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  • 大前研一 向研会 2014年経済総括のまとめ

    動画でみた。相変わらず賛同できるできないは別にして、それなりにフックのある情報もあったので、数時間聞き流して、気になったところだけメモった。まんま公開。
    https://www.youtube.com/watch?v=h7X_vbexeaY

    ちなみに、この動画は、旅人 (id:Fancyfree)さんのところのブログで知った。
    http://traveler.hatenablog.com/entry/2014/12/19/%E5%A4%A7%E5%89%8D%E7%A0%94%E4%B8%80%E3%81%8C%E8%AA%9E%E3%82%8B%E3%82%A2%E3%83%99%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%8C%E5%A4%B1%E6%95%97%E3%81%99%E3%82%8B%E7%90%86%E7%94%B1%E3%81%A8%E5%AF%BE

    選挙の必要性

    経産省主導の内閣に対して、財務省が主導する増税派がマジョリティになった。
    自民党の内を締め上げるためにおこなわれた選挙。飯島薫堂(?)発案。
    来年になると経済指標が悪くなるので今年中に選挙をおこなわれた。

    低欲望社会

    コストオブキャピタルがゼロになってもお金が動かない。心理のほうが経済に大きな影響を与える。
    本田さんに紹介されたクルーグマンが確実にこのタイミングでやると言えば影響がないとわざわざ言いに行った。

    ハイパーインフレに向かう

    20世紀の経済政策が日本ではまったくなりたたない。円高で日本の購買力が30%落ちた。ピケッティの結論は資産のほうが金利より上にいくのが21世紀の結論だが日本ではあてはまらない。
    1.56%の35年フラット固定金利でも借りる人が殺到しない。
    人口減で政府債務を返す人がいなくなるのでデフォルトかハイパーインフレ。
    極端な歳出削減、増税、戦争の3つだけ。先進国は戦争という手段がとれない。
    この道しかないが目指す道はハイパーインフレ。

    地方創生について

    地方創生が政治課題になるのは日本しかない。これは票が歪んでいるから。
    田中角栄以来やっているが途上国でなくなってからは効果がない。
    普通はアーバン(urban/都会的な)プログラムが国としてのナショナルアジェンダ。
    担当にさせられている石破は貧乏くじをひかされた。

    日本株の上昇は生活に影響しない

    個人資産の85%を株にしているアメリカと違い日本人の資産はほとんど株で構成されていないので、株高が消費に影響しない。

    中国

    虎もハエも叩く。狐。習近平大変。
    日本やフィリピンどころじゃなくなっている

    国家とは何かが問われた

    独立が活発化
    英国:スコットランド
    スペイン:カタルーニャ
    デンマーク:フェロー諸島、グリーンランド
    ベルギー:フランドル地方
    カナダ:ケベック
    米国:ハワイ
    ウクライナ:クリミア、ドネツク
    中国:香港
    イスラム国

    経済成長

    主な国のGDP推移(ドルベース)
    中国と日本の差2.2倍になった。
    ドイツが日本においつきそう。
    日本は下落中。
    すべての世代で可処分所得が減少している。

    ハイパーインフレ

    格付けが一斉に下がったタイミングか、CDSが踏み上がったタイミング、あとは九州あたりの政治家のうっかり失言。
    高齢者:非常に苦労する。年金受給者はフローを生む不動産などにチェンジ
    若い世代:借金して稼ぐ力をつける。
    企業:手元資金を現金でおいていたら地獄を見る。外国債や外国の株。
    政府:統治機構を変えるしか無い。国鉄清算事業団のように半分を国にのこして道州に半分づつ移して、創意工夫でやるしかない。国一本では無理。
    移民:絶対に必要。景気刺激をしても人が居ない。

    対策

    税金を使わない景気刺激策。容積率を倍にする。
    23区平均136% 山の手平均236、パリ350%、ニューヨーク631%、マンハッタン1421%
    日照権廃止。日照権があるのは日本と韓国と香港。共産党の人がつくった権利。

    地方創生について

    地方自治体はない。地方公共団体があるだけ。三権がない(立法権、行政権、徴税権)

    個人的さみだれ感想

    今年のトピックは国という形の兆しと変容かな。
    クリミアやイスラム国のような暴力装置の発動を含んだ実力行使はもちろんのこと、香港やスコットランドでの出来事は看過できない兆し。マウントゴックスの破綻で始まったビットコインも今年の出来事だ。

    日本の場合は社会保障への不安が増した一年でもあったように思う。国民の資産1500兆と国の債務1500兆が今年ぐらいでバランスするので、こっから先は国外に求めるか、バランスをゆり戻すしかない。国民資産を積みますか、債務の増えるスピードを減らすかだ。確かにハイパーインフレの目はあるだろうが、マイルドにインフレする道も個人的にはのこっていると思う。ただし回復には30年。その間、ちくわも食えねぇほどの重税下を生き抜かなければならない。このままいけば。

    国という枠はやっかいなものだ。巨躯になればなるほど防衛に維持にコストがかかるようになる。
    上空1万メートルを飛んでいた飛行機が撃ち落とされる。一発1ドルのレーザー砲で一機100億する戦闘機や数千億する戦艦が危機にさらされる。数百艘の武装もしていない漁船。数十ドルもしない火器が何百人もの子どもたちの未来を奪う。積み上げられた安心と安全を突き崩しにきている。従来は3倍の兵力がなければ戦果を得ることはできなかった。しかし、911以降、戦果を求めない暴力が低コストで実行されるようになった。これら自爆的な暴力から完璧に身を守り続けるのは困難だ。このコストはあがりつづける。

    他方、攻めるというオプションは割にあわないので先進国から選択肢としては奪われた。かわりに購買力競争は苛烈を極めるようになった。稼げる企業はその国で税金を落とさなくなって、国同士でどうやって税金を払わせようかと競っている。

    生産力の問題。移民という発想しか出ないのもわかるが、時代は人間とロボットどちらが安いかだけのP/Cだ。途上国労働資本が安い時代はそうであったかもしれない。が、将来はわからんではないではないかと個人的には思う。それよりも老齢化だ。年齢階級別の人口動態は明らかに日本という国が年寄りになっていることを知らせている。若い細胞がないのだ。いつまでも若いつもりで暴飲暴食をする脳みそに体(国民)がついていかない。景気刺激と筋トレをしたところでもう年寄りなんだ。冷水にしかならない。

    さみだれ感想。

    おまけ

    ◆トマ・ピケティ(山形浩生/守岡桜/森本正史訳)『21世紀の資本』みすず書房、2014年12月

  • 線をひけばすぐわかるヴォイニッチ手稿のイラスト

    いきなり結論。

    こんな珍妙な形の植物は存在しないので、
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    このように 線をひけばいい。

    7

    ただの時系列での観察スケッチじゃねコレ?

    7-voi
    以上。これが見てすぐに気がついた所。

     

    ヴォイニッチ手稿とは

    400~600年ぐらいまえに書かれたと考えられている謎の植物と文字で構成された、未だに誰も解読していないという謎の奇書ヴォイニッチ手稿。かの天才ノイマンも解読に失敗したんだとか。だがしかし、その文字列の繰り返しの出現頻度やアクセントの付け方が音楽のシンコペーションっぽいので演奏手法が併記された文字譜、つまり、これって楽譜じゃねぇのと以前ブログにちろりと書いた
    同じように、挿絵のイラストを眺めてたら比較的にすぐに気がついたことがあるのだけど、ま、これまた大した事とも思えなかったので、そのままにしてたんだけど、最近新しいヴォイニッチのページが復元されたとかで、それを見た人が「これって絵が下手なだけじゃねww」なることが言われているのを見かけたので作者故人に成り代わり反論いたしたく候。

    作者の観察眼と知性

    作者は絵が下手なわけではない。写実的な表現ではないので美術的な評価は得られないだろうが、うまいと思う。なんで上手いのかをこれから説明いたすでござる。イラスト部分。本編は何パートかに分かれているが、後半にある12星座のパートからみていきたい。ここではイラストは附則的につけられていて、植物のパートに比べると かなーーり小さく 雑 に描かれている。
    ここで注目するのは魚座の魚と山羊座のヤギの絵だ。
    星座パートに書かれているスペイン語っぽい単語の綴りを見るべく絵を拡大したときにあることに気がついた。

    これは主題が魚座や山羊座の星座であるので、魚は魚と認識できる程度でよいし、ヤギはヤギと認識できる程度でよい。絵はおまけだ。
    しかしながら、魚というモチーフを書こうと思って描いたのであろう絵を見てみると、魚には鮭(マス、鮭に代表されるサケ目サケ科)と思しき生物学的な特徴があることがわかる。立派なくちびる、くちばしと、そして背びれと尾びれの中間にある脂ビレだ。

    1

    脂鰭(しき・あぶらびれ)を持つ魚類は少ない。(wikipediaによればサケマス類やナマズ類、カラシン類だそうだ // 正真骨下区(Euteleostei)の8目 http://salmon.fra.affrc.go.jp/event/column02fin/column02fin.htm )

    そしてこちらはヤギのイラストだ。
    このような小さな絵の殴り書きであってもウシ科ヤギ目の特徴である「ケヅメ」がきちんと書き込まれている。

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    イラストを見てわかるようにこれは静物写生ではない。観賞用の美術作品でもない。

    だが、魚のイラストで脂ビレを描く、ヤギを描くのにけづめを書く。いくらそれが生活の身近にあったものだとしてもイラストを描く訓練をうけていないものが描いているのだ、普段からの観察眼とそれをイラストに再構成する力(抽象化力)をそれなりにもった描き手だということがわかるだろう。これらが創作上の偶然ではないことは2匹の魚のヒレの数が揃っていること、すべての足に蹴爪がついていることからも十分に推測できるだろう。このような人物の出現割合は現代の平均的な日本人に照らし合わせても上位5~10%程度には相当するのではないだろうか。手本をみせず「鮭を描いて」と、中学生の一クラスの子どもたちにお願いしたら、パック入り切り身を描く子より脂ビレを描く子の方が多いとはとてもではないが思えない。

    14~16世紀のような生物門の体系化が終了していたわけではない時期にこれを記せるという背景を鑑みて、描き手に相応の知性があることを伺わせるに十分である。馬鹿じゃぁない。そして絵が下手なわけでもない。

    ありえない植物がなぜ描かれたのか

    さて、描き手の知性は標準以上。そして、科学的な観察眼がある人物だと仮定しよう。異論はあるかもしれないが、まず仮定だ。
    作者は観察眼があって、標準以上の知性がある人物だぞ。っと。
    それを踏まえたうえで、あらためて「ありえない植物」のイラストを見てみる。

    植物学者が「こんな植物は実在しない」と言明するのはなぜか、または逆にこの程度のイラストなのに明言できるのは何故か。答えはシンプルだ。花の特徴から同定できる植物と、葉の特徴から同定できる植物が既知のそれと異なるからだ。言い換えればこんな植物は存在しないと言えるほどに植物特徴が列挙されているとも言える。

    これは最初のほうのページにある植物のイラストである。
    こういう植物は一見ありえそうである。

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    http://www.bibliotecapleyades.net/ciencia/imagenes_manuscrito/manuscrito006.jpg
    (線をみやすいようにトーンカーブを弄ってあります。)
    花が伝える特徴、立ち上がった花弁、飛び出た雌しべはユリの花の特徴を抑えている。

    では、現代の人たちが美術的に描いたユリの花をみてみよう。
    検索キーワードは「百合 日本画」で画像検索してみる。
    参考までにスクリーンショットを貼っておこう。
    4
    https://www.google.co.jp/search?q=%E7%99%BE%E5%90%88+%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%94%BB&espv=2&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=UaaJVJvyOuO-mwWIiIDYCA&ved=0CAYQ_AUoAQ&biw=1920&bih=842
    なんで「日本画」というキーワードが追加されているかについては、お察しください・・・百合で検索するとえらいことになるんよ。

     

    比較して気がつくことはあるだろうか?
    そう。葉っぱが違う。

    ユリ目は「単子葉植物綱」である。しゅっとした細長い葉っぱが特徴である。現代でユリを描いた人々は誰しもがそのように葉も描いている。
    だが、ヴォイニッチ手稿のユリのイラストではまあるい葉っぱとなっていることに気がつけるだろうか?

    ユリは単子葉植物綱、ユリ目、ユリ科、ユリ属の植物である。ユリ網と現すこともあるほど単子葉植物綱の代表的な植物である。その代表的な植物がなぜに双子葉植物綱のような、網レベルで違う植物の葉をつけているのだろうか?
    花が伝える植物としての特徴と、葉が伝える植物としての特徴がまったく異なりすぎている。尖った花弁に丸い葉??
    さらに根の部分。ユリ根、食されたりすることでも有名であるが、ユリは「球根草」である。これどうみても球根ではないよね。まあ同じユリ目のヤマノイモ科の根とみることもできるかもしれないけど、だとするとこんどは花に芋の花の特徴がない。つまり異なる特徴を同時に持つこんな植物は普通に考えればデタラメなのである。

    継ぎ植物

    しかし、前提を思い返して欲しい。これは特徴を書き表すことができる聡さをもった人物が書いた絵なのだ。
    「この絵のおかしなところはどこだい?」と、師匠から問われているのだとする。
    あなたはなんと答えるだろうか?
    「お師匠、この絵は花と葉では特徴がまるで違います!」
    ここまで答えて及第点なのではないだろうか。
    まあ、そんな弟子へのクイズ用にお師匠さんが夜なべしてつくったイラストかもしれないが、それにしては凝りすぎているので、もう少し踏み込む必要があるだろう。

    花がユリと同定できるレベルに特徴を平面に再構成し、葉や根も花の特徴とは結びつかないことがわかるように表現されている。
    そうわかるように描かれているのだと仮定しよう。
    つまり、この絵が書き記したものが全て正しいと仮定して、どうしたらこのような植物が実在するか、できるかについても考えてみようではないか。

    花と葉の特徴が一致しない。そんな植物はありえるのか?

     

    ある。

    1花と葉を「継げ」ばいいのだ。
    もしかして、これは「継ぎ植物」のイラストではないだろうか?

    つまり、この絵にはここに線を引くことができる。
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    そう新たな仮定を持って、再びその他のページを眺めてみよう。
    新たな発見はないだろうか?
    あるページに、こんなデタラメな根を持つ植物のイラストがあった。

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    http://www.bibliotecapleyades.net/ciencia/imagenes_manuscrito/manuscrito075.jpg

    気持ちの悪い根だ。こんな根っこはみたこともない。存在しそうもない。まさに異世界植物ww
    なるほどね。
    でも、聡い人物が観察可能なものを描いたのだと仮定したとすると、絵への感想もかわってくるはずだ。
    いったい何を描いた絵なのだろうか。何を抽象化し再構成した絵なのだろうか?

    根の部分をよくみてみよう。
    なんだろう、この生えかけの芽は。
    右に行くほど、伸びている?

    もしや、これはパラパラ漫画よろしく、時系列を表現するイラストを一枚の絵に再構成したものではないだろうか?
    時間経過をつなげてひとつの植物にまとめてしまっているので珍妙な形状になってこそいるが、これも線をひけばすぐわかるのではないだろうか。
    線をひいいて現代風にしてみよう。

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    我々が慣れ親しんでいるコマ割りに変換するだけで、これが何を書かんとしたのか、どのような意図で書こうとしたのかがわかるようになったのではないだろうか。

    なんでつなげた!と説教したくもなるが、「色をぬるときにめんどくさかったから繋げたった」ぐらいのものなんだろう。400年前の人間なんだ、悪意があるとも思えない。現代人がそう見ることに慣らされているイラストの体裁なぞの常識が400年前の人間に通じるわけもあるまい。この作者が創意工夫をして時系列観察図をこのような独自形式を発明したうえで記したのだ。むしろがんばったね作者と褒めてやるべきだ。下手くそと言われようとも、何人かはわかってやらなきゃダメよダメダメ!

    こうやって改めて見ると切られた茎が再生途中に花が継がれた時系列のイラストと見ることはできないだろうか?
    観察眼がある人間が書いたとわかれば、同様に他のページもいろいろと発見することができる。意味のわからない文字列に注力し惑わされてはいけない。

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    http://www.bibliotecapleyades.net/ciencia/imagenes_manuscrito/manuscrito139.jpg

    ブドウの取り根

    前にも書いたけど、こういう気持ち悪い一見意味のわからない絵のだって、女の人達がワインをつくるためにやるブドウ踏みの絵なのではないかと思う。ブドウというなら、この血管のパイプみたいなやつは、「取り根」(もしくは「取り木」)なんじゃないかとか。いろいろ類推できるようになると思うのです。

    ブドウは挿し木のように切り口を土につけてやることで根を再生して株を増やすことができるのだが、茎を切らずとも外皮に傷をつけてやって、絵のように茎の途中で植木鉢のようなもので覆ってやると、茎の途中から根が再生する。挿し木のように切ってから根がつくかわからないというリスクを犯さずにブドウの苗を増やすことができるわけだ。

    ぶどう盆栽 「小川式鉢植えぶどう育成専用パイプ棚」

    http://blog.livedoor.jp/gospel_ogawa/archives/cat_32070.html

     

    キウイのとり木

    http://e.gmobb.jp/siki-sora/sasiki.html

    右上の蜂の巣みたいなのはとてもブドウには見えないが、ブドウのピクトグラムが丸いつぶつぶになったのは現代人がそれをブドウだと認識するアイコン表示に慣れているからだ。現代に流通しているブドウ以外にもいろいろな種類のブドウがある。
    最近すこし見かけるようになってきたマニキュアフィンガーとか、欧州系ブドウのマリオとか、こういう形をしたブドウの房は現代でもまあ見かけないでもない。(それが、どんな形か気になるひとはぐぐれ)
    現代人の我々は房切りされて形を整えられたブドウを見ていることを思い出さなければいけない。

    http://thebeast.com.au/wp-content/uploads/2010/10/wine-grapes.jpg ワイングレープ

    植物キメラ

    こうやって全体をあらためてみると、ヴォイニッチの著者は継ぎ木とか、挿し木とか、その手の研究でもしてたのかもしれないなとおもえてくる。
    いってみれば実験ノート。
    STAP細胞のあれこれで話題になりましたが、あれは動物の細胞外環境からのストレスで初期化をどうこうというものでしたが、生物学の歴史を愚弄しているとまでいわれたその歴史を数百年遡れば植物は細胞外環境からの刺激で分化状態を初期化できるというのが大発見だった時期があったわけです。例えば人参の切片を水に着けておくだけで、切り口から根や葉に再分化再生する。それが発見だった時代にさかのぼったに過ぎません。

    キメラ動物は現代でも難しい技術ですが、キメラ植物はちょうど1600年ごろには最先端の技術でした。
    ナスやトマト、ピーマンなんかは現代でも台木に苗を継いで育てられます。現代でも園芸などをやるひとには馴染みのあるものですが、あたりまえすぎて逆に知られてないのかもしれません。キメラというと、遺伝子操作がどうこうというイメージがあるかもしれないけど、植物の場合はカミソリでスパってやって洗濯バサミでつなぐだけで融合がおこります。イギリス人が柿を喰わないのは渋柿の根に甘柿を接ぐ方法をしらなかったので渋柿しかないからだ!(たぶん)
    食べられない果物を食べられるように変えたり、弱い植物を強く変えたりするのに不可欠な技術なのです。これがあるとないとで食文化がかわるほどです。それほど植物を継いでつくられたキメラ植物は現代の我々の生活とは切っても切れないほど身近なものになっているのです。

    現在、果菜類ではキュウリ、スイカ、メロンなどのウリ類と、ナス、トマト、ピーマン(一部)で接ぎ木苗を利用した栽培が行われています。

    http://www.takii.co.jp/tsk/y_garden/spring/point03/

    接ぎ木で人工的に作り出したキメラ (中略) 1664年にフローレンスで初めて記録されたビザリアオレンジが、その最初期の1つとされています。
    http://www.jspp.org/cgi-bin/17hiroba/question_search.cgi?ques=true&quesid=0465

    1600年ごろは植物の継ぎや交配などの技術はもちろん現在のようにな水準にまで達してもおらず、体系化もされていないので、失敗を繰り返しながら観察したものの実験ノートとして記録を残すことにも価値があったものと思われます。ちょうど1600年ごろから地球規模で気候が安定しだしたので、文明レベルが一気呵成に伸びました。ヴォイニッチがつくられたと思われる頃は植物キメラの研究こそが人類未踏の最先端領域なので、科学的探究心がある人が挑むにはちょうどよいテーマであったように考えられます。

    で、まあ文字の部分については、やっぱりページ内の構成からも、あまり重要さを感じません。絵が先だったり、文字が先だったりで絵と文章を同レベルの重要度で書いたとも思えないんです。文字にイラストのキャプションや補足的な説明がはいっているとも思えず、紙が高価だったから使いまわしたった程度のことなんじゃないでしょうか。唯一交じり合ってるのがブドウ踏みの絵だとおもうんだけど、これもブドウ踏みが音楽的だからなんじゃないかな。おじいちゃんが残したイラストに孫が余白に楽譜を書いたとかそんな程度なのかもしれないし。あんま関連性はないと思うのです。文字は文字。絵は絵で考えたらだめなんでしょうか? こういうことを書いちゃうと、また、ヴォイニッチ・クラスタの人たちからこれまでの研究を愚弄しているとか言われちゃうのかもしれないけどね。まあ謎のままのほうがロマンがあるかもしれませんが。でも、植物キメラの実験ノートって言えば、それはそれでロマンがあるでしょ?

    どうしてもイラストと文字っぽい何かを関連付けるのだとしたら、暗号じゃなくて、やっぱりこの繰り返しの多さからフィボナッチ数っぽい何か、例えば「葉の間隔」とか「維管束」を記したものとかかな?人間が心地よく感じる音楽もそうだけど、植物の葉の間隔の出現率や、間隔比率、自己相似性、繰り返しは似たようなもんがあるから、そういうものかもね。
    ただ。この文字が暗号だとしても非圧縮っぽいし、自然言語だとしても表音文字だろうからイラスト以上の情報量が文字にはいっているとも思えない。絵がキメラ植物の合成のスケッチだとしたら、得に補足的な説明がいるわけでもないですし、きゅうり× ナス○とかその程度の実験結果が書かれてるぐらいなんじゃないかな。

    そんなわけで作者はイラストが下手なわけではないと私は擁護したいと思います。

    まあでも、こんな絵を見ると、頭が途中でおかしくなったのかもしれないけどねw
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    http://www.bibliotecapleyades.net/ciencia/imagenes_manuscrito/manuscrito063.jpg
    頭から植物生えちゃいました。てへっ。

    ところで、この文章の下書きに「会質値他」と書かれてたんだけど誰かこの暗号をといておくれよ。なんのメモだっけかな・・・。
    ちなみにヴォイニッチ手稿は↓のURLで見ることができます。
    http://www.bibliotecapleyades.net/ciencia/esp_ciencia_manuscrito07.htm#top

  • 国宝がみたいので国宝展にいってきた

    2014-12-06 18.52.56

    120点もの国宝が集結するという。いかねばなるまいと思っていて、ついつい会期の最終日一日前になってようやく駆け込みでいってこれた。20時まで閉館時間を延期に感謝。
    東京国立博物館の中にはいるのは初めてかも。うん。

    さて、国宝展の詳細レビューはいろいろなヒトがもうやっていると思うし、どうせ会期も明日で終わりなので独断と偏見にまみれた感想をわすれぬうちに。
    http://kokuhou2014.jp/

    No04. 直刃 号 丙子椒林剣

    はいってすぐのところにある。聖徳太子とゆかりがある細身直刃のこぶりな刀。
    装飾刀に近くあまり実用性はなさそう。造りが独特な感じがした。レイピアっぽい。日本刀の作成技法が出来る前の現存する刀だそうだ。
    3重ぐらいのヒトの頭越しでよくみえなかったので、手をのばして頭上越しにアイフォンでぴろーんって撮影したら、「撮影だめ、消して下さい」って立ち会いのもと消させられた(´・ω・`)刀も撮影禁止なんだね。。。

    フラッシュとかで絵が焼けるからってので撮影禁止なのはわかるんだけど、なんで刀とかもだめなんだろうか?所有者との契約の問題?それとも撮影会になってしまって観覧者がさばけなくなるから?信仰物系もあるから?詳細を後でみたかったのになー。撮影禁止って書いてなければ撮って大丈夫だよってネットでみかけたんだけど、聞いたら国宝展ではそんな場所はないそうです。残念だね。なんで撮影禁止なんだろうね?
    https://www.google.co.jp/search?q=%E4%B8%99%E5%AD%90%E6%A4%92%E6%9E%97%E5%89%A3&espv=2&biw=1117&bih=706&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=kFGDVLfTGNC48gXooYCwDw&ved=0CAYQ_AUoAQ#tbm=isch&q=%E4%B8%99%E5%AD%90%E6%A4%92%E6%9E%97%E5%89%A3+%E5%9B%BD%E5%AE%9D
    参考画像もあまりいいのがありません・・・。

    No28. 地獄草紙

    列が動かなくてちっとも見れない人気の作品でした。なのでほとんどみれませんでした。どふ。
    が、ニワトリ地獄とか解説がちょっとおちゃめで想像たくましく、おもしろうそうげ。じっくり見てみたかったです。
    普段は奈良国立と東京国立にあるようで、奈良の国立のほうでWebサイト上にあります。
    http://www.narahaku.go.jp/collection/v-644-0-2.html
    > 第一段糞屎泥地獄、第二段凾量地獄、第三段鉄鎧地獄、第四段鶏地獄、第五段黒雲沙地獄、第六段膿血地獄、第七段孤狼地獄
    あー、WEBページでおちゃめな解説と迫力が再現できてない。なんだこのくそフラッシュ。

    No41. 普賢菩薩像

    あまりみられていなかったけど実物はその他の国宝とくらべても図抜けてよいとおもいました。
    http://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=A1
    http://www.tnm.jp/uploads/r_collection/L_C0016809.jpg

    No43. 金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図 第四幀

    http://www.chusonji.or.jp/guide/culturalassets/
    紺地の紙の色もみないような色ですし、遠目に見ると金彩で描かれた塔なんですが、これ全部細密な文字(経?)なんですね。いってみりゃアスキーアートなんだけど、なんていうかその他の部分も含めて実に緻密。まさに気の遠くなるような曼荼羅図をみた気がしました。

    No48. 土偶 中空土偶

    土偶の中でフューチャリングするのは中空土偶です。その他の国宝土偶は女性をかたどったセクシーな感じなのですが、この中空土偶はたぶんおっさんで、何かへその部分とかあごひげの部分とか、籐みたいな中空植物の茎とかでスタンプしたようなひげだとか、へそ毛とかが表現されてて、うわぁむさぁ・・・と思いました。あと、なんか格好がモンゴル相撲っぽい。
    そのほかのビーナス土偶については、裏にまわりこんで見ると結構いろいろな発見があると思います。仮面の女神の後頭部のなんと表現したものでしょう?男性器のような後頭部と、素焼きで焼いたら絶対割れるからやめとけというような感じのほそづくりの浮き造形がいくつもあって、これは焼くのも大変だったんじゃないかとか思いました。縄文時代の技術の高さを思い知ります。

    No59. 短刀 銘 来国俊 正和五年十一月日

    出刃包丁と柳刃包丁を足して2で割ったような短刀。5mm程度の肉厚さと、鋭い切っ先、直刃。
    品があるとてもいい作でした。とてもいい。もう一回見に行ったぐらいよい。
    https://www.atsutajingu.or.jp/jingu/bunkaden/possession/19.html
    https://www.atsutajingu.or.jp/jingu/bunkaden/possession/

    No85. 孔雀明王像

    よいですね。
    http://www.emuseum.jp/detail/100158/001/003?word=&d_lang=ja&s_lang=ja&class=&title=&c_e=&region=&era=&cptype=&owner=&pos=9&num=8&mode=detail&century=

    No91. 金銅密教法具

    地金の色は気に入らなかったんですが、五鈷杵や三鈷杵がセットになっているのは見たこともないなと。なんかカブトムシとかクワガタとかヘラクレスを並べられているような感じで妙なワクワク感がありました。
    http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/bunkazai/bunkazai-data-101040050.html

    No108. 飛青磁花生 龍泉窯

    姿も美しいですし、デザインもその色合いもみたこともない感じでファンタスティックでした。ファイヤーキングのガラスかってぐらい釉薬がガラス化しててどんな窯なんだろうとか不思議におもったんですが、日本の作でないというのを聞いて、あぁなるほどねっと。
    http://www.sumitomo.gr.jp/related/masterpiece/03/index.html

    No109. 玳玻天目 吉州窯

    たいひてんもくと読むようです。こちらも海外作の国宝ですね。
    どれか一個もってかえっていいよッて言われたら、間違いなくこれ!!次点で短刀の正和五年十一月日かな。
    日本書紀とか、土佐日記とか文化背景までを含めての国宝も多かったのだけど、来国俊の刀も、玳玻天目茶碗も、まあ上にあげた個人的に気に入ったものは単純に美術品としてのバランスだとか、それを作るための技術に粋を感じて評価しています。でも、その中でも玳玻天目茶碗は、なんだこりゃどうなってるんだ!?って感じに素晴らしかったです。
    http://bunka.nii.ac.jp/db/SearchDetail.do?heritageId=71152
    ありゃ、この写真こんなか、残念ですね。今日みたものと同じものとは思えない写り映えです。
    実物は、光が屈折するんでしょうな。多層構造になっているのか、角度によって色目や文様がかわるので、すごい面白くてぐるぐる周りをまわってしまった。
    あの茶碗があればしばらくニヤニヤできますね。三代将軍家光の長女に嫁いで来てもらわないとダメな代物なんですが。

    No115 普賢菩薩騎象像 (大倉文化財団)

    仏像の表情もいいんですが、乗っている象がこれまた素晴らしかったです。まだ象がみられたことがない時代(12世紀)の作なんですが、牛っぽいお尻に骨盤を感じさせる膨らみがあったり、よくよく前足をみると膝の部分にもういっぽんの指?があったりして、とてもおもしろい!
    これの作者はなんていうか真面目なやつというか、おもしろいやつというか、たぶんいいやつ!
    ま、冗談さておき細部に見入っても発見が尽きない作品というものを後世にまでのこせる才というのは素晴らしいなと感服つかまつりて候。
    https://www.google.co.jp/search?q=%E6%99%AE%E8%B3%A2%E8%8F%A9%E8%96%A9%E9%A8%8E%E8%B1%A1%E5%83%8F+%E5%A4%A7%E5%80%89&espv=2&biw=1117&bih=706&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=MkGDVMbwGeXZmgWmzoHACw&ved=0CAYQ_AUoAQ#tbm=isch&q=%E6%99%AE%E8%B3%A2%E8%8F%A9%E8%96%A9%E9%A8%8E%E8%B1%A1+%E5%9B%BD%E5%AE%9D

    国宝展レポは以上になります。
    以上、120点のなかからお気に入りの国宝でした。

    ・・・。
    ひといっぱいで疲れました。

    常設展の会場にもそのままいけるのでそちらも愉しみましょう。そっちのほうが見応えがあります・・・。ヒトも少ないし。アジア館の階段なんてホコリが積もってるぐらい・・・。
    なにげに本館にも国宝があって、長船長光とあったし。刀剣ではやっぱり長船が私は好きですな。
    思えば小学校の頃初めてひなびた地方の博物館でみて名前を記憶したのも長船長光であった。やっぱり日本刀を個人的な好き嫌いで言えば長船がいいなーと。
    ここには珍しい長槍もあって、嬉しくなりました。
    http://www.emuseum.jp/detail/100191/000/000?mode=simple&d_lang=ja&s_lang=ja&word=%E5%85%89%E5%BF%A0&class=&title=&c_e=&region=&era=&century=&cptype=&owner=&pos=1&num=3

    あと、何があったっけかなー。
    法隆寺宝物館の1Fの仏像ずらーのところで、ほぼどれも面長頭でっかちの4頭身なんだけど、右前前列右から3番目ぐらいになんか初音ミクかって感じのフィギュアっぽいスタイルとポーズがあって、なんかすげぇなって思った。気のせいかもしれない。
    http://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=item&id=3903

    他にもいろいろおもしろいものがあったのだけど、あんだけ人だらけだったのに「あなたが国宝ですか!」とか、国宝級美人に声を掛けられなかったのが残念だったぐらいです。
    国宝をみて気分が高まったところにある、鶯谷のラブホ街とうち流しのコンクリの床の起伏がすばらしい木造駅舎でどーんと現実に引き戻されたので国宝展は終了となります。