二酸化炭素センサー

密集がだめな理由

 風邪は風邪をひいている人からしか伝染りません。ウイルスはワープしません。ウイルスは感染者の中でしか増えません。菌とウイルスは混同されがちですが、菌は栄養があれば自己増殖する生命体ですがウイルスは違います。単体で増えることはありません。感染することで宿主の細胞がそのウイルスを製造します。
 新型コロナウイルスの場合、感染成立から症状が出るまで5~6日(最大2週間)程度の潜伏期があります。感染しても8割の人は無症状や軽症のため感染に気が付かずに感染を拡げてしまうことがあります。流行期に人が集まれば、その中に感染者がいる確率が高まります。体温検査、PCR検査、抗体検査は感染者や既感染者を発見するための手段です。

密接がだめな理由

 コロナウイルスは上気道、呼吸器に感染し増殖します。皮膚などの細胞に感染するわけではないので、手などについたウイルスは手洗いをするだけで洗い流すことができます。2メートルのソーシャルディスタンスを確保していれば、呼吸、咳、会話により発せられたウイルスを含んだ飛沫(唾液)は相手の呼吸器にまで届きません。マスクをしていればその距離をもっと距離を短くできます。その逆で、食事中など感染者の唾液が多く出ている時に、感染者と近い距離で呼吸や会話などをすると感染が成立しやすくなります。

密閉がだめな理由

 ウイルスはとても小さいものです。スギ花粉0.04mm、大腸菌0.004mm、コロナウイルス0.00005mmぐらいです。マスクで花粉を完璧に防ぐのが難しい以上にウイルスを防ぐのは困難です。
 マスクから漏れ出るような5μm(0.005mm)以下の微細飛沫は空気と重さに差があまりないため自重で落下せず、吐き出したタバコの残り香のように空気中を15~30分程、漂います。コロナウイルスは空気中で3時間、プラスティックやステンレス表面では3日程度感染力を保持します。落下したウイルスは人の移動などで空気中に撒きあがります。人間にはウイルスに感染しないための粘膜や免疫などの生体機構がいくつもあるため少量のウイルスに晒されたぐらいでは感染しませんが、たとえ少量でも長時間暴露しつづけることで感染が成立することがあります。

換気が必要な理由

 密閉は換気をするだけで解決します。
 どんなウイルスがその空間にどれほどあるかを簡単に知る術は今の所ありません。しかし二酸化炭素の濃度を端緒として、その場所の空気がどれだけ使い込まれたものであるのかは知ることができます。
 では、窓をあければ換気が成立しているかというと、ことはそれほど単純ではなく、空気の入れ替え量をみなければなりません。寒い冬や暑い夏に漫然と窓をあけても空気が入れ替わってなければ意味がありません。二酸化炭素センサーをつかってメリハリのある換気にお役立てください。

新型コロナウイルスについて

 風邪の10~15%、流行期には35%がコロナウイルス原因によるものだそうです。現在までのところコロナウイルスは7種類が見つかっており、中でも危険度が高い3種類(SARS、MERS、SARS-CoV-2)が指定感染症として対応が定められています。

 2019年に発見された新型コロナウイルスCOVID-19(SARS-CoV-2)には重篤な症状が伴い、致死率も0.96%~5.62%(国内2020)、1.7~3.4%(感染者数上位10ヶ国2021/1)と高いことから人類における重大な公衆衛生上の危機として位置付けられています。

 日本における季節性インフルエンザは超過死亡概念を含む死亡率は0.1%、病院で診察治療を受けた後の死亡率は0.0014~0.0096%(2011厚生労働省 新型インフルエンザ対策推進本部 国立感染症研究所)です。この違いは毒性によるものだけでなく、治療側にさえ免疫を持っている人がいないこと、予防接種ワクチンがなかったこと、適切な治療薬や特効薬、治療側に病識がなかったことなどに由来するものです。医療崩壊を起こした国々では一時期致死率が10~20%台にまでなりました。死者の累計は2021年3月現在268万人を超えています。

 その脅威度を除けば、コロナの性質は風邪なので、風邪の予防対策と基礎は同じです。ですが同時に風邪をまったくひかなくするのが難しいように、封じ込めをしようとするのは困難を極めます。風邪並みのフレンドリーさでインフルエンザの数十~数百倍の脅威がニューノーマルとなりました。

手洗い

 ウイルスが指先についたぐらいでは感染しません。コロナウイルスは上気道に感染し増殖しますのでウイルスを口や鼻に指を持っていく前に手洗いをしてください。石鹸をつけた30秒2回の手洗いで残留はほぼゼロになります。

マスク

 風邪は風邪をひいている人からしか伝染りません。
 マスクに感染予防の効果はないと考えられていましたが、感染拡大防止の効果はしっかりあるようです。感染に気が付かずに感染を拡げてしまうことを防いでくれます。マスクの裏表を間違えたり、汚染面に触れないように紐部分をつかんでマスクを外すようにしましょう。

換気

 ウイルスは太陽光があたるだけで容易に壊れます(2分で半減)。しかし、空気中で3時間、プラスティックやステンレス表面では3日感染力を保持します。ソーシャルディスタンスは今そこにいるひとだけではなく、15分前にそこに居た人や、日が差しこまず、換気もなされていない不特定多数の方々ともとる必要があります。だけれども、それも空気を入れ替えるだけで解決します。

不摂生不養生

 今回の新型コロナウイルスにおける若年層の重症化率や死亡率はとても低いものです。これは人間が本来、ウイルスなどの脅威に備える生体機構を持いることと、既往歴が少ないため免疫の異常応答がないことによるものだと考えられいます。
 唾液、鼻水、気道の粘膜はウイルスを捉えたり溶かしてくれます。ウイルスが少量入り込んでも、免疫細胞が排除してくれます。しかし、寝不足や栄養不足が祟ると、喉がカラカラ、免疫細胞も十分に働けず容易に感染が成立してウイルス製造工場になってしまいます。
 こまめに温かい紅茶を飲むなどし気道の湿度を保ち、水分補給をしてリラックスしてください。
 ここで突然の無駄な紅茶アピールはこのページを紅茶屋さんがつくっているからなのですが、茶類のカテキンはウイルス不活化があり、ポリフェノールがどうとかもあったりするのですが、まあお茶を飲む余裕もなくなったらピンチなので、一旦落ち着いてください。予防に勝る治療なしです。ご健勝に。

参考

厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)WHO公式情報特設ページ https://extranet.who.int/kobe_centre/ja/news/COVID19_specialpage
独立行政法人製品評価技術基盤機構 新型コロナウイルスに有効な界面活性剤が含まれている製品リスト https://www.nite.go.jp/information/osirasedetergentlist.html
Johns Hopkins University & Medicine https://coronavirus.jhu.edu/map.html