カテゴリー: 地震

  • 日奈久断層から別府島原地溝帯の地震に変化か

    今晩から明日にかけ瞬間最大風速35メートル、例年4月一ヶ月分の雨量が1日に降雨するという台風なみの暴風雨になると予想されている。緩んだ地盤に雨が入り込むので土砂災害が予想される。被災地では最大限の注意をされたし。

     

     

    さて、震源が熊本から大分にまで広がりつつある。

     

    2016-04-16 12_36_42-新しい通知

    http://www3.nhk.or.jp/news/live/?utm_int=all_contents_tv-news_live

     

     

    昨夜16日午前1時25分にマグニチュード7.3の地震が深さ10キロにて発生したのち状況が変わったと判断したほうがよさそうだ。(( http://www.jma.go.jp/jp/quake/20160416033614387-010000.html )) 震源の分布が16日午前9時頃から11時にかけて阿蘇山をまたいで大分県側に広がっている。

     

    14日に熊本にて発生したマグニチュード6.4の地震は、布田川断層・日奈久断層のうち、日奈久(ひなぐ)断層帯(全長約81キロ)のうち北端にある高野~白旗区間(同16キロ)が活動したとされる。(( http://mainichi.jp/articles/20160416/ddm/001/040/137000c ))
    地震で発生したエネルギーの関係から、14日のが前震で、16日未明の地震が本震ということになった。

     

    阿蘇山をまたいで震源が連動しだしたことで、別府島原地溝帯というもっと広い面で考えなければならないようだ。午後にかけて震源地もだんだん阿蘇から東北側に移動しつつある。

     

    2016-04-16 12_37_00-NHK NEWS WEB ニュース同時提供中

    産総研 活断層データベース 起震断層
    https://gbank.gsj.jp/activefault/cgi-bin/search.cgi?search_no=j024&version_no=1&search_mode=2

    2016-04-16 11_51_02-産総研:活断層データベース

    14日からおきている布田川断層・日奈久断層でおきている特定ひとつの断層でおきている地震だけだとは判断できなくなったといっていい。阿蘇山をまたいだ。(スクリーンショットは14:00のものだが、現在までにもっと多くの地震が発生している。)

    専門家「これ以上の本震が今後あるかもしれない」 地震連鎖可能性否定出来ない
    西日本新聞 4月16日(土)12時33分配信

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160416-00010013-nishinp-soci

     

    「震源、じわじわと東に」 別の活断層に影響の可能性
    朝日新聞デジタル 2016年4月16日11時35分

    http://www.asahi.com/articles/ASJ4J34VYJ4JULBJ00G.html

     

    九州大学の地震情報をみてみよう。

    この24時間での地震の発生状況だ。まさに別府島原地溝帯である。

    2016-04-16 12_32_34-SEVO Seismicity Map (kyu_last1day)

    http://www.sevo.kyushu-u.ac.jp/~hypo/hypomap/last1day_kyu.html

     

    この7日間の地震発生状況。

    2016-04-16 12_31_37-SEVO Seismicity Map (kyu_last7day)

    http://www.sevo.kyushu-u.ac.jp/~hypo/hypomap/last7day_kyu.html

     

    この30日の地震状況。

    2016-04-16 12_30_50-SEVO Seismicity Map (kyu_last30day)

    http://www.sevo.kyushu-u.ac.jp/~hypo/hypomap/last30day_kyu.html

    30日でみると、結構広範囲で中央構造線沿いに動いていることがわかる。得に画像左下、九州南西の海洋上が特徴的。右下の海洋上は海溝部でプレートが沈み込んでいるところだ。

    こうやってみると30日の間に南西から亀裂の伝達が東北方向に移動しているのが見える。

    usgsで確認できる30日以上前のM2.5地震を確認するかぎり3月頃からおきている石垣あたりの地震から続いているのかもしれない。

    2016-04-16 16_27_54-新しい通知

    http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/map/#%7B%22feed%22%3A%221460791525281%22%2C%22search%22%3A%7B%22id%22%3A%221460791525281%22%2C%22name%22%3A%22Search%20Results%22%2C%22isSearch%22%3Atrue%2C%22params%22%3A%7B%22starttime%22%3A%222016-01-01%2000%3A00%3A00%22%2C%22endtime%22%3A%222016-04-16%2023%3A59%3A59%22%2C%22maxlatitude%22%3A34.452%2C%22minlatitude%22%3A23.08%2C%22maxlongitude%22%3A132.759%2C%22minlongitude%22%3A119.663%2C%22minmagnitude%22%3A2.5%2C%22orderby%22%3A%22time%22%7D%7D%2C%22listFormat%22%3A%22default%22%2C%22sort%22%3A%22newest%22%2C%22basemap%22%3A%22grayscale%22%2C%22autoUpdate%22%3Afalse%2C%22restrictListToMap%22%3Atrue%2C%22timeZone%22%3A%22utc%22%2C%22mapposition%22%3A%5B%5B21.57571893245848%2C117.68554687499999%5D%2C%5B34.125447565116126%2C139.306640625%5D%5D%2C%22overlays%22%3A%7B%22plates%22%3Atrue%7D%2C%22viewModes%22%3A%7B%22help%22%3Afalse%2C%22list%22%3Atrue%2C%22map%22%3Atrue%2C%22settings%22%3Afalse%7D%7D

     

    余震が連発しているが、7.2の余震にしては規模も間隔も短いので、今後も注意が必要だ。
    中央構造線と布田川断層・日奈久断層における地震については前回のエントリー、先日書いている。

    http://kuippa.com/blog/2016/04/15/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E6%A7%8B%E9%80%A0%E7%B7%9A%E3%81%A8%E7%86%8A%E6%9C%AC%E7%9B%B4%E4%B8%8B%E5%9C%B0%E9%9C%87/

     

    四国のスロースリップ観測状況

    広島大学のATMOSもここ数日分を追ってみる。

    http://tremor.geol.sci.hiroshima-u.ac.jp/day.cgi?&day=1&month=4&year=16&figtype=omap&area=e-shikoku

    範囲は狭いが、四国東部の中央構造線上で体感できない(ゆっくり地震)スロースリップが観測されている。


     

    大分などの潮位情報

    地震と潮位は関係ないオカルトであることは前回のエントリーでも申し上げたが、貼っておく。

    http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/suisan/suisan.php

    2016-04-16 12_47_23-気象庁 _ 潮汐・海面水位のデータ 潮位表 大分(OITA)

    大分県の潮位変動は今日あたりが最緩慢か。

     

    四国西部、宇和島はこんな感じ・・・。

    2016-04-16 12_49_15-スタート宇和島

    四国、中部瀬戸内海側も16日あたりか。

    2016-04-16 12_50_34-気象庁 _ 潮汐・海面水位のデータ 潮位表 伊予三島(IYOMISHIMA)

    こちらは大阪方面の淡路島洲本。潮位変動はどちらかというと緩慢な印象がある。

    2016-04-16 12_52_19-気象庁 _ 潮汐・海面水位のデータ 潮位表 洲本(SUMOTO)

    潮位は、ただのオカルトなので科学的な立証でもされないかぎりは真にうけないこと。

     

    建物被害、文化財

    加藤清正が建てた熊本城の東十八間櫓や北十八間櫓が崩壊してしまったようだ。
    こないだのブラタモリがありし日の姿になってしまった。阿蘇神社の楼門と拝殿も壊れてしまった。

    熊本城の屋根瓦が吹き飛んだのは、昔の建物は瓦を吹き飛ばすことで免震構造にしてたということらしい。なるほど、たしかに、重量物をパージしていけば、建物の固有振動周期変えられるな。古式のエキスパンションみたいなものか。

    橋の崩落、高速道路の立体交差の陸橋、ダム(こちらは防波堤のみの決壊だったようだ)などのダメージがあったようで、やはりこれも明日からの雨で予断を許さない。

     

     

    噴火について

    阿蘇山が小規模噴火したが現在までのところこちらはおいておいて問題はないのではないか。以前から活動がやや活発化していたところに、表層の断層地震で刺激されて噴火した程度なのではないかと考えている。311以降ひずみが溜まっているはずなのでいずれ破局噴火がおきるかもしれないが今回のそれとすぐに結びつけるのはよくないことのように思う。なんにせよM7じゃぁないな。

     

     

    NHKの災害時サイマル放送

    災害時ということで、テレビニュースのネット同時提供されている。

    http://www3.nhk.or.jp/news/live/?utm_int=all_contents_tv-news_live

    他のニュースや関係ない報道をすると停波するんだけど、なんか中国のグレートウォール下で報道をみているような気分になる。こんな感じなんだろうね。

     

    人的被害

    最後になってしまったが、文化財やモノの破壊などなんということではない。しかし、前途洋々これからという若者が亡くなるということについては言葉もない。お悔やみを申し上げる。
    東海大学、阿蘇キャンパス農学部が。あったようだね・・・。
    http://www.u-tokai.ac.jp/about/campus/aso/

    南阿蘇村の道路が寸断し、1000人が大学に孤立した状態になっているそうだ・・・。

     

     

    震源地が広がっている。自然災害は防ぐことはできない。

    しかし、わずかな知識と心がけで立ち直り不能な被災者になることは拒否できる。

     

    東京防災

    http://www.bousai.metro.tokyo.jp/book/

     

    どうか、地震のない地域の人たちも他人事にならずに。

    中央構造線は熊本から静岡まで続いているのだから。

     

  • 中央構造線と熊本直下地震

    ただいま深夜。6両編成回送中の新幹線が車庫にもどる最中に全車両脱線したと報道をしている。災害中なのでNHKがサイマル放送を公開し、ネットでみれるようになっているのだ。明日あかるくなったときの被害の広がりが心配だ。

    倒壊した建物の下敷きになった人たちがいるそうで、死者が2名でたと報道があった。直下に近いので被害は局所に集約されているものの、余震は本震を超える規模や揺れになるものがあるので今後も注意が必要だ。断層による地震だとおもわれるので今後もしばらく地震がつづくことが予想される。気象庁によれば1週間程度は警戒の必要があるそうだ。

     

     

    活断層をみてみよう。

    活断層データベース 起震断層・活動セグメント検索[GoogleMaps版]

    https://gbank.gsj.jp/activefault/cgi-bin/search.cgi?search_no=j024&version_no=1&search_mode=2

    スクリーンショット 2016-04-15 00.21.40

    今回動いたのはこの活断層帯(布田川断層・日奈久断層)だとおもわれるが、すこし離れた地域、西側でも動いている様子なので、今後判明する未知の活断層もあるのかも。

     

     

    USGSのデータを追う。

    ここ30日ほどのM2.5以上の地震。結構活発になってます。

    スクリーンショット 2016-04-15 00.01.03

    スクリーンショット 2016-04-15 00.04.15

    スクリーンショット 2016-04-15 00.19.08

    ※おそらくこの6.2のデータはプロット位置が間違っているのではないかな。

     

     

    4/1の紀伊半島沖の地震以来この数週間、ゆっくり地震(スロースリップ)に特徴的なシグナルがでていたので東南海に注目していたのだけれども、まさか中央構造線のどんつき熊本でこれほど大きい地震がおきるとは考えてもなかった。

    スロースリップについて簡単に説明しておくと、「ゆれない地震」のことである。プレートや断層が壊れることでおきるのが「揺れる地震」だけれども、これは壊れないまま静かに沈み込む地震。低周波で観測され2002年に提唱され観測が始まった。揺れないので人間の体感ではわからない。このスロースリップがおきていない箇所にプレート同士の固着域(アスペリティ)があるんじゃないかと言われている。アスペリティ部分が剥がれずれたときに巨大地震が発生する。

     

     

     

    通常の地震と同じく断層すべりですが,そのすべり速度や破壊速度が通常の地震と比べて小さいことから,スロー地震と総称されています。このようなスロー地震は,南海沈み込み帯の他にカスケード沈み込み帯やサンアンドレアス断層などでも観測されています。

    http://tremor.geol.sci.hiroshima-u.ac.jp/

     

     

    広島大学がその微動ATMOS観測データを公開している。スロー地震観測された日の画像データを日付順にならべてみる。

     

    ここ

    4/1に紀伊半島沖で深さ10Km M6.0の地震が発生した

     

     

    実はこのタイミングで、ATOMSを毎日見るようになり震源域が北のほうに移動したので、東海地震の発生を警戒していた。(警戒してもなにもできないんだけどね気になったんだよ)

     

     

    下記に張っているのは紀伊半島付近の潮位情報だ。

    潮の満ち干きや地殻潮汐は地震学者さんらには地震の発生とは「なんの関係もない」という結論になっているそうだ。が、311のデータなどで個人的にデータをデータベースにぶっこんでクロスしたりした範囲では大規模地震の発生についてはそんなこともねぇんじゃねぇかなと思ってんだけど、、、まあ証明するのは俺の役割ではないので、ま、素人のたわごと。ちゅうか粒度の設定をどうしたものかアイディアがないので相関とってないだけなんだけどね。そんなわけで、潮位と地震発生との関係は科学的根拠がないオカルトだけれどもあえて貼っておくね。

     

    http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/suisan/

    スクリーンショット 2016-04-15 00.08.36

    4/1は下弦の月でした。

    スクリーンショット 2016-04-15 00.10.48

    たまたまですが潮位差があまり無い日です。

     

     

     

    こっから、スロースリップの発生震源が紀伊半島から四国のほうに移ります。日付に注目してみてほしい。

    四国の西部にうつって、おちついたのかなと思っていた・・・んですが。

     

     

     

    ・・・が!

     

    わずか1ヶ所づつではるが、豊後水道を挟んでスロースリップが発生していますね。

    正直注目するようなデータではないのだが、このデータ観測は広島大学がやっているので東海から四国までしかカバーしていないことを考えると、この数日の間、九州側でなにかがおこっていたのかがわからないのは悔しいところです。

     

     

    ついでに、オカルトの潮位データを貼っておきますね。

    こちらも「たまたま」だけれども4/14 干潮満潮の差がないタイミングでした。

    スクリーンショット 2016-04-14 23.50.04 スクリーンショット 2016-04-14 23.55.09

    4/14は上弦の月、満潮と干潮の差が少ない。きっとね相関係数だすには株価みたいに移動平均の粒度別でクロス日をとればいいとおもうんだよね。MACD的なやつで。うん。めんどくさいね。やりたい人がいたら言ってね、311のときにmysqlにぶっこんだ記憶があるからサルベージするよ。話しがそれた。もどすね。

     

     

     

    で、このスロースリップの動きが中央構造線に沿ったものであるのを確認してほしい。

    発生が予想される、東海地震、東南海地震、南海地震(もしくはそれらの連動)はこの中央構造線沿いに各部位が壊れることで発生すると予想されている地震なのね。

     

    中央構造線というのは衛星写真で上からみても分かる程度にしっかりとみてとれる。浜松から熊本にかけての綺麗なラインがほら見えるでしょ。パレットナイフでひっかいたような筋が。実に地形って意味があるんだなと思うわけです。四国出身のひとにきいたらなんでも中央構造線って肉眼でも見えるらしいですぞ。まじでか。

    スクリーンショット 2016-04-15 01.12.47

     

     

     

    そう、それで、さらにオカルトになっちゃうんだけどさ。

    紀伊半島のスロースリップ観測地点を見ると伊勢神社とか熊野古道とかあたりなんだよね。四国はちょっとごめんなさい霊場と呼ばれるところが多すぎてわからないのだけど、どうだろう。低周波地震発生域と霊場といわれるところって一致したりしてないかな?

    人間に低周波を当て続けると幻覚幻聴を見たり聞いたりするという報告があったと思うんだけど、もしかしたらこの地震による低周波が所以となって霊場になったのかななんてことを、スロースリップの震源プロットをみてて思いました。水見みたいな古式神事祭礼にならえば低周波の発生も古来の方法で観測できなくもないし。ま、オカルトだね。

     

     

    そ、地震がいつおきるのかどれくらの規模でおきるのかとかは予見予測するなんてのは全部オカルトなんだけど、ひとつだけ言えることは災害への自律的な準備、地域の準備、公共の準備は災害から発生する被害を著しく減らせるってことなんだ。なにをするまでもなく知識や心がけだけでね。

     

    東京直下地震が発生したら11000人が死に、110兆円の経済被害がおきることが被害想定されている。東南海・南海地震では18000人が死に57兆円の経済被害が想定されている。

    天地杞憂になることはないのだけれども、適切な知識をみにつけて準備をすることは無駄にはならないとおもうので東京防災へのリンクを貼っておきますね。

    http://www.bousai.metro.tokyo.jp/book/

     

     

     

  • 原発奇計

    原発を再稼働しなければ、日本は経済的に沈むという経済的合理性と、原発のような過酷事故を起こしたものを再び動かすなんてとんでもないという心情的大衆性がぶつかっていまもたびたび非生産的な論争がうまれている。
    なんじゃかのぅ。

     

    専門家でもないし相手にされるとも採用されるとも思えないので、振り切って奇計奇略を考えてみたいと思う。きまじめな人気分わるくされたらごめんなせぇ。

     

    自分の現状認識

    もっと被害の大きい地震がそう遠くない時期にまたおきる

    襟裳沖、東京湾北、東海、南海、何度もおきる。日本を取り巻く地殻の応力は大規模に変化しており、M7クラスの地震は日本全国毎月ごとに%オーダーの発生確率がある。(※俺的計算による・・・)地球のタイムスケールでは10年はほぼ同時だ。

    噴火もおきる

    大規模地震と噴火が結びつかない歴史はない。関連で地震がおきれば富士山噴火もありうる。六ケ所村に火砕流の痕跡があったり近所の山が噴火する可能性もある。いや、まぁ、十和田火山噴火はぶっちゃけそうそうないとはおもうが、調査がほとんどされていないが北朝鮮国境にある白頭山の噴火なんかはそろそろ現実味がある。白頭山の噴火はかつて渤海国を滅ぼした。プリニー式噴火になれば、日本の発電送電網、また原発の冷却のような耐久消費財の維持コストは格段に跳ねあがる。災害による維持コストの変化は現況下では埋没コストとして検討しなければならない。

    1000年に一度の災害はけっこうおきる

    1000年サイクルの地震を起こす箇所が日本には何箇所あるかを考えると、いくつもあるもんだということがわかる。そして電気や飛行機という現代人が恩恵にあずかっているほとんどのテクノロジーはこのわずか100年のものだ。過酷な太陽風にさらされたこともなければ、降り積もる火山灰に高圧送電網がさらされたこともない。100年に一度の金融恐慌は30年ぐらいもあればおきるし、地球上はいつも紛争にまみれている。サリンを地下鉄でばら撒かれるなんていう凶行を一体誰が予見できただろうか。環境は変化する。いままでなかったから大丈夫だというのはこれらの外部環境の脅威の変化にたいしてあまりに愚鈍すぎる。

     

    跳ね上がる安全コスト

    超地殻変動期に突入したこんな時期に原発を動かすのはどうかしている。安全コストの問題だ。ヘッジではなくリスクアセスメント。同規模の地震が遠くない時期におきるとわかっている中で、環境変化の発生評価を311以前並みとはできない。経済的な投資をしたところで、汚染地区は経済的人的な投資をおこなっても現状復帰がおこなえない。半減期はお金では買えない。福島は30km圏内であったが、事故処理が間違えば300Km圏内が同じことになっている可能性は存分にあった。不幸中の幸いを何度も期待してはならない。大規模噴火の場合、逃げ遅れた人間はおおよそすべて死ぬというのはポンペイが教えてくれている。火山性ガスがあたりを覆い、火山灰で水流がつまり、空気中に電気を流す細かな石英が交じる、そのような状況下で原発のような高度産業構造物を平常稼働させるコストはいかほどか。それでも安全のためのコストは十二分に払われていて問題ないとするという言い分はわかるが、いくら論理的に納得できる資料が用意されようとも、すでに事故がおこってしまった今、心情的な同意が得られることはないだろう。急いて心情的なものを無視すれば、より無茶な考えや行動をおこすひとの材料にしかならない。それは不幸なことだ。

     

    原子力は学問として衰退する

    原子力発電で事故をまのあたりにした日本で育った子供は原子力分野を目指さなくなくなるだろう。10〜30年間は確実に多くの若者が夢見て志す環境ではなくなる。目指す若者が少なければ優秀なやつの存在確率も下がる。日本は世界的な競争のなかで劣位となり、産業分野として競争優位を確保することができなくなる。人材が確保できなくなる未来が想定される。そもそも新たな電力需要が喚起されない現代において大規模発電所+高圧送電網という重厚長大な建築物は成熟期から衰退期にさしかかっている。鉄鋼が大型炉から小型炉に以降したように、発電もユニット施設化するだろう。

     

    課題点と、これは酷いといいたくなるような解決策

    最終処分場の問題

    日本国内には安全な場所なんてない。噴火みたいな自然現象は10年もすりゃ安定化するけど、放射性同位体はあれだし、安定状態にできないんだから、キャスケットにでもぶっこんでロシアの永久凍土でも借りるよ他ないんじゃないの。

    資源とエネルギー不足

    火力の燃料費高騰により、経済と成長を食いつぶすから原発再稼働するよりないという経済的合理性があるとおもうのだけれども、安全のためのコストを埋没費用として考えた場合、経済的合理性なんて声高にいうほどないんじゃねぇのと思う。
    かといって、貿易赤字をそのままにしてものづくりのコストにエネルギー費用が転嫁されても、日本の経済的優位性は確保できなくなる。ものづくりは成熟国家の競争優位を確保できる材料なのか?という疑問はあるにせよ、現状それで成り立っているものを否定するわけにもいくまい。人工での労働生産なんて人口動態のボーナスが付く新興国のものだからそのものの未来ごとうっちゃってもいい気もするけど、産業移行期間を空白期間にもできない。
    そこでどうにかエネルギーコストの上昇を抑えなければいけないわけだ。じゃあ再稼働しかない。本当に?
    どうせ地震がおきたら100兆超規模の債権が発行されるし40兆しか税収がない国で100兆の予算組んでる財政規律だし、いずれデノミとかデフォルトはすることになるんだろうから、世間なみに通貨発行量増やして、エネルギー輸入コストの増大分には債権分をぶちあてて、形式上はお金を払いましたという構造で手当するよりないのではないか。酷いなぁとは思うが。
    戦争をもって戦争を養うという考えがかつてあった。圓や軍票の発行により、円の経済圏と切り離した。終戦にあたり結局円もデノミすることになったが、原発をもって原発を養うとか、いうとややこしくなるが、通貨発行戦争をもってエネルギーコストの上昇は養なえるのではないか。各国のマネーサプライだのマネーストックの上昇率をみれば、エネルギー費用の増加分ぐらいまぎれてもわかんねぇべさ。

    新エネルギー

    メタンハイドレートもあるし、藻類オイルもあるから未来明るいよねとつぶやいたら、

    2~3回死んでやり直してこいw という意味にもなる気もしたが、まあ実務のうえで考えるとそんなもんか。頭お花畑で夢想するだけにはエネルギー問題はそう遠くない時期になんとかなるんじゃないかと楽観していたりする。

    アメリカはシェールガス革命でエネルギーコストが下がるがこれはアメリカだけの問題であって、日本は恩恵にあずかれない。しかもこれは結構はやくに枯渇すんじゃねぇかと思う。
    他方、排他的経済水域ぐらいしか誇る資源がない日本だが、そこに貯蔵されるメタンハイドレートは真面目に産業化すればシェールガス並みのインパクトがある。国は平成30年には商業化の道筋をつけるとしているので、そんなに未来の話しではない。
    ここで重要なのは太平洋側のメタンハイドレートはメタン生成菌由来による生物合成であることがわかってきていることだ。石油は化石燃料とされているが、もともとは嫌気性菌や嫌気性の藻類の作った堆積物層にすぎないのではないか。植物類や藻類がカーボンキャプチャーしたものが炭泥層になり、酸素が含まれないため、メタン生成菌のような嫌気性の細菌やオーランチオキトリウムのような従属栄養の藻類により、炭素固定される。メタンだのスクワレンだのができる回路が解明されれば、オイルは管理下において作れるようになる。しかもその有機物を発電のために燃やしてもその炭素が彼ら嫌気性菌のごはんなのでカーボンキャプチャーストレージのサイクルはもんじゅより現実味がある。海底採掘は正直採算はどうかとおもうけれど、採集しかできなかった資源であったエネルギー資源というものは、栽培ができる資源になるんじゃないかと頭お花畑なのです。ま、俺が2~3死ぬ間にはきっとなんとかなるんじゃないかな。