カテゴリー: コロナ

  • 映画「来る」と祓いとか流行り病

    映画「来る」の、柴田理恵がめっさかっこいいとか岡田准一の殴られの体捌きが相変わらずすごいとか、宗教習俗の人が監修がすげぇとかツイッターで話題になっていたのでAmazon Primeで見た。 なるほど細かすぎて伝わらない宗教監修w

    特撮ヒーローものっぽしや

    前半の人間ドラマパートは苦手な感じだけど後半の怒涛の展開がかっこいい。 なんかこの感じ子供のとき見てた特撮ヒーローものぽさがある。ウルトラマンまだかなみたいな。
    宗教版シン・ゴジラだの、宗教版アベンジャーズゆーてはる人がいましたが、言うて妙。 ドラマパートで鬱積ためてからのカタルシスかや。
    いやしかし、各地の宗教精鋭返り討ちってどんだけ荒御魂ってんだろう、これ。 これを超す重要案件なんてあるかえ。いや、祓うのを諦めちゃえばこれはそれほど害はないやつなのかな?

    宗教と用

    宗教の主な役割には、人が集まる場、価値観の共有、情報の伝達がある。
    いや、この3つは今、適当に考えた。

    キリスト教圏では90%は自分は信仰を持っていると答えるが実際に教会に通うのは5%。日本人は宗教をもってると答えるひとは5%しかいないが90%はなんらかの宗教行為をおこなっている・・・みたいな話しをどこかで聞きかじった。たぶんイザベラバードの日本紀行あたり。生活の一部になりすぎていて、それが宗教的な行為だと認識していないのだそうだ。

    自分も宗教建築とか民俗学的なものは好きなんだけど、科学に基礎足をおいちゃってるのでどうしても、神性とか霊とか怪異とかそんなのを信じるとか信じないとかよりも、なぜそう思うんだろうとか、どうして習慣化されたんだろうみたいな事のほうに興味がむいてしまう。土着の祭りや奇祭は本当にいろいろあるが、なぜそんな風習が生まれ、かつ、継承することができたのか不思議でならない。

    たとえば神社で祭壇に供物を供えるのはなんでだろうとか考えたことはあるだろうか。 神仏分離の前、神社は稲の苗とかを育てて農民にわたす種苗業者の役割をしていたという。
    作物を神饌として集めその後みんなで食す直会(なおらい)なんか、まんま一度集めて選り分けて翌年の植えるものを決める作物の品評会からの品種改良のプロセス。これはこう食べるとか、誰々ん家の作物が美味いからわけてもらおうとか、育てたものを地域で一同で知識や体験として共有する。そして、毎年冷害だったり日照りだったりで不作になっても作物を選りすぐって供える。供えたあとはシェアする。結果、その風土にあった育種がなされる。

    鳥居なんかはなおによし。いかにも在来工法技術の粋であろう。
    ものによっては掘立てや礎石の上に建てた2本の柱の上にホゾを彫った梁をのせ、ヌキを通し、クサビをうつ。漆をぬりたるものもあるし、屋根をふくものまである。大工技術の見本市やーーっ!!

    ふた柱で永年自立する構造物を建てられるなら、その技術を用いて建てた家はより堅牢なものになろう。 壁や屋根を葺いた後では構造体は見えなくなるが、鳥居は自立構造物としては簡素にして至高。

    ここらへん、具体的には国譲り神話のあたり、出雲渡来系と、諏訪縄文系の礎石と竪穴の建築技術の文化の衝突だみたいなこともあるのだけど、・・・話しがそれるのでそれはまた今度。

    鳥居は神域との境界だなんて理由付けがあったりするが、交通が不発達だった時代は、雨ざらしの構造体である鳥居を見れば、そのエリアの建築技術水準やそれの財政状況、趨勢がわかるわけで、まさに文明の境界域だったのだろう。

    キリスト教でも12使徒で判明している職業は石切(大工)と漁師だ。
    石積みの構造物の場合は、2×4工法もそうだが、こちらは壁が全体を支える構造物になる。だから教会系は壁とアーチ構造が見てて楽しい。石積みの壁に窓枠の支えなしに窓穴をあける。窓穴が先でステンドグラスは後。そういう視点でみると世界の構造物はいろいろわくわくすっぞ! ・・・めっちゃ話しがそれた。

    ま、そんな感じで、修験道だったらソバの打ち方とかを伝承して山でサバイブする方法を教えるよ、とか、そういう具体的で実用的な用がどんな宗教でもそここに隠れていたりする。

    忌みの意味

    宗教がただのメンタルヘルス的なものに成り下がったのは大量生産時代だからだろうか。 生産技術の革命的進歩で形骸化してそれが伝える用の本質が失伝しつつあるのも背景にあるのかもしれない。

    仏教が伝える大事な要素に遺骸のケアがあるとおもう。かつてまだ土葬の時代、ほにゃらら回忌で墓を掘り起こすタイミングを伝え、お骨として纏めていたりとか、そういうナレッジの塊だった。通夜で親族が不寝の番をするのも、死亡診断技術がなかったからだ。

    亡くなった方の家族は49日喪に付すのも死因が判別しなかった時代の、感染症をそこの家族内で留めるためStay Home策に他ならないのではないかと思う。

    除菌と禊

    「使えるもんはなんでも使う」っていうんで一時期ネットで話題にもなってた「ファブリーズ除霊」を一生懸命岡田准一がシュッシュしているのをみて、ふふふってなった。「びっくりするほどユートピア」がなかったのはそれを入れるととたんにお笑いになっちゃうからだろうか。

    12モンキーズは、バイオテロを背景にしたSF映画であるが、目に見えないウイルスや病原菌を信じられず「そんなものは石鹸屋の陰謀だ!」というセリフがあった。同じようなセリフをつい最近ブラジル大統領が言っていてヒックリ返った。台風なので「田んぼの様子をみてくる」ぐらいのフラグ発言である。

    新型コロナウイルスの対応策や、ホラー映画の登場人物たちの行動をみていると、なぜそこでそんな判断をするのか、なぜそんな行動をするのかと突っ込みたくなる行為が多い。状況や情報が違えば判断も異なろう。傍目八目。FPSでは見えない視点というのもあるもんだ。

    昔しから不思議なのだが、テレビが映ることや、携帯で話しをできることには恐怖を感じないのに、おばけとなると途端に怖がる人がいるのはなぜなのだろうか。霊的なものを怖がる人にテレビの仕組みを理解している人が多いとは正直おもえない。いや、そうか、だから霊能者がもてはやされるのか。いや、ならなぜエンジニアがもてはやされぬのだ。解せぬ。

    目に見えぬものも存在する。
    幽霊粒子ニュートリノの存在証明はそれこそ雲を掴むよりも難しい。
    知覚できない範囲での匂い。恐怖を感じたときに分泌されるホルモン。例えばそれはほんのわずかな分泌物であるが、そこに残存する。
    重力異常地点とか、異常磁場、地下水脈により流れる水により発生する異常磁場とか、もしくは、そこからおきる低周波。どれも人間の認知知覚系に異常をもたらすのは十分だ。植物毒や目に見えぬ真菌系(カビ)の毒、そして菌毒、ウイルスなどの生物毒は枚挙にいとまがない。そして、完全無音や完全無菌それがまったくないことで生ずる弊害すらある。

    古い伝統宗教もこれらをよく理解している。
    幻覚系成分を含む植物を火にくべる護摩や、読経や真言(マントラ)でトランス状態に持っていくようなもの、火渡りや滝行のようなドーパミンや肉体刺激系など。など。

    日本酒は麹菌ででんぷんを糖化したのち、その糖を酵母菌で発酵させ、さらにはそれを火入れするという世界的にも珍しいステップを踏むお酒である。たしかこの3つを1フローでやるのは日本酒だけだったとおもう。
    この日本酒、麹菌の発見まで糖化は人間の唾液に含まれる酵素でおこなっていた。口噛み酒。

    日本は醸造発酵食品が幾多幾百あり、目に見えない有用微生物群の扱いには成熟していると言っていい。 そして、それらの働きを妨げる生物学的汚濁、コンタミネーションも非常によく理解していた。

    腐敗と醸造、腐敗と発酵、その違いをもたらすものが穢れで、穢れを祓うためには禊で綺麗にしなければならない。コンタミを避けなければならない現代のバイオハザードと基本的考え方は一緒である。作法とは手順の再現で、現象の再現の積み上げがエンジニアリングである。現象の理解とは別のものだ。

    神社の参拝儀礼に手水場での手洗い口漱ぎがあるが、外(外界)から来たら、手洗いうがいをする文化はこうして二千年前から広められていた。なぜこれができたかと言えば、崇神天皇(第10代天皇)の頃に疫病が流行ったために造らせたからである。

    センメルヴェイス・イグナーツが手洗いの重要さを産婦人科医に説いて回ったのはわずか100年程前であるが、パスツールがその理屈を発見するまえに、理屈はわからないけど何故か使いこなしていたのが伝統の収斂に耐えた作法なのである。理屈はわからないけど効果があるものはおまじないとして残ることがある。
    お辞儀やブルカ(ヒジャブ)といった、ソーシャルディスタンシングの解決方法はもしかしたら既に世の中のどこかにあるのかもしれない。

    ウイルスは紫外線で壊れる。新型コロナウイルスの場合は太陽光で1分半で不活化する。 Dead by Daylight、それは陽の光で死ぬである。

    鶏鳴三声、かぁーーけぇーーーこぉーーーー

    ところで、芋虫の種類がわからなくてモヤモヤしています。
    あれ、なんの芋虫?

  • まわりに化学な人はいますかい?

    PCR、PCR!ねこもしゃくじもおたまじゃくしもPCR。
    世に出てるウイルス対策、菌とウイルスの区別もないままだから、なんか一周回ってちょっと面白い感じになっちゃってるじゃん。なんでこんなことになってるん?? 鬼退治にはめざしにヒイラギがいいんですよごとき滑稽さを訳知り顔で話してて、冗談なのか本気なのかわけわからなくて、ちょっと逆に現状が怖いわ。

    高校で理系と文系でわかれてしまう上に、理系のなかでも受験だと点のとりやすい物理を選ぶ人が多いので化学履修はちょっと別。
    というか、そもそも化学は理系のなかでも、ちと特殊ゆえ大抵校舎の一番奥においやられる存在だったのを思い出した。だから化学にたいするあれこれはそもそも知られてないし、前提知識のないひとには危ないので机上のことしか教えられない。

    でも、あまりに世間がPCRPCR言うので、はるか昔の記憶が堀りおこされた。化学科についてのあれこれを書いてみようかなと思う。

    20年前、学生数数万人いる大学でも化学科は学年100人程度、さらにPCRをつかうようなことをやってたのは自分のいた1つの研究室だけ、十数人しかいなかった。そこに他の超マンモス大からも修士博士の子がきてたので、日本における人口あたりの割合はもっとすくないはずだ。今の日本に、できる人がいなくて当たり前じゃないか。

    なぜ化学科は隔離されるのか

    サイエンティストの定冠詞はマッドだからだよ。・・・バジンガ!

    長野サリン事件のとき第一被害者であったはずの方が化学科卒というだけで、容疑者となったのを知っている方はいるだろうか。ひどい捜査だと思ったが、わからなくもない。

    高校で化学を選択履修すると、ニトログリセリンや黒色火薬の合成法が教科書に載っている。そして、大学の前期には教養レベルの段階でサリンの合成なんて「あんなものの合成なんて簡単なんだよ」ってのたまいながら合成スキームを書く有機化学とかの教授に出会うことになる。

    あるいは、化学というとコントなどで博士はいつも爆発しているイメージがあるかもしれない。たしかに、扱い間違えればビルがまるごと吹っ飛ばせるような物は保管されてるし、そうじゃなくても不幸にして事故はおきることはあるだろう。うちらの代だと粉体研で、みんなが映画や小説で知っている粉塵爆発がおきて救急車騒動になってた。

    ABC兵器という言葉がある。核兵器、生物兵器、化学兵器だ。だが、どれもまあ化学科の学部生レベルがやるようなことの延長でしかない。だから化学科というのはどこの大学でもたいていひと目につかないところにひっそりあるし、簡単には移転などができない。

    医者や薬剤師のように街中で見かける白衣な人たちと違って、化学な人は卒業後、研究職や専門職につくと分野が先鋭化していくので分野外への転職が普通はなされず、また企業も研究部門の秘密が漏れると存続問題になるため、囲い込みをされ、ますます世間と隔絶していく。
    だから居ない人のまわりには本当にいない。たまに俺みたいに野良落ちしたのがいるかもしれない。氷河期世代はコンピューター系とかを中心に結構ちらばっているかも。
    そういえば、数年前、東京大学やそのあと企業でもウイルスをやってたって人にあったことがある。ウイルスをやってた人は更に少ないと思う。でも美術館のお仕事でお会いした・・・。

    リベラルアーツなどに力をいれている大学では化学の実験や教育をされているが、そんな大学は今でも稀でまだ国内には数校しかないように思う。だからほんと知らない人の知識は「理科」で終わってしまっていて、それがアップデートされる機会は永遠にこない。なぜなら雑学じゃない生きてるウェットな化学は、そもそも独学実習が法律的にも許されないからだ。

    もし遺伝子操作系実験をするためBSL(バイオセーフティレベル・バイオハザード)が設定されている研究室にはいれば、必然、放射線同位体も扱うことになるので、放射線管理区域のハザードマークまでついてくる。
    劇物ももりだくだ。日常的につかう遺伝子染色をおこなうエチブロなんかは、DNAを染色するためのものなので、ちょいと皮膚に触れればもれなく癌化してくれることになるだろう。 法律的にも部外者の立ち入りは制限されるが、そうじゃなくても、あぶなくって入れられないよね。まじ危険。

    高校生がキサントプロテインとかでお手々を黄色くしたり、ヨウ化銀で手を黒くしたり、液体窒素を頭からかぶってキャッキャしているのから大人にならねばならない。

    遺伝子操作系は、自分が組み替え体になっていないことを確認するため、血液採取などもおこなう。PCRはそういう研究過程でおこなわれる。

    今、各大学の研究室にどれだけPCRできるかみたいなお問い合わせを官庁がしているらしい。 それはレストランのキッチンにも流しがあるんなら、緊急時ならうんこも流せるよなという要請にほかならない。

    化学科は大変

    遊んでばかりのキャンパスライフ。
    残念だな。それは幻想だ。

    座学とは別に実験レポート実験レポート実験レポートだ。
    だから化学科の子はバイトに多くはいったり外の学科の子とは遊ぶことがまずできない。

    週に実験がいくつも重なると一週間でレポート用紙が一冊なくなる。
    実験は数コマぶち抜きなので、一回休むと出席回数がいきなり足りなくなりアウト。翌年のその時間には別の実験がまってるのでどちらにしろアウト。
    図書館で資料を探しながら実験計画をたてたりスキーム考えたり仮説をたてて実験してレポートをまとめる。
    実験の種類も、有機や無機、物理、化学工学とかあっちゃこっちゃ。

    考査試験も大変。
    教科書やノート、はたまた教科によってはコピーまで持ち込み自由なものがあったりする。なんだ、かんたんじゃんと思うかもしれない。
    残念。記憶力勝負とかじゃぁないのだよ。数学の試験に教科書を持ちこむようなものだ。 ただし公式は無尽蔵に近いほどありますみたいな世界。

    触媒や反応経路など無数にある。将棋の試合に詰将棋の本を持ち込んで挑むようなもの。こっからこれを合成しなさいみたいな問題だと、図書館並みの資料が横にあってもわずかなテスト時間内に正解を導きだすのは困難だ。思いつかねぇぇで頭かきむしったところで、教科書に正解が載っているわけではない。 途中経路はどこでもいいけど時間内に目的の駅にはついてねみたいな感じ。 ただし予め使いそうな時刻表は自分で用意しておきなさいってことだ。

    そんなだから、必修科目なのに合格率2割だったりものがあったりして、一年履修の課目でも4年でも2割の学生はとれずに卒業できない。俺も3年から4年にあがるとき留年した。就職活動説明会に行った帰り、研究室配属見に行ったら名前がなくて留年ですと言われて膝から崩れ落ちたもんだ。
    4年で落としたやつはもっと深刻。就職が決まってたり、他大の院へ進学が決まってたりしたやつもいたりして・・・あ、これは化学科の問題じゃなくて、うちの大学、というかある教授固有の問題か。話しがそれてきた。友人に8年ひっぱっちゃったやつがいたが、こないだ会ったとき、いまだに夢でうなされると言っていた。怖い。罪深い。

    ぐちぐちと関係ないこと書いてたら長くなったので、また続きはこんど。
    Civilization VI やらなきゃいけないんだ。ぼかぁ。あ、そうだね、化学な人はCiviとか好きだとおもう。逆もしかりかな?

  • SARS-CoV-2 自己汚染についての考察

    っちゅうか、よくわからんので、お勉強がてら。
    学生のとき細胞研にはいたんだけど、バチルスだったのでウイルスのことや病理のことはさっぱわからんちん。わからないはわからないなりに、あれこれみたり今更資料を読んだりしてるんだけどやっぱりわからない。
    結局なんで顕在化までの潜伏期間がこんなに長いのかとか、重篤化から劇症化または亡くなられるまでがこんなに長いのかとかをむむむ唸なってる。まあ、頭のいい専門家たちも目下悩んでるのかもしれないけど、紅茶屋さんはそれよりもっと手前のところで躓いているので思考と資料の整理がてらまとめてみることにした。

    ウイルス価(ウイルス力価またはウイルス感染価)という言葉がある。
    上からも下からも大変なことになるノロウイルス(ノーウォークウイルス)なんかは、わずか数個(10~100個程度)で感染に十分だと言われてる。
    宿主の人間や鳥さんなどで増えたウイルスが、戻したり下したりして河川にながれこみ、河口までたどり着いて牡蠣とかに取り込まれ、非加熱で人に食されたりすることで人間の腸管で再生産されるわけだ。
    感染から48時間後には感染者の糞便には10^9~10^10/g 程度のウイルス粒子が再生産される。最初100ヶだったのが数百億以上になって放出されつづけるわけでノーウォークなのに辺り一帯を汚染区域にできるわけだ。ウイルスの生存戦略。生きてないけど。

    さて、不活化が大変なノロウイルスに比べてコロナは随分とイージーだ。だと思われていた。 アルコールでも次亜塩素酸でも不活化できるし、ウイルス価も10の6~7乗(百万)は必要だ。

    症状がでるまで5日(潜伏1~14日)程度かかる。上気道に感染するのでおしゃべりや咳などでその間に人に遷してしまうことになる。たとえ致死率が低くても感染者数が増えれば死者数は増えるし、医療崩壊がおきれば平時であれば助かったひとも助からなくなる。それが故にソーシャルディスタンシングだの三密だのと言われ、社会活動をロックダウンしてまで感染拡大を抑止しようとしているというわけだが・・・

    ここで疑問がおきる。
    自分の細胞で増えたウイルスにどの程度再感染するのかという問題だ。
    腸管の新陳代謝は激しく、人間の大便のほとんどは腸の老廃物だ。だからノロウイルスは感染からわずか48時間程度で発症する。

    同じ飛沫感染で、鼻や喉の粘膜、上気道と肺で増えるインフルエンザウイルスは潜伏期間1~3日と、これもまた短い。ウイルス1個が24時間で100万に増える計算なので、当然といえば当然だ。だがこの新型コロナウイルスの症状がでない潜伏期間はとても長く、また長いが故に快癒までの期間もとても長くなる。再燃も懸念される。なぜだろう。

    ウイルスの感染経路とともに考えてみよう。

    1)ウイルスがやってきた
    ウイルスは生き物ではない。運動機能を持たない。動かない。
    宿主(人間や動物)や物理運動(空気の滞留)によってのみ運ばれる。
    だから宿主がいる可能性がある人が多い場所を避ける必要があり、 ツバなどウイルスを含んだ飛沫が届く可能性がある2メートルの感覚をとる必要があり、
    ウイルスがいつまでもそこに残り続ける換気のされない密閉空間を避けましょうというのだ。数時間空気中で感染可能な状態であるので換気をしよう。

    2)ウイルスがついた
    運悪くウイルスを含んだ飛沫がどこかに付着した段階を考えよう。どこかに付着したウイルスは数日観戦可能な状態を維持する。マスクを外すとき表面には触るんじゃないぞ? なに?同じマスクを何日も使ってる?? 余計あぶないんじゃないか?感染者の飛沫がついてしまった!?なに慌てるな、まだチャンスはある。
    それが手についたものであれば、手を洗えばいいし、目を洗ったり、うがいをすれば洗い流すことができる。マスクは感染予防にはなんの効果もないが、ウイルスがついた手を口や鼻に物理的に触れさせないという点で効果があるだろう。同じマスクをつかいつづけるのは感染リスクをあげるが、朗報だ。コロナウイルスの不活化には中性洗剤で十分なようだね。

    3)ウイルスを体内にいれてしまったぞ
    相手の口臭が気になる距離でおしゃべりをしたのなら、あなたの体内にそれはすでに取り込まれている。
    匂いは分子で、その分子が嗅覚細胞を惹起することで匂いを知覚している。だとすれば匂いが届く十分な距離であるならウイルスも取り込める。
    だが、人間の目や鼻、口の粘膜がウイルスが細胞内に取り付くのを防いでくれるだろう。鼻水や唾液は物理学的バリアとして、ウイルスの侵入を防いでくれるはずだ。

    気道上皮は唾液や鼻水などのムチンを主体とした粘膜が物理で覆っている。
    蛋白分解酵素を含んだ唾液や抗ウイルス物質を分泌する粘膜で捉えられれば、ウイルスは不活化されるし、 痰や鼻水は粘膜線毛で外に出され、もし飲み込んでしまってもすべてを溶かす胃液がまっている。

    4)ウイルスが細胞内にまではいってきたぞ
    わたしってばドライなのって感じで、カッピカピに粘膜が乾いていたりして、物理的なバリア(ムチン層)がない場合ウイルスが細胞の中にまでやってくることになる。飛沫にのって100万ぐらいの軍勢で攻めてきていたコロナさんもこの細胞という城壁にまでをたどり着くころにはわずかな手勢のみになっている。

    そして城にたどり着いたとしても、お城には衛兵がウイルスの侵入を検知して、免疫反応を呼び起こし免疫戦となるのだ。

    免疫にみつかり排除されるかその細胞が寿命を終えるまでウイルスはその細胞の機構を利用して自己の複製をおこなって仲間を増やすのである。

    ウイルス性上気道炎と鼻粘膜
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo/56/4/56_162/_pdf

    さて、新型コロナウイルスは人類がまだ免疫を獲得していない型のウイルスである。 爆発的に感染が広がるのを人々が人に接触しないように家に閉じこもるという非消極的な方法しかとれないのは、ウイルスに侵食されたあと後天的に免疫を得るまではなすすべがないからである。

    城の中に入り込んだ不届き者が城の宝物庫から宝をくすめても城の警備兵はそれに気が付けないのである。その財宝を利用し、感染している細胞を増やし、排出するウイルスを増やし、感染者数を増やすのだ。

    ここで無症状の潜伏期間が長いというのが、効いてくる。
    自分の細胞がウイルス複製に利用されているのを自分の免疫が検知できないということは、そこから出されたウイルスに再度感染してしまうことを意味する。ソーシャルディスタンスゼロ状態である。
    密です!と、避けようとしたって、自分の肺胞をばらけさせるのは無理だ。

    コロナウイルスのような呼吸器系は頂端側(apical)から侵入する。
    頂端側から入って、頂端側から出芽するなら、もういちど粘膜の出番だ。
    たばこなどで肺疾患になっていなければ、ウイルスが排出されるたびに何度でもワンちゃんある。ないと免疫獲得まではただ増える正のフィードバックループに落ちる。

    頂端側から入って、頂端側に出ていくループだとおもってたのだけどここからがわからない。

    間質性肺炎をおこすのが典型らしいが、自分のウイルスたっぷりの呼気によって、肺の奥の奥まで感染してしまうのだろう。
    だが、だとすると血中酸素濃度が低いからとバイパップや高濃度酸素マスクみたいんで無理くり呼吸をさせると、どこにも行き場のなくなった生産された活性ウイルスは生産された場所で再感染するしかないのではないだろうか。

    免疫もまだなく、抗ウイルス薬もない。上気道から下気道まで入り込んでしまって粘膜線毛のクリアランスもされないとなると、咳込み続ける体力がなければ自己再汚染の増殖ループからは抜けられない。

    血中ではみつかっていないとされていたが、血管では見つかったとのレポートがあった。 COVID Toesとよばれるつま先や末梢血管にしもやけのような症状がでているという話しもある。
    基底膜方向(basolateral)に出芽すればウイルス血症となる。
    細胞の破壊と共に細胞内で複製され増殖したウイルスが大量に放出される。無症状で終わるひともおおいってことは、細胞傷害性はいがいとひくいのかもしれない。

    手洗いのような、肺洗いの物理的クリアランス方法があればいいのだけど。
    今エヴァンゲリオン見てるからただ思いつきで言うわけだけど、高酸素のLCL溶液に沈めて不活化する方法とかね。なんかあるといいよね。

    温度に対しては60度で1時間でも壊れないといういやな堅牢性をもつ。だが界面活性剤では簡単に壊すことができるようなのそこらへんが攻めどころなのかも。

    いやぁ、しかしほんと意味わからないね。

    佐伯耕三首相秘書官(44)
    西浦博北海道大学教授(43)
    吉村洋文 大阪府知事(44)
    テレビ朝日のアナウンサー富川悠太(43)

    ここらへんが同世代だってのと同じくらい難しい。体型と頭髪かなぁ?

    参考

    Endothelial cell infection and endotheliitis in COVID-19
    https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30937-5/fulltext

    高齢者の重症化原因? 新型コロナは全身の血管に感染することが判明
    https://nazology.net/archives/57616

    Evaluation of heating and chemical protocols for inactivating SARS-CoV-2
    https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.04.11.036855v1

    新型コロナウイルス、60°Cで 1時間加熱しても生存…夏にも高い感染力が予想(WoW!Korea) – Yahoo!ニュース
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200420-00256654-wow-kr

    医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)不活化効果について 北里大学
    https://research-er.jp/articles/view/88171

    ウイルス性上気道炎での免疫応答と鼻粘膜上皮の役割
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo/56/4/56_162/_pdf

    ウイルスによる神経細胞内RNA輸送機構のハイジャック―ダニ媒介性脳炎ウイルスの新たな発症メカニズムを発見―
    https://www.amed.go.jp/news/release_20170829-01.html

    インフルエンザの症状について
    http://influlab.jp/reception_desk/data.html

    コロナ患者の知られざる兆候「凍傷のような皮膚変色」に要注意
    https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200423-00010007-flash-peo