるものだ」とか、そんな馬鹿げた発言ばかり取り上げられてたから、意味わかってなかった。八百屋の仲卸(国会議員 平将明氏)と、魚屋の仲卸(築地魚河岸 鈴与三代目 生田よしかつさん)、卸売業のひとたちの話しを聞いて、うわぁ、そのレベルでの話しなのかと驚いちゃった。でも、消費税転嫁うんぬんは、メディア報道をきいても小売業でもピンとこなかったので、商売やったことないひとにはさらに伝わらないんじゃないかと思ったりもした。
日本がこういう商習慣になっているのは、量販店などが絶え間ないロビー活動やら収賄政治の輝かしい成果なのだとおもっていたのだけど、単純に政治家や官僚に商売体験がないからというしょうもない理由が主たるところだったりだとするとひっくり返って泡吹いちまうよ。
パンが無ければケーキを食べればいいじゃないとか、サービス残業が嫌なら職業選択の自由があるんだからヤメればいいじゃないとか、マグロが仕入れられなければ他から仕入れればいいじゃないという、どうしようもなく初歩的なつまずきが経済のボトルネックになっている可能性を知り愕然としている。利益誘導でわざとなんだと思ってたのだが・・・
ブラック企業とよばれ労働者にその負担をつけ回すか、出入り業者につけ回すかが競争優位の源泉にしかならない産業が中心であれば、発展どころか循環可能な経済にはなっておらず終わっているのだが、もしかして、制度疲労の原因って、チョコレートは増えるという幻想をかかえちまって制度設計がされているからなのかも。化学の反応経路でもそうだけど、系の途中でエネルギーが抜け落ちないことはないからね!?
「5%買って、5%負けてを繰り返すと元本(資本金)はどんどん減っていく。」 金融トレードだと、このように言われたりする。
これが直感的に理解できるか理解できないかは、人によってわかれるかもしれないが、念のため説明すると、例えば種銭を100円でスタートして、5%増えると105円だけれども、105円から5%負けると95円ではなく正確には94.75円になる。だから、これが5%増えても99.4875円にしかならない。
端数なので四捨五入すれば100円だが、目に見えないところで細かく零れ落ちるところがあるところをわかってもらいたい。この僅かな量が、商品の卸しや、金融商品のような一回の取引額がおおきくかつ何度も反復される取引においては影響が甚大になっていく。
元本×(1.05)×(0.95)
元本×0.9975のn乘
=$A$1*(1+$A$2)*(1-$A$2)
という計算をループさせてみよう。
このような取引を繰り返していくと、この僅かであった影響が大きくなり、5%利益だして、5%損してを繰り返すと、この取引の42回後には元本は90円を切ることになる。276回の往復で100円の元本は50円を割ってしまう。この往復利率が10%であった場合、わずか10回で元本は90円を割り、69回で元本は半分になってしまう。
小売の卸し取引は、お客様への価格を上代といい、卸が扱う価格を下代という。
慣例上、下代は「掛け率」なるもので表さることがある。「8掛け」とか「6掛け」と呼ばれる。たとえば「8掛け」の場合、上代100円の商品に0.8をかけるという意味になる。つまり、上代100円の商品を80円で卸しますよということだ。取引の価格交渉の場合この掛率、割引率の交渉になる。
小売人は80円で商品を仕入れて100円で売ることで利益をあげ、その利益のなかから販売に必要な経費(家賃や人件費)などを出していく。商品を8掛けで仕入れている店があったとして、月の人件費を20万円家賃光熱費あわせて20万だとすると、最低限の経費を捻出するためには、最低200万円の売上が必要となる。卸になるともっと薄利多売なので必要な売上は小売のおよそ10倍ぐらいになる。100円のジュースを60円で仕入れて売るのが小売、100円のジュースを24本入りの箱単位で仕入れて一個あたり50円で買って60円で小売に売るのが卸しっちゅうような感じだ。
さて、このような商習慣に消費税がはいってくるとどうなるか。
みんな大好き「うまい棒」で考えてみよう。
うまい棒は消費者は内税10円で買うことができる。
消費税5%でこの時の本体価格は9.5円になる。消費税相当分は0.5円だ。
仕入れは8掛けで一本あたり8円で仕入れたとしよう。
この8円が内税であれば、本体価格は7.6円になる。
卸はこの「うまい棒」の単価を8円でおろすのか7円でおろすのかで、利益が大きく変わってくる。もともと薄利なので利益を割り込むかもしれない。
なので卸は一本あたりを内税で処理して価格をつけることができなくなり、外税にして最後に消費税計算をしたり、バルクや1ロット、もしくは一箱でなんぼという明細にするよりない。
割り算と掛け算は順番を変えても問題ないというのが許されるのは学校のテストまでだ。
税抜き価格X円のものを4掛けでN個買うのと、税込価格Y円のものを4掛けでN個買うのは…
(X*1.05)*0.4*N=(Y*0.4)*N*1.05
XもYも、いっしょでしょと。
そんな奴は無限にチョコレートでも食ってろ! と・・・。
実際には round(round(X*1.05)*0.4)*N ≠ round(round(Y*0.4)*N*1.05)
こんな感じに小数点以下の丸めがはしるし、交渉でXやYに値引きのDC(ディスカウント)が%で入ってくるんだから
結果は、ちがうよ、ちがうよ!全然ちがうよ!!
科学系のひとたちは有効数字の桁数を気にするし、丸めのタイミングを気にする。
とくにそれが指数の基数になるならなおさらのことだ。商売人も同様だ。
古典的には銀行口座に振り込まれるべき端数をピンはねしたサラミテクニック(サラミのように薄く切ってしまえば一枚抜いてもわからない)と呼ばれるようなハッキング方法や、スキャルピングとよばれるような薄皮でも十分な利益がだせるのは、端数にレバレッジが効かせて集塵できるからだ。卸や量販というのはレバレッジを効かせた商売といっていい。
もし端数の”まるめ”に四捨五入というルールを採用した場合は、同率の負けと勝ちを繰り返すことになる。
勝率が同じであった場合、それが反復継続すれば説明したとおり元本はわずかな取引回数であっという間に利益率を割り込むちゅうわけだったのさっと。
長く書いたわりに・・・あまりうまく説明できた気がしない。
*参考~
www.jimin.jp/activity/movie/0ch_cafe_sta/index.html