ヘビーメタル脳 with the パワー


メタル脳とは、「和田誠」と聞いて思い浮かべるのがイラストレーターではなく、キャプテンを連想する人達のことである。

異論は認める。

メタル脳 天才は残酷な音楽を好む 単行本 中野 信子著を読んだ。

本は、ちょっとしたエッセイ本で、新しい調査や報告があるというわけではない。
だけど、著者がほぼ同い年で応用化学科の出身ってことで、随所に紹介されるメタルバンドと彼女のエッセイが自身の体験とオーバーラップするところもあり、なんとなく奥底に眠っていたメタル魂が目覚めたのだ。まあ方や東大の応化でて医学博士になってる著者と、私大の応化で、今じゃタピオカ茹でてる自分とでは比べるべくもないが・・・。

だが、吾輩もメタルで育ったキッズだったのだ! フハハハハ!!

・・・。
ヘビメタというと、デーモン閣下みたいなメイクをして、クラウザーさんが如き笑い方をしなきゃいけない使命感を背負わされたり、ステージ上では鶏の首を切り落としたり、豚の血をまいたりしなきゃいけないんでしょとか、すごく誤解をされやすい音楽だよなとは思う。もうそういう偏見もいいだろうよという歳になったので、いっそ今回はずっと吾輩で通そう。

吾輩が初めて買った音楽シングルCDはカブキロックスだった。知らない人のために説明しておくと、聖飢魔IIのフォローバンドみたいなものだ。確かアニメドラゴンクエストかなんかのオープニング曲になったのに釣られたんだとおもう。今聴くとシングルカットしたわりにはだいぶ音楽としては荒い。その次、初めて買ったアルバムは米米クラブのshake hipだ。米米クラブは名前ぐらいしか知らなかったのだけど、並んでたアルバムのなかでこれが一番ジャケットがかっこよかったからこれにした程度の買い方だった。それにしては、かなりあたりを引いたと思う。

そしてその次に買ったアルバムは初めて買った洋楽でもあった。
VIPERのTheatre of Fateだ。

ブラジルの新人バンドのデビュー作、ヘビーメタル好きでも知ってる人はすくないかもしれないが、これはなかなかの名盤である。こんなアルバムが当時中学2年生だった吾輩のハートに刺さったのだ。
ヘビーメタルとクラッシクを併せたようなヘビーメタル。Xの紅のもっちょっとクラッシックよりみたいなものだ。今聞いてもなかなかいい。

邦楽はかするぐらいでブラジルのメタルバンドにたどり着いてしまったのだ。いきなりVIPERは洋楽への裏口入学だと揶揄されたが、なぜ吾輩はそんなところにたどり着いたかといえばラジオのせいなのだと思う。気がつけば、このエリアでは電波の関係でロクに入りもしないFM富士を部屋の窓にワイヤーアンテナを回して、キャプテン和田や大貫憲章がやっていたロッカダムだのの深夜のハードロックヘビーメタル番組を聞くようになっていた。

中2の頃といえば担任が音楽担当で、しかも初めてクラス担任を持つ新米教師であったために著しく学級崩壊していた。そんな中でも流行っていたのが、作曲した曲でアルバムを作ってクラス内に共有するという謎な行為だ。「僕はみみず!」とか絶叫していたりするのだが、黒歴史どころか、このテンションはなにか薬やってるのかなって思う。リアル中二病だった。6畳の部屋に20人以上入ってたのだからやっぱり病気だったんだと思う。

小学校2年の頃、音楽教師にハーモニカのテストで「こんなのもできないなら幼稚園からやりなおしなさい」言われ、家に帰って布団かぶってガチ泣きして以来、学校の音楽というものが大嫌いになっていて、その影響はずっと続いていた。音楽は嫌いだけど好きという屈曲した状態がメタルに呼び込んだのかもしれない。

その中でも刺さったのがジャーマン・メタルだ。
Halloween、GAMMA RAYやBlind Guardian、HEAVENS GATEあたりが好きと言えば、ああ、そこらへんねとわかってくれるひとはわかってくれるかもしれない。ここらへんのCDというのは、レンタルCD店などにはあるわけもなく、当然通うようになるのはセコハン屋(中古レコードショップ)である。吉祥寺が自転車圏内にあったのは幸いであった。同じようにセコハン屋を巡る友達は居たのだけど、聞くジャンルが分かれていったのは、やはり好みの問題というのはあるのだろう。本の中で触れられているLAメタルとかアメリカのHR/HMはほとんど聞かなかった。

高校で軽音もやった。
高校生1年生の頃は流行りの邦楽をやろうとして、全員素人だから一曲もできずに終わったような気がする。その後、3年生のバンドに混ぜて貰ってPERSONZのカバーバンドをやった。初めてのライブはいきなり卒業ライブでメンバーはみんな卒業してしまった。・・・。いや、ギターの先輩は留年し翌年もいたか・・・、ドラムは現役で慶応に進学して、あれ、みんな同じスタジオで練習してたはずなのにおかしいなと、思ったり思わなかったり。

大学に進学して、軽音のサークルに入った。だが活動はバンド単位だし、なんの意味もねぇよなと同い年の友達ができると最初の新歓ライブでみんなで辞めてしまった。今考えると、先輩たちもサークル活動費工面しながらライブハウス抑えたりするのは大変だったのかもしれないが、同じ学科に中のいい音楽友達ができたので、サークルに用がなくなってしまったのだ。

文系に進んだ人たちはとても信じてくれないのだけど、化学科は週に3〜4回は実験があるので、ひどいときなどレポート用紙一冊が一週間でなくなるようなヘビーな学科でもある。実験またはそのレポート提出のためにうごけなくなったりするのだ。そんな学科の中にバンドを作っても、そのうち、みんな時間が合わなくなる。その上、主要メンバーの一人は医学部に行ってしまった。

そんな経緯もあり、化学と医学の白衣混成バンドが成り行きでできあがったのだけど、都合がつかなくなると代打を立てたりするので、ライブ前になると練習も2部屋ぐらい借りたりして10人ぐらいでパートを回しながらやるようになった。半分が医学部で半分が理工学部みたいな感じ。レッチリからドリーム・シアター、アニメタルまでハードめな曲をわしゃわしゃやっていた。

本で紹介されていたところあたりでいうとメガデスである。
まだJASRACが日本のネットMIDI文化を駆逐する前のまだパソコン通信の時代、メガデスのシンフォニオブディストラクションとかスウェッティングバレットとかの曲を打ち込んでフォーラムにあげていたのは実は吾輩である。88proの音色をいくつも重ねてなんとかヘビーな音を再現しようと苦心していたので、88Pro以外で聞いても意味わからないものになっては居たが、当時のしょぼい音色のなかでギターのザクザク感をMIDIで出すには、ちょっとストロークの遅れとか、コードもダウンなのかアップなのかをちゃんとわけないといけなくて、いつの間にか数字うちになっていた。オクターブ下げた音を混ぜたり、ベースの音も頭のアタックだけほしいからスラップを頭だけ鳴らすみたいなことをやっていた・・・。ハイドンをメタル風に編曲したりもしたが、MIDI界隈でメタルをやろうとする人はほとんど居なかったよね・・・。チョーキング表現とかストリングスが難しいだよね。

だから、いつの間にかメガデスのマーティー・フリードマンや、Mr.BIGのポール・ギルバートが日本でキンキキッズのバックバンドに混ざってるのを見た時には顎の骨が抜けるかと思ったものだ。医者になったあいつの持っていたギターはポール・ギルバートモデルだったのだ・・・。いまだのこれらの感情はどう表現していいのかわからない。

さて、そんなヘビーメタルで育った吾輩だけど、最近はめっきりメタルは聞いていない。しいていえば打首獄門同好会がここ近年のお気に入りぐらいだ。あれはメタルなのだろうか? メタルのバックボーンはあると思うけど、バックドロップシンデレラほどモロではない気もする。

商店街ではここ数年ステージを組んで、バンドの子達に開放したりして、文化醸成の機会をつくるべくふるまっている。運営の主体はフォーク世代なので、吾輩などは一番下っ端だけれども、リハーサルの音出しを兼ねて大学時代のバンド仲間を呼んで演奏したりもする。若者向けにあいみょんとか、子供向けにアンパンマンマーチとか、年寄り向けに北島三郎とかだ。ギターのやつがフライングブイを持ってきている以外はメタル要素はバレていないと思う。隠れメタリアンである。


ファクトフルネス読書感想文


ハンス・ロスリングさん、そんな落ちはなしだよと泣きたくなった。

ハンスの印象的なプレゼンは600近くみたTEDの動画の中でも印象に残る名プレゼンだ。

この人が書いた本というので読んだ。

おもしろなーと、さくさくと読んでいたのだけど、2/3程度ぐらいからなんか読む気が失せてしまって半年ぐらい放置していた。読み始めたら読み終えるまでが短い私にしてはかなり珍しい事象だけれども、その理由が後半まで読んだらわかった。
この本の執筆中に亡くなれていたのだ・・・。

いや余命宣告からすべての予定をキャンセルして命を削って書いたと言えばいいのだろうか、中後半には自身の浅慮でモザンビークナカラでおきた疫病ではないかとの懸念から道路封鎖をしてしまったためにバスに乗れなかった農民が船で移動して、船が沈み亡くなった人がいるとかそういう失敗話とかを吐露していて、それ墓場までもっていくような秘密なんじゃないかな・・・とかなにか違和感ばりばりだったのだけど、本当にこれが最後だと覚悟を決めた人の筆だったのなら納得だ。ただ、その覚悟に読者として心構えができていなかった。

統計にまつわる示唆深くも、非常に基本を抑えた内容なので、前半部は多くの人に読んでほしい内容でもある。後半は、あれ、どうしたんだろうと思うかもしれないけど、覚悟を決めた人とその家族が意思を継いだものと知っていれば、ショックはすくないかもしれない。

ワクチンについて

P150
ワクチン:予防接種を自分の子供に受けさせない親がいる(略)
麻しん(はしか)の予防接種を子供に受けさせたくないと思うなら、(略)
麻しんにかかった子供が亡くなるとき、どんなふうに亡くなるかを知っておこう。

江戸時代に度々大流行した「命定め」の話しは有名だが、現代ではほとんど知られていない。
13度ほど流行したそうで、綱吉などもこれで亡くなっている。
日本ではワクチン接種などで撲滅に成功したと思われていたが、数年前から流行の兆しが出てきたので、自分は麻しんのワクチンを打っていない世代なので健康診断ついで打った記憶がある。

麻しん(はしか)は怖い。
その感染しやすさは、インフルエンザ並みであり、症状も同じようなものなのである。死亡率も0.2%程度なのだけど、ハンスも言うとおりこの病気には治療法がなく大人は重症化しやすくなにより後遺症を残しやすいわけです。ころりと死ぬんだったらまだしも、10年20年寝込んで脳性麻痺とかになりながらとか絶対イヤなので、打ちに行ったわけです。

麻しんと混同されやすいところで、これまた東南アジアから再ブームになりつつある風疹がありますが、これもまた伝染りやすいですが、麻しんに比べればなんぼでも。でも、そういえば割引チケットが来てたので、今年の健康診断のときにでも打っておこうと思います。
ツイッターなどをみていると反ワクチンも流行っているようですが、公衆衛生については、自分以外の全員がワクチンとかを打ってくれていればなんの問題もないんですが、そういうのは人口密集社会における無自覚なフリーライドなんじゃないかなと思います。

江戸時代に13回も大流行した『命定め』 犬公方・徳川綱吉も”麻疹”で亡くなった
bushoojapan.com/scandal/doctor/2016/09/05/83551

キャッサバについて

P286
モザンビーク ナカラ
この地域の主食はキャッサバというイモで、食べる前には3日かけて毒を抜くことになっている。

毒があるのは知りませんでした。奄美でも戦後の食糧難の折、一月以上毒抜きしてソテツのデンプンを取り出すのに比べたら、イージーコースかもしれませんね。

今、タピオカ流行ってますね。あれの材料がキャッサバ粉です。
うちのお店でもタピオカミルクティーいれてみようかとおもって少し調べたんですが、キャッサバつかってないデンプンと増粘剤でつくられたタピオカも多いみたいで、悪化は良貨を駆逐するじゃないですが、偽物が出回るとブームが終わるので、今回のブームもフランチャイズとかでまた誰かがばば引かされるのかと思うと心苦しさがあります。

JICAとかのキャッサバの資料を見ると恐ろしいほどの種類があって、葉っぱなどをみても本当に同じ種なのかはなはだ疑問を覚えます。

www.jica.go.jp/project/all_asia/005/materials/ku57pq000025s2lv-att/cassava_about.pdf

キャッサバの生産者から優良仕入れ先を探そうと思って辿ろうと問い合わせたんですが、失敗しました。どこかほどよさげな取扱卸しさんいたらよろしくお願いします。

エボラ出血熱

P299
エボラ
現場ではリベリアの人たちの習慣を変えることに成功し、人々は必要のない接触を避けるようになっていた。握手もハグもしなくなっていたのだ。

これを見て、挨拶習慣でハグとかをしない東アジア圏はもしかして、エボラのような接触感染型のパンデミックが過去にあったのかもと思った。

エボラ出血熱の西アフリカで起きた当時のパンデミックは今でも覚えている。
たしかその数年前に一帯に深刻な飢饉があったとおもうのだが、その兼ね合いなのか、エボラ出血熱が発生した。国境なき医師団の公開する情報がほんとうに指数関数的に増えていて、キャリアの生物学的封じ込めに失敗して大都市圏への流入がおきたらアウトだと思ったものだ。
その後、エジプトで、中東で、はたまたヨーロッパやニューヨークでも感染者が隔離されたなどという情報に触れるたび、現代文明は新型インフルエンザとかでなく、意外とこういうものが原因で終わるかもしれないなと思ったものである。

隔離された患者を取り戻すために住民が武装して収容施設を襲ったなんていうニュースもあって、医師でもあるハンスがアフリカ ザイール(現在のコンゴ民主共和国)バンドゥンドゥ州マカンガでナタを持った現地民に
囲まれたエピソードが刺さる。(P310〜のエピソード)
ハンスはコンゾ神経麻痺症状を発見した一人だそうだ・・・。

地球温暖化について

地球温暖化のファクトフルネス
未完っぽいのが残念。だがアル・ゴアに汲みしなかったのが正解。
アル・ゴアがやろうとしていたのは、俺の尊敬するSF作家マイクル・クライトンが書いた地球温暖化ビジネスと政治利権について書いた「恐怖の存在」、これが今思えば実にファクトフルネスだったなぁと思う。あ、ちなみにジュラシック・パークとかの原作者ね。


軽減税率は1300人が死亡する災害に匹敵する


軽減税率はなにもかもが壮大な無駄というだけでなく害悪しかない。人をも殺しうる災害だ。経済は月単位で凍りつき、花は枯れ鳥は空を捨てるだろう。

自分で掘った穴を自分埋めるただの無為な強制労働なら、土を耕したり、まだ筋肉トレーニングぐらいの効用があるかもしれない。だが、軽減税率は本当に本当に害悪でしかない。日本人を裸でシベリアに無為に抑留するようなものだ。しかも、消費税や軽減税率などの対応を迫られるのは経理や価格を決定できるマネージャークラスの人間だ。お金で外注できる労働力で済まない。才能と時間、ほどよく育った人間までをすりつぶす亡国の賊法である。海外ではやられてるじゃないかと言う人がいるかもしれない。違う。既にそれとは違う商習慣で運用がされている国に一律悉皆にデプロイしようってのが、糞い。サマータイムでも同じような話しがあった。血液型A型にB型を輸血するようなことをなぜ平然とやるのか。

趣味でやってるんでしょと言われても否定できない規模の零細な紅茶屋をやっている。うん、まあ趣味。 商売をやられている先輩方から、消費税が3-5%にあがったときはまじきつかったとそこここで聞いてはいた。1997年はバブル崩壊からの金融危機や貸しはがしがあいまって発生した不況があったから、その絡みだと思っていた。だが、前回の5から8%に消費税の税率があがったときに、体感した。あ、こりゃ納得と舌をまいた。

どんな小さな零細企業でも小売なら取扱商品は数百点はあるし仕入先は数十社に及ぶ。 飲食店とかで見た目、数十しかメニューがないようなお店でさえ、季節でメニューは変わるし、それを構成する食材などは多岐に及ぶ。コンビニなら表に並べているだけで数千点が常時おいてある。

消費税が5から8%に変わったとき、めんどくさいなぁと思いながらも棚卸しをして、値段変更をおこなった。売価を5から8%にすればいいんでしょと思ったものだ。
うちの場合はネットショップなどもあるので、楽天やamazon、ヤフー、当時は独自ドメインのショップなどもあって、カタログリスト、店舗のレジスターの変更などを考えれば、千点は優に超すぐらいの値段変更をおこなわなければならない。期末決算の棚卸し残高を求めるよりも3倍ぐらいしんどい作業ながらもおこなった。

だが、しばらくすると仕入先からも価格変更の案内が届くようになる。結構な変動幅だ。ひとつには、ヤマト運輸などの配送会社が消費税率変更に伴い大幅な値上げが敢行されたことなどがある。流通価格があがれば当然原価計算費用などにも影響してくる。そのほかには、その前の時期に発生していた急激な円安や、原材料高に由来する価格調整がとうとう耐えられなくなってきてどばっと降ってきたのだ。

長年の取引があると利益的にはほとんど出ていないけど、長いお付き合いだしということで昔ながらの価格で取り扱うことがある。でも、それも、売ったら赤字にならない範囲でだ。だけど、いろいろ価格がうごいたことで、利益率などを計算しなおしたところ、販売価格や卸が価格を変えだしたわけだ。そうすると、玉突きでポンポンと値段が変わる。中間財の仕入れ値が変わるのだから、最終財も変わるわけだ。それを仕入れて加工し販売するところはさらに値段がかわる。販売側も、そうしょっちゅうは価格変更がおこなえないので、しばらくは泣いていても、こらえきれずに価格変更をおこなう。そして、また異なった時期に玉突きで価格変更が発生するのだ。

食品などのマーケットは価格硬直性が高い業界と言われ、販売価格を変更するぐらいなら内容量を変えるという業界である。いつの間にか箱がスカスカのクッキーや空気しか入ってないんじゃないのというポテトチップスが登場するわけだ。内容量が変わっても配送料や、包装代などは発生するので、またここでも玉突きの価格変動が発生する。

結果、5%から8%に変わっただけの消費税の影響で、有に1年以上も販売価格が安定しなかったのだ。実はこの影響はいまだ続いているようにも感じる。

というのも、在庫の評価方法は先入先出法や後入先出し総平均法、移動平均法など少なくとも7種類もあり会社によって、届け出ている税務上の原価計算方法が異なるのだ。
だからどのタイミングでどのように仕入れ価格に反映されてくるかは、一律に決定されない。ひとつの商品がひとつの仕入先からだけできているわけでなはいので、同じ商品について何度も何度も価格改定の通知が来ることになる。それを涙をのんで自社で被るか、どのタイミングで売価に反映するかの判断を迫られることになった。毎月価格変更などはやっていられないし、契約の関係で1年はこの値段で納入を契約とかいろいろあるのだ。

それ以外の問題もある。

企業側からしてみれば在庫回転率、仕入れから販売までは時間がかかる。販売が成立しても売掛(クレジットカード払いなどのように実際に入金されるのは1月先とか)になる、それに対して仕入れはそれより前に発生しているので支払いと入金サイトには数ヶ月のラグがあるわけだ。世にいう黒字倒産、キャッシュフローの問題だ。

日本で上場している企業でさえ、純利益で考えれば売上に対しては5%もない。ちょいと調べてみると小売業ではわずか1.19%だそうだ。

これは100万円分を仕入れて、120万で売りましたとした場合、粗利の20万から人件費や家賃などを払ったら1万2千円が残せましたというのに等しい。

このような状況下で、仕入れから売上までの間に消費税増税分の3%だけ、利益とは関係ないところで資金需要が必要となる。いままで100万円分買えてた同じ量を仕入れようとした場合103万円の現金を用意しなければいけないことを意味する。

じゃあ余分の3万円を出せばいいじゃないと言う人も居ると思うが、それはパンがなければケーキを食べればいいじゃない論に等しい。3万まだ可能性ありだけど30万なら?300万なら?3000万なら??

そこまで資金余裕がない会社は、仕入量をへらすか、運転資金の借り入れを行う必要がある。だが、借り入れには金利が発生するので、借入先の銀行の金利ぶんまで余分に稼がないとならなくなるわけだ。行政というのはどうもお金の時間による効用を無視する傾向があり、現在価値、将来価値が無視された計画がなされることがあるが、まさにその典型だ。純利益が1%しか残らないほど過剰最適され乾いた雑巾状態の業界で、銀行金利分の数%を吐き出す資金余剰はないのである。チューニングがいきすぎたピーキーな経済はここでも悲鳴をあげ、また玉突き事故がおこるのだ。

軽減税率はさらにわろし

10月に導入するということだが、軽減税率についてわかっているひとがまわりの商店を見回しても一人もいない。国税などに聞いても会社の判断でお願いしますということになっている。

軽減税率の対象となる品目 – 国税庁の図解を貼っておく。

「Keep it simple, stupid.」(シンプルにしておけ!この間抜け)

いや、そもそも店舗にあるレジスターは項目ごとに税率を打ち出すことなんてできないのだ。どうするの?
うちの商店街のお店の人たちを見回しても、ごく最近にでもできたお店でなければ、もうレジスターを数十年使ってますけどなにか? みたいなお店も多い。レジを購入することについて助成金が出ているらしく怪しげな営業がうろうろ回っている。見せてもらったら現金を引き出すドロアーとタブレット型で3~50万ぐらい。多分助成金申請の関係で強気の値段設定なのだろう。お店に買わせて国に払わせるみたいな世界だ。だけどな、70歳過ぎた店主が新しいレジ買って新しい設定なんかできるわけがないんだよ。

そういえば昔、プログラムを書くお仕事が専業だったころレジスター周りのシステムを作ったことがある。日本だと大きいレジメーカーは数社しかないので、あれなんだけど、まあああいうのは、数店舗抱えるチェーン店はレジと独自システムを連携させて、日別の売上とかを集計したり分析したりするんだよね。何社かつくったけど、税率変わるぐらいは想定はしてたけど、そんな細目ごとに税率変更できる設計とか実装とかした覚えなんかないんだわ、ごめんなー。

対企業取引(BtoB)でも弊害が出てくる。
電話とかメールとかFAXとかで「いつものお願いしますー」と言われて、「はいよー」って言って、前回の請求書とか領収書とか伝票と同じものを日付変えて出力、商品に同梱みたいな業務なわけですよ。
でもね、茶葉は8%で茶器は10%、発送料は10%でなんて細目ごとに異なると全部の取引先に対して帳票のレイアウトから作り直しなわけですよ。

普通、小計があって、その下に消費税の項目があって、税率かけて終わりでしょ? これが作り直しになるわけですよ。ぶっちゃけ、もう一度会社をゼロから作り直せっていう規模の事務作業量なわけですよ。しかもどこまでが8%なんかもわけわからん。え、この茶缶入の茶葉は8%? でも茶缶だけで仕入れたときは10%? はい、送料無料で送料を含んじゃってる茶葉とかは税率どうしたらいいの? え、会社判断で? え、インボイス??? え、paypayとかは還元いれる??? ほえ? え!? え!!?? え?????

結論。軽減税率の導入は無理。わかるひとが一人もいねぇ。
うちの場合、商品点数半分ぐらいに絞っても、対応厳しいことになると思う。やるなら落ち着くまでしばらくお店とか閉めて寝てたほうがいいレベル。だから今は消費税が導入されない方に全掛けしている。

消費税の税収

しかもな、消費税をあげれば税収があがるならまだしも、下がるなら意味がなくない。 あがったの?

額面税収から見れば
10.8兆から17兆円代。たしかに額面は増えてるよね。

法人税率下げたとはいえ割合変わってないじゃんか・・・。
財務省絶対みとめようとしてないけど消費税率のアップで経済そのものが沈んでるし・・・。

なぜ災害に匹敵するか

平成28年度の飲食料品の事業所数は299,120件。
1事業所あたり1人が消費税対応のために半月対応したとすると、15万人月=12,500人年
日本人の平均寿命は83.98歳らしいので84歳でこれを割ると、148.8人の人生が無駄に消えていくことになる。これは少なく見積もってもだ。

生産労働年齢の定義に従って15歳から65歳の50年の月20日、一日8時間で1920年時間。計算すれば、人生で96,000時間しかないので、15万人月=150,000*160時間の労働を消化するためには250人分の社会人人生が必要となる。

小売業全体では990,246もある。卸業は364,814件。
78万人月が、なんの生産性もない付加価値もうまない税を徴収するためだけの代理をするためだけに1300人の社会人人生が無駄になる。
本当に導入されたら、どんなに温厚な俺でも呪詛を吐き続けるマンになるよ。

資料とか

14- 2 卸売業・小売業の産業別事業所数,従業者数と年間商品販売額(エクセル:29KB)
www.stat.go.jp/data/nihon/14.html

軽減税率の対象となる品目 – 国税庁
www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/01.pdf