カテゴリー: ICT

  • 平成30年情報通信白書をよみよみ

    「公共情報通網無き都市は地上に如何なる文化施設を持つもそれはスラムである」

     

    昭和34年の三鷹市の市長は医師でもあり「公共下水道無き都市は地上に如何なる文化施設を持つもそれはスラムである」と発言し公共下水道の敷設に邁進したという。のちの昭和48年に全国で最初に上下水道普及100%を達成したが、これを現代に捉えると、情報の上り下りは上下水道に例えられる程度に社会に必要なインフラであるが、公共wifiもない都市はいずれスラムと扱われてもやむないものである。

     

    公衆衛生とならぶ衛生環境として、情報通信網は文化的な生活のためにはやむないものだ。

     

    情報通信白書が公開された。
    http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h30.html

     

    しかもなんかクリエイティブ・コモンズらしい。ひさしぶりに読んでみる。昔はhtmlでも公開されていたが今はPDFオンリーなので一行51文字の横書きは横幅が短い画面になれてしまった自分には辛い。なんかどこを読んでいるかわからなくなる。ディスクレシアになった気分。
    興味の向いたところの拾い読み。

     

    第1部 人口減少時代のICTによる 持続的成長  人口減少時代のICTによる持続的成長

    持続的成長を前提としているが人口動態と現在の日本の投資(リソースの分配)状況を鑑みるに、日本に持続的成長はない。あらゆるものが成長を前提として動いているため、このような白書でさえもどうすれば成長を維持できるのかという論に立っているが、古木の形を変えたくないと新芽を摘んでるのに、成長もなにもあるまいて。

    図中に新市場創出、グローバル需要取り込みとあるが、ここで重要なのが日本が将来にわたり世界に対して比較優位を持てるかということである。日本の比較優位は人的資源の分布の狭さ、つまるところ、誰がやっても大きくハズレないし、期待値から外れないということであるが、これが機能するのも、人件費がやすかったからである。

    組織。いままでは、ものづくり社会であり、それにあたり人的資源にアクセス容易というロケーションが競争資源であった。そのため人を大規模に運用しやすいように資本や特許などの資産を多く抱えている資本増強型の参入がおこなえる大組織が優位であった。大組織であれば、ちょっとした無駄を改善するだけで大きな生産性向上みこまれる。

    しかし、これからくる生産性向上は可変的な無人化であろう。
    労働資源へのアクセス優位性はむしろ競争負担となりえる。
    生産資源、知的資源、もしくは、消費市場へのアクセス容易こそが競争優位になるだろう。日本はご存知の通り生産資源はほとんどない。

    知的資源を抱えている大企業は、労働資源を大きく抱えてしまっているので、それらと切り離すためにホールディングス化をすすめることだろう。アセットライトとかモジュール化がすすみ、おそらくスモールセル化してくることだとおもう。

    これらがもたらす日本の社会構造へのインパクトは大きい。

    労働付加価値生産額などをみれば、日本は金融へそのほとんどを頼っていて、金融の与信わりつけなどは大企業ののれんや勤続年数に頼っていて住宅ローンなどを割り出している。市場、組織、人のこのループは残念ながらイテレーションしない。回りゃしないループである。

     

    コンテンツ・アプリケーション

    ここ数年で最も変わったのはコンテンツのサブスクリプションモデルだろう。Spotifyあたりから本格化して、AmazonPrimeVideoやnetflix、Huluのような動画配信のコンテンツクオリティは非常に高い。連続ドラマで一話あたり5億とか10億円とかふんだんに使う世界に、竹槍でかなうはずもあるめぇ。

    定額以外の売上が2016と2017で27%も落ち込んでいるのはなかなかな数字だ。予測値では、60億程度を下限値として踏みとどまるようになっているが、サブスクリプションは既存のコンテンツ毎販売のマーケットそのものをクランチさせる可能性は多いにあるのではないか。

    自分の場合はAmazonのPrimeVideoやyoutubeを仕事中BGMがわりに流し見ている。見放題でもいくら見ても見尽くせないほどあるのに、別途単体で購入してまで見るのは、よほど前評判とかで期待でもしていないと買わないだろう。視聴者時間の食い合いでバッティングしてしまっている。音楽や動画の単体販売モデル、とくにCDなどのメディア販売モデルは代替の脅威の前にあえなく散りぬるを。

     

    LPWA


    LPWA(Low Power Wide Area)最近は自治体がらみで聞くようになった単語。三鷹市で確か一基基地を実証実験で設置したところだとか、そんなレベルだと思う。勘違いしていなければ、一つの基地局で数百メートルのエリアをメッシュできるらしい。低域なので遮蔽物があるようなところには向かないだろうけれども、ネットに全くつながらないというものから開放されるかもしれない。ちょっと注目。

     

    ディバイス

    スマフォは完全に平衡飽和かな。

     

    タブレットは低下しているようにみえるが、これはSurfaceのようなノートパソコンとタブレットの垣根がなくなってきてことによるもののように思う。

    ウエアラブル。価格帯の違う商品を積んでいるだけで、メガヒットとブームアウトによるノイズがおおくて、市場規模の推移という意味ではあまり役にはたたなそうなグラフですな。

     

     


    世界のサービスロボット市場規模の推移及び予測

    物流、ヘルスケア・介護、外食、店舗といった製造業以外のサービスロボット。この予測値は甘さを感じる。代替が労務費なので市場規模が数倍に増えるブレイクがあってもおかしくない。1次関数的な近似曲線。

     

     


    世界のドローン市場規模の推移及び予測。こちらも予測値がゆるいというよりは、過去3年が倍々で増えてるからこれからも倍々だろうみたいな感じ。2次関数的な近似曲線。

     

     

     


    世界のAIスピーカー市場規模の推移及び予測。

    AIスピーカーは2017年の今までなかった市場が誕生したまさにその瞬間。ディクテーションAPIは3年ぐらい前からあり、いろいろな試行錯誤があったがAIスピーカーという形に落ち着いたのも面白い点。ディスプレイモニター型になるものだとおもってた。この市場は現在は音声認識だけだが、カメラによる顔認証とか、移動とかを捉えれば業務用や防犯用途にもいくのでAIディバイスという点で新しく大きなブルーオーシャンがありそうだ。

     

     

    世界のAR/VR市場規模・VRヘッドセット出荷台数の推移及び予測

    Oculus Goという単語が白書中にないが、以前のOculusと違って単体スタンドアロンでわずか23800円という価格はまさに、破壊的。Oculus Riftが切り開いて、PlayStation VRが裾野を広げ、Goが普及機になりそう。あと、アダルト動画をVRヘッドマウントで見るといよいよやばいレベルになってきたらしい。未体験だ。Oculus Go買おうかな。

     

    日米のICT投資額の推移

    日米のICT投資額推移(実質2010年価格)

    最近じゃ日本と米国を比較することすらおこがましいレベルに日本は集落してきてしまっている。

     


    GDP比でみればそれほどでもないのかもしれないが、

    2001が日米双方のソフトウエアとハードウエアの比率が逆転した年。
    現在は2:1程度。

     

     

    日米のソフトウェア比率(受託開発、パッケージ)

    本文中にも従来のシステムへの過剰適合であったり、ICT導入以前の組織や業務プロセスに合わせるために行われるため、受託開発が多いとある。

    明瞭な戦略にあうシンプルなシステムをたてて、オペレーションをあわせていくのが本来の経営戦略であるが、日本の場合は局所ごとの戦局にあわせてオペレーションがたてられるために、システムをそれにあわせる傾向がある。控えめに言ってくそだ。

     

    ICTの経済成長への貢献

    成長会計分析

    このような大項目がつくられるようになったのは好ましい。そもそも売上、ちゅうか経済成長に税とかのれんなどを含んでしまっている国内会計だと、IFRSベースの会計を適用している国とそもそも比較が成立しないのではないか。TFP(全要素生産性)とかについては、不勉強につきよくわかんない。ちょっと本質的ではなさそうなものの気がする。

    (生産の伸び率) から(資本分配率)×(稼動資本ストックの伸び率) と(労働分配率)×(総労働投入の伸び率)を引いたもののようだけれども、正直これだと継続的な参考指標にできるのかわかんないな。

    http://www5.cao.go.jp/j-j/sekai_chouryuu/sh04-01/sh04-01-fuchu.html

     

     

    日米の ICT とイノベーションの現状

    この章はなんかまるごとレベルが少し低いね。(出典)総務省「我が国のICTの現状に関する調査研究」(平成30年)

    これがもとネタかな?検索しても出てこないな。新しすぎるのかな?

     

    日米のICT人材の比較

    相変わらずの日本のユーザー企業のICT人材の少なさ

    いくつかの法改正なども伴い、国内での受託開発でのリスクがひたすらに上がり続けているので、いまは準委任とかそういうのが増えてきたけれども、もしかしたら、ユーザー企業の人員を受け入れてシステムを開発するのを指導しつつ育てたら返すみたいな、反請負派遣みたいのもでてくるかもね。

    じゃないと日本みたいに人材流動性が低い社会環境だとユーザー企業は永遠にICTスキル獲得しようもない。

     

    政府機能の電子化が進むエストニア

    先月会議で同席した内閣府だか内閣官房だかのCIOのような方(ふわっとぼかした書き方)が、エストニアに視察にいかれていたお話しをされていたのでデジタルアジェンダ今度読んでみよう、少し注目。

     

     

    デジタル・アジェンダ 2020

    https://www.mkm.ee/sites/default/files/digital_agenda_2020_estonia_engf.pdf

    日・エストニア間のICT・サイバー分野での協力や、両国の電子政府に関する取組みについて意見交換が行われた。エストニア相変わらず人気。ちょっと謎だよね。

     

     

    2章 ICTによる新たなエコノミーの形成

    汎用技術(GPT)とは
    GPT:General Purpose Technology

    あとで読もう

    (出典)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)

    http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h30_02_houkoku.pdf

     

     

    AI・IoTサービスマッピング

     

    様々なX-Techの事例

    こんなんも言ったもんがちだよね。海外の図表でもうちょっと綺麗にまとまってるのがあったからそっちのほうがいいかも。いかにもただのパワポアートっぽい。

     

    電子マネー決済額の推移

     

    電子マネー決済額とCDオンライン提携取引支払額の推移

     

     

    シェアリングエコノミーに対する消費者の意識

    シェアリングサービスの認知度(日本)

    シェアリングサービスの利用経験(国際比較)(シェアリングサービスを知っている人のみ)

     


    シェアリングサービスの認知度(国際比較)

     

    日本のシェアリングエコノミーの認知度も体験度もひくっ!

    高齢者の駐車場のシェアリングとかの認知が予想より高くてアキッパとかじゃないだろうし、なんでだろうねと話してたんだけれどももしかしたらタイムズのカーシェアとかのおかげかな?

     

    第3章 ICTによる生産性向上と組織改革

    OECD加盟国の時間当たり労働生産性比較

     

    情報通信産業と一般産業 労働生産性指数の推移
    建設部門で少し改善がみられる。少し不思議。

     


    各国企業のICT導入状況

    ここまでくると未導入企業でも生き残れる不思議さはあるよね。

     


    各国企業が導入しているICT

    未だにBYODがだめそう。たぶんこのままだめなまま進むんだろうな。

     

    ICTを活かすための環境整備の状況

    ほんと、ただ単に生存競争がないんだとおもう。

     

    ICTによる生産性向上の効果

    製品・サービスのコモディティ化 4倍!

     

    第3節 組織を「つなぐ」ことで生産性向上をもたらすICT

    APIの認知・公開状況

     

     


    クラウドサービスに対する課題の認識状況
    課題もわからない日本の状況。それでも存続できるのだからぬるくてよいじゃない。

     

     

    第4章 ICTによる インクルージョン促進

    「インクルージョン(包摂)」

    2~3年ぐらいまえエンゲージメントとかの単語が流行ったときに同じく包摂なんて単語も聞くようになった。こういうのの仕掛け人は海外かなんかのシンクタンクかなんかなんだろうかね?

    インターネット接続端末

    加齢によるデジタルデバイドは解消不能なのかもしれない。介護の領域だ。

     

    オフラインやオンラインで知り合う人の信頼度(国際比較)

    日本人の他人の信用しなさ加減といったらすごいな。

     

     

    オフラインのコミュニティにおけるソーシャルメディアの活用(国際比較)

     

    第5節 ICTの進化によるこれからのしごと

    人工知能(AI)導入によって自動化してほしいと思う業務(有職者)

     

    学び直しや職業訓練の必要性(日本、年代別比較)

     

    学び直しや職業訓練の必要性(国際比較)

     

    日本の「わからない」という将来のみえてなさ。5~60代の学び直しは必要もないという諦観。老害になるか知恵袋になるか。引退後のクオリティ・オブ・ライフに大きく影響するとおもう。

    老齢人口の再義務教育化で日本のだいたいの問題は解決するような気もするんだ。

     

    第2部 基本データと政策動向

    第5章 ICT分野の基本データ


    主な産業の市場規模(名目国内生産額)(内訳)(2016年)

     


    情報通信産業の名目GDP及び実質GDPの推移

     


    主な産業の名目GDP及び実質GDPの規模

     


    情報通信産業の雇用者数の推移

     

    放送市場の動向


    民間地上テレビジョン放送の視聴可能なチャンネル数(2017年度末)

     

    我が国の放送コンテンツの海外輸出額

     

    我が国の放送コンテンツ海外輸出額のジャンル別割合うなぎのぼり。でもほとんどアニメのみ。

     

    トラヒックの状況

    我が国のインターネット上を流通するトラヒックの推移

     

    図表5-2-5-1

    主なメディアの平均利用時間*29と行為者率
    わかものの深刻な(?)テレビ新聞離れ

     

    図表5-2-5-4 主なコミュニケーション手段の利用時間と行為者率
    メール?

     

    第3節 電波の利用動向 第4節 放送政策の展開

    ここはいいかな。

     

    第5節 サイバーセキュリティ対策の推進

    情報連携投資等の促進に係る税制(コネクテッド・インダストリーズ税制)の創設

    コネクテッド・インダストリーズ税制

    最低投資金額が5000万という数字をみても分かる通り。税というより大規模優良企業の課税控除の抜け道かな。セキュリティは一番低い水準に合う、桶の水は一番低い立板から漏れるにあるように、ボトムアップこそが重要なんだけれども、これはお題目にかこつけた優遇策に見える。

     

    第6節 ICT利活用の推進

    4 プログラミング教育の推進

    *10 若年層に対するプログラミング教育の普及推進ページ:
    http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/jakunensou.html

    *11 地域におけるIoT の学び推進事業ページ:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/IoT_learning.html

    *12 小学校を中心としたプログラミング教育ポータルPowered by 未来の学びコンソーシアム:https://miraino-manabi.jp/

     

     

    第7節 ICT研究開発の推進,第8節 ICT国際戦略の推進,第9節 ICTによる行政・防災の推進,第10節 郵政行政の展開

    NICTや異能vation、インフラシステム輸出戦略
    ・・・だめそう。

     

     

    感想

    読もう読もうとおもって、380ページぐらいの白書なんだけれども、読みはじめてから一月ぐらいかかった気がする。昔は白書系は1日でおもしろそうなところピックアップできたのだけれども、勘所も頭も鈍くなってるのかもしれない。

    白書系そういえば最近読んでなかったので、今回のあとで読む系もふまえてしばらく白書を読み下そうかとおもう。

  • 違法マイニングとされたcoinhiveの法と技術のはなし

    情けなさ過ぎてちょっまじかよっ!?と思う事件があったので、ちょっと真面目に書いとかないといけない気分になっている。日本は法治国家として中世だの、情治国家と揶揄されるが、ほんと程度がひどくなっている。

    自身が管理するWEBサイトに、Coinhiveなるマイニングツールを設置した複数のサイト運営者が、不正指令電磁的記録に関する罪(通称ウイルス作成罪)の容疑で16名ほどが相次いで摘発されているそうだ。もしかしたらまだ増えるかもしれない。

    マイニングツールをアフェリエイト広告気分でサイトに埋め込むのには、個人的には反対だけれども、だからといって公権力が設置者の身柄を拘束するなんて何考えているのかわからないぐらいとんでもない話しだ。

    警察や検察などの介入で国民の財産権や人権を制限する場合、厳密に法律に規定されていることで運用されるべきで、法に触れる可能性があるかもしれないというようなあやふやな態度でその行使をおこなうなんてことはあってはならない。罪刑法定主義の原則は厳に守られるべきだ。

    法律と技術の観点でつらつら書く。

     

    法そのものの制度疲労

    日本の法体系は大陸法とよばれるやっていいことが書かれている許認可制度、ホワイトリスト方式だ。ひるがえって英米法では、やっちゃだめなことが書かれているブラックリスト方式。

     

    どちらも一長一短があるのだが、日本の法体系の問題点をあげるなら、新しいことができないこと。

    再生医療のような新しい技術が登場しても、それが法で規定されるまで時間がかかるし、いちど成立してしまった許認可発行権はそののち既得権益になってしまうので侵すことができなくなるのが難点だ。

    まだ発明もされていない技術や発明を予見して法律で用意しておくことはできない。だから、どうしても技術がある程度普及し工業規格などができてから、今更なタイミングで法律が成立したりする。

    法にかかれていないことはやっちゃダメというスタンスのもとだと、新しいことはたいていはやっちゃだめなことで、もしやったとしてもなにかしらの法律で絡め取って違法状態に据えることができる。例えば最近話題の民泊新法の前は、民泊は旅館業法に触れるとか、建築基準法だとか、消防法だとか、まあ、とにかくなんらかの角度でいろんな監督省庁からケチはつけられるのが今の日本。

    民法の改正なんて120年ぶりなのだから、情報技術なんていう新しいポット出のジャンルに対応できるようになっているわけがない。あと240年ぐらいかかっても驚きやしないだろう。

     

    世に言う岩盤規制

    法に触れないでなにかをしようとした場合は前例踏襲的にならざるを得ない。法が通してくれた道の上を歩く時のみ我々は適法に存在することができる。ホワイトリストにつけられた但し書きは増える一方だ。リファクタリング(構造の再構築)もできなくなってお互いに矛盾したままデッドロックしたり循環参照しているような法律がいくつもあり、片方の法の規定どおりに運用すると別の法律に違反することになるような既存不適格に挟まれながら、生活や業務がまわされている。

    論理的にはやっていいことの悉皆列挙なんてできやしない。だから、監督官庁の通達や裁判所の判例などが実質法として隙間を埋める。

    ここで勘違いが生まれたのか「社会的コンセンサスがとれている状況ではないから」というような曖昧な不文律で家宅捜索や逮捕がおこなわれるようになってきた。こんなことは罪刑法定主義の原理原則に反する。逮捕が先にきて法律がついてくるのではなく、法律での規定が先だ。

    順番を間違えちゃならねぇよ。

    近代法治国家と言うのがもう恥ずかしいレベルのことが平気でおこなわれるのに恐怖を覚える。

     

    逮捕と代用監獄

    捜査官や担当検察官や判事も人間なので間違ってしまうことぐらいはあるだろう。だけれども刑事補償法が抑留・拘禁1日当たり1,000円以上12,500円以下っていうのは、大人に対する保証の額じゃないよね・・・。

    桁が2つぐらい違うんじゃないかな。個人事業主がイレギュラーに一日とか拘束されたら一日10万の営業保証でも難しいでしょう。代用監獄なんてもっての他。ほんとなんとかしたほうがいいと思うよ。

     

    不正指令電磁的記録に関する罪

    今回の不法マイニングなるものがなんの法に触れるかというと、ウイルス作成罪になるのだそうな。閲覧者の意図しないプログラムの実行があったという理路だと考えられる。

    1.人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
    2.前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録

    ウェブサイトを表示させたいというユーザーの意図があり、それに対しマイニングの処理でユーザーのCPUを使うのは使用者の意図に反する動作ということなのだろう。だが、その建て付けでいくと、サイトを提供するにあたり経済的な合理からマイニングが必要なことであると於けば、サイト表示の処理の一環であることを否定するのは難しいんじゃなかろうか?

    例えば同じようなものにWEB広告やそれらの広告を表示するためにcookieなどのセッション情報の取得や送信がおこなわれていたり、結果として動画や音声などが再生されたりする。youtubeの動画を見てて割り込まれる広告動画はユーザーの意図に反するもののはずだ。しかし、WEB広告は社会的にコンセンサスを得ているからオッケーで、マイニングはだめというのはただのダブルスタンダードでしかない。

     

    Librahack事件再び

    かつてLibrahack事件(岡崎市立中央図書館事件)では、しょぼすぎる公共図書館のシステムを便利に利用しようと比較的礼儀正しい自作クローラーを作成したところ、相手の市立図書館がシステムが想像を絶するしょぼさでぶっ壊れてしまったため逮捕にいたるというとても痛ましい事件が2010年ごろあった。

    今回の事件はそれに相当するレベルのお粗末なお話しのようにみえる。プログラムの処理速度は常識的なものから過負荷をあたえるものにまで調整することができる。クラッシュなどを目的とした悪意があるものと、悪意はないけれども過失として過負荷をあたえてしまうものがあるが、負荷の度合いについてはそんなものは作成者や設定者のさじ加減次第でしかない。

    略式起訴された人の報告ブログによれば、取り調べの過程で「反省しています」などと言わさせられたと書いているが、これは犯意を立証するのに必要な要件なのだろう。

     

    マイニングは動画広告などと比較してCPUの使用量はどうなのか?そういう定量的な比較調査を抜きに今回のケースを判断するのはナンセンスだ。

    サイト上に法定処理速度なるものがあって制限速度をオーバーしたのでスピード違反として取締りをしている感じ。でもそんな法律はないよね。だから、法律にのっとって取り締まってね。

    法律にもないことで身体の自由を奪ったりしちゃだめだよ・・・。何やってるの!???

     

     

    技術的な負荷の問題

    パフォーマンス測定はおそらくそう遠くないうちにセキュリティ界隈なギークな子達がやってくれるだろうからおまかせするとして、もしかしたらと思ったのが、捜査などに入った技官のJavaScriptなどへの理解がECMAScript6以前で止まっているのかもしれないななどと思った。

    2015年のECMAScript6、特に2017以降は非同期関数 (async/await)が実装されたわけだけれども、これのおかげでsleepとかDoEvents書き忘れた無限ループなプログラムのように、処理に制御をもっていかれっぱなしになることがなくなった。JavaScriptレベルが並列の非同期処理を書けるようになったことで、よっぽど下手な書き方をしないかぎり、負荷の度合いを下げ、かなり上品にかけるようになっているはずである。

    非同期処理ができることを知らなくて、サイトの閲覧にマイニング用のJsなんか埋め込まれたらハングってしまうじゃないか!という技術判断がIE6ぐらいを使っている人が判断しているのだとしたらそれもまたいたし方ないことなのかもしれない。

    ウイルスバスターを提供しているトレンドマイクロのセキュリティブログによれば、coinhiveをベースとしたお行儀の悪い亜種スクリプトも出回ってはいるようだ。だが、それでもその脅威カテゴリはグレイウェアでしかない。いったい、どんな捜査をしたんだろうか。うん。やっぱり本当によくわからない。

    競合サイト潰すためとかに被害通報して、それに警察が釣られたのかな?

    最近はマルチコアじゃないPCとかノートとかあまりないと思うので、サイトのJsで応答がなくなるほど制御がもっていかれるなんてことはまずないと思うけれども、先のしょぼすぎる問題のように担当者が10数年落ちのマシンとかを使わされていた場合、まあなんていうか重たくなったとか感じるかもしれないよね。

     

    まあなんていうかだめだよね。まったくだめ。

    まだ、資金決済法とか仮想通貨法に触れたとかのほうが、そうかもしれないなとか思うかもしれない。

     

     

    追記

    その後の報道のされ方などをみると、パソコンが遠隔操作され不正にマイニングされたとする報道があった。

    オンラインゲームを有利に進められるよう改ざんしたプログラムの中に、仮想通貨を得られるソフトを組み込み

    なるほど、説明に騙りがあった場合はマルウエアかもしれない。これが摘発されるのはわかる。

    他方webサイトというのはユーザーがサーバー側にリクエストを投げて取得して、それをユーザー側のブラウザに持ってきて実行するものだ。そもそもが、クライアントサイドスクリプトと呼ばれるものなので、クライアント側で動くもので技術的に遠隔操作と呼ばれるたぐいのものではない。

    ウイルスを潜伏して悪さをするという定義におけば、オプトインをとらないマイニングスクリプトは確かに視認できる状態になく暗黙的で許可を得ていない状態といえるのかもしれない。が、技術的にこれが潜伏して状態かというと、これはしていないと言える。

    技術的にはそれを実行してくださいというリクエストを投げているのはユーザー側でそれを実行するのもユーザーなのである。無理強いされ送りつけられたわけでも、遠隔操作され実行されたわけでもない。

    その応答をブラウザ任せにしているオートマだから気が付けないだけで、手動でやればマニュアルで蹴ったり、ルーターで予めそこへのアクセスを拒否しておくこともできる。実行前の段階で自分がリクエストをだすかはわかる状態にあり、実行にも自分の意思の介在余地があるわけだ。同意できなければそっとページを閉じればそれで関係も終わりになる。

    広告ネットワーク経由でこれらを改ざんしたお行儀の悪いスクリプトを埋め込まれたり、サイト改ざんや、コメント欄でjsを実行できる状態だったりするだけでマネタイズができてしまうので、将来悪用されたり、この技術を利用し悪意を持った振る舞いをする人たちは多くでるだろう。マナーの問題もある。だが、それと自身の管理するサイトに設置するのとではまるで問題が別で、はたまたそれが逮捕要件になってしまうのは本当情けない限りである。

     

    CPU使用状況をみてみる

    人任せにしないでちょっと低スペなwindows10マシン(数年前のNEC製量販品ノートLaVie)でCPU使用率をみてみることにした。

    @satoruさんのサイトでCPU50%でcoinhiveをぶんまわした図。javascriptでもCPUのアクセス率をスタックするまで食うことなく、設置者の任意の指定でそれを設置できることがわかる。問題はこの使用率がサイトを閲覧中はずっと続くことだが、お行儀よく実装するならオプトイン用の確認画面や、設置していることを明示するバナー。滞在時間でタイムアウトとかを設けたほうがいいかもしれない。

     

    こちらはcoinhiveの件を報道する毎日新聞社のニュースページのCPU可動遷移率。(参考の欄にURL)

     

    こちらは同じく朝日新聞(ログインしない状態で)の閲覧状況。(参考の欄にURL)

     

    こちらはNHK。広告がないのでCPUはあまり使用していないことがわかる。(参考の欄にURL)

     

    広告ベースで成り立っているサイトのCPUは新聞社のニュースサイトでさえこの程度のパワーを食っている。(アクセスごとにプレーンな環境で観測したわけではないので、スレッド数とかは積算。)通信帯域を考えれば動画や画像のほうが、故障率がどうこうと言うならばファイルI/O分ある分あがるだろう。一般的な動画広告が流れるようなページはもっとひどいが、まあ、サイト設置型マイニングスクリプトがお行儀がいいかといえば、滞在時間でCPUくいっぱなしになるのでお行儀がいいとは言えないが、なにがしかの不法要件を構成するとは私は考えられないことであるとおもう。

    追ってみたところ世の中には明らかに違法だと認識する人も散見されたので、ぜひ踏み込んで所感をうかがってみたいところである。

     

     

    参考

    仮想通貨マイニング(Coinhive)で家宅捜索を受けた話
    https://doocts.com/3403

     

    Coinhive設置で家宅捜索受けたデザイナー、経緯をブログ公開 「他の人に同じ経験して欲しくない」
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1806/12/news078.html

     

    コインハイブ採掘「そんなに悪い?」 サイト運営者憤る:朝日新聞デジタル
    https://www.asahi.com/articles/ASL6H10SFL6GULZU012.html

     

    仮想通貨獲得するための「マイニング」全国で摘発 議論呼ぶ
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180614/k10011478131000.html

     

    違法マイニングで16人摘発 10県警、仮想通貨獲得で不正アクセス – 産経ニュース
    https://www.sankei.com/affairs/news/180614/afr1806140035-n1.html

     

    「何が違法なのか」=摘発デザイナーが反論会見―不正マイニング
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180614-00000124-jij-soci

     

    仮想通貨を採掘するツール(マイニングツール)に関する注意喚起
    http://www.npa.go.jp/cyber/policy/180614.html

     

    岡崎市立中央図書館事件

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A1%E5%B4%8E%E5%B8%82%E7%AB%8B%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E4%BA%8B%E4%BB%B6

     

    不正広告により、仮想通貨発掘ツールが拡散される
    http://blog.trendmicro.co.jp/archives/16904

     

    仮想通貨をマイニングする機能なし、ただCPU使用量がもりもり上がるだけのJavaScript公開中
    https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1127708.html

     

    追記参考

    仮想通貨マイニングツール事案をまとめてみたhttp://d.hatena.ne.jp/Kango/20180615/1529094423

    懸念されていた濫用がついに始まった刑法19章の2「不正指令電磁的記録に関する罪」
    序章 高木浩光@自宅の日記
    http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20180610.html

    仮想通貨 マイニング初立件 「不正採掘」真っ向対立 警察「PC無断使用」/弁護側「合法」
    https://mainichi.jp/articles/20180615/dde/001/040/057000c

     

    他人のPCを遠隔操作し仮想通貨
    https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20180614/0001607.html

     

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    それな。この話、法律家と技術者の考え方の違いが明確で面白いと思う。

    https://anond.hatelabo.jp/20180615192108

  • 世の中の大半はプログラミングを理解できない人間ばかりだ

    商店街みたいなオールドエコノミーの飲み会でうっかり「プログラミング言語」と言ったら、「FAXみたいにピーヒョロロロロってやつ?」と言われたことがある。冗談半分にだけれどもたぶん半分は真剣だ。世の中にはプログラミングを理解できない人間が存在するというが、そもそも世の趨勢はプログラミングどころか、コンピューターに系統指示をするなんてことに触れたことがない人のほうが是である。ギーク界隈は忘れがちだが、プログラミングがもつ論理構造が理解できない以前にその機会に触れられないない人達のほうが依然多い。

    世の中にはプログラミングを理解できない人間が存在する
    https://cpplover.blogspot.com/2018/05/blog-post_29.html
    人間には、それらしくでっち上げられた偽物と、本質を理解した上で作られた本物を判別するのが難しい。一方コンピューターは違う。コンパイラーはソースコードがいかに本物のソースコードらしい見た目をしていようとも、文法違反のソースコードを判別できる。

    就職適正試験を抜けプログラマーとして職を得るような人でも、採用後に真に適正があるとおもうような人は20人に一人もいないんじゃないのかなとのが体感だが、これは小学生が分数を理解できるかどうかで躓く「9歳の壁」に似たものがあるように感じる。抽象化という概念を獲得していないと、何をやりたいのかという要求定義できないし、仮説の設定ができないの機能設計に必要な共役化ができない。冗長なプログラムでも書ければまだましなほうで、そもそも、先のブログで指摘されるようにsyntaxの壁を越えられない。

     

    「AI vs 教科書が読めない子どもたち」での調査でも話題になったが、文字は読めているけれども文意が拾えない子たちがかなりの割合で存在するそうだ。意思疎通のプロトコル変更に対応できる人類の割合は、さらに少ないだろう。「赤信号だったがいけると思った」という、重大な認知過誤をのぞけば、言語による意思疎通の齟齬をある程度は互いに許容しあって成立しているのが現代社会である。

     


    cf.平成29年版 情報通信白書:情報通信機器の普及状況
    http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc262110.html

    日本のパソコン普及率は75%程度あるが、ごらんの通り日本は情報通信関係の教育においては圧倒的後進国であり、また、22歳以上の大学への入学率もOECD加盟諸国で最低である。つまり、一度大学などを卒業してしまうと、再教育を得る機会がないままに老人になっていく。新しい技術や技能を習得する機会がないのである。

     

    今後、社会の制度設計などを担う現在40歳以上に、一体誰がプログラミングを教えるというのか。教師には強制的なファカルティ・ディベロップメントがあるかもしれないが、それ以外の人への教育は?

     

    スマホの使い方がわからず、ドコモのサービスセンターに並ぶ老人はまだ向上心がある。しかし、同じような道具の進歩においてけぼりなっては、深刻なデジタルデバイドで社会全体が機能不全におちいることは目にみえる。

    セキュリティや社会機能はそれを構成する要素の一番低いところが最低水面になる。厳重な鍵がいくつもついたドアの横に空けっぱなしの窓があれば、それがその家のセキュリティレベルだ。

    人間の足の速さや頭の良さなどは、道具や機械をつかうことで、個体差など誤差の範囲にするほどに平準化できる。
    弱視であってもメガネがあればいいし、デスクレシアであっても補助器具を使えばいい。
    計算が遅くても電卓を使えばいいし、字が汚くても口述筆記や印刷ができれば機能は満たせる。

    こうすると道具を使っても乗り越えられないものを障害し、介助を必要なものとも言い換えるこができるのではないか。

     

    移動速度という観点かれみれば自転車や自動車や電車の前に、個人の足の速さや自走持久力はあまり関係がないが、なにがしかの理由があって乗り物を利用できない場合にはそれはが障害になる。

    記憶力の多寡はネットにつながった端末が利用な人とそうでないの前では、足の速さのように生体機能を競う程度のものであろうが、これも、情報端末がそもそも利用できないのであればこれももはや障害だ。

     

    生体機能などは成長や加齢、傷病によって変化する程度のものだ。道具の利用によって向上した機能は、その性能差によってその分布は分散を取るが、その分散に、道具を利用できない人たちの群があると、それはとても離れた二項分布になるだろう。

     

    道具が機械になってそれが結果に寄与する影響が大きいほど、深刻な問題となる。どんなに片方がドリブンして先にすすんだところで、結局のところ社会の基準水面は低い方に合わさるのである。

     

    公共情報網無き都市は、地上に如何なる文化施設を持つも、それはスラムである

    三鷹市が公共下水道普及率100パーセントを達成したのは昭和48(1973)年。当時の市長、鈴木平三郎は公衆衛生を専門とする医学博士でもあり「公共下水道無き都市は、地上に如何なる文化施設を持つも、それはスラムである」として、受益者負担金制度や市政運営への企業性の導入など大胆な手法で、全国初の下水道完備都市を達成した。
    http://www.city.mitaka.tokyo.jp/c_service/011/011729.html

    これを現代風に言い換えるならば、「公共情報網無き都市は、地上に如何なる文化施設を持つも、それはスラムである」ともいうことができる。というか積極的に言っていきたい気分。

    ちなみに、三鷹市は世界情報先進都市とか表彰されたそうだが公共施設でwifi利用可能なところは一個もない。なんたるちあ。

    プログラミングは反復継続することを処理するのにはとても便利なものだ。

    税務署上の定義で商売というのは反復継続するもののことを言うそうであるが、であるならば、プログラミングは経済にも大きく効いてくるはずなのだ。だが、そもそもプログラマー界隈以外でプログラミングの重要性を訴える人をなかなか目にしない。

    そりゃそうだ。世の中はプログラムがなにものであるかを理解する機会もなく、ワードやエクセルを教えてくれだとか、ホームページをつくってくれだとかはまだ可愛いほうで、パソコン直してだとか、スマホの使い方がわからないだとかの、ちょっとパソコンに詳しい便利屋さんになってしまうのである。

     

    でも、まあまずは隗より始めよ。ってことで、みなさん草の根でがんばりましょう。草が生えすぎて、草葉の陰になるまえに、なんとかなるといいねww