カテゴリー: 経済・エコノミー

  • 日本での適者生存

    ふつうの人の稼ぎを100とする。絶え間なく努力のもと200を稼いだひとがいるとする。

    100の稼ぎの人のピンはね率を20%
    200の稼ぎの人のピンはね率を55%
    もし、こういう税率の国があるとすると100を稼ぐ人には80が残り、200を稼ぐ人の手元には90が残る。

     

     

    努力してもしなくても結果があまりかわらないのであれば、キリンの首が長く進化したように、そのような国の人は努力とは違う価値観をもって生存競争が繰り広げられ、そして進化していく。ちょろまかしのテクニックを磨く者、腐敗により地下経済にもぐる者。稼ぎよりも安定性を望む者、そのような方向へだ。

     

     

    日本をみてみよう。
    サラリーマンにお馴染みの源泉徴収税。
    給与所得で年収300万円の人がいたとする。課税所得金額は192万。税率は5%なので税額は9万6千円
    給与所得で600万円稼ぐと課税所得金額は426万 税率は20%、控除額427,500なので税額は42万4500円

    http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/pdf/79-87.pdf
    http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/pdf/49-55.pdf
    つぎに住民税をみてみる
    http://tt110.net/22syoto-zei/T-jyuminzei-zeiritu.htm
    年収300万円 課税所得金額は192万の人は税率は5% 税額は9万6千円
    年収600万円 課税所得金額は426万の人は税率は10% 税額は42万6千円
    住民税と所得税をひかれると手元に残るのは、
    年収300万円は2,808,000円
    年収600万円は5,151,000円

    ※配偶者控除だの保険だのいろいろあるので、実際はこんな風にはならないかもしれないけど、あくまで試算。おおきく勘違いしてたらつっこみお願いします。
    所得税と住民税で、年収300万円の人と、年収600万円の人の差は約234万まで補正される。

     

    相続税をみてみよう。
    年収300万円の人は毎年100万、年収600万円の人はちょっと運用とかをがんばって毎年300万をマイホームやら、土地やら預金にしたとする。勤続によって給料はかわらないという前提で、両名とも勤続30年つとめあげた瞬間に亡くなる。配偶者控除を考えると大変なので奥さんには先立たたれているものとして、子供(法定相続人)は1名という設定だ。
    亡くなった時点で
    年収300万円の人の総資産3,000万
    年収600万円の人の総資産9,000万
    これが1名の相続人にいくこところを考えよう。
    平成27年以降に亡くなると、基礎控除が3000万+法定相続人(1名)×600万

     

    総資産3,000万の相続は基礎控除(3,600万)内なので無税だ。
    総資産9,000万の相続は控除額3,600万円 税率は30%で税額は1,620万となる。
    もしこの資産が土地や建物になっていて現金でない場合、1,620万は基本相続人は現金で払う必要があるので、土地などを売却し現金にする必要があるとする。すると、今度は売却にたいして売却所得税が20%以上かかる。相続税は10ヶ月以内に支払わねばならないので現金化を急ぎ売値がつくのが土地だけで4500万だったなんてことになると、3,600万が手元にのこり、そこから1,620万の税金を払うと約2,000万の現金が手元にのこる計算になる。相続人がおおかったり、その分与のしかたでもめたりすると、建物撤去の実費が払えなかったりして、税金の延納を申し出たりすると消費者金融よりたかい17%程度の利率がかかるため、競売に流れ本当になにも残らないなんてことはよくある話しだ。

     

    年収300万円で総資産3,000万の人は3000万円分の家屋などの資産は残るが、年収600万円で総資産9,000万の人は家屋が残らず現金で2,000万が手にはいるだけとなる。
    もし仮にこの総資産9,000万の人がちょっと運用などで「がんばって」、1億を少し超える額に”なってしまった”とすると、今度は税率がなんと40%になる。相続税も所得税も累進で税率は55%まである。

     
    上記は、ほんの一例だ。
    実際にはこんなことにはならないのかもしれない。ならない理由は、小規模宅地だの、長期譲渡所得の税額の適用だの配偶者控除だのなんだのかんだのの控除や適用をうけるからだ。
    適用をうけるためには申告がひつようになる。知らないと申告のしようもない。世の中はすでにテクニックで満載でもはや専門家で常に情報を手にしていないと手に負えない段階にある。納税は義務というが、義務教育で教えられる内容ではないほど複雑化していて、そもそも教えるべき学校の先生が自分で納税できていない。

     

    がんばったり、バカ正直に生きようとすれば苦労ばかりが増える環境では人々はいかに節税をするかなどに苦心するようになる。頑張ったご褒美にムチをくれてやろう。といわれたらどうだろうか。成り上がったあげくが家宅捜索でブタ箱行きでは、角をためて牛を殺すの例えよろしく、挑戦しようと風潮は奪われるし、結果として全体の生産性も落ちる。みんなで仲良く不幸になろうという現在の定向性もやむなしだ。

     
    日本の法人の実効税率は4割に達する。

    法人所得課税の実効税率の国際比較
    http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/084.htm
    本当にその税率で実行されているのであれば国際的な競争力を確保できるわけがない。法人もまともにやれば競争力を確保できない。じゃぁどうするか。ずる賢さを発揮してなんとかして競争力を確保するよりない。まともにやると苦労損では、ブラック企業ばかりになるのもやむないことだ。破綻をして公的資金を導入された会社のほうが従業員の給与どころか役員の給与が多いようでは法人もそのような方向に「進化」するのは当然のことだ。従業員を働かせるよりも研修にいかせてたほうが助成金が降りるとか、新規建設は経費計上できるけど保守費用のための積立は参入できないなどとなったらそりゃトンネルの屋根だって落ちても不思議はない。パートで働くよりも生活保護をうけとったほうが収入が多いでは勤労意欲も失せるだろう。

     
    適者生存にならい人間や法人がこのような方向へ淘汰され、進化していくのだとするとそう何代も世代を重ねることなく国も滅ぼう。

     

    平均や中央値から外れると、補正され平均に押し込まれるような設計がされている。
    これが悪いわけではない、問題はそれが機能しているかどうかだ。チートルートだらけ。テクニックだらけだ。機能しないまま補正値を強めるのは自縄自縛ほかならない。リファクタリングせにゃあきませんよ。

     
    まあちょっと計算すこし大げさになっているけど、本質的にはこんな感じなので、附則だらけなのをもういっかいそぎおとして、健康で文化的な方向に人や組織が進化していくためにはどんな環境がひつようなのかという筋は大切にしないといけないんじゃないかと思いましたとさ。

     

  • 長期金利換算表

    過去に支払をおこなったものの現在価値を知りたく、物価上昇率やリスクフリーレートとしての日本国債の推移を知りたかったのだが、データが公開はされているがすぐに使えるような状態になっていないのでそれなりの加工を要した。ついでなので公開しておく。

    物価参考データ消費者物価指数と、日銀の過去の金利情報を元に1970年~2013年までの表をつくった。データが無い部分については0%としている。ダウンロードしたエクセルの青字の部分を書き換えれば、累計の現在価格をしることができる。遺産相続などで遡ってごにゃごにゃしそうなときに使って下さい。

    物価指数も国債の金利も毎月の前年比を平均して年度の平均値になおしている。エクセルのマクロで計算しているのでマクロを含んだまま公開しておくが、メインのシートを触るだけであれば動かす必要はない。採用したい金利の年数などを変更したいときなどは自分で変更してください。

     

    ↓ダウンロードはこちらから

    長期金利表(オフィス2007以降をつかってね。)

    年度 実質物価上昇率 日本国債金利
    1970 0.00% 0.00%
    1971 6.30% 0.00%
    1972 4.91% 0.00%
    1973 11.57% 0.00%
    1974 23.18% 8.23%
    1975 11.91% 8.31%
    1976 9.37% 8.49%
    1977 8.18% 7.56%
    1978 4.21% 6.49%
    1979 3.70% 7.83%
    1980 7.76% 8.75%
    1981 4.94% 8.33%
    1982 2.75% 8.05%
    1983 1.90% 7.77%
    1984 2.27% 7.27%
    1985 2.08% 6.61%
    1986 0.62% 5.35%
    1987 0.11% 4.85%
    1988 0.68% 4.87%
    1989 2.29% 5.08%
    1990 3.10% 6.88%
    1991 3.28% 6.38%
    1992 1.74% 5.35%
    1993 1.26% 4.35%
    1994 0.68% 4.36%
    1995 -0.08% 3.46%
    1996 0.13% 3.12%
    1997 1.71% 2.37%
    1998 0.66% 1.53%
    1999 -0.34% 1.74%
    2000 -0.66% 1.78%
    2001 -0.73% 1.33%
    2002 -0.91% 1.27%
    2003 -0.25% 0.99%
    2004 -0.01% 1.50%
    2005 -0.28% 1.38%
    2006 0.24% 1.74%
    2007 0.06% 1.68%
    2008 1.38% 1.49%
    2009 -1.34% 1.35%
    2010 -0.70% 1.22%
    2011 -0.28% 1.12%
    2012 -0.04% 0.86%
    2013 0.00% 0.78%

     

    肝心のところはWebでもみれるように表にしておく。

     

    物価参考データ消費者物価指数 中分類 前年同月比(昭和46年1月~最新月)
    http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001033702&cycode=0
    各年の総合物価上昇(各月前年度比)の年度平均を採用

    過去の金利情報
    http://www.mof.go.jp/jgbs/reference/interest_rate/kako.htm
    ※74~89 は国債9年ものの金利を採用 、90年~ 新発10年ものの金利 金利がないものについては0%とした

  • 日本の個人資産1500兆円は正しいのか?

    なんか俺が子供の頃から日本の個人資産は1000兆円あると言われたままあまり動いていない気がする。

    日本経済凄過ぎワロタwwwwwwwwwwww
    http://alfalfalfa.com/archives/6262676.html

    経済が凄いかどうかは置いておいて、今回は個人資産1,500兆円という本営大発表はどれくらい信じられるのかについてかるーく調べてみようと思う。
    まず、個人資産1,500兆などとマスメディアや政治家が口にする根拠は、日本銀行の資金循環統計による。

     

    最新のレポートを貼っておく。

    資金循環統計(2012年第3四半期速報):参考図表
    http://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf

    まずここから家計の金融資産の残高を抜き出す。

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    ※右側に今季の四半期ごとの図がでてくるが通期のみでみるのには邪魔なので削った。
    マネタリーベースやサプライは日銀さんを信用するしなかいので置いておいて、比較的考慮しやすい、株式・出資金に注目したい。残高の推移でみると05年、06年が多く、他の年では半分程度になっている。

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    他方、こちらはTOPIX東証株価指数のここ10年のチャートだ。
    http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=998405.T&ct=z&t=ay&q=c&l=off&z=m&p=m65,m130&a=

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    TOPIX東証株価指数でみると、2006-2008年にピークがきている。このずれが意味するところはなんであろうか?

    家計残高の株式・出資金は時価の取引価格ではなく、取得額の価格をベースに計算していいるということではないだろうか。

     

    次に注目したいのは、保険・年金準備金だ。家計のなかで現金・預金につぐウェイトをしめている。これは、企業が積み立てている年金などを含む資産だ。
    年金は、厚生労働省の年金積立金運用報告書から裏付けることがImage4できる。

     

     

    平成23年度 年金積立金運用報告書 – 厚生労働省
    http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei/tsumitate/tsumitatekin_unyou/dl/houkokusho_h23_01.pdf

    39ページ目に「(参考3-1)年金積立金額(簿価、時価)の推移」という表があり、そこに感心なことに時価まで乗っている。

     

    この10年で簿価ベースで30兆円吹っ飛んでるのはちょっと引いちゃう渾身のギャグだとして、平成6年から運用スケールという点ではあまり大きな推移はない。こちらにも時価の計算は償却原価法でというような制限はあるようだ。しかしグラフからみると400兆円分ぐらいありそうな年金は100兆しかないことがわかる。年金の3倍、300兆ぐらいが民間保険などの積立金であるようだ。

     

    結論。実際に資産としてお家に持って帰えって自由につかえるお金として個人資産1,500兆円が存在するわけではない。あくまで年金や保険を含んだ、帳簿上の資産ということになる。
    たとえば、わたしは個人事業主の延長で一人で有限会社をやっているが戻るあてもない資本金も個人資産として簿価計上されているし、個人事業主の運転資金も資産としてカウントされていることになる。

     

    この帳簿上の資産、例えば債権などを自由に使えるお金としてみんなが現金化しようとすると、信用収縮がおきてしまうので、正確にそれがいくらあるのかなど測ることは難しいのではあるが、1,500兆円のうち半分は株券や債権と、また株や債権で運用されている年金、さらには正体不明の保険ということでした。

    チャートのカーブでみるとこの失われた20年で本来増加するはずであったであろう3~400兆円分ぐらいが海外に流れたのかな?家計にしめる保険をもっと踏み込んで探ると面白そうだけど淵が深そうなのでやめておきます。

     

    最後に「(図表5-1) 一般政府の金融負債」

    Image5
    無理ゲー・・・( ´,_ゝ`)