投稿者: kuippa

  • AIの知識蒸留と遺伝子

    一週間ほど寝込んでいて、体調が悪く思考が発散的になってとりとめもないので、とりとめもなく書くリハビリ。

    アルファベットやひらがなのような、表音文字。
    そのものが意味をもつ、漢字のような、表意文字。
    故事成語のように、字面だけでなくよりハイコンテクストなバックストーリーまで含んだ熟語。

    人類の活動の成果、表現が表出して固定されたものをぜんぶ寄せ集めて、熟語にまでもいかないまでも、ままありがちな反応や状況、あらゆるパターン全部に成語をつくる。

    結節点、ノード。人間の脳でいえばシナプス。
    十分に体験や学習を積んだ解像度の高い人物は、バックコンテキストで理解できるので1を聞いて10を知る状態になる。

    逆に、経験が不十分でその特徴について未遭遇であれば、百聞は一見にしかず。いくら聞いたところで現実の現象とは少しずれたものになってしまう。

    DNA、塩基配列には遺伝子が含まれる。
    遺伝子とは塩基配列中に出現するタンパク質を発現するための機能を持った部分だ。
    それ以外はジャンクコードと呼ばれ意味のないもの、あるいは、校正、冗長、まあいろいろ。
    生物の根源的な振る舞いについてはかなりの部分が遺伝子にコーディングされている。

    そのタンパク質をつくれる事にどんな意味があるのかはわからないが、例えば、それを苦みと知覚できる遺伝子があるのであれば生存に役立ったという、積み重ねが記録として残っている。あるいは、補助的にメチル化されて外部記憶化されている。その当代の記憶は脳に、世代を超えた長期記憶は遺伝子に。

    遺伝子は暗号化されているように見てそれが最終的にどのようなことに至るのか意味のわかるものではない。
    傍若無人はGemini AIが教えてくれた意味と漢字が意味するところが乖離している四文字熟語らしい。

    著作権法は、表現が固定されたものに対して適応されるが、表現が固定されているのであるから、それを利用したよりハイコンテクストな要約が可能。

    知識はやがてコンパイルされて圧縮される。
    デコードはできるが、その意味は表層の意味からは乖離するだろう。だが、結果は似たようなものになる。
    ネットミーム的なやりとりだけで済むよう世界にやがて知識は蒸留される。

    暗号資産がすでにそうであるように、資本はやがて演算力本位性になるやもしれない。
    演算力があれば高精度シミュレーションができるようになり、創薬や材料化学、化学工学的な複雑系ゆえにいままで時間がかかってきた部分が

    一定の流速を持つ、壁面を沿うように流れる粘度を持った流体は乱流になる。
    乱流は典型的な複雑系だ。人間はまだ川の石のそばでできる渦すら予測はできない。渦ができるのは知っているが、
    これが効いてくるのが飛行機だ。
    飛行機が飛んでまだ100年。

    数日前、近所の建設途中のマンションを撮りたいという、ドローン業者がとびこみできて、うちの庭からドローンをあげていた。
    ものすごい音だった。
    音が出るということはエネルギーがロスしているということ、やがてこういうのもエネルギー効率がよくなるだろう。

    なんでそうなるか、なんでそう飛ぶかわからないことになる。
    重要な物理法則には名前がつく。
    式をつらつらと並べ立てるよりローレンツ力とか、ハッシュで表現したその知識がつまった箱の名前を伝えたほうがわかりやすいからだ。

    人々はおばけを怖がる。
    でもスマホで亡くなった人が喋っていても怖がりはしない。
    一体人類でどれほどの人がテレビが映る仕組みや動画が保存できる仕組みを理解できているだろうか。
    技術はモジュール化される。
    知識はハッシュ化される。

    学習の山をひとつ越えて、ナニモワカラナイ状態の人と、まだ未学習でナニモワカラナイな人の知的付加価値額は同一ではないが、それを外形的に評価することは、知識のアウトソーシングが機能する時代では難しいかもしれない。

    熱はもうない。
    でもだいぶ脳みそもやられているみたいだ。
    咳はまだとまらん。

  • ノロ対策としてのマスク

    料理人にマスクは有用→わかる
    ノロ対策で手洗いは有用→わかる
    ノロはお口からも出る→わかる
    ノロ対策でマスクは有用→わからん。感染してるぞ、そんな装備で大丈夫か?

    タイムラインでのやりとり見て思わず横レスしちゃったので、反省してブログにまとめておきます。

    料理人にマスクは有効

    人の口腔内は、身体において出口についで雑菌が多い部位なので「菌」が料理につかないようにするマスクは有用です。

    「菌」は、栄養があるところにつくと自己増殖をして数が増える生き物です。
    料理をして火が入った直後が最小で、そこらから時間経過で親子孫ひ孫と倍々ばいばいんっと増えていくので、その菌の中に有害な菌が混じってると食中毒などの危険も増していくわけですね。

    なので、調理から食べるまで数時間がみこまれる給食やお弁当では、菌を食材に「つけない」ための対策、マスクや手袋、帽子なんかが重要になります。

    逆に調理後すぐ食べる家庭での料理や飲食店の場合、人間の口腔由来の菌がつくことによる食中毒の危険性はほぼ無視できるので、マスクなどの有用性は下がります。

    それよりは、
    ヒトの口腔由来ではない、非加熱食材の菌が料理につかないようにすることや、
    しっかり火を通して混じった菌を「ころす」ことがより重要です。

    保温や冷蔵などもありますが、これは菌を「ふやさない」ための対策ですね。
    「つけない」「ころす」「ふやさない」が菌による食中毒の基本対策です。

    菌とウイルスの違い

    さて、ここで食中毒としても名高いノロウイルスですが、これはウイルスです。
    菌は生き物ですが、ウイルスは生物と石ころなんかの無機物の中間ぐらいのなにかです。
    ウイルスと呼ばれています。中国語だと病毒。漢字のほうがイメージしやすいでしょうか?

    ウイルスが生物に分類されないのは、自己増殖しないからです。
    生物(宿主)の生体活動にタダ乗りして増殖します。しますという自発性があるもののようですが、振る舞いは砂埃のようなものです。うっかりウイルスを取り込んだ細胞が、間違ってウイルスのほうを増やしちまって、んー、パニック!パニック!みたいな感じでしょうか。

    なので自己増殖できないウイルスは、料理についたとて増えません。
    料理は生命活動をしていないからです。

    ウイルスがもし、料理に「ついてしまった」としても、食中毒のリスクは、
    菌とは逆に、料理直後(付着直後)が最大でそのあと時間と伴に減少します。

    ウイルスは、生き物ではないので生物学的にはウイルスが死ぬとかいう表現はしません。
    不活とか失活化したと表現します。生きていないので殺せもしない。
    壊れる、壊れたという表現のほうが近いです。
    水に濡れたから壊れた、乾燥して壊れた、光にあたったから壊れた、それくらいのものです。

    ですが、そんなものでも、短い時間で完全に不活化しようとする場合、紫外線をあてたり、アルコールや、次亜塩素酸などの消毒対応が必要になりますし、もし、それが細胞内に入ってしてしまったら免疫が感染細胞ごと破壊したりと厄介なことになります。感染した細胞は、そのウイルスを複製して放出して、近くの健康な細胞にも感染するので、ん~厄介厄介。

    ウイルス対策としての手洗い

    ノロウイルスは人間の場合、主に腸管(小腸)の細胞に感染し増殖します。
    なので病状としては、嘔吐や下痢のような症状に現れます。
    コロナウイルスの場合、上気道の細胞に主に感染するので咽頭痛や、咳などの呼吸器疾患ですね。

    で、なぜ手洗いが有用かを説明すると、感染者がなんらかの形で放出したウイルスを健常者が消化吸収系まで取り込まずに済む可能性があるからです。

    なんらかの理由で付着したウイルスが細胞に取り込まれる、これが感染成立です。

    手から口→胃→腸で腸の細胞に取り込まれて感染なので、手や皮膚の細胞の表面についたぐらいの段階では、まだ細胞内には取り込まれていないので感染はまだ成立していません。
    手で栄養吸収したり、呼吸をしたりする人間の方はあまりいないと思うので、手は洗い流せればえんがちょバリアセーフなわけです。

    ノロウイルスに感染した二枚貝を料理人が手で触ったぐらいでは、料理人には感染は成立しません。
    手洗いは、非感染者を非感染者のままでいさせるための主要な手段になります。

    ウイルス対策としてのマスク

    で、元ネタ。
    たぶんですが、ノロウイルスが唾液腺からも確認されたというニュースを見て、ノロウイルス対策としてマスクが必要だという発想になったのだと推測します。
    ですが、ウイルスが主要経路以外で感染能をもったまま他の細胞からみつかるのはままあることです。

    そしてなにより、腸で増えたウイルスが口から出るのはそんなに驚くべきことのほどでもありません。生物の基本構造は腸と入口出口であとは付属パーツで、口から腸までは一本の管。そりゃ口からも普通に出でます。
    おならを我慢したら、血液から吸収されて肺にまわって口から出たり、汗腺に回って体臭になるみたいなものです。

    正直、今回の新型コロナ騒動まではウイルス対策としてはサージカルマスク程度では効果がないものだとおもっていました。ウイルスのサイズは菌の数十~数百分の1と、とても小さいので、素焼きの植木鉢を水が通り抜けるぐらいの感じで貫通します。

    ですが、感染者が唾液とともに放出する唾液コロイドを捉える程度には十分細かいので、ソーシャルディスタンスな距離を2mから50cmにすることができます。感染を完全には防除することはできませんが確率を下げました。感染防止策というより、感染者数拡大防止策として抜群の効果がありましたね。水は漏れてるけど、水浸しにはならずに済んだ感じですね。

    というわけで、ウイルスは細胞外で増えるものではありません。
    感染した細胞をもつもののみから放出されます。

    なので、ノロウイルスの食中毒対策としてマスクが意味あるケースは、マスクをしている人物が感染者であるケースです。

    この時、マスクにどれほどの効果があるのか?
    この答えは、今のところわかりません。あるかもしれないし、ないかもしれない。
    ただ、調理人がマスクをしていたか否かぐらいでそれを食べた人が助かる確率は、今まで知られている情報からすると、かなり一か八かもしれませんね。

    ウイルス力価について

    細胞に感染が成立する、そのウイルス量のことをウイルス力価とか、ウイルス価、ウイルス感染価と表したりします。
    ノロウイルスの場合、感染に最低限必要なウイルス価がとても少なく、ほんのわずか数十個で感染が成立するといわれています。

    これはかなりつよつよなウイルスです。
    つまり、ノロウイルスはマップ兵器です。大規模呪文に相当します。
    キッチンに感染者に入りこまれた時点でほぼ全滅覚悟を覚悟されたし。

    感染者が道端で吐いてもどしたゲロの横を通ったら、乾燥した部分が空気中にまいあがってそれが呼吸とともに口にはいって感染とか、感染者がトイレをつかって、フタを閉めずに流したらその飛沫が30分間空気中に漂っててそれを吸って感染とか、それぐらいの勢いです。
    ちょっと大げさかもしれないけど、そういう実例がある程度にはそれほど大げさでもないぐらいの列伝で名を馳せているツワモノです。

    うんこの匂いは臭いですよね。
    なぜ物体から離れているのに匂いがわかるのでしょうか?
    糞から分離したアンモニアなり、スカトールなりインドールなりな分子が空気中を漂って、鼻の嗅細胞にとりついて嗅覚神経を刺激しているから臭いと感じるわけです。
    つまり、うんこが臭い範囲、そこはうんこの制空圏なわけです。
    インドールの分子量(117)と、ウイルスの分子量は50KDa(分子量換算5万)ぐらいなので、500倍もかわらんわけですよ。
    もし、マスクごしにうんこの匂いがわかる場合、そんな装甲はとうに抜かれているというわけです。

    無いよりはあったほうがいいでしょう。
    でも、そんな装備で大丈夫か?

    参考

    検体中のSARS-CoV-2ウイルスコピー数とウイルス力価に係る考察
    https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2502-idsc/iasr-in/10133-491d01.html

    https://www.daiki-axis.com/official/wp-content/uploads/2021/05/20090714.pdf

    新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の基礎知識
    エイズ治療・研究開発センター センター長 岡 慎一
    https://www.acc.ncgm.go.jp/pdf/SHC-COVID_20200416.pdf

    ノロウイルスの不活化条件に関する調査 報告書 国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000125854.pdf

  • フライパンのシーズニングをペラ1枚まとめたのと深堀り

    フライパンがくっつくようになってしょうがねぇってんで、買い直そうか、テフロンを貼り直そうかみたいな事を言うのを聞いて、鉄のフライパンだし、もったいねぇなシーズニングしたらいいじゃないと言ったのだが、口頭での説明では伝えきれる気がしなくてA4用紙にまとめて渡せるようにしておこうと思った次第。

    というのも、シーズニング、ぐぐってyoutubeの動画でも見れって感じではあるのだが、実際ぐぐってみると余計な情報が多かったり、科学的にみて謎の論理が展開されていたりするので、なんかキケンが危ない。
    あらためて簡素にまとめておく必要を感じた。A4用紙1枚に印刷できるようにPDFにしておおくので適当につこーてください。これで情弱でも大丈夫!

    フライパンのテフロン貼り直しは、飲食店のプロがやってるってのは聞いたことがあるけど、家庭用のフライパンなら買い直したほうが安くすんだりするので本末転倒。でも、鉄フライパンを使い捨てるのはもったいないので、まずシーズニングを試しみよう。

    シーズニングとは?

    種(seed)油をつかったフライパンへのseedsing(タネ付け)だとおもっていただが、改めて調べてみると、seasoning(調味料、味付け)と綴るよう。フライパンへの味付け的な意味。ダジャレかもしれんけどね。

    手順

    用紙1枚にまとめたフライパンシーズニングあんちょこ

    [PDF]

    https://kuippa.com/blog/wp-content/uploads/2024/03/seasoning.pdf
    ダウンロードはここから

    油慣らし、シーズニングとは?

    フライパン表面に油の乾燥膜をつくって焦げ付かないようにする昔からの技法。
    種(seed)油をつかったフライパンへのseedsing(タネ付け)ではなく、seasoning(調味料、味付け)とつづる。フライパンの下ごしらえ的な意味。

    用意するもの

    ・ 食用植物油、菜ばし、キッチンペーパー

    1. フライパンをお湯で洗い流す
    2. 弱火で空焚きをする
    3. 熱いうちに食用油を塗る
    4. 再び弱火~中火で空焚きをし、煙が出るまで加熱する
    5. 火を止め冷ます。冷めたら3~4の工程を数回繰り返す
    6. 野菜くずなどを入れて炒める(酸化した油の匂いとり)
    7. 最後に油を塗り、完全に冷めてから収納する
    8. 調理使用後は洗剤をつけすぎぬようにして洗う
    9. 焦げ付くようになったら再び1から

    おすすめされるヨウ素価の高い油(乾性油)

    値段も手頃で入手しやすいおすすめはぶどうサラダ油(グレープシードオイル)

    油脂名 ヨウ素価
    サフラワーサラダ油(ハイリノール) 136~148
    ぶどうサラダ油 128~150
    大豆サラダ油 124~139
    ひまわりサラダ油(ハイリノール) 120~141
    綿実サラダ油 105~123
    ごま油 104~118
    とうもろこしサラダ油 103~135
    なたね油 94~126
    こめサラダ油 92~115
    サフラワーサラダ油(混合品) 80~148
    オリーブ油 75~94

    注意書き

    ・ヨウ素価とは油脂100gに付加することのできるヨウ素のグラム数のことで不飽和度の高さ。
    ・動物性の油はヨウ素価率が低くシーズニングにはおすすめされません、ラード(52~72)、バター(23~28)、マーガリン(74~91)
    ・油が煙を出しはじめる温度は200度、370度で発火。テフロンの使用上限260度、350度から熱分解。コンロ焦げ付き防止用自動消火機能250度。
    ・近年の食器洗い洗剤は油膜を分解する界面活性効果がとても高いので、洗剤でゴシゴシすると油なじませも剥がれます。
    ・焦げ付き防止のテフロン、フッ素樹脂加工は長年の使用のうちにコーティングが剥がれます。そのためシーズニングをして再び焦げ付かないようにもできるが、逆に空焚きでテフロンが余計にはがれるので見極めが大切。表面が傷だらけになった安物のステンレス製フライパンなどは買い直したほうがよいケースもある。

    補足情報(アペンディクス)

    ここより先は情強向け付録

    乾性油と不乾性油

    油絵をやるひとなら乾性油とか不乾性油とかは馴染があるかもしれない。
    手元に買って1年なにもしてない「リンシードオイル」があるが、これには「乾性油」と書かれている。
    「乾性油」と「不乾性油」というものもあって、不乾性油は硬化(乾燥)しない、しにくい。不乾性油で絵の具なんかを溶くと何年も乾かずずっとべたべたするものになってしまう。
    ちなみに溶剤につかわれるテレピン油は松精油(元来はテレビンノキの樹液)で揮発性の油。
    ブラッシクリーナー(筆洗油)なんかも揮発性。アルコールやガソリンだのも揮発性。
    サラダ油だのオリーブオイルだの植物油なんかはは不揮発性だけれども、その中に乾きやすいものと乾きにくいものがあるという感じ。

    日曜大工とかDIYで木材の加工をする人なら、ニスやワックスと並んで、オイルステインというものを聞いたことがあるかもしれない。表面に油塗って木に染み込んで使うタイプの保護剤。

    ニス、ペンキ、漆などはアクリル、ウレタンみたいに乾性油+樹脂→蒸発後硬化で表面を保護するタイプ。
    ワックスは蜜蝋やシリコーンなどで表面を保護膜、保護層をつくって表面を守るタイプ。
    オイルステインや柿渋なんかは、油分などが内部に染み込み+表面保護で防虫、防腐効果を狙うもの。

    縄文杉が数千年形を崩さないように、樹脂分が多く目の詰まった木材は経年劣化しにくい。高級楽器や仏壇などにつかわれたりする。無垢の木材を長持ちさせたい場合、油分を補うとその効果が少し補填できる。枯れた木材から水分が飛びきって植物の細胞壁が破壊され、ボソボソになり、ささくれだつのを防いでくれる。

    数日で乾くオイルステインなどの代わりにオリーブオイルのような不乾性油を使うやりかたがないわけではないが、ずっとベタベタ油がつくのを我慢するか、我慢しきれずに拭き取ってしまうことになるが、まあ水弾き目的であればそれで十分かもしれない。

    ヨウ素価について

    乾性油と不乾性油はヨウ素価の高さによって決まるそうだ。
    いろんなシーズニングのホームページを見て、意味わからん説明が溢れまくってたり、説明を諦められていたりする部分が多いのはこのヨウ素価。

    化学を勉強したことがある人だと「は?I(ヨウ素)が油の乾湿にどう関係あんのよ?」となるかもしれない。
    実際自分も意味がわからなかったので詳しく調べてみた。

    「ヨウ素価とは、油脂100 gに付加することのできるヨウ素(I2)のグラム数です。この値が大きいほど試料中の脂肪酸の不飽和度が高い(二重結合の数が多い)ことを示します。」(農林水産省のホームページ)

    つまるところ、不飽和脂肪酸かどうかをヨウ素がどれだけ溶けるかで代替して数値化したにすぎない指標をいいたいだけのようだ。不飽和度がどうかって言ってくれよ・・・。ヨウ素言うから、グリニャール反応で鉄とヨウ素が反応して被膜が作られるのかと思って、ヨウ素の多い食材を調べたりして迷走しちゃった。

    植物性油のヨウ素価

    JAS規格で定義されている植物性油を「ヨウ素価」降順に並べておく。
    なぜかJASではヨウ素のことを「よう素」と表記するようだ。謎。

    精製を含まないJAS規格植物性油うち、よう素価 最小値 降順

    | 油脂名 | けん化価 | よう素価 | 不けん化物 |
    | サフラワーサラダ油(ハイリノール) | 186~194 | 136~148 | ≦1.0 |
    | ぶどうサラダ油 | 188~194 | 128~150 | ≦1.5 |
    | 大豆サラダ油 | 189~195 | 124~139 | ≦1.0 |
    | ひまわりサラダ油(ハイリノール) | 188~194 | 120~141 | ≦1.5 |
    | 綿実サラダ油 | 190~197 | 105~123 | ≦1.5 |
    | ごま油 | 184~193 | 104~118 | ≦2.5 |
    | ごまサラダ油 | 184~193 | 104~118 | ≦2.0 |
    | とうもろこしサラダ油 | 187~195 | 103~135 | ≦2.0 |
    | 綿実油 | 190~197 | 102~120 | ≦1.5 |
    | なたね油 | 169~193 | 94~126 | ≦1.5 |
    | なたねサラダ油 | 169~193 | 94~126 | ≦1.5 |
    | こめサラダ油 | 180~195 | 92~115 | ≦3.5 |
    | 落花生油 | 188~196 | 86~103 | ≦1.0 |
    | サフラワーサラダ油(ハイオレイック) | 186~194 | 80~100 | ≦1.0 |
    | サフラワーサラダ油(混合品) | 186~194 | 80~148 | ≦1.0 |
    | ひまわりサラダ油(混合品) | 182~194 | 78~141 | ≦1.5 |
    | ひまわりサラダ油(ハイオレイック) | 182~194 | 78~90 | ≦1.5 |
    | オリーブ油 | 184~196 | 75~94 | ≦1.5 |
    | 食用パームオレイン | 194~202 | 56~72 | ≦1.0 |
    | 食用パームステアリン | 193~205 | ≦48 | ≦0.9 |
    | 調合油 | – | – | ≦1.5 |
    | 調合サラダ油 | – | – | ≦1.5 |
    | 香味食用油 | – | – | ≦5.0 |

    参考までにけん化価でも並び替え。
    不飽和ゆーてもアルカン、アルケンを酸化してカルボン酸エステルのアルカリ置き換えなのでけん化価と、よう素価ある程度は重なるのかとおもったら、そんなに重複してなさそう。

    精製を含まないJAS規格植物性油うち、けん化価 最小値 降順

    油脂名けん化価よう素価不けん化物
    食用パームオレイン194~20256~72≦1.0
    食用パームステアリン193~205≦48≦0.9
    綿実サラダ油190~197105~123≦1.5
    綿実油190~197102~120≦1.5
    大豆サラダ油189~195124~139≦1.0
    ぶどうサラダ油188~194128~150≦1.5
    ひまわりサラダ油(ハイリノール)188~194120~141≦1.5
    落花生油188~19686~103≦1.0
    とうもろこしサラダ油187~195103~135≦2.0
    サフラワーサラダ油(ハイリノール)186~194136~148≦1.0
    サフラワーサラダ油(ハイオレイック)186~19480~100≦1.0
    サフラワーサラダ油(混合品)186~19480~148≦1.0
    ごま油184~193104~118≦2.5
    ごまサラダ油184~193104~118≦2.0
    オリーブ油184~19675~94≦1.5
    ひまわりサラダ油(混合品)182~19478~141≦1.5
    ひまわりサラダ油(ハイオレイック)182~19478~90≦1.5
    こめサラダ油180~19592~115≦3.5
    なたね油169~19394~126≦1.5
    なたねサラダ油169~19394~126≦1.5
    調合油≦1.5
    調合サラダ油≦1.5
    香味食用油≦5.0

    ・キャノーラ油は菜種油のこと
    ・サフラワーはベニバナのこと
    ・グレープシードオイルはぶどうサラダ油のこと
    ・アマニ油やえごま油は、一般には乾性油とされているが、JAS規格植物性油表にはなかった

    動物性についても一応調べたのでこちらは並び替えせずに種類ごとに列挙。マーガリンは日本国内の製品調査研究より、ショートニングは日本のヨウ素価率がみあたらなかったので米国製品を研究した論文より数値抜粋。

    油脂名けん化価よう素価不けん化物
    純正ラード55~70
    調整ラード52~72
    ソフトマーガリン74~91
    高リノール酸マーガリン93~120
    バター23~28
    ショートニング(植物タイプ)188.7~191.881.1~94.3
    ショートニング(動物タイプ)194.8~197.055.4~62.4

    ・精製ラードは純正ラードと調整ラードを含んだもの

    cf.
    食用植物油脂の日本農林規格 (主なJAS規格値)
    日本農林規格 JAS 0988 精製ラード
    マーガリン類の日本農林規格
    市販家庭用マーガリンの脂肪酸組成に関する調査
    米国における家庭用ショートニング及びラードの性状
    など、詳しい引用元は当記事末にだらりと列挙

    酸化被膜

    鉄の酸化で安定状態は主に2つ

    Fe2O3 三酸化二鉄(赤錆)
    Fe3O4 四酸化三鉄(黒錆)

    赤錆は不安定なので、鉄から赤錆が出てしまうと鉄自体がぐずぐずになる。
    黒錆は鉄の表面で緻密な被膜を形成し、内部の鉄を保護する。
    赤錆を一酸化炭素で還元してやれば黒錆になる。
    空気(酸素)、炭素(油分やガスや炭)が十分にある環境下で加熱してやれば黒錆被膜が得られる。
    フライパンをよくよく熱して空焚きすることで、黒錆の酸化被膜が作られる。
    よく育てたフライパンは黒いのはこのため。

    刀鍛冶のyoutube動画などをみてて思ったんだけど、藁灰のような炭素を足す工程とか、高温の炭に水をかけて水を水素に分解して燃やしてるのとかをみると、炭素還元やら水素還元などを多様して表面被膜を還元して黒皮に変えてるんじゃないかなって思ったりもした。もしかしたら鉄内部に炭素を織り込んで、格子欠陥をつくるためかもしれないが・・・

    参考、引用

    https://yurupan-life.com/oliveoil_useless_for_seasoning/
    https://store.iwatetsu.jp/blogs/back-number/vol36

    分子変換と化学産業を変えた Grignard 反応剤 ―その基礎と最近の応用展開―
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/67/4/67_176/_pdf

    Grignard 反応剤(グリニャール反応剤)は有機ハロゲン化物と金属マグネシウムから調製され,炭素と金属の間に結合を有する有
    機金属化合物の一種である。1900 年にフランス人化学者 Victor Grignard によって初めて合成された。Grignard 反応剤を用いることで,
    炭素と炭素の間の結合を自在に作り出せるようになり,医薬品や農薬,そして液晶や有機 EL などの電子材料の,選択的かつ効率的
    な合成に産業界で広く使われている。本講座では,Grignard 反応剤の調製方法,性質,反応例,最近の応用例などについて紹介する。

    ヨウ素の食べ物・食品ランキング TOP100
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    ヨウ素を使った金属表面処理技術
    https://www.inpit.go.jp/blob/katsuyo/pdf/business/T905.pdf

    コーナンTips シーズニングとは!2つの意味と鉄製調理器具のお手入れ方法を詳しく解説
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    四酸化三鉄
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E9%85%B8%E5%8C%96%E4%B8%89%E9%89%84

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    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%8B%E3%82%B9

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    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%B3%E6%B2%B9

    How to Season a Cast Iron Pan (It’s Easier Than You Think!)
    https://www.seriouseats.com/how-to-season-cast-iron-pans-skillets-cookware

    フレスコ画とは
    https://chikart.ciao.jp/fresco/abouts/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%82%B3%E7%94%BB%E3%81%A8%E3%81%AF/

    農林水産省 ヨウ素価
    https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/overseas/usa_i-value.html

    日本農林規格 JAS 0988:2019 精製ラード Refined lard
    https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/kokujikaisei-91.pdf

    食用植物油脂の日本農林規格 (主なJAS規格値)
    http://www.oil-kensa.or.jp/pdf/JAS-kikakuti.pdf

    https://www.maff.go.jp/j/jas/kaigi/pdf/130426_sokai_j.pdf

    マーガリン類の日本農林規格
    https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_11_maaga_160224.pdf

    市販家庭用マーガリンの脂肪酸組成に関する調査
    https://komajo.repo.nii.ac.jp/record/326/files/KJ00004250839.pdf

    https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/kokujikaisei-92.pdf

    油脂の用語と法律
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/1/4/1_413/_pdf/-char/ja

    米国における家庭用ショートニング及びラードの性状
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikatsueisei1957/39/2/39_2_75/_article/-char/ja/

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