投稿者: kuippa

  • 大仏の螺髪の数についてそれっぽいことをのたまう

    奈良の大仏の螺髪が文献の数と異なっていることがニュースになっていた。

    奈良の大仏、髪の量半分だった レーザー解析で定説覆る
    http://www.asahi.com/articles/ASHD24DYBHD2UTIL01R.html
    奈良・東大寺の大仏の毛髪(螺髪〈らほつ〉)が、定説の「966個」ではなく、「492個」だったことがわかった。
    (略)
    「東大寺要録本願章第一」には、「天平勝宝元年(749年)12月~同3年6月、螺髪を966個つくった」とある。
    (略)
    東大寺の大仏には483個の螺髪があり、9個分が欠けていたことが確認された。
    (略)
    966や492にどんな意味があるのか、現時点では思い浮かばない」と話す。(石山英明)

     

    現存の483個を二倍にすると966になるので、螺髪の構造が2つをあわせて1つにするような入れ子や合わせの構造になっているのではないだろうか?なんてことを思った。
    さらに欠けているとされる9個の意味について思いを馳せる。
    眉間と額と天頂の大きい3つの螺髪を抜けば480ヶとなる。

    745年に製作、752年に完成にかかった7年、743年に造像が発願からすると9年。ここにヒントがあるのではないか。

    現在の暦に直すと何月なのかがわからないが、仮に発願から開眼まで8年かかったとするとここにちょうどにたようになる数字がある。
    8年間に六曜(先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口)が何回あるか数えると486.6曜だ。
    で、旧暦は太陽暦ではなく太陰暦(お月さんの満ち欠け)がメインになっている。
    で、ここで欠けている9個と、月の満ち欠けがなんとなーーーく、クロスする。

     

    当時の月食が何回あったのかは、ちょっとググったぐらいではでてこないのだけれども、
    21世紀の100年、月食は142回(皆既月食85回、部分月食57回)あるそうだ。
    年平均に直すと1.42回。

     

    8年間だとおおよそ11.36回の月食が観測される想定になる。
    9とは差があるけれども、なんかそれっぽい数字ではにゃーだろうか。
    月食は1年間に2回起こるか起こらない年、3回起こる年などもあるので、観測期間によっては9回になることもあんじゃねぇかなと思う。
    なんてことを思いながら大仏のあたまのぐるぐるに思いを馳せ、お腹がへってきたのであった。

     

  • 最低賃金上昇は若者の雇用機会を奪うのか?

    「最低賃金をあげるべきだ!」
    「労働者の最低賃金をあげると、逆に低練度の雇用がなくなんぞ!?」
    「経営者側の傲慢だ!そんなのは低賃金で使い潰したいだけに違いない!」

    なーんていう、長年の議論に日本の実態統計をぶつけるとなんかもう結果がでているようなので、レポートtoみんな。

    アルバイト時給が大幅上昇 10月全国平均、10円近い上げ幅  :日本経済新聞
    http://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ19H3A_Z11C15A1EA2000/
    全国の募集時平均時給は947円となり、前月に比べ7円上がった
    (略)
    10月に最低賃金が改定され、全国平均で18円(2.3%)上がった

    最低賃金が18円あがってるのに7円反映ってことはそんだけ最低賃金界隈での募集が多かったってことかな。

     

    東京都の最低時給は現在907円/時で、近所の商店街のお店とかみてると、もうバイトとか気軽におねがいできないわ、ひゃっほーいって感じ。日常品は販売価格の価格硬直性が高くて、値段変更が容易じゃなくて、まだ消費税とか円安まわりの粗利減少に対応できておらず、しかも労動付加価値低い産業なので、値頃感として新規バイトの賃金上昇圧に耐えられない。
    http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

    上位の5グループ、下位の5グループともに1.95-2.5%程度の綺麗な上昇になっており、ここ数年かなりでこぼこしている消費者物価指数やその他の雇用賃金統計などの経済実情から考慮したものというよりは、先に数字目標ありきの設定っぽい。

    最低賃金上昇推移2015-11-20 18_22_03-年齢雇用形態別統計lt52.xlsx [互換モード] - Excel

    で、この最低賃金上昇がどういう意味を持つのか?

     

    労働力調査 長期時系列データとぶつけて評価してみよう。

    雇用者数男女2015-11-20 18_28_03-年齢雇用形態別統計lt52.xlsx [互換モード] - Excel

    近似曲線を引くと綺麗な線形がでてて、非正規はこの10年で約500万人増えてる。「非正規ガー」の議論に踏み込むとめんどくさいことになるので今回はスルー。

    雇用者数男2015-11-20 18_32_30-年齢雇用形態別統計lt52.xlsx [互換モード] - Excel

    男性の非正規はそれほど増えておらず、比較的変化がなだらかであることがわかる。

     

    雇用者数女2015-11-20 18_35_31-年齢雇用形態別統計lt52.xlsx [互換モード] - Excel

    とくに非正規の雇用の問題が女性がメインであることがわかる。

    で、そのなかから特に非熟練、低練度である労働者、24歳未満の女性の推移をみてみる。

    雇用者数24歳未満女2015-11-20 18_37_53-年齢雇用形態別統計lt52.xlsx [互換モード] - Excel

    正規、非正規ともに数としては減少していることがわかる。

    これだけでは人口動態による変化を含んでしまっている可能性があるので、年齢階級別の人口統計から就労可能人口を年代別にぶつけて、%にした。

    雇用者数24歳未満女割合2015-11-20 18_43_05-年齢雇用形態別統計lt52.xlsx [互換モード] - Excel

    結論、総世代では非正規は増加傾向にあるにもかかわらず、低年齢層では正規だけじゃなくて、非正規の数も減っておりましたとさ。

     

     

    雇用者数24歳未満男割合2015-11-20 18_52_40-年齢雇用形態別統計lt52.xlsx [互換モード] - Excel

    ちなみに男でもゆるやかながら同傾向。

     

    雇用者数34歳未満男 割合2015-11-20 18_54_56-年齢雇用形態別統計lt52.xlsx [互換モード] - Excel 雇用者数34歳未満割合女2015-11-20 18_57_54-年齢雇用形態別統計lt52.xlsx [互換モード] - Excel

    非熟練の雇い止めをして、24~34歳ぐらいのバリバリ実務担当できるぐらいの練度の労働者を非正規化することで賃金をさげることでなにをあれこれしているんでしょうね。

     

    ちなみに、完全失業率は改善しています。
    http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/

     

    仕事を潰さないかわりにみんなでワークシェアしているような感じでしょうか?

    別にこの結果をもってして最低賃金上昇が原因だ!と申そうとしているわけではなくて、労働力もモジュール化した社会において、労働生産性がひくいところで低練度の労働者を雇い入れる弾性力がなくなってるだけだともおもう。みんなの賃金もあがってハッピーってなるためには社会全体のパイが拡大していないとだめ。いま、縮小を始めたところなので(こないだRESAS調べてて面白データみつけたのでこんど紹介するね)、こっちを先に改善しないと、低練度の労働資本に頼らざるをえない若年労働者がワリを食うよね。なんてことを申したいのでございます。

     

    まあなんですかね、そういうツケを若年者、とくに女性が払わされているというのは、最低賃金あげてやったから感謝しろという態度以上に考えなければいけないものがありますな。戦争法案だなんだと、およよってる間に意味のわからん労動派遣法改正が通ってるし、資本金純資産で2000万詰めない中小とかは営業ができなくなるし。なんていうか数字先行で実態みてない感じがして、なにがしたいんだろうなと思うところです。数字がつくりたいだけなのかな?

     

     

    雇用形態別雇用者数 - 全国 男女計
    http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.htm#hyo_1

    表10
    【年平均結果―全国】
    年齢階級,雇用形態別雇用者数(エクセル:163KB)(正規の職員・従業員,非正規の職員・従業員(パート・アルバイト,派遣社員など)) (2002年~)

    表3
    【年平均結果―全国】
    (1) 年齢階級(5歳階級)別15歳以上人口(エクセル:86KB) (1968年~)

  • 稼げない人のお金の使い方、またはその逆

    お金を稼ぐ人は何にお金を使っているのか。逆に稼げない人はどうか?

    平成26年(2014年) 年報 家計調査年報(家計収支編) 第3表 年間収入五分位・十分位階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(総世帯)を元に、しらべ、全体平均と区分平均との比率をグラフにした。
    http://www.stat.go.jp/data/kakei/2014np/index.htm

    具体的には区分ごとの平均を

    • 年収171万未満ブロックの平均が122万
    • 年収171~244万ブロックの平均が209万
    • 年収244~304万ブロックの平均が276万
    • 年収304~360万ブロックの平均が333万
    • 年収360~325万ブロックの平均が391万
    • 年収425~504万ブロックの平均が463万
    • 年収504~601万ブロックの平均が550万
    • 年収601~737万ブロックの平均が663万
    • 年収737~941万ブロックの平均が828万
    • 年収941以上ブロックの平均が1308万

    年間収入(万円)の全体の平均514万で割って、
    全体平均からの乖離割合を%でグラフ化する。

    171万のブロックでは122/514=23.74% というようにだ。
    グラフにするとこうなる。

    年間収入

    こんどはコレに消費支出、どれだけお金を使っているかという%のグラフを足してみる。
    ちなみに全体の平均は25万だ。

    消費支出

    そうすると、低所得者は収入は全体平均の23%だが、支出は44%(11万)と収入のわりにお金をつかっていることがわかり、逆に高額所得者は平均1308万を稼いでる層でも176%(44万)と稼ぎのわりには支出していないことがわかる。

    世帯人員

    世帯人員は年収の低い人ほど独居率、少人数世帯が多く、有業人員=職に就いている人は、425万の層まで1人以下で働いていないことがわかる。グラフには記載しなかったが、世帯主の平均年令が全体平均が58.3歳、171万未満ブロックは66.1歳であることから低収入の場合は独居老人が多く含まれていることが伺える。
    意外な事に世帯収入による持ち家率の差はあまりなく、最低所得層を除けば7割代であることがわかる。
    持ち家でもない、家賃も地代も払っていないなぞの層が低所得者で6.4%(生活保護かな?)他の層では2%前後(パラサイトかな?)、最高所得層では-0.4%存在する(セカンドハウスかな?)。

    食料部門

    生鮮食品

    生鮮食品

    生鮮食品はあまり世帯ごとに掛けている金額がかわらないことがわかる。最高所得者層でも平均の160%程度で収まっている。世帯人員が3倍差があることを考えると随分と安くついている。逆に低所得者層は年収に比べると食料品がずいぶんと高くついている。お一人様分で野菜などを買うのは非効率、不経済であることがわかる。所得504万の層で果物類が落ち込んでいてここに自由に使えるお金の壁、逆転する何かがあるように感じる。

    油や調味料、菓子類なども同様の傾向なので飛ばす。

    飲料

    飲料

    面白いのが中所得者層(360万、425万)で茶や、他の飲料に掛ける金額の低下がみられること。本業が紅茶屋であるので、少しここには踏み込んで調べてみたい。後日、1世帯当たり品目別支出金額から、何食って、何を飲んでいるのかをから細かく調べてまとめたいとおもう。

    外食

    外食

    ようやくグラフに変化が出だした。
    賄い費は賄い付きの同居人がいる単身世帯のみの計算で、逆に学校給食は単身世帯では計算しないそうだ。
    給食費が高所得者ほど跳ね上がっているのでホテルオークラのシェフがつくった給食でも食ってる連中が平均を押し上げているのかと思ったのだけれども単純に低所得者層が就学児童数を抱える数はすくないのであろう。老人年金世帯が多いのであれば納得だ。逆に賄い費が多いということは扶養食費が多いことを意味している。

    生活住居部門

    住居

    住居

    低所得者でも家賃地代にお金をかけていることがわかる。逆に高所得者はレントの費用は下がり、修繕や工事の費用があがっている。黄色の棒、これについて面白いのが山が3つほどあることだ。244万、504万の層で一旦下がる。ライフステージの問題であろうか?

    光熱費

    光熱費

    年収によってほとんど変わらない。高所得であったり世帯人員が増えたからといって光熱費では贅沢のしようもないということであろう。唯一、低所得者層で人気の「他の光熱費」について目がひかれるが、詳しく細目を調べたら主には灯油であった。その他もあったが少額で炭とか薪などであろう。

    家具類

    家具類

    所得による差が歴然と出だした。耐久財であるために買い替えの必要がほとんどなく、かつ無くても生活にはさほど困らないためか、737万の層になるまで平均に達しない。つまり高額所得者の消費が平均を著しく押し上げている。
    オーダーメイドが効くようなワンオフの高級家具屋か、ニトリやイケアのような大型量家具店の二極化していることを意味していて、中間所得者層向けの家具屋がブルーオーシャンであることがわかる。なお生命の少ないブルーオーシャンで生きていけるとは限らない。

    ファッション

    ファッション

    お洒落は足元から、靴を見ればわかるというが実態は少し違うようだ。
    ファッションも家具と同様、お金を掛けなくても死にはしない分野のため、所得によって明確な差が出ているがその変化は足元からではないようだ。下着類は425万を超えたあたりから平均に達し、履物で見分けるには504万、そして突然和服とかに手を出しだしたら年収601万の層だ。洋服で見分けようとすると737万ぐらいになるまで平均から乖離しない。

    和服は高価でかつ着れるスチュエーションも限られている。祭りのような年に一度しか出番のないハッピのようなものでも3万ぐらいする。お付き合いで和服を買えるようになるにはある程度の収入が必要なのであろう。
    また高価被服品を揃えるとクリーニング(洗濯代)などの被服関連サービスにお金を使うようになるのも特徴か。クリーニングを平均以上に利用しだすのも年収601万からの層である。

    健康医療

    保険医療、健康保持用摂取品などは中間所得者向けのサービスのようだ。所得が多いからといって消費が多くなるわけでも、所得がすくないからといって利用をすくなくできるわけでもない。低所得者層だけ64%、82%と離れているが、横並びとなっている。図は省略する。

    交通・通信部門

    交通通信

    自動車購入が必要なのは所得360万の層のようだ。
    交通費や通信費は年収に応じて増えていく。稼ぐためには移動や通信が必要であることが伺える。自動車購入とはリニアではないようだ。
    逆に自動車の購入は737万の層をピークに落ち着く。推測であるが、そもそも年収1000万を超えるようであれば人件費払いではなく事業経費としたほうが税控除の範囲が広くなるので、高級車などを個人消費支出でまかなうよりも社用車として購入しているのではないだろうか。

    教育

    教育

    稼げない人のお金の使い方の答えがここにあるように感じた。これが結論だ。
    0.57%と、もはや棒グラフにも表示できないほどショックな値なので、表中にデータテーブルを追加しておく。教養娯楽サービスには宿泊料、パック旅行費、月謝類が含まれるが代表値として月謝類を採用した。

    単身世帯が多いこともあるとは思うが、教育につかうお金の差はファッションや家具などを大きく引き離す。
    最低所得者層が最高所得者層の比較を具体額で計算すると教育はなんと560倍もある。
    比較的に差があった家具でさえ9.2倍、和服が15.3倍であることを考えるとそれらすら無視してよいぐらいのスケールの差があることがわかる。
    教育に興味がないから稼げないのか、稼げないから教育に投資できないのかその順序はともかくとして、貧困の再生産と裕福層の再生産は教育によりおこなわれている。

    貧富の差を埋めるために教育費を下げろという言説があるが、そもそも教育以外には消費をしているのだ。分配の問題でどれだけ振る舞いが違うかで差がもっとも顕著にでたところが教育というのは仕組みの問題ではなくマインドの問題である。

    書籍など印刷物への消費価格がそれほど変わらないのはどんなに高い本を買っても、読める量には限界があることと、低俗とされる印刷物でも結構なお値段がすることによるものだろう。細目を5階層分類による富裕層と低所得者層とで比較してみると新聞は73%であるのにたいし、書籍は35%しか使っていないことがわかる。

    同様に教育の細目も計算しておく。授業料等2.1%、教科書・学習参考教材3.3%、補習教育0.9%である。

    授業料
    授業料

    教科書代など
    教科書代

    余談であるが消費支出にパチンコのような特定娯楽品目はない。諸雑費サービスだとすると、貧富対比32%、諸雑費たばこで86%つかっている。

    月謝類

    高所得者ほどスポーツ、音楽目的の月謝にお金をつかっていることがわかる。

    こづかいなど

    こづかい

    教育の後ではもうインパクトも無いが、こづかいと交際費についても載せておく。
    交際費は所得に応じてあまり変化があるものではないが、所得が多くなると使途不明金は増えていくようだ。

    結論

    教育だよ教育。教育にお金を使うか使わないかがあきらかな違い。