若年層に対するプログラミング教育の普及推進に向けた調査研究報告書よむよむ


よむよむシリーズ第うん段。

若年層に対するプログラミング教育の普及推進に向けた調査研究報告書
平成29年7月 株式会社 電通 総務省 情報流通行政局 情報流通振興課情報活用支援室
www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/jakunensou.html

調査報告書とあるけれども、実施後のアンケートを纏めたものなので、この手の資料をさらにエッセンスにするのはしんどいね。調査報告書というよりは、助成金絡みの実証実験の実施報告書。

元ネタは全国11ブロック11団体により行われた、クラウド利用型プログラミング教育実施モデル実証。
調査研究報告書の中ではこれの実施期間が書かれてないのだけれども、「平成28年度第2次補正予算 公開講座の日程」資料を見る限り、平成29年(2017年)の7~11月頃に開催されたものについてのの模様。

図表 2-1 プログラミング講座の流れと本書参考箇所

少し冗長な報告書だったので、項目の順序等は入れ替えたりなんだりした。

実施モデルの検討

実施モデル検討におけるポイント

  • 地域や教育委員会・学校との連携
  • 地域性(地域の特産や伝統)を考慮したテーマ、カリキュラムに

各授業がどのように開催されたのかがここではなく、詳細は読み取れなかった。ポイントであげられている項目をみると教える側の都合であり、これ教育のモデルじゃないよね。

メンター育成

・プログラミングスキル以上に子供との接し方やファシリテーションスキルを重視した

・地域に根ざした指導者(メンター)を育成し、教育ノウハウを伝える
・基礎的なプログラミングスキルと子供への接し方に関する知識が必要最低限のスキル

プログラミングスキルなしでも、子供への接し方に慣れている人が優先されたようだ。

必要最低限という言葉に現されているように、できる子は放置しがちな日本の教育姿勢が伺える。
だが、プログラミングとか論理思考に適正がある人というのは出現割合がすくないので、十把一絡げの教育とは一緒にしないほうがいいように思う。これではとんがった才能を持つ子が潰されてしまう。

トップノッチを育てるなら初期メンターにもせめてもマジシャン級ぐらいにはアクセスできるパスは儲けておくべきだ。

実施環境の準備

学校のPCはソフトウェアの追加インストールが困難な場合が多い。
実行環境をインストールしたPCを別途持ち込んだケース/…/端末の調達・持ち込みには大きなコストが発生するため、ScratchやHour of Code等のブラウザベースで動作する教材の利用や、実証環境をインストールしたUSBスティックタイプPCを持ち込む

プログラミングに熟達した人でも実行環境を整えるまではしんどかったりする。だからDockerとか、最近だとKubernetesがはやったりするのだろうけども、公教育だといろんなリソースの問題で難しいかもしれない。

ここでも全員がハイスペックのマシンである必要はなくて、低スペックでもいいんだけれども、芽が出つつある子を足並み揃えるためにロースペックに縛るような真似はしてほしくない。BYOD(Bring your own device)がんばってほしいですね。

メンターの確保

モチベーションの向上方法としては、メンター同士の横連携の促進や、活動へのインセンティブとして最低限の報酬の支払い、大学単位の認定、インターン制度の活用、公的機関によるメンターの認定制度等が考えられる

これって労働の衛生環境であって、内発的なモチベーションに関わる部分じゃないよね・・・。
まあ役務労働に近いから甘い言葉で誘って徴用するなら、労働環境も整える必要があるとは思う。
つか、「最低限の報酬」とあるけれども、なんで最低限なの?
なんでも機運の情勢でやりがい搾取、安く済まそうとする風潮よくないよね。
効果効用を明確にして、つけるところには予算確保して継続的なしくみにしないと。

地域でプログラミング教育を継続する際に必要とされる機能・人材

  • 継続的に地域のプログラミング教育をサポートする人材・団体
  • 地域の小中学校の授業をサポートする人材
  • 地域で発展的なプログラミングを学習できる場を提供する人材・団体

これ今までの白書でも書かれてたけれども、これ「不足する人材」だ。
いないもんそんな人。ないものねだり。
いてもこんな状況で手なんてあげようものなら使い潰されるだけだから隠れるよね。

メンターに必要とされるスキル・ノウハウ

図表 3-2 メンターに求められるスキルのイメージ

ふふ。「不足する人材」だね。スーパーマン信仰かな。ひとりに全部をもとめるのはやめよう。

メンター研修

本実証で育成されたメンターのうち、プログラマーやプログラミング経験者は1/3程度であり、半数近くはプログラミング未経験者であった。

図表 3-6 研修受講前のメンターのプログラミングスキル
図表 3-7 研修受講前のメンターの教育経験

教育関係者が優先された図。ここ難しいよね。

各実証地域におけるプログラミング教育講座の概要

教材

  • Scratch(スクラッチ)
  • レゴWeDo 2.0
  • National Instruments「LabVIEW」(ビジュアル言語)
  • python(テキスト言語)
  • 教育版レゴ マインドストームEV3(ロボット)
  • Ozobot(ロボット)
  • OzoBlockly(ビジュアル言語)
  • ScratchX(ビジュアル言語)
  • AruduinoX(サーボモーター)
  • Audiuno(テキスト言語)
  • アーテックロボ(ロボット)
  • GLICODE(お菓子を用いるプログラミング体験ツール)
  • Hour of Code(ビジュアル言語)
  • ルビィのぼうけん(アンプラグド)
  • Swift、Xcode(iphoneアプリ開発)
  • Gamesalad(テキスト言語)
  • HTML/CSS、Brackets・Mozer(テキスト言語)

・・・。テキスト言語ってなんだろう・・・・??
すごいな「テキスト言語」とかでググると教育界隈がいくつもでてくる。
はっ!もしかしてスクリプト言語のことか!!?

スクラッチはスクラッチなんだな。ブロック言語とかじゃないのか。
アンプラグドってなんじゃらほい?エリック・クラプトンか?プラグインじゃなくて仮想環境で動くなにかかな?あれ、ルビィのぼうけんって、北欧の女の人が作ったやつじゃなかったっけ?
Swiftとかはiphoneアプリ開発になっちゃうのな。
不思議分類。実施者の自己申告かな?なんだろうこれ。

小学生ならScratch一択かな。

お金のある家庭で小学校高学年から中学生なら教育版レゴ マインドストーム。
レゴはすでに国際的な教育プログラムを確立しているので、STEMとかチームビルド、プレゼンテーションまで学べるので超英才教育向けにいいと思う。何回か国際優勝したチームの某監督にだいぶ吹き込まれてるので、中立的な見方ができてないかもしれないけれど。
それより上で興味があれば、AIとかにまでタッチしうるpythonとかその他の「テキスト言語」でいいんじゃねぇのと。

unityとかを採用したところはないんだな?なんでだろう。今の中高生とかならunityスタートのほうがいいと思うのだが。

スペック重すぎ問題かな?サンプルコンパイルしただけで実行ファイルG単位だもんな。

自分だったらhtml5あたりで、UserMediaつかってカメラとか音声弄らせるかな。ブラウザ動くぐらいの実行環境でいいし、使うのもJavascript+html/cssぐらいだし。
ま、ブラウザの仕様変更ですぐ動かなくなるけれども。
まあ、そういうしちめんどくさい環境の部分は内包しておいてくれるのがScratchだからやっぱScratchでいいんじゃないの。

教育理念

  • 物事を創りだす楽しさ
  • 「ものづくり」に対する興味の増進を促す
  • 「ものづくり」を通じて自分の特性を知り、自分の能力を伸ばす

気になったのはこれ。
ものづくりとかがあって、なんか「うげぇ」とおもった。高度成長期の亡霊だ。
「ものづくり」と「プログラミング教育」は混同すべきではない。ものづくりの評価尺度ではプログラミングを評価できないからだ。
ものづくりを絡めてしまうと「アルゴリズム」などの不定形、アウトプットが目に見えないものないものが評価できない。

信越 (スタープログラミング)
プログラミング教育を手段として、子供たちの学び合いをベースに、以下の5つの資質・能力を身についけることを目標とした。

-創造力・イノベーション
-論理的思考力
-問題解決力
-自己肯定感
-プレゼンテーション能力

目標は理念じゃねぇとかいろいろあるかもしれないけれども、教育理念(教育目標)としてはこれが妥当なのではないか。
プログラミングはものづくりじゃなくて、仕組みづくりだからね。思考力や解決力をアウトプットされた製品(ガワ)でみるべきではないよね。

プログラミング教育講座に関するアンケート結果ピックアップ

図表 4-4 受講者の講座満足度

【受講者】Q2.1 プログラミングは楽しかったですか?

やたらに高い満足度が92%もある。
今後、プログラミングを続けたいですか?の問いには「今後もプログラミングを続けたい。」が7割もいた。

図表 4-6 保護者が希望するプログラミング講座の形式

【保護者】Q3.2 引き続きプログラミングを学ばせるとしたらどのような形式が良いと思いますか?

学校の授業として実施して欲しい。:放課後教室やクラブ活動として実施して欲しい。
6:4と割れている。なんとなく察せられるが興味深い。

子供の変化

(1) 21世紀型能力について
プログラミング教育には、21世紀型能力の向上に寄与すると期待されている。

・・・21世紀型能力?
唐突にでてくる21世紀型能力。21世紀型能力の説明はない。一般常識なのかな?

図表 4-10 プログラムを修正する際の動き

こんなん大人でも何をどういう風に修正するかで対応が違うので、これを見てもなにも言えないなと思った。
周りの人に聞いてばかりでは伸びないなとも思うけれども、手持ちの情報では解決できないのにまったく聞いてこないとただ無駄な時間を過ごすだけなになるので、聞かないといけないこともある。
パラメーター系の言語なら、細かく修正したほうがいいし、ブロック型なら命令の組み合わせを変えることで解決できることもあろう。設計が未熟ならフルスクラッチで作り直すのも有効。

図表 4-13 ロボット教材利用の有無別、受講者の継続希望割合

いやぁ、ロボット押しだなぁ。
ものを売りつけたいっていう商魂が透けて見える。
そりゃフィジカルコンピューティングのほうが子供は楽しいけどね。こういうのも、全員一律な環境にする必要はないよね。
教える側の都合で、学ぶ対象を制限するのはよくない。参加者のアンケート回答による定性的な評価ばかり。これでは教える側が経験が積めない。

プログラミング教育に関する支援体制等の調査

本調査におけるプログラミング教育とは、「子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むこと」

個人的な考えだけれども、子供のうちはコンピューターを使う必要すらないように思う。

2人ペアになって電話越しとかに相手に指示を伝えて動いてもらうというような指示命令および状態報告だけで、たぶん詰まるだろうし、楽しいんじゃないかな。
おもうように動かない相手のみが持つ不完全情報を制御しながら、目的を達するって多分大人でもなかなかできないよね。確かNASAの宇宙飛行士訓練で、片方が地図を持ってみたいなペア研修あるよね。

図表 10-2 プログラミング教育に携わるプレイヤー

この図だと国からの普及促進ってあるけれども、学びたいという子供からの欲求をみたしてあげる環境を整える側面も無視していいものではないよね。
プログラミングとかは教授の関係ではなく、flipped learning(反転学習)とかactive learning(能動学習)の要素が強いので、能動的に学びたい欲求を持つ子を放置しない仕組みを強化したほうがいいように思うな。

図 1-15 メンターの職業(N=73)

ほとんど学生。教授に引っ張られたのかな?

図 1-16 プログラミングスキル(N=94)

高度なスキルを持つひとが16%もいるならいいとおもう。
エンジニア志望で職についてても高度なスキルを持つ人そんな割合でいないと思うし。

おまけ、感想

エビデンスベースドラーニング

別件、しつっこくエビデンスベースドラーニングについて引用しておく。

教員は担当教科に関する知識はあるが,教授スキルは経験から獲得する。
EBEは,教育・訓練への教育予算の裏づけ(インプット指標),そして,費用対効果の視点からの政策評価(アウトプット指標)の2つの面で政策プロセスの文脈にかかわるようになる。

www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/60/1/60_20/_html/-char/ja

教授スキルを経験からじゃなく定量的に分析できるといいよね。教科書とか教師に依存するのよくない。
今回の若年層プログラミング教育についても、明らかにメンター、教師側の能力に大きく影響をうけるのだけれども、メンター側にプログラミングの経験がないのが恐ろしくてしょうがない。
そのうえ、インプット指標とアウトプット指標をもたないままなんとなく現場におっつけてしまうのはよくないよね。

教育者のキー・コンピテンシーが、横に展開されないままなのはよくない。

コンピテンシー(英: competency)とは、企業などで人材の活用に用いられる手法で、高業績者の行動特性などと訳されている。

特にプログラミングについては動画を使った教材、Mooc的な教材が重要になることだと思う。オープン教育リソース が日本でも充実してくるといいですね。

Scratchで楽しく学ぶ アート&サイエンス

スクラッチスクラッチ言ってたら紹介してという声がきこえた気がした


違法マイニングとされたcoinhiveの法と技術のはなし


情けなさ過ぎてちょっまじかよっ!?と思う事件があったので、ちょっと真面目に書いとかないといけない気分になっている。日本は法治国家として中世だの、情治国家と揶揄されるが、ほんと程度がひどくなっている。

自身が管理するWEBサイトに、Coinhiveなるマイニングツールを設置した複数のサイト運営者が、不正指令電磁的記録に関する罪(通称ウイルス作成罪)の容疑で16名ほどが相次いで摘発されているそうだ。もしかしたらまだ増えるかもしれない。

マイニングツールをアフェリエイト広告気分でサイトに埋め込むのには、個人的には反対だけれども、だからといって公権力が設置者の身柄を拘束するなんて何考えているのかわからないぐらいとんでもない話しだ。

警察や検察などの介入で国民の財産権や人権を制限する場合、厳密に法律に規定されていることで運用されるべきで、法に触れる可能性があるかもしれないというようなあやふやな態度でその行使をおこなうなんてことはあってはならない。罪刑法定主義の原則は厳に守られるべきだ。

法律と技術の観点でつらつら書く。

 

法そのものの制度疲労

日本の法体系は大陸法とよばれるやっていいことが書かれている許認可制度、ホワイトリスト方式だ。ひるがえって英米法では、やっちゃだめなことが書かれているブラックリスト方式。

 

どちらも一長一短があるのだが、日本の法体系の問題点をあげるなら、新しいことができないこと。

再生医療のような新しい技術が登場しても、それが法で規定されるまで時間がかかるし、いちど成立してしまった許認可発行権はそののち既得権益になってしまうので侵すことができなくなるのが難点だ。

まだ発明もされていない技術や発明を予見して法律で用意しておくことはできない。だから、どうしても技術がある程度普及し工業規格などができてから、今更なタイミングで法律が成立したりする。

法にかかれていないことはやっちゃダメというスタンスのもとだと、新しいことはたいていはやっちゃだめなことで、もしやったとしてもなにかしらの法律で絡め取って違法状態に据えることができる。例えば最近話題の民泊新法の前は、民泊は旅館業法に触れるとか、建築基準法だとか、消防法だとか、まあ、とにかくなんらかの角度でいろんな監督省庁からケチはつけられるのが今の日本。

民法の改正なんて120年ぶりなのだから、情報技術なんていう新しいポット出のジャンルに対応できるようになっているわけがない。あと240年ぐらいかかっても驚きやしないだろう。

 

世に言う岩盤規制

法に触れないでなにかをしようとした場合は前例踏襲的にならざるを得ない。法が通してくれた道の上を歩く時のみ我々は適法に存在することができる。ホワイトリストにつけられた但し書きは増える一方だ。リファクタリング(構造の再構築)もできなくなってお互いに矛盾したままデッドロックしたり循環参照しているような法律がいくつもあり、片方の法の規定どおりに運用すると別の法律に違反することになるような既存不適格に挟まれながら、生活や業務がまわされている。

論理的にはやっていいことの悉皆列挙なんてできやしない。だから、監督官庁の通達や裁判所の判例などが実質法として隙間を埋める。

ここで勘違いが生まれたのか「社会的コンセンサスがとれている状況ではないから」というような曖昧な不文律で家宅捜索や逮捕がおこなわれるようになってきた。こんなことは罪刑法定主義の原理原則に反する。逮捕が先にきて法律がついてくるのではなく、法律での規定が先だ。

順番を間違えちゃならねぇよ。

近代法治国家と言うのがもう恥ずかしいレベルのことが平気でおこなわれるのに恐怖を覚える。

 

逮捕と代用監獄

捜査官や担当検察官や判事も人間なので間違ってしまうことぐらいはあるだろう。だけれども刑事補償法が抑留・拘禁1日当たり1,000円以上12,500円以下っていうのは、大人に対する保証の額じゃないよね・・・。

桁が2つぐらい違うんじゃないかな。個人事業主がイレギュラーに一日とか拘束されたら一日10万の営業保証でも難しいでしょう。代用監獄なんてもっての他。ほんとなんとかしたほうがいいと思うよ。

 

不正指令電磁的記録に関する罪

今回の不法マイニングなるものがなんの法に触れるかというと、ウイルス作成罪になるのだそうな。閲覧者の意図しないプログラムの実行があったという理路だと考えられる。

1.人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
2.前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録

ウェブサイトを表示させたいというユーザーの意図があり、それに対しマイニングの処理でユーザーのCPUを使うのは使用者の意図に反する動作ということなのだろう。だが、その建て付けでいくと、サイトを提供するにあたり経済的な合理からマイニングが必要なことであると於けば、サイト表示の処理の一環であることを否定するのは難しいんじゃなかろうか?

例えば同じようなものにWEB広告やそれらの広告を表示するためにcookieなどのセッション情報の取得や送信がおこなわれていたり、結果として動画や音声などが再生されたりする。youtubeの動画を見てて割り込まれる広告動画はユーザーの意図に反するもののはずだ。しかし、WEB広告は社会的にコンセンサスを得ているからオッケーで、マイニングはだめというのはただのダブルスタンダードでしかない。

 

Librahack事件再び

かつてLibrahack事件(岡崎市立中央図書館事件)では、しょぼすぎる公共図書館のシステムを便利に利用しようと比較的礼儀正しい自作クローラーを作成したところ、相手の市立図書館がシステムが想像を絶するしょぼさでぶっ壊れてしまったため逮捕にいたるというとても痛ましい事件が2010年ごろあった。

今回の事件はそれに相当するレベルのお粗末なお話しのようにみえる。プログラムの処理速度は常識的なものから過負荷をあたえるものにまで調整することができる。クラッシュなどを目的とした悪意があるものと、悪意はないけれども過失として過負荷をあたえてしまうものがあるが、負荷の度合いについてはそんなものは作成者や設定者のさじ加減次第でしかない。

略式起訴された人の報告ブログによれば、取り調べの過程で「反省しています」などと言わさせられたと書いているが、これは犯意を立証するのに必要な要件なのだろう。

 

マイニングは動画広告などと比較してCPUの使用量はどうなのか?そういう定量的な比較調査を抜きに今回のケースを判断するのはナンセンスだ。

サイト上に法定処理速度なるものがあって制限速度をオーバーしたのでスピード違反として取締りをしている感じ。でもそんな法律はないよね。だから、法律にのっとって取り締まってね。

法律にもないことで身体の自由を奪ったりしちゃだめだよ・・・。何やってるの!???

 

 

技術的な負荷の問題

パフォーマンス測定はおそらくそう遠くないうちにセキュリティ界隈なギークな子達がやってくれるだろうからおまかせするとして、もしかしたらと思ったのが、捜査などに入った技官のJavaScriptなどへの理解がECMAScript6以前で止まっているのかもしれないななどと思った。

2015年のECMAScript6、特に2017以降は非同期関数 (async/await)が実装されたわけだけれども、これのおかげでsleepとかDoEvents書き忘れた無限ループなプログラムのように、処理に制御をもっていかれっぱなしになることがなくなった。JavaScriptレベルが並列の非同期処理を書けるようになったことで、よっぽど下手な書き方をしないかぎり、負荷の度合いを下げ、かなり上品にかけるようになっているはずである。

非同期処理ができることを知らなくて、サイトの閲覧にマイニング用のJsなんか埋め込まれたらハングってしまうじゃないか!という技術判断がIE6ぐらいを使っている人が判断しているのだとしたらそれもまたいたし方ないことなのかもしれない。

ウイルスバスターを提供しているトレンドマイクロのセキュリティブログによれば、coinhiveをベースとしたお行儀の悪い亜種スクリプトも出回ってはいるようだ。だが、それでもその脅威カテゴリはグレイウェアでしかない。いったい、どんな捜査をしたんだろうか。うん。やっぱり本当によくわからない。

競合サイト潰すためとかに被害通報して、それに警察が釣られたのかな?

最近はマルチコアじゃないPCとかノートとかあまりないと思うので、サイトのJsで応答がなくなるほど制御がもっていかれるなんてことはまずないと思うけれども、先のしょぼすぎる問題のように担当者が10数年落ちのマシンとかを使わされていた場合、まあなんていうか重たくなったとか感じるかもしれないよね。

 

まあなんていうかだめだよね。まったくだめ。

まだ、資金決済法とか仮想通貨法に触れたとかのほうが、そうかもしれないなとか思うかもしれない。

 

 

追記

その後の報道のされ方などをみると、パソコンが遠隔操作され不正にマイニングされたとする報道があった。

オンラインゲームを有利に進められるよう改ざんしたプログラムの中に、仮想通貨を得られるソフトを組み込み

なるほど、説明に騙りがあった場合はマルウエアかもしれない。これが摘発されるのはわかる。

他方webサイトというのはユーザーがサーバー側にリクエストを投げて取得して、それをユーザー側のブラウザに持ってきて実行するものだ。そもそもが、クライアントサイドスクリプトと呼ばれるものなので、クライアント側で動くもので技術的に遠隔操作と呼ばれるたぐいのものではない。

ウイルスを潜伏して悪さをするという定義におけば、オプトインをとらないマイニングスクリプトは確かに視認できる状態になく暗黙的で許可を得ていない状態といえるのかもしれない。が、技術的にこれが潜伏して状態かというと、これはしていないと言える。

技術的にはそれを実行してくださいというリクエストを投げているのはユーザー側でそれを実行するのもユーザーなのである。無理強いされ送りつけられたわけでも、遠隔操作され実行されたわけでもない。

その応答をブラウザ任せにしているオートマだから気が付けないだけで、手動でやればマニュアルで蹴ったり、ルーターで予めそこへのアクセスを拒否しておくこともできる。実行前の段階で自分がリクエストをだすかはわかる状態にあり、実行にも自分の意思の介在余地があるわけだ。同意できなければそっとページを閉じればそれで関係も終わりになる。

広告ネットワーク経由でこれらを改ざんしたお行儀の悪いスクリプトを埋め込まれたり、サイト改ざんや、コメント欄でjsを実行できる状態だったりするだけでマネタイズができてしまうので、将来悪用されたり、この技術を利用し悪意を持った振る舞いをする人たちは多くでるだろう。マナーの問題もある。だが、それと自身の管理するサイトに設置するのとではまるで問題が別で、はたまたそれが逮捕要件になってしまうのは本当情けない限りである。

 

CPU使用状況をみてみる

人任せにしないでちょっと低スペなwindows10マシン(数年前のNEC製量販品ノートLaVie)でCPU使用率をみてみることにした。

@satoruさんのサイトでCPU50%でcoinhiveをぶんまわした図。javascriptでもCPUのアクセス率をスタックするまで食うことなく、設置者の任意の指定でそれを設置できることがわかる。問題はこの使用率がサイトを閲覧中はずっと続くことだが、お行儀よく実装するならオプトイン用の確認画面や、設置していることを明示するバナー。滞在時間でタイムアウトとかを設けたほうがいいかもしれない。

 

こちらはcoinhiveの件を報道する毎日新聞社のニュースページのCPU可動遷移率。(参考の欄にURL)

 

こちらは同じく朝日新聞(ログインしない状態で)の閲覧状況。(参考の欄にURL)

 

こちらはNHK。広告がないのでCPUはあまり使用していないことがわかる。(参考の欄にURL)

 

広告ベースで成り立っているサイトのCPUは新聞社のニュースサイトでさえこの程度のパワーを食っている。(アクセスごとにプレーンな環境で観測したわけではないので、スレッド数とかは積算。)通信帯域を考えれば動画や画像のほうが、故障率がどうこうと言うならばファイルI/O分ある分あがるだろう。一般的な動画広告が流れるようなページはもっとひどいが、まあ、サイト設置型マイニングスクリプトがお行儀がいいかといえば、滞在時間でCPUくいっぱなしになるのでお行儀がいいとは言えないが、なにがしかの不法要件を構成するとは私は考えられないことであるとおもう。

追ってみたところ世の中には明らかに違法だと認識する人も散見されたので、ぜひ踏み込んで所感をうかがってみたいところである。

 

 

参考

仮想通貨マイニング(Coinhive)で家宅捜索を受けた話
doocts.com/3403

 

Coinhive設置で家宅捜索受けたデザイナー、経緯をブログ公開 「他の人に同じ経験して欲しくない」
www.itmedia.co.jp/news/articles/1806/12/news078.html

 

コインハイブ採掘「そんなに悪い?」 サイト運営者憤る:朝日新聞デジタル
www.asahi.com/articles/ASL6H10SFL6GULZU012.html

 

仮想通貨獲得するための「マイニング」全国で摘発 議論呼ぶ
www3.nhk.or.jp/news/html/20180614/k10011478131000.html

 

違法マイニングで16人摘発 10県警、仮想通貨獲得で不正アクセス – 産経ニュース
www.sankei.com/affairs/news/180614/afr1806140035-n1.html

 

「何が違法なのか」=摘発デザイナーが反論会見―不正マイニング
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180614-00000124-jij-soci

 

仮想通貨を採掘するツール(マイニングツール)に関する注意喚起
www.npa.go.jp/cyber/policy/180614.html

 

岡崎市立中央図書館事件

ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A1%E5%B4%8E%E5%B8%82%E7%AB%8B%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 

不正広告により、仮想通貨発掘ツールが拡散される
blog.trendmicro.co.jp/archives/16904

 

仮想通貨をマイニングする機能なし、ただCPU使用量がもりもり上がるだけのJavaScript公開中
internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1127708.html

 

追記参考

仮想通貨マイニングツール事案をまとめてみたhttp://d.hatena.ne.jp/Kango/20180615/1529094423

懸念されていた濫用がついに始まった刑法19章の2「不正指令電磁的記録に関する罪」
序章 高木浩光@自宅の日記
takagi-hiromitsu.jp/diary/20180610.html

仮想通貨 マイニング初立件 「不正採掘」真っ向対立 警察「PC無断使用」/弁護側「合法」
mainichi.jp/articles/20180615/dde/001/040/057000c

 

他人のPCを遠隔操作し仮想通貨
www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20180614/0001607.html

 

Coinhiveで支援しよう
coinhive.jp/

 

それな。この話、法律家と技術者の考え方の違いが明確で面白いと思う。

anond.hatelabo.jp/20180615192108


2017Resasハッカソン@電通大


一年に一回ぐらいはハッカソンに参加しようとおもってはいます。できるかは別。
Resasっていう政府統計のビジュアライゼーションをするサイトがあるのだけど、これに絡んだハッカソンに参加してきました。調布の電気通信大学での開催です。

 

【内閣府主催】RESASハッカソン2017 in 東京 ~IoTで創る東京のミライ~
RESASやIoT等による地域ビッグデータを利用して東京の「ミライ」のためのサービスを作ろう!
connpass.com/event/67436/
resas.go.jp/

 

去年もこれに参加していて、地域の価値を大都市との物理距離と経済距離をぶつけて散布を書くみたいなめっちゃ統計に偏ったハックだったのだけれども、「去年は何したの」と聞かれて調べるまで、欠片も覚えてなかった。日記がわりのブログメモ大事。
kuippa.com/blog/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E5%89%B5%E7%94%9F%E3%81%A8resas-%E3%83%8F%E3%83%83%E3%82%AB%E3%82%BD%E3%83%B3/

 

なので、今年もなにをやったかは書いておこう。

今年は概念をハックとかふわっとしている感じで、言語化むずす、頭の中の整理必要かも。

 

経緯

チームビルド集まった面子四人で楽しくやろうやとなり、選択肢が複数でたときは、どうなるか想像できない難しいのをやろうというむちゃ指針が決まる。

 

自由になりたいそうな。

じゃぁ何に縛られてるのかとかいう話しになり、リストに「重力」などと書くものあり。重力からも自由になるという発想を得たことで、当たり前になりすぎたものはそれに束縛されているとも認識できないほど、縛られるものなのだね。では、常識やステレオタイプをぶっ壊すには何が必要だろうか?何を壊せばよいのだろうか?

 

単位をぶっ壊そう。

あたらしいモノサシを得ようという話しになった。度量衡を制覇しよう。

 

昼飯を食いにエレベーターで移動するときに、エレベータの移動に必要なのは滑車を回すハムスター何匹分なんだろうねなどという談笑。すべての単位をハムスターで換算するかなど。どんな単位をぶっ壊せばいいかについて議論。システム開発のとき人の仕事を人月で表し、価格で評価するけれども、あいつの人月とこいつの人月はアウトプットがちがうのに同一尺度で評価している。だったらいっそハムスター何匹分とかで表しても一緒なでのはないか。

 

 

まだ定量化されていないクリエイティブの単位をつくろう。

クリエイティブの最小単位は何で計れるかについて考える。幼稚園児の紙粘土など。表現が固定されたもの。誰かしらの表現をみたものが、それらを見た人に与える影響などで計れるのではないか。心拍数や表情の変化、動歩行の変化など。

 

あーじゃないこーじゃないというブレストを経て、実現可能なレベルにおとしこみ。

タイトルは「重力からのクリ」もう、タイトルからしてようわからん。

クリが10クリあつまれば、徳利で日本酒に変換できるなど。まあ、おふざけがほどよいハック。

 

つくったもの

クリエイティブだなと評価したときに「クリ」というポイントを譲渡できる仕組み。

「クリ」が誰から誰にわたってきたかという記録がのこっているブロックチェーン(ボトルメール)のイメージ。

 

「クリ」を得る仕組みは2系統あり、環境からえるものと誰かから譲渡されるもの。

環境から得る仕組みは、ギャラリーやライブ会場にカメラを設置して、入場者が入ったときと出てったときで閲覧者の感情が変化していれば、表現者にクリを発行。これは、web camで表情認識(C#、Azure、コグニティブ、人感センサー、カメラ)で拾うことで実装された。(サーバー連携まではいけなかった)

 

譲渡系は、自分のスマホにはいっている特定の「クリ」のQRコードを相手のスマホが覗くとその「クリ」が移動する仕組み。(iPhoneネイティブアプリ[言語なんだったんだろ?]、サーバー側:Cloud9、ruby sinatra)

 

クリにはひとつひとつにユニークなIDが振られていて、ユーザにもIDが振られいてるので、それらの「クリ」が誰から誰に付与されて、どういう変遷を辿ったのか、どのユーザー間でやり取りが盛んなのか、どこで相互評価しあうクラスタができているのかなどをForce-directed graph(d3js)のちょい弄ったもので描画。また、クリの譲渡時にスマホから緯度経度をもっているので、移動状況を地図(google map)に表示。最後の表示系の担当。

 

URL等でみせられるものはありません・・・。今回はスクショものこしてないやw

コードも汚いやっつけで書いたので多分もう開いても追う気はおきないな。

 

どんな風につかわれることを想定したのか

Resasのような統計情報を利用したハックというよりは、これから定量化する情報を集めるための仕組み。
例えば、街の通りなどにカメラを設置して、この通りはクリの集まりが低いね。高いねなどと、記録されていくことで、その他の統計値となんらかの相関が見えるようになるかもしれない。起業率や、過疎率などに生きてくるのではないか。

 

また、だれがだれを評価したのかのような流れも追えるので、ハブとなるクリエイターがどこにいて、地域をどのように流入しているのか、もしくは転出しているのかもわかり、ここに効いてくる超精密ターゲッティング施策もできる。

単に芸術的なクリエイティビティを推し量るだけじゃなくて、旅館のホスピタリティを評価することでその循環を追ったりできるようにんり、定量化が困難だったものが見えるようになるんじゃないかな。とか、まあ、審査員からは概念だねと言われた感じ。

 

そのほか

この、クリ値については、いろいろ思うところもあるし、審査員さんにはICOとかのことも教えてもらったし、これまでに考えてきた部分もあるので、ちゃんと考えてみたいね。

 

このハッカソンの裏でエイベックスのハッカソンをやっていたらしく、なんか世間のハッカソン好きはそっちに流れて盛り上がってたみたいで羨ましい感じです。どこかのハッカソンイベントから2日目流れてきたひとが、こっちは地味だねとつぶやいていました。

avex-xRハッカソン(VR/AR/MR)
entertech.connpass.com/event/69545/

 

電通大な感じの質実な感じのハッカソン。

いくまえは内閣府と内閣官房の区別がついていなかったのだけれども、少しだけ賢くなりました。

でもいまだにどっちがどっちだかはわからない。