ハードウェアハッカーよむよむ


自分のTwitterのタイムライン界隈でやたらと前評判の高かったハードウェアハッカーが届いたので読んだ。積読を押しのけての即よみ、まあ、少し厚みはあるが技術書ではないので2日程度で読める程度のボリューム感。

ハードウェアハッカー ~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険 著:アンドリュー”バニー”ファン

感想としては、監訳の山形浩生さんがあとがきで冒頭に書いていた「これ、いったい何の本なの?」という、素朴にして簡潔な疑問に両手を上げて賛同だ。いくつかの全く知らない世界と郷愁を覚える懐かしいエピソードがあるが、平たくいえばハッカーの書いたブログがオムニバスになった感じだ。コンセプト料理のフルコースではないけれども、濃ゆくて珍妙な面白食材をどさどさと積み上げられた形。これを消化、咀嚼できるのは読み手の力量、胃腸の消化力にちょっと頼り過ぎているきもする。

Chumbyとかすごく懐かしいけど、そういう人は少ない気がするし。あぁ、Haching the Xboxの人だったのかっ、と巻末にくるまで気が付かなったが納得もした。

この本の紹介で「バイオハッキングまで!」みたいなものもあるのだけれども、バイオの部分は正直蛇足感が強い。バイオを齧った身としてはこの章まるっといらなくね?と思ったりもした。この章にはなにか奇妙さを覚えた。パールフレンドの彼女のためにねじこんだのかな?あまり「最新」とか「現代」のテクノロジーでという感はない。というか、ハックしてなくない? ちょっと古めかしさすら感じた。最近のバイオDIY的なことを期待してたんだがそういうことではないようだ。もしかしたらハードテックの方に先鋭な人たちは逆の感想を持つのかもしれない。

P379 神話:「リファレンスゲノム」は存在するか?
現在のリファレンスゲノムは、たった数名の、ほとんどがヨーロッパ人を祖先に持つ個人のゲノムをもとにして作られている。// 今のところ、遺伝子判定というのは、妥当性に問題のあるソースレポジトリを基準にした差分なのだということは、ぜひ覚えておくべきだ。

自分が学生の時分は、遺伝子編集をおこなうようなバイオセーフティーレベルが定められた研究室に所属するときには実験の過程などで自分自身がなにか酷いコンタミしていないことを確認するために、ビフォーアフターの遺伝子採取が法律で定められていた。このとき提出した自身のサンプル遺伝子は研究のために研究にもちいていいかみたいな確認項目がある。あったきがする。ま、数十年前の知識なのでうろおぼえだし、今はもう変わっているかもしれない。つうわけで、リファレンスがあるとするなば、ヨーロッパ人をルーツにもつ数名のというのは、どうなのだろう?かなり限定的なリファレンスだとおもう。

リファレンスゲノムの章立てをみたときはトバ・カタストロフで人類がボトルネック化してどうこうみたいな議論なのかなとか、ネアンデルタールと現生人類の交雑の痕跡がとか、アフリカ由来ではないホモ・フローレシエンシスとかのコードを一部アジア人は採用しているんじゃないかとか、そういうことが書かれているのかなとかを邪推した。そういうことじゃなくて、すごく平たい表層のことだった。もにょもにょ。なんていうか、perlでデフしたとかを出張らす分野なんかじゃない気がする。ヒトゲノム計画なみにフルスキャンするのはむりなので、特徴的に異なる部分だけを差分Diffをとるのはむしろまっとうなコスト意識だ。犯罪者や裁判情報となるのも人物の一致だけをみるならば、全配列をマッチさせる必要なぞない。・・・。ちょっと、この本の本質ではないところでぐだぐだ書いてしまった。

本筋にもどる。というより、気になった部分。

P233 「だれにとっても、所有するハードウェアのなかで最もクールなのは自分の体なんだ。」

せやな、と、首がもげるぐらい同意。

P150 「ダイヤラーで#0#0を入力し、あらかじめ組み込まれている自己診断プログラムを走らせた」

こういうハード系メンテナンス隠しコマンド知ってるとかっこいいよね。自己診断系は公開しておいてくれると嬉しいんだけどなぁ。おもわずiPhoneで試してみたけれども違った。

P68 「昔の大工の格言みたいなもんだ。長さは2度測れ、切るのは一度だけ。そしてどうしてもまちがって切るときには、長めにまちがえろ。」

日曜大工をするので、これまた首がもげるぐらい同意。長めに切って、現物にあわせながら少しづつ詰めたほうがきれいに収まる。ほんと切り過ぎちゃったものはどうしょうもない。人生といっしょ。

P56 「Foxconnの向上では1日に豚を3,000頭も喰うとか。深圳では豚がiPhoneに変わるんだ!」

なんていうかびっくりしすぎて、プギーってなった。一日で3千頭!!?まじで??
Foxconnでは25万人以上の従業員が働いているらしい。三鷹市と武蔵野市をあわせたぐらいの人数。東京23区のひとつの区。鳥取の半分ぐらいの人数がひとつの工場に勤めているとかにわかに信じられない。
日本の企業に例えると連結だと日立製作所が従業員30万人、東芝15万、富士通が15万、NECが10万。むぅ。

豚の成体はだいたい100キロらしい。
鳴き声以外喰えるっちゅう一匹の豚をまるっと、食ったとして、
一人一食100gの豚バラを25万人に食われたら・・・
あれ、25000Kg
250頭分・・・だな。
あれ?
200gのポークステーキでも、500頭。
一日で3000頭って言いすぎじゃね???
実際は、100キロの豚から骨とか血液とか内蔵除くと、いいところの肉は25キロぐらいしかとれないとしたら、1000頭分ぐらいだけど、一日で消費される分を一日稼働で処理するわけではないと思うので、屠畜する量で言えば、3000頭ぐらいを一日で潰すのかも。

いままで、こういう消費される命の量を考えたことがなかったので、この本の中で一番衝撃的だったのはこれでした。そういえば20年ぐらい前、上海に行ったとき、街中は近代的な日本の超高層ビル郡なのに裏道にはいると、鶏とかを生きたまま売ってる市が立ってて、びっくりしたのを少し思い出した。

一千万人が住まう東京では品川にある芝浦屠場が都内で唯一の「と場」と肉食中央卸売市場なんだけれども、いったい一千万人の口を糊するために、東京では一体何頭の豚や牛を・・・。考えたこともなかったや。ちょっと調べてみても数量的なものはでてこなかった。まあ、歴史的にもくそセンシティブな部分だもんな。・・・。

作中に、乱暴な解釈だけれども中国での工賃はお米の値段で勘案できるというような趣旨があったのだけれども、まあ共産主義において、工業製品の生産力(付加価値額)の限界費用というか、調達限界は農産畜産品の生産高からそろばんを弾くのもありなのかもしれない。

あと、新鮮な価値観だったのがIP(intellectual property)知的財産についての言及。まあ、理路を再構築して最短距離を狙いがちなハッカーにはありがちで、多分自分もそちらよりの考え方に毒されているのかもしれないけれども、作者や中国での知的財産についての考え方や振る舞いをみていると、人類の未来に貢献するのはオープンテクノロジーの方なんじゃないかと、むしろ権利保護が技術発展の阻害要因になっているんじゃないかとすら感じもした。

知的財産権とか著作権はジュネーブ万国著作権条約以降の、まあ、せいぜいここ70年ぐらいの比較的新しい権利発明で、近代での運用をみていると、発明者や著作者の発明権や財産権を守るための制度というよりは、そこに投資したひとの永続的経済的利潤を守るための運用がなされているし、大手でさえ特許回避みたいなバッドハックをしている様をみていると、それなりに害悪だなと。もちろんいい点もあるけどね。

ただ、先行特許調査だけで日が暮れてしまう日本の研究者技術者と、まだ比較的フリーダムな中国での同じ立場の人たちが競争した場合、競争にすらならないなと。レギュレーション細かくなりすぎるのも、考えものというか、レギュレーションすら競争のために変えてくる強かさが日本にはないので、ちょっと無理そうだなと。

党とかの方針変更で後からルールを変えてくる中国は、英米法に近いのかもしれないですな。ブラックリスト方式なのでイノベーションがおきやすい。大陸法系の日本はやっていいことを記載したホワイトリスト方式なので、新しいことをやるまえにお墨付きを得ないといけない。どちらにも長所短所はあるのだけれども、ことハードウエアハッキングについては、競争しようもないですね。製造者責任法とかを考えると事業リスクのほうが大きいもんね。日本じゃ。

戦後間もなくの高度成長期のころは多分日本もそうだったんだろうけども、少しだけ羨ましいなと思ったりもしました。寂しいもんです。

余談。
作中に中国語使うときはルビ降っておいてほしいぜ。しんせんなのかしんしんなのか頭のなかで悩むし、山寨とか冒頭からでてくるのに読み方もわからないのでもやもや。山塞か。

diamond.jp/articles/-/116420?page=5
中国のニセ製品でよく言われる「山寨」(Shanzhai:シャンザイ)

中国のニセ製品でよく言われる「山寨」(Shanzhai:シャンザイ)である。
山寨は山岳要塞という意味で、中央の目の届かないところで勝手なことをする梁山泊のような事柄を指す。もともとは罵倒語だったのだが、最近の発明家の間では肯定的に使う人もいて、英語圏のハックやハッカーと通じるものがある。

訳者が同じだからか、P151の説明と同じような説明だね。

そんなわけで、とくに要点も結論もないひらたい読書感想でした。


経済財政白書2018よむよむ(1/4)


経済財政白書をだらだら暇なときに読んでる。パラパラ読んで、気になったところを拾い読み&コメント。結構ながい。130ページでまだ1/4みたい。

平成30年度年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)
-「白書」:今、Society 5.0の経済へ-
【説明資料】 平成30年8月 内閣府経済財政分析担当


第1-1-1図 景気の現状

実質民間最終消費支出の推移、2014年に発生した消費税増税+3%のインパクトを3年経っても打ち消せてないね。個人消費は持ち直しって言ってるけれども、消費税分も持ち直せてないよね。

第1-1-5図 日米の金融資本市場の動向

新発10年の国債の利回りがその国のリスクフリーレートとか言うけれども、日本は0.126%とかそんなんしかないのね。ここ一年ぐらい0.05%あたりに張り付いてたみたいだから、それでも倍近い上昇なんだろうけれども、これじゃぁ0%成長の当たり前だよね。


第1-1-9図 地域経済の動向

あれ?DIのぼり調子だって! ほんと?
帝国データバンクさんをお呼びして開催したセミナーでいただいた資料の1~5月の景気DIをみてみると、年末で頭打ち下がってるので今年はトータルだと50切るかもね。(50で景気がわるいなーって感じるひとが半分を超す気分指数)

旅行外国人増えたのは知ってたけれどもこうやってデータで見るとすごい増えてるね。台湾、中国、韓国。
旅行消費額で見ると、中国だけでなく、オーストラリアもすごい。韓国や台湾は消える。まあこの二カ国は自国と日本とで買えるものに大差なさそうだもんね。為替の問題もあるかもしれないけれども、オーストラリアと日本は時差も1~2時間しかないんだから、もう少し訪日者数も増えてもいいかな。飛行時間が長すぎるかな?10時間もかかったっけ? 10時間、モスクワいけちゃうか。

第1-1-15図 潜在成長率の動向

消費税の導入が、1989年3%、1997年5%、2014年8%ここらへん。こうやってみると、もしかしたら日本の低迷の原因は中途半端に運用導入された消費税なんじゃないかって気がしている。織田信長以前は等しく課税する人頭税で、楽市楽座で利益が出たやつに課税する方式にして経済が活性化したんだけれども、また楽市楽座すれば経済活性化するかもね。もっとも、あまり民間に力蓄えさせたくないのか、政策みていると参勤交代みたいな民を無為に疲弊させる制度ばかりで経済成長とか実はさせたくないんだろうなって節もあるけども。経済活性化とか口では言っているけど愚衆が余計なことしないように疲弊させておきたいのもかもね。

第1-2-1図 生産年齢人口と就業者数の推移

産年齢人口は着実に減っているのに、就業者数は増えている。
理由は高齢者と女性。こんなに影響あったのか。すごいね。

こうやってみると「待機女性」が鍵。男性と比較してもあと150万人ぐらいはいけるはず。


第1-2-5図 サービス消費の動向

家賃の下落は供給過剰だからまだ下がりそうだね。
通信費伸びてるね。5年で2.5兆。一人あたりでも伸びているので、あれだけど、この間に起こったトラフィック増加の要因を考えると調整されているほうかもしれない。

● 単身世帯や共働き世帯の増加で外食が堅調に推移
外食の売上高についても緩やかに増加している(第1-2-5図(3))。形態別にみると、居
酒屋では売上が減少傾向であるものの、ファミリーレストランやファーストフード店では客数
の増加に加え、客単価の上昇もあり、高い伸びとなっている

外食堅調??
外食が通信費と同じようなカーブで伸びてるのは意外。ぶっちゃけわからんけど、労働集約型で低賃金労働者が減っているので顧客当たり単価をあげないと生き残れなかったことによるものだろうか?まあわからん。2014年あたりから上昇している。外食産業につま先突っ込んでる商売をしている身からすると、消費税増加の影響か円安の影響かわからんけれども、この頃から仕入れ価格がバカあがりしてしまったってのを記憶している。十年来付き合いがあったいくつかの食品卸会社が倒産してしまったのもこの頃。紅茶屋さんは辛かったのぅ。これは円安由来かもしれんが。

このグラフは売上高だからなぁ・・・。これって国際会計基準での売上高じゃないよね?売上に税を含んでるのかな?売上高はあがってるけれどももしかして利益はあがってないのかな?体感とあまりにあわないから別の統計からとかからも調べてみよう。

ん。

平成28年企業活動基本調査速報-平成27年度実績-
www.meti.go.jp/statistics/tyo/kikatu/result-2/h28sokuho.html

第1表 総括表(時系列) 産業別、企業数、事業所数、常時従業者数、総資本、売上高、付加価値額

飲食サービス業の売上高と付加価値額をグラフにしてみると、付加価値額はのびてなさそうなので、やっぱし、原価が増えてるのが原因かな?

業種別の経年データはないんだけれども、「第6表 産業別、営業費用及び利益」をグラフにしてみると、全産業でみても売上原価が増えている。やっぱこっちが原因っぽい。販管費は増えてないので人件費はあがらずと。利益が増えてるわけじゃないので人件費はあがんないよね。やっぱ御用学者を要したうそっぱちじゃんか。

飲食サービス業はいろんなものを仕入れて加工する食品加工業としても最末端で、最終的な接客サービス業なので、上流にある売上原価の上昇が積み重なったのだとおもう。売上は一見増えているように見えるが利益にはつながっていない売上増なので、外食すごーい、堅調~!とか言っていては駄目っぽ。つか、駄目だよ。



第1-2-12図 設備投資の動向

産業用ロボットが踏み上がってるのみると、「設備投資が緩やかに増加」とか喜ぶ指標というよりは、産業が無人化にシフトしてるんだな、人からロボットなんだね、って感想。

1-2 ボリューム減による実質値上げ
内容量を減らして価格を据え置く、いわゆる「実質値上げ」の動きが広まっています

うまい棒が小さくなるとかチョコパイがありえないほど小さくなるぐらいならまだ俺も我慢できてたんだけれども、これ、もう内容量だけじゃ済まなくなってきて、食品のなかには品質を下げてとかいうのが目につくようになってきて怖い。

お気に入りの揚げ煎餅が今までの油と変ってて「外はかりかり、中はふわふわ」だったのが、「ガリガリ」になっちゃって唖然とした。新商品ならまだしもレギュラー商品の風味が変わったらもう駄目だろうっていう感じ。スーパーとかの大量仕入れ店からの販売価格統制と、原価費の板挟みなんだろうけれども、悲しい。


第1-2-24図 家計の予想物価上昇率と消費者物価

生鮮食料品を除く総合の物価上昇率が、生鮮食料品およびエネルギーを除く総合より6ヶ月ぐらい先行する。ぱっと見のこのラグがどこで相関をとってるのかわからないけれども6ヶ月ぐらいとの相関が0.8ぐらいはありそうなので、結構な確度だ。経験から先物の物価変動のほうが家計の予想物価より6ヶ月ぐらい先行するので、家計の生鮮食料品の物価は1年先まで見えてるってことでいいんだろうか? 高度に工業化された現代農業漁業において天候不順は相関係数0.2ぐらいしかないのかな?ちょい意外。


(2)品目別のインターネット購入割合と消費者物価の動き

2015年を100にした図。こうやってみると、価格の押し下げが続いているようだ。経営学の教科書的に考えるなら大量供給者に対して販売者の新規参入を妨げる手段がなく、利益の平準化がおきているのだろう。でも、掃除機以外、底値かな?

第1-3-9図 新聞センチメント指数(紙面別)と消費者マインドの関係

これ面白いかも!

新聞のテキストデータをディープラーニングによる感情解析をして相関をとったデータ。
でも、ぶつけているのが内閣府「景気ウォッチャー調査」なので、民衆の景況感は0.6ぐらいの新聞等報道と連動しちゃうってのが、実かもしれないけれども、ツイッターの感情解析がマーケット指標に相関あるよねってぐらいの面白みはある。


第1-4-1図 日米欧のバランスシートと政策金利の推移

発行長期国債ふえてんなー・・・・。

これに関しちゃアメリカの無期限無制限の量的金融緩和(quantitative easing)、QE1(2008)、QE2(2010)、QE3(2012)が引き金になって、日本だと2014、ユーロ圏の2015あたりからの量的緩和という名のマネタリーベースの増大を招いていることはみてとれるんだけれどもさ、金の硬直化を起している日本ではヘリコプターマネーでお金投下して、政策金利ぶちさげても民間銀行の預貸率とかかわらねぇし、名目GDPも伸び悩んで結果中央銀行のバランスシート規模だけ増やして終わってる。国債を新発10年と考えるとここらへんの償還が始まりだすのが日本だと2024あたりから2038年あたり。米国だと2021年ぐらいか。ここらへんで一旦また経済クランチするかもね。以外と時間ないね。世間にはアベノミクスを批判とか褒めたりするけれども、そもそもアメリカさんがリーマンで追い詰められてQEに舵とってなければこんなお金のバカ発行することもなかったわけで、信用貨幣経済の終わりの音なのかもしれないね。

第1-4-5図 マイナス金利の日欧比較

マイナス金利になって、銀行からしてみたら預金者は「お客さん」ではなくなり、できれば口座とかお金を預けてほしくない存在になった。これって結構エポックなんだけれども、お金持ちの高齢者とかは銀行からはお客さん扱いされてほしいのでちょっと悲劇的なミスマッチがこれから顕在化しそう。商習慣上なかなかお金持ちを無下にはできないだろうし、また水が変わることもあるだろうし。

銀行側からすると手元にお金を持っていると損をするので、なんとかどこかに貸付をおこなわなければならない。グラフをみるとその逃げ先が中小企業や個人への貸出に向いたことがわかる。日本版サブプライムだね。シェアハウス融資とかはやくもハジけた気配もあるけれども。

にしても銀行の貸出金利、とうとう統計でも1%切ってるんだね。お金借りないので噂でしか聞いたことがなかったよ。これじゃ銀行の経営が送金とか引き出しの手数料収入にだけ頼るのもあたりまえだね。

all_01.pdf はこんなところでおしまい。またこつこつ読んで、そのうち2/4あげるよ~。

ではごきげんよう


大晦日で人工知能


人工知能について年暮ひがなうつつ宿題を。

東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」 単行本 – 2014/10/15
松尾 豊 (著), 塩野 誠 (著)

 

松尾さんの動画やらなにやらをよく見たので本も読んでおこうとおもって買ったもの。
間違えてカートに2冊ぶっこんでたのに気が付かずに届いたら2冊入ってて愕然とした。
レイアウトがあれでちと読みにくかったのと、まさかの対談方式の本だった。

 

本の内容については特に書くことはないのだけど、章の間に宿題がでててそれが面白かったので今年のうちに宿題をしておく。

 

ISSUE 1

1.人間は不要になるか?

予測精度が異様に高い人工知能が、人間の役割にとって代わり、自己複製をはじめたとき、人間の存在意義はどこにあるのか?

これに答えるにはヒトは使役動物であろうか?という問についても考えなければいけない。

蒸気機関普及後、使役動物としての牛や馬はその数を大きく減らした。江戸、明治初期の馬数は住宅戸数とほぼ同程度であったが現在は住宅件数と比べるべくもない。

先進国とされる国々において、身分制度や、奴隷制こそ終わりをつげたものの、ヒトの多くは経済動物としてその任を得ている。社会への奉仕。勤労の義務こそが社会構成員としての人間の存在意義であることは日本国憲法にも明記されている。「教育の義務」「勤労の義務」「納税の義務」これは、社会を回すために必要な任である。

封建制が終わった現代ではその任は特定誰かのためになされるものではないが、全体への奉仕としてなされる。社会をよくまわすための使役動物としてのヒトだ。年齢割合が歪み、子供や老齢者はどうするという構造問題を解決できていないが、今はそういう運用がなされている。自ら然して利他し、社会に対して義務を果たすのが、己の利益にもつながろうという社会で、そのように機能している。
で、ここで、ひとつ動画をぽいっと。

オランダ LELY(レリー)社のアストロノートA4
www.cornesag.com/product/milking/milking_robot/astronaut_a4/feature.html
乳牛さん達は、自分たちの意思で装置の前に列をつくり搾乳を待つ。餌もくれるし、乳も絞ってくれるから。

一定時間を経過していない牛は素通りさせられる。システムで管理された高度な装置である。牛は人間にとって家畜としての価値がある。肥育牛も、乳牛も。

もし、ヒトの提供できる価値が人工知能に代替されたあと、ヒトが社会に提供することができる価値とはなんであろうか。まさかヒトが肉や乳を人工知能に捧げることを望まれるわけではあるまい。では、馬のように荷を運ぶことだろうか?

ヒトがヒトに必要とされるのは面倒を見てもらうため。互いに助け合うため。

おそらくは、この原初的な欲求が解決されれば、現在のような数は必要なくなるので、使役動物としての馬のような推移をたどることだろう。ヒトが多くの子供を必要としたのは乳幼児死亡率が極端に高かったからであり、老後の面倒を見てもらうためだった。ヒトはヒトによって必要とされているが、ヒトがヒト以外に必要とされる数はとても少なくなるものと考えられる。ま、不要の用。

 

2.犯罪予備軍を事前に逮捕できるか?

ある人間が、将来的に犯罪を起こす可能性が高いかどうかが明らかになったとき、事前に逮捕することは許されるか?

マイノリティ・リポートか、アニメのPSYCHO-PASS サイコパスかって話。(まだ、どちらも見てない・・・)
オランダだったっけかな?ネットワークで繋がった防犯カメラを地域で配備して歩行の目的地の不確定さによって、不審者検出ができるようになったそうな。トラック強盗が多い地域にそれを配備した結果、パトカーが急行できその地域の犯罪は激減した。で、かわりにその地域の周辺の犯罪発生率が上昇したとかいうオチまで付いたお話。
これはAIというよりは、遺伝子の問題でもあるように思う。反社会性因子と遺伝子の相関が統計的に79%とか出た場合、例えばそれをどうするか?犯罪をおかしてなくても事前に逮捕するのか??クレジットカード破産者が持つ遺伝子に強い相関があった場合貸付限度額をどうするのか?交通事故違反者に多い遺伝子に強い相関があった場合、交通事故保険料がおなじでいいのか?
その相関を偽相関とみるか、ビックデータのパラドクスだと押しやるかは難しい問題である。

個人的には、犯罪を犯すより前に、心身の拘束などはするべきではないと思うし、罰は罪とセットであるべきだと思う。だけれども、追跡タグをつけたりするのは罰ではないと思うので、そういうのはいいんじゃないかな。

そのヒトだけ付けるのは不公平であるので、みんなでつけるっていうのもありだとは思う。
あと、犯罪についてだけれど、もし、罪を犯しやすい気質があったとしても、その罪という概念が時間や環境で変化することはある。戦争などの時に人を殺したり、粗暴なことに気後れしちゃう気質の人ばかりでは組織を成さない。

完全に悪と断定できる犯罪でさえも、社会を強くしていくためには一定確率で必要かもしれない。

近代国家以前は、直系卑属を根絶やしにするために一族郎党打ち首獄門なんていうのもあったようだけど、流民がでていない状態ならそのような事や、名誉殺人のようなことをしてはいけないとおもうな。

 

3.人工知能の小説家は誕生するか?

現在、SF小説の要素の組み合わせ、短編小説を書く実験がすすんでいる。人間の独壇場であった「想像力」はどこに活路を見出していくだろう?

これはするよ。星新一プロジェクトみたいな実際の取り組みもそうだけど、作成しうると思うな。

そう遠くない時間に、人間が書いたものか、プログラムが書いたものかを人間が見分けることはできなくなるとおもう(チューリングテスト的な意味でも)。

ここらへん少し気になっていたので物語論、ナラトロジーとかの本を買ってみたんだけど、人間が類型化したナラトロジーの分野がまだまだ未発達なのね。面白くなかった。
逆にAIからの章解析によって、プロット解析ができるようになれば、もっと面白い作品がいっぱいつくれるようになると思うんだよね。もし作れないというのなら、創る方向に力をいれて証明する側にまわってもいいとおもうぐらいちょっと魅力的な分野だとおもうな。

 

ISSUE 2

 

1.投資家は不要になるか?

身体的な制限がないコンピューターが、株式市場の「穴」を見つけ、そこを突き続けはじめたとき、人間の投資家は太刀打ちできるか?

これはできないよ。もうできない。

市場というものが、ただの流動性確保の場になって久しいけれど、カブロボとかが登場したときは長期に企業価値算定をきちんとしないとダメだよ!っていう義憤に燃えて立ち向かったのももう十年も前のことだ。10年前だったら、あえて穴をムシした正統派も太刀打ちできる要素があった。いまはもうシステムトレードでもそんな余地はない。穴をつくアルゴリズムを一杯食わせるぐらいはできるけれども、それはもうなにしているのかわからないよね。

システムトレーダーをつくる人間をつかまえて、太刀打ちできていると表現するならばそれは太刀打ちできる。

あとは、すべて焼き払い単独で相場を動かせるほどの資本力があればできる。

 

2.人工知能を信じられるか?

人工知能によるレコメンデーションは、直感的な因果関係を重視する人間にとって腑に落ちないものになることが予想される。それでもなお、勇気をもって人工知能の判断に従えるか?

人間よりい信用できるっていう人もいるだろうし、そのAIの啓示を伝えてあげる占い師おばば的なエバンジェリスト的な人間を一枚かませばいいだけじゃないかな。

データもわかるし、論理的にも納得できるか、情動的にお前に言われるから賛同できないってことは、人間社会でもよくある話しだし。伝え方、伝える経路なんていくらでも変えられると思う。

 

3.「国」はなくなるか?

物理的な制約がなくなり、個々の行動履歴がすべて国境に関係なく記録され活用され、どこからでもサービスを受けられるとき、国という概念自体もなくなるか?

むしろ増えるんじゃないかな。国というシステムを大きく重厚長大にしたのは、軍事的な要素と、運用のための度量衡を揃える効率化のため。日本のような島国であっても、地域言葉は異なっているし、幕藩体制のころは通貨発行権や、租税の体型も地域ごとに異なっていた。兌換や流通、教育、軍事、言葉などの効率性という点をAIなどが解決してくれれば、国という運用単位はもしかしたら市区町村単位で連邦的に運用されるようになるかもしれない。
どんなに社会が効率化しても、ご近所レベルの地域社会はなくならない前提だが。

でも、経済でみてもモジュール化がすすんでいるので、小さくなる傾向はあるようにおもうな。

 

ISSUE 3

1.意識はコピーできるか?

脳が工学的に再現可能になり、自己の保存が実現すると、そこに本当にヒトの「意識」は存在するか?

20年ホルマリン漬けにしてた脳みそに、ニコチンなどをぶっこんだら脳波が観測できたっちゅうお話しがあった。

いつ脳は死ぬのか?【When Is The Brain Dead-ホルマリン漬けの脳が20年の時を経てなお活性を示す】
togetter.com/li/1062912

脳みその構造を再現でき(これは、たぶんできない)るのであれば、意識はその脳回路を伝わる電気信号とそこから惹起された化学物質により構成されるものであるので、意識のシミュレーションはできるようになる。

 

2.コンピュータ脳における「記憶」とは?

脳が完全にコピーされ移植されたとき、特徴量を作る方法自体が異なってくる。そのとき、世界はどのように把握され、記憶はどのように変化するだろうか?

人間は脳みそのみによって考えるのみにあらず、肌による皮膚感覚や、腸は第二の脳という程度には、体内、体外の環境に思考を強く影響される。これら付属の情報がなくなり、その他情報のインプットの経路が異なるようになった場合、記憶の重要度のランクは現生体のそれとはまったく異なる。
景観の美しさや、静寂さなどよりも、周りの埃の量や、静電気、地場の変化が気になるようになり、電圧の変化に美しさを見出すようになるかもしれない。
結論に至るまでに神経の興奮を感情と呼ぶならば、電圧の異常などで各所に発生するエラーが最終的に検算されて、正確な答えにいたるまでの、エラーハンドリングを感情と呼べばよい。そんで、そのログを記憶とでも読んだらどうだろう。

 

3.人間の仕事はなくなるか?

ほとんどの仕事が機械に代替されたとき、人間は何をして日々を過ごしていけばよいのだろうか?

ん?

紅茶でも飲んでひがな一日すごしてればいいんじゃない?

ただ、修行僧のような生活がすべての人に耐えられるとも思えないけど。
思索にふけって楽しめるのはスキゾイド人口の10%ぐらいか。

 

 

ISSUE 4

1.犯罪の「見逃し」が必要になるか?

顔認識技術が発達し、町中に監視カメラが設置されると、どんな軽微な犯罪も白日の下にさらされる。そのとき、すべての犯罪を罰する必要はあるか?

途上国とかにいくと、くじ引きみたいに交通違反取り締まってるよね。交通違反がたまりすぎると表の道が走れなくなるんだ。罪には罰だけれども、罰も軽微すぎると意味がないからポイント・マイレージ性にでもしたらいいんだよ。

カルマポイント貯まりすぎちゃったから今月ボランティア10時間だー。みたいにね。
見逃す必要はないとおもうよ。貯めておけばいい。

 

2.自動運転は本当にできるか?

機械に運転を任せられるようになると、社会全体がより最適化される。一方、事故が起きた場合に誰が責任をとればよいのだろう?

技術的にはできるとおもうけど、人間社会があと1~2世代は許さなそう。人間側の価値観変化の問題なので、それをマテばいいいんじゃないかな。変化しないなら導入されないだけ。

 

3.命の価値は、誰が決断するのか?

すべての社会的判断の結果がスコアリング可能になったとき、「誰が不利益を被るか」を決める判断が必要になるが、その重責を負うのは誰だろう?

最初の方の論に戻るけれども、不用の用というのがあって、なにかの価値というのはそのスケールでの価値であって、スケールを変えれば並び順は変わる。オーダーバイの仕方を1軸しかもたなかったり、集計の粒度を変更できなかったり、ascやdescもできないようなスコアリングは無価値になるべきだ。
責任を追うのは代議された人か、またはその代表でいいんじゃね。

 

ISSUE 5

### 1.学校は不要になるか?

個人のレベルと環境に合わせたウェブ動画での学習が可能になったとき、学校や学年というものは不要になるか?

むしろ必要になるとおもう。ただ、既存の座学という用途以外の意味で。そのエリアのWAN基地とか集会所とか、運動場としての価値とかとしてね。

 

2.情報の飢餓体験は必要か?

いつでもどんな情報でも手に入る状況になると、思考の習熟が望めない。子どもの教育のために、あえて情報を制限する必要はあるか?

イスラム教のラマダーン、断食には学ぶべきことは多くある。不便を学ぶ機会は重要だとおもうし、ストレステストや、BCP上も、正常系から外れたテストと備えはしておくべきだとおもう。実際体験してみないと、気がつけないことは多いし、気がついたことに対して、備えができるのは正常下でのみ。

日本は災害大国なので、情報からの断絶時にどうしたらよいかについても体験しておくことは有用であると思う。ま、デジタルデトックスたまにはしないとね。

 

3.教育で身につけるべき能力とは?

何かに気づく、法則を見つけるという役割はコンピュータに任せる場合、人間が教育で身につけるべき能力とは何か?

ん~。

  • 怪我しない、死なないようにすること(フィジカル、クリニカル)
  • 苦労しない、道具をつかえるようにすること(テクニカル、プラクティカル)
  • 楽しめる、悲しみをわかちあえるようにすること(エモーショナル)

ここら、あたりじゃねかな。

ではみなさまよいお年を!!

 

参考

『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』松尾豊東京大学准教授セッション

【5金スペシャルPART1】松尾豊氏:人工知能が閻魔大王になる日

【5金スペシャルPART2】松尾豊氏:人工知能が閻魔大王になる日

文科省の「AI研究」新拠点 トップに東大41歳教授
(1/2ページ)2016/4/9 7:54 杉山将・東京大学教授
「AIP(Advanced Integrated Intelligence Platform Project)センター」
www.nikkei.com/article/DGXMZO99433730Y6A400C1000000/
犯罪に走る人には、”悪の遺伝子”がある? 犯罪者と非犯罪者を分ける決定的要素
toyokeizai.net/articles/-/63200

When Is the Brain Dead? Living-Like Electrophysiological Responses and Photon Emissions from Applications of Neurotransmitters in Fixed Post-Mortem Human Brains
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5131983/