第六夜 時間選好による隠者の経済 リスクフリーレート


世の喧騒に飽きて身をかくすように迷彩を施し隠者を気取る。
時間選好に身をまかすと、いつのまにか隠者からただの世捨て人のそれになっている。
侘しさを解する風流も、花も付けぬ枯木に求めたる由もなし。

・・・なんのこっちゃ。
まあ、そんな感じです。今回はなにがおこってるのかわからない金利の回なので、なんのこっちゃ回です。

世の賢人はr>gだという。だが、もし、r<gだったりr=g だったらどうなるか?
経済成長率のほうが資本収益率より高い世界を想像してみよう。
それはもしかして既にある世界かもしれない。

リスクフリーレート

新発10年ものの国債の金利のことをファイナンスの世界ではリスクフリーレートという。
リスクがフリー。つまり、不確定要素から開放されているというレートのことだ。

通貨が信任されている世界では資金の運用先として一番リスクのない運用先は国債である。
通貨の価値を決めるのは政治とは離れた中央銀行の役割で、ものの価値を測るのが通貨となっている以上もっとも確度が高いのが通貨の価値すらも決定してしまう国債ということになる。であるならば、この国債の利率より低いリターンしか見込めないのにリスク(不確定要素)も高いものがあればそれは運用先、投資先としてはまったくの価値がないものである。

企業は資本を銀行や投資家から調達して利益を稼ぐ。銀行には金利を、資本家には配当を払う。
これは企業側、会計財務では資本調達コストという考えで計算される。営業の原資を調達すればそのお金には紐がついていて、いくらのリターンをつけて返してねということが期待される。であるから調達するお金にはコスト計算が必要となる。一般には銀行より再劣後債権者である投資家のほうがリスクを負うことになるので、投資家の資本調達コストのほうが高く計算される。

企業が営業活動をおこなうには「このリスクフリーレートは最低超えてね」という命題を抱える。
いろいろな不確定要素を抱え込んだ事業計画の段階で最低限超えてきてねというリスクフリーレートのハードルすら超えられないのであれば営業体としては投資価値がないので、実行されないというわけだ。

株式会社という仕組みは、未知の航海へ旅をして黄金にも匹敵するスパイスを持ち帰るからという約束で出資者から軍資金を募った。冒険者は生死というリスクを、出資者は資金というリスクをわけあった。
しかし、期待されるものがリスクフリーレートすら下回るなら寝かせてたほうがいいということになるわけだ。資金も人も。そこには冒険の価値もない。みんな港で酒でも飲んでろって話しだ。

集団的酔狂

それでも冒険に出たがる酔狂者はでてくる。
平和な日本に暮らしているとISISに行きたいとかいい出すやつは一定の割合で出てくるものだ。ああ、できれば、そういうやからは希望としては少ない割合であってほしいと願うが。

ところが、日本ではあまりの低成長が続いたために、結果として国債のレートを超えられないような投資先が増えた。
結果として、寝てたほうがマシだったねというのが多い方の割合をしめるようになってしまった。


www.rakuten-sec.co.jp/web/special/foreignbondfund/images/index-img-01.gif
www.rakuten-sec.co.jp/web/special/foreignbondfund/


www.morningstar.co.jp/fund/analyst/2014/3q/images/i140710-03.gif
www.morningstar.co.jp/fund/analyst/2014/3q/MFA120140710.html

不動産、株式ですらリスクフリーレートを下回っていて・・・、えっと、これはかなり悲劇的なことなのだけど、あまり話題になることはない。これを話題にして利する立場の人間はいないのであたりまえといえばあたりまえか。話題にもあがらない不遇の時代である。国債を営業で売りたい人が、国債は有望な投資先ですよと宣伝するときに使われるぐらいのものである。

だが、繰り返すがこれはかなり悲劇的なことなのだ。冒険に出た連中は死んでだれも黄金のスパイスを持って帰るものは居ませんでした。だから、ほら、リスクなんて取らなかったほうが利益高いでしょ?っていう証明をして誰が幸せになるというのか。

リスクを取らないリスク

できてしまった慣習から抜けきることは難しい。雇用がどうだとか、建ててしまった建物がどうこうと、いちど背負ってしまったポジションはなかなか解消することができない。変更することにより不確定要素がまじりこむからだ。

ピケティは「資本収益率>経済成長率」と言った。
しかし、少し調べてみて欲しい。
日本の経済成長は1994年から20年でわずか2%である。
20年でわずーーかに2%。
アメリカが120%、ポーランドあたりの10年で200%とかというような成長もなければ、資本収益率もリスクフリーレートすら下回る有り様。
(※ここらへんは自国通貨建てでみるかどうかで割合が変わるので別のところでデータを並べる)

0.33%、これは日本の2015/02/06 現在のリスクフリーレートであるが、この低ハードルすら超えられない。(参照: www.bloomberg.co.jp/markets/rates.html )

rもgもどちらも超がつく低水準。
低水準すぎて業界によっちゃr=g、場合によっちゃg>rになっているのだ。
リスクを取らないほうがリターンが多かったと分かっていたとしても、ギャンブルと同じ。辞められないのである。あるいは辞めたくても辞めことによる不確定要素が大きすぎて辞めるのもままならない状況に追いやられているのである。
いや、事業者の判断だけでなく、文化的や法律的にも失敗や撤退を許さない仕組みなのかもしれないが、

金利

住宅の貸付、フラット35の金利はさらに最低水準を更新した。
住宅ローンが35年の固定で1.370%になった。これは貸し出すほうの経済性に従えば利益は 1.370%以下しか期待されていないということだ。
www.flat35.com/

日本の政府は2%のインフレを目指すと言っている。
金利は35年固定で1.37%で運用するよといっている。
あれ? なんかおかしくない??
資本収益率のほうが経済成長より上にいくなら、だとしたら資産増やし放題だ!やったね!

政策金利と国債

金利のさや取りで最近恐ろしいことがおきた。
先日スイスの中央銀行が持ち上げておいてから数日後にはしごを外すという、どえらいことをぶちかましてFXの人たちを阿鼻叫喚地獄に叩き込んだ事件をご存知だろうか。

もともとスイスは日本と同じく超低金利(政策金利0%)で有名で、金利の低いスイス通貨を売って金利の高い他国通貨を買うというようなクロストレードをする堅実な人が多く居た。なのにコツコツ堅実に稼いでデタラメなほど負けるというかわいそうなルートが発生しており、いやはやなんとも声のかけようもないことである。投機的に動いて失敗したような人はともかくとして政策金利差を埋める市場の需給調整帯まで完膚なきほどなぎはらわれたのをみてこれがマッターホルンの北壁アイガーかと後の世に語られたという(?)

スイスフラン騒動で大儲けした人と大損した人の阿鼻叫喚の叫びまとめ #fx
matome.naver.jp/odai/2142132210649651101

海外投資データバンク. HOME > 債券投資 > スイスの長期金利推移
www.world401.com/saiken/bond_swiss.html

主な国の政策金利
Screenshot 2015-02-08 02.55.38
www.rakuten-sec.co.jp/web/market/data/interest_top.html

スイスの政策金利 3month LIBOR Target Rate -1.25%~-0.25%
www.gaitame.com/market/swiss.html

-1.25%ってどういうことだろう・・・ね。
お金借りたら年々返す額が少なくなるとてもやさしい世界・・・。

日本の国債と金利


www.tdasset.co.jp/column/kamiyatakashi/vol109/img/vol109_1.gif
www.tdasset.co.jp/column/kamiyatakashi/vol109/

日本 無担保コール翌日物 0.073%
日本 公定歩合 0.30%

世界で金利のマイナスがおきはじめている。日本でもとうとうマイナス金利だ。

短期国債、再びマイナス金利 最高落札利回りは初 2014/10/30 23:42
www.nikkei.com/article/DGXLASGC30H0V_Q4A031C1EE8000/

金利。もう何がおきているのか意味がわからない。
マイナスってなんだ???
「今年の林檎の収穫はマイナス1個です。」
「???????」

定着するマイナス金利、銀行再編の引き金となるか
滞留するマネーを刺激する劇薬の合理性
倉都 康行
>>バックナンバー2012年8月8日(水)
business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120806/235362/?rt=nocnt

金利がマイナス。なにそれ・・・。
何がおきているのか?
わからない。これをどうこう言えるのはもう少し先の未来なのではないかな。

利益率と歴史

誰だい?「資本収益率が歴史的に4-5%で安定している」なんて言ったのは?
まあ、「歴史的に地面は安定している」(ただし地震がおきないとは言っていない)

そんなものかもしれない。
株式のROEなどは5%程度で見るぐらいがいいだろうし、この5%という規模感は自分も首肯できる。でもいまおきてるそれを説明するものではない。

この、いくつかの国でおきている金利の問題は、いったいなんなのだろうかと思う。
物価上昇にみられる実質と名目の差や、政策金利、ここらへんを勘案したら、資本収益率はいったどのように捉えればよいだろう?
アベノミクスは成長戦略だとうたっているが、成長を戦略にしなければいけないほどの現状とは??

であるならば、この状態を時間選好に任せたら一体どうなるのだろうか?
成長度がマイナスに育つ木を見たことがあるか?
そこあるのは枯れ木だろうか、それともこの枯れ木に見える枯木には時分の花が咲くのであろうか。

つづく

今回はよくわからない回でした。金利については正直何がおこってるんだかよくわかりません。
率じゃなくて量で、マネタリーベースとサプライあたりで追ったほうがよさそうな気もします。

21世紀の資本読んで熱が維持できたのは5日ぐらいでした。
なんかCODEvsとかいうAI戦わせるプログラムとか書いてうほほーいって遊んでたら、すっかり忘れてしまっていた経済の話。
GDPや企業のROEの推移など、まだ掲示してなかったっけか?
データ・セットで調べたものを貼っつけて無い気がするので、次回はグラフだけの回にしようかな。
これだけ書いて、まだ書くことがつきないんだけど、だいぶいい加減になってきてしまったね。

21世紀の資本論からの参照箇所等

P373
時間選好の問題
伝統社会の農地収益率は今日の社会の不動産の収益率同様リスクの少ない投資形態 4-5%
これらは現在が優先される時間選好という概念にもとづいている
時間選好率θ
効用関数
資本収益率が歴史的に4-5%で安定しているのは最終的には心理的理由によるものだ