投稿者: kuippa

  • 情報発信社会における教えることで教わるスタイル

    複利の計算も怪しいひとたちがいかにして10ヶ月でMBAの人達が使うwaccやらを肴にキャッキャウフフできるようになったか?教えるは学ぶの早道。今後注目すべき恐るべきソーシャル・ラーニングという学習形態についてレポートしたいと思う。

     

    概要

    • 目的:企業戦略、マーケティング、会計&ファイナンスの主要三科目と、英語やIT、時事などの補助科目の学習を通しビジネスの基礎筋力を鍛える。
    • 形式:共通の教材を元に各グループが発表をおこなう、大学でおこなわれる輪読や輪講に近い形式ではじめられた。
    • 頻度:月に一回の頻度で丸一日、10ヶ月

     

    結論

    年齢、仕事、それまでの学習など様々な異なるバックボーンを持つ人達が互いに教えあうソーシャル・ラーニングは、実務経験などがあり”ツッコミ”ができるメンバーが参加することにより、テキストの表層上の理解にとどまらず、テキストが体系化し整理したその事象そのものを再構築し分解することで、勉強会に参加している各自の体験を共有する助けとなることがわかった。
    つまり何かってぇえと、お偉い先生が定義した共通言語を獲得したグループが会話すると、座学での学習なのにいくつもの実務をこなしたぐらいすげぇ勉強になるし、捗るぜ。ってこと。

     

     

     

    ストーリー

    皇居周辺をランニングしていた大学生が「ビジネスに数学って必要なんですか?」と一緒にランニングをしていた社会人に尋ねたことから事は始まった。この一石はfacebookなどのソーシャルメディアを通じ媒介されそして増幅された。
    そのつぶやきからほどなく2012年ゴールデン・ウィーク開け。都内某所の某高いビルの上の会議室に十数名が集まった。ちょっと勉強会をやるべさぐらいののりでfacebookなどを通じて集まった面々だ。その中になぜか私もいた。なんか楽しそうという物見遊山でひきこもりが都内に向かったのだ。

     

     
    某経営コンサルタント(※有名な人なので名前を伏せておきます。)

    「教材用のテキストはここらへんにしようとおもうんだけどー」

     

     
    ででーーん!
    出張帰りで大きな荷物もってるのかなと思ってたのだけど、なんと1週間ぐらい出張にいけるような旅行バッグの中身はすべて教材用の本だった!しかもほとんど英語の本。そだ彼ハーバードMBA・・・

     

    テキストをみて、ちょっと気軽すぎちゃったかなと少し青くなった・・・。

    詳細を話すとそれだけで、一記事をついやすことになるので省略してこの時決まった事は下記のとおりだ。

    • 科目:主要3科目(企業戦略、マーケティング、会計&ファイナンス)+英語、ITや時事などの補助科目
    • 教材:教科書(日本語訳のほう!)と副読本
    • スケジュール:月一開催で年末までという通しのスケジュールと初回開始日
    • チーム:主要3科目の何に興味があるかでチーム分けをおこなった。4人1組み。4つのチーム。
    • 担当:校長、副校長、オペレーション、会計、書記、ITなどの担当を分担した

     

    第一回目授業はエクセルの使い方などの基本講座が開催された。エクセルで本を出してる方がアシスタントに着くレベルのプロフェッショナルによる贅沢授業。参加メンバーはfacebookで情報のやりとりこそできるものの、パソコンの扱いが初心者レベルから、プログラム書いてるべさの人まで受講者のレベルが一様ではなく、おそらく教える側からすると、とても教えにくい集団である。私も今更エクセルなんて…と思ってたが、随所にこれは知らないでしょ的なテクニックが織り交ぜられていて上級者から初心者までためになる授業だった。

     

     

    かようにしてメンバーはエクセルとパワポの基礎を習得した。
    以降、発表は各チームがパワーポイントにまとめプレゼン形式でおこなわれた。

     

     

    各チームはオンライン・オフラインを通し、担当のテキストの章をどのように発表、講義するかでミーティングをおこない、資料をまとめた。小難しい内容がショートコントにまとめられるなど、発表は回を増すごとに暴走創意工夫がましていき、終盤のケース・スタディなどでは実地覆面調査などまで行われた。実務でもここまでやんないだろうというレベルの作りこみである。

     
    会計&ファイナンスについては素人が輪講の形で教えるには難しすぎるということで、ちょうどTACとLECという資格専門予備校に会計の勉強で通っていたタックレックコンビとMBAホルダーによる財務特命チームが結成され授業がおこなわれた。超贅沢。しかし、やはりアカウンティングとファイナンスは数学の学習に近く、中学校のときにならった二次方程式とか怪しいね……という人によってはすんなりとした理解が難しいようで、学習が追いつかない人にはかなりの数の補講もおこなわれた。skypeによる補講なども何度もおこなわれ学習用のまとめ動画などまでつくられた。

     
    ちなみに、一般公開されることは無いと思うが授業風景は第一回目より録音録画されyoutubeにアップロードされている。授業に参加できなくてもメンバーはその授業を反復することができるようにされた。資料もオンライン上でアーカイブされ共有されているのでいつでも確認が可能だ。運営はボランティアだが、ここらへんの体制はそこらへんの生半可な仕事や有料ビジネススクールよりしっかりしている。

     
    途中、メンバーのひとりが海外に留学してしまったのだが授業がskypeを通して中継されオンラインで授業に参加できるようになるなど、試行錯誤こそあれどこの時代ならではITの恩恵はてんこ盛りだ。

     

     

    かくして、海のものとも山のものともわからない状態で始まった勉強会は、背景がまったく異なる人達が入り混じったことで突然変異のごとき化学反応をみせて、反復学習とshow&tellなどの工夫みせつつ、ちまたで話題になっているオンラインだけのソーシャル・ラーニングとはおそらく一線をひいたほうがいいレベルで「教えることで教わる」という、当たり前だけどなかなか実現するのは難しい仕組みを再構築したのでした。

     
    佃煮屋のおねーちゃんが将来価値の計算ばっちこいとか、古本屋さんがなんでcapmでパスワード保護されたエクセル突破してるんだろう的な光景とか、アナリストでもないのに公開されているIR情報から企業継続価値(ターミネートバリュー)まで計算してDCF法で理論株価までだしてるのを見て個人的には感動した次第であります。すげぇなと。というか、なんだこりゃと。

     

     

    約10ヶ月にわたる壮大な実験勉強会が終わったわけですが、その後はどうなるんでしょう。わかりません。有名な人が絡んでいるので少し気を使って情報としてまったく外にだしていなかったのですが、形として終わったのでぺろんとこんなことをやっていたよーと一部情報公開しました。

     

    でも、なんか卒業テストがあるので、ぶっちゃけ私が卒業できるかはわかりません。
    ルールル、ルルル、ルールル~・・・

     

  • バルタン星人にじゃんけんで勝つのは難しい

    バルタン星人とのじゃんけん大会が話題になっている。
    手がハサミなのでチョキしか出せないと笑いものになっているが、お前らバルタンたんを舐めすぎ。仮にも宇宙忍者やぞ。

    (V)∧ ∧(V)
    ヽ|o¥o|ノ

    http://dmdepart.jp/thanks/ultraevent/
    前提条件を確認しよう。

    1. 手がはさみなのでチョキを出せる
    2. 手を閉じればグーも出せる

    つまり、ハンディキャップとして「パー」が出せない状態にある。
    しかし、この条件に一つさらに条件を付与することでとたんにジャンケンとしてゲームが成り立つことになる。

    しばしば大人数のジャンケン大会でもやられる

    • 3.勝てなかった人はすわってください

    つまり、「あいこ」も負けという条件だ。
    あいこが負けになるのであればバルタン星人に勝つためには、パーかグーを出す必要がでてくる。
    チョキを出せば必ず負けることになるだろう。
    再度条件を確認してみよう。

    • バルタン星人はグーとチョキを出せる。
    • あなたは勝つためにはパーかグーを出さなければいけない。

    これで勝率が五分五分になっていることがわかるだろう。
    大会要項には”ジャンケン対決で勝った方に”とある。
    かつためにはチョキを出せないのだ。
    勝ち確定だと思っているひとは、この対決の裏にいるメフィラス星人の思う壺だがな。

    バルタン星人にジャンケンで勝てると思ってるやつはのび太並に甘い。

     

     

  • 日本での適者生存

    ふつうの人の稼ぎを100とする。絶え間なく努力のもと200を稼いだひとがいるとする。

    100の稼ぎの人のピンはね率を20%
    200の稼ぎの人のピンはね率を55%
    もし、こういう税率の国があるとすると100を稼ぐ人には80が残り、200を稼ぐ人の手元には90が残る。

     

     

    努力してもしなくても結果があまりかわらないのであれば、キリンの首が長く進化したように、そのような国の人は努力とは違う価値観をもって生存競争が繰り広げられ、そして進化していく。ちょろまかしのテクニックを磨く者、腐敗により地下経済にもぐる者。稼ぎよりも安定性を望む者、そのような方向へだ。

     

     

    日本をみてみよう。
    サラリーマンにお馴染みの源泉徴収税。
    給与所得で年収300万円の人がいたとする。課税所得金額は192万。税率は5%なので税額は9万6千円
    給与所得で600万円稼ぐと課税所得金額は426万 税率は20%、控除額427,500なので税額は42万4500円

    http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/pdf/79-87.pdf
    http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/pdf/49-55.pdf
    つぎに住民税をみてみる
    http://tt110.net/22syoto-zei/T-jyuminzei-zeiritu.htm
    年収300万円 課税所得金額は192万の人は税率は5% 税額は9万6千円
    年収600万円 課税所得金額は426万の人は税率は10% 税額は42万6千円
    住民税と所得税をひかれると手元に残るのは、
    年収300万円は2,808,000円
    年収600万円は5,151,000円

    ※配偶者控除だの保険だのいろいろあるので、実際はこんな風にはならないかもしれないけど、あくまで試算。おおきく勘違いしてたらつっこみお願いします。
    所得税と住民税で、年収300万円の人と、年収600万円の人の差は約234万まで補正される。

     

    相続税をみてみよう。
    年収300万円の人は毎年100万、年収600万円の人はちょっと運用とかをがんばって毎年300万をマイホームやら、土地やら預金にしたとする。勤続によって給料はかわらないという前提で、両名とも勤続30年つとめあげた瞬間に亡くなる。配偶者控除を考えると大変なので奥さんには先立たたれているものとして、子供(法定相続人)は1名という設定だ。
    亡くなった時点で
    年収300万円の人の総資産3,000万
    年収600万円の人の総資産9,000万
    これが1名の相続人にいくこところを考えよう。
    平成27年以降に亡くなると、基礎控除が3000万+法定相続人(1名)×600万

     

    総資産3,000万の相続は基礎控除(3,600万)内なので無税だ。
    総資産9,000万の相続は控除額3,600万円 税率は30%で税額は1,620万となる。
    もしこの資産が土地や建物になっていて現金でない場合、1,620万は基本相続人は現金で払う必要があるので、土地などを売却し現金にする必要があるとする。すると、今度は売却にたいして売却所得税が20%以上かかる。相続税は10ヶ月以内に支払わねばならないので現金化を急ぎ売値がつくのが土地だけで4500万だったなんてことになると、3,600万が手元にのこり、そこから1,620万の税金を払うと約2,000万の現金が手元にのこる計算になる。相続人がおおかったり、その分与のしかたでもめたりすると、建物撤去の実費が払えなかったりして、税金の延納を申し出たりすると消費者金融よりたかい17%程度の利率がかかるため、競売に流れ本当になにも残らないなんてことはよくある話しだ。

     

    年収300万円で総資産3,000万の人は3000万円分の家屋などの資産は残るが、年収600万円で総資産9,000万の人は家屋が残らず現金で2,000万が手にはいるだけとなる。
    もし仮にこの総資産9,000万の人がちょっと運用などで「がんばって」、1億を少し超える額に”なってしまった”とすると、今度は税率がなんと40%になる。相続税も所得税も累進で税率は55%まである。

     
    上記は、ほんの一例だ。
    実際にはこんなことにはならないのかもしれない。ならない理由は、小規模宅地だの、長期譲渡所得の税額の適用だの配偶者控除だのなんだのかんだのの控除や適用をうけるからだ。
    適用をうけるためには申告がひつようになる。知らないと申告のしようもない。世の中はすでにテクニックで満載でもはや専門家で常に情報を手にしていないと手に負えない段階にある。納税は義務というが、義務教育で教えられる内容ではないほど複雑化していて、そもそも教えるべき学校の先生が自分で納税できていない。

     

    がんばったり、バカ正直に生きようとすれば苦労ばかりが増える環境では人々はいかに節税をするかなどに苦心するようになる。頑張ったご褒美にムチをくれてやろう。といわれたらどうだろうか。成り上がったあげくが家宅捜索でブタ箱行きでは、角をためて牛を殺すの例えよろしく、挑戦しようと風潮は奪われるし、結果として全体の生産性も落ちる。みんなで仲良く不幸になろうという現在の定向性もやむなしだ。

     
    日本の法人の実効税率は4割に達する。

    法人所得課税の実効税率の国際比較
    http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/084.htm
    本当にその税率で実行されているのであれば国際的な競争力を確保できるわけがない。法人もまともにやれば競争力を確保できない。じゃぁどうするか。ずる賢さを発揮してなんとかして競争力を確保するよりない。まともにやると苦労損では、ブラック企業ばかりになるのもやむないことだ。破綻をして公的資金を導入された会社のほうが従業員の給与どころか役員の給与が多いようでは法人もそのような方向に「進化」するのは当然のことだ。従業員を働かせるよりも研修にいかせてたほうが助成金が降りるとか、新規建設は経費計上できるけど保守費用のための積立は参入できないなどとなったらそりゃトンネルの屋根だって落ちても不思議はない。パートで働くよりも生活保護をうけとったほうが収入が多いでは勤労意欲も失せるだろう。

     
    適者生存にならい人間や法人がこのような方向へ淘汰され、進化していくのだとするとそう何代も世代を重ねることなく国も滅ぼう。

     

    平均や中央値から外れると、補正され平均に押し込まれるような設計がされている。
    これが悪いわけではない、問題はそれが機能しているかどうかだ。チートルートだらけ。テクニックだらけだ。機能しないまま補正値を強めるのは自縄自縛ほかならない。リファクタリングせにゃあきませんよ。

     
    まあちょっと計算すこし大げさになっているけど、本質的にはこんな感じなので、附則だらけなのをもういっかいそぎおとして、健康で文化的な方向に人や組織が進化していくためにはどんな環境がひつようなのかという筋は大切にしないといけないんじゃないかと思いましたとさ。