カテゴリー: 原子力

  • 原発論。取り除き難きは正論に紛れ巣食うもの。

    原発について大きく声をあげる人たちは放射脳と揶揄されるか、経済的合理性のために一日も早く原発を動かせという人とに大別される。しかし、おおよその人たちは無関心か中庸で、与えられた情報を一様に判断して意見を言うほど単純でもない。

    川内原発再稼働の報を聞いて、あー、動いたのかーぐらいの所感ではあるのだが、賛成派も反対派も言っていることに違和感があるので経済的観点を中心にいろいろ資料を漁ってみた。

    原子力発電所は運用コストが安いという。しかし、本来、アウトプット(発電量)が一緒なのに仕入れのコスト(ウラン、天然ガス)が異なるのは普通は理由がある。競争障壁が構築されてるか、コストを支払うタイミングが違うかなどである。

    自由競争下で供給量が同じであるという前提で考える。
    薪の時代に炭が発明されて市場に出回るようになったとしよう。薪よりも炭のほうが燃焼効率も可搬性も優れているので炭の価格はあがり薪の価格が下がる。しかし、価格決定幅には限度というものがあり、おおよその値頃感が市場で形成される。はずだ。

    主要燃料の調達先

    カナダやカザフスタンはなぜウラン鉱石の取引価格を原油のように競争力をもたせることができないのだろうか?ウランのほうが希少資源であるに?

    需要があるのであれば供給者は値段を釣り上げることができるはずである。しかし市場に登場して時間が経つにもかかわらず、価格は硬直している。
    価格は硬直する理由はそこが世界的な需給水準であるということだ。原子力は発電コストが安いというが、調達物の単価差が生じている理由は無視していいものでもないし、その価格でいつまでも調達できると考えるのもまずいのではなかろうか。

    価格の推移

    燃料費調整制度というものがあり、過去3ヶ月分の平均燃料価格が2ヶ月後の料金に毎月反映される仕組となっているため、日本の電力産業は仕入れを工夫しないと言われている。

    天然ガス価格の推移(年次)
    http://ecodb.net/pcp/imf_group_ngas.html
    天然ガス価格の推移

    原油(WTI原油先物) 天然ガス(Henry Hub)先物(NYMEX)
    https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/data/clc1.html
    先物天然ガス2年
    先物天然ガス二年

    先物原油2年
    先物原油2年

    上記は世界の商品市場の価格の推移(2年)である。

    こちらは東電の燃料費調整を含めたモデル価格の推移である。
    東京電力 燃料費調整 モデル価格の推移 (2013/1-2015/8)
    燃料費調整モデル価格

    電気料金の価格変化はベースロード電源としていた原子力発電の稼働が停止したこととに由来するんだそうだ。産業系では電気料金の価格反映にかなりの割合の価格影響が現在もあるようで、経営者の方々からは厳しい話しをよく聞く。

    しかし、エネルギー価格は世界的にみればかなりの下落傾向である。(円安で打ち消されているが…)
    シェールガスなどでアメリカが輸出に回っているが日本の調達先にアメリカは含まれていない。
    安全保障上の問題によるものもあるだろうが、10年単位で調達契約するために価格の変動が発生してもおいそれと変更することがないのだと聞いた。前段の仕入先について工夫しないと言われているのもこれのような羽振りのいい調達に由来する。売価で競争する必要がなければ仕入れを工夫する必要もない。

    2015年4~6月期の連結決算は大手電力9社が経常黒字を記録している。

    電力需給検証小委員会レポートのまとめ

    電力の予備率。関西と九電の予備率は3.0%の試算。9電平均7.0%。東京は予備率11%
    川内原発再稼働時の予備率の試算

    2014年の実績値ではピーク需要日の太陽光発電は4%、2015年夏季の想定は3% 太陽光は2015年は130万Kwほど減る試算になっている。火力は増え風力は減る試算になっているが、なぜだかは記述がない。
    全国需要想定

    燃料種類ごとの海外調達比。天然ガスのオーストラリア20.8% とマレーシア16.9%ある。原油も天然ガスもシェールガスやオイルで湧くアメリカからは輸入していない

    燃料毎の海外調達比

    原発の燃料費は年0.3兆円との試算のようだ。燃料費増3.4兆円増、内LNGが+2.5兆分。先の国別比率で考えるとオーストラリアとマレーシアで0.9兆円換算
    燃料費増加

    予想外に太陽光発電ががんばっている。予測では3%となっているが、買い取り制限をおこなわなかった場合は今年度分は5-6%ぐらいまで見てもいいのではなだろうか。というか3%想定は何か意図を含んでいると勘ぐられてもしかたない数字なのではないか?

    英国の原子力発電動向

    川内原発再稼働について英国の在日大使館が歓迎する旨の発言をしているのはなかなかに趣深いので、英国の原子力発電所についての歴史をまとめておく。

    英国の原子力産業の動向

    1947年 原子爆弾で使用する兵器級プルトニウム生産のため原発建設(最初)
    1995年 サイズウェルB原発建設(今のところ最後)
    1997年 プルトニウムとウランから混合酸化物(MOX)燃料を輸出用に工場建設
    1998年 英国核燃料公社(BNFL)ウェスティングハウス・エレクトリック社など買収
    2001年 MOX燃料工場操業認可
    2002年 ブリティッシュ・エナジー財政難
    2003年 イラク戦争開戦 原油価格高騰
    2003年 政府原子力発電所の新設を支持せず、廃炉に優先順位を移すことを決定、BNFL見直しに着手
    2005年 MOX燃料輸出用に燃料集合体を製造
    2005年 BNFL 原子力廃止措置機関(NDA)に移管開始
    2005年 再処理工場THORP漏えい事故発生2018年閉鎖されることが決定
    2006年 BNFL所有のウェスティングハウスを東芝に売却(54億ドル約6600億円)
    2008年 英国内原発新設計画浮上(ティム・ストーン氏主導)
    2008年 EDFがブリティッシュ・エナジー買収
    2009年 セントリカ社ブリティッシュ・エナジーの株式20%を23億ポンドで取得
    2009年 BNFL正式に解散
    2010年 再処理工場の顧客として残っていたのは日本の電気事業者のみ
    2011年 福島原発事故
    2011年 福島原発事故を受けて、再処理工場を閉鎖

    2015年 [現在] 日本の原発再稼働を歓迎の声明

    2018-19年 現在稼働の6基廃炉予定
    2023年 現在稼働の8基廃炉予定、新設しなければ全て廃炉 35-47年で廃炉

    英国原発

    ※同年度は別の時系列から拾っているため前後関係はあやふや。

    2003年から2008年のイラク戦争を契機に方針を180度転換し、原発路線に切り替え投資を加速させた先の福島事故であった。やはり中東の問題、イラク戦争の総括をなしに、あれこれ進んでいくのは危険だねとは思う。余談だが2015年はイラクが経済的にも強い注目を集めている。

    他国の原子力動向

    2030年における原子力発電の見通し(IAEA)

    2030IAEA原発見通し

    【米国】
    2012年には34年ぶりに新規建設計画を認可。現在21基の新設が計画されているが、シェールガス革命と電力需要の伸びの鈍化の影響により、計画遅延。

    【ドイツ】
    2002年に脱原発法を制定、福島第一原発事故後に原子力法を改正、古い原発を即時
    閉鎖。
    【スイス】
    2011年5月「エネルギー戦略2050」安全技術の寿命に至るまで運転を認める段階的な脱原発

    【ロシア】
    「エネルギー戦略2030」に基づき、2030年までに原子力比率(発電電力量)を現在の16%から25%~30%に高める
    プーチン大統領も28基の新設を表明

    【フランス】
    2012年に原子力比率(発電電力量)を75%→50%へ低減し、最古の原発閉鎖を表明するも、原発1基の建設を続行。

    【英国】
    2013年に電力市場改革を決定し、原子力にも固定価格買取制度(CfD)と債務保証を導入。中国資本も受入れ、2基の新設が決定。

    【中東】
    UAE 2008年包括的な原子力政策に基づき、10数基を建設予定。
    サウジアラビア 2010年の国王令、今後20年間で16基新設する予定。

    【インド】
    2012年に「第12次5ヶ年計画」を決定し、2030年までに約6,000万kWに達する見込み。

    【韓国】
    2035年までに約18基建設し、約4,400万kW、原発比率(設備容量)を29%とする。

    【中国】
    2020年には約50基増、8,800万kWとなる見込み

    感想

    中国、インドが原子力発電でも存在感を増す感じ。
    燃料費が騰がったのも、CO2削減をしなければいけないのもインド、新興国のエネルギー需要を抜きには考えられない。インド、ロシア、中国で計画通りの原発の新設が続くと、ウラン調達でも日本が買い負けるっていう事態がでてくるんじゃなかろうか。

    エネルギーの調達に関しては、本当にまずい調達をしているなと思う。安全保障上も経済上も合理性はあまりあるようには思えない。エネルギーの輸入元はポートフォリオとして分散するべきであるならば、調達国もある程度は分散するべきなのではないだろうか。

    英国は稼働から35年もまたずに廃炉にしているのを知った。
    他方日本は国内の原発で廃炉が完了したものは1基もないそうである。
    54基もあるが、2000年以降に運転開始をした原発は下記の5つのみである。

    2002年1月30日女川原子力3 号
    2005年1月18日浜岡原子力5 号
    2005年12月8日東通原子力1号
    2006年3月15日志賀原子力2 号
    2009年12月22日泊3号

    他、いくらなんでも古すぎるだろう。
    事故をおこした福島原発の稼働年数40年というのもそうだが、稼働から30年経った川内原発を運用のために再稼働というのは、30年前の船舶、30年前の飛行機、30年前の電車をまだ減価償却が終わらないからと運用をひっぱるようなものではないだろうか。科学技術の進歩を考えれば、もはや遺跡に近い。
    正常系で終了したことがないというのは、国内の技術では正常系で終了させることができないのではないかという疑念も覚える。
    この30年でおきたことは溶鉱炉のようなものですら小型化、モジュール化、省エネ化であり、原子力産業を輸出するにしても、、、、まぁ難儀なことだなとは思う。

    参考、引用元データなど

    夏の電力に余裕がある理由の一つはやっぱり太陽光発電にありそうな件
    http://d.hatena.ne.jp/tei_wa1421/20150808/power

    電力需給検証小委員会 報告書 平成 27 年 4 月 総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
    http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_jukyu/pdf/report04_02_00.pdf

    http://www.jema-net.or.jp/Japanese/nps/pdf/20130702japanese.pdf

    https://www.gov.uk/government/world-location-news/japans-nuclear-restarts-message-from-british-ambassador.ja

    関西電力と九州電力も黒字に、電力会社10社で第1四半期に4700億円の増益

    http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1508/03/news032.html

    NHKニュース 川内原発1号機 再稼働
    http://www3.nhk.or.jp/news/gad/tokusetsu/sendai20150811.html

    総合資源エネルギー調査会 原子力小委員会第3回会合 参考資料1 平成26年7月
    http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/denkijigyou/genshiryoku/pdf/003_s01_00.pdf

    エネルギー価格の動向について 平成26年11月 経済産業省
    http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/energycost/dai1/siryou1.pdf

    東京電力 過去の燃料費調整のお知らせ一覧
    http://www.tepco.co.jp/e-rates/individual/fuel/adjust/backnumber/menu-j.html

    東京電力 平均モデルの影響額(手動でスクレイピング2015/8-2013/1)
    7,724円 7,936円 8,240円 8,519円 8,501円 8,562円 8,481円 8,417円 8,388円 8,402円 8,423円 8,477円 8,509円 8,541円 8,567円 8,541円 8,111円 7,963円 7,873円 7,847円 7,894円 7,946円 8,004円 8,004円 7,978円 7,920円 7,804円 7,636円 7,415円 7,284円 7,273円 7,342円

    全国54箇所の原発の発電力量と寿命
    http://www.ecoichi.com/setsuden/nuclear/nuclear_power_station.html

    電力9社が経常黒字 4~6月、燃料費10社で34%減
    http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXLASDZ31HLY_31072015TJC000

  • 原発奇計

    原発を再稼働しなければ、日本は経済的に沈むという経済的合理性と、原発のような過酷事故を起こしたものを再び動かすなんてとんでもないという心情的大衆性がぶつかっていまもたびたび非生産的な論争がうまれている。
    なんじゃかのぅ。

     

    専門家でもないし相手にされるとも採用されるとも思えないので、振り切って奇計奇略を考えてみたいと思う。きまじめな人気分わるくされたらごめんなせぇ。

     

    自分の現状認識

    もっと被害の大きい地震がそう遠くない時期にまたおきる

    襟裳沖、東京湾北、東海、南海、何度もおきる。日本を取り巻く地殻の応力は大規模に変化しており、M7クラスの地震は日本全国毎月ごとに%オーダーの発生確率がある。(※俺的計算による・・・)地球のタイムスケールでは10年はほぼ同時だ。

    噴火もおきる

    大規模地震と噴火が結びつかない歴史はない。関連で地震がおきれば富士山噴火もありうる。六ケ所村に火砕流の痕跡があったり近所の山が噴火する可能性もある。いや、まぁ、十和田火山噴火はぶっちゃけそうそうないとはおもうが、調査がほとんどされていないが北朝鮮国境にある白頭山の噴火なんかはそろそろ現実味がある。白頭山の噴火はかつて渤海国を滅ぼした。プリニー式噴火になれば、日本の発電送電網、また原発の冷却のような耐久消費財の維持コストは格段に跳ねあがる。災害による維持コストの変化は現況下では埋没コストとして検討しなければならない。

    1000年に一度の災害はけっこうおきる

    1000年サイクルの地震を起こす箇所が日本には何箇所あるかを考えると、いくつもあるもんだということがわかる。そして電気や飛行機という現代人が恩恵にあずかっているほとんどのテクノロジーはこのわずか100年のものだ。過酷な太陽風にさらされたこともなければ、降り積もる火山灰に高圧送電網がさらされたこともない。100年に一度の金融恐慌は30年ぐらいもあればおきるし、地球上はいつも紛争にまみれている。サリンを地下鉄でばら撒かれるなんていう凶行を一体誰が予見できただろうか。環境は変化する。いままでなかったから大丈夫だというのはこれらの外部環境の脅威の変化にたいしてあまりに愚鈍すぎる。

     

    跳ね上がる安全コスト

    超地殻変動期に突入したこんな時期に原発を動かすのはどうかしている。安全コストの問題だ。ヘッジではなくリスクアセスメント。同規模の地震が遠くない時期におきるとわかっている中で、環境変化の発生評価を311以前並みとはできない。経済的な投資をしたところで、汚染地区は経済的人的な投資をおこなっても現状復帰がおこなえない。半減期はお金では買えない。福島は30km圏内であったが、事故処理が間違えば300Km圏内が同じことになっている可能性は存分にあった。不幸中の幸いを何度も期待してはならない。大規模噴火の場合、逃げ遅れた人間はおおよそすべて死ぬというのはポンペイが教えてくれている。火山性ガスがあたりを覆い、火山灰で水流がつまり、空気中に電気を流す細かな石英が交じる、そのような状況下で原発のような高度産業構造物を平常稼働させるコストはいかほどか。それでも安全のためのコストは十二分に払われていて問題ないとするという言い分はわかるが、いくら論理的に納得できる資料が用意されようとも、すでに事故がおこってしまった今、心情的な同意が得られることはないだろう。急いて心情的なものを無視すれば、より無茶な考えや行動をおこすひとの材料にしかならない。それは不幸なことだ。

     

    原子力は学問として衰退する

    原子力発電で事故をまのあたりにした日本で育った子供は原子力分野を目指さなくなくなるだろう。10〜30年間は確実に多くの若者が夢見て志す環境ではなくなる。目指す若者が少なければ優秀なやつの存在確率も下がる。日本は世界的な競争のなかで劣位となり、産業分野として競争優位を確保することができなくなる。人材が確保できなくなる未来が想定される。そもそも新たな電力需要が喚起されない現代において大規模発電所+高圧送電網という重厚長大な建築物は成熟期から衰退期にさしかかっている。鉄鋼が大型炉から小型炉に以降したように、発電もユニット施設化するだろう。

     

    課題点と、これは酷いといいたくなるような解決策

    最終処分場の問題

    日本国内には安全な場所なんてない。噴火みたいな自然現象は10年もすりゃ安定化するけど、放射性同位体はあれだし、安定状態にできないんだから、キャスケットにでもぶっこんでロシアの永久凍土でも借りるよ他ないんじゃないの。

    資源とエネルギー不足

    火力の燃料費高騰により、経済と成長を食いつぶすから原発再稼働するよりないという経済的合理性があるとおもうのだけれども、安全のためのコストを埋没費用として考えた場合、経済的合理性なんて声高にいうほどないんじゃねぇのと思う。
    かといって、貿易赤字をそのままにしてものづくりのコストにエネルギー費用が転嫁されても、日本の経済的優位性は確保できなくなる。ものづくりは成熟国家の競争優位を確保できる材料なのか?という疑問はあるにせよ、現状それで成り立っているものを否定するわけにもいくまい。人工での労働生産なんて人口動態のボーナスが付く新興国のものだからそのものの未来ごとうっちゃってもいい気もするけど、産業移行期間を空白期間にもできない。
    そこでどうにかエネルギーコストの上昇を抑えなければいけないわけだ。じゃあ再稼働しかない。本当に?
    どうせ地震がおきたら100兆超規模の債権が発行されるし40兆しか税収がない国で100兆の予算組んでる財政規律だし、いずれデノミとかデフォルトはすることになるんだろうから、世間なみに通貨発行量増やして、エネルギー輸入コストの増大分には債権分をぶちあてて、形式上はお金を払いましたという構造で手当するよりないのではないか。酷いなぁとは思うが。
    戦争をもって戦争を養うという考えがかつてあった。圓や軍票の発行により、円の経済圏と切り離した。終戦にあたり結局円もデノミすることになったが、原発をもって原発を養うとか、いうとややこしくなるが、通貨発行戦争をもってエネルギーコストの上昇は養なえるのではないか。各国のマネーサプライだのマネーストックの上昇率をみれば、エネルギー費用の増加分ぐらいまぎれてもわかんねぇべさ。

    新エネルギー

    メタンハイドレートもあるし、藻類オイルもあるから未来明るいよねとつぶやいたら、

    2~3回死んでやり直してこいw という意味にもなる気もしたが、まあ実務のうえで考えるとそんなもんか。頭お花畑で夢想するだけにはエネルギー問題はそう遠くない時期になんとかなるんじゃないかと楽観していたりする。

    アメリカはシェールガス革命でエネルギーコストが下がるがこれはアメリカだけの問題であって、日本は恩恵にあずかれない。しかもこれは結構はやくに枯渇すんじゃねぇかと思う。
    他方、排他的経済水域ぐらいしか誇る資源がない日本だが、そこに貯蔵されるメタンハイドレートは真面目に産業化すればシェールガス並みのインパクトがある。国は平成30年には商業化の道筋をつけるとしているので、そんなに未来の話しではない。
    ここで重要なのは太平洋側のメタンハイドレートはメタン生成菌由来による生物合成であることがわかってきていることだ。石油は化石燃料とされているが、もともとは嫌気性菌や嫌気性の藻類の作った堆積物層にすぎないのではないか。植物類や藻類がカーボンキャプチャーしたものが炭泥層になり、酸素が含まれないため、メタン生成菌のような嫌気性の細菌やオーランチオキトリウムのような従属栄養の藻類により、炭素固定される。メタンだのスクワレンだのができる回路が解明されれば、オイルは管理下において作れるようになる。しかもその有機物を発電のために燃やしてもその炭素が彼ら嫌気性菌のごはんなのでカーボンキャプチャーストレージのサイクルはもんじゅより現実味がある。海底採掘は正直採算はどうかとおもうけれど、採集しかできなかった資源であったエネルギー資源というものは、栽培ができる資源になるんじゃないかと頭お花畑なのです。ま、俺が2~3死ぬ間にはきっとなんとかなるんじゃないかな。

     

  • 原発ホワイトアウトのホワイ

    現役霞ヶ関官僚が書いたフィクションだが、これは告発文のようなもの。
    創話としてはいまいちだけど、ノンフィクション・フィクションとしては面白かった。

    内容みるかぎりおそらく経産省かな。元経産官僚の石川和男さんあたりが書いたのかとおもったけど、違うんだ?
    いっぱいいるんだね暴発しそうな人。青臭い正義感いっぱい抱えてどんどん爆発したほうがいいとおもうよ。配管も溢れないとどこが詰まってるのか見えないし。淀ましたままにしたら腐る一方だし。

     

    作中の裏趣旨を簡単にまとめると
    ・電力会社のあらゆる経費は市価より2割高いよ
    ・その莫大な資金力を背景にした連合があるよ
    ・落選有力政治家にも利益供与があるよ
    ・怖いのは発送電分離より所有権分離
    ・国策捜査がされてるよ
    ・抗おうとすると逮捕とかされるよ
    ・福島原発事故の教訓いかされなさすぎ
    ・送電網脆弱すぎ

    ってな感じ。
    原発、高圧送電、雪国わかってねぇなという印象の反面、その他の話しはあー・・・という感じ。

    おもしろいなと思ったのが、新潟県に再稼働に反対してて最近折れた泉田裕彦知事がいるけど、作中では新崎県(たぶん新潟と柏崎をかけあわせたもの)知事の伊豆田清彦がでてくる。山本太郎と思わしき人物は山下次郎とほとんどが実在の人物や地名をもじって登場しているのだけど唐突に実名があがるんだ。これが気になった。

    P87の古賀茂明氏にはじまって、P187〜191にかけてずらずらずらとでてくる人物名、大阪高検公安部長三井環、加納駿亮、村上正邦、鈴木宗男、外交官佐藤優、田中真紀子、村岡兼造、福田康夫…etc 作中で他の本を紹介しているというのは一体どういうわけだろう。

    元参議院議員 平野貞夫 著 小沢一郎 完全無罪 -「特高検察」が犯した7つの大罪

    鈴木宗男著 汚名 国家に人生を奪われた男の告白

     

     

    アメリカは政権がかわると施策をつくるがわもそう取っ替えになるらしいんだが、日本は政権が変わっても官僚はかわらない。そのほうが、いい点もあるけど、もちろん欠点もある。
    管理者は善良だという前提に基づいた仕組みに悪代官がまぎれこむとそれを正すことができない。それを正すべき政治家などもそもそもその資本下に小飼されているというなあなあ構造。水戸黄門がでてこない水戸黄門みたいな社会になってしまう。

    多少役得にあずかってうまい汁吸ってるやつがいたとしても、それでうまくいっている間は文句をいう人が大勢派になることはないんだけどね。食えなくなったり住めなくなったりする人らが出だしたら話しは別。世間という緩衝溶液の当量点、臨界点はちかい。慣習どおりやっていれば大丈夫とおもっているのかもしれないけれど外部環境というものはある境に急激な変化をするものです。

    とくに3.11以降、マインドの変化と団塊世代の現役引退という構造変化もあいまって、今後数年内にかなり急激な変化をすると思う。
    強い権力をもっていて抑えこんでてた人物を冠することで成り立っていた組織が崩れるときは反動がでかいので、やっぱり青臭い思われても逃げ切り世代じゃないなら、暴発できるときにうまい感じで暴発しておいたほうが将来のためにはなるのではなかろうか。機をみる必要は大切だけれども。この著者の犯人探しは霞ヶ関で絶賛開催中なんだろうなーと。

     

    いや、しかし、作中では国家公務員による秘密漏洩は1年以下の懲役か50万円以下の罰金であった、秘密保護法案が成立したいまでは故意の漏えいであったばあい最高懲役10年と厳罰化された。暴発も難しくい時代になりましたなぁ。

     

    ところで、

    hotel-jyubankan(At)@g____.com

    のgメールのメルアドは何? 入れるのかと思ったよ。
    あ、あと濡れ場のシーン、編集者が強引に足したろ・・・?