月: 2016年1月

  • (書評)ルワンダ中央銀行総裁日記

    2015年に読んだ本が大掃除でごそっとでてきたので書評しつつマケプレで売って処分していこうと思う。
    2015年はあまり既刊書籍を読まなかったが、web小説みたいのは小説家になろうで600タイトルぐらい糞流し読みした。面白いのもあれば面白くないのもあるのだが面白くなくても単行本で数冊分書き上げている人とかがいて、作者のモチベーションはなんなんだろうかなんてことを考えながら読むとそれはそれでとても面白く読める。

     

    「ルワンダ中央銀行総裁日記」は、「まるで異世界に飛ばされたライトノベルだこれ」と昨年ツイッターで話題になったので、読んでみた。その実はかなり「日本銀行」とは系の出版物に近い。が、硬派である。というより義がある。こういう気概がある人が現代にも居れば、世界はよりいいものになっているのになと思う。現代の日銀マンとかにぜひ読んでもらいたい。というか読むべきだ。
    アフリカのルワンダといっても「ルワンダ大虐殺」程度の知識しかない。遠い世界のものと思っていた。まさか、ルワンダの中央銀行二代目総裁が日本人だったなんて。
    もう10年ぐらい前になるかな、ルワンダから紅茶を買おうかどうか悩んだ時期があった。(紅茶屋さんなんだよ!)細かくは買ったのだけど正直個人商店が売るには辛いものであったので、仕入れるまではいかなかった。近年はルワンダからのコーヒーや紅茶をよく見かけるようになった。ルワンダで農業政策がまわるように中央銀行があれこれしていてそこに日本からの先輩が活躍されていたなんて思いもよらなんだ。
    著者の服部正也氏は1918年(大正7年)生まれ1999年に亡くなられている。

    ルワンダまわりの年表とともに抜粋してみよう。

    1962 ベルギー ルワンダ独立を承認
    1965 服部正也 日銀からIMFへ、IMFからルワンダ中央銀行総裁として派遣
    1971 服部正也 帰国 日本銀行 外国局外事審議役
    1973 ルワンダ クーデターでハビャリマナ少将が大統領就任
    1980 服部 世界銀行副総裁
    1990 ルワンダ愛国戦線による北部侵攻
    1994/4 ハビャリマナ大統領暗殺
    1994/4-6 ルワンダ大虐殺
    1994/7 愛国戦線が全土制圧 新政権樹立

     

    わずか1年で”逃げ出した”ベルギーから派遣された前任の総裁にかわり就任することになるのだが、毎朝市場にいってお砂糖などの価格をチェックしてなど、「そこからか!」という中世感は否めない。

     

    食いものにしようと群がる利権商売人、銀行、抵抗勢力への啖呵がかっこいい

    P101
    まず前任者がどのようなことをやったかは、私には興味のないことだ。
    またいきさつなども私にはまったく興味がない。
    私は歴史家ではなく実務家なのだ。
    私はルワンダの破綻に瀕した財政金融を建直すためにルワンダにきたのだ。
    そのためには現状を打破することが必要で、現状是認は私の任務に反するのだ。

     

    新任のザナナ蔵相の人物評がクソミソ

    P281
    彼はベルギーの一流大学を出た法学士であるが、彼が大学で習ったことは自己弁明の詭弁だけではないかと思われた。
    彼の考えでは大臣はなんでも決定できるということらしかった。
    彼は(略)予算準則を無視した。(略)条文を無理に「解釈」を曲げて、(略)予算繰越を認めた。(略)調査もせずに入札の無効を宣言した。
    彼は毅然と胸を張って「あなたがたは一体私を誰だと思っているのですか。私は大蔵大臣ですよ。私は予算を作り、これを執行し、税金をとる。国庫の資金繰りや、国際収支のことは中央銀行のしごとだから総裁に聞きなさい」
    彼は猜疑心が強く、敵か味方かの眼でしか人を見られなかった

     

    亡国の政治家。
    立法立案するものが解釈で無双しだすとほんとうにロクなことにならないだなと他国の経緯から学ぶ。日本もあまり他人事ではないが。
    ルワンダ大虐殺という悲劇について、存命中に加筆されたようだ。西側の報道でしかしらないので、聞いたこともない説明ばかりで驚きがあるが、ああ、今シリアでやってることだなという既視感もある。歴史は繰り返すのだなと。

    P304
    ウガンダ支援の偏向報道をした米メディア
    「ワシントン・ポスト」「ニューヨーク・タイムズ」
    「愛国戦線」があたかも正義の軍であり、フツ族が無条件に悪いといった報道姿勢をとっている。
    (略)
    「愛国戦線」軍はウガンダで組織され、兵士の訓練も武器の調達もウガンダ国内で行われた
    多くのウガンダ陸軍の将校が参加している
    かつてハビャリマナ大統領に対するクーデーターに失敗したフツ族の、元ルワンダ軍のアレクシス・カニャレングウェ大佐が亡命しているのにウガンダ軍の将校が軍の指揮をとるのは、その主力がじつはウガンダ軍であるからではなかろうかとの疑問(略)アフリカ諸国ではこれをウガンダによる隣国への武力進攻(略)

    ルワンダ、ブルンディ両国の大統領が搭乗した飛行機が着陸直前に撃墜
    ツチ族の支配する「愛国戦線」のしわざとみて
    フツ族によるツチ族の大虐殺
    撃墜後ただちに「愛国戦線」軍がルワンダ軍に攻撃を開始

     

    歴史経緯についても説明してくれている。

    P309
    ルワンダ、ブルンディ両国
    ツチ族の王が支配する国
    少数派ツチ族はいわば貴族の地位
    多数派フツ族は隷属的地位
    ツチ族の土地を借りてその牛を飼う権利の代償契約
    植民地時代、王政を通じての間接統治によりツチ族支配を強化
    入植が禁じられていた西北部へツチ族の進出し多大の摩擦

     

    P322
    世界はいまだ力が支配していることを痛感すべきで
    一人で祈っても平和は来ない現実を直視すべきである。
    国連憲章にもかかわらず、大国は気が向けば適当な大義名分を掲げて、武力で他国を攻撃することや、自分が気に入った他国の党派に直接に、または第三国をつうじて、武器を供給することが公然と行われているのが現実なのである。

    平和、平和と叫ぶよりは、戦争は必ず起こるものとして、その被害を極限するための自衛策をとり、(略)犠牲を限定するため、武器輸出禁止を大国間で合意すべきであろう。
    国際収支のため武器輸出をすることや、累積債務の支払いのため武器輸出で外貨を稼がざるを得ない状況に追い込むことは、資本主義経済の道義的破産といわざるを得ない。

     

    人類の歴史から戦争がなくなった年は一年も存在しない。2016年にもなって北朝鮮が水爆実験をしたそうな。まあ、かの国は中央銀行がどうこう以前のレベルの話しなのではあるが、結局それらの国へも武器を輸出している国があって、外貨を稼がねば国は立ちゆかず、国家がもはやビジネスとして威力を喧伝しなければならない事態になっている。中央銀行の人間が道義的破産状態にあるといわなければいけない事態はなげかわしいことこのうえない。平和平和と太鼓を打ち鳴らすのもただおめでたいお話しではあるのだが、財政を行き詰まらせひもじくくいっぱぐれさせては経世済民などはありえない。まあなんというか日本も武器輸出をしようとしているし、そもそも人口が二倍近くに増えてから数十年すると大きな戦争がはじまるのが歴史的経緯というか、サルだって密度がふえれば縄張り争いおっぱじるってなものだ。人口動態がそのような構成になっている国が近くにあるので心配事は耐えないのだが、そもそも自国においても権力をかさに詭弁をふるい解釈を好きにする人たちもいるし、なんというか、まあ、そういう人たちもいてもいいんだけど、一筋だけでも筋を違えずにいてくれる人も少しはのこっていてくれれば、まあそれほど陰惨な事態にはならんだろうと2016年に期待して本年も宜しくお願いいたします。

     

  • わいが2015年に高く評価したyoutubeの音楽動画

    去年リリースとかじゃなくて、あくまで見たのが去年というだけ。
    MVPはTaylor Swift、日本だとサカナクションかなー。

    youtubeのミックスを聞いていると誰から聴き始めても必ずたどり着いてしまう、カナブーンやゲスの極み乙女はなかなか強敵だった。ニュースターかな。
    BABYMETALは国内でも完全にキャズムを超えましたね。CMも見るようになったし。では、いってみましょう。ロック多めです。

     

     

     

    東京カランコロン / いっせーの、せ!【MUSIC VIDEO】

    チャットモンチーやクラムボンっぽいラインだけれども。男女で歌うスタイルでカッコいいのはハンバート ハンバートかバービーボーイズ以来かってぐらい。
    The Heavy – What Makes A Good Man? (Official Video)

    ペプシ鬼退治のCMに「Same Ol’」がつかわれてたので、昔の曲にたどり着いてこれがなかなかよかったっす。

     
    Al Jolson – “You Ain’t Heard Nothing Yet” (1919)

    歴史上最初の有音映画でつかわれた曲だっけかな? ”The Jazz Singer” (1927)、曲がいいというよりは教養としてどうぞ。

     

    【片平里菜】 Special Live ①

    goosehouseでお馴染み(逆か?)のキャタピー。弾き語りでわかる圧倒的実力。「女の子は泣かない」って曲はとても素直でいいです。生歌Liveのパフォーマンスがいっぱいあるのだがビュー数が1万もいってなくて、もっと見られるべきだと思うだよ?
    The Pretty Reckless – Fucked Up World (Director’s Cut)

    日本でいうとTHE BAWDIESのインディーロック路線。ちょっとMVがエロいのでおこちゃまNGで。

     

    James Blood Ulmer & Ornette Coleman Theme From Captain Black

    モダンJAZZ的な。詳細よくわかってないけど、いいなと思って。

     
    Sia – Alive

    2014年Chandelierという曲のバレイ少女で世界中の度肝を抜いたsiaだけれども、なんと新しいMVには日本の空手少女を起用してきた。この見覚えのある空手の型はと思って調べたらやはり高野万優ちゃんらしい。やっぱりこの年令で燕飛を演舞できる子なんかそういないよね。
    Fall Out Boy – The Young Blood Chronicles (Uncut Longform Video)

    MVで50分でってのが新しい見せ方だなと思った。もう映画かって具合いですよね。コストも。Fall Out BoyのMVはどれも完成度たかい。LMFAOのParty Rock Anthemをアルバムにしちゃったみたいな。
    Charisma.com / HATE

    日本っぽくないピコポコダンスサウンド。いい音づくり。女性二人の掛け合いはDOUBLEを彷彿とさせる。平たく歌っているので、唱いあげないかんじだけれどね。
    BOMI 「Y.O.U」MV

    クラムボン的な。bomiさんはiYo-Yoのデビュー曲ですごい衝撃をうけたんだけど、ひさかたぶりのリリースだったのかな?去年はなんかショーンさんの番組でトレンドキュレーターやってて驚きました。「月曜のメランコリー」は超難易度の高い曲になっていて、個人的にはこの曲スゲェ…っておもうんだけど、ポップなほうがいいとおもったのでY.O.Uをピックアップ。
    toconoma”relive” MV

    JAZZ、曲の盛り上げへの持って行き方がとても好き。気分があがる。モチーフの使い方がすげぇ。ノリノリになれる。1曲30分ぐらいでやってほしい。toconomaは「おーー、見つけたー」って感じ。うれしい。
    fox capture plan × dynabook 「Supersonic」Music Video
    https://youtu.be/evL8j2PhrUA
    トリオJAZZ。バンド力高いなと。ベースがバキ音が気になってしまうのはyoutubeで低音がカットされてるからだろうか?「疾走する閃光」ドラムのパスパス音が気になるにようになってるのでわざとなのかな??普段パスフィルターされた音ばかり聞いてるからかな・・・
    Something Special performed by H ZETTRIO 【Official MV】

    トリオJAZZ。軽妙軽快な速弾きピアノ。追い越せ上原ひろみ。
    米津玄師 MV「アンビリーバーズ」

    ポップでキャッチー。こういうキーボードのバッキングを聴くとTMネットワークを思い出してしまう世代です。
    フレデリック「トウメイニンゲン」Music Video | frederic”Tomei-ningen”

    こちらも、とっとてもキャッチー!MVの子も可愛いしカナブーンの後釜・・・を。
    The cold tommy / 「パスコード」 MV

    オーソドックスロック。乾いたハイキーなボーカルがミスチルっぽさがあるけど、曲がいいなと思うっす。ちゃんと乗れるいいリズム。いいバンド。
    【MV】ヒステリックパニック – 憂&哀

    完全にマキシマム・ザ・ホルモンのフォロアーという感じではあるのだけれども、うまいし、ここまでくるとスガスガしいリスペクトがあるのでいいんじゃないかなと思うんだ。
    Calvin Harris & Disciples – How Deep Is Your Love

    ダンス・ミュージック系なんだけど、周波数とか音像とかがすごい計算されているんだろうなとパシュパシュ抜けてるスネア音を聞いているとおもうのです。ここにのっけるべきではない大御所ですが。

     

    OneRepublic – Counting Stars

    実に2015年っぽい曲。
    Anly Debut Live『太陽に笑え』@Shibuya eggman

    若くて美人なのにめっちゃブルージー、でもポップさもあるのでこういうタイプのシンガーソングライターがいっぱい増えるといいなと。片平里菜さんライン。女性のこのラインは豊作ですね。
    <ノラガミARAGOTO>OPテーマ THE ORAL CIGARETTES「狂乱 Hey Kids!!」MusicVideo

    歌い方は今時だなーと思うのだけど、オーバードライブでキャリキャリのギターのカッティングとかこの疾走感はそうそうでないなと。
    夜の本気ダンス MV “By My Side”

    昔のライブとかがあがっているのだけど、グルーヴいいなー。バンドとしていいなー。「夜の本気ダンス – 戦争 (Live at Mersey Beat)」のlive映像とか、みるといいバンドだなーっておもいます。

     

    感想

    こうやってリストにしてみると2015年はロックバンドとJAZZと女性シンガーソングライターが豊作でしたね。
    ミュージック・ビデオの質や意味合いも一昔まえとだいぶ意味がかわりました。

    2015年、ニコニコ動画は回線があれすぎて音楽を聞くプラットフォームとしては機能しなくなりました。
    soundcloudもなかなか音楽にたどり着くのが難しくなってしまった。

    なので今年はyoutubeのミックスをメインに作業音楽にしてたのだけど、youtubeのCMが下品すぎて泣きそうです。酒とかパチンコとか競馬とかのCMをこの並びにつっこもうと思ったやつ出てこいって!
    musicハッカソンでspotifyの試験アカウントを貰ったので試してみたのですが、この手のサブスクリプションサービスは2016年はどうでしょうね?googlemusicだけじゃなくて、映画見放題みたいなamazon primeも本格化しそうだし。いい曲やパフォーマンスに出会えればいいなと願っています。
    ジャンル好き嫌いないので、おすすめあったら教えて下さい!

    全部リスト

    https://www.youtube.com/channel/UC-DDSDEajpDlHfFKBHx2p4g/feed

     

     

     

    今年早速いいなと思ったもの

    NakamuraEmi – YAMABIKO

     

    やっぱりこの世代の女性シンガー豊作だね!