図鑑でわかるお客さんがいないのに「潰れない店」


シャッター商店街において、何故かお客さんも入っていないのに潰れないお店があるそうで、それについて解説したブログがあった。

シャッター商店街。なぜ潰れない店があるのか?
bazzreed.hatenablog.com/entry/2014/05/19/143450

商店街の中にいる身として、もっといろいろなパターンがあるので図鑑でもつくってみようかなと思った。地方にはもっと違う生態系があるのかもしれないけれど、自分の把握できるパターンではこんな感じ。新種の報告をまっています。

 

経営戦略の大前提として、販売管理費(人件費とか家賃とか仕入値とか)を利益が上回っている限り会社は潰れない。それはお店も同様。

利益 = 売上(客単価×客数) – 販売管理費

これが基本。つまり利益が+か-かで別れる。

 

お客さんがいないのに…

利益
  ある
    ネットショップ型(BtoC)
    事業取引型(BtoB)
    行政食い込み型(BtoG)
    上得意高顧客単価型
    低価格仕入れ高利益型
    店舗連携型
    法による保護

  ない(あろうがなかろうが関係ない)
    資産
      ある
        不動産オーナー型
        相続・譲渡準備型
        道楽商売、その他の税金対策型
      ない
        従業員
          いる
            放蕩二代目
          いない
            生活保護型
            居座り型


利益があるということは、お客さんがいないのではなく、お客さんがいるように見えないだけ。
ネットショップ型(BtoC:ビジネス-コンシューマー/もしくはO2O)

一見お客さんがはいっていないだけのお店にみえることもある。最近多い。大抵は専門店型。見分け方はなれるとすぐわかる。店主が若い場合は大抵これ。夕方に配送物の集荷がかならずあるので、夕方ちょいまえに店内に小包がつみあがっていたりする。ここ10年ぐらいで開店したお店に多い。

 

 

事業取引型(BtoB:ビジネス-ビジネス)

店先をショールーム扱いにして、事業主などは外にでて事業者間取引をしているケースなどもある。例えばお花屋さんが華道教室や、結婚式、葬儀へ販売するような事業形態の場合、店先を広くつくっているケースが多いがほとんどお客さんはいない。自家用車を持つぐらいには営業性の従業員の出入りが多いのでわかりやすい。この手のお店は賑やかしのために一般のお客さん向けの商品を申し訳程度においていたりする。システムキッチンの販売業者がキッチン雑貨を販売、住宅のリフォーム会社が掃除用品をおいたりする。意外と知られていないがスーパで販売されるパンを作っているパン屋さんだったり、豆腐屋さんだったり、惣菜屋さんだったりと、製造請負型の事業間連携も多い。

 
行政食い込み型(BtoG:ビジネス-ガバメント)

BtoBに近いが、より、なにやらきな臭い匂いがすることもある。例えば学校への文房具や体操着、うわばき、はたまたカーテンの一枚に至るまで地元事業者の入札によりとり行われる。随意契約なので入札がないこともある。あ、逆か、入札があることもあるぐらい? 図書館の司書購入も本屋さん経由。なんか意味のわからないものを行政経由で買わされたら、そういうお店の肥やしになっている。地元の店舗などを優遇するのは、地元産業を支えるという名目と政治家などの票田になっているからだ。わかりやすい場合政治家のポスターとか貼ってあったりするが普通はわからない。役所とかにいって市指定業者とかを見るとわかることもある。給食用に卸す野菜であったり、パンであったりと、多種多様に及ぶ。が、ぶっちゃけよくわからない。なんかうまくやられちゃってるきがする。

 

上得意高顧客単価型

生鮮食料品のように廃棄率も高く利幅も低く、トラック一杯のキャベツを売っても数万にもならない事業もある一方で、宝飾品なぞ月に数個売れればよいというようなお店もある。当然[キャベツを買う人の数> 宝石を買う人の数]となる。なので店頭にお客さんが居ないように見える。お客さんの数と売上高は必ずしも一致しない。高客単価。百貨店のような事業規模でさえ、店舗は赤字で、上得意をまわる外商が全体を支えている。店構えが高級志向になっている場合が多く品揃えから判断できる。

 

低価格仕入れ高利益型

ファッションブティック、古本や買い取り専門店、質屋のように、売価に対して仕入れ価格が低いケース。在庫の廃棄もなく、ほとんどタダ同然に仕入れて売るので、高利益率であるので少ない売上でも販売管理費をまかなうことができる。買い取るための店で、売るための店作りになっていない事が多く、仕入れたものを事業者間、店舗間連携で融通するため、一見お客さんが少ないようにみえる。

 

店舗連携型

チェーン店なのにお客さんが入っていない。しかし撤退しないケースがある。これはその地域のマネージメント機能を持たせていたり、たとえばクリーニング店の洗濯工場機能だったり、家具や自転車などの組立工場機能があるなどの、店頭販売意外の不採算部門機能を持っているケースだ。売上は他のお店が支えている。

 
法による保護

競争が法律により阻害されているケースがある。取り扱いが認可制などになっている業種。昔の例でいうと、「たばこ屋さんのおばあちゃん」、これは戦争寡婦(戦争で未亡人になった奥さん)が優先的に認可されたことによる全国的に見られた光景だ。最近は解除されたが薬屋や酒屋の既存店の数百メートル内には出店できないというような出店開業規制や、現在も続いているような規制でいうと、本屋さんの再販制度のように市場が完全競争にならないように保護されている業界。1,000円ヘアーカットを地域の条例で禁止させるなど業界団体によるロビー活動で規制を掛けるといような動きにより、利益が確保される業態。最近残っている規制だと医業とかが町中では顕著だ。いまドラッグストア出店バブルってきくね。

 

 

さて、こっからさきは売上も利益もないのに潰れない店。

 

 

不動産オーナー型

比較的築浅のビルに、お客さんも入っていない古くさいオールドエコノミーな事業形態のお店がはいっていたら、大家さん系店舗だ。大家さんなのでとどのつまり家賃がかからない。そのうえ、毎月一定金額が家賃としてはいってくるので、店舗はもう老後ボケないためにやっているといっていい。
従業員も抱えず、家賃もかからなければほとんど販売管理費がかからないので、売上がなくても潰れない。
注意しなければいけないのが、そそのかされてビルを建てたけれども、不動産としてビルの返済ローンと賃料で採算が採れなくなっているパターン。不動産の失敗は店舗レベルの事業売上の多寡ではどうすることもできない。返済が滞り深刻な事になる。バブル期に建ててしまった建坪あたりの単価が高いビルは怖い。抵当権が流れ競売に掛けられるまで死ぬに死ねずゾンビ化していることもある。
バブル崩壊以降は等価交換をしてビルにするなど、堅実なケースも増えた。が、いまちょうど時期的に顕在化しつつある問題のひとつだ。

 

相続・譲渡準備型

店舗貸出中と書かれたままにしたままにされているのに何年も貸し出しがなかったり、更地にして駐車場にでもしたほうが利益はあがるんじゃないかというような古い物件がある。
これらの古い建物がそのままにされている理由は事業価値がないからではなく、こんどはそうしてしまうと小規模宅地などの控除がうけられなくなったり、他人に貸し出してしまうと事業性用地となってしまうためディフェンシブな理由でこのような形態になっているのだ。

日本は不動産として貸し出してしまうと、借り手の権利が理不尽なまでに強く、貸主都合で退去させるのが大変であるため、建て替えなどを予定した建物には厳しい条件をつけて入居させないことがある。またそのような物件にめがけて滑り込んでゴネる専門の人や店もあるので大家は要注意。家賃も払わないのに立退き料を数百万払えだのといわれただのという大家さんの泣き言はよく聞く。今は定期借地権というのができたのでだいぶ緩和しつつある。

一般に地主はビルなどを建てることで借金を作り資産と借金で価値を相殺して相続準備をするが、固定資産と流動資産のバランスの問題なので、一概に何が正解かは資産状況によりまったくもって異なる。
特に都内は不動産の評価価値がばかみたいに高いため角地だけでも先に売り払って、不動産価値をさげたり、古い建物を古いまま維持したりと、前向きとはいえない防戦一方の戦いをしなくてはいけないことがある。不動産は動かせないから不動産なのに税は現金で払えるようにしておかねばならないのだ。資産家であればあるほど防衛戦に追われる。

例えば取得から5年未満で売却すると短期譲渡所得税39%がかかる。だが5年以上保有してからの売却だと税率は20%になる。日本の税制は万事において、この調子だ。額ではなく%で課税されるので、資産額が大きければ大きいほど慎重に計算しなければならない。維持費が予定される税より安いか高いかでそろばんを弾く。

なので、古くてお客さんが入らない店でも、維持すること事体に意味がでてくる。自動販売機一台を1年おいているかおいていないかで、明暗な境界線がそこにある。防火指定や再開発などの建築規制がある地区における再建築不可など。日本が停滞した理由は資産家に防戦しかさせなかったことなんじゃないかとすら思う。しかも今年から相続税まわりで激しい増税があった。これは一般家庭の相続におよぶ。うちはお店じゃないし関係ないなどと放置しているとまじめに死ぬことになる。かなり深刻な問題なのだが、世間はあまりに無頓着であるように感じる。いまのところだが。

 

 

道楽商売、その他の税金対策型

他で利益があがっているので、つまりそのお店で利益をそもそもあげようとしていないパターン。

赤字の店舗をささえるだけの金融資産や、その他の事業所得や不労所得などによるキャッシュフローがあり、道楽商売を展開しているケース。

バブル期のようにどこぞのオーナーがお抱えの妾を囲うためにお店をもたせてやるなんていう、ありがちな話しは今でもあるんではなかろうか?

オーナーと店主が一致する場合、ただの趣味であることもある。その場合は販売管理費を抑えるような工夫がされていることが多い。道楽商売系の見分けかたは簡単。お客さんの入店を阻むような完全趣味の店があったら要注意だ。なぜならお客さんが入ると販売管理費も比例して道楽の範囲を超えてしまうからだ。

 

放蕩二代目

利益もなくて資産もないのに従業員がいる。これはもういまはまだ潰れていないだけ。時間の問題だ。
これでも潰れないのであれば、ひとつは従業員に適性な額の給料を払っていないパターン。雇用で補助金を得ていたり、または本当にブラックで従業員に給与未払い、丁稚という名目でタダ働きさせているケースもある。ボランティアという名目など。

あとは先代が積み上げた資産をバカ息子が事業継承をしたというケースもこれに当てはまる。お金を貸す商売の方々が最後のケツの毛までムシるためにお店を存続させられているケース。潰れないのではなく、抱えているものを全部吐き出すまで撤退させてもらえない。

しかし、いずれにしろ時間の問題・・・。

 

 

生活保護型

生活保護を受け取るためには大前提として資産があってはダメなので、店舗を借りているということが前提になる。なので店先に投資をするような余裕はなく、店先に工夫や変化はない。
高齢で職を得るのが難しかったり、他業種への鞍替えが容易ではない潰しの効かないお店をやっていることが多い。
不動産オーナーも次の店子を探す苦労と、商売変えも難しいであろうこの店主追い出したら本当に露頭に迷うだけだろうし、家賃はまあ入ってくるからいいか的な振る舞いにより、存続している店舗。

戦後の困窮のなかで年金支払ができず、年金受給資格もなく身寄りもないお年寄りが働きながら最低限生活に足りない分を補助してもらうといような、それなりに一生懸命なケースで、いわゆる世間の生活保護問題とはちょっと毛色が違う。かもね。

 

居座り型

あれです。モンスタータナコ。実効支配ってやつですな。どこぞの島みたいだね。

 

 

 

 

さて、うちのお店は、どこ分類だろう。。。。

他にもあるかな?

 


「マイナス金利」という宗教


ミヒャエル・エンデの『モモ』来、ファンタジー系政策だったのが、とうとうEUの中央銀行で実行される時代になった。

手数料を取られるというような認識や報道があるかもしれないが、マイナス金利を手数料と理解することは大きな判断の誤りを招く。

 

お金の怖いところは増えることしかできないことだ。
個人としてお金は使うとなくなるが、全体としては発行されるお金はどんどん増えていく。
これは金利が設定されているからだ。

 

その性質上、お金はどんどんと製造されて増え続けるしかない。
Bitcoinのように発掘上限、負のフィードバッグを仕組みに組み込んで上限をあらかじめ仕様として設定しているところもあるが、基本、各国の中央銀行が発行する通貨や債権は利子が設定された正のフィードバッグがかかっている。

お金、国債、信用、ほかもろもろ。
金利によって増えたお金(元本)はさらに増えた元本に対して金利がかかる。
細胞分裂のように、1つから2つにわかれた細胞はそれぞれが2つにわかれる。
増えた種はそれぞれがまた花をつける。
ひらたく言うとこれが複利だ。
簡単に式で表すと、

元本×(1+金利利率)^金利の発生回数
// 例excel =$B$1*(1+$B$2)^A4

こうなる

経過年数と金利2

グラフで簡単に模式化するとこういう風に時間経過によりぐんぐん伸びて無限大に発散していく。
何十年かまえの日本では郵便局の定期預金金利が7%を越えていたから10年預ければ元本が倍になったそうだ。
もしその金利が続いていれば20年で4倍、30年で10倍、40年で20倍にもなっている。しかし今の日本の銀行預金金利はなんと0.03%だ。この金利で運用すると元本が倍になるにはなんと2311年もの年月が必要だ。
だが他方で、いまでも金利が10%近く、国債などもとても高金利の新興国が同じ世界に存在している。

 

このように世界のどこかしらで増え続けたお金にたいして価値がじゃぶじゃぶと希釈してしまう。
だが、それでも今までは問題があまりなかった。
かつての日本もそうであったように、通貨や国債というのは戦争など適度なタイミングで無価値になったり、デノミとかで単位を変更されたりしたからだ。
しかし、最近の成熟国の通貨の死亡率は低く、増え続けるしか機能がないお金や金利の仕組みではうまくまわらなくなってきた。コレ以上お金が増えないように、なんとか延命しようとゼロ金利にしたりなんだりしてきたが、世界のどこかで結局お金は奔流のように湧き続ける。そして交換される。
そこでついに実行されたのがマイナス金利である。

経過年数と金利

お金はとうとう減る機能を手にいれることができたのだ!てぃってぃりー♪

 

マイナス金利がうまくまわるということがわかれば、生物でいうなら、単細胞生物アメーバーのように栄養状態さえよければ無限に増え続けていたものが、殺されて死滅する以外に、アポトーシス(自死)という多細胞生物の機能を得るべく進化したと言ってよい。

 

単細胞国家のアポトーシスは自滅でしかないが、高密度連携国家(多細胞)の自死機能はなくてはならない機能だ。

そしてマイナス金利はとんでも宗教の世界からどうやらこちらがわの世界にやってきた。もっともトラブルは続出するだろうが、マイナス金利が実施できるということは、多細胞生物に進化したという左証であるように思う。

 

そんなわけで、複利のもたらす乗数効果をわからずに中央銀行のマイナス金利を『ただの手数料』として捉えてしまうと、大きく事象を見誤るのでござる。にんにん。

 

www.jp-bank.japanpost.jp/cgi-bin/kinri.cgi

www.bloomberg.co.jp/markets/rates.html