投稿者: kuippa

  • (書評)あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか 生田 與克

    アイッ!
    魚屋さんが書いた本だ。
    「あんなに大きかったホッケが何故小さくなったのか?」って、この本のタイトルをホッケを食べながら言ったら「ホッケって大きかったの?」なんて事をいわれて、俺までへこんじまったよ。

    最近はアジの開きもちいせぇし、仕出し弁当にはいってる魚の煮付けなんかもいつのまにか切り身から丸のまんま小さいのがゴロっと入ってる。ロウソク鯖みたいなヤツだ。今年はサンマも不漁だとかでほとんど食えなかった。魚がどんどん小さくなるし種類も減る。しかもみんなそれにあまり気がついてもないんだ。かー、嫌になっちゃうねぃ。

    この本は、築地魚河岸三代目、マグロ屋のセガレ、うなぎ屋の孫 生田與克さんが書いたチャキチャキ江戸前な本だ。
    いやね、うちの爺さんも神田の紺屋町から三鷹村に疎開した身だし、三鷹のここいらへんも元々たー江戸の振り袖火事で神田の連雀町からしっこして連雀村をつくった人たちだからさ、「ひ」が発音できないで「し」になっちゃうような人たちがまだ居たりするんだよね。団子屋のおねーちゃんだとか。うちの爺さんは職人系だったのでこんな風なチャキチャキっとはしてねぇんだけども、じっちゃんのかぁちゃんの実家もうなぎ問屋だったようなことを聞いたことがあるので親近感を覚えるんですわ。
    てな具合に、このブログの口調でここまで読めてるなら、スラっと本文もよめちゃうんじゃねぇかな。こんな感じの口語と文語がまざったような、文体で仕上げられている。・・・が、内容は至って真面目。日本の海洋資源への取り組みへの懸念や、その解決策への提言が、魚屋さんの言葉できちんと下処理されて食べやすいように煮付けられている。かなり骨太硬派な内容を食いやすいように仕上げた本なんだ。

     

    インターネット界隈のウオッチャー(魚っちゃ!なんてな?)には有名な生田さん。
    とにかく話しが旨い。落語家とかも舌をまいちゃう旨さがあらぁね。さすが魚屋さんだよ。ちょっと毒魚なんじゃねぇかってぐらいピリっと効いたりするのもオツなところだ。

     

    あてくしが初めて生田さんを知ったのは、「今夜も築地テラスで」という江戸川大学とかいうところがやっているyoutubeの動画番組だったかな。3年ぐらい前か。当時はBONSAI LAB.とか、3Dプリンターの話しが聞きたくて見たんだけど、ついでに見て、なんか面白いおっさんが居るぞと、それから深掘りしてみたんだけど、楽しい楽しい。
    JPLIVE.TV 「今夜も築地テラスで」 with 築地・マグロ仲卸三代目 生田與克 様

    https://www.youtube.com/user/JPLIVETVchannel/videos

     

    学者さんとくっついた

    動画配信を覚えちゃった生田さんは、時をそれほど置かずに魚食文化を大切にしようって「さかなTV」を始めた。海洋資源の専門家として、ブログ界隈でも名のしれた当時三重大学准教授だった勝川俊雄氏と絡みだしてからは、もうとまらない。

    勝川先生自体のブログはそれなりに有名で、あてくしもたまに読んでて、水産庁の「海洋資源は豊富だから大丈夫です」論に孤独に真っ向から立ち向かうってすげぇなと関心してたのだけど、でも、ま、学者さんって感じで、脱乱獲にむけてはとても真摯な研究姿勢なんだけど、そんなに口達者じゃぁなかった。これが、生田さんと組んで、凶悪なコンビが誕生したもんだと思ったもんよ。海外の水族館とかそういうアカデミックな方面からの知識も貪欲にとりこんで代弁していくのはすげぇなと。

     

    政治家ともくっついた

    青年会議所で一緒だったという、いまじゃ内閣府副大臣まで務めた大田区選出の平将明氏と、当時野党だった自民党のインターネット広報番組「カフェスタ」にでて好き勝手喋るようになって、準レギュラーからほとんどレギュラーになって、お歴々相手に歯に衣着せぬ好き放題をしてて自民党も変わったなぁと思わせたもんです。ニコニコ超会議とかに政治政党がブースをだすとか、そういう頃ですね。

    政治家だの政治活動家だのの話しなんてその場のおためごかしばかりの発言か、視野狭窄なんじゃないのという義憤にまみれた残念なものばかりなのだけれども、平さんは元は大田市場のしいたけ八百屋さんをやっていたということもあって、自らの下請けの時代の実体験があるので、話しを聞いていて発見がある。八百屋、魚屋の市場コンビはなかなか踏み込むことができない知らない世界だからね。

    長靴はいた魚屋のおっちゃんが自民党本部に出入りできている間は大丈夫だなとか思ったりもしたもんですが、最近、おわっちゃったので、やっぱりアレですかね、なんかあるんですかね?再開しないんですか?

    ・・・。

    最近の放送みたら、あれ、めぐちゃん結婚引退?ほえ、生田さんマジで自民党の推薦候補に応募するの???ん。マジですか。政治家ってキャラではないと思うけど、どうなんだい。んー。んーー。長い目で見れば必要なことだけど、どうだろうね、今の政治っていう仕組みだと個人は大したことはできないので、在野のほうが活きる気もするけど・・・んー。どうだろう。つっこんだら嚢中の錐になるかな?んー。政治分野で水産はやってほしいけど、政治家にはなってほしくはないなー。個人的には。

     


    https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%BF+%E7%94%9F%E7%94%B0

     

    いやぁ、またしても本の内容とはまったく関係ない書評になりつつあるのだが・・・

    魚を今後もおいしく食べるために「乱獲、乱売、乱食」の負のスパイラルを止めよう!
    魚食を大切にしたい、継続可能なものにしたいという信念がこもったこの本が、なんと1,296円だぁ、これは奥さん買わない手はないよ!
    ちょっと甘っからく煮て、晩ごはんのとき食卓の話題にでもすれば、一食分だけじゃなくて、孫子にまで美味しい魚が食えるって寸法さ。海に囲まれた島国である日本。日本は漁業先進国だとおもってるかい?そりゃ、最新のレーダー積んで、でも、産卵親魚まで乱獲してちゃ魚がいなくなるもの当たり前だよな。

    いつまでも旨い魚が食えるために、監督官庁に頼らずに食卓が賢くなろう。
    かしこく食べてかしこく増やそう。シーフードスマート。
    お腹だけじゃなく、頭の栄養に是非一冊。

  • (書評)ゆっくりいそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~

    年末に読もうと思ってamazonで買った本数冊。今日届いたので開けたら同じ本が2冊はいってた。わしはもうダメかもわからんね。さて、2015年に読んだ本レビュー。2冊目。ルワンダの中央銀行につづいてこんどは西国分寺の中央銀行のおはなしだぜ。

    西国分寺にあるクルミドコーヒーというカフェのオーナーが書いた本。

    紅茶屋という商売がら新しくオープンした喫茶店とかの情報はよくきいたりするのだけど、クルミドコーヒーさんを知ったのはもう4~5年ぐらい前になるだろうか?コーヒー好きの某有名経営コンサルタントのショーンKさんからお聞きした。カフェのネットワークではなく、トップノッチのコンサルタントから伝え聞くというのがこのお店の特殊性をある意味とてもよく表しているなと思うのだけど、著者の影山知明さんは東大法学部卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーにお勤めののちヴェンチャーキャピタリストだのファウンダーだのになってからのクルミドコーヒーなのである。
    駅から徒歩1分以内の線路が見える距離の駅近物件で、しかも実家の新築ビル。経営者は東大法学部卒でマッキンゼー。もうなんか聞いただけでひれ伏さなきゃいけないんじゃないかと思っちゃうよね。これで経営がうまくいかねーってならいったい世の中で誰がカフェビジネスで成功できるんだという感じなのだけれども、本を読むかぎりではとても苦労されている様子が伺える。やっぱりカフェというのはなかなかに大変なようです。・・・カフェだけじゃないか。

     

    この本を読んだキッカケは、昨年2015/6/22一橋大学で影山氏の公演があるというのをたまたま何かで知り、そういえば噂に名高いクルミドコーヒーにまだ行ったことがなかったと思いだして、行って、公演もおもしろかったので公演会場で本を買ってみたりした次第なのであります。
    国立一橋大学は国立(立川市と国分寺市の間にあるので「くに・たち」!)にあって、自分のいる三鷹からは中央線でいっぽんでいける駅であります。で、経路には西国分寺があるので途中で降りればクルミドコーヒーにも寄れるわけです。正直、なかなか西国分寺の街には行く機会がなくて、降りたのも初めてなんじゃないかというぐらいだったのだけれども、ちょっと散策散歩しようかなという心を3分で挫く程度には住宅に特化した街でした。
    公演では、童話作家のミヒャエル・エンデがらみの経済、「エンデの遺言」とかで話題になった評価経済とか贈与経済とか、そして地域通貨とか、そこらへんを中心にコミュニティハブとしてのカフェや、おフランスではcafe philo(philosophyのフィロ)などとよばれる「朝もや(哲学カフェ)」なんかの取り組み、西国分寺は統計でいう「外れ値」を目指すとか、なかなか尖ったことを言っていました。・・・。資料もメモもないので、うろ覚えですが。カフェの話しかなと思ったら、予想外の角度だったのでちょっと驚いたのを覚えています。効率や合理性重視の金融外資から、エンデの遺言系にシフトをいれられる方というのは揺り戻しにしてもなかなか凄いですね。
    地域通貨は、10年ぐらい前にはいっときブームに近い状態になったこともあるのだけれども、結局、リアル通貨への兌換を負担するのがお店という設計がほとんどで、その実態はお店が負担する縁日券や駄菓子券程度のものでなかなかおもしろい通貨設計がされなかったためにすぐに下火になってしまいましたね。クルミドコーヒーさんもやられているようですが、デットやらエクイティに精通したうえで、カフェのようなオールドエコノミー、ローカルビジネス、そして地域のコミュニティをよく理解した人が設計すれば持続可能な面白いものができるかもしれませんので外れ値の期待大です。

     

    公演後に会場で本を購入したのですが、本の売り子をされていた方がその直前までお店にいて、レジで私の担当をしてくれた方と同じだったそうで覚えられていて、お話ししたのですが、レジでちらりと対応しただけの一限のお客さんの顔を数時間後にまったく別の人が大勢いる会場でよく覚えてるなと感心しました。なんでも、学生時代バイトしてて、就職してから、クルミドコーヒーに出戻ったのだとか言っていた気がする。出戻りしたくなるほど、よい職場なんだなと。
    ・・・さて、思い出しながら書いているのだけれども、書評といっておきながら本の内容がなかなか思い出せないんだw
    あ、そういえばNHKの夜の番組で司会っぽいことをやっているのを見かけてビックリしたんだよね。おおぉぅ、やっぱりモノが違いますねと。
    そう、まったく本筋とは関係ないんだけど、地下の部屋で飲んだんだけど天井にあったバッテンのマスキングテープはなんの印だったんだろう・・・と、どうでもいいことばかりを思い出しながら、肝心の本体に辿りつけない。やっぱりもうだめかもわからんね。

     

    というわけで、ぺら読みしようとして開いたら全部読み直しちゃった。
    目次から抜粋。

     

    「投げ銭」システムでは広がらなかったコンサート
    日本にチップが普及しない理由
    利子はコーヒーで払います
    「期待利回りマイナス50%」の金融商品
    出資に基づく関係性の可能性
    駅前がチェーン店ばかりになる理由
    「お店にチラシを置いてもらいたい」への答え
    誰かを支援したときもらえる「お金」
    お店×農家×援農ボランティア
    自動販売機化する社会
    コラム4:地域通貨が続かない理由
    日曜日からスッキリしない、クルミドの「朝モヤ」
    コラム6:東京にはパブリックがない?
    仕事の正体は「時間」である
    GDPを成長させる方法

     

    ね?カフェやりたい!って人なんかが読んだらちょっとびっくりしちゃうかもしれないね。

    なんで、スジが思い出せないのかよくわかった。
    掌、随筆のような形をとっているのもあるのだけど、観察している環境が近しくて、そこから抱く課題感やその解決策など考える思考経路が似たようなものなので、自分のなかで胃に優しく消化してしまっていたようだ。でも、普通の人は胃もたれするかもしれない。

    「経済は目的なのか、手段なのか」
    利子はコーヒーで払います
    クルミド債の発行、少人数私募債という社債の一種で一口5万
    利回りをコーヒーにて支払い
    クラウドファンディング
    地域通貨「ぶんじ」
    ソーシャルキャピタル
    古代ギリシャのアゴラ、古代ローマのフォルム(forum)
    お金のための経済をやめる。お金以外の価値の大切さを見直す。

     

    喫茶店のマスターが私募債発行とか、ついていける人のほうが少ないんじゃないかな。個人的には好物だけど。

    通底しているものは、「人際交流(人同士の関係性)×金融」かな。
    自分もお店っぽいことを10年やって。お金儲けとはかなり離れたところで、オールドエコノミーの似たようなことに触れてきた。自分が創業前に経営計画を立てた時に、計画の段階でそもそも損益分岐点を超えられず、「駄目だこりゃw」と思いながらもやってしまったのを思い出す。

     

    利便性とセキュリティがトレードオフの関係にあるように、経済的合理性とは相反するなにかがそこにはあって、それの重要性を説いているのだと思う。それが何か、直感的には、多くの人たちもわかっていると思うし、自分もなんとなくはわかったのだけれども。それがなにか言語化できるようになったら是非シェアしていただきたい。

    セキュリティを無視した便利がただの危険なものであるように、その何かも経済合理性で可算できるものになれば、金融から引き起こされる大事故も回避できるかもしれない。

     

    金融などの感覚がないまま人とのつながりだ、絆だのの方向にいってしまうと、結局その経済的負担を誰かに押し付けて無視する、ただのスピリチュアルな人になってしまうのだけれども、この2つのバランスを持ったまま、いや、というより金融というモノサシを持ってそれらを測ったり設計できる人は稀有な存在ですよね。大切にしていきたいです。よっ!西国分寺の外れ値!!

     

    ん、そういえば最近似たような活躍をする見聞きする人が居たな。気仙沼ニッティングの御手洗さんか、すこし被ってますね。彼女も高潔な印象がありますが、これだけ能力のある人達なら金儲けだけならもっと簡単にできるだろうに、ありがたやありがたやですね。

     

  • (書評)ルワンダ中央銀行総裁日記

    2015年に読んだ本が大掃除でごそっとでてきたので書評しつつマケプレで売って処分していこうと思う。
    2015年はあまり既刊書籍を読まなかったが、web小説みたいのは小説家になろうで600タイトルぐらい糞流し読みした。面白いのもあれば面白くないのもあるのだが面白くなくても単行本で数冊分書き上げている人とかがいて、作者のモチベーションはなんなんだろうかなんてことを考えながら読むとそれはそれでとても面白く読める。

     

    「ルワンダ中央銀行総裁日記」は、「まるで異世界に飛ばされたライトノベルだこれ」と昨年ツイッターで話題になったので、読んでみた。その実はかなり「日本銀行」とは系の出版物に近い。が、硬派である。というより義がある。こういう気概がある人が現代にも居れば、世界はよりいいものになっているのになと思う。現代の日銀マンとかにぜひ読んでもらいたい。というか読むべきだ。
    アフリカのルワンダといっても「ルワンダ大虐殺」程度の知識しかない。遠い世界のものと思っていた。まさか、ルワンダの中央銀行二代目総裁が日本人だったなんて。
    もう10年ぐらい前になるかな、ルワンダから紅茶を買おうかどうか悩んだ時期があった。(紅茶屋さんなんだよ!)細かくは買ったのだけど正直個人商店が売るには辛いものであったので、仕入れるまではいかなかった。近年はルワンダからのコーヒーや紅茶をよく見かけるようになった。ルワンダで農業政策がまわるように中央銀行があれこれしていてそこに日本からの先輩が活躍されていたなんて思いもよらなんだ。
    著者の服部正也氏は1918年(大正7年)生まれ1999年に亡くなられている。

    ルワンダまわりの年表とともに抜粋してみよう。

    1962 ベルギー ルワンダ独立を承認
    1965 服部正也 日銀からIMFへ、IMFからルワンダ中央銀行総裁として派遣
    1971 服部正也 帰国 日本銀行 外国局外事審議役
    1973 ルワンダ クーデターでハビャリマナ少将が大統領就任
    1980 服部 世界銀行副総裁
    1990 ルワンダ愛国戦線による北部侵攻
    1994/4 ハビャリマナ大統領暗殺
    1994/4-6 ルワンダ大虐殺
    1994/7 愛国戦線が全土制圧 新政権樹立

     

    わずか1年で”逃げ出した”ベルギーから派遣された前任の総裁にかわり就任することになるのだが、毎朝市場にいってお砂糖などの価格をチェックしてなど、「そこからか!」という中世感は否めない。

     

    食いものにしようと群がる利権商売人、銀行、抵抗勢力への啖呵がかっこいい

    P101
    まず前任者がどのようなことをやったかは、私には興味のないことだ。
    またいきさつなども私にはまったく興味がない。
    私は歴史家ではなく実務家なのだ。
    私はルワンダの破綻に瀕した財政金融を建直すためにルワンダにきたのだ。
    そのためには現状を打破することが必要で、現状是認は私の任務に反するのだ。

     

    新任のザナナ蔵相の人物評がクソミソ

    P281
    彼はベルギーの一流大学を出た法学士であるが、彼が大学で習ったことは自己弁明の詭弁だけではないかと思われた。
    彼の考えでは大臣はなんでも決定できるということらしかった。
    彼は(略)予算準則を無視した。(略)条文を無理に「解釈」を曲げて、(略)予算繰越を認めた。(略)調査もせずに入札の無効を宣言した。
    彼は毅然と胸を張って「あなたがたは一体私を誰だと思っているのですか。私は大蔵大臣ですよ。私は予算を作り、これを執行し、税金をとる。国庫の資金繰りや、国際収支のことは中央銀行のしごとだから総裁に聞きなさい」
    彼は猜疑心が強く、敵か味方かの眼でしか人を見られなかった

     

    亡国の政治家。
    立法立案するものが解釈で無双しだすとほんとうにロクなことにならないだなと他国の経緯から学ぶ。日本もあまり他人事ではないが。
    ルワンダ大虐殺という悲劇について、存命中に加筆されたようだ。西側の報道でしかしらないので、聞いたこともない説明ばかりで驚きがあるが、ああ、今シリアでやってることだなという既視感もある。歴史は繰り返すのだなと。

    P304
    ウガンダ支援の偏向報道をした米メディア
    「ワシントン・ポスト」「ニューヨーク・タイムズ」
    「愛国戦線」があたかも正義の軍であり、フツ族が無条件に悪いといった報道姿勢をとっている。
    (略)
    「愛国戦線」軍はウガンダで組織され、兵士の訓練も武器の調達もウガンダ国内で行われた
    多くのウガンダ陸軍の将校が参加している
    かつてハビャリマナ大統領に対するクーデーターに失敗したフツ族の、元ルワンダ軍のアレクシス・カニャレングウェ大佐が亡命しているのにウガンダ軍の将校が軍の指揮をとるのは、その主力がじつはウガンダ軍であるからではなかろうかとの疑問(略)アフリカ諸国ではこれをウガンダによる隣国への武力進攻(略)

    ルワンダ、ブルンディ両国の大統領が搭乗した飛行機が着陸直前に撃墜
    ツチ族の支配する「愛国戦線」のしわざとみて
    フツ族によるツチ族の大虐殺
    撃墜後ただちに「愛国戦線」軍がルワンダ軍に攻撃を開始

     

    歴史経緯についても説明してくれている。

    P309
    ルワンダ、ブルンディ両国
    ツチ族の王が支配する国
    少数派ツチ族はいわば貴族の地位
    多数派フツ族は隷属的地位
    ツチ族の土地を借りてその牛を飼う権利の代償契約
    植民地時代、王政を通じての間接統治によりツチ族支配を強化
    入植が禁じられていた西北部へツチ族の進出し多大の摩擦

     

    P322
    世界はいまだ力が支配していることを痛感すべきで
    一人で祈っても平和は来ない現実を直視すべきである。
    国連憲章にもかかわらず、大国は気が向けば適当な大義名分を掲げて、武力で他国を攻撃することや、自分が気に入った他国の党派に直接に、または第三国をつうじて、武器を供給することが公然と行われているのが現実なのである。

    平和、平和と叫ぶよりは、戦争は必ず起こるものとして、その被害を極限するための自衛策をとり、(略)犠牲を限定するため、武器輸出禁止を大国間で合意すべきであろう。
    国際収支のため武器輸出をすることや、累積債務の支払いのため武器輸出で外貨を稼がざるを得ない状況に追い込むことは、資本主義経済の道義的破産といわざるを得ない。

     

    人類の歴史から戦争がなくなった年は一年も存在しない。2016年にもなって北朝鮮が水爆実験をしたそうな。まあ、かの国は中央銀行がどうこう以前のレベルの話しなのではあるが、結局それらの国へも武器を輸出している国があって、外貨を稼がねば国は立ちゆかず、国家がもはやビジネスとして威力を喧伝しなければならない事態になっている。中央銀行の人間が道義的破産状態にあるといわなければいけない事態はなげかわしいことこのうえない。平和平和と太鼓を打ち鳴らすのもただおめでたいお話しではあるのだが、財政を行き詰まらせひもじくくいっぱぐれさせては経世済民などはありえない。まあなんというか日本も武器輸出をしようとしているし、そもそも人口が二倍近くに増えてから数十年すると大きな戦争がはじまるのが歴史的経緯というか、サルだって密度がふえれば縄張り争いおっぱじるってなものだ。人口動態がそのような構成になっている国が近くにあるので心配事は耐えないのだが、そもそも自国においても権力をかさに詭弁をふるい解釈を好きにする人たちもいるし、なんというか、まあ、そういう人たちもいてもいいんだけど、一筋だけでも筋を違えずにいてくれる人も少しはのこっていてくれれば、まあそれほど陰惨な事態にはならんだろうと2016年に期待して本年も宜しくお願いいたします。